第9章  惰眠から叩き起こされて


 

「面倒くさい、中尉に任せる」
「それでは、奥さんに密告されるのと人生真面目に生きる、どちらが良いですか?」

 スードリの佐祐理から連絡を受けたシアンは開口一番久瀬に全部を押し付けようとして、物凄い殺気で返されてしまった。もはや毎度のやり取りに久瀬の対応も手馴れたもので、シアンに対する容赦というものがすっかり失われていた。
 郁未を出されたことで、シアンは渋面を作って白旗をあげた。

「ううう、いきなり郁未を出すのは卑怯だぞ」
「やかましいです。もう戯言は聞き飽きました」
「中尉、最近きつくなったね」

 シアンはボソボソと愚痴をこぼすと、仕方なさそうに顔を上げた。

「まあ、正式の要請だ。無視するわけにもいくまいが・・・・・・・いいのかね、アウドムラを落としても?」
「一応、マイベック准将のサインもありますし、良いんじゃないでしょうか。まあ、うちの戦力でアウドムラが落とせるかどうかが問題なんですが」
「・・・・・・まあ、そうだよねえ。うちにはジムUが教官分に、ジム改とザクUF2が16機だ。数は多いが、所詮は練習機と型落ち機だよ。せめてジム・RMが欲しいところだが」
「もしくはシュツーカですか。ジャブローでは新型のジムVの生産が始められているということですが、そいつを回してはもらえないものでしょうか?」
「ううん、前からマイベック准将に頼んではいるんだけど、中々ねえ。聞いた話だとエゥーゴのMSはかなり高性能だっていうし、やっぱ辛いよなあ」

 機体性能に差があると辛い戦いうを強いられるという事は、ファマス戦役で散々思い知らされている。ジム改どころか、ジムUでさえ苦戦を強いられたあの戦いは、連邦にとって苦戦の連続だったのだ。あの戦いをまた再現するのだろうか。

「ふむ、質で勝てないなら数で挑むしかないわけだが、さて、何処にその数があるのやら。ハワイの太平洋艦隊にアッシマーを借りるか?」
「それも手ですが、貴重なアッシマーを貸してくれるかどうか」
「ティターンズにギャプランを貸せと言うよりはマシな気がするがねえ」
「貸してくれる訳無いでしょう。まだ試作段階の高高度迎撃用可変MAですよ!

「だよねえ」

 さて、どうしたものかと悩むシアン。久瀬も手数の不足ばかりはどうにも出来ず、助言が出来ずにいる。どこかに戦力は無いものかと考えるシアンは、ふと思いついた名案に表情を綻ばせた。

「そうだ、うちには散々貸しがある便利屋部隊があるじゃないか」
「・・・・・・まさか、北川大隊ですか?」
「そうそう、北川を呼びつければ戦力はかなりマシになるぞ」
「ですが、来ますかね。あれで大尉も中々に忙しいそうですが」
「物資を分けてやれば喜んでくるだろう。それに、あいつは多分情報に餓えてる筈だ」

 北川みたいに前線でこき使われる部隊にいると、全体の情報が入らずに混乱する事が多い。愚直に任務に邁進するタイプなら良いのだが、北川のように周りの事が見えるタイプだと気になって仕方ないだろう。そういう意味では現状の纏めは北川にとって喜ばしい報酬である筈だ。
 北川を巻き込むのはどうとでもなるとして、あとは手持ちの戦力の補強だろう。せめてMSの機種を更新しておきたい。

「まあ、駄目元でもう一度マイベック准将に頼んでみるか。ジムVを回してくれれば儲けものだ。急がせれば数日で届くだろう」
「回してくれますかね?」
「今回は仕事を押し付けてきたんだ。何も寄越さない、という事は無いだろう」

 まるで取引をするような口調だが、実際田舎基地に新兵器を回してもらうともなれば、それなりの取引も必要となる。今回は「無理難題押し付けたんだから、戦力補強の為に新型機を寄越せ」と言うわけだ。
 現実的にはジムVが来る可能性は低いだろうが、ジム・RMやガンダムマークU、シュツーカ辺りなら来るかもしれない。

「まあ、マイベック准将の気前の良さに期待しよう。流石にジムUでエゥーゴの新型に喧嘩売るのはちと気が進まん」
「他力本願ですが、仕方ないでしょうねえ」

 ジムUでは心許ない、というのには賛成だったので、久瀬もその部分には素直に同意していた。

「まあ、とりあえずは出来る事をしようか。久瀬中尉」
「はい?」
「すまないが、教官全員と軍医中尉殿、パートの清掃要員を呼んで来てくれ」
「・・・・・・・・・言いたい事は分かるのですが、何かが激しく間違ってませんか?」
「仕方ないだろう、それが現実なんだから」

