15章  北京攻略戦


 シアンの総指揮の元に開始された北京攻略作戦は、北京を包囲するような形に連邦軍が展開する事から始められた。東からは北川大隊が、北からはシアン率いる海鳴守備隊が、南からは佐祐理のスードリ隊が突き上げるように進んできている。機動力の高い海鳴隊、スードリ隊はカラバ部隊を西方に逃がさない役目も請け負っているので忙しいのだが、偵察は近隣の連邦航空隊が請け負ってくれているので不安はなかったりする。
 そして、作戦の第一段階である空爆は既に開始されていた。中高度から侵入したデプ・ロッグ重爆撃機の絨毯爆撃が容赦なく北京基地に降り注いでおり、遠く離れた自分達にまで爆音が聞こえてきている。あの煙の下は地獄に違いないと見ている者は思った。
 ノルマンディーからその様子を見ていたシアンは久々に見る猛空爆を感心して眺めていた。その脇に立つ久瀬や葉子、晴香たちは始めてみる大編隊の絨毯爆撃に目を丸くして見入っているのとは対照的だ。

「やれやれ、空軍の奴らも派手だねえ。久しぶりの出番だから精一杯のサービスをしてくれてる訳か?」
「いや、爆弾の在庫を処分してるのでしょう。一年戦争から既に5年、備蓄分から期限切れが沢山出てるでしょうからな」

 艦長シートに座る斉藤が顎を撫でながら答える。その視線は拡大映像の映し出されたスクリーンに注がれており、空爆の効果を確かめているようだった。

「さて、どれだけ地上施設を破壊してくれているやら」
「思ったより着弾が集中しているようです。上手くすれば発射台も木っ端微塵かもしれません」
「そいつは助かるが、アウドムラが逃げるかもしれんな」
「ノルマンディーならアウドムラくらい簡単に沈められると言いたいですが、逃げられると追い付けないでしょうな」

 地上戦の経験も豊富な2人は空爆の効果を予想しながら次の作戦を立てている。この空爆がどれだけの効果を挙げるかで次の予定が変わるからだ。

「ふむ、まあ、最初のサイの目は思っていたより良さそうだな。斉藤少佐、空爆終了後、作戦の第二段階に入る。スードリとノルマンディーを前に出すぞ」
「分かっています。MS隊の準備をさせましょう」

 斉藤に視線を向けられたことで、艦橋にいた久瀬たちは敬礼を残してMSデッキへと行ってしまった。それを見送ったシアンは暫しどうしようかと考えたが、小さく頭を左右に振ると視線を北京基地へと戻した。だが、その仕種から内心を読みきった斉藤が面白そうに問いかけてくる。

「司令は、MSに乗って出たいのではありませんか?」
「・・・・・・まあ、分かるか。これでもパイロットなんでね。戦闘があるとコクピットに入りたくなる。司令官という立場じゃそうそう飛び出すわけにはいかないと分かっちゃいるんだがな」
「聞いた話では、水瀬提督もパイロットとして戦っていたとか?」
「ああ、秋子さんはかなり凄腕のパイロットだよ。何しろ桁外れた技量を持ってるし、NTでもある。俺だって同じ機体で戦えばかなり苦戦するぞ」
「信じ難い話ですが、一年戦争ではあの川名大佐とさえ引き分けたとか?」
「そうらしい、みさきから直接聞かされたよ。その時みさきはノーマルのグフに、秋子さんは陸戦ガンダムに乗っていたそうだ。機体色からみさきは漆黒の悪夢、秋子さんはオレンジの恐怖と異名を貰ったそうだけどな」
「・・・・・・微妙なネーミングですな」

 斉藤が些か悩んでしまった。自分もかなり微妙だと思っていたのでそれには素直に頷いてしまう。というか、秋子さんにオレンジは禁断の繋がりだ。前にあった時、あのみさきでさえあれは耐えられなかったと言っていた程にあれは恐ろしい。
 そういえば、前に何故か送られてきた瓶詰めがまだ冷蔵庫にあったな、何で腐らないのだろう・・・・・・

「やはり、あれは食い物ではないのかな?」

 自問自答を繰り返すが、やはり答えは出ない。もう何十回と繰り返してきた問い掛けだが、答えが得られる日は来ないだろう。

 

 

 北京基地では連邦軍の猛空爆に晒された守備隊が右往左往していた。高度5千メートルを飛ぶデプ・ロッグを撃ち落す手段を持たないカラバとエゥーゴの守備隊にはこの爆撃をどうする事も出来ないのだ。
 最後の爆撃隊が通過して行ったあと、穴だらけになった発射基地の惨状に舞は言葉を無くしてしまった。地上戦の経験があるトルクでさえ余りの被害に顔を顰めている。

「畜生、発射台が傾いてやがる。爆撃でやられたな。シャトルは横倒しかよ」

 部下の1人が発射台を見て悔しそうに呟く。爆撃は発射台を中心に行われており、既に固定されていた打ち上げシャトルは爆撃の衝撃波を受けてものの見事に横転している。周辺にあったトーチカや防空陣地もかなりの被害を受けたらしい。がっちり構築された陣地ではなかったから被害も大きかったようだ。
 シャトルが無くなった以上、北京に留まる意味は無い。さっさと撤収して次の機会を待たなくてはいけないのだ。だが、次の機会があるのだろうか。

