沙漠を体験して

「月の沙漠を はるばると

旅の駱駝がゆきました

金と銀との鞍置いて

二つならんでゆきました」

 

この歌詞は千葉県御宿の浜の砂丘を見て

作られたと聞きました。メロディと歌詞がとても

ロマンチックで沙漠植林に行くと決まった時、

私は、この歌を口ずさんでいました。

 

「広い砂漠をひとすじに

二人はどこへゆくのでしょう

朧にけぶる月の夜を 

対の駱駝はとぼとぼと

砂丘を越えて行きました

黙って 越えて行きました」

 

実際に沙漠へ行ってびっくりした。

現在、道路があっても、行けども行けども

沙漠である。月明かりでも動くことは遭難する。

とても歌など歌っているような気持ちになれなかった。

中国残留孤児烏雲さんたちが、徒歩で葛根廟へ避難
しようと35キロの道なき道をひたすら南下して、老人、
女、子供約1500名が20キロ進んで野宿、8月14日に
「あの丘を越えたら」という地点で、ソ連戦車体に襲撃さ
れたと聞く。血に染まった草原の中に珠美(烏雲)さん
は生きのこりました。(現在、歩きなさいと言われたとし
たら、ゴールインするまでに、どれだけ遭難者が出る
ことやら。水なし、日陰なし、方向?)と考えてしまった。

私は、この沙漠が歴史の中にあっても何事もなかった
かのように風が吹けば砂を運び、窪地が出来てオアシス
になれば、草も生えている自然のいとなみをみて、人も
一つの生き物であり、宇宙の一つの地球に生かされて
いるのだ。この体験が出来たこと本当に幸せと感じた。

作 原田 一美

この本は、一人の残留孤児がたどった軌跡が歴史の

貴重な証言として書き残されたものです。

 

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8月の夏休みに小、中、高校生が参加しました

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