ACアダプタで動作する電信練習用低周波発振器の製作(2024.1.24)

 手持ちのACアダプタ(定格電圧15V)を利用して電信の練習のための真空管式低周波発振器を製作してみました。小音量ですが十分実用になりま す。


中学時代に戻って

 私が通っていた中学校にはアマチュア無線の活動を行う「技術部」という部活動がありました。(1970年代中頃です)興味があったので入部したとこ ろ、いきなりモールス符号を覚えるトレーニングを課されました。前任の顧問の先生が自作派の方だったそうで、中学生が送信機を自作するのには構造が単純な 電信が 相応しいとの方針から、このようなトレーニングを行うのが伝統となっていました。現在の趣味の原点となった部活動です。最近、久しぶりにモールス信号を 練習してみたくなり、真空管を用いて 低周波発振器を製作してみました。

回路方式

 ウイーンブリッジ型の発振回路を採用しました。この場合、発振させるためには、3倍の増幅度が必要になります。発振周波数は 1/2πCR(Hz)になります。今回は手持ちの真空管12AU7を使用して発振回路と増幅回路を構成しました。また、電源は手持ちのACアダプタを使用しました。20年 ほど前に購入したパソコンの外付けスピーカーに付属していたもので、なぜかALTEC製です。低電圧動作でも、ウィーンブリッジ型の発振回路であれば3倍 の増幅度で発振しますので、なんとかなると考えました。


 

 ウィーンブリッジ型発振回路では、出力側と入力側の信号が同じ位相である必要があります。このため、真空管1段で発振回路を組む場合には、出力信号 を反転させて入力に戻す必要があります。そこで、トランジスタ用のトランス(SANSUI ST-17A)を用いて位相を反転させて入力側に戻すことにしました。電源電圧が低いので、抵抗を負荷にするよりも有効にB電圧を利用できるメリットもあります。2段目で 発振回路からの信号を増幅しスピーカを鳴らします。出力トランスは、真空管用のものはもったいないので、手持ちの小型電源トランスを使用しま した。一次側100V二次側6V(センタータップ付き)の小型トランスがあったので、100V:3Vで使用すると、巻き線比が約33.3:1となり、イン ピーダンス比は、約1109:1になる計算です。二次側に8Ωのスピーカをつなげると一側は、約8.9kΩのインピーダンスになりますので、なんとか使用 できそうです。

 ヒータ用の12.6Vは、ACアダプタから三端子レギュレータを通して電圧を落としています。12V用の三端子レギュレータのGND端子とアースの 間にダイオードを挟み、出力電圧をかさ上げして使用したところ、出力電圧が12.7Vになってっしまったので、抵抗で電圧を下げ12.6Vを得ています。

 低電圧でも立派に働く12AU7(国産 NEC製)


どのくらいの出力が得られたか

 定格15VのACアダプタですが、負荷が軽いせいか実測では17.8Vが得られています。電子電圧計でスピーカーの出力電圧を測定したところ、 31.8mVでした。したがって出力電力は0.126mWということになります。こんな電力でも静かな部屋では約1kHzの発信音が十分に聞き取れます。 部屋で一人電信の練習をするには必要十分な音量だと考えます。発振回路のカソード抵抗をもう少し小さな値にすれば、波形は歪みますが、より大きな音を出す ことは可能です。

出力波形

ケースの設計

 ケースは、前回作成した6BX7 プッシュプルアンプに続いて、桐集成材を用いた箱型のものにしました。色もマホガニー調で揃えてあります。幅100mmのパンチングメタルを 持っていましたので、これを前面パネルに採用し内法100mm*100mm*100mmのケースを製作しました。厚さ9mmの桐集成材を使用したので、 外側では118mm*118mm*118mmとなります。電源スイッチは、内照式のプッシュスイッチ(PB61303シリーズ)を使用しました。デザイン はかっこいいのですが、接点の定格電流(DC)が0.1Aしかありませんので、リレーを介して電源のON-OFFをおこなっています。


ケース内部


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