第114章  堤防の亀裂



 連邦軍がルナツーに対して攻勢に出たという知らせを、秋子は病室でダニガン中将から受けていた。ベッドの上で半身を起して話を黙って聞いていた秋子は、一通りの話を聞き終えたあとで少し疲れたよう多溜息を漏らした。

「そうですか、エニーはやはり我慢できませんでしたか」
「やはり、水瀬提督は地上の片が付くまでは待つつもりだったのですな」
「ええ、やはり連邦政府の目は地上に向いていますし、それまでは持久を続けて敵に消耗を強いるつもりでしたね」

 この戦争が始まって以来、秋子は宇宙軍をひたすら守りに使ってきて、こちらから打って出るという事は無かった。ここ最近になってようやくサイド6に攻勢に出たくらいだろうか。月面への対応も結局はティターンズがケリを付け、連邦軍は連邦に帰順した都市の防衛に専念している。
 そして地上軍の要請に答える形で積極的に地上への戦力投射を続けてきた。現在は天然の要害に守られたキリマンジャロ基地に対する軌道爆撃を繰り返し、降下部隊を投入してキリマンジャロ攻撃を支援している。
 これは連邦軍としての基本方針がまず地上の平定にあったからで、サイド6への攻勢は政治的な理由による政府の方針によるところが大きい。そしてサイド6は現在でこそ安定しているが、やはり失う物が大きい作戦だったのだ。あの作戦で大量の輸送船を失った事は後の作戦に暗い影を落とし、各方面への輸送計画に多大な影響が及んでいる。
 確かにサイド6の市民を解放したという事では政治的な意味は大いにあったのだろうが、やはり拙速だったのではないかと秋子は思っていた。
 だがそれは秋子が考えている事で、エニーはそうは思っていなかったようだ。元々戦術家としてはエニーとクライフは秋子より上で、これまでも幾度かシミュレーションや模擬戦で対戦してきた結果は秋子の負け越しとなっている。その姿勢は何処までも積極的で、かつ機動力を重視する。巧遅よりも拙速を尊ぶ指揮官なので、そのエニーから見れば秋子のやり方は歯痒かったのだろう。

「まあ、エニーがやるのなら勝算があるんでしょうね。横から私が口を挟む事はありません」
「ですが、大火傷をするかもしれませんが?」
「その時はその時ですよ。それに、ジャブローもいずれルナツーは落とせと言ってきたでしょうしね」

 エニーも歴戦の1級の指揮官だ、引き時を間違えるような事は無いだろう。それに現場で指揮をとっているのはマイベックとオスマイヤーだと言うのだから、放っておいても上手くやる筈だ。
 そして秋子は少しだけ表情を改めると、ダニガンにそろそろ本題に入りませんかと促した。

「中将、わざわざそのような報告をしに来た訳では無いのでしょう。何か聞きたい事があったのではありませんか?」
「……水瀬提督に隠し事は出来ませんか」
「中将ともなれば、アクセス出来る情報の範囲も広いですからね。連邦に講和の動きがあるという事を掴んだのでしょう?」
「ええ、まあ、そういう事です。連邦がもしネオジオンと講和してサイド3を見捨てるとなれば、我々は良い道化ですからな」
「言いたい事は分かりますが、余り他所では言ってはいけませんよ。誰もが私のように聞き流してくれるわけではありませんから」

 ジオン共和国軍の軍人は多少は待遇が良くなってきているが、それでも彼らはジオンなのだ。このような話がもし疑い深い連中の耳にでも入ればたちまち大事になってしまうだろう。秋子もジオン共和国に決して好意的な人物ではないが、ダニガンの指揮官としての能力には絶大な信頼を寄せていたから遠ざけている訳でもなかった。特にジオン系の軍人に見られる過剰なまでの律儀さは信用するに足る部分だろう。
 だが、ここで何を言われても秋子には答える資格は無かった。まだ公には公表されていない話で、秋子の知る限りでは情報は完璧に秘匿されていた。それが僅かとはいえ漏れたという事は、政府が軍上層部に話を伝えた事を意味している。ならばいずれ細かい話が公表される筈であり、今ここで秋子が教えてやる事は出来ないのだ。この情報は未だに彼が知るべき情報では無いのだから。

「誰から聞いたのかは問わない事にしておきますが、今の段階では私からは何も言えません。いえ、言う事が出来ないと言うべきでしょうか」
「私は知るべきではない、という事ですか」
「貴方も軍人なら分かっている事でしょう。それに私も全てを知っているわけではありません、全てを知っているのは政府だけですから」
「……分かりました、今日は引き上げるとします」

