107章  マイベックの帰還


 

「船団は輸送艦の半数以上を撃沈、ないし大破されて作戦は失敗、護衛部隊も3割以上の損害を出し、指揮官のフォッシュ少将は旗艦と共に戦死ですか。困りましたねえ」

 報告を受け取った秋子は右手を頬に当ててどうしましょう、とばかりに首を傾げていたが、穏やかな表情とは真逆に身体からは強烈な怒気が迸っていて、司令長官オフィスに揃っていた幕僚たちは全身から脂汗を流しながらそのプレッシャーに耐え続けるという苦行を強いられていた。
 秋子が声を荒げて怒りを露にする、という事は滅多に無い。ここ最近ではティターンズが裏切った時くらいだろうか。普段の彼女は表情を変えずに、穏やかな表情のままで怒っているのだ。1年戦争以来秋子の参謀長を勤め続けてきたマイベックならこの程度のプレッシャーはさらりと流すだろうが、まだ付き合いの短い彼らには少々厳しいらしい。
 そんな中で流石にジンナ参謀長は慣れて来たのか、咳払い1つでこの空気を払ってどうするのか対応を尋ねた。

「それで閣下、これからどうなさいますか。T2船団の壊滅はそのまま輸送計画の崩壊を意味します。輸送艦も護衛艦も何処からか引き抜いてこないといけませんからな。とりあえず輸送艦の不足は民間船の徴用で補うつもりですが」

 とはいえ、民間船は軍用のコロンブスに比べると積載量、速度性能などの面で大きく劣る。基本的に民間船は経済速度を優先し、積載量も自分の仕事に必要な程度、という量があれば十分だからだ。勿論コロンブス以上に大量の物資を運べる船もあるのだが、そういう船は大抵船足がとても遅い。徴用船で船団を組むと船足が全然揃わないので、指揮する指揮官と護衛する艦の艦長たちの苦労は並大抵の物ではなくなるという問題がある。民間船の船長はとにかく我侭な人物が多く、勝手に動きたがる傾向があるので、彼らを統制するのは一苦労なのだ。
 そういう問題があるのでこれまで徴用船の投入は避けられていたのだが、もうそんな事は言っていられない。不利を承知で連邦は民間船の徴用に踏み切る事にしたのだ。

 ジンナに問われた秋子はじっと参謀長の顔を眺めた後、肩の力を抜いて背凭れに体を預けて大きく背を伸ばした。

「そう……ですね。とりあえず、航路上の邪魔者を片付けないと話が進みそうもありません」
「では、狩りだしでもしますか?」
「ええ、そうするつもりです。ハンターキラーの用意をしてください。私は必要な人材を呼び寄せますから」
「必要な人材?」
「ええ、この手の仕事の名人が地球で働いてますから、コーウェン将軍にお願いしてこちらに回してもらいます」

 マイベック・ウェストを秋子は地球から呼び寄せる事にした。地上も大変かもしれないが、今彼が必要なのは宇宙なのだ。ファマス戦役でファマスの通商破壊戦を撃退して見せた彼の手腕を今一度発揮してもらわなくてはならないだろう。ついでに1年近く地上においている祐一達にも戻ってきてもらうとしようか。シアンも呼び戻せれば人材的な問題も大分楽になる。

「連邦の横っ面を引っ叩いてくれたんです、相応の礼はしないといけませんよね」
「あの、水瀬提督、一体どれだけの戦力を投入するつもりですか?」
「それは勿論、呼び寄せた責任者が必要とするだけです。ジンナさん、これはもう連邦宇宙軍の威信がかかってるって事を忘れないで下さいね。3度目の失敗は許されませんよ」

 次失敗したらここに居る全員左遷ですよ、と言われているような気がしてジンナ以下、全員が思わず姿勢を正してしまった。



                                                                          

 T2船団の敗北は物的な問題だけではなく、将兵にも深い敗北感を味合わせていた。特に秋子の肝煎りで送り出されたサイレンが全く歯が立たなかったという現実は深刻だった。サイレンは連邦宇宙軍でも頂点に位置する精鋭部隊であり、連邦宇宙軍のトップエースたちが最優秀の機材を扱って苦戦する戦線に助けに駆けつけるという最強のMS部隊だ。数を考えれば天野大隊ほどの戦力ではないが、ネオジオンやティターンズの投入してくる化け物MSやMAと真っ向勝負で互角以上にやりあえる唯一の部隊として頼りにされていたのだ。
 それが今回、サイコガンダムの量産型に全く歯が立たなかったという知らせは、宇宙軍全体に暗い影を落としたのだ。サイレンのMSでも歯が立たなかったとなれば、通常部隊のMSでは手の打ちようが無いという事になる。
 だが、一番ショックを受けたのは敗北した七瀬達だった。ゼク・ツヴァイのマシンガンもmk−Xのビームライフルもインコムも致命傷とはならず、装甲で弾きながら反撃して来た姿は歴戦のサイレンメンバーでも戦慄したものだった。
 士官食堂で食事が乗ったトレーを前にしていた七瀬は、それをフォークで突付きながら時折溜息を漏らしては不機嫌そうな唸り声を漏らしていた。

