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設楽ダムの建設中止を求める会 公式サイト
設楽ダムの建設中止を求める会 ホームページ は移転しました。(2008.7.10〜) 移転先:http//no-dam.net/index.html
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(国土交通大臣および国土交通省中部地方整備局長あての要請書)
(要請書)設楽ダム環境影響評価は重大な問題があるのでやり直しを求めます 2007年 8月 1日 国土交通大臣 冬柴 鉄三 様 国土交通省中部地方整備局長 金井 道夫 様 設楽ダムの建設中止を求める会 代表 市野 和夫 国土交通省中部地方整備局は、設楽ダム建設事業についての環境影響評価手続きを終えたとし、環境影響評価書が、2007年6月29日から7月30日までの期間縦覧に付されました。この環境影響評価の手続き・内容については、以下に指摘するように、看過できない重大な問題があるので、事業計画そのものの見直しをするとともに、環境影響評価の手続きを最初の方法書段階からやり直すことを求めます。 1.
設楽ダム建設事業は、環境影響評価法が成立してから初めて国交省が直接に行うダム建設事業であります。したがって、この事業の環境影響評価の手続きや内容が今後の国交省の他の事業に対して手本(既成事実)となる可能性が高いものと考えられます。したがって、事業実施を前提とした「アワセメント」ではなく、環境影響評価法に基づいて、環境影響を十分に回避・低減させるべく実施されたものでなくてはなりません。 2.
環境影響評価法の施行以前に法律の先取りとして実施された瀬戸市海上地区における愛知万博や名古屋市の藤前干潟におけるゴミ埋立事業の環境影響評価と比較してみることは重要であります。前者ではオオタカの営巣が明らかになって予定地の開発面積を大幅縮小するとともに主会場の変更が行われました。後者では、国際的に重要な渡り鳥中継地である干潟の埋立ては、渡り鳥に与える影響が明白であるとして事業が中止されました。その後、この干潟はラムサール条約に登録され保全措置が進みました。 3.
上記二つの愛知県内で実施された環境影響評価手続きと比較すると、環境影響評価法が成立して以後の事業にも関わらず、設楽ダム事業の場合は全くの事業「アワセメント」になっているといわざるを得ません。 すなわち、第一に、ダム建設予定地は、国の天然記念物であり、絶滅危惧種であるネコギギの高密度の生息場所であり、ダムができると水没や河川環境の劣化によって生息適地の2分の1程度が失われる恐れがあり、豊川の個体群に重大な影響を与えることは明らかです。ダム予定地の河川環境を保全することが最優先されなければなりません。にもかかわらず、事業の見直しは全くなされず、「移植」で済ませることになっています。移植によって、豊川のネコギギ個体群が将来にわたって保全される保証はありません。 第二に、ダム湖の湛水域が絶滅危惧種であるクマタカの繁殖縄張りの中心区域にかかり、道路工事なども含めて著しい影響が懸念されています。評価書では、直接改変により影響を受ける1ペアのクマタカしか考慮していません。そのペアが、改変によって現在の行動範囲から動けば、周辺の複数のペアにも影響が出てきます。最悪の場合、改変地域内外のクマタカの繁殖ができなくなることも考えられます。したがって、工事区域のみでなく周辺のクマタカ個体群を含めて環境影響評価をやり直すべきです。クマタカの生息保全を考えるなら、ダムを造らないというゼロ案を取るべきですが、評価書は繁殖に影響する時期に工事の一時中断を行うとしているのみです。 第三に、オオタカ、ハチクマ、サシバなどの猛禽類やヨタカ、アカショウビン、ヤマセミなどの「鳥類の重要な種」について、評価書では保全措置がまったく示されていません。改変によって生息地が奪われても、周囲に同様な環境があるから、というのがその理由としてあげられていますが、これは間違っています。周囲の同じような環境には、すでに同種の鳥類が生息しているから、改変地域に生息していた個体が周囲に新たな生息場所を求めればそこにいる個体との争いが起こります。場合によっては、両者とも生息できなくなることも起こります。また、生息数の少ない種にとっては、今生息している場所だけを頼りにしている場合も考えられます。評価書では、以上の点をまったく考慮していません。 第四に、その他の動物種、植物種についても、生態系を構成する多様な群集構造を考慮せず、そのごく一部について移植を行うとする他は、何らの保全措置も予定されていません。生物多様性、種の保全を本当に重視するならば、ダムを造らないという選択をするしかありません。 4.