 残念そうにダニガンは立ち上がり、敬礼をして部屋から出て行った。それを見送った秋子は困ったものですと呟いた。

「口を滑らせたのは、誰でしょうね。口が軽い人が居たようです」

 大方緊張感の足りない佐官の参謀辺りだろうが、困った事だ。だが司令部も伝えたのは宇宙艦隊司令部のTOP数名くらいの筈だ。となればその将官たちの中に口が軽い者が居たという事になる。
 エニーがルナツーを攻めた事よりも、こちらの方が秋子には問題に思えた。まあこういう事態を危惧していたからギリギリまで情報を秘匿し、知る人数を最低限に抑えていたのだが。

 まあ情報を漏らした馬鹿の事はエニーなりジンナなりに対応を依頼するとして、秋子はダニガンが伝えてきたルナツー攻略の事に意識を向けた。確かに今の連邦とティターンズの戦力差を考慮すれば攻略自体は不可能ではないだろう。ただ多大な犠牲を覚悟しなければならない。そうまでして落とす価値がルナツーにあるかというと、秋子にはあるとは思えなかった。サイド7への道はサイド6の攻略で開けており、ルナツーは牽制程度に留めて主力はサイド6からサイド7を目指し、純粋な艦隊戦で雌雄を決した方が連邦には有利な筈なのだ。
 ルナツーを落とす事に意味があるとすれば、やはり政治的な理由だろう。エニーもまさかジャブローに断りも無く独断で動いたわけではないだろうし、やはり政府なりジャブローなりにルナツーを攻略する事への意義を見出した者が居たのだろう。
 連邦政府や軍の威信というものを考えればそれも分からないではない。ルナツーは1年戦争以来ずっと宇宙艦隊司令部が置かれていた最重要拠点であり、連邦宇宙軍の象徴のような存在であった。その拠点を自分たちの手で奪還したいと思うのは当然の事だろう。確かに必要性という観点だけで見れば不要な作戦であるが、世の中は効率計算だけで回っているわけではないのだから。
 ただ、今回エニーが動員したのは第6艦隊と多数の小部隊、それに第10支援艦隊だというので、目的は威力偵察辺りなのだろう。本気で攻略するつもりなら宇宙艦隊の総力を上げた大作戦になるはずであるから。

「ですが、サイド6を巡る戦い以来ティターンズが静ですね。ジャミトフ大将はともかく、バスクやエイノー提督がこうも大人しいとかえって違和感があります」

 先のサイド6を巡る戦いは明らかに連邦側の一方的な大敗だった。最終的にはマイベックを呼び寄せての激しい掃討作戦を決行してどうにか敵を追い払う事に成功したが、失われた輸送船の数を考えるととても喜べない。サイド6を解放できた事は確かに喜ばしい事であったが、軍事的には暫く立ち直れないほどのダメージを受けてしまった。
 ただ、サイド6の奪還はこの戦争の勝利を連邦の物としたと言える。サイド6に住む10億の人口はティターンズの戦争遂行に絶対に必要な心的資源だった筈で、それを失った今ではティターンズにはもう失った兵員を補充する術が無い。サイド7に元から済んでいた人口は1千万人程度で、とてもではないが戦争を遂行するのに足りる数ではない。ティターンズはすぐに奪還するつもりでいたのだろうが、連邦の物量を読み違えたのだろうか。

「後はジャミトフ閣下がどう出るか、でしょうね。多分ネオジオンの命運もそれで決まるでしょう」

 そうなれば、自分の仕事も終るかもしれない。ネオジオンとティターンズ、どちらが残るにしてももう脅威ではなくなる筈で、それもいずれ片付けられる。後には暫く大きな戦いの無い穏やかな時代が来る筈だ、と思いたい。
 そうなれば自分も軍を引退して暢気な生活を送るのも良いかもしれないなどと考えて、秋子は頬を緩めてしまった。大将の年金は結構な額だから、老後を過ごすには十分すぎる。後は娘たちに任せて隠居する事を秋子は真面目に考え出していた。





 秋子が隠居を考えている頃、後を任されそうな2人はMS隊の再編成に苦労していた。中隊編成の12機編成から16機編成への移行と、ジムV装備部隊の逐次ジェダへの機種転換訓練など、やらなくてはいけない仕事は腐るほどある。加えて16機編成を採用した事で母艦の搭載する数も変更されてしまい、格納庫の狭いサラミスなどでは予備機を削って実働機を増やさなくてはいけない。とにかく難題が山積みなのだ。

「ああもう、幾ら有利だからって戦時に編成の変更なんかしなくてもよ!」
「祐一〜、戦時だから有利なやり方に変えるんだと思うよ?」
「こっちの苦労を考えたらとてもそうは思えんわ!」

 連邦MS隊は大隊を基本としているので、大隊数の維持は重要な問題だ。だが中隊の機数が増えるという事は全体の中隊の数が減る事を意味するので、祐一としてもどうしたものかと悩んでいた。大隊数が減ると作戦に使える部隊数が減ってしまうのだ。まあ戦術の変更などは天野大隊で使っていたものをそのまま採用すれば済んだのでその辺の苦労は軽減されていたのだが、訓練と再教育はしなくてはいけない。その計画を立案するのが祐一達の仕事なのだ。

