Highlight-part2(1999~2003)  

 


(寒狭川 源流部の林道にて)

 ある夏、有名なフライフィッシャーのSさんと地元の川をまわる機会があった
 
 この地域は初めてというSさんに僕は寒狭川のあちこちを案内し、この川の魅力を一生懸命アピールした

 「冴えない川ですね・・・」
 ポツリとはき出された言葉で、僕は現実に戻された
 
 それはそうだろう。東北で長く過ごし、日本中の名河川を釣り歩いているSさんには、植林だらけの里山の間を流れる小さな川なんか・・・
 
 でも、このとき不思議なことに気づいた

 採石場や養魚場に囲まれた放流物ばかりのこの川が、いつしか自分にとってはかけがいのない宝物になっていることに・・・


1999 パラダイス in 能登半島


魚の写真はありません!
(しっかり観光してしまった・・・輪島の千枚田)

 「とっておきの情報がある」
 いつもにも増してもったいぶった友人の口調。これは・・・

 「タ○トループ(地元ショップ)で『スゴイ川がある』って聞いたから行ってきたんだよ。能登半島」

 あいかわらずムチャクチャな行動力である。そして・・・「土日の昼間だというのに人が誰もいないんだよ!でもってヒレピンのヤマメがワンキャスト・ワンヒット!!これをパラダイスと言わずして何を・・・(以下略)」

 翌週、総勢4人で片道6時間かけてやってきたのは小又川。そこに待っていたのは真っ茶色に濁った生活排水タレ流しのキッタネー川だった

 3人の目線が情報提供者をつき刺すが、ヤツは動じない
 「まさか、って思うだろ?騙されたと思って釣ってみなって!」

 3人が本当に”ダマされた”と確信を持つまでにそう時間はかからなかった・・・

2000

小又川リベンジ!

 友人曰く「去年は時期が悪かった」
 どうやらまだ小又川での失態を認めないつもりのようだ

 「ちょうど田植え前でドロ水が入ったんだよ。だから、今年は1週間早く行こう!」

 というわけで今年もやってきた小又川。そこには去年以上にドロ濁った川が流れていた

 「別の川行ってみよう」・・・次に山皇川という川へ。水深30センチほどの里川には、自転車やオイル缶がステキな魚礁を築いていた

 地元の老人が「わしゃここに70年住んどるが、ヤマメなぁ見たことないぞ」とありがたい言葉を掛けてくれる。しかし、今さら引き返せない

 しばらくして風がピタリと止んだ。すると・・・何とヤマメがいきなり釣れた。ほんの10分くらいで2人で4匹のヤマメを釣った
 どれも力強いファイトで、魚体も実に美しいものだった

 しかし、ふたたび風が吹き出すとぱったりと釣れなくなった
 短い夢を見たような不思議な釣りだった



ここの漁協は翌年、魚券値上げしやがりました
2001 ふたたび岐阜へ・・・



イワナたちはどこへ・・・

 2年前、例年のように予約してあったバンガローから電話があった。「来ないでください。川が大変な事になってます!」

 このときの水害は河合村にも壊滅的な打撃を与えたようで、久しぶりに訪れた小鳥川はまるで北海道の渓流のように大粒のジャリの間を流れていた

 悩んでいてもしょうがないので、とりあえず釣ってみる。と、そこそこ釣れてくれる。が、かつてのような心躍る釣りではない・・・

 今さらながらだけど、釣りはやっぱり”釣れればいい”というものではないことを実感する。いつかまたすばらしい流れを取り戻してほしいと思う

 さて、この時期の岐阜遠征の主目的は高山の「味祭り」(ちなみに友人は高山市役所に「食の祭典はいつですか?」と電話して「勝手に名前付けないでください」と言われた)。
 塩焼き、飛騨牛、地ビール・・・どれも最高においしいから岐阜遠征はやめられない 

2002 下伊那の現実

 数年前から通いはじめた下伊那地域。広大なエリアに手こずっていたところに強力な助っ人が現われた。地元の釣りクラブに所属する知人が一泊二日で案内してくれるという

 まずは飯田市内の里川。アマゴがポンポンと景気がいい。しかし「もっと釣れるところがある」ということで、より市内中心部に近い用水路のような川へ

  「んーん、確かに釣れる・・・。でも・・・水路なんだよなぁ・・・」
 そこで「もっとすごい川がある」とのことで向かった川には何やらあやしい濁りとにおい・・・

 「あ、そこ化学工場の排水入ってます」と軽く言われてしまった
 さすがに”釣れる”ということの意義を考えてしまう。おまけにチャドクガにやられ、二の腕がブツブツになってしまった

 「いくらなんでも、こんな釣りは・・・」と思いながらキャストするといきなりいい型のイワナ!
 「うぉーー!すごいぞ、この川は!」 つい夢中で釣り上がってしまった・・・

  恐るべしは釣り人の業である

 



こんなカッコで釣ってるから・・・
2003 灯台もと暗し・・・



会いたかったよぉー!

 この年はまるっきりダメだった・・・
 寒狭川でも、根羽川でも、下伊那でも・・・釣れるのは同行した友人たちばかりで、僕だけがいつもボーズだった

 ある日のイブニング、
寒狭川のいつもの支流へ出かける。以前は当たり前のように釣れたポイントもまったく反応がない
 ほとほと疲れた僕は、いつも車を止めておく親水公園の散歩道を歩きながらで自分を見つめ直していた

 「何故だ・・・渇水か、放流量か・・・いや、同行者か?」
 ”腕”だと思わないのは釣師共通の症状だろう

 そのとき、すぐ横の流れで「ぱしゃ」というサウンドが・・・

 「はぁ?こんなところで・・・ライズ?」
 ふと流れに目をやるとそこらじゅうにライズリング
 「カワムツでも釣るか・・・」軽い気持ちで出した竿に掛かったのは美しい幅広アマゴだった

 「もしかして・・・」
 釣れるのはすべてキレイなアマゴ!そこは、いつも車を止める場所(そこから200メートルくらい下流から入渓していた)のわずか20メートル上流だった

 



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