Field Note 2010 ( Digest )  

 





はやる気持ちを抑えて…
 

 長いトンネルの出口、その下に架かる古い橋…このポイントに入るのは2月だけだ
 
 それはもちろん、解禁時の放流魚が残っている確率が高い場所だから…でもあるけれど、本当はあの日のことが忘れられないから

 まだ春いっぱいはスノーボードが休日の過ごし方だった頃、山からの帰り道に何気なくのぞいたプールに広がっていたライズリング…

 急いで年券を買い、たまたま車に載っていたパックロッドを継いで、苔むした石段を駆け下りた

 奇跡的にライズの鼻先1メートルに落ちたスティルボーンに一発で食いついた渓の女神…

 あの瞬間囚われの身になったのは、泣き尺のアマゴではなく自分の方だった


at TENRYU ( C & R area)

 いきなり不愉快な出だしだった

 いつものように右岸に向かう途中、支流の流れ込みでは魚かなんかの切り身をエサに、浅瀬でペアリング中のレインボーを必死で狙ってる年配の釣り人…

 岸から駐車場の戻る小道、スレ違う時に『こんにちはー!』とひと声かけたら…かたくなに前方から視線を外さず、完全に無視しやがったルアーマン…


 自分にとっては、混んでる割には結構和気あいあいな雰囲気が魅力だった天竜…まぁこれだけ有名な場所だからそりゃこういうヤツもいるわな、と今更ながら実感した  



お前だ!コラ!(写真出してすみません…)


天竜釣行は景色も気持ちいい

 でも思いがけない楽しみもあった

 会社には当然ナイショで出かけた平日…その数少ない釣行中、2回もBILLさん(残念、現在ブログ休止中)にお会いしたのであった(念のため書いておくと、BILLさんの仕事は『休日』とのこと)

 ホントはどっかでランチでもしながらゆっくりお話したかったけど、お互い貴重な釣り時間…短い再会ではありましたが、まー久しぶりに『あー、そういえばオレって釣り仲間がいたんだ』と実感した

 

 ただ釣果の方はなかなかキビしいシーズンだった

 どうも流れが変わってしまったようで、これまで良い思いをしてきた穴場ポイントが単なる浅瀬になってしまっていたり、これまで目の前で大物がヒットしたプールの流れ込みも、結構流心近くまで飛ばさないと話にならない状況だった

 まーフツーにキャスティングができるフライフィッシャーなら『よーし、やったるゾ!』とかえってゲーム性を高めるところだろうが、”寒狭の支流でいっぱいいっぱい”の自分にとっては”GAME OVER”なのであった


 それでもシッカリ年券の元が取れる程度には通ってしまう天竜なのであった  



このシーズンはカメラ持ってないコトが多くて…
at KANSA ( TOYOGAWA )

 このシーズンはねぇ…年間釣行回数がヒトケタだったんですよ、ヒトケタ!

 それこそ何年か前なら1カ月でこなす程度の回数ですよ
 それが何の因果でこんな…


 まーそんな泣きはさておき、2月の声を聞くとやって来てしまう寒狭…でも第二週までガマンできなくて、ついつい第一週に中部漁協に(上流の年券購入のついでに)行ってしまうのだが…

 大会が終わった午後なのにしっかり大会協力費まで徴収された挙句、死ぬほど粘ってやっと数匹…いつも『やめときゃよかった…』とウツになる(で、懲りずに翌週上流の帰りにまた寄ったりする)



それでもやっぱり寒狭のアマゴは美しい


某有名ショップのマークではありません

 でもやっぱり上流はオレを裏切らない

 成魚狙いで入った本流では玉砕したが、支流では何とかイワナ、アマゴの顔を見ることができた


 気をよくしてさらに最上流部の枝沢(この季節にかよ…)の突入すると、小さなプールでド派手な水しぶきが!

 『キタコレーーー!!!』
 と思った瞬間、バレた


 その話を近くの地元産の食材なんかも売ってる食堂で話すと『あー、まだいたんだ。いつも見てるんですよ。”あー、デカいのいるねー”って』
(勝手にリンクしてゴメンなさい。食べ物安くておいしいです。皆さんも寒狭へ来たら是非!)

 その後も月イチ程度で寒狭には出かけたけど、いつも初夏には激シブの上寒狭…それがいつにも増しての猛暑では6月にはもうほぼ終了状態だった

 まー釣れないコトはないんだけど、釣れるポイントっていうのが例年とはまったく違う。何となく今までいた魚が全滅して、何か違うDNAを持った魚と入れ替わったような感じだった


 そういえば支流ごとに特徴のあったハズのアマゴの姿形もどこか一律になってきたような…

 ま、でも正直釣れるだけでイイか!って気もする。せっかくの楽しみなんだから、まー難しいコトはぬきで…



かわいい顔を見られるだけで…


いまから穴場の支流でも探そうか…

 でもやっぱり気になるのは例のダムの話

 ”凍結”ってたって大名倉じゃ測量の車を見ない日はないし、ダムとは関係なさそうな当貝津だって道路拡幅で重機入りまくりだ


 こんなに問題になる前には、一人で『ダムゼェーーッタイ反対ッ!!!!』ってやってた自分だが、ここまでグダグダになってくると逆に『どうしたらダム建設後に良い釣り場を残せるのか?』なんてコトを考えるようになる
  (もしかしたらソレが政治家の高等戦術か?)