「ううう、あんな負け方納得できない。武器が効かなくて打つ手なしなんてえ……」
「留美ちゃん、いい加減機嫌直そうよ。記録データ見たけど、あんな化け物が相手じゃしょうがないって」
「何よ瑞佳、あんたはシューティストがあるからそりゃ良いでしょうけどね……」
「う〜ん、多分、あれはシューティストでもどうにもならないと思うんだよ。ファンネルって所詮弱いレーザーだから、MS相手くらいしか役に立たないもん」
「でもシューティストのビームライフルは新型でしょう。あれこっちにも寄越しなさいよお」
「あのビームライフル、採用されなかった試作品だから予備分しかないんだよ」

 所詮はサイコミュ兵器のテストベッドでしかないシューティストには大した武装などは無い。ファンネルはレーザー砲なので弱いし、ビームライフルに限らず武装の大半は普通の装備品か、試作されたが採用されなくて行き場を無くした不良在庫だ。

「シューティストより、雪見さんが作ってる新しいタイラントに期待した方が良いんじゃないかなあ」
「あれ、何時になったら完成するのかしら。まだフォスターUの工廠の中なんでしょ?」
「確か最初はストライカーをベースにして作る予定だったらしいんだけど、MSの性能がどんどん向上してるから別の機体をベースにする事にしたって言ってたけど、どれくらいで出来てるんだろね?」

 雪見がファマス戦役で2人が使っていたエトワールとタイラントの後継機を作ると言い出してもう随分たつが未だに実機が出てこない。もう完成してるが渡すのを忘れてるだけなのか、それともまだ製作中なのか。あの雪見が作っているカスタム機なのだからとても高性能だという期待は持てるのだが、そろそろ完成させてくれないだろうか。

 2人がそんな事を話し合っていると、トレーを手に澪がやってきた。そしてそれに続いて懐かしい顔も続いている。

「あ、澪ちゃんやっと来たんだ。それに、繭ちゃん久しぶりだね」
「うん、瑞佳さん久しぶり」
「おお、なによ繭、暫く見ない間にちゃんと挨拶出来るようになってるじゃない。感心感心」
「留美さん、私だって何時までも子供じゃないよ〜」

 七瀬のからかう声に繭は頬をパンパンに張らせて抗議したが、その様がまだまだ子供だとからかわれる原因を作っている事に気付いてはいなかった。だがあの内向的でうまく話せなかった繭が随分と変わったものだ。
 七瀬に食って掛かる繭の姿に瑞佳はとても嬉しそうに笑い、隣に座った澪に良かったねと安堵した声をかけていた。

「繭ちゃん、本当に元気になったね澪ちゃん」
『良い事なの』

 スケッチブックを手に会話を交わす澪も嬉しそうだった。フラナガン機関からの、繭と一番付き合いの長い澪だからこそ彼女の成長は感慨深いものがあるのだろう。
 そして澪は周囲をきょろきょろと見回して、何時もなら瑞佳と一緒にいる男が居ない事に気付いた。

『そういえば、浩平さんは?』
「あ、浩平ならみさきさんの所だよ。なんか新しい命令が来たんだって」
『そうなの。みさおちゃんや一弥君は?』
「2人は友里さんと由衣ちゃんのお見舞いだよ。前の作戦でジ・Oの量産型と戦って、2人とも負けちゃって怪我したんだよ」
『大丈夫なの?』
「先生の話じゃすぐ治るって。あ、後で一緒にお見舞いに行こうか。案内するよ」
『お願いするの』

 瑞佳の申し出に大きく頷いて、澪はハンバーグを口に運んだ。フォスターUの食堂はカノンの食堂と並んで美味しい料理が出ることで知られる、他の基地から羨望の眼差しを向けられる食堂なのだ。多分に宇宙艦隊司令長官の拘りが出ていると言えよう。




 その怪我をした名倉姉妹はといえば、病院のベッドで大人しくしているかと思えばそうでもなく、姐の友里の方は早く退院させろと喚くくらいに元気であった。

「怪我って言っても、コクピット内の破片で足に切り傷が出来たくらいで、入院なんて大袈裟なのよ」
「負傷兵は全員検査入院する決まりですから、文句言わないで下さい。ここのところ働き詰めでしたし、丁度いい休暇ですよ」

 軽症で済んで良かったじゃないですか、と見舞いに来ていた鹿沼葉子は呆れた顔で友里を窘めていた。久瀬は軍医の所に行っていて今ここにはいないのだが、すぐに戻ってくる筈だ。隣のベッドでは由衣がまだ寝ていて、みさおと一弥が心配そうに見ている。
 こちらは被弾のショックで気を失っているだけの筈なのだが、一向に目が覚める気配が無く、ずっと寝続けていたのだ。だがようやく気がついたのか、由衣はゆっくりと目を開けた。

