第20章  虚像達のワルツ


 衛星軌道上で出迎えの艦隊と合流したノルマンディーはサイド5にある緊急展開軍の拠点、フォスターUの第1宇宙港に寄港した。これでノルマンディーは正式に緊急展開軍の所属に移った事になり、ファマス戦役最高の戦術家と賞賛された斉藤が正式に秋子の指揮下に入ることになる。
 実はこの人事には軍内部、とりわけティターンズから強い反発があったのだが、今回のエゥーゴ戦に合わせて戦力強化の必要があるという主張が押し通されたのだ。秋子に着任の挨拶をしに司令官オフィスを訪れた斉藤は、そこで懐かしい顔と再開する事になる。司令官オフィスで斉藤を待っていたのは秋子のほかに、みさきと雪見がいたのだ。

「川名大佐、それに深山中佐まで、どうしてここに?」
「違うよ、私は中佐。雪ちゃんは少佐だよ」

 斉藤の間違いを訂正しつつ、みさきは斉藤に右手を出した。それを斉藤は握り返し、そして秋子を見る。

「水瀬提督、私のような者を、今更宇宙に呼び寄せたのはどういう理由からなのですか?」
「あら、着任早々まず質問ですか?」

 秋子は意地悪く問い返したが、特に斉藤を嫌っている風でもなく、斉藤の質問には答えてくれた。引き出しから何枚かの書類を取り出し、自分のデスクの上に広げる。それを覗き込んだ斉藤の前で秋子はそれを説明していった。

「これはこれまでの偵察で判明したエゥーゴの戦力配置です。都市部にもそれなりの戦力が確認されていますが、情報収集艦を全て使った探査で。何も無い荒地の下に無数とも言える熱源反応が確認されています。恐らく、エゥーゴは月面の地下に独自に秘密基地を複数建設していたのでしょう」
「でも、どうやってそんな事が?」
「月面にある岩石採掘場の跡地を利用したり、地下のクレバスを拡大したようですね。過去の記録と熱反応の観測場所が一致しています。勿論、1から建設した拠点もあるでしょうが」

 秋子に言われて斉藤は改めてその地図を見直した。なるほど、確かに昔の測量地図や採掘場と一致している。だが、これが全て基地だとすれば、エゥーゴの戦力は想像以上ということになる。

「これだけの数の基地が点在しているとなりますと、こちらもかなりの戦力を投入する必要がありますね。ほとんどもぐら叩きですが」
「それが悩みの種です。いくら何でもこの全てを同時攻撃するのは私の手持ちの戦力全てを投入しても不可能ですから」
「となりますと、それ専門の任務部隊を編成し、各個撃破を繰り返す事になりますが、取り逃す可能性もありますね」

 斉藤はゲリラ戦に慣れている。その頭の中では自分ならこの基地群を使ってどう戦うかを既に考えており、幾つかの戦術プランをすぐに構築する事が出来た。月面という艦橋では艦艇や攻撃機は使い難く、連邦の最大の力である大艦隊による物量戦が最大の効果を発揮し得ない。となればMS戦によいるしかないが、これだとエゥーゴに対して連邦はかなり不利になる。

「地の利は向こうにありますな」
「斉藤さんでしたら、どう戦いますか?」
「私でしたら徹底したゲリラ戦を仕掛けますが、あくまで月面都市を見捨てる事が前提です。エゥーゴが月面都市を味方に留めておきたいのでしたら、遅かれ早かれ連邦に戦って勝たなくてはならないでしょう」
「そう、人心を安定させるには勝利が一番手っ取り早くて効果的です。仮に連邦主力や私がエゥーゴに敗北すれば、世論はエゥーゴの味方になるでしょうね」

 軍隊には何処かで正面決戦をしなくてはいけない時がある。たとえそれが不利だと分かっていても、状況によっては敗北覚悟で戦わなくてはならない。そういう時があるのだ。もし連邦が月面に本格的に侵攻してきたとすれば、その時エゥーゴの指導部は決断を迫られる事になる。敗北を覚悟して正面決戦をするか、本当にただのゲリラに身を貶める覚悟で月面都市を見捨てるかである。
 秋子は月面都市の地図を横に避けると、今度は地球圏の宙域図を持ち出してきた。