 シアンの返答に、久瀬は頭痛を感じて額を押さえながら部屋を後にした。残されたシアンは立ち上がると窓により、海鳴から伺える穏やかな海を見ながら小さな声で呟いた。

「もう少し、のんびり出来ると思っていたんだがなあ。平和な生活も、これまでか」

 妻と娘と仲良く穏やかに暮らす今の生活に愛着を感じていただけに、それを失うという現実認識はどうにも苦々しかった。だが、時代が再び激動の時を迎えようとしているのなら、その戦火から家族を守るために再び武器を取るしかないのなら、躊躇わずに戦いに出る覚悟は固めていた。
 ファマス戦役の頃とは異なり、今のシアンははっきりと背負っているものがある。あの頃は仕事だからで戦っていたが、今度は妻子を守るために戦う事になるだろう。

「・・・・・・やれやれ、人生、どうなるか分からないものだな」

 自らを悪鬼と呼び、FARGO内でも殺戮の使徒と呼ばれてきた試作シェイドたち。その中でも最強の白兵戦能力を持つシアンであったが、所詮は人の子ということなのだろう。守る何かが出来た途端、それまでの考えなど全て投げ打って妻子が最優先になってしまう。

 暫く待っていると、廊下のほうから多数の足音が聞こえてきた。どうやら久瀬が指示した連中を呼んできたらしい。扉をノックする音が聞こえ、中に入ってくる。

「司令、連れて来ました」
「ああ、ご苦労さん」

 振り返ると、そこにはファマス戦役で活躍した歴戦のパイロットたちが並んでいた。実は医学の心得があったので、海鳴基地の軍医をやっている鹿沼葉子中尉、基地内の清掃をしているパートの名倉由衣と氷上シュン、教官である巳間晴香少尉と里村茜中尉、名倉友里少尉である。はっきり言ってこの基地に集めるには過剰としか言えない人材だが、所詮はファマス戦役時にファマスに加わった落ちこぼれ士官である。田舎基地に懲罰人事で回されるところをシアンが呼び集めただけの事だったのだ。
 ちなみに、氷上と由衣だけは軍人ではなく、民間人である。
 集まった全員に向き直ったシアンは、わざとらしく咳払いをして事情を説明した。

「さて、諸君を呼び集めた以上、厄介で面倒な事が起きたという事は想像がつくと思う」
「・・・・・・いきなり本音で話さないでください、兄さん」

 歯に衣着せぬシアンの言い方に茜が窘めるような声を出す。もっとも、それで反省するようなら久瀬の気苦労も無いわけで、シアンはまったく気に留めていなかった。

「今回の仕事はアウドムラを奪取したエゥーゴとカラバの部隊を捕捉、殲滅する事にある。ただ、こいつらがかなり厄介のようでな。こちらもそれなりの戦力を揃える必要がある」
「それで私たちですか」

 友里が納得して頷く。確かにこの面子なら相手が余程の化け物で無い限りは勝てるだろう。だが、シアンの出した名前は、彼女らを凍りつかせるに足るものであった。

「ちなみに、敵は舞とトルク、アムロだそうだ」
「・・・・・・え?」
「冗談、ですよね?」
「生憎と、冗談じゃない。スードリは祐一や名雪を含むエース級6人に新鋭機を与えてぶつけたそうだが、見事に取り逃したそうだ。敵はかなりの数の新鋭機を揃えているらしい」

 やれやれと肩を竦めてみせる。だが、言われた方にしてみれば冗談ではすまなかった。この面子であの3人と戦えるのは茜と氷上だけなのだ。
 誰もが言葉を失っている中で、1人だけ何時ものアルカイックスマイルを消さない氷上が質問をしてきた。

「それで、僕も出るのかい?」
「そうだ、心配せんでもパートには特別ボーナスを出すぞ」
「・・・・・・そういう問題なのかなあ?」

 アルカイックスマイルに苦笑を混ぜて、氷上は引き下がった。そしてシアンはモニターに近辺の地図を映し出すと、簡単に作戦を説明しだした。

「とりあえず、我々はアウドムラに先制攻撃をかける。奴らが直接こちらに来るか、あるいは香港辺りに逃げ込むかはまだ分からんが、どっちにしてもこの近くには来る筈だ」
「もし来なかったら。海鳴を迂回して香港に入る事もアウドムラならば不可能ではありませんよ?」

 茜の質問にはシアンではなく、久瀬が答えた。

「その時はスードリの追撃隊が追いつくさ。後は近隣部隊を糾合してアウドムラを叩き潰す」
「まあそういうことだ。奴らも余り時間が無い事くらいは分かってるだろう。だから、俺は真っ直ぐにここに来ると思う。北京に直接行くにせよ、香港で一息入れるにせよ、海鳴の傍を通過するのはほぼ確実だと思う・・・・・・ただ・・・」

 そこでシアンは一旦言葉を切り、なんとも疲れた溜息をついた。

「俺と久瀬中尉は、連中は最初に北京を目指すと考えたんだがなあ。まさかヒッコリーに向かうとは。俺たちが深読みをしすぎたのか、向こうがこちらの思考を読んだのか」
「いえ、多分川澄さんたちのことですから、そこに発射基地があるからそこに向かったんでしょう」
「カラバもそこにシャトルを準備してたんだから同レベルって事だよなあ」

 久瀬のツッコミにシアンはますます情けない気持ちになってしまった。我が義妹のことながら、こうも頭が悪かったとは。機動艦隊時代には特に舞に戦術関係の訓練は行っていなかったのだが、こんな事なら少しは教えておくんだったと後悔していた。
 だが、落ち込むシアンに茜が呆れた声をかけた。