「・・・・・・とにかく、迎撃準備。カラバの撤収を援護する」
「スードリは、出て来ますかね。またティターンズなのでは?」
「この辺りではティターンズは大きな顔が出来ない。佐祐理は多分海鳴に行ったと思うから、今私達を攻撃してるのは最悪の相手だと思う」

 舞の声には恐怖が滲み出ている。そうなのだ、もし佐祐理が海鳴で戦力を補強したのならば、シアン率いる海鳴守備隊が出てきている可能性が高いのだ。あの基地にいるパイロット達は化け物揃いなので、敵に回ってるならかなりの脅威となる。自分達はともかく、旧式機中心のカラバには死神にも等しいだろう。
 舞の命令を受けてエゥーゴのパイロットがアウドムラの格納庫へと駆けていく。そんな中でただ1人、トルクだけがまだ舞の傍に残っていた。

「舞、もし相沢たちに隊長たちまで加わってたら、奇跡でもない限り勝ち目は無いぞ」
「分かってる。でも、今更退けない」
「・・・・・・そうだな」

 どうやら覚悟を決めるしかないようだと悟り、トルクはやれやれと諦めの溜息をつくと、自分も格納庫へと歩いていった。トルクは来ているかもしれない、と言ったが、強力なNTでもあるトルクには近付いてくるプレッシャーが感じられていた。

「隊長や相沢だけじゃなく、北川まで来てやがる。流石に今度は逃がすつもりはなさそうだな」

 戦力差は絶望的だ。自分も舞もアムロも敵のエースを相手取るだけ出て一杯だろうし、そうなれば手が回らないエース級が他のMSを手当たり次第に蹴散らしていく事になる。何しろ今度の相手は撃墜スコア20機以上のエースだけで1ダース以上いるのだから。中でも祐一、シアン、茜、浩平、瑞佳といった連中は戦闘機なども含めて軽く50機以上を撃墜している超エースである。

「・・・・・・ふう、何でこんな奴らと戦ってるんだろうな」

 自分も総計スコアで100機近くになるが、こんな撃墜王だらけの部隊をどうして相手にしなくてはならないのだろう。そんなに日頃の行いが悪かったかなあと過去を振り返り、何となく悪かったような気もしたのでガックリと肩を落としてしまった。

 

 

 連邦軍は空爆が終わるのを待って攻撃を開始した。前進してきたスードリとノルマンディーからミサイルが放たれ、空爆を生き残った地上施設を容赦なく破壊していく。そのミサイル攻撃の下を先鋒であるスードリのMS隊が進んでいた。先頭に立つ祐一が盛大な攻撃に呆れた声を上げる。

「おいおい、俺達の仕事が無くなってるんじゃないのか?」
「アウドムラ周辺では迎撃の光が確認できるから、カラバも頑張ってるみたいだよ」

 祐一の後ろに付いている名雪がジムスナイパーUに装備されている光学望遠システムで前方の状況を確認して教えてくれる。祐一が率いるスードリ隊はとりあえず15機で、祐一と名雪、栞を中心としている。スードリは所詮輸送機なので途中で後詰の部隊を出し、自らは交代する事になっている。祐一たちは前進してくるノルマンディーが来るまで逃げる事はできないのだ。
 だが、祐一の部隊はかなり強力なので心配は無いかもしれない。さしあたって一年戦争期のMSのマイナーチェンジしか装備していないカラバなど敵ではないだろう。何しろ北京にはザクタンクまでが居るのだから。

「相沢少佐、そろそろ敵の防衛線です」
「そうか、じゃあ、そろそろお仕事をするか。名雪はこの辺りで援護してくれ。護衛機は絶対に離れるなよ」
「うん、気をつけてね」

 名雪が近くの瓦礫にジムスナイパーUを移動させ、狙撃用スナイパーライフルを構える。ビームライフルに較べて威力は劣るが、狙撃地点を特定され難いという利点がある。祐一は名雪が隠れたのを確認すると、機体を一気に加速させた。祐一はヒッコリー戦とは異なり、今度は重兵装である第三種兵装で出撃してきている。両肩にシールドとドラムマガジンを取り付け、大型・大口径のマシンガンを装備しての出撃だ。両足に装備された使い捨てのブースターで短い距離をホバーで一気に突き抜けていく。背後に続くシュツーカ部隊とマークUも同様で、祐一たちが強襲を考えていた事の表れだろう。
 爆撃とミサイル攻撃ですっかり耕された北京基地は、それでもまだ生き残っていたカラバのMSや戦車、トーチカの迎撃を受けた。目の前にいるMSがジムコマンドである事を悟った祐一は呆れ果てながらマシンガンを向ける。