「たく、天野大隊の連中を天野が残していってくれて助かったぜ。クレイ少佐の教導隊だけじゃとても間に合わなかった」
「4機小隊編成の本家だもんねえ、小隊ごとに各部隊に割り振って頑張ってもらってるよ」
「……天野の奴、元気でやってるかな?」
「あゆちゃんたちも一緒だし、多分大丈夫だと思うよ」

 真琴が戦死して以来、暫く職務に復帰しなかった天野であったが、見た目にもやつれた姿で復帰してきた時は誰もが大丈夫かと心配したのだ。そして天野はこれまで以上に仕事に打ち込むようになり、その姿はまるで自分を責めているようだと名雪が言うに及び遂に祐一は天野を大隊長から解任し、独立中隊を編成して天野を現場に送り出した。現場で戦わせれば暫くは真琴の事を忘れられるのではないかと期待しての事だったが、あの状態の天野を戦場に送るのは危険が大きすぎると反対する者も多かったのだ。
 それらの意見に押された祐一はあゆや中崎、長森といったエースたちをつけてやったのだ。

「そんな訳で、部隊の交代予定は出来たか折原中尉?」

 名前を呼ばれた浩平は額に浮かぶ血管の数をまた一本増やして、書類の山から顔を上げて凄まじい形相で上官を睨みつけた。その隣では澪が我関せずとばかりに涼しい顔で作業を手伝っている。喋る事は出来ないが、澪は意外に書類仕事は出来た。

「い、いえ、まだ出来ていません少佐」
「ん、そっか。次の仕事が待ってるから早く頼むぞ中尉」
「ゆ、祐一、無理言って手伝ってもらってるんだからそんな言い方しちゃ駄目だよ。中尉もそんなに怒らないで」
「ふ、ふふふふ、気にすんな水瀬、俺は全然気にして無いからな」

 長森だけ前線に行ってしまった後、手が開いていた浩平と澪は祐一にこの作業を手伝わされていたのだ。本当なら雪見の手を借りたかったのだろうが、流石に彼女を引っ張ってくるのは無理だったのだろう。
 浩平は事務仕事が苦手であったのだが、祐一に上官権限で引っ張ってこられてしまったのだ。おかげでこの場で祐一への呪いの言葉を呟きながら毎日仕事をしていたのだ。最も、その怨嗟の声の中には祐一ではなくなぜか一弥へ向けられた物も混じっていたのだが。どうも浩平が怒っている理由の何割かはみさおに手を出した一弥への苛立ち分のようだった。これについては澪曰く、2人で遊びに行くのを邪魔してやろうと考えていた、という事らしい。
 だが2人の若人にとっての幸運は別として、手伝わせているのに余計な事を言って怒らせている祐一の態度に流石に堪忍袋が限界に達したのか、名雪が困った笑顔のままで少しだけ雰囲気を変えた。僅かに室温が下がった、とでもいうかのような小さな変化に葉子が反応して顔を上げている。

「祐一、祐一も無駄口叩いてないで真面目にお仕事しようか?」
「んだよ、俺は何時だって真面……目……」

 だよと続けようとして、祐一は自分に向けられる強烈なプレッシャーに口を噤んだ。不味い、名雪が怒っている。自分は何時の間にか名雪の堪忍袋の尾を切ってしまっていたらしい。久しぶりに感じる寒気すら感じさせる名雪の怒気に晒された祐一は身を縮こまらせて平謝りして許しを請うたが、より悲惨なのはとばっちりを食らって震えている公平と澪だったろう。今日は2人にとって厄日であったに違いない。




 ルナツーに対する攻撃は激しさを増していた。ブライトたちの突入を支援する為だろうか、複数箇所で同時に連邦艦隊が防衛線を押しにかかり、ティターンズの部隊をかなり引き付けていてくれている。
 前進するネェル・アーガマの周辺にもティターンズの部隊が現れてはいたが、その数は予想していたほど多くは無く突破不可能というような物ではなかった。
 ブライトは前衛にグラース級2隻、中央にネェル・アーガマ、後衛にサラミスという陣形を維持したまま前進を続けていたが、マイベックが真面目に自分たちを支援してくれているのを見てまた面白く無さそうな顔をしていた。

「これだけの支援を用意していたのなら、もったいぶらずに教えてくれれば良いだろうに」
「連邦にとってはこれが常識なんでしょう、私たちが戦っていた時も複数部隊が同時に押してくるのが常でしたし」
「羨ましい物量だな、我々にこの半分も船があればティターンズに負けたりはしなかっただろうに」
「艦長、今は連邦軍なんですから余り昔の事を口になさらない方が」

