2A3プッシュプルアンプ(2005年1月29日UP)(2015年9月1日回路修正)
高校時代の失敗作をベースに
 このアンプは高校時代に作成した2A3プッシュプルアンプの部品を活用して新たに設計しなおしたものです。高校時代に製作したものは、自分で考案した回路でしたが、6BM8の三極管接続ppで2A3をドライブするという構成でした。電源トランスを2つ設けることで6BM8と2A3を直結するというあぶなっかしい回路でした。
 数ヶ月間は使用しましたが、直結回路のためか、2A3のバイアスを絶えず調整する必要があり、安心して音楽を聴くどころではありませんでした。20数年の眠りを経て、このアンプは、解体され、OPTとドライブ管は別掲の6BM8ppアンプになり、残りの部品を使って今回のアンプを作りました。(といっても2A3はソブテックの新品を購入したので、使ったのはUXソケットと電源トランスくらいなものですが)
 今回製作したものは、黒川達夫氏の「デジタル時代の真空管アンプ」にあった2A3ppアンプを参考に7308(パラ)-5678という低Rp管で構成しました。2A3の動作点は、Ep=265V,Ip=47.5mAで設計しました。グリッドバイアスは-50Vとなる設定です。
 当初は、2A3のフィラメントを直流点火する設計でしたが、整流用ダイオードの発熱が大きかったため、交流点火に変更しました。そのせいか、ハムバランサをうまく調節すれば0.5mV程度に残留雑音を抑えることができますが、電源投入直後はもう少し高めにハムが出ます。
 また、使用した電源トランスは旧タンゴのMS−360というもので、ドライブ段用の専用巻線があったので、ドライブ段は別電源としています。ドライブ段の電源回路の一部にパイロットランプを点灯させるだけのためにダイオードが配置されていますが、これは、試行錯誤のなごりです。実はこのマイナス電源を使って初段も差動回路として、5687と直結する回路で最初は製作したところ、バイアスが安定せず、現在の回路に変更したという経緯があります。安定性を省みずにチャレンジして失敗するという自分の行動は、高校時代とあまり進歩していなかったようです。(2005.1.29回路変更により、当該ダイオードは撤去)


ミュート回路を追加(2005年1月29日)
 電源スイッチをONにしたとき、2A3はすぐに温まりますが、ドライブ段が温まるまで時間がかかります。ドライブ段が温まる過程で、やや耳につくノイズが発生していましたので、リレーを利用したミュート回路を追加しました。(回路図)15秒ほど遅れて2A3の電源がONになります。
 6.3Vのヒーター電源から電源をとり、このような回路で、2A3のB電源の立ち上がりを遅らせる方式をとりました。リレーは市販のキットについていたAC100Vを制御するものなので、今回の電圧(AC230V)で使用できるという保証はありませんが、一番問題となる電源OFFの時には、大元の電源がOFFになるのが先であるという勝手な判断で使用しています。

 また、これを機にパイロットランプの電源も、試行錯誤のなごりマイナス電源を利用した方式から、ミュート回路の電源からとる方式に改めました。

NF量を増やして、位相補正を追加(2007.4.26)
 6EM7プッシュプルアンプを製作した結果、ダンピングファクタの高いアンプの音がなんとなく良い音のように感じましたので、2A3ppアンプももう少しNFBの量を多くしてみました。位相補正なしのままでは、高域にピークができ、10KHz方形波の出力にリンギングが見られましたので、位相補正として、帰還抵抗に2000pFのコンデンサを並列に接続してみました。あわせて、ドライブ段のカソードについていたDCバランス調整用のボリウムを撤去しました。


 最終的に回路図は、このようになりました。回路図-1(増幅部)  回路図ー2(電源部) 
性能的にはほぼ満足のいけるものに仕上がっています。現在、メインのシステムとして使用しております。(2007.4.26)

2015年9月1日追記:
 2段目の5687による差動回路が初段と直結になっている関係で、電源投入時に5687のカソード電位が一時的に150V近くまで上昇してしまい、5687のヒータとカソードの間でスパークが生ずることがありました。これを改善するため、タイマーによって初段のプレート電圧を電源投入から10秒ほどの間低く保つよう改善しました。改善後の電源部回路はこちらです。
   回路図-2(電源部改善後)

 タイマ用のリレーが1回路しかなかったため、別系統にしていた左右チャンネル初段の電源部が10kΩの抵抗を介してつながる形になってしまいました。しかしながら、20Hzのクロストークを測定したたころ、特に悪化はしていませんでした。

ダンピングファクタ(Rch)
周波数 D.F.
20Hz 9.17
1KHz 9.17
10K 9.17

残留雑音
0.18mV(Rch)
0.22mV(Lch)
クロストーク(RtoL)
周波数 (dB)
20Hz 測定限界以下
1KHz 測定限界以下
20KHz -94.0
100KHz -67.1





10KHz方形波出力波形(5V出力時)
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