「あんな旧式を正面に出してくるのかよ。カラバってのは本当に余裕が無いんだな」

 連邦ならばジムコマンドなど各地の州軍に払い下げられる2線級装備だ。今の現役機は最低でもジム改であり、それ以前に作られた機体は訓練機にされたり民間や州軍で警備に使われる。あるいは武装を外されて作業機械になるのだ。宇宙でデプリの回収に活躍するザクやジムはよく目にする事が出来る。
 祐一は高速で戦場を駆けながらマシンガンをそのジムコマンドに向けて放った。現代戦に十分通用する大口径砲弾が一年戦争期のMSに放たれたのだ。ジムコマンドにはこの猛威に耐える事など不可能だった。機体を直撃した砲弾が容易く装甲を撃ち抜き、内部で信管を作動させる。
 爆発するジムコマンドを見ながら、祐一は最大の目標であるアウドムラを探した。あれを沈めれば全ては終わるからだ。

「まあ、そう簡単にはいかないよな。相手が相手だ」
「少佐、どうしますか?」
「俺と栞で敵の金色を押さえ込む。シュツーカ隊は無理をせずにひたすら圧力をかけ続けろ。どうせ俺達の仕事は探りだ」
「分かりました」

 散っていくシュツーカ隊から視線を外し、北京基地をざっと見回す。舞やトルク、アムロがアウドムラに簡単に近付かせてくれるとは思えない。そう考えた祐一は周囲に視線を走らせた。あの青いMSと金色のMSは何処に居るのかと探しているのだ。
 そして、すぐにその答えは見つかった。瓦礫の陰に潜んでいた百式改が飛び出すなりビームライフルを放ってきたのだ。高速で蛇行していた祐一はそのビームを簡単に避ける事が出来たが、いきなりの奇襲に流石の祐一も蒼くなっていた。

「あ、あぶねえ、動きを止めてたらやばかった」

 ヘルメットのバイザーを上げて浮かんでいる汗を拭うと、着地した百式改めがけてマシンガンを放った。ドラムマガジン1つで2000発は入っているので弾切れなど気にせずに撃ちまくれるというのが魅力のこのマシンガンは、弾をばら撒く傾向がある祐一にはとても合っていた。
 逆に狙われたトルクの百式改は盛大にばら撒かれた大口径砲弾のシャワーに小さな悲鳴さえ上げて逃げ回るハメになった。何しろ百式改の装甲は薄い。あんな弾を一発でも食らったらスクラップにされてしまうだろう。

「畜生、あいつは確か相沢の機体だったな。あの野郎、好き放題撃ちまくりやがって!」

 自分の方は弾を数えながら、オーバーヒートに気をつけながら撃っている事を考えると、この盛大な撃ち方は許し難い怒りを感じてしまう。しかし、本当に何発弾を持ってるのかという撃ち方である。何しろ遮蔽物に隠れれば遮蔽物を撃ち抜かんとばかりに撃ちまくるし、逃げ回れば延々と追撃ちを加えてくる。自分1機に軽く200発は使ってるだろう。

「駄目だ、撃ち合いじゃ負ける!」

 中距離からのビームガトリングやビームライフルでは頑丈に出来たゼク・アインの堅牢極まりない装甲を撃ち抜くのは難しいらしい。先ほどから何発か当ててはいるのだが全て空しく装甲に吹き散らされている。
元々大気圏内ではビームの減衰は著しく、中距離以上でのMS同士の砲戦は余り意味が無い。一年戦争では唯一ビームライフルを装備するガンダムに対し、ジオン製MSが超高張力鋼を装甲としていた為に余り問題とはならなかったが、一年戦争以降はチタン・セラミック複合装甲が主流となったためにこの問題が出てきたのだ。連邦が当時使っていたビームスプレーガンやビームガンは大気圏内では使い難く、マシンガンに再び戻されている。その後にボウワ社のBR−S−85ビームライフルの配備でこの問題はようやく解決したのだが、今度はMSの装甲材の性能そのものがファマス戦役によって得られた技術により向上した為、再び威力不足となったのだ。
 ファマスの使っていた新型のチタン・セラミック複合装甲はガンダリウム系合金に迫る強度を持っていた事がビーム兵器信仰を翳らせ、ガンダリウムγ合金の登場で再びマシンガンなどの実弾兵装に目が向けられる事になったのだ。宇宙ではビーム兵器の威力は大きく、装甲は軽視される傾向があるのだが、大気圏内ではビームよりもマシンガンの方が有効との意見が実戦部隊から寄せられており、その戦訓をゼク・アイン開発陣は反映したのだろう。何より大気圏内で現行主力MSを破壊できるということは、このマシンガンは装甲軽視の風潮がある宇宙でも猛威を振るえるということである。
  また、ファマス戦役でIフィールドを搭載したMAが出てきたり、戦艦が防御スクリーンを装備するなどの現実に対処する意味合いもある。
 トルクは近距離に踏み込んで決着をつけようと狙ったのだが、何故か祐一は近距離戦を受けようとはせず、ひたすら中距離を保とうとしていた。おかげでトルクの百式改は撃たれるままになっている。

