東三河の三河弁

【三河武士がゆく】

■東三河の三河弁
◆「ちゃっと」 2022年9月9日
◆「行かん」(東に西が入り交じった言葉) 2007/09/29
◆守られてきた言葉・・・越後長岡の東三河弁  2007/09/29
◆「ねち」
◆「くるう」「あたける」
◆「とぶ」
◆「こもっつるし」「ずくがない」
◆「まう」
◆「おとましい」
◆肩がつむ? 2008/09/02
◆「らんごくない」「らんごかない」
◆とんばし
◆くろ(ぐろ)
◆どぎゅう
◆ほせ
◆他人の家を訪れたときにかける言葉
◆いじゃ

【もうかんじ(モーカンジー)】


 
■東三河の三河弁

◆私自身、年々三河弁を使わなくなっています。しかし、地元の友人と話すときは、自然に三河弁を使っています。故郷を離れた土地で、お国なまりを耳にすると、話しかけたくなります。方言やなまりは世代を越えて根強く生き残っている地域の特色です。次の世代にも伝えていきたいですね。

◆一言で三河弁と言いましても、東と西では少し異なります。2007/09/29

NHK連続テレビ小説「純情きらり」(2006年)は岡崎を舞台にしていました。

当然ドラマのなかでは三河弁が使われていました。三河弁がちょっとおかしいとのことで、三河弁指導者が東三河出身の人から西三河出身の人に変わったという噂を聞きましたが、本当かどうかわかりません。しかし、東三河の私にとっては、ちょっと変な三河弁でした。耳慣れないものでした。それくらいに、東と三河では違いがあるのです。西三河の方が尾張の言葉の影響を受けやすいというのもひとつの理由かもしれません。

西三河のことは知りませんが、東三河のなかでも地域によって使う言葉やアクセントの違いがあるようです。東三河の場合、大きく奥三河・平野部・渥美半島・三河湾岸(蒲郡・御津などの沿岸部)などで別れると思います(あくまでも主観)山の言葉・町の言葉・村の言葉・海の言葉には違いがあるようです。

私の母は自分のことを「オレ」といいます。家族や兄弟との会話に限定されますが、私にしては余り聞きたくない言葉ですので、これを指摘すると、「田舎の方言で昔から使っとるでいいだ」と言い返されます。「なんでおかしからあか(どうして変なことがあろうか)」ということになります。母の父は豊橋、母の母は御津です。

私の父方の祖父母は共に豊橋出身ですが、父方の曾祖父母は東幡豆の出身(農家)で、江戸時代からずっと東幡豆であったので、私のなかにもどこか東幡豆の言葉が混じっているかもしれません。

奥三河は、西三河山間部・遠江山間部(静岡県)・南信濃(長野県)・東濃(岐阜県)に隣接しており、人的交流があったために言葉も相互に影響を受けています。まったく知らない言葉に出会うことができます。

豊橋は遠州に隣接しています。私の母方のおじ・おばは、今でも「ほうズラか」と言って「ズラ」を使いますが、遠州の方でよく使う言葉のようです。

三河湾から伊勢湾沿岸の地域はおもしろいと思うのは、海でつながった地域に共通する言葉があるようだということです。

例えば、渥美の海岸部の人は三河だけでなく尾張や三重県とのつながりもあり、言葉の影響を受けているのかなと思います。

私は坂を発音するときに後の「か」を強く発音するか平坦な発音になると思うのですが、渥美の海岸部の人は「さ」の方を強く発音する人がいます。三重県の方の発音の影響ではないのでしょうか?私は三重県の言葉はほとんど知りませんのであくまでも想像です。伊良湖岬のすぐ前、3〜4キロのところに神島がありますが、神島は三重県です。鳥羽からは14〜15キロ以上離れているといいます。



東三河の三河弁
 
 
 
◆「ちゃっと」 2022年9月9日

〈宿題やらないとき〉
「ちゃっとせりん!、何度、言わせるだ!」 

「もうかんじ」情報をいただいた方から、「ちゃっと」についても紹介がありました。これに関しては、少し恥ずかしい思い出があります。

インターネットで、「チャット」という言葉が出始めた頃、「ちゃっと」話ができるから「チャット」なんだと、ずっと思っていました。

そう思っているから、他人にきくことも、調べることもないわけです。

※「道路」と「ロード」もそんな感じでした。

 
「行かん」(東に西が入り交じった言葉) 2007/09/29

三河は東西文化の混じり合った地域だといわれることがあります。めんは圧倒的にうどんだと思いますし、雑煮のもちは□が多いと思います。言葉も関東の言葉に近いと思うのですが、関西系の言葉もちらほらみられます。

例えば、「行かない」という打ち消しの言葉がありますが、西国系では「行かん」と言いますね。東国系の言葉が多い東三河では、「行かない」ではなく、「行かん」を使う人が圧倒的に多いと思います。

また、「いかん」という言葉はアクセントの使い分けでいくつかの意味を持ちます。
 
「行かん」=「行かない」(否定)
「行かん?(行かんかん)」=「行きませんか?」(勧誘))
「行かん?(行かんのかん)」=「行かないのですか?」(勧誘しながら確認)
「行かん?」=「行かないのはどうしてかな?」(疑問))
「(しちゃあ)いかん」=「してはいけません」(禁止)

打ち消しの言葉が人を誘う言葉になる例として「行かまい」があります。
京都の大学に行った友人が、「今から飲みに行かん?」「行かまい」と誘ったら変な顔をされたというのを聞いて、「なんでわからんのかのん」と不思議に思っていました。
※我々の世代は地元の友人同士では若い頃から、「のん」「ほい」を使っています。たぶん。