「次にですが、エゥーゴはいよいよ本格的な無制限通商破壊戦に出てきました。各サイドや要塞、ステーションに向かう全ての航路が狙われているようで、商船、輸送船を問わず襲撃を受けています」
「ほう、それはまた厄介な事を。ファマス戦役に学んだという事ですかな」
「そのようです。敵は航路の破壊に武装商船や駆逐艦、仮装空母、潜宙艦を投入しているようで、航路維持に投入している部隊の交戦記録からは戦艦、巡洋艦の目撃例はありません」
「潜宙艦ですか。ジオンが遺棄した艦をサルベージしたか、新規に建造したかですな」
「残骸を調べた所、これまでに該当する艦は無かったそうです。恐らくエゥーゴの新型艦でしょう」

 秋子は忌々しそうに斉藤に答える。通商破壊戦は守る側にかなり多数の戦力を割かせることになる。連邦は航路を守る為にフリゲートだけでは足りず、駆逐艦や旧式巡洋艦、旧式戦艦まで投入してこれに対処しているくらいだ。だが、それでも被害は積み重なっており、2ヵ月後に討伐艦隊を出すという当初のプランは既に崩壊している事は誰の目にも明らかだった。秋子にしても緊急展開軍を2ヶ月は動かせるだけの物資を揃えるつもりでいたのだが、このままでは予定日までにそれだけの物資が揃う事は無さそうだという報告を受けている。
 悔しい話だが、エゥーゴの取っている戦術は確実に連邦軍を苦しめている。そしてエゥーゴに協力しているスペースノイドはかなりの数に上ると見られており、ジャンク屋や掃宙業者、商人たちの中にもエゥーゴに協力している者はいるのだ。彼らがエゥーゴの秘密拠点に物資を運び込んだりすれば、エゥーゴは延々とそこで活動を続ける事が出来ることになる。

「とりあえず、当面はこちらも機動部隊を編成してエゥーゴのゲリラ活動を封じ込める必要があります。拠点を潰すのが一番手っ取り早いのですが、なかなかそうもいかないでしょうし、とりあえずは枝葉を枯らします」
「なるほど」

 頷く斉藤に、秋子はクスリと笑って見せた。

「そういう事で、頑張ってくださいね斉藤さん」
「・・・・・・はあ?」
「ですから、貴方に機動部隊1つを預けると言っているんです」

 秋子の言葉に斉藤は暫し硬直し、そしてそれが驚愕に変わった。

「な、何を言ってるんですか。私は左遷されていた、階級も一介の少佐でしかないんですよ!?」
「その事でしたら御心配なく。斉藤さんには正式に中佐に昇進していただき、第6任務部隊を纏めていただきます」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 斉藤は開いた口が塞がらなくなっていた。まさか、自分を呼んだのがこういう仕事をさせるためだとは思っていなかったのだ。秋子は驚いている斉藤を面白そうに見ながら斉藤に新しい階級章の入った箱を差し出し、そして斉藤に預ける戦力一覧を出した。

「斉藤さんにはノルマンディーを旗艦として足の長いリアンダー級巡洋艦4隻とコロンブス級輸送艦2隻を預けます。必要でしたら駆逐隊を1つお付けします。MS隊はいずれ久瀬中尉が着任したら斉藤さんに預けますので、それまではヘープナー大尉を指揮官として預けます。他に何か希望はありますか?」
「・・・・・・1つ、質問をよろしいですか?」
「どうぞ」