 愚痴っぽいこの艦長は同時に上層部批判も多い。水瀬提督ならば気にも留めないだろうがエニー提督はどうだか分からないのだ。気をつけるのにこした事は無い。それに連邦軍が自分たちを完全に信用していないのも確実で、この船に盗聴システムが組み込まれていないとも限らないのだ。何しろ技術資料として一度連邦軍に接収され、分解調査までされた後で修復され、再就役しているのだから。その際に大規模な改修が行われて連邦規格に部品が交換され、カイラム級戦艦やクラップ級巡洋艦と同様の推進剤タンクと推進器が組み込まれて外観が多少変化している。
 前を行くグラース級重巡洋艦も同様に技術調査の後で改修を受け、同じような推進剤タンクの増設と推進器の改修、そして主砲の連邦の標準大型砲塔への交換などが行われている。特徴的な艦首ハイパーメガ粒子砲はそのまま残っている。プロメテウス砲への換装も案として上がったらしいが、ジェネレーターの出力不足で無理だと判断されて流れたらしい。

「よし、進路を切り開くぞ。ナポーレ、ムルシアは横一文字隊形を取らせろ、ハイパーメガ粒子砲用意だ!」

 前方を行く2隻のグラース級重巡洋艦がネェル・アーガマの左右に移動し、艦首ハイパーメガ粒子砲のエネルギーチャージを始める。一撃で戦艦さえ沈める威力を持つ最強の艦載砲が眩い閃光を放ち、3条の光が前方を切り裂いていく。それに巻き込まれた数機のMSが消し飛び、あるいは部品を撒き散らして木っ端微塵にされてしまう。そしてルナツー正面に居た2隻のサラミスの至近をビームが通過し、どちらも余波を受けて大きく揺らいでいた。防御スクリーンが強烈なエネルギーに悲鳴を上げ、限界を超えた磁性体が過負荷に焼き切れ、火花を散らす。
 やがて防御スクリーン強度の限界に達したのか、船体をメガ粒子の光が船体を焼き、引き裂いていった。


 立ち塞がっていた2隻のサラミスを蹴散らしたブライトたちはそのまま前進を続けてルナツー表面に取り付く事を目指したが、今度は周辺の砲台からの砲撃に晒された。防御スクリーンの登場から配備が進められたレールガンタイプの新型砲台も含まれているようで、防御スクリーンを無視して船体を直撃してくる砲弾もある。中小口径の火薬砲の砲弾は1年戦争の頃ならばともかく、現在の戦艦には通用しない。
 装甲を撃ち抜かれたネェル・アーガマの艦内に警報が鳴り響き、ダメコン要員が被害の拡大を防ごうと被害箇所に突入していく。直撃の衝撃に顔を顰めたブライトは対応を急ぐように怒鳴ると同時に砲撃してきた砲台に撃ち返すように命じた。

「流石はルナツーだな、守りが堅い。こちらのデータよりも更に固められているようだな」
「艦長、被害が格納庫に及びました。これ以上食らうと不味いですよ!」
「アムロたちは敵の砲台を潰せないのか!?」
「2つほど潰したようですが、梃子摺ってるようですね。くそっ、だからmk−Xかツヴァイを回せと要求したのに!」
「ゼク・アインでも火力不足は隠せんか」

 連邦のMSはあくまでも対MS戦の為の戦闘機であり、MSが単体で砲台を破壊するような任務は想定されていない。そのような任務には攻撃機が投入されて大型ミサイルでこれを粉砕するのが連邦の戦い方だ。エゥーゴはそのような任務にはメタスやZUを投入していたが、やはり限界があって末期にはMSに極限まで火力を詰め込もうとしていた。
 ブライト隊に回されたゼク・アインやストライカーでは小惑星の砲台を破壊するのは難しい。だからブライトは不利を承知で艦砲をもってこれに当たろうとしたのだが、そこに後方から遅れてやってきたアヴェンジャー隊が駆けつけてくれた。

「艦長、アヴェンジャーです!」
「分かってる、何処の部隊だトーレス?」
「後方からノルマンディーが接近、斉藤隊のようです!」

 後詰として付いてきた斉藤隊がブライト隊の行き足が落ちた為に追いついて来たらしい。ブライト隊と違ってファマス戦役時代の旧式艦中心の編成であったが、配備されているMSはブライト隊より良い物である。
 ノルマンディーを旗艦として空母1隻、巡洋艦4隻で編成された斉藤隊が突入してくる。その周辺には新鋭機のジェダとゼク・アインが展開し、アヴェンジャーが前に出てきて厄介な砲台を潰して回っている。
 ジェダは流石に最新鋭というだけあってゼク・アインに勝る機動性を持ち、更に新規開発のビームライフルを主砲としている。機体各所にはジムVやG−9のようなハードポイントが設置され、各種装備の追加に対応している。実際に各小隊につき1機の割合で両肩にビーム砲を追加装備して砲撃力を強化した支援型が配備されている。またライフルも支援用なのか、やや他の機体の持つ物とは違う大型のビームライフルを装備している。
 砲台が無力化されつつあるのを見てティターンズのMS隊がルナツーから打って出てきて、これをジェダとゼク・アイン、ストライカーが迎え撃った。
 舞率いるストライカー隊が攻撃型らしく果敢にバーザムやグーファーに接近戦を仕掛け、アムロ率いるゼク・アイン隊がそれを支援する為に続く。
 それを見た久瀬は天野にここは彼らに任せてルナツーに取り付こうと進言した。