「由衣さん、気が付いたんですか!?」
「良かった、目が覚めたんだ」
「あれ、私……寝てた?」

 ずっと気を失っていた由衣が目を覚ましてみさおと一弥が慌てて声をかけ、由衣はよく分からないという顔で周囲をきょろきょろと見ている。何故自分がここに居るのか分かっていないようだ。

「う〜ん、もう少し寝かせて、お布団が幸せをくれるの」
「とっとと起きんか馬鹿!」

 よく分からぬままに二度寝しようとした由衣をベッドから飛び降りた友里が胸倉掴んで起こしにかかった。葉子はやれやれと肩を竦め、目を白黒させているみさおと一弥を騒ぎから離そうかと椅子から立ち上がった。





 T2船団の壊滅、その損害の大きさは連邦軍に衝撃を走らせた。報告を受けたノバック大統領は宇宙軍の不甲斐なさを声を大にして詰り、呼び出したゴップとコリニーに一体何をやっているのかと非難の声をぶつけている。
 この大統領の罵倒に2人は黙って耐えるしか無かった。秋子達宇宙軍が手を抜いている訳ではない、彼女たちは不十分な戦力で必死に頑張っている筈だ。この結果は現在の戦況が連邦宇宙軍の能力の限界を超えている事を証明しているだけだろう。もっと艦艇があれば、あるいはサイド6がこんな有様でなければ、もっと簡単に任務を達成できた筈だからだ。
 だが、輸送作戦を中断するわけにもいかない。2人はノバックの気が済むのを待った後でこれからどうするのかを尋ねた。

「大統領閣下、お怒りは分かりますが、今我々がしなくてはいけないのは作戦失敗を嘆く事ではありませんぞ」
「その通りです、対策を講じて同じ過ちを繰り返さぬようにしませんと」
「それを考える為に君たちがいるのだろう、何か良い手は無いのかね?」

 大統領は苛立ちながら2人に問う。その問いを待っていたかのように2人は顔を見合わせると、ファマス戦役で通商破壊戦に対して上手くやった男が居るので、その男に対策を出させると伝えた。

「地上軍は北米奪還に向けて暫く準備に入りますから、それまで海鳴基地のマイベック准将をティターンズの対策の為に水瀬大将の下に送ろうかと思います。あの男はこの手の仕事で実績がありますからな」
「マイベック准将か、大丈夫なのだろうな?」
「まあ、期待するとしましょう。ティターンズの妨害を何とかしないと、サイド6か餓死者で埋まる事になりますからな」

 あの男なら乏しい兵力を上手くやり繰りして小賢しいティターンズの鼠どもを燻りだしてくれるだろう。あの水瀬秋子の片腕と呼ばれた男なら。まあこの決定の裏には秋子からの強い、というよりも脅しに近い要請が行われたという事情もあったのだが。ゴップとしても何とかしてもらわないと困るので、コーウェンと相談してマイベックを出す事を承知したのだ。




 こうして、マイベックは留守をシアンに任せて一時的に宇宙へと戻る事になった。この際に秋子は祐一達を宇宙に戻すようにコーウェンに頼んだのだが、これは予想外にもマイベックが断ってきた。シアンが一時的とはいえ基地司令代行として海鳴に縛られるのだから、彼の変わりに動き回れる指揮官が必要となる。祐一を戻すのならば北川は残して欲しいと秋子に申し入れ、秋子はそれを受け入れた。
 これにより祐一は名雪とあゆを連れて宇宙へと戻る事になり、北川と香里、栞は中隊2つと共に海鳴に残りシアンを手伝う事になる。実はこの人事、完全にマイベックの目論見通りの結果であった。地上軍が暫く動けないとなれば秋子が祐一達を引き上げようとするのは当然の事だろう。
 今の海鳴に必要なのは祐一のような前線の勇者ではなく、北川や香里のような事務も実直な指揮官が必要なのだ。シアンもそれに同意しており、実は一番事務仕事が得意な名雪の事はかなり惜しかったのだが、祐一を戻すとなれば副官の名雪も手放すのは当然で、こればかりはどうにもならなかった。


 秋子のところに行くように言われたマイベックはなんとも言えない複雑な表情を浮かべ、そして観念したように頭を左右に振ると、ご愁傷様ですとニヤニヤ笑顔を浮かべているシアンをキッと睨み付けた。

「不本意ながら、暫くの間貴官に司令官代行を命じる、北米侵攻作戦の準備を滞りなく進めておくように」
「謹んでお引き受けいたしましょう司令官殿。後顧の憂い無く、任務に邁進していただきたい」
「くっ、こいつ、他人事だと思って……」