「あの、兄さん。一応今の舞は敵ですし、弱いのならそれは問題無いのではないでしょうか?」
「まあそうなんだけどさ。こう、身内の恥と言うかねえ」
「まあ、それは分かりますが」

 茜にしてみても、自分の姉妹とも呼べる女性が馬鹿だったということが実証されて嬉しいわけが無い。
 なにやらどっぷりと暗くなっている試作シェイド兄妹は放って置いて、久瀬が実務的な話をし始めた。

「まあ、敵はカラバに奪取されたガルダ級超大型輸送機のアウドムラだ。空中戦がメインになると思うから、みんなそのつもりでいて欲しい」
「それは構わないですけど、足はどうするんですか?」
「そうですよ。この基地にはドダイ改はそんなに沢山ありませんよ?」

 名倉姉妹が疑問を口にする。久瀬はそれを聞いてふっと口元に笑みを浮かべた。

「その点なら心配は無い。流石にSFSの要請くらいはすぐに受理されてね。東京基地から充分な数が送られてくる事になっている」
「・・・・・・さすが久瀬大尉、相変わらず手際が良いですね」
「ふっ、この基地に来てもう2年、要領も良くなるさ。と言うより、良くないと基地の運営が色々とね」

 久瀬隆之、シアン・ビューフォートに望まれてやってきたこの海鳴の地で、人生というものの辛さをしっかりと体験していたりする。駄目な上官を持つと、下は悲しいほどに苦労を強いられるのだ。何気に胃薬の量も増えていたりする。

「・・・・・・休み、欲しいなあ」

 ボソリと呟いた一言が哀れすぎて、誰もが引き攣った笑みを浮かべる事しか出来なかった。
 まあ、とにかく海鳴基地司令部の意思はアウドムラ迎撃で固められていた。そして、そのための準備が着々と進められる事になったのである。

 

 

 そして、シアンに補給を要請されたマイベックは渋い顔をしながらその要請書を指で弾いた。

「まあ、仕事を押し付けたのは確かに私なんだが、こいつはちと欲の皮が張りすぎてないか?」

 そこに明記されていた補給項目には、なんとも横着に「即戦力になるMSを10機ぐらい送って欲しい」と書いてあったのだ。機種の選定をこっちに押し付けたわけだが、これで使えない機体を送れば自分への信頼が揺らぐ事になるだろう。そして、マイベックにとってシアンは頼りになる同僚であり、友人であった。だから、多少の無理は聞いてやろうと考えてしまうのだ。

「しかし、即戦力になるMSねえ。ジャブローで作ってる機体を回せばいいのだろうが・・・・・・」

 パイロットはあそこに幾らでもいるので送る必要は無い。つまり、機体さえあれば良いのだが、さて、どうしたものか。
 しばし悩んだマイベックは、中々の名案と思える事を思いつくと、内線電話を取り、部下に幾つかの事を指示した。
 そして受話器を戻すと、マイベックはなんとも言えない笑み、そう、彼には似つかわしくない、まるで悪戯を楽しむ子供のような笑みを浮かべて呟いた。

「シアン、とりあえず、戦力はノシ付きで送ってやるぞ。これで負けたら言い訳は聞かんからな」

 クックック、と怪しげな笑い声をもらすマイベックに、部下たちは心底震え上がっていた。普段は毅然としていて真面目な防御指揮官に、一体何があったのだろうか?


 しかし、ジャブローの防御指揮官が自分の一存で戦力を勝手に送ってしまっていいのだろうか。まあ、この時期の連邦軍は艦長や指揮官の一存で兵器を引き渡す事があるので、珍しい事ではないのかもしれないが。

 

 

 そして、地球で騒ぎが起きている頃には、宇宙でもエゥーゴとティターンズの戦闘が続けて発生していた。月を拠点とするエゥーゴとグリプスを拠点とするティターンズは互いに数隻程度の小艦隊を編成して遊撃戦を展開し、制宙権を確保しようとしていたのだ。これが一段落すれば双方の境界線のようなものが成立するだろう。


 ティターンズ側はアレキサンドリア級1隻にサラミス改級3隻という標準的な戦隊編成で月を目指し、サイド5の近くでアーガマ級1隻、アイリッシュ級1隻、駆逐艦5隻のエゥーゴ艦隊と激突したのだ。双方とも艦隊戦から距離を詰めてMSを出すというオーソドックスな戦闘を開始したのだが、この戦いはエゥーゴが優勢に戦いを進めていた。アーガマに座上するブライト大佐は砲力の優位とMSの数にものを言わせてティターンズ艦隊を最初から押し切ろうとしたのだ。

「MS隊をアレキサンドリア級の正面からどけさせろ。ハイパーメガ粒子砲、発射準備。一気にケリを付けるぞ!」
「艦長、あれを使うんですか?」
「この間のドック入りで折角載せたんだ。使ってやらないとな」
「了解、ハイパーメガ粒子砲、発射準備!」

