S家用オーディオシステム パワーアンプ2号 (13EM7pp)

正面

背面
リビング用に新たにパワーアンプを作る

 リビング用オーディオシステムを納入したS家より、2階の部屋でもレコードを聴きたいとの要望を受け、もう1セット製作することになりました。2階の部屋のほうが広いので、リビング用のパワーアンプを2階に転用し、1階のリビング用に新たにもう少し小さなパワーアンプを製作することにしました。

パワーアンプ回路
 13EM7を予備分も含めて購入することができたので、今回はこれを使うことにしました。カーオーディオなどで6EM7は何度も使っているので、回路は実績のある既存の回路を基本とします。パワートランスは、ノグチPMC190Mを使用します。PMC-190Mはヒータ用巻き線に余裕があり、6.3V3Aの巻き線が3回路あります。13EM7のヒータは13V450mAですので、プッシュプルで4本使用しても1.8Aです。したがって、6.3V3Aの巻き線を2回路直列にして使用すれば、12.7Vから12.8V程度の電圧が確保できると考えて採用しました。最悪12.6Vになっても、規定の電圧13Vの96.9%ですので支障ないとと考えます。

 EL34を使用した3段構成のアンプをリビングで使用してみたところ、ゲインがありすぎ、通常ボリウムの位置が9時から10時くらいで使用されていました。EL34アンプは利得が12倍(21.58dB)ありましたので、今回は2から3倍あれば十分と考えました。したがって13EM7のみを使用した2段構成のプッシュプルアンプとします。

 回路図(増幅部)


 回路図(電源部
 

シャーシの製作

 狭い場所に設置するため、なるべく底面積を小さくするよう、2段構成のシャーシとしました。材料の2mm厚アルミ板は、指定の寸法で切り出して販売してくれる通販の会社を利用しています。側面に使用する換気用のパンチングメタルはタカチのPA-21という1mm厚のものを使用しています。プリアンプと同じ仕様のパンチングメタルを用い、統一感を出しています。増幅部と電源部を分割し、配線はコネクタでつなぐようにしました。配線がしやすく、メンテナンスにも便利だと考えます。コネクタには定格電圧MAX300V(AC・DC)のELコネクタを用いています。

上部化粧パネルをはずした状態。バイアス調整用のボリウムとテスト端子が現れます。

側面パンチングメタルをはずした状態。両側に開口があるので、シャーシ内部の換気は十分にとれると考えます。

電源部と増幅部で上限に分割できます

増幅部の配線はトランスの高さに収めています
測定
 負帰還を8dBほどかけ、利得を2.5倍程度にしました。周波数特性は下記のとおりです。高域にピークがあったので、帰還抵抗に補正コンデンサを接続して、ピークを抑えています。100kHzで-3.49dBとなっています。ダンピングファクタは1kHzで7.69、20Hzで6.67となりました。クロストークは、左右に分割した配置と左右独立させたチョークコイルのため、非常によく、20Hzから10kHzまでは測定不能なレベルで、20kHzで-83dBとなりました。
 出力対歪率特性は、私の測定環境の制約からWaveGeneの出力電圧が高く取れないため、組み合わせて使用する予定のラインアンプ入力に信号を入れて測定しました。


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