「卑怯だぞ相沢、正々堂々勝負しろ!」

 トルクの罵声が聞こえた訳ではないだろうが、祐一の銃撃は俄かに威力を増したように見えた。
 まあ、祐一はこの時確かにトルクとの格闘戦を避けていた。ゼク・アインのマシンガンは些か大型で近付かれると取り回しが悪いという弱点があるのだ。折角持ってきたのだからこのまま有利な距離を保ちたいと考えている。

「ふっふっふ、甘いぜトルク、誰が格闘戦なんかしてやるかよ。サシでシェイド相手じゃこっちが先にバテるのは確実だからな。悪いが確実な手を使わせてもらうぞ」

 戦い方からトルクだと確信した祐一はひたすら中距離を保つように動いている。これが舞なら最初から問答無用で格闘戦を挑んでくるので、このあたりの区別は容易なのだ。2人の癖を熟知している祐一ならではの判別法とも言える。

 

 

 祐一がトルクを抑えている頃には栞がクリスタル・スノーを付けた2機を連れて舞と交戦し、カラバはアムロの指揮で必死にシュツーカ部隊を防いでいる有様だった。何しろ倉田大隊の錬度はかつてのカノン隊ほどではないにしろ、極めて高い。シゴキ魔の佐祐理の面目躍如であろう。
 祐一たちがカラバの部隊を押さえ込んでいるのを確認した佐祐理は、まさかここまで上手くやるとは微塵も思ってはおらず、祐一や栞の実力にしきりに感心していた。

「はええええええ、祐一さん、1人でトルクさんを押さえ込んでますよ。栞さんも3機掛りとはいえ舞を押さえ込んでますし、流石としか言いようが無いです」
「では、どうしますか?」
「そんなの決まってるじゃないですか。先鋒があれだけ頑張ってるんです、こっちも少し頑張りますよ」

 佐祐理はキャプテンシートから立ち上がると、花の咲くような笑顔を消し、凛々しく表情を引き締めた。

「スードリを前進、ミサイルを3連斉射後、MS隊の第2波を出します!」
「ノルマンディーも前進してきます!」
「斉藤艦長もやる気ですね。負けてられませんよ!」

 佐祐理がなんだかやる気を出しているのと時を同じくして斉藤とシアンもノルマンディーを突撃させていた。

「作戦に従い、ノルマンディーを前に出す。アウドムラにミサイル攻撃を加えつつMSを出すぞ。各MS隊は準備しろ!」
「さあて、いつまで持つかな、舞、トルク、アムロ」

 指揮を斉藤に一任したシアンは予備シートに腰掛けつつ戦況をじっと眺めやっていた。スードリも前進を始めており、MS隊を出そうとしているし、ノルマンディーもMSを出そうとしている。数と機体とパイロットの全てで相手を圧倒する事が可能であり、負ける心配は無用だろう。
 シアンは戦術モニターから視線を外すと、近くのオペレーターに問いかけた。

「北川大隊はどうしている?」
「北京の西方5キロの地点まで前進していますが、攻撃する様子は見られません」
「そうか、北川の奴、最後まで予備に徹するつもりか。まああいつの戦力が必要になるとも思えんから別に構わないが」

 元々予備戦力だと伝えてあるし、戦闘が始まったら自由に動いて構わないと伝えてあるから北川の好きにすれば良いのだ。元々遊撃が上手い奴だし、下手にあれこれ言うより良い動きをするはずだ。
 そう考え、再び戦術モニターに視線を戻したシアンは足を組み、組んだ手の上に顎を乗せて愉快そうに呟いた。

「リハビリに丁度良い相手で終わるなら、失望だな」

 勿論、そんなに簡単に終わるとは考えていない。もし自分を引っ張り出せたなら褒めてやっても良いのだが、などと考える余裕を持ちながら、シアンはのんびりと艦橋から事の成り行きを見守っている。この戦いはカラバがどうやっても勝てる筈の無い勝負であり、連中が魔法でも使って何処からともなく30機くらいのMSでも持ってこなければ大勢を覆す事は不可能だ。
 勝敗の決まっている勝負だからこそ、シアンはのんびりと傍観していられる。既にシアンは帰って何をしようかななどという事まで考えているのだった。

 ノルマンディーの格納庫では久瀬が出撃する部下達を前に出撃前の訓辞を行っていた。

「いいか、久しぶりの実戦だ。無理をしなくても勝てるだろうから気楽にやってくれ」
「中尉、相手を考えますと、早々気楽とも言ってられないと思います」
「そうよね、中尉や葉子はジムVだけど、私はジム・RMだし」
「私達はシュツーカだけどね」
「お姉ちゃん、シュツーカは良い機体です」
「まあ、私としては舞に負けるのは癪なので、本気でやりますけど」
「やれやれ、まさかパートの身分でMS戦までさせられるとはね」