 アーガマの艦体下部に装備された最強の艦載砲、開放型のハイパーメガ粒子砲が艦内からせり出し、アレキサンドリア級の特徴的な艦影に狙いを付ける。それに気付いたアレキサンドリア級は慌てて回避運動に入っているが、これは直撃しなくても至近弾でかなりの被害を与えられる。 
 そして、エネルギーチャージに入ったところでレーダー手が叫んだ。

「上方より敵機4機、来ます!」
「迎撃機はどうした!?」
「ネモ2機が向かっています!」
「防ぎきれんな。対空砲火、敵機を通すな!」

 ブライトの指示で対空機銃が上方に向けられ、レーザーの弾幕を張る。やってきたのは1機のガブスレイと、3機のマラサイであった。うち2機は対艦用と思われるバズーカ装備だ。それに向かって2機のネモがビームを放つが、これは無茶な勝負であった。ガブスレイを駆るのは歴戦のティターンズパイロット、ベイト大尉だった。

「来やがったな。エゥーゴのくそったれどもが。全機、狙いはあの白い艦だ。ネモなんかに落とされるなよ!」

 ベイトはMS形態でアーガマに挑んだ。それに続く形でマラサイも突入してくる。ネモがビームライフルを撃ってくるが、たかが2機の張る弾幕に落とされるようなベイトではなかった。

「邪魔するんじゃねえよ。雑魚どもが!」

 ベイトはフェインダーライフルを構えると、ネモめがけて発射した。並みのライフルよりはるかに射程の長い強力なフェインダーライフルの直撃に耐えられるMSなど、Iフィールドバリアを持つGランサーなどぐらいだろう。狙われたネモは直撃を受けて受け止めたシールドごと吹き飛ばされてしまった。もう1機のネモもマラサイに仕留められており、アーガマを守るものはこれで対空砲火だけになってしまった。

「ネモ隊、殺られました!」
「くそっ、前の会戦で出てきた新型か!」
「対空砲火、撃ちます!」

 全ての機銃と砲を上方に向けて対空砲火を撃ちまくるが、1隻の張る程度の弾幕ではMSを食い止められないのは常識だ。難なく弾幕を突破したガブスレイとマラサイはアーガマに全ての火器を叩き込むと、そのまま一撃離脱で駆け抜けていった。放たれたビームは大半が防御スクリーンに弾かれていたが、バズーカ弾とフェインダーライフルの一撃はアーガマを捕らえていた。フェインダーライフルの一撃は防御スクリーンを抜ける際にかなり減衰しているので、装甲を撃ち抜くには至らなかったが。
 攻撃を受けたアーガマのほうはまさに満身創痍で、ブライトが必死に対処指示を出していた。

「隔壁を降ろせ。被弾区域にいる者は急いで退避しろ。間に合わなかった者を待つ必要は無い。隔壁閉鎖後、消化剤を充填!」

 アーガマはこの攻撃で戦闘力を半ば喪失してしまった。主力艦が欠けた事でエゥーゴの動きに乱れが生じる。ベイトは仕事は済ませたとばかりに逃げに入ろうとしたが、背後からリックディアスとネモが追いかけてきていた。

「はっ、旗艦を叩かれて流石に怒ったらしいな。でもまあ、俺たちが付き合う理由はねえんだよ!」

 ベイトは加速を生かして逃げ始めた。マラサイも直線的に逃げるなら追いつかれる事も無い。だが、彼らを容易く逃がしてくれるほど、アーガマのパイロットは甘くなかった。

 横合いからの突然の攻撃に、ベイトは慌てて回避運動に入る。

「な、なんだ、追いついてきた奴がいるのか!?」

 捉えた機影からコンピューターが敵機の情報を弾き出す。それは、先の第1次月面攻防戦においてエゥーゴが投入してきた新型可変MS、Zガンダムだった。

「ちっ、新型かよ!」

 MA形態のまま機体を翻し、フェインダーライフルを放つが、Zガンダムは難なく躱して距離を詰めてきた。そのままMA同士で交差する。

「やるな、こいつ!」

 ベイトが知るはずもなかったが、そのZガンダム駆るのは先の会戦でいきなり撃墜スコア6機を上げ、エースの仲間入りを果たしているカミーユ・ビダン少尉であった。

「よくもアーガマを!」

 ウェイブライダーモードからMSモードに変形したZガンダムがロングビームサーベルを抜いて斬り付けるが、ガブスレイはMAモードのままで格闘戦には乗ってこなかった。マラサイ部隊は可変機同士の戦いを無視してさっさと逃げに入っているし、まともに戦うつもりは無いらしい。
 カミーユは逃げるガブスレイを追撃しようとしたが、それをブライトが止めた。

「もう良い、戻れカミーユ」
「ですが、やられっぱなしじゃないですか!」
「敵も退いていく。これ以上怪我をする事は無い」

確かにアレキサンドリア級が退いていくのが見える。どうやらMSを少々失った程度で引き上げたようだ。
カミーユは疲れた顔で逃げていくティターンズ部隊を見やり、少し苛立たしげに呟いた。

