Field Note 2011 *下へ行くほど最新です

 





この橋からの眺めは、どんな景色よりも特別…
 

 最初はバイクのツーリングのついでだった
 やがてスノーボードとサーフィンの季節の間の趣味になり、いつしか2月の中旬が1年で一番の楽しみになっていた

 でも今は11月から2月も天竜では釣りができるし、2月のアタマにはもっと家から近い寒狭中部でアマゴに会える
 子供とも遊びたいし、家でのんびり過ごす時間もほしい
 だから、2月だからって別に…そんなふうに思っていたこの1〜2年だった
 
 たまたま、解禁2日後にちょっと時間がとれた
 薄暗い国道を走っているうちに、泣けるくらい緊張してきた
 橋の上からいくつかのブルーバックが見えた時、鼓動が一気に高まった

 やっぱり、2月の寒狭上流は特別だった


Pre-season
天竜川C&Rエリア(静岡県)


ココ、すごく怖いんですけど…

 今期は一大決心をした。それは…

 『今シーズンは右岸に車を止めるぞ!』

 だって左岸の駐車場に止めたって、どうせ右岸にずーっと刺さってるわけだし、何より1日立ちっぱなしの後にあの土手を登るのがキツいんだよ…

 ということで右岸名物恐怖の石段を降りる。遠近感マヒしまくりの絶壁、しかもところどころ凍ってたりする…『コレなら寒狭本流の法面にへばり付いてるサビたステップの方がマシじゃねーか!カンベンしてくれーーー』

 すでに半泣きでなんとか川原へ…

 すると奇跡的にマイフェイバリットポイントの流れ込みが空いているじゃありませんか!

 一大決心した甲斐があったなと自分に言い聞かせ、ポッチャンと釣り開始…しかし反応がない


 時折目にするライズは遥か彼方の流心付近…『一大決心ついでにフローターでも買ったろか!』などと思っていると、ギリギリ自分のキャスティングレンジ内でライズが!  

 『いーか!テメェ絶対そこから動くなよ!一歩(?)でも下がったらバッテリー放り込むからな!!』



コレも怖いんですけど(笑)


いつも見る完璧な釣ーりing仕様…すげぇ

 渾身のキャストが何とかソコに届いた次の瞬間、マーカーが”ぐい”と沈んだ

 ”ガツン”
 『根掛かった?』…テンションが一気に下がりかけたとき、猛然とロッドがしなった

 ひさしぶりのリールファイトの末、何とかネットインしたのは(今思えば最初で最後の)60センチオーバー…

 しかし、これ以降サイズ・数量とも尻すぼみ、しまいにゃ連チャンでボーズ食らって天竜シーズンは終わったのであった

February
月15日(火曜日) 寒狭川上流(愛知県)

 待望の渓流シーズンですよ!
 待ちに待った解禁ですよ!


 などと、いかにも初釣行みたいな物の言い方をしてしまったが、実際には寒狭中部でとっくに解禁経験済みだったりする


 その中部だが…初日の午後に行ったんだけど、オレの前で日釣券買ってたオヤジが『大会終わってるから、1000円でいいだろ!』とか言って強引に千円で券を買ってた

 オヤジ出ていった後、顔を見合わせるオバサンとオレ…なんか気まずいので2000円払ったのだが、この時点でオレは(釣果含めて)寒狭中部に負けていたんだと思う



真ん中の木がなけりゃなぁ…


寒狭中部とは産地が違うのだろうか?
(ちょっと色が濃い、気がする)

 で翌週、上流解禁!

 稲目トンネル下のプール…驚いたことに誰もいないでやんの


 『魚いないのかなぁ…うわぁ、いるいる!』
 あわてて支度して石の上に立つ

 『釣れないのかな…うわぁ、いきなり釣れた!』
 マーカー付けてのルースニングはもちろん、ライズのミッジング、サイト、しまいにゃ大昔に100均で買ったウェットにまで魚が食らいついた


 『すげぇな!こりゃ。マジで100匹釣れるんじゃねーか?こりゃ!』

 しかし世の中そううまくはできていない

 実は昼には豊橋に戻らなくてはならないのだった…ったく、なんで選りによってこのキャリアベストな釣果(大袈裟…というか、これまであまりに貧弱な釣り人生だったのか…)をたたき出しる時にィーー!キーーーー!


