マルチアンプ・タイムアラインメント

マルチアンプの利点
 菅野沖彦氏 (別冊ステレオサウンド マルチスピーカー・マルチアンプ大研究より引用)
マルチアンプは、 アンプ動作の IM歪み(インター・モジュレーション・ディストーション)の 軽減という メリットが 大きい。つまり、パワーアンプは そのチャンネルに 割り当てられた 帯域だけ 鳴らせば良いので、全帯域の 複雑なシグナルが 入ってくる場合と 比べて、アンプの動作が 非常に楽なものになり、アンプ内で 複雑なモジュレーション・ディストーションが 起きにくくなり、音のクオリティーが 上昇する。
そのほか、マルチアンプシステムの メリットとして、クロスオーバーポイントと そのカーブの取り方や レベルコントロールの 自由度が広く、周波数分割が 細かいほど 部屋の特性に 対応して 音を作る事も 可能になる。
デジタル技術により可能になったデジタルチャンネルデバイダー
 山中敬三氏 (別冊ステレオサウンド マルチスピーカー・マルチアンプ大研究より引用)
(前略)期待を大きく膨らませる可能性を 秘めているのが、デジタル・エレクトロニック・クロスオーバーアンプであろう。すでに 一部の プロ用モデルで 実現し始めた この新しいクロスオーバーユニットは、あらゆる面で これまでの問題点をク リアにできる性能が 期待でき、理想の実現に より近づける事に なりそうだ。
デジタル・エレクトロニクスによる 最大のメリットは、時間軸の制約から 解放されること、つまり望みどおりの 遮断特性が 位相廻りの心配なく 自由に得られるので、スピーカーシステムの ヴォイシングを 含めた イコライジング特性を 作り出すことが できるようになるはずだ。

さらに もうひとつの 大きなメリットとして、クロスオーバー後の 各チャンネルの タイムディレイが 大幅にコントロールできる事を 挙げなければならない。
たとえば JBLのK2シリーズなどの コンプレッションドライバー/ホーンを 使ったシステムのように、構造上ユニット相互間の タイムアラインメントが 不可能と思われていた 機種についても、完璧な アラインメント が可能となるわけ である。
すなわち これまでの パッシヴ・ネットワークや アナログクロスオーバーアンプでは、到底 成し得なかった時限の 高精度名性能を 備えたシステムが 実現できる事に なってくるのだ。
C-AX10のチャンネルデバイディング機能を使用したマルチチャンネルの構築
C-AX10は 上記の 山中敬三氏の望んでいた デジタル・エレクトロニック・クロスオーバーアンプ機能を 可能にした デジタルプリアンプです。C-AX10の 説明書に よりますと EXCUSIVE2402の 推奨タイムアラインメントの 設定はFWD 1.55ms。0.01msが約3.4mmですから、単純計算で 52.7cmになり、山中氏の 指摘の とおり、コンプレッションドライバー/ホーンを 使ったシステムでは 構造上ユニット相互間の タイムアラインメントを 合わせる事が 不可能である事が わかります。
C-AX10デジタルチャンネルディバイダー機能
現在のC-AX10デジタルチャンネルディバイダー設定
デジタルフィルターIIRモード
クロス スロープ
IIRモード
レベル タイムアラインメント 位相
LOW 500Hz -36db/oct -0.0dB ----------
HI 500Hz -12db/oct -16.9dB FWD 1.55ms 正相
ALM
HI-PAS
10,660Hz -12db/oct -8dB ---------- 逆相