 秋子は笑顔でさらっときつい仕事を与えてくれるので、向こうに行ったらどんな目にあわされるか分からない。それが分かっているからシアンは俺まで巻き込まれなくて良かったと胸を撫で下ろし、白羽の矢が立ったマイベックを笑顔で送り出そうとしているのだ。
 マイベックとシアンが憎まれ口を叩きあっている頃には、祐一達も別れを交わしていた。

「やっと宇宙に戻れるぜ、地球は厄介事ばっかでもうウンザリだ」
「厄介事ばっかりじゃなくて、お前が日頃仕事をしてないだけだろ?」
「でも、考えてみれば1年ぶりくらいの宇宙だな。俺たちが降りてきたの去年の10月だったろ。それが今じゃ87年の9月だぜ」
「東南アジアから戻って2ヶ月か。長かったような短かったような、変な気分だな」

 事務仕事は久瀬や天野に押し付けていた祐一は、地球に降りてからは逃げれなくなったので仕方なく自分で頑張るようにしていたのだ。あゆは戦力にならないし、北川は押し付けれない。香里や栞にやらせると後が怖い。そして名雪には逆らえない。
 だから祐一は宇宙に居た頃と比べると遥に勤勉に働かされていた。海鳴に来てからはシアンに首根っこを押さえられて更に机に向かわされ、悲鳴を上げながら事務仕事をしていた物だった。名雪とあゆが香里と栞とやはり別れの言葉を交わしていて、
 だが、おかげで祐一の事務処理能力はかなりマシになってくれた。流石に名雪には及ばないが、シアンやマイベックが見てまあ及第点、というレベルにはなったのだから。
 4人の傍では郁未がお土産の袋を持って立っていて話が終るのを待って名雪に秋子さんや他の皆によろしくと言って袋を渡してくる。それは海鳴基地で評判の翠屋のお菓子詰め合わせだった。

「桃子さんが、また是非来てくださいねって」
「ううう〜、あそこの味に慣れちゃうと、他のお店に行けなくなっちゃうよ〜」
「まあね、桃子さんって若い頃はホテルでパティシエやってたらしいから」

 超一流の菓子職人が後に独立して喫茶店を開いたので、そこで出されるお菓子やお茶は他の店ではちょっと真似できない素晴らしさだ。あのイチゴに命賭けてる様な名雪がイチゴショートに心奪われ、祐一の財布に壊滅的な打撃を与えたのはまだ記憶に新しい。その後一文無しになった祐一は北川やシアンにたかり続ける日々を送ったのだ。

「郁未ちゃん、海鳴をよろしくね。ここは私にとっても大事な場所だから」
「頼まれなくても守るわよ、ここはもう私の故郷なんだからね。それに友里や由衣、葉子さんの帰ってくる所でもあるんだし、晴香のお墓もあるしね」

 過去を無くしていたシェイドたちにとって、海鳴は新たな故郷ということか。シアンが海鳴に島流しにあったのは、あるいは彼の望みを秋子やコーウェンが叶えた結果なのかもしれない。勿論そんな裏側は決して語られる事は無いだろうが、何となく名雪にはそんな気がしてしまった。左遷を利用してシアンは彼女たちに居場所を造ってやったのだろうと。



 
 宇宙に戻ったマイベックは久しぶりに秋子の元に戻り、秋子は長年参謀長として自分を支えてくれた、最も信頼する戦友の帰還をとても喜んでくれた。そして秋子はマイベックにティターンズの通商破壊戦への対応に必要な事があれば全て揃えると確約し、彼に全権を委ねたのだ。
 宇宙艦隊司令部の幕僚から見れば新参の准将にいきなりこれほどの信頼を寄せる秋子の姿は奇異に映る物であったが、かつて機動艦隊に籍を置いていた者たちには当然の事ということで誰も不思議には思わなかった。オスマイヤーなども懐かしそうにマイベックに挨拶をし、仕事があったら何時でも呼んでくれと笑って伝えた。

 秋子に全権を委ねられたマイベックは早速現状の把握に努めた。必要な資料をそろえ、実際に敵と戦った者達から話を聞き、一週間ほどで1つの策を持って秋子の元を訪れた。

「輸送計画を暫く中止しろと?」
「はい、このまま送り込んでもT2船団の二の舞になるだけです」
「まあ輸送艦を集めるのに手間取っていますから、延期するのは構いませんが。今は緊急に必要な物だけを巡洋艦で運んでいますし」