 リシュリュー隊の頃から久瀬の補佐役的な存在である葉子は久瀬の楽観を戒め、晴香はやれやれと肩を竦め、名倉友里は妹の頭に手を置きながら苦笑している。そして茜はなにやら舞にライバル意識を剥きだしていた。ファマス戦役でつかなかった決着をここで付けるつもりだろうか。氷上は口では文句を言ってるが、まあ顔は笑っている。

「まあ、今回もみんなで生きて帰ってくる事を優先するように。ああそうそう、川澄さんを押さえ込むのを忘れないでくれ」
「それはそれで大変なんだけどなあ」
「ですね」

 晴香のボヤキに葉子がクスリと笑って頷く。久瀬の指揮の下、久しぶりに旧ファマスのメンバーが揃って戦いに望むのだ。この出撃はまさにあの日々の再現であった。

 

 

 スードリとノルマンディーから合わせて40機ほどのMSが出てきたのを確認した舞は罵声をかろうじて噛み殺した。冗談ではない。今でも苦戦しているのに、更に増援が出てくるとは。
 舞の苦戦の理由は栞たちの戦い方にあった。舞が格闘戦を仕掛けてくると分かっていた栞は祐一と同じく徹底した中距離戦を仕掛けてきたのだ。栞1人では舞を押さえ込むのは不可能なので凄腕2人を連れて戦っている。栞とクリスタル・スノー2人がかりで倒せない舞の技量も凄まじいが、栞の腕も中々の物だった。

「良いですか、舞さんは久瀬さんたちに押し付ける事になってるんですから、このまま時間稼ぎをしますよ」
「分かってますよ。美坂少尉」
「あの川澄大尉と真っ向からやりあう気はありませんよ」

 古巣を同じくするだけあって、舞の強さは3人ともよく分かっているようだ。舞はというと、こちらは3機が続けて撃ってくる為に近づく事が出来ず、攻めきる事が出来ないでいる。流石の舞もエース級3人に逃げに徹されてはどうする事も出来ないのだ。

「くっ、このままだと敵が雪崩れ込んでくる。アウドムラはまだ出れないの?!」

 この3機にも手間取っているのだ。この上更にあの大軍がやってきたらもう打つ手はない。その時は素直に武器を捨てて降伏するしかないだろう。

 そして、遂にスードリ隊とノルマンディー隊が突入してきた。階級こそ低いが、シアンの鶴の一声で現場の指揮をとっている久瀬の号令の下で動くMS部隊の攻撃は余りにも一方的であった。

「全機、無理をせず距離を置いて攻撃を続けろ。火線を絶やさず、敵をその場に拘束するんだ!」

 数に任せて交互に絶え間ない攻撃を繰り返す連邦MS部隊にアムロの率いるカラバMS部隊は瞬く間に殲滅されようとしていた。久瀬の指揮には隙もなければ油断もない。しかも基本に忠実で手堅いながらも、その場での応用も利かせる。士官学校次席という秀才に、ファマスでの苦闘に次ぐ苦闘によって鍛えられた実戦経験、そして天賦の才が組み合わさった結果が生み出した人材である。
 久瀬と用兵を競うには、アムロは余りにも役不足だった。しかも旧式機で数も少ない。アムロは遮蔽をとりながら反撃する味方が次々に撃ち減らされていく光景に眩暈がする思いであった。

「駄目だ、どうやってももう持ち堪えられない」

 当たり前だ。敵にはエース級がゴロゴロいて、機体性能でも数でも負けている。しかも後方からガンタンクWや戦艦部隊が容赦ない砲撃とミサイル攻撃を加えてくるのだから、これまもう戦闘ではなく一方的な虐殺だろう。
 余りの損害に我慢できなくなったアムロはアウドムラのハヤトを呼び出した。

「ハヤト、まだ出れないのか。こっちはもう持たない!」
「あと少しだ、もう少し頑張ってくれ!」
「どうやって? 敵の数はこっちの2倍以上だぞ!」

 ハヤトにもアムロにも分かっているのだ。もう、勝ち目など欠片も無い事くらい。だが、じゃあ素直に降伏できるのかと言うとそうでもない。相手はシアンだから降伏すれば命の保障はしてもらえるだろうが、じゃあ簡単に降伏できるという訳でもないのだ。アムロといえど、軍人の愚かさを持たないわけではない。
 だが、アムロの意地もハヤトの頑張りも無視して戦況は確実に連邦の勝利へと向かっている。どれだけ頑張ろうがカラバの抵抗は何の意味もない行為でしかなかった。

 

 


 この北京を巡る戦いをじっと見守る目があった。シアンたちが侵攻方向から外していた西方。そこに潜む部隊があったのだ。その大半はシュツーカ系列と思われる機体だったが、4機だけ未知の新型機が含まれている。

「准将、カラバはだいぶ苦戦しているようですが、援護しなくても良いのですか?」
「いや、そろそろ出ようかとは思っていた。丁度頃合だからな」

 樹木で偽装されていた機体が起き上がる。それは紛れもないジオン形のフォルムを持つMSだったが、どこかファマス戦役の頃の線が見える奇妙な機体でもあった。

「よし、久しぶりに戦争をやるぞ。敵は連邦軍だ、思いっきりやれ!」
「田舎に篭ってたせいで、勘が鈍ってなきゃいいけど」
「全くだ。何しろ3年ぶりくらいだからな」
「ガルタン、真希、私語は慎みなさい」
「分かってるわよ。まったく、カーナは本当に口煩いんだから」