 ありとあらゆるデータを水増ししてる建設事務所と、都合の良いデータだけピンポイントで主張するプロ市民…もうわかったから、とにかく地元で生活してる人の声を素直に聞けよ

at OSHINO ( KATSURAGAWA )

 『時間がない、釣りに行けない』とか言いながらも、今年もはるばるやってきました、片道3時間の忍野(苦笑)

 解禁から3ヶ月、そろそろ寒狭の魚影もめっきり少なくなり(というか、スレて手に負えなくなる)、ふと懐かしくなる天竜のレインボー(そんなに釣っちゃいないけど)…そんな気持ちを満たすのがこの忍野なのである

 夜明けと同時に始めるはずが、すっかり油断して7時着。でも駐車場のところの券売店さんが今年は『7時から!』になったみたいでちょうどよかった
(そりゃ毎朝6時前後からひっきりなしにインターホン鳴らされたんじゃキレるわな)



何もかもサイコー!


ブルックって本当に不思議な色

 で、お約束の釣堀のところでサイトフィッシング…が、イマイチ反応が薄い  

 ふと気が付けば5Xのティペットに超ヘビーなニンフという天竜システムでやってた

 『いちおう渓流だし…やっぱ多少はスレてるんじゃ…』

 普通のラインに普通のニンフにしたらあっさり釣れる。テニスコートのところじゃほぼワンキャスト・ワンヒット状態だった

 『もしかしたら、今日のオレなら下流でもイケるんじゃないのか?』

 と、意気揚々と下流(と言っても実はS字のあたり。だって金田一とか行くとキャストづらい…ていうか、見られるの恥ずかしいし…)へと向かった

 すると、あろうことか誰もいないS字ではそこかしこでライズ祭り!

 『ももも・・・もしかしてドライで取れるんじゃないの?』


 虫の知識ゼロ、フライのバリエーション皆無の自分ではあるが、とりあえず小さめのモノ(苦笑)で…出ねー

 じゃ大きさを流れてるのと同じようなモノに…やっぱ出ねー


 そうか!色も同じようなヤツを…キターーー!

 ワタナベさんが見ていたら卒倒しそうなプロセスをたどりつつ、何とか今年もウハウハな1日を過ごすことができたのであった
 ティップも落とさず、ネットも盗まれなかったしネ!



もしココが車で1時間圏内にあったら…
きっと仕事辞めてる…っていうかクビ
at NEBA ( YAHAGIGAWA )


最上流部にも禁漁区できました

 ハッキリ言って、ここの漁協は岐路に立っていると思う  

 メインマーケットの名古屋からすると、前門の郡上・美濃、後門の下伊那…何か特徴を出さないとやっていけなくなるのは目に見えている

 で、何をやったかというと禁漁区の再編成と漁券販売店のリストラ(というか、たまたま自分がいつもの雑貨店に年券買いに行ったら『今年はないんだよねー
』と言われただけなんだが…)

 そして何より驚いたのはホームページ開設とキャッチ&リリース区間を設置しやがったコトだ!
 

 『自殺行…』・・・いや、言わないでおこう・・・

 いやね、オレが思うにココの最大の魅力は”穴場感”だと思うワケよ

 解禁時と禁漁前の一時期を除けばそんなに混んでないし、意外とエリアは広いし、入川料に至っては昭和の値段だ  

 だからココへ来る人っていうのは、あまり混んでるのがキライで、のんびりとした雰囲気で釣りしたいんじゃないかなぁ?
 ただでさえ何かと難しいキャッチ&リリース…先駆けの太田切川でも廃止のウワサがある中で、はたしてこの小さな漁協がこの難題をコナせるのか…

 建設中の三遠南信道路からハズれる根羽村…平谷、浪合との共通釣券(個人的には上寒狭とやってほしいが…)を多少の割り増し料金で発行するとかのほうが現実的じゃないのかな?



ここのアマゴのシェイプは実に美しい


でも、どうせ買うんでしょ、年券(笑)

 あ、釣りはね、ココもこの年は結構キビしかったなぁ…っていうか、もう1〜2年タイイングってものをやってないので(!!)、根羽に出かける頃(5月以降)には、手持ちのフライは10年以上前に巻いた見るからに虫とは違うゴージャスな物体ばかり…コレでも釣れた、ってコトの方がむしろ脅威だ  

 景勝地もあるし(川は護岸が多いけど)、温泉も近い(平谷だけど)、アクセスだって悪くない(通過点だけど)、そして何より魚がキレイで無垢な根羽川…

 でも、今の自分にとっては”寒狭+30分”はちょっとキツいんだよなぁ…


 2011は年券、どうしよ?




ホントに出来るんだなぁ…

 新城の街から寒狭方面(鮎滝)へ抜ける道が整備されたのは、自分が設楽の川へ通うようになってからしばらくたった頃だった

 その道の途中の山の斜面に『第二東名建設予定地』という小さな看板があった

 『バカじゃねーの?そんな道路あと100年経ったって出来るわけねーだろ』
 そう鼻で笑って通り過ぎていた

 でも、天竜や忍野へ通うようになって唖然とした。その道中にはまるで巨大な墓石のような”100年経っても出来るわけない道路”の橋脚が何本も並んでいたから…


 そして今、ついに”建設予定地”は”建設現場”になった  

 わずか10年ほど先のコトもまったく見えていなかった自分…もう10年先、たとえ設楽ダムが中止になったとしても、果たしてフライフィッシングができる川がそこにあるのだろうか?

2010,12/31 … by taro …



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