 T2船団は半数以上の輸送艦を失い、護衛艦艇も3割が未帰還、残る半数も中破以上の被害を出すという洒落にならない被害を出している。これほどの損害を受けては再建は容易ではなく、ランベルツは他の戦線に向かう航路から輸送艦を引き抜き、更に民間船の徴用まで行ってどうにか数を揃えようとしている。だがそれは容易ではなく、まだ数が揃う目処は立っていない。
 それで仕方が無く秋子は巡洋艦の格納庫に物資を詰め込み、即席の輸送船として使う事にした。MSも全て降ろしているので敵に襲われたら危ないが、輸送艦を伴わないので高速でサイド6に向かう事が出来る強みがある。この任務には足が長く、高速のアキレウス級巡洋戦艦とリアンダー級巡洋艦が使われ、アキレウス級だけが防空用MSを搭載している。
 この輸送作戦はいまのところ成功を収めており、ティターンズ艦隊に見つかってもこれを振り切ってサイド6に逃げ込むという快挙を3度も成し遂げている。だが運べる物資の量は船団輸送とは比較にもならず、サイド6を支えるには全く足りていない。やはり輸送船が必要なのだ。こんな作戦を繰り返せば船の消耗も問題になるが、推進剤の消費が馬鹿にならないので兵站部の機嫌が急カーブを描いて悪くなるという問題もあった。

「このまま船団を送ってもまた襲撃を受けるだけです。まずは潜んでいる敵を探し出して潰さなくては」
「探し出せますか、隠れている敵を?」
「必要な人材と、必要な部隊を任せていただければ」
「分かりました、お好きにどうぞ。貴方は昔から出来ない事をやれると言った事はありませんからね」
「出来そうも無い仕事ばかり回された覚えしかないんですがね」

 1年戦争からの付き合いだが、この人は本当に大変な上司だった。だが同時にこの人の下ほど愉しく仕事が出来た時期も無かった。人徳とでも言うのか、この人は本当に部下をやる気にさせてくれる人だったから。



 秋子はマイベックに約束したとおり、必要な人材と必要な戦力を揃えてくれた。望んだ全てを得られた訳ではないが、期待していた以上の戦力が手元に与えられたのだ。
 マイベックの作戦はこうだった。ティターンズは1隻から3隻程度の小部隊をサイド5からサイド6の間に多数伏せてあり、おそらくはネオジオンの潜宙艦も潜んでいる。これらをこちら側から打って出て積極的に狩りだし、航路の脅威を取り除いてしまうのだと。
 その為に必要なキラーとしての遊撃部隊を複数編成し、索敵攻撃を実施する。各部隊には1隻の戦艦と空母を配置し、十分な砲力と索敵能力を有する。またハンターとしてパブリク哨戒艇や偵察機を多数放ち、隠れている敵の捜索を実施する。これらの部隊は敵を発見したら交戦はせず、付近のキラー部隊に連絡する事を最優先で行う事になる。

 この任務の為に集められた部隊は全てが豊富な経験を持つ部隊ばかりで、フォスターUに残っていた精鋭部隊の大半だけではなく周辺に展開している部隊から引き抜いてきてまでいた。当然各方面から苦情が出たのだが、秋子はそれを押さえ込んでマイベックの希望を優先していた。この状況が打開できるのならば何でもするというのが今の彼女の心境であった。
 艦艇やMSは特に強力である、という印象は無かった。艦艇は全てマゼランとサラミスで、MSも従来のゼク・アインとジムVばかりだ。これに低軌道艦隊から引き抜いたZプラス隊やエゥーゴから摂取したネロなどの姿もある。流石に前線から新鋭艦を引き抜くわけにもいかなかったのだ。
 マイベックはこれらを呼び集めた指揮官たちの下で再編成し、それらを全て遊撃部隊として運用する事にした。そして集めた哨戒艇や偵察機全てをサイド5から6の間の航路に大量に送り込み、隠れているネズミどもを炙り出すのだ。
 この手のゲリラ攻撃に対処するのに必要なのはとにかく数で、徹底的な面制圧による敵部隊の燻り出しが必要となる。1年戦争で最初圧勝したジオンがゲリラ攻撃の為に跳梁する連邦宇宙艦隊を野放しにする羽目になったのも、結局は彼らを制圧するだけの戦力が無かったからに他ならない。ルウム戦役で壊滅的打撃を蒙ったジオン宇宙軍にはゲリラ狩りをするどころか、輸送船の護衛に回す戦力すら不足していたのだから。
 ファマス戦役では逆にファマスが少数の潜宙艦で連邦の補給線を攻撃し、連邦軍はこれを借り出すのに1個艦隊規模の大部隊を動員させられた事があるが、このように嫌がらせ、時間稼ぎという観点から見ると少数部隊によるゲリラ攻撃というのは真に効果的だと言えるだろう。
 ただ、それは所詮嫌がらせであり、相手に致命傷を負わせられる訳ではない。もっと大規模な広範囲にわたる通商破壊戦を仕掛ければ別であるが、局所的なゲリラ攻撃だけでは相手に致命的な打撃を与えるのは中々に難しい。
 ネオジオンのコンペイトウへの輸送路に対するゲリラ攻撃は小規模で大きな成果を上げていないのに対し、ティターンズのサイド6への航路に仕掛けた通商破壊戦は絶大な成果を上げているのを見ても分かるが、やはり相手に十分な打撃を与えたければ相応の戦力投入を必要とするのだろう。ネオジオンにはそれだけの戦力は無いということだ。