 上がる時には橋の上からデカい石でもプールに落としたい気分だった(何年か前には宇連川で実際にやってたヤツもいたが…)

 『ま、もうオレは分かっちゃったからいいよ。来週また来りゃいいんだから


 しかし、それは案の定…だった



リリースするから、来週まで居ろよ!
2月21日(月曜日) 寒狭川上流(愛知県)


文句ナシの花粉日和!

 中6日、2週連続の上寒狭

 当然、前回爆釣のポイントへ…
 『魚イネーーーッ!』

 まぁ予想されたコトではあったが、それでも一縷の望みを託し、最近お気に入りのボールマーカーで釣り始めるが…

 『あー、全然魚見えませんよね、追ってもきませんでした。朝からやってましたけど、ソコで』

 通りすがりのルアーマンの思いっきりあきらめた笑顔の一言で現実に戻る

 『支流へGO!』

 手っ取り早く当貝津の支流へ。しかし驚いたことにこの4月並の暖かさの中、まだ河原にはところどころ雪が…

 いつも反応があるプールでも魚影は見えない
 『さすがにまだ早かったかな?』

 水温計を持ってはいるが、この10年くらい使ったコトがない自分なので、まぁ深く考えずに真夏のように叩いて釣りあがる


 すると、大きなプールの石の向こうで、ライズがあった…ような気がした

 念のため慎重にストーキングし、フライを#22まで落としてみると…

 『やったーーーー!』

 ま、最初からこうするべきだとは思う。あはは



寒狭では珍しい朱点が多めのアマゴ


積雪の中での釣り上がり

 帰りに、もう一度本流に寄ってみる  

 メインの放流ポイント付近でルアーマンが2人粘っていた

 『やっぱこの辺だよな。2週目だし…』

 すると2人が移動を開始。すばやく空いたポイントに滑り込む

 しかし釣れない。反応も魚影もない
 するとさっきまで粘ってたルアーマンのひとりがやってきた

 『魚、いないですよ。完全に釣り切られたみたいです』

 何ていうか…こんなんでいいのか?漁協さん!今日だけでたぶん客2人減らしたぞ!

April
4月14日(木曜日) 根羽川(長野県)

 去年の根羽はすっかり出遅れたせいで、いつものよろず屋じゃ年券なくなってるわ、シーズン通じても元は取れないわでさんざん(釣果と関係なくて恐縮だが)だった反省から、今年は解禁2週間でやってきた

 もー確実に釣りたいので、いつもなら真夏に入る最上流部に直行したが…ナントこの平日に、このマイナー漁協の支流の果てに先行者がいやがった

 それでもしばらくねばってみたがウンともスンともいわない
 そのうち『何で解禁早々にこんなボサの中でチョウチンみたいな釣りしなきゃなんねーんだよ…』とハタと正気に返った


 『やっぱり、いつものトコロにするか…』



東海豪雨の傷跡もだいぶ癒えてまいりました


この1匹が出なかったら…

 ところが、ソコへ向かう途中のポイントポイントにまんべんなく釣り人と思われる車が止まってやがる

 『エサ釣りは放流ポイントの本流へ、フライ・ルアーは(名ばかりだけど)キャッチ&リリース区間へ行けっていつも言ってるだろう!』

 で結局、その支流でも最上流部に来てしまった

 土手からまず上流を、そして下流を見てみる。で、降りる前にもう一度背伸びして前方を凝視する

 
『さすがにココにはいないだろ。フフフ』

 やっと穏やかな気分で釣り始めようとしたら…
 『うわぁーーー!!!!』  

 川岸の砂場にキッチリと足跡が残っていたのであった

 今さらポイント変えるのもシャクなのでそのまま釣り上がる

 するとほどなく待望の1匹がヒットした
 『よーーーーーーし!ん?うわぁーー!』

 寄せてみるとフックは上あごに皮1枚で掛かっていた


 『頼むーー!暴れないでぇ〜!』

 震える左手でやっとの思いでランディングしたのは、いかにも根羽らしい色白の小さなアマゴ…

 『ふぅ〜…ヨカッタ…』

 1匹釣れるコトがこれほど嬉しいとは…あらためてフライフィッシングの深淵を見た気がした…って、どんだけ貧弱な釣りしてんだ、オレ!?



この桜もダムに沈むのか…
May
5月3日(祝・火曜日) 寒狭川上流(愛知県)


養魚場跡地に何を造るんだろう?