東三河の三河弁
 
◆守られてきた言葉・・・越後長岡の東三河弁  2007/09/29

新潟県の長岡を訪れたとき、図書館の方に伺ったお話なのですが、長岡の旧士族の間では三河弁が一部残っていたということです。長岡藩牧野家は戦国時代に東三河に拠点を置いており、三河以来の家臣団とその家族の間に三河弁が残っていたとしても不思議ではないそうです。へぇ〜って感じでした。

江戸時代は身分の階層間での交流は少ないので、武家・町人・百姓、そして、私達にはほとんど関係がありませんが、貴族の言葉などが純粋培養のように大切に残されていたのかもしれません。頻繁に国替えを繰り返していた大名もおりました。そういう大名の家臣たちは日本全国渡り歩いていたわけですが、その土地の言葉に染まってしまうことはなかったのでしょう。

このこととはあまり関係がありませんが、都から遠く離れた地域ほど、昔の都の言葉が残っているという話を聞いたことがあります。

言葉っておもしろいですね。

東三河の三河弁
 
以下のような論考もあります。(2009/01/08)
大島信雄氏、《三河由来の長岡方言》、「越 後 長 岡 と 東 三 河」、『東海日日新聞』連載 平成十一年(1999年)3月25日・27日・28日掲載 
★リンク切れ(2021/07/11確認)
 
■三河弁覚え書き

「ねち」(歯ぐき)が方言だと知った時、愕然とした事を覚えています。でも、「ねち」は「ねち」だよなあ。

◆尾張出身の人に、子どもが「くるう」「あたける」と言ったら通じなかった。
「いつまでも、くるっとったらあかんよ」
「店のなかで、あたけたらどじかられるぞん」

◆店内ではしゃぎまわるこどもたちに「店の中で、とんじゃあいかんぞ!」
「走る」ことを「とぶ」と言います。

◆同じ東三河に生まれ育っても、奥三河の人との会話が通じない時があります。
「こもっつるし」「ずくがない」わかりますか?わたしは、わかりません。

※HPで調べましたら以下のようでした。
「こもっつるし」:戸を開けっ放し、またはその人。
「ずくがない」:根性がない、やる気がない。
信州地方の方言として出てくることが多かったのですが、奥三河は信州との関係が深く、人や物の交流が盛んであったことが、言葉に影響していると思われます。

「まう」(便所へ行く)
「ちょっと、まってくる」
「どこで?」」
※最初どこで舞うのかと思いました。これはわかりませんでした。

「らんごくない」「らんごかない」

遠州の方言として出てくることが多いようです。

散らかっている、乱雑という言葉のようですが、私はそのほかに、だらしがない、落ち着きがない、「わや」をする行為または人に対して使っています。
「おしんとうは、らんごかない」

とんばし
たとえば、道路の水溜まりの上を自動車が通るとき、飛び散る水の事
「とんばしかかるで、くろにどいとりん」

※「とびちゃり」(津島市出身の方情報)2022/06/27

くろ(ぐろ)
「くろまではきん」=「隅まで掃きなさい」
「くろ」がなまると、「ぐろ」になります。

庭(にわ)
家の中の土間のことを、「にわ」と呼ぶ。
これは、方言にあたるのか?
元々は農家の土間を言っていたのかも知れませんが、農家でなくても玄関の土間も同じです。
「にわを、はきん」
といわれて、外の庭を掃いたら間違いということも多々あるかも。

どぎゅう
普通でない状態を大げさに表現するときにつかう。
これは、東三河でもさらに地域限定の言葉になるかも?

ほせ
焼き鳥とかの串のこと。
母親が、ウズラの卵をゆでて串に刺す内職をしていました。
家には「ほせ」がたくさんありました。
私は、50歳を過ぎるまで標準語(串の別名)だと思っていました。

他人の家を訪れたときにかける言葉
「やい、おるか」
「ほい、おるかん」=「今、家にいますか」
「おいでるかん」上記より少し丁寧な言い方

いじゃ
「行きましょう」という意味です。
「はや、いじゃ」「はよ、いじゃ」「さあ、いじゃ」

同じ意味で、「行こまい」「行かまい」も使います。


東三河の三河弁
 
「おとましい」2007/09/29

ある奥三河の飲食店で、お客さんの会話
「産まれたばかりの○○を捨ててきただって」
「まあおとましいことだねえ」
私は使いませんが、前後の会話でおとましいの意味がわかりました。
東栄町出身の人に聞いたら「かわいそう」という意味だと教えてくれました。「おとましい」は、遠州で多く使われる言葉だそうです。昔から奥三河と遠州とのつながりは深いのです。

東三河の三河弁

 
◆肩がつむ? 2008/09/02

新城出身の人に「そんなことやっとたら肩がつむら」と言ったところ、

「『つむ』ってなに?」と返ってきました。
「『肩がつんで、こんきい』とか言わん?」
「『こんきい』は、言うけど、『肩がつむ』は、言わんに」 
「ほうだかん」
ということで、周囲の人に聞いたところ、

知らない:5人(豊橋2人、新城2人、豊川1人)
知っている:多数(岐阜1人、豊橋多数)でした。

「肩がつむ」に一番近いのは「肩がこる」ではないでしょうか。

また、道路が渋滞しているときに「今日は、車がつんどった」と言って「つむ」を使います。

東三河の三河弁
 
 
東三河の三河弁
【三河武士がゆく】