 これらの作戦の為に集められた人材は確かに精鋭ではあったが、連邦の主流派とは言えない吹き溜まりのような連中が集められていた。ジオン共和国軍やエゥーゴからの投降兵が中心で、これに地上から戻ってきた祐一達などの精鋭が加わっている。祐一は本来なら帰還した時点で本来の第1艦隊MS隊隊長に復帰するべきだったろうが、秋子からの命令でこの件が片付くまではマイベックの下で働く事になっている。この事を聞かされた天野は大層落ち込んでいたそうだ。
 艦隊指揮官はに高名なブライト・ノア中佐や何故か川名みさき中佐なども居たが、大半はパトロール部隊からやってきた指揮官ばかりで、数だけは揃えたという感があるが能力面で酷い人物が回されたとも思えないので、水準程度の能力はあるのだろう。各戦線から引っ張りだこの筈のみさきが回されてきたのは秋子の努力の現われだろうか。マイベックもまさか主力として活躍している指揮官が回されるとは思っていなかったので、この配慮には素直に感謝していた。
 ただ、こんな作戦に前線を支えている一線級の指揮官が回されているという辺りに、宇宙艦隊司令部の窮状が伺えるとも言えるだろう。




 作戦の説明を受けた後、祐一は各部隊に割り振るMS隊の編成作業に入った。各部隊に割り振られる艦艇はもう分かっているので、後は配備するMS隊の問題だ。祐一は渡されたパイロットと機材のデータ眺めながら、さてどうした物かと悩んでいた。

「こうやって見ると、寄せ集めだよなあ」
「エゥーゴからの鹵獲機のネロまで居るもんねえ。これって使い潰しても怒られないのかな?」

 同じデータを眺めていた名雪も余りにバラエティに富んだMSに呆れた顔をしている。装備はある程度共通化しないと部隊としての行動に支障が出るので、連邦軍ではMSはなるべく同一機種で固めるようにしているのが普通だ。宇宙軍の主力艦隊配備のMSは大隊単位で完全に機種が統一されていて、ジムVやゼク・アイン、ストライカーなどで編成されている。
 サイレンなどの特殊部隊は運用性よりも性能を優先して高級機を集中配備されたりしているが、これは特別な例だろう。また第1
艦隊では最新鋭の機材を配備した実験中隊などが編成される事も多い。

 この常識に照らし合わせれば、従来の連邦機にネロやネモ、Zプラスまで加わっている今回の編成は余程慌てて掻き集めたのだという印象が拭えないのだ。その中でも特に気になるのはついこの間採用されたばかりのジェダの名前もあることだろう。とうとう実験中隊を編成するまでになたようだが、この作戦でついでにデータを取りたがっているのだろうか。

「まあ、エゥーゴの連中はバラバラに配置するしかないだろうな。一箇所に集めると苦情が来そうだ」
「祐一は、舞さんたちがまた裏切ると思う?」
「いや、それは無いだろ。あいつはティターンズと戦いたくてエゥーゴに行ったんだから、今となっちゃ裏切る理由も無いさ」
「うん、そうだね」

 舞さんやトルクさんやアムロが帰ってきてくれたのは嬉しいよ、と名雪ははにかんだ笑顔で答え、そしてサイレンはどうするのかと尋ねた。

「七瀬さんたちも参加を申し入れてきてるけど、どうするの?」
「あいつらは不味いだろ、秋子さんも許可してない筈だぞ」
「でも、来てくれたら色々助かるよ。T2船団の護衛でコテンパンに叩かれたみたいで、仕返しがしたくて仕方が無いみたい」
「ああ、あれか。戦闘レポートは読んだけど、ありゃ仕方ないだろ。ゼクのマシンガンやジムのビームライフルを装甲で弾き返すなんて化け物の始末は戦闘機隊の仕事だって」

 アトラスの出現は連邦宇宙軍に衝撃を与えていた。ジ・Oの量産型の出現もショックだったが、それ以上にサイコガンダムの量産化をティターンズが強行したことに驚きを隠せず、そしてその出鱈目な攻防の性能にどう対処すればいいのかと頭を抱えていたのである。
 確かに効く武器はある。幾らなんでも艦砲やメガバズーカランチャーの直撃を受ければ持たないだろうし、アヴェンジャーなどが使用しているスピアフィッシュ対艦ミサイルなどを当てればやはり撃破出来るだろう。だがこれらの武器は高速で動き回る目標には当て辛いもので、幾らアトラスが普通のMSに比べれば鈍いとはいってもこれらの武器にそう簡単に捕らえられはしないだろう。実際、同様のコンセプトを持つネオジオンの重MSゲーマルクもこれらの武器で仕留める事に成功した事例は無い。まああちらはアトラスほど頑丈ではないので普通の武器でも効くのだが。
 このアトラスへの対応として期待されているのがジェダ用に開発された新型ビームライフルで、連邦軍としてはジムUやガンダムmk−Uなどで採用された2種類のライフルを使っていたが、ここに来て久しぶりに新型のライフルが採用される運びとなったのだ。ライフルとしては短銃身で射程よりも取り回しの良さと速射性が重視された物で、接近戦に主眼を置かれたライフルだと言えるだろう。ただこれでアトラスの装甲を撃ち抜けるという保証は無い。むしろジェダ用の対艦用装備であるハイパーバズーカに期待するべきだろうか。こちらはこれまで主力対艦兵器として使われていたクレイバズーカの後継で、やはりジェダの採用に伴って配備される運びとなった物だ。