「こんな戦いを、何時まで続ければいいんだ」

 こんな小競り合いはこの数日で10回以上も発生している。お互いに譲るつもりが無いから互いに全力を出してしまうが、大怪我をするわけにもいかないからお互いに少し戦った程度で引き上げてしまう。理由は簡単だ。エゥーゴにしてみれば月の防衛力を余り落とすわけにはいかない。ティターンズにしてみれば戦力を減らせば連邦との勢力争いに負けてしまう。互いに理由はあるのだ。
 それに、今回はこの戦いを黙って静観していた艦隊があった。エゥーゴとティターンズの双方を合わせたよりも強力な艦隊が戦場から離れた所で暢気に見物などしているのだから、違和感が拭えないだろう。

 

 戦闘が終わったのを見て、静観していた緊急展開軍とサイド5駐留軍の艦隊も引き上げるかと思ったのだが、意外にもこの艦隊は引き上げようとはしなかった。緊急展開軍の部隊の司令官であるバーク准将は興味津々という表情で逃げていくエゥーゴ艦隊を見ている。

「噂の新型機まで出してきたか。あの艦は前に地球軌道で見事に逃げ切った艦だな。確か、アーガマとか言ったか」
「どうします、一戦、交えますか?」

 部下の問い掛けに、バークはしばし考えた。彼の手元には巡洋艦6隻、駆逐艦16隻がある。エゥーゴ艦隊を撃破するには充分な戦力だ。そして、バークはどちらかというと好戦的なタイプであった。

「そうだな、1当てしてみるか」
「では、艦隊を前進させます。ティターンズにはなんと?」
「何も言わなくていい。我々の仕事はあくまで世間を騒がす馬鹿どもを掃除する事なんだからな。あいつらの指図で動いてるわけじゃない」
「まあそうですが」

 後で問題になりはしないかと不安げな部下だったが、バークは命令を撤回する事は無かった。そして、緊急展開軍は前進を開始したのである。


「どういうつもり、バーク准将を呼び出しなさい!」

 サイド5駐留軍を率いていた七瀬大尉が驚愕している。自分たちの仕事は戦闘がサイド5宙域に及ばないように監視する事だったのに、バークはその一線を踏み越えようとしているのだ。
 サイド5駐留軍の艦隊は巡洋艦1隻、駆逐艦4隻の小艦隊であり、実力でバークを止めることは不可能だ。通信兵が七瀬の指示でバークの旗艦コールドウェルを呼び出すが、相手からの返答は無かった。それを聞いて、七瀬が歯軋りする。

「この私も舐められたものね」
「どうしますか、大尉?」
「・・・・・・仕方ない、フォスターUに戦闘開始の報告は入れておいて。艦隊はこの場で待機。私はMSで出るわ」
「バーク准将の方は、よろしいので?」
「止めて聞くような相手じゃないわ。このまま敵を叩ければいいけど、負けた時は援護しなくちゃいけないでしょう?」

 七瀬の声には諦めと苛立ちが混じっていた。彼女にはバークの心情が手に取るように分かる。要するに、彼は戦いたいのだ。エゥーゴとティターンズが凌ぎを削るこの状況で、黙って静観しているのが我慢できなかったのだろう。
 七瀬は艦に積まれていたエクスカリバーVに乗ると部下2機とともに戦場へと向かった。負けるとは思わないが、万が一と言う事もある。あの艦隊には、かつてのサイレンメンバーはいないのだ。

 


 エゥーゴ艦隊は接近してくる連邦艦隊に気付き、罵声を発した。

「くそっ、黙って見ているのもおかしいとは思ったが、こういう算段だったのか!」

 ブライトは傷ついたアーガマを下がらせつつ、アイリッシュと駆逐艦5隻で防衛線を敷かせた。そして月と周辺宙域に増援を要請する。敵の数は20隻を超えているが、こちらには戦艦があるし、MSの性能では勝っているはずだ。

「敵は旧式機が中心のはずだ。恐れる事は無いぞ!」

 主力機をネモとリックディアスに移行しつつ、高級機として百式改の配備を進めているエゥーゴMSの性能は全般として連邦軍機を上回る。未だに第2世代MSへの転換も進んでいない連邦など、数ほどには恐れる必要は無いのだ。
 連邦軍から出撃してきたのは大半がジムUとジム・FBだったが、中には数える程度のジムVが混じっていた。いよいよ連邦も第2世代MSの運用を開始しだしたのだ。
 数で勝る連邦だったが、その数はMSの性能差を覆せるほどのものではなかった。パイロットの技量でもエゥーゴが勝っていたのも大きい。激突した両軍はたちまち消耗戦に突入したのだが、損害は圧倒的に連邦側が上回っていた。
 味方の不甲斐なさにバークが歯軋りして悔しがる。

「何をやっているのか!?」
「敵の戦力はかなり強力です。我々だけでは苦しいのでは?」
「あの程度の数にか。地球軌道では圧倒していたではないか!?」
「あの時とは陣容が違いすぎます。MSの数も敵の2倍に達していません!」

