組み込みは
アルミ板厚 2mm 木枠高さ50mm(有効横幅180mm 有効奥行き280mm、有効深さ46mm)の為 結構製作は困難だった。
大型部品の配置
縦に長いシャーシーの場合大型部品の配置は決まってしまいます、ほぼ前後の中心にOUT-PUTを2個置き其の後方に電源トランス、チョークコイルを配置する、OUT-PUTの前方は出力管とドライブ管、レベル調整VR(これは無くても良いが有ると色々と便利です)
電源スイッチの置き場所・・・・一寸お洒落で感触の良いオルタネート式押しボタンSWに、接点容量の関係で主電源on/offはリレーで行っています
入出力端子類の配置
シャーシー上部に配置するスペースが無い為、周囲の木枠後ろ部分に取り付ける事にした
25E5 UL接続PPアンプの製作
令和5年に実施された豊橋地区試聴会でArito'sAudioLabさんから、
新企画の出力トランス「何方か使ってアンプ製作しませんか?」
とのお話があり、早速手を挙げて製作する事にしました。
このトランスはスクリーングリッド回路が別巻線になっている為、
スクリーングリッド電圧が低くて使い難かったテレビ用水平出力管
を使ったアンプ製作には有難いトランスです。
1 出力管の選択
手持ち真空管から25E5を選択した。
水平出力管が敬遠される原因はトッププレートで配線が面倒、プレートキャップが視覚的に目障りだと思われますが、その辺りはデザイン、装飾でなんとか成らないかと製作に取りかかった。
2 アンプの基本構成
初段は手持ち真空管の都合もあったが12AT7と2SK117カスケード接続にOPampを用いたcascomp回路で駆動し、差動回路接続により位相反転をすることにした(後に回路変更。後述)
終段の25E5ヒーター回路は4本を直列に接続しAC100Vで点灯する事にした
終段バイアス回路はArito'sLabさんが考案されCSPPアンプで実績のあるバイアスサーボ回路を採用する事にした
3 電源回路
前記の動作をさせるに必要な電源と方法
給電箇所 |
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回路 |
トランス |
終段+B電源 |
280V |
絶縁トランスの二次巻線120Vを倍電圧整流 |
絶縁トランス |
出力管スクリーングリッド電源 |
145V |
終段+BよりMosFETレギュレーターにて得る |
〃 〃 |
ドライブ球プレート電源 |
245V |
終段+Bよりデカプリング |
〃 〃 |
CascompOPamp電源 |
+8v -8v |
小型トランスAの0-6-12vをブリッジ整流して得る |
小型トランスA |
バイアス用電源 |
-40V |
小型トランスBの0-12-24V巻線の24Vを倍電圧整流して得る |
小型トランスB |
終段25E5ヒーター電源 |
AC100V |
絶縁トランスの一次電圧100Vを使用 |
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ドライブ段のヒーター電源 |
AC12.6V |
小型トランスBの二次電圧0-12Vを使用 |
小型トランスB |
その他 |
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必要に応じて適当に得る |
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電源関係の検討
電圧整流回路は倍電圧整流とし後にチョークコイルを使ったリップルフィルターとした
スクリーングリッド電源はMosFETによる簡易エリミネーター電源とした
電源トランス(絶縁トランスの改造)
今回使用する絶縁トランスPM-100WSはEI枠締め型ですが、ゴミ箱に有ったトランスのトップカバーが丁度同じコアサイズだったので再塗装して伏せ型に変更出来た。
更に、出力トランスと電源トランス(絶縁トランス)の高さを揃える為に絶縁トランスに下駄(28mm)を履かせたら、小型トランス2個がシャーシー内部に収まる。
出力トランスの余ったリード線の処理
