真空管式カーオーディオ計画(2005.5.15)2005.5.29追加、2005.7.16追加
設計編その1
 いつのころからか、真空管式のカーオーディオを作ってみたいと思うようになりました。振動の問題、電源の問題など難しい条件がありそうですが、チャレンジしてみようと思います。まだ構想段階で、時間がかかるかも知れませんが進捗状況をアップしていきたいと思います。

 私の車は平成元年モデルのイスズピアッツァです。新車で購入して以来、ずーっと乗っております。この車も時代遅れのものになりましたが、真空管と同様に、使える限りは大事に使ってやろうと思います。
 チューナーやCDプレーヤーはさすがに既製品を使用するとして、残った2DINサイズの空間に真空管式メインアンプを組み込もうと思います。スピーカーは前後左右に4組あるのですが、どのみち音源は2チャンネルなので、左右1組ずつ直列つなぎにして、使用する計画です。


 カーオーディオのことはさっぱりわからないので、取り付け方や結線の方法などを、いつも車検でお世話になっている自動車整備工場の方に教えていただきました。私のくだらない思いつきに対し、親切に対応していただきました。「自作の真空管式カーステレオをつけたい」と相談するのは少しはずかしかったです。とりあえずオリジナルのカーオーディオをとりはずしていただき、現在は仮のシステム(1DINサイズ)が付いております。
電源をどうするか
 電源はバッテリーからDC-DCコンバーターで取ることを考えたのですが、電圧変動やノイズなど素人には難しそうな問題がありそうです。出力電圧が安定しているらしいので、市販のAC100Vが得られるコンバーターを使用することを考えます。そうなると、電源トランスを使うことになり、スペース的には不利になります。2DINサイズの中で利用可能な空間を測ってみると、巾180mm*高さ100mm*奥行き150mm程度の空間しかとれません。そこで電源部は独立させて後部座席後ろに配置することで解決を図ります。これにより、2DINサイズの中には真空管まわりと出力トランスが収まればよいことになり、なんとかなりそうです。

使用する真空管
 2DINサイズに納めることから、MT管が望ましいです。なるべく小さいほうが振動に対しても有利な気がします。以前、2A3ppアンプのドライブ管として使用した5687という真空管が黒川達夫氏著「現代真空管アンプ25選」という本で出力管として使用されている例を思い出しました。今回はこれを参考に5687をパラレルにし、プッシュプルで使用します。「現代真空管アンプ25選」の事例より電圧を抑え、出力は5Wくらいを目標にします。
 ドライブ管は、以前秋葉原の真空管屋さんで300円くらいで購入した5670という双三極管を使用します。5687よりさらに小さく、スペースの点でメリットがあります。

左:5670 右:5687

デザイン
 せっかく苦労して真空管を使用するのですから、やっぱり真空管が見えないと面白くありません。また、露出させたほうが、放熱の点でも有利です。5687は小さいながらヒータが明るく光るので、露出させれば、イルミネーション的な効果も十分です。しかし、操作中に手に触れてしまうようでは、危険です。そこで、フロントパネルに丸穴をあけ、そこから真空管が少し顔を出すデザインを考えました。また、真空管の交換を考慮し、フロントパネルは前面から取り外しが可能とします。また、出力管のバイアス調整も前面パネルをはずすことなくおこなえるよう、調整用のドライバの入る穴やテスタ棒をさしこめる穴を前面パネルに配置します。

現時点でのケース設計図

 最近仕事が忙しく、なかなか設計や製作の時間がとれません。本業に影響しない範囲で気長に製作したいと思います。完成はいつになるやら・・・。

電源の検討 2005.5.29)
 最近は、自動車のバッテリーからAC100V電源を取り出すインバーターが安く入手できます。近所のカー用品店で定格120W出力のものを購入しました。説明者を読むと、出力波形は正弦波ではなく、矩形波であるとのことでした。整流したときに正弦波と同じ電圧になるのか疑問がありました。また、自動車のバッテリー電圧の変動がどのくらいあるのか、それに対して整流後の電圧はどのくらい変動するのか、等設計の前提となるデータをとっておく必要があります。そこで、下図のような回路の電圧測定装置を製作して、バッテリーへの負荷変動と整流後の出力電圧の関係を調べてみました。測定装置の部品は本体に流用できるよう、ラグ板1枚に組み、ケースは100円ショップで売られていたプラスチックケースを使用しました。中学生のころ愛読していた電気工作の入門書でよく見たスタイルです。

B電源用インバータのテスト

 インバーターらの出力電圧はA-B間の交流電圧を測定し、整流後の電圧はC-D間で測定しました。また、整流後の回路の負荷も2段階に切り替えて電圧変動を測定してみました。結果は以下の通りです。AC100Vに比べて整流後の電圧が上下8%程度変動することを想定する必要があるようです。インバーターからの出力電圧が交流測定モードではバッテリー電圧の変動があっても全く変化していなにのに対して
整流後の直流電圧はバッテリー電圧の変動の影響をうけていることが興味深いです。
 また、自動車の中で測定中にカーラジオをつけるとにインバーターが発生源と思われるノイズが聞こえたので、ノイズ対策もおこなう必要がありそうです。

AC100V(実測102.5V)
(V)
バッテリー
最小負荷(V)
バッテリー
最大負荷(V)
バッテリー電圧 - 13.7 11.5
インバータ出力電圧* - 96 96
出力電圧(10KΩ負荷) 124.7 133.3
(106.8%)
115.3
(92.5%)
出力電圧(5KΩ負荷) 114 123.3
(108.2%)
106.8
(93.7%)
*インバーター出力電圧はデジタルテスタにて測定
( )内の数値はAC100V使用時に対する電圧の比率

ヒータ電源用スイッチング電源のテスト(2005.7.16)

 ヒータ電源に用いるDC-DCコンバータ(のテストをしてみました。秋月電子通商さんのキットで、出力が可変のスイッチング電源です。ボリウムを調節して6.2V程度に設定しました。6.3Vとしなかったのは、支障の無い範囲で定格より低めの電圧にしたかったからです。試験結果は以下の通り大変安定しています。エアコン、照明など他のバッテリー負荷を変動させても、出力電圧に変化は見られませんでした。これならば安心して使用できそうです。
無負荷 3Ω負荷
6.21V 6.18V
 問題点は、AMラジオで周波数によっては「ピー」という信号音が聞こえることです。FMでは聞こえません。カーラジオで信号音の聞こえる周波数を調べてみたら、以下の通りになりました。
信号音の聞こえる周波数(KHz) 上の欄との差(KHz) 信号音の聞こえる周波数(KHz) 上の欄との差(KHz)
1620 - 981 45
1584 36 954 27
1557 27 918 36
1521 36 882 36
1458 63 810 72
1404 54 774 36
1341 63 738 36
1305 36 702 36
1269 36 666 36
1233 36 639 27
1197 36 630 9
1161 36 603 27
1125 36 594 9
1089 36 567 27
1053 36 531 36
1026 27
 キットの説明書に「動作周波数35KHz」とありましたので、35KHzの高調波をひろっていると思われます。無負荷の場合には信号音が聞こえず、負荷の抵抗をつないだ状態だと信号音が聞こえます。私は運転中にあまりAMラジオは聞きませんが、何らかの対策を考えるべきかも知れません。また、35KHz自体もアンプは十分に増幅する周波数なので、35KHzの信号がアンプの信号経路に入らないよう対策が必要と思われます。

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