 地球軌道会戦では秋子はエゥーゴの迎撃隊の実に3倍以上のMSを揃え、更に精鋭である天野大隊や旧サイレンメンバー、更に切り札とも言えるしおりん軽騎隊まで投入していた。あの時は圧倒できたが、今は敵の6割り増し程度、パイロットも並程度の者ばかりだ。バークは自分の目論見が甘かった事を認めるしかなかった。

「砲撃できないか?」
「MSは既に乱戦になっています。これでは味方撃ちになります!」
「ぐぐぐ・・・・・・」

 バークは悔しさに歯軋りしたが、それで状況が変わるわけではない。それどころか、アイリッシュが主砲を撃ってきた。

「敵戦艦、発砲しました!」
「幾ら戦艦とはいえ、この距離で当たるものか。脅しだ!」

 バークの言う通り、そのビームはかなり離れた所を通過していった。だが、エゥーゴの光学照準技術はかなり進んでいるらしく、2射目、3射目はより近い所を通過していった。

「提督、敵艦の砲撃は精度を増しています!」
「この距離でか。大したものだな」

 悔しいが、エゥーゴは自分の想像よりかなり強かったようだ。巡洋艦と駆逐艦だけで来るべきではなかった。些か遠いのを承知でこちらも撃ち返すが、新鋭戦艦と旧式巡洋艦とでは有効射程に差がありすぎた。有効弾を出す前に逆に直撃を受けて2隻が中破させられている。
 そして、絶望的な報告がもたらされた。

「リモン大尉戦死!」
「リモンが!?」

 バークの顔色が変わった。リモン大尉はMS隊の指揮官であり、彼が死んだら前線の統制が出来なくなる。このままではMSを1機残らず殲滅されかねなかった。

「信号弾を上げろ。MSを撤収させる!」
「提督?」
「残念だが、こちらの負けだ」
「・・・・・・分かりました」

 コールドウェルから信号弾が上げられたのを見て、七瀬は小さく舌打ちした。

「バーク准将、引き際を誤ったわね」

 七瀬は仕方なく前線に突入して行った。こうなったら自分があの乱戦からMS隊を下がらせるしかない。

「馬鹿騒ぎを止めさせるわ。続きなさい!」

 七瀬のエクスカリバーVが加速し、少し遅れて部下のジム・FBも続いた。乱戦に飛び込んだ七瀬は接近してくるネモに気付き、苛立たしげに怒鳴った。

「今の私は虫の居所が悪いのよ。死にたくなかったら出てくるんじゃない!」

 オールドタイプでありながら舞とさえ互角に渡り合う七瀬の実力は凄まじい。ビームライフルを撃ってくるネモの懐に飛び込んと、未だに最強の近接戦装備と言われる有線メガビームサーベルを抜き放ち、そのネモを真っ二つにしてしまった。
 七瀬のエクスカリバーVは目立つので、周囲のパイロットたちはすぐに気付いた。

「な、七瀬大尉?」
「あんたたち、早く統制を回復させて退きなさい。この戦いは負けよ!」
「は、はいっ」

 七瀬に言われて、バーク艦隊のMS部隊はいそいそと統制を回復させていった。七瀬の細かな指示の威力も大きい。やはり、指揮官の能力の優劣は戦闘に大きな影響を与えるのだ。
 七瀬が状況を変えているのはエゥーゴのパイロットたちにも分かっていたのだが、挑みかかった3機がまるで歯が立たなかったことで手を出しかねていた。中にはこいつがあのサイレンのナンバー2だった「血塗られた戦乙女」七瀬留美の使うエクスカリバーVだと気付いた者もいる。要するに、ファマス戦役に参加したパイロットは怖くて手が出せないのだ。
 だが、この場にはファマス戦役に参加していないエースパイロットがいた。Zガンダムがロングビームライフルを撃ちながら突撃していく。

「こいつ、邪魔なんだよ!」
「新型ね・・・・・・度胸は認めてあげるわ」

 七瀬は左腕のビームキャノンを向けると、トリガーを引き絞った。ビームライフルほど取り回しの良い武器ではないが、射程と破壊力では充分通用する凶悪な武器だ。カミーユはそれを回避すると、ロングビームライフルからビームサーベルを出して斬りかかった。
七瀬もメガビームサーベルでそれを迎え撃つ。衝突したビームの刃が拮抗するのを見て、七瀬は軽い驚きを覚えた。

「へえ、こいつと斬り合えるんだ。さすが最新型」

 感心する七瀬。その時、相手のパイロットが近距離通信で話しかけてきた。

「貴方は、どうして連邦に味方するんだ!?」
「・・・・・・何が言いたい訳?」
「貴方だって分かってるはずだ。今の連邦は間違ってるって!」
「間違ってるから、こんな戦争起こして正そうって訳!?」
「いけないですか!?」

 七瀬はふつふつと込み上げる怒りを感じていた。ジオンにもこういう連中は大勢いた。そして、こういう事を言う連中は兵士を幾らでも死地に送り込む事が出来る人間だった。屍の山を築いて、恥じない人間だった。