出力トランスはリード線引き出し式になっているが、余長をトランスケース内に取り込む事が出来るからシャーシー内部がスッキリし、出力トランス下のスペースに基盤等を配置する事が出来る
シャーシーの向きとサイズ、レイアウトを検討
真空管式アンプシャーシーは横長か前後に長い縦長のレイアウトが多く、横長タイプも数多く作ったので今回は縦長にしようと検討、シャーシーサイズもホームセンターで売っているアル板 W=300 D=200 2t を使う事にした。
オークションサイトをうろうろしていたら丁度よいシャーシーが出品されていた
しかし、深さが50mm(有効深さ45mm)で見た目はスッキリしてよいが部品の収まりを考えると可也厳しい部分もある,「何とか成るだろう」と決断”ポチ” 届いたシャーシーです
横長に使った場合のレイアウト
前後に長く使った場合のレイアウト
終段管の放熱対策とプレートカバー
出力管は結構発熱量が多い為放熱対策が必要です、
一般的にはソケット周囲に通気穴を並べて配置します、
今回も出力管の前方はその方法を取りましたが、側方
及び後方は小型ファンによる強制空冷とした。強制空冷
とした理由はOUT-PUTを2個並べた場合,
その間に35mm程の隙間が出来ました、この隙間を
シャーシー底部からの通気ダクトとし使いOUT-PUTと
出力管を間に気流を作ってやる、更にその気流の一部
を出力管のプレートカバー?の中に送り込み出力管
上部から下向きの気流を作る(結果プレートカバーは
殆ど熱くならない)
通気ダクトによりプレート配線の立ち上がり、
プレートキャップ、パラ止めCRが全く見えなくなった、
出力管上部が出力トランス同じ面でフラットになった、
見た目にもトッププレート感じさせないスッキリとした
外観となった(自己満足)
尚、ファンはシャーシー内部に有り回転数は落として
あるから音は殆ど聞こえません。
シャーシー内部画像
アンプ部回路図
電源部回路図
通電テスト、最初の試聴
NFB回路を外し通電各部の回路動作特に問題無い
裸ゲインも32dB程で特に問題無い様に思えた
周波数特性も出力トランスの素直な特性が其のまま素晴らしい特性でした、試しにスピーカー繋いで聞いてみた
帯域は問題無いが、無帰還だけに音に締りが無く自分の好みでは無かった
MFBを掛ける事に
NFBを10db程掛けていろいろテストしたが
スピーカー端子に容量のみ(0.47 0.33 0.1)繋いだ場合不安定となり発振する事がある
出力トランス2次側に繋がっているゾベル(容量と抵抗の直列回路) ①0.1μ+22Ω と ②0.22μ+10Ω 計算では周波数(72khz)同じだけど①では効果無い(手持ちC.Rの都合で①の組み合わせになっていたが後に②に変更)
この不安定な発振はゾベルの周波数や帰還回路の位相補正等色々試したが解決策が見付から無い、
容量のみの負荷(0.47μ)発振に至ることもある
試しにCascompのOPアンプを外し、OPアンプソケットの+INとOUTをジャンパー線で繋いだ(カスケード回路にした)ら全く問題無く動作、アンプの裸ゲインは3dB程下がったが動作は安定している、測定データーも殆ど問題無い
此れで完成回路とした
最終測定データー
最大出力 25w 歪率5%時 8Ω負荷時 1Khz
ノンクリップ最大出力 18w 8オーム負荷 1Khz
ダンピングファクター 2.6 on/off法 1khz
歪率 1W出力時 0.28% 1khz
裸利得 20dB NFBを7.5dB
残留ノイズ 0.3mV
クロストーク R → L 、 L→ R 殆ど同じで -84dB
出力管の動作点
プレート電圧 270v
スクリーングリッド電圧 140v
カソード電流 33mA
バイアス電圧 -24v (バイアスサーボにより安定した電圧)
入出力特性
周波数特性
歪率特性
今回Arito’sLABさんのご好意により手持ち部品整理を兼ねてアンプ製作出来ました、
久し振りに製作したDEPPアンプ、このトランス使用でワイドでパワフルなアンプが出来ました
終段管の特徴でしょうか綺麗な高音域が特に素晴らしいアンプです。
ありがとうございました。
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