 カーナに窘められた真希が鬱陶しそうに答える。どうやら真希は真面目一徹なカーナが苦手であるらしかった。
 そう、この場にいるのはアヤウラが地球に持ち込んでいたアクシズ部隊だったのである。その数36機、何と1個MS大隊であった。これはアクシズの保有戦力の実情を考えると驚異的な数であり、これだけの戦力をどうやって地球圏に持ち込んだのかが問題となるだろう。


 連邦軍の攻撃に晒されていたカラバは、もう全滅までのカウントダウンに入ってる状態だった。頼みの綱だった舞とトルクは追い詰められ、カラバの本体から切り離されてしまっている。いや、舞にいたっては連邦機に包囲され、追い詰められているほどだ。

「晴香、葉子、金色を逃がすなよ。殴り合いは里村さんと氷上に任せておけばいい!」

 久瀬はカラバを追い詰める傍ら、舞の無力化にも勤めていた。何だかんだ言いながらも佐祐理にお願いされると弱いのである。その為に海鳴のエースを軒並み投入しているのだから。シアンはMSの運用は久瀬に一任してあるので特に口を挟んではいない。久瀬が多少私情を挟もうが、作戦に支障が出ないのなら目を瞑るくらいの度量は持ち合わせているのだ。
 一方で舞は、集中される砲火と近接戦闘を挑んでくる2機のジムタイプに焦っていた。

「ジム・RMは分かるけど、このジムは新型!?」

 ジムU・AT並みの大火力を持ちつつ百式と渡り合う機動性を持つこの新型に舞は手を焼いていた。乗っているパイロットも驚異的な技量を持つらしく、自分を相手に一歩も引けを取ってはいない。もう一方のジム・RMも新型と呼吸を合わせてビームサーベルを繰り出し、機体ごとぶつかってはこちらにダメージを蓄積させてくる。
 幾ら舞でもこれはどうにも出来なかった。栞たちは「後は任せて、私は祐一さんと一緒にトルクさんを苛めてきます」と言って部下を連れて祐一の援護に行ってしまった。今頃は4機に蛸殴りにされてトルクが悲鳴を上げているだろう。
 だから、まさかこの局面で敵の増援が出てくるなどとは誰も考えてはいなかった。シアンや久瀬、北川、斉藤、佐祐理の誰もが勝負はあったと考え、残敵掃討戦をするような気楽さで構えていたのだから。
 だから、カラバのMSを撃ちまくっていたシュツーカの1機が横殴りのビームに撃ち抜かれて爆散した時、誰もが言葉を無くしてそれを呆然と見ていた。
 いや、その中でも動ける者がいた。平和だった3年間をひたすら戦い続けていた男だ。ビッグ・トレー級陸戦艇サンダーランドにあって未だ戦いに加わろうとしなかった北川大隊は、新手の出現にいよいよ参戦を決意していた。

「出るぞ、本隊の後退を援護する!」
「でも、私達だけでは」
「多少時間を稼げればいい。どいつもこいつも無能とは程遠いんだ。少し時間を稼げば自分で態勢を立て直す」

 そう言って飛び出していく北川のジムU・AT。それを見送った香里の隣に一弥のジムVが現れた。

「香里さん、北川大尉の言う通り、今は出ましょう」
「・・・・・・そうね、今は考えても仕方ないか」

 一弥に言われて香里も飛び出した。だが、2人が間に合うかどうかは些か微妙な所だろう。すでにアクシズのMS部隊は連邦MS部隊に襲い掛かっているのだから。

 

 

 完全に側面からの奇襲を許した連邦部隊の混乱は大きかった。何しろ勝ったと思っていた所でいきなりひっくり返されたのだ。誰だってパニックに陥るだろう。さしもの久瀬も指揮系統を立て直すことが出来ず、悪戦苦闘している。

「くそっ、まさかカラバがシュツーカを装備してるなんて。しかも何処からあんなに沢山持ってきたんだ!?」

 舌打ちしつつ久瀬はジムライフルを放ったが、それは狙ったシュツーカの機体表面に.空しく火花を散らすだけに終わった。

「馬鹿な、幾ら距離があるとはいえ、ジムライフルがシュツーカにまるで効かないだと!?」

 久瀬は何時もの冷静さを捨て去って驚愕していた。ファマス戦役において貫通力に優れるジムライフルはシュツーカに対して有効な武器であると証明されており、それは現在でも変わってはいない。ガンダムマークUに使われているチタン・セラミック複合装甲はファマスで開発された装甲材を若干改良した物で、ファマスの終盤に投入されたシュツーカD型と同じ物だが、この装甲でさえジムライフルを完全に防ぎきる事は出来ないのだ。それ程に貫通力の高いライフルなのである。
 これは連邦仕様のシュツーカF型でも変わってはいない筈であり、単純に考えてこの機体は自分の知るシュツーカとは別物だと言えた。慌てて機体の照合をコンピューターで行い、複数箇所でデータにあるシュツーカ系列機との差異を確認して歯軋りしてしまう。どういう経緯かは分からないが、あれは全く新型のシュツーカなのだ。