「そんな理由で戦争初めたっての?」
「それじゃ悪いのかよ!」
「あんた、戦争をなんだと思ってるわけ。ムカつくから喧嘩すると同じレベルでやられちゃ迷惑なのよ!」

 七瀬は本気でエクスカリバーVを動かし始めた。メガビームサーベルが続けて振るわれ、カミーユが必死にそれを受けていく。

「戦争ってのはね、人が死ぬのよ。それが分かっててやってるの!?」
「そんな事、知ってるに決まってるだろ!」
「・・・・・・そう、なら、遠慮はいらないわね」

 怒り混じりの七瀬の攻撃は凄まじい。カミーユが防戦一方に追い込まれるほどの強さを見せている。カミーユが危ないのを見て他のエゥーゴMSも加わってきたが、七瀬の部下2機が加わった事で小規模な部隊戦闘になってしまった。もっとも、七瀬に挑んだ奴はほとんど勝負にならなかったのだが。

「くそっ、こんな旧式に!」

 カミーユは旧式呼ばわりしているが、エクスカリバーVは外見はそのままでも幾度かの改装を受ける事で第一線機としての性能は充分すぎるほどに有してはいるのである。ゴータ・インダストリーの試作機としての役目は未だに続いているのだ。
 僅かに距離をとって右腕のグレネードを放った。2発のグレネードが至近距離からエクスカリバーVを襲うが、上半身に備えつけられているマシンキャノンがそれを破壊してしまった。
 七瀬はカミーユの強さは認めていたが、その経験の浅さを見抜いていた。

「中々やるけど、まだまだね。ただ反応が早いだけだわ。多分NTなんでしょうけど、その程度じゃ私には勝てないわよ」

 余りにも凄すぎる七瀬。カミーユが弱いわけではない。七瀬が強すぎるのだ。伊達にサイレン時代、シアンが自分の次席に据えた訳ではない。その実力は3年の月日を経てなお落ちるどころか、更に伸びていた。
 逆にこんな化け物を怒らせてしまったカミーユは、まさに人生最大の危機に直面していると言える。総合的な機体性能はZガンダムの方がはるかに勝っているのだが、近距離での戦闘に関しては必ずしもそうではない。元々、近距離戦では敵無しを考えて作られた攻撃型MSなのだ。伊達にファマス戦役最強MSの1つに数えられてはいない。

 だが、七瀬の怒りの猛攻も、バーク艦隊のMS隊が通信を寄越してくるまでであった。

「七瀬大尉、乱戦からの撤退が完了しました、大尉も早く!」
「・・・・・・・・・分かったわ」

 七瀬はメガビームサーベルを下げると、Zガンダムから距離をとった。部下の2機もそれに続いて下がっていく。幾ら熱くなっていても、状況を忘れるような七瀬ではなかったのだ。逆にカミーユは勝ち逃げされるのが許せないらしく、突っ掛かってきた。

「逃げるのか!?」
「・・・・・・命拾いしたと思うのね。次に会うまでにもっと腕を磨いておきなさい。今の君なら、確実に勝てるわ」

 はっきりとした実力差を見せ付けた上でのこの台詞に、カミーユは腸が煮えくり返って言い返すことさえ出来なかった。事実、もし戦いがもう少し長引いていたら、自分は殺されていたに違いない。
 悔しさの余り、カミーユは両手を握り締めてコンソールを殴りつけた。自分が設計に関わったこのZガンダムで、あんな旧式機に負けた悔しさがカミーユのプライドを傷つけていたのだ。

 もっとも、七瀬がカミーユに負けたとしたら、恐らく驚いた者の方が多かったに違いない。元サイレンのメンバーだった七瀬の実力は、恐怖とともに伝わっていたのだ。

 

 緊急展開軍は、バークの勝手な動きによって一方的な敗北を喫してしまった。言うなれば泥を塗られたわけで、エゥーゴはこの勝利を声高に喧伝して回っている。事実であるだけに連邦軍としては言い返すことも出来なかった。
 バークはこの件に関して秋子の呼び出しを受けた。相当の叱責、場合によっては解任も覚悟していたバークだったが、秋子は何時もの笑顔を消しているだけで、別段叱責したりはしなかった。ただ、その笑顔が消えているだけでバークは物凄い恐怖を味わっていたのだが。
 しばし無言で向かい合っていた2人だったが、ようやく秋子が口を開いた。

「・・・・・・准将、相手があることですから、負けるのは仕方がありません。ですが、こういう負け方は最低です」
「はっ、申し訳ありません!」
「・・・・・・1度のミスは経験として認めましょう。ですが、2度と同じミスは許しません。覚えておきなさい」

 秋子の脅し混じりの駄目押しをされてバークはすっかり萎縮して下がっていった。そして、バークに変わって今度はオスマイヤー少将が入ってくる。

「中々にきつい事を言ったようですね。あのバークがしょげてましたよ」
「たまにはいい薬です。バーク准将は優れた指揮官ですが、いささか血の気が多すぎますから」

 秋子にしてみれば、勝手な事をされて戦力を磨り減らされては堪らないのだ。何しろ精鋭中の精鋭6人を地球に降下させているのだから。今の段階で余計な騒動を抱え込むのは、はっきり言って困るのである。