「天野大尉、敵機はブライト隊に任せて我々はルナツーに急ぎましょう。内部の調査と破壊も任務の1つですし」
「…………」
「天野大尉?」

 返事が無い事に久瀬はどうしたのかと訝しげに声をかける。だが、それに対して帰ってきた返事は久瀬の期待したようなものではなかった。

「久瀬大尉は艦隊の直衛を、私は敵MS隊を撃破します」
「え、あ、あの、天野大尉!?」

 そう命じるなり部下を連れて突っ込んでいく天野。あゆや長森、中崎の隊も何も言わずにそれに追随していく。何で誰も止めないんだと久瀬は驚いたが、その追求を葉子が止めた。

「久瀬大尉、この作戦では天野大尉の好きにさせましょう」
「鹿沼中尉、これは作戦なんだぞ、私情で指揮をされては困るんだ」
「大尉、この作戦の天野大尉たちの仕事は派手に暴れる事なんですから、問題無いんじゃないんですか?」
「由衣、君まで何を?」

 僕がおかしいのか、と抗議する久瀬であったが、2人は取り合ってくれなった。更に追い討ちをかけるように友里までが久瀬に文句をぶつけてくる。

「大尉、先任の天野大尉の命令なんですし、従った方が良いんじゃありませんか?」
「いや、そうなんだがね友里……」

 どうやら自分に味方は居ないらしいと悟り、久瀬は心の中で涙を流しながら部隊を纏めて艦隊直衛の位置に付いた。まあ確かにルナツーに取り付くのは余力があれば、という事なので無理にルナツーに取り付かなくても良いのではあるが。
 しかし、正式配備が始まったばかりのジェダで上手くやれるのか、どこまで当てに出来るのか。新型機の威力はまだはっきりとしていないので、どうしても不安が拭えない。この作戦の前に行った訓練ではゼク・アイン以上の機動性で自分たちを翻弄していたが、訓練で上手くいったから実戦で役に立つとは言い切れないのだ。ジムVもゼク・アインも実戦の洗礼を浴びて改良されるまでに結構問題を起していたから。
 だが、久瀬の心配を他所に天野たちは恐ろしい強さを見せ付けていた。ティターンズはジムVの発展型と思われる新型機に最初警戒の色を見せていたが、それがパニックへと変わるのは一瞬だった。
 タイヤキのマークを付けたジェダに狙われたグーファーのパイロットは、グーファーが敵機を振り切れない事に驚いていた。

「馬鹿な、グーファーに付いて来れる。なんて速さだ!?」
「だれか、援護してくれ。こいつら普通じゃない!」

 通信回線に中間達の助けを求める悲鳴がひっきりなしに飛び交っている。現れたのは新型のジムを除けば見慣れたゼク・アインとストライカーなのだが、その強さは尋常な物ではなかったのだ。
 それも当然だろう、ストライカーには舞とトルクが、ゼク・アインにはアムロとクラインという超一流パイロットが含まれ、それ以外の機体にも元エゥーゴの腕利きたちが乗り込んでいる。そしてジェダは連邦軍の最精鋭たちが乗り込んでいる。これを止めるには3倍の兵力をぶつけなくてはならないだろう。
 こいつらは異常に強い、とティターンズは悟った頃には、迎撃に出てきたティターンズのMSは既に半減していた。生き残りたちが敵わぬと見て逃げようとするが、天野が側面から圧迫してそれを妨害する。まるで敵の殲滅を狙っているかのようで、一緒に戦っているあゆたちは本当にこれでいいのか不安になってしまっていた。

「うぐぅ、瑞佳さん、本当にこれで良かったのかな?」
「い、一応相沢少佐の言ってたジェダのお披露目を派手にするって言う目的は果たしてるんだよ……」
「そういう問題じゃないって気がするがな」

 困り果ててる様子の瑞佳に中崎が冷静に突っ込みをいれ、あゆと瑞佳が動揺した声を漏らしている。そんな2人の様子に中崎は人選間違えたんじゃないのか、と心の中でもう一度つ込みを入れていた。




 天野たちに襲われたブロックの被害が加速度的に増えている事態にルナツー防衛司令部が混乱をきたしていた。戦えば被害が出るのは当然なのだが、その被害の大きさが他の防衛区とは比較にならない。このままいけば遠からずそのエリアの防衛隊は壊滅して戦線崩壊を起すだろう。流石にこのままでは不味いので予備から兵力を抽出してそちらにまわす事になったが、まさか本格的な大攻勢でも無いのに子Kまで大きな被害を出すとは思ってもいなかった事で、ルナツー司令部は動揺していた。