 GWと書いてゴールデンウィーク…思い出すのは20数年前の出来事だ

 『taro君、キミィ、”ジーダブリュー”って知っとるかね?』

 『はぁ?』

 『最近やたらと新聞に書いてあるじゃないか、GWって。なんじゃありゃ?』

 『ゴールデン・ウィークのコトだと思いますけど…』

 『ゴールデン・ウィーク?!だったら何でそう書かんのじゃ!いつからそんな略語を使うようになったんだ!え!』

 『いや…あの、僕に言われても…』

 『だいたい日本人なんだから…』

 ・・・思えば日本人も随分成長したもんだと実感する

 

 そんなGWなので、当然のように寒狭は大変なコトになってた

 何が大変って、本流には3メートル間隔で釣り人が立ち込んでた

 『はぁ?何?もう鮎解禁なの?それとも話題作りに金払って並ばせたの?マ○ドナルドみたいに?』


 なんだかよくわからないが、とりあえず支流へ直行する

 『どうせ支流も人いっぱいなんだろう…っと、空いてるじゃん!』

 2月にはイマイチだった支流だが、取り急ぎ入ってみる

 『最近はココでも出ないんだよなぁ…わ、出た!』

 入渓から最初の1匹までの時間はほんの数分だった



いやー、やっぱり寒狭上流はいい


プールでのアブラッパヤはご愛嬌

 その後も何かの間違いみたいに釣れまくった

 2月にはほとんど魚の気配を感じなかったこの流れで、あらゆるポイントから魚が出た

 『コレが”天然モノが動き出す”ってコトだろうか?』

 思えば久しぶりの雨の後、急上昇した気温…
 年がら年中、同じようなタックルで同じようなフライを使ってるせいか、この寒狭ではあまり季節に合わせた釣りをしてこなかったが、なんとなく中日スポーツでくどいくらいに見てきたフレーズの意味がわかった気がした

 20年目にして(笑)

New!
寒狭上流、その後…

 で、結局寒狭にはその後ほんど釣りに行けなかった

 5月の後半に大名倉には行ったが、釣り人も魚(笑)も見なかった
 なんというか…釣り人の姿は年々減ってきてるのに、釣り切られるはどんどん早くなってきてる気がする
 きっと放流量とか絶対的な魚資源の量が枯渇してきてるんじゃないだろうか?

 思うに、設楽ダム建設が再開だ凍結だと煮え切らない現状では、漁協もやる気が出ないだろうし、国や県からの補助にも影響は出てきてるんだろう  


 オレはね、もう最近は正直ダムができてもしょいがないと思ってる
 それより『どうでもいいから早くハッキリしりよ』って思う

 もう「釣り人」っていうより、「地元民」の感覚になっちゃった



何が悲しくてヘビのまぐわいを…
月26日(木曜日) 根羽川(長野県)


ホレボレするような典型的里川

 なんかね、最近根羽って釣りづらいんだよ

 以前はいたるところでグッドサイズが出たポイントも、最近はボサだ藪だでなんかやりにくい…ってここ数年ずーっと思ってた

 この原因が遂にわかった

 要は、東海豪雨で川岸の木なんかが全部流されたんで、あの小さな小川川や檜原川の上流でも普通にキャストできてたんだよ

 ところが外来種やら植林やら、川原といわず川の中といわずに”植生”がだんだん復活してきたんで、キャストどころか釣り上がり自体が困難極まる状態になったんだな…

 と、こんなアタリマエの結論にたどり着くまで5年くらいかかったよ

 ところが、そういう状態なんで逆に魚が隠れる場所も増えるし、釣り切られることもなくなったので、かつてのように『”1日1人限定”の川』(誰も言ってないか…)というわけでもなくなった

 ボサの合間には必ず良形が潜んでるし、以前よりも天然っぽい固体が増えた気がする

 それに合わせたのか釣り人も増えてきたような…


 寒狭でも前に同じような傾向があったけど、以前は普通に釣れたポイントが釣り人が増えてきたんで、上流へ上流へと追いやられて…気がつけば解禁からいきなり源流、みたいな感じになってきた

 こうなったら、来シーズンは思いっきり下流部を攻めてやろうか…



期待を裏切らない美しさ!
May
6月某日 忍野・桂川(山梨県)


日本語読めませんか?