 これらの新装備も今回の作戦にあわせて搬入されている。この戦いで有用性が確認されればジェダと共に大量生産に移る事になるだろう。だが、この新型ライフルは地上軍で開発されていた物とは別口のもので、祐一が乗っているG−9には専用ライフルを含む幾つかのオプションユニットがジャブローから送られてきたのだが、それらの装備は宇宙軍で使われている装備とは一線を画する、というよりコンセプトがかなり異なっている。一応宇宙用のオプションなのだが、何に使うのかという物が多かったのだ。

「宇宙用高機動ユニットに、砲撃用ユニット、インコムユニットに偵察ユニット、ねえ。これら組み合わせて戦況に合わせた最適装備を作れって事らしいけど、正直困るよなあ」
「祐一はインコム嫌いだし、砲撃戦も苦手だしねえ」

 G−9はさまざまなオプションを全身のハードポイントに取り付けて任務に最適の機体を完成させるという、ミッションパックシステムを採用している。これは基本となる汎用MSを1機種に絞り、任務に応じたミッションパックを装備する事であらゆる局地戦に対応するという連邦軍本来のスタイルに忠実なMSだと言える。ジム系はジムをベースに改修を加えた機体を作るという方法で対処したが、G−9はそれの完成形と言えるだろう。
 ただ、コンセプトがいかに素晴らしくてもコストが高すぎてはどうしようもない。G−9に用意されているミッションパックのコストはMS1機分はするというもので、それなら改修対応したG−9を作った方が良いのではないかとまで言われているくらいだ。たださまざまな装備のテストベッドとしては最高の素材でもあり、ジャブローは思いついた新機軸の装備を持ち込んではG−9に装備させてテストさせている。言うなれば祐一はモルモットであった。
 祐一自身はG−9の基本性能の素晴らしさと圧倒的なまでの拡張性の高さは評価していたが、こんなモルモット扱いを受けるのはやはり気に食わない部分があった。もしこれがコーウェンに託されたものでなければアムロ辺りに押し付けていただろう。
 そこまで考えた所で、祐一はある事を思い出した。そういえば今オスローのゴータ・インダストリーの工場ではアムロの協力の下にRX−90μガンダムを土台としてアナハイムで開発が進められていたνガンダムの製作が行われている。アムロを中心とした開発チームはアナハイムで設計までは完了させており、その後は月からの脱出に伴って開発チームごとサイド5に移り、今はゴータで開発を継続している。
 幸いにしてゴータにはサイコミュに関する技術蓄積があり、アナハイムから持ち込まれたサイコミュ技術とサイコフレーム、そしてフィン・ファンネルという発想を形にするだけの設備も十分に整っていたので、νガンダムの開発はここで進められている。確か既に機体だけは完成していて、後はサイコミュとフィン・ファンネルを搭載するだけだった筈なのだ。

「なあ名雪、νガンダムって、もう実機はあるんだよな?」
「え、ああ、確かその筈だよ。サイコフレームとサイコミュを除けば特別な機体でもないから、設計図からすぐに実機は組み上がったらしいね。お母さんも興味あるみたいで、わざわざゴータに最優先で仕上げてくれって注文したみたいだし、オスローの周りでテストしてる試作機も見たしね。もう試作3号機まで完成してる筈だけど、それがどうかしたの?」
「なら丁度良いや、そいつを1機引っ張ってこよう」
「引っ張ってくるって、まだ未完成なんだよ!?」

 いきなり何を言い出すのだこの男は、と名雪は正気を疑うように声を上げたが、祐一は正気だった。サイコガンダムの量産型は諦めるとしても、やジ・Oの量産型に対抗できるのは現状では自分のG−9だけだ。ゼク・アインやジムVは言うに及ばず、ネロやジェダでも役不足だろう。ゼク・ツヴァイやガンダムmk−Xですら及ばないのは先の戦いでも証明されている。これらに優位に立てそうなのは今の連邦ではこのνガンダムだけなのだ。