ボルジノフ中将は敵部隊の戦力の把握に努めていたが、出鱈目に強力なMS部隊に味方の部隊が一方的に押されているという以上の情報が入らずに苛立っていた。突入してきたのは10隻程度の艦隊で決して多いというほどでは無いのだが、MS隊が凄まじく強力で頼みのグーファーでさえ蹴散らされているという。

「どういう事だ、敵はクリスタル・スノーだとでも言うのか!?」
「どうやら奴らも含まれているようですが、エゥーゴの船も確認されています。それと、敵機の中にジェガンに似た新型も含まれているようです」
「ジェガンに似た新型だと?」
「撮影された映像ですとジェガンよりもジムVに近いようですが。恐らくエゥーゴから流れたジム系の発展型の1つを採用したのでしょう。詳しい性能は後のデータ解析結果を待たねばならないでしょうが」

 ルナツー司令部がこの機体の詳細を知るのは、グリプスからのデータを受け取ってからの事となるが、このジェダの出現はティターンズを震撼させる事となる。これまで連邦軍はストライカーを除けば新型の量産機を投入してきてはいなかった。従来のジムシリーズとハイザック、そしてゼク・アインだけでずっと戦ってきたのだ。言い換えればジムVとゼク・アインはティターンズやエゥーゴ、ネオジオンのMSの進化に対して改良と物量だけで対抗出来ていたのだ。
 そこに遂に新型が登場したのだ。それが何を意味するのか、これまでのバランスが崩壊する時が来たという事だ。

 だが、今は厄介な相手が出現したというだけの事だ。その新型はグーファーすら寄せ付けずに防衛ラインを突破し、更に友軍機を攻撃し続けている。最初はルナツーに取り付くのが狙いかと思われたのだが、どうやらそうではなくこちらの戦力を撃ち減らすのが狙いだったらしい。
 これ以上減らされるわけにはいかないと決断を下した司令部は、予備兵力から大部隊を抽出してこの部隊にぶつける事にした。当初考えていたような温いやり方ではなく、5倍以上の大軍で持って押し潰す事に下のだ。

「これ以上好き勝手させるな、確実に奴らを仕留めて見せろ!」

 ボルジノフ中将はそう檄を飛ばして迎撃部隊を繰り出したが、この新手の登場を見た斎藤はすぐに撤退を決意してしまった。

「ブライト中佐、敵の増援が出てきたようだ、こちらも退くとしよう」
「斉藤大佐、ルナツーには取り付かないので?」
「それは状況が許せばだからな、余計な被害を出す前に撤退だ。それにジェダを失うほうが問題だからな」

 この作戦ではジェダのお披露目も兼ねているので、このまま完勝で勝ち逃げ出来るならすればいいのだ。幸いに味方の被害は殆ど出ていないので、このままならパーフェクトゲームで終わる事が出来る。
 敵もようやくこちらの戦力に気付いて本気で出てきたようだが、そんなものに付き合ってやる必要はない。
 ブライトを黙らせて撤退を始めた斎藤は、ルナツーの守りの堅さを賞賛する言葉を漏らした。

「しかし、1個艦隊で攻めて押し切れる様子はないか、流石はルナツーだな」
「敵の第3艦隊を引き摺りだすことも叶いませんでしたし、作戦は成功とは言えませんかな?」

 隣の席にいる副長が少し残念そうに呟く。彼はルナツーに取り付けるのではないかと思っていたようだ。いや、取り付こうと思えば取り付けただろう。久瀬大尉が行こうとした時に天野たちが同調してルナツーを目指していれば、侵入用の通路の1つくらいは確保できていたかもしれない。
 だが、どうせ後に続く戦力がなかったのでそこで終わりだっただろう。中に入っても袋叩きにされるだろうし、艦隊も退路を失っていたかもしれない。このくらいの活躍で丁度良かったのだ。
 ただ1つ心配があるとすれば、暴走気味の天野が命令どおりに撤退を開始するかどうかであったが。

「オペレーター、MS隊の撤退はどうなっているか?」
「久瀬中隊は艦隊前方に展開しながらこちらにあわせて後退中。天野中隊は撤退を開始していますが、遅れています」
「ブライト隊は?」
「こちらも撤退を開始していますが、敵艦隊の砲撃に晒されていて遅れているようです」

 斉藤隊より前に出ていたブライト隊は迎撃に出てきたティターンズの新手と砲撃戦を展開していた。ネェル・アーガマとグラース級2隻が迎撃に出てきたマゼラン2隻と砲撃戦を繰り広げ、双方の間を強力なメガ粒子ビームが交差している。マゼラン級とはいえティターンズの艦なのでMSデッキと格納庫を増設された母艦改修型であり、その砲撃力は連邦用の砲戦型に比べるとかなり落ちる。おかげでどうにかブライト隊でも撃ち合えていたのだが、もしこれが砲戦型であったら間違いなくブライト隊は撃ち負けていただろう。連邦軍の戦艦はカイラム級に至るまで砲力を重視しているのだから。例外はカノンくらいだが、これは旗艦用で戦艦というより移動する指揮通信施設なのでまた少し異なるだろうか。