法律成立以前の政令に基づく環境影響評価の手続きに比べて、環境影響評価法には方法書の手続きが新たに盛り込まれました。これは事業計画のできるだけ早い時期から環境情報を住民や専門家から得ることにより、環境影響を可能な限り回避しようとするためであります。したがって、方法書段階では、事業の必要性、事業目的や内容の妥当性、代替案などの検討が充分になされる必要があります。実際、方法書に対する住民意見では、事業の必要性についての疑問や規模が大きすぎることを指摘する意見、ダムを造らない代替案の検討、三河湾まで調査範囲を広げる要求など、法律の精神に沿った多数の意見が出されました。にもかかわらず、事業者は、これらの意見を汲み上げることはしなかったのです。また、準備書に対して出された多くの住民意見についても、まったく汲み上げられていません。住民参加は、まったく形だけの「意見を言わせてやる」というものでしかありませんでした。 5.
設楽ダム計画の要否を含めて豊川の河川整備計画を審議する「豊川の明日を考える流域委員会」は、2001年3月30日(2000年度末)付けで、「河川整備計画原案に向けての提言」を行いました。これを受けて、2001年11月に国土交通省中部地方整備局は、設楽ダム計画を含めた「豊川水系河川整備計画」を策定しました。これと同じ時期2001年度(2002年3月末)に、農水省と愛知県が共同で進めていた豊川総合用水事業が完成しました。なお、完成時点でこの事業は水資源公団(現水資源機構)に引き継がれました。この事業によって新たな水源が開発され、豊川水系における取水可能量が大幅に増強され、それまでの水不足は解消されました。ところが、前記の流域委員会の審議にはこの情報が全く反映されませんでした。流域委員会の事務局が、意図的に隠蔽したと考えざるを得ません。したがって、設楽ダム建設事業は、事業目的・内容についての徹底した再検証を必要としています。 6.
2001年度に豊川総合用水事業が完成して、2002年度以降はそれ以前に比べて水需給をめぐる事情が大きく様変わりしました。これを受けて、環境影響評価手続き中の2006年2月に豊川水系の水資源開発基本計画(フルプラン)が全部変更され、新規利水の開発水量は大幅に引き下げられました。にもかかわらず、設楽ダム計画の規模は1億m3から9800万m3へと微減されたのみで維持され、環境影響評価の手続きはそのまま続行されました。2004年の11月から縦覧が始まった環境影響評価方法書の手続きは、2006年2月のフルプラン全部変更によって水需給見通しが変更され、新規水資源開発の必要性の低下が明らかになった時点で中止され、初めからやり直すべきだったのです。それを怠った環境影響評価は、手続き的に無効です。 7.
設楽ダム建設事業計画では、利水容量の82.2%を占める6000万m3の不特定容量を「流水の正常な機能維持」に当てるとされています。豊川用水事業など過去の豊川水系の河川開発は、大野頭首工下流の維持流量をゼロにするなど、「流水の正常機能維持」をまったく無視した欠陥事業でありました。それを見過ごしてきた河川管理者である国土交通大臣と愛知県知事の責任は重大です。河川法の改正を受けて初めて、大慌てでこれまでの開発の尻拭いをするため、「流水の正常な機能維持」のためと称して、無傷の寒狭川(豊川上流)に新たにダムを建設して、全国のダムで例を見ない大規模な不特定容量を設けることは、責任の付け回しに外なりません。過去の開発による河川環境の劣化対策のために、これまでの宇連ダムや大島ダムの規模をはるかに超える新たな巨大ダムを建設して、かけがえのない希少な生物種を含む水没地域の生態系破壊、豊川と三河湾まで含む水系への悪影響を及ぼすことは、河川法が掲げる「流水の正常な機能維持」の目的をまったく外れております。これは環境影響評価云々以前の問題で、このような本末転倒したダム建設計画そのものが撤回されねばなりません。国土交通大臣ならびに国土交通省中部整備局長におかれましては、以上の責任を自覚され、設楽ダム建設事業そのものの再検討・見直しをされるよう、ここに強く要請いたします。 以上
第29回「豊川の明日を考える流域委員会」審議に当たって、設楽ダム建設事業計画の見直しを求める要望書
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