「だが、どういう事だ。ジムライフルを弾けるという事は恐らく装甲はガンダリウムγか、それ以上のものだろうが。カラバにあれほどの機体を開発する力があったのか?」

 久瀬の疑問に答える者はいない。いや、今は悩んでいる時ですらない。味方は奇襲によって完全に浮き足立ち、個々による反撃をするしかない状況だ。久瀬ですらこうなってはもう収拾のつけようがない。後方にいるシアンや斉藤、佐祐理が全体を纏めるしかないだろうと思われた時、祐一のザク・アインが栞たちを連れて戻ってきた。

「すまん久瀬、トルクを逃がしちまった!」
「相沢少佐、無事でしたか」
「ああ。あいつらの相手は俺がする。お前は味方を纏めて後退させろ。残念だが退くしかない!」

 祐一は撤退の指揮を久瀬に押し付けるとゼク・アインを駆って新たに現れたシュツーカの大軍に挑んでいった。栞とシュツーカ2機が続き、更に浩平、瑞佳、澪のチームも祐一の動きに呼応して反撃を開始している。
 それを見送った久瀬は、祐一に押し付けられた味方の撤退の指揮をとる為に各小隊の指揮官を掌握にかかった。何故か祐一の指示に逆らう気は起きなかった。

 祐一を中心に集まった10機ほどの部隊は現れた敵機の群に対して果敢に反撃を開始していた。とにかく味方を逃がす為にも時間を稼がなくてはならない。

「くそっ、何処から出てきたんだこいつら!?」
「祐一さん、シュツーカ4機、来ます!」

 栞の警告を受けて祐一はマシンガンを構え直した。トルクとの戦いで片方のマガジンを使い切っているが、そちらへ供給は切り替えているからまた撃ちまくる事ができる。栞のマークUも2機のシュツーカを相手取って五分の勝負を見せており、祐一は安心して正面の2機に専念する事が出来た。
 トルクに較べて動きの悪いシュツーカは祐一から見れば恐れるほどの相手ではない。マシンガンの弾幕に捉えられてたちまち1機が機体を砕かれて爆発してしまう。もう一方はゼク・アインのマシンガンの威力に驚いたかのように後退を始めたが、間に合わずに右腕を破壊されてしまった。
 だが、シュツーカの中から現れた赤いMSを見た時、祐一にはそれが何か分からなかった。

「何だあれは、見た事のないMSだが?」

 だが、悩んでいる状況ではない。その赤い新型は恐ろしいほどの加速で突入してきたのだから。手に持つビームマシンガンがパルスビームを撃ちまくりながら突進してくる。祐一は必死に機体を動かしてそれを回避していくが、明らかに実戦慣れした動きを見せる新型に僅かに焦りの色を浮かべた。

「ちっ、こいつ!」

 祐一を狙っているのはカーナだった。一年戦争では「白兎」の名で呼ばれたエースで、デュラハンに幾度も苦渋を舐めさせた凄腕である。祐一は彼女と戦った事がないので相手が誰かは分からないでいたが、その凄さにはすぐに気付く事が出来た。
 対するカーナも相手があの相沢祐一だという事は事前情報で知っていたので、無理攻めする事はしないでいる。

「相沢祐一、か。噂より出来るようだけど・・・・・・」

 距離をとろうとするゼク・アインにミサイルを放つが、それを全て迎撃してみせるゼク・アインには流石に感嘆せずにはいられない。伊達に緊急展開軍のMS隊隊長をやってはいないという事だ。
 だが、更に攻撃を加えようとしたところでいきなり横殴りの衝撃が来た。直撃を受けた左肩に閃光が走り、凄いショックでカーナは激しく揺さぶられ、シェイカーの中のような衝撃に必死に耐える。幸いに貫通はされなかったようだが、左肩は無事ではないだろう。

「痛、直撃、でも何処から?」

 呟いている間にも第2射が襲ってきたが、運良くそれは外れてくれた。間違いない、スナイパーが狙っているのだ。

「腕の良い奴、厄介な」

 スナイパーが姿を晒すとは思えないが、それでも周囲を探してしまう。もっとも、そんな事が出来たのは本の一瞬だけで、2機のシュツーカを仕留めた栞の相手をする事になる。

「祐一さんだけが敵と思わないでください!」
「こいつ、邪魔をする気か!」
「栞、無理をするな!」

 祐一がカーナのMSに銃撃を加えて2機を引き離す。栞は追撃しようとしたが祐一に止められた。

「栞、無理をするな。お前に死なれると俺が後で香里に挽肉にされちまう」

 なんか酷い事を言いながら祐一は栞を敵機から引き剥がした。栞はぶつくさ言いながらもそれに従ったが、内心では「後でお姉ちゃんに教えよう」とか思っていたりする。祐一に明日はあるのか?