 仕方がないので斎藤はノルマンディーを持ってブライト隊の支援を行う事にした。ファマス戦役の頃に建造された艦なので砲戦距離をかなり長く想定されており、有効射程の長さは最新鋭艦にも劣らない。それを生かして遠くからマゼランに連続した砲撃を浴びせかけた。撃沈を狙っての物ではなく、牽制してブライト隊の撤退を援護する為の物なのでエネルギー充填も程ほどに連続射撃を加えている。
 ノルマンディーの砲撃で2隻のマゼランは新手の出現を悟り、不利を悟ったのか後退を開始する。そしてそれに合わせるようにブライト隊も下がりだした。

「よし、全軍撤退するぞ、天野中隊はどうだ!?」
「交戦していた敵部隊を撃破し、艦隊に戻ってきています。でもとんでもない強さですね」
「それはまあ、な。相沢少佐がわざわざ凄腕ばかりを選抜して組んだ特別中隊だからな」

 あれに勝てるのはサイレンくらいだろう。いや、月宮あゆと長森瑞佳の強さは桁違いなのでもしかしたらサイレンでも返り討ちにあうかもしれない。アムロ・レイと渡り合えるのでは、とまで言われるその強さは味方としては限りなく頼もしい。だが、その動きが何処かおかしい。天野大尉が指揮をしているにしては、余りにも前に出すぎている。あれでは孤立して袋叩きにされてしまうのではないのか。


 この戦いで天野は明らかに暴走していた。その指揮は何時もの彼女らしくない攻撃的で短絡的なものであり、部下たちはどうすればいいのかで戸惑いを見せている。彼らの判断に従うなら天野の指揮は危険で無謀な物だったのだ。
 困ってしまった部下たちは中崎に指示を求めていた。天野は明らかにおかしく、とてもその指示には付いていけなくなったのだろう。今も撤退命令が出ているのに戦闘を継続しようとしているのだから。

「くっそ、天野大尉は何で下がらないんだ!?」
「知るかよ、今日の隊長はおかしいぜ!」
「どうすんですか中崎中尉、このままじゃ俺たち全滅ですよ!?」

 部下たちに指示を求められた中崎は仕方なくあゆと長森に指揮を取る旨を伝え、2人もそれを了承した。これで中崎は天野から指揮権を剥奪し、部隊に命令が出せるようになる。中崎は直ちに撤退の指示を出し、あゆに天野を連れ戻すように頼んだ。

「月宮、すまんが天野さんを引っ張ってきてくれ。必要なら手足くらいは吹き飛ばしても構わないから!」
「で、でも、天野さんもかなり強いんだよ!?」
「お前ほどじゃないだろ!」

 中崎も余裕を無くしている様で、言葉遣いがかなり荒々しい。あゆもそれ以上言い返す言葉を無くしたのか、うぐぅと呻いて天野を連れ戻しに向かった。
 この時天野は2機のバーザムを相手に彼女らしくない強引な攻めを繰り返し、かなり消耗していた。両肩のビームキャノンも片方が既に焼き切れ、使い物にならなくなっている。両腰のグレネードも既に使い切って、ビームライフルだけで戦っていた。

「天野さん、もう無理だよ、撤退して!」

 あゆのジェダがビームライフルを放ってバーザムを牽制しながら天野の機を捕まえる。動きを止められた天野は苛立った声であゆに離す様に言ったが、あゆは珍しく鋭い口調でそれを拒否した。

「いい加減にしてよ、これ以上言うなら動けないようにして連れ帰るよ!」
「月宮中尉、上官命令ですよ!?」
「こっちは祐一君と中崎さんから許可貰ってるから問題ないんだよ。あ、天野さんの指揮権はボクたちで剥奪したからね!」
「どういう事ですか、私は何もおかしな事は?」
「してるよ、部隊のみんなが今日の天野さんはおかしいって言ってるよ、何時もの天野さんならこんなごり押し攻めしないでしょ。自分だけならともかく、ボクたちまで巻き込んで自滅する気なの!」

 天野の戦い方は慎重なもので、秋子と同じように無理をせずに確実に勝とうとするタイプなのだ。機動艦隊時代の4つの大隊では攻めの相沢と北川、守りの天野の倉田という役割分担がされたくらいで、今回の祐一のようなとにかく前に出ようとする指揮は彼女らしくない。
 それを指摘された天野は返す言葉に詰まった。自分らしくない指揮を取り、自分らしくない戦い方を続けているのは今この状況が物語っている。味方が撤退しているのに、敵の撃破に拘って敵中に孤立しかけるなど愚の骨頂である。