 たとえ仕事が変わっても、子育てに忙殺されながらも、年に1度の忍野詣でだけは…

 というわけで今年もやってきました忍野。漁協駐車場で仕度をしてると、目の前でルアーロッド持ったオヤジが引っ掛け釣りの真っ最中…

 オレがカメラを向けてるのに気づいたら、いきなりロッドを地面に置いて『いや、釣りじゃなくてぇー、見てるだけなんだナ!』とでも言いたげなポーズを決めやがった

 オヤジがソソクサと消えた後、駐車場前やテニスコートあたりでとりあえずニンフを流すと、いつにも増してよく釣れた

 しかし問題が…オフト製の140センチという微妙な長さの”忍野ネット”が、ここらあたりだとかなり役に立たないのである

 しかたないので下流へ向かうと…S字あたりは真昼間からライズ祭り!
 もしや…と思ってキャストしてみると、全盛期の岐阜の小鳥川のイブニングのようによく釣れる

 もうフライパターンとかサイズとか関係ナシ。流すラインと距離だけ間違えなきゃワンキャストワンヒットだった


 しかし、4時には豊橋の保育園へ行かなければならない…というわけで昼過ぎに無念の納竿。駐車場へ戻ると…朝のルアーオヤジも帰り仕度してた

 『もしかして…コイツも”イクメン”か?』

 ちょっと許せる気持ちになった



見事な食いっぷりで
August
8月30日(火曜日) 根羽川(長野県)


サイズじゃぁないんです!

 せっかく寒狭上流が9月末までやってんのに、最近は夏のうちにシーズンが終わっちまう。あぁ平日に自由に休めた時代が懐かしい…(いや、”自由に”ってコトはなかったかもしれないが…)

 もうね、根羽なんかドコでやっていいかわからない
 かつては”taro様プライベート釣り場”だった小川川の上流部で、いつ行っても先行者を見かける。檜原の藪の中はアブが怖いし、小戸名はよく知らない…

 ので、思いっきり戻って本流との合流あたりに入ってみた

 かつてはよく入った区間なのだが、渓相の割りにあまりいい記憶がないところ…そんなことを思いながらキャストすると、小さいながらもあっさり1匹釣れた

 ふと見れば100ほど前方に先行者の姿が見えたが、それは車を止めた時からわかっていたコト。距離を保って釣り上がると、その後もボチボチと綺麗なアマゴが顔を見せてくれた

 ほかの釣り人を避けて通ってた上流部
 そこでも追いやられて先行者がいるのを知ってて入った下流部…でも、釣れるしやっぱり楽しい


 結局、大事なのは”細かいコトを気にしないこと”なんじゃないかと思ったりしたのであった



ココの裏の川は根羽川の漁券じゃダメですよ!
November - December
11月〜12月 天竜川C&R(静岡県)


もはや単なる泥水

 何が待ち遠しいって11月だ
 半期ごとの繁忙期にメドがたち、マラセチア毛包炎も快方に向かい、そして天竜が解禁…

 もうロッドだって新調しちゃった
 GATTI、ライムストーン、キャリントン、ユーフレックス…

 
もちろんリールも忘れちゃいない
 オービス+スプール、マリエットのチタン、穴なしブラウン、ゴールド…

 ただ、かつてと違いすべて新品ではなくオクやタックルベリーというのが成長期のお子様を抱えるオヤジフライフィッシャーの悲しいところだ

 で、解禁から2日後…何年かぶりに真っ暗なうちに家を出た

 なんとかお気に入りのポイントにもぐり込めたおかげで釣れる釣れる!あんまり釣れるんで(?)上の道路の駐車場で見てた2人組がヒットするたびに大笑いしてた


 しかし…川の水はなんなんだろう?

 年々濁りがひどくなってきてたが、それでも『今年はちっとは良くなってるんじゃ…』と期待してたのに


 あの”流砂促進事業”って逆効果だったんじゃねーのか?おい!



目の前50センチでペアリング中


他にもデカいのいっぱい釣れましたよ。ウフフ

 しかし12月に入ったあたりから一気に激シブになるのもお約束…それでもココの良いところは、いろんな人に会えるコト

 BILLさん、ライズさん、ねねこさん、SAMMYさん…最近はウェブ上でしかお目にかかれなかった方たちとも久しぶりにお話できた

 新調したロッド、リールも執念で全部入魂できたのだが、心残りが…

 『コレの入魂ができてねーーー!』

 モノがモノ(Lサイズ)だけに、寒狭や根羽じゃ使えねーし…
 あーー、11月が待ち遠しい!



toppage

Field Note
 
Back to previouspage