 

 

 カラバ部隊を援護するように現れたアヤウラ率いるMS隊の攻撃を見て佐祐理はスードリを前進させようとしたが、それをシアンに止められていた。防御力の低いガルダ級輸送機で乱戦に突っ込むのは危険が大きすぎると言うのだ。
 替わりにノルマンディーを前進させてMS隊の後退を支援させようとしたが、それよりも早く大口径砲弾が新手の群の中に着弾するのを見てシアンは苦笑を隠せなかった。

「援護に出てきたか北川。俺の指示を待ってたら間に合わないと考えたかな」

 やれやれと肩を竦めると、シアンは身を翻して艦橋から出て行こうとした。その背中に斉藤が確認するように問いかけてくる。

「行きますか、司令?」
「ああ、あいつらだけに任せておくのも気が引けるし、個人的に恨みのある奴がいるみたいなんでね」
「恨みのある奴?」
「そう、アヤウラ・イスタスだよ。まったく、あいつとは切っても切れない縁があるらしい。俺としては2度と会いたくないんだけどな」

 そうぼやいて、シアンは艦橋から出て行った。それを見送った斉藤は視線を目の前の戦場に戻し、久しぶりに聞いた昔の知り合いの顔を思い浮かべ、僅かに表情に険を浮かべた。あの男に関しては自分にも好意的になれる要素を持たない男であったが、いざ敵に回ると些か厄介ではある。負ける気はしないが、あれはあれで無能ではないのだから。

「だが、何故あいつが地球圏にいる。まさか、アクシズが地球圏に帰還しようとしているのか?」

 ファマスにいた頃、アクシズの悲願は地球圏への帰還と、スペースノイドの地球連邦からの独立だと聞かされていた。もしそうなら、アクシズは地球に帰還しようとしているのかもしれない。そうなれば、地球圏の情勢は更に混迷の度合いを深めてしまう事になる。それは出来れば御免こうむりたいと斉藤は考えていた。



機体解説
RMS−141 ゼク・アイン(第三種兵装)
兵装  マシンガン
    クレイバズーカ
    ビームサーベル×4
    肩シールド×2
<解説>
 ペズン基地で開発が進んでいた連邦の時期主力候補の1つ。豊富な兵装オプションを持ち、強靭なムーバブル・フレームに支えられた機体は強靭な装甲で防御され、多数の装備を取り付ける事を可能とする。第三種兵装はこの特長を最大限に生かした兵装で、祐一が一番好む装備でもある。この為か、祐一のデータを下にされるであろう量産型の基本装備はこの第三種兵装になると考えられる。

RGM−79RM  ジム・ランドマスター
兵装 ジムライフル
   ビームサーベル
   頭部60mmバルカン×2
   シールド
<解説>
 宇宙用のFB型に対する地上の主力MSの1つ。第1世代のジムタイプとしては地上最高の性能を誇る。最大の特徴は地上での歩行性能で、足場の悪い場所でも動き回れるよう足回りに配慮された設計が行われている。また、短時間ならホバーユニットによる穂場リング移動も可能。
 設計的にはゼフィランサスが参考にされているが、瞳がテストしていたピクシーのデータがより多く貢献している。ホバーユニットの搭載も瞳のテストの感想から採用を決定された物である。
 

 


後書き
ジム改 ふう、遂にアヤウラが直接介入。
栞   何で私たちいきなり負けてるんですか!?
ジム改 うむ、全てはアヤウラのせいだ
栞   そうえいばアヤウラさん、小生意気にも高性能機を沢山持ってましたね
ジム改 栞に小生意気と言われるアヤウラの立場って一体?
栞   ファマス編じゃあヘタレの子悪党だったじゃないですか
ジム改 いや、彼は彼なりに結構連邦に被害を与えていたのだが
栞   はん、所詮は小賢しい弱者の知恵ですね。私たちに勝とうなんて100年早いです
ジム改 栞さん、逞しくなりましたね
栞   しかしまあ、アヤウラのシュツーカは強いですね。何ですあれ? 新型まで
ジム改 それは次回のお楽しみだ
栞   そして祐一さんのゼク・アイン、何ですあの反則な強さは!?
ジム改 あれはゼク・アインの第三種装備だ。両肩にドラムマガジン背負った化け物だよ
栞   祐一さん、気持ち良さそうに撃ちまくってましたよ
ジム改 うむ、ハッピートリガーは真琴なのだが、祐一にもその気はある
栞   真琴さんですか。今何処にいるんです?
ジム改 サイド6にいる
栞   あそこは永世中立ですから、平和でしょうねえ
ジム改 まあ、今の所はね
栞   さて次回、悪化する情勢にとうとう連邦議会が動き出します
ジム改 動き出す世界。眠れる獅子が目覚める時が目前に
栞   私の宇宙に戻ってデンドロビウムに乗りたいです
ジム改 いや、君の部隊が出ると相手が可哀想だしなあ・・・・・・