「ほかに何か良い手があれば喜んで聞くぜ。もうSガンダムやZZガンダムはバラバラですぐに組み立てるって訳にもいかないし、現状じゃこれしかないだろ」
「でも、アムロには回せないよ。絶対に許可下りないから」
「ああ、アムロには悪いがZプラスを使ってもらう。上には文句は言わせねえぞ、ネロじゃアムロでもジ・Oの相手は無理だからな」
「じゃあ、νガンダムは誰が使うの?」
「アムロと張り合えるエースは、うちには1人しかいないだろ?」
「ま、まさか祐一、あゆちゃんに使わせるつもりなの!?」

 ガンダムmk−Xからいきなりエゥーゴ系のνガンダムに乗り換えろとは、なんという無茶を言い出すのだこの男は。
 だが祐一は作戦に必要だと言ってマイベック経由でゴータからνガンダムの試作2号機を引っ張ってこさせ、あゆに3日で乗りこなせという無茶苦茶な命令を与えて機種転換訓練をさせていた。これを命じられたあゆは祐一に対する呪詛の言葉を延々と吐きながら必死に慣れないMSの操縦をしていたというが、その訓練を管制していた管制官の話では通信機からは常に途切れることなくうぐぅという叫びが聞こえ続けていたらしい。


 このように行き当たりばったりでとにかく使える機材と人材を集めた祐一はそれらを頑張って再編成し、各部隊に割り振った。サイレンはもったいなかったが、やはり秋子もマイベックも許さなかったので今回は見送られている。
 今回の作戦で編成された任務部隊は6つで、それぞれの部隊は戦艦2隻と巡洋艦4隻、駆逐艦4隻程度で編成されている。更にこれとは別に戦闘機と偵察機を満載した空母部隊と哨戒艇部隊も参加し、隠れている敵の捜索を行う事になっている。発見次第近くの部隊が駆けつけて隠れている部隊を叩き潰すのだ。敵は1隻から3隻程度の巡洋艦と考えられているので、圧倒できる戦力を揃えている。
 今回はこれだけの戦力を用意したが、これで不足するようなら更に増援を送り込む用意が連邦にはあった。2度に渡る大規模輸送作戦の失敗は連邦宇宙軍の体面を著しく傷つけており、借りはキッチリと倍返しにしてやろうと息巻いていたのだ。




 連邦軍の報復はすぐに始まった。それまで各地に潜伏していたティターンズの通商破壊艦やネオジオンの潜宙艦はいきなり数が激増した連邦の哨戒部隊に身動きが取れなくなり、隠れている障害物から動けなくなってしまった。
 コロニーの残骸に身を潜ませていたアレキサンドリアの艦橋ではガディ艦長が絶えず姿を見せる連邦の哨戒艇や偵察機にさすがに苛立ちを隠せず、何時まで続くんだと愚痴っていた。

「奴ら、一体どれだけの哨戒部隊を集めやがったんだ。この密度でサイド6までの間に満遍なく哨戒網を敷いてるなら、100や200じゃきかんぞ」
「撃ち落せばそこからこちらの位置を探られますしね。おかげで通信も出来ません」
「傍受されて位置を逆探知されれば終わりだからな。しかし、このままではどうする事も出来んぞ。他の連中が痺れを切らさなきゃ良いんだが」

 もし痺れを切らして哨戒機に攻撃すれば即座に敵の打撃部隊が出てくる筈だ。それが分からない奴が居るとは思えないが、分かっていても我慢できずに飛び出す奴は居るかもしれない。そこで飛び出せば連邦軍は嬉々として部隊を送り込んで殲滅してしまうだろう。
 こんな大規模な捜索が何時までも続くわけは無いのだから、今はじっと耐え続けるのだ。他の部隊が自分と同じように考えて自重してくれる事をガディは望んでいたが、その期待が叶うかどうかを確認する術は彼には無かった。



後書き

ジム改 遂に連邦もMS更新が始まりそうです。
栞   何時の間にか私たち地上に降りて1年もたってたんですか!?
ジム改 幾度か大きな作戦もあったし、そりゃそれくらいの時間は流れるよ。
栞   νガンダムのデータ手に入れてもう1年ですか。量産するんですかこれ?
ジム改 連邦としてはガンダムmk−U以来の高級量産機となれる素質ありです。
栞   でも、まだ試作なんですよねこれ?
ジム改 はい、試作機です。まだ量産型どころか完成機も出来てません。
栞   でも機体そのものは出来てると。
ジム改 一応ティターンズ、ネオジオンの新型高級機に対抗できそうな唯一の機体ですので。
栞   G−9は?
ジム改 あれはミッションパック構想の為の実験機だから。
栞   νガンダムより弱いと?
ジム改 基本性能では負けていません、後はミッションパック次第です。
栞   微妙ですねえ。それでは次回、大量の偵察機と艦艇を投入してハンターキラーを開始する連邦軍に、ティターンズは動きを封じ込まれてしまう。エイノーはこれに対処する為に応援を送るか悩むが、ルナツーとグリプスに対しても連邦軍は押さえの艦隊を動かしていた。次回「狐狩り」で会いましょう。