 まだ呆然としている斉藤に秋子は頷いてみせる、それで斉藤は何とか落ち着きを取り戻し、秋子に疑問をぶつけた。

「水瀬提督が私をここに招いたのは、私のゲリラ戦指揮官としての能力を買ってのことですか?」
「とりあえずはそうです。戦い方を知っているのなら、駆り出し方も知っているでしょうから。勿論それだけではなく、将来的には分艦隊を率いて貰うつもりです。ファマス戦役で私を散々梃子摺らせてくれた貴方の手腕を、私は高く評価しているのです」

 秋子の答えを聞いた斉藤は、暫し過去を振り返った。ファマス戦役での数々の死闘。降伏した後に秋子とした会話、地球に来てからの輸送機部隊での日々、ファマスでは味方内での勢力争いに振り回され、連邦に戻ってからは冷や飯を食わされ続けてきた。もう宇宙に出て艦を指揮する事は無いだろうと思っていたのだ。それが再び宇宙に出られて、名将と名高い水瀬秋子の下で1部隊を任される僥倖に恵まれるとは。

「・・・・・・微力を尽くします、水瀬提督」
「「ありがとうございます、斉藤中佐」

 敬礼を交わす秋子と斉藤。この時、秋子はこの時代における屈指の用兵家を幕下に迎えたのである。

 

 

 斉藤を指揮下に加えたことで緊急展開軍は合計で6つの任務部隊を作り、これを野に放った。これらの部隊の指揮官の多くはファマス戦役においてファマス側にいた指揮官達であるが、全員がゲリラ戦に長けた指揮官である。特にみさき、斉藤は連邦から恐れられたほどの指揮官であり、これに狙われたエゥーゴ部隊の艦長たちは逃げることも出来ずに死ぬか降伏かの選択を強いられている。
 ただ、任務部隊を投入して得られた事は、エゥーゴが投入していた部隊は想像を超えて多かったという事である。任務部隊が叩いても叩いてもゲリラ活動は続いたからだ。
 この事態に頭を痛めていた秋子だったが、既に斉藤たちの奮戦に期待するしかなく、秋子は自軍の戦力を整備する事に全力を注いでいた。祐一と北川を加えたことで2人に新編成された新型MS大隊を与え、MS戦力の強化を図っている。両大隊はゼク・アインで統一された大隊であり、緊急展開軍における打撃部隊として機能することが期待されている。ただ、ゼク・アインはこの2つの大隊に集中配備されており、他の部隊は従来のジムUやハイザックで我慢する事になる。
相沢、北川大隊を除けば天野大隊がジムVに機種転換を終えており、他の部隊にも逐次ジムVが回されている事から、対エゥーゴ戦においてはジムVが全体の半数を占めることが予想されている。もっとも、装備最優良部隊の緊急展開軍だからこれだけの数が揃っているのであり、他部隊では依然としてジムU主力でエゥーゴに当たらなくてはならない。
 
 今回の機種転換に伴って祐一と北川は新たに新型機を支給されることが正式に決定し、それを受け取ることになった。フォスターUの工廠でその新型機を受け取りに行った時、2人はそこで懐かしの石橋中佐と再会することになった。

「よお、きたな悪ガキども!」
「石橋さん!?」
「整備長なんでオスローにいるはずなのにこんな所に?!」
「おいおい、こんな所はないだろ。今はフォスターU整備部部長という肩書きが付いてるんだ。一応このTOPなんだぞ」
「なにぃ!」
「馬鹿な、石橋さんが出世するなんて、そんな事ある訳が!?」

 本気で驚いている祐一と北川。額に青筋浮かべた石橋は無言で2人の首に腕を回し、ギリギリと締め上げだした。

「ああん、そんな事を言うのはこの口かあ?」
「ぐほおお、や、やめ・・・・・・」
「いぎが・・・・・・」

 息が出来ずに苦しむ2人。石橋は2人を懲らしめたことで満足したのか、すぐに2人を解放してくれた。

「全く、馬鹿なところは変わらんな。特に相沢は」
「そいつは酷い」
「まあいい。こっちにお前らに渡す新型機がある。文句は一切聞かんからそのつもりでいるように」
「新型機に文句なんて言いませんよ」
「・・・・・・・・・・・・・」