「エゥーゴと事を構えるのは、戦う準備が整ってからにしてもらいたいものです」

 近い将来に起きるであろう戦乱を予想し、秋子は誰にとも無く呟いた。この言葉はすなわち、秋子には戦う意思がある事を示している。
 連邦が本格的に介入する日、それはすなわち、この状況が動く時なのだろう。



人物紹介

アーレイ・バーク 40代前半  准将
 一年戦争生え抜きの艦隊司令官。ファマス戦役ではモースブラッガーらとともに高速部隊を率いて活躍していた。ファマス戦役後は秋子の下で分艦隊を率いており、攻勢における強さには定評がある。だが、やや猪突の傾向があり、用兵の柔軟さに欠けてもいる。


カミーユ・ビダン  15歳  少尉
 30バンチ事件で連邦への反発を覚え、エゥーゴに走った血気盛んな少年。強力なNTであり、MS開発の能力まで有している。だが、その若さから失敗も多く、経験不足も目立つ。
 3機作られたZガンダムの1機を与えられているが、今はまだその性能に助けられているところが大きい。



機体解説
MSZ−006 Zガンダム
兵装  ロングビームライフル
    ビームサーベル×2
    グレネードランチャー×2
    頭部60mmバルカン×2
    ハイパーメガランチャー
<解説>
 カミーユ・ビダンの基礎データを基にアナハイムが開発したTMS。Z計画の到達点の1つでもある。第3世代に分類される極めて強力な機体。その変形機構はまさに画期的なもので、TMSとしてはかなり堅牢な機体構造となっている。ウェイブライダーモードと呼ばれる巡航形態は大気圏突入能力さえ有し、あらゆる戦場に急行可能な万能MSでもある。
 だが、これ1機でリックディアス5機が作れるとまで言われるコストは致命的であり、試作3機で本機の製造は中止されている。しかし、本機の開発そのものは継続され、後にZシリーズと呼ばれるファミリー機群を生み出す事になる。
 それらはやがてZU、Zプラスといった実用機から、レイピアなどの愚弟を生み出すに至る。

RX−110 ガブスレイ
兵装  フェインダーライフル
    ビームカノン×2
    ビームサーベル×2
    80mmバルカン×2
<解説>
 パプテマス・シロッコの擁するジュピトリスの研究チームが連邦工廠に技術提供をしたことで完成した可変MS。ティターンズで運用されているが、開発ナンバーが示す開発拠点はルナツー工廠である。生産は主にグリプスで行われているのだが、ルナツー工廠でも少数が生産され、連邦第1艦隊に実戦配備されている。主砲であるフェインダーライフルは現用MSの通常兵装としては最大の射程を持つビーム砲である。
 非常に高性能でありながらコストはそれなりで済んでおり、ティターンズの可変MSのスタンダードの地位を築きつつある。


GTS−03−4 エクスカリバーV
兵装 有線メガビームサーベル
   ビームキャノン
   ビームサーベル×2
   マシンキャノン×2
   頭部60mmバルカン×2
   ミサイルランチャー×2
<解説>
 ゴータ・インダストリーの試作機であるエクスカリバーVは、七瀬の愛機となったあとも数度に渡る改装を受けている。その結果、旧式機でありながら本機は第一線でも充分通用する恐るべきMSとなっている。ゴータ・インダストリーが開発中の量産機、攻撃型MS「スキーマー」の為にさまざまなデータを提供しているありがたいMSである。



後書き
ジム改 ついにカミーユ登場。でも七瀬にボコボコです
栞   弱いですねえ。所詮は切れるだけが売りの貧相キャラですか
ジム改 一応、君より強力なNTだから、経験を積めば強くなるよ
栞   でも、珍しいですねえ。秋子さんの部下、負けちゃいましたよ
ジム改 そりゃ、今回は敵の5割り増し程度のMS数だからねえ
栞   これまではわりと圧倒してたような
ジム改 だって秋子さん主導の作戦だと、敵の2倍以下の数で戦った事無いもの
栞   ・・・・・・言われてみれば確かに。何時も平然と数百機揃えてましたね
ジム改 だから秋子さんは負けないんだよ
栞   鬼です、悪魔です、弱い者苛めです!
ジム改 ええい、煩い。戦いは数だよ
栞   でもまあ、言い換えると同数じゃあ連邦は勝てないんですね
ジム改 MSの世代交代が遅れてるからねえ。やっとジムVの配備が始まったばかりだし
栞   金持ちなのに、情けないです
ジム改 連邦は少数精鋭じゃあないから、装備の更新には時間がかかるんだよ
栞   でも、一度動くと怖いんですよね。
ジム改 まあねえ。あっという間に新型機がわらわら出てくるだろう
栞   エゥーゴはついにZ、ティターンズはガブスレイ、で、連邦はなんです?
ジム改 さあ?
栞   え?
ジム改 連邦に可変機、アッシマーならいるけど
栞   ま、まさか、本当に可変機は無いんですか?
ジム改 エゥーゴやティターンズと同じ路線を行く必要は無いしなあ
栞   そんな理由ですか!
ジム改 冗談だ。ちゃんと連邦なりの理由はあるw
栞   本当ですかぁ?
ジム改 その内秋子さんが語ってくれるって