「あゆさん、味方は?」
「斉藤大佐から撤退命令が出て、隊は中崎さんの指揮で後退してるよ。僕たちは取り残された形だね」
「そう、ですか」
「だからこんなところで止まらないで早く逃げてよお!!」

 向かってきたマラサイの右足をビームライフルで吹き飛ばし、続いてくる敵機を怯ませるあゆ。怒鳴られた天野はやっと我に帰り、牽制の為の砲撃を加えながら艦隊の後を追って後退していった。それを確認してあゆも撤退を始めたが、そうはさせまいとバーザムやグーファーが追撃をかけてきて、あゆは泣き言を喚きながら必死に逃げ回っていた。
 必死に逃げ回るあゆのジェダを見てエースが乗っている新型だとみたのだろうか、手柄を求めて周囲から敵機が集まりだし、何時の間にか10機以上のMSが群がってきてしまい、あゆは反撃する間も与えられずにひたすら逃げ惑っている。
 彼女がこの戦場を脱出出来たのは、部下を安全圏に下がらせた長森とアムロが支援に戻ってきてくれた後の事であった。助け出されたあゆのジェダは右足と頭部を吹き飛ばされ、旗艦後に廃棄するしかないと言われるような惨状を呈しており、あゆの苦労がいかほどの物であったかを教えてくれていた。ただ、このダメージでも帰艦して来れたという事実はあゆの操縦技量を差し引いてもジェダの信頼性と頑丈さを証明するもので、ジムV以上に頼りになるMSであるという実績を示すことが出来た。


 この後、正気の戻った天野の指揮の下で中隊は最後まで殿に留まり、敵の追撃を食い止めてルナツー哨戒圏から脱出して見せた。このルナツー攻撃で彼らが撃墜した敵MSの数は10機以上にもなり、撃破した数はその倍以上にもなる。これと引き換えにジェダを1機破壊という程度だったのだから人的にも物的にもティターンズとしては目が眩むような大損害だ。


 この戦いの後、天野はまだ真琴のことを振り切れた様子は無かったものの、流石に部下たちを無様な指揮で危険に晒し、更には自分のミスであゆを死なせる所だったというのは堪えたようで、サイド5に帰還した後で謝罪を兼ねて全員を誘って食事と酒を奢っていたりする。天野が酒の席を自分から用意するのは異例の事態と言っても良い事であゆたちは興味津々でその誘いを受けたのだが、後に参加者たちは口を揃えて「あの人の趣味は分からない」と零し、何があったのかについては硬く口を閉ざし続けたのだった。


 

機体解説

RGM−88 ジェダ

兵装 ビームライフル 又は 突撃支援砲
   シールド
   3連グレネードラック×2
   ビームサーベル×2
   頭部60mmバルカン×2
<解説>
 ジェダからXナンバーが取れた正式量産型。若干の改修が行われて装甲の強化、ハードポイントの増設が行われている。これらの改修は祐一の使っているG−9のデータがフィードバックされた成果で、G−9で採用されているミッションパック構想が採用されている。とはいえ構想自体は1年戦争から続くフルアーマー構想の延長であり、ジムVにも同様のコンセプトが採用されていたので連邦としては伝統的なシステムだと言える。
 装備は新規に開発された物も多く、機体の強化によってジム系の弱点であった重火器の運用も可能となり、ジェネレーターの強化によって大型ビーム兵器のドライブも可能となっている。これらのジムVの泣き所を克服した事により、大型マシンガンや突撃支援砲などの大型火器を問題なく扱えるようになった。





後書き
ジム改 ジムVの強化版とも言うべきジェダの初陣です。
栞   強いんでしょうけど、何だか微妙ですね。結局グーファーより弱いみたいですし。
ジム改 高級量産機と比較せんで下さい。F−5がF−4より弱いって怒るようなもんですから。
栞   でもこれ、ようするに防御力の高いジェガンなんですかね?
ジム改 というか、実際にそうだから仕方がない。ただジェだって出展追うとジェガンより高性能だったり低性能だったりしてハッキリしないのが問題でな。
栞   まあその辺はガンダムだしって事で。
ジム改 見も蓋も無い事を……
栞   良いんですよ、どうせドングリの背比べなんですから。
ジム改 お前も乗るかもしれんと言うのに。
栞   何を言ってるんですか、私の愛機はデンドロかνに決まってるでしょう!
ジム改 デンドロもここまで来ると無敵ってわけでもね。α・アジールを一撃で仕留めるグレネードが配備されてるくらいでして。
栞   うう、MAには世知辛い時代です。
ジム改 それでは次回、ジェダの量産配備はティターンズを震撼させる事に。また連邦軍の艦隊がルナツーの蕎麦まで迫ったという事実がルナツーの防備の不足を痛感させる事にもなった。そして連邦軍は今回の攻撃で得られた情報からティターンズの弱体化を確信して遂に地上軍を動かす事に。次回「太平洋の嵐」で会いましょう。