 石橋の言葉に何も考えずに祐一は答えたが、北川は何故か背筋を流れていく薄ら寒い何かを感じずにはいられなかった。一体何を渡すつもりなのだ。
 2人が案内されたのは石橋が個人で管理している極秘倉庫であった。ほとんど職権乱用なのだが、秋子も人目に付かせたくない物をしまっておくように頼んだりするので、あまり文句も言えなかったりする。
 その扉を開け中にしまわれている期待が姿を現す。それを見た祐一と北川は目を見開いて驚愕してしまった。

「こ、これは!」
「MS−05BザクT、これが俺たちの新型機!?」

 そこに入っていたのは完全な状態のMS−05BザクT、通称旧ザクであった。旧ザクの大半は一年戦争で戦没しており、生き残りの大半は連邦に渡って兵器として使えないようにされた上で民間に作業機械として売却されている。今では完全状態の旧ザクはコレクターの間で高く取引されているという曰く付きの機体なのだ。
 それがどうしてこんな所に、という疑問と、俺たちがこれに乗るのかという衝撃が二重に2人を打ちのめしていると、いきなり斉藤が扉を閉めた。

「いかんいかん、間違えた」
「間違えたって、何であんな物がこんな所に!?」
「何処で買ってきたんですか!?」
「買ったんじゃないぞ。折原がサルベージした機体を引き取っただけだ。まあ、代わりにあいつの使ってるジャンク船を基地のドックで直してやったりしたがな」
「ほとんど横領じゃないですか!」
「ギブ・アンド・テイクと言ってくれ。それに水瀬提督の了承も得ていたぞ。あいつが見つけてきた巡洋艦や戦艦を軍でサルベージして戦列復帰したこともあるんだ」

 石橋の話だと、現在の連邦軍で使われている艦艇の何割かは一年戦争やファマス戦役で戦没した艦をサルベージした物であると言う。航路を綺麗にする為のジャンク事業やサルベージ事業は軍にとっても重要な仕事であり、とりわけ機雷の処理は軍にしか出来ない。これらのサルベージされた軍用品は直せば軍事利用が可能であり、海賊やゲリラに流れていると言われている。
この問題に対処する為に連邦軍は組織的にサルベージを進め、引き上げられた艦艇やMS、戦闘ポッドなどは状態が良ければ軍が引き取り、状態が悪ければ解体されるか、民間用に再生されて払い下げられている。これらはコロニー公社や警備会社などに喜んで引き取られており、ボールなどは軍用装甲のおかげで安全性が飛躍的に向上した作業ポッドとなっている。MSも同様で、破壊された部位を作業アームに付け替えたザクやジムがコロニー再建事業に大活躍しているのだ。艦船も同様で、軍艦は危険な場所に行くには最適な上に、MSや作業ポッドなどの搭載、整備施設、強大なパワープラントを持つことから調査船等の特殊用途にも適している。つまり、軍事兵器とは民間に転用すると使える物が多いのだ。
ちなみにサルベージされて軍に復帰した艦艇は戦闘艦として復帰する物もあるが、一部は情報収集艦や工作艦、強行偵察艦などの支援艦艇や、母艦機能を増設されて航路護衛などに回されている。
そして、目の前にある2体の旧ザクもそういったサルベージ品だという事らしい。だが、これってやっぱり横領なのではないのだろうか。2人の疑惑は尽きなかった。

 そして石橋が次に案内した倉庫に置かれていた機体を見て、再び2人は絶句してしまった。そこに置かれていた1機はなんだか悪者っぽいガンダムタイプのMSと、ふざけているとしか思えないほどに巨大な超重MSであった。

「こいつがお前らの機体だ。そっちのガンダムMK−Xが相沢の、そっちのゼク・ツヴァイが北川の機体だ」
「が、ガンダムMK−X?」
「ゼク・ツヴァイ?」

 聞いた事も無いMSに祐一と北川が首を捻る。すると石橋は生来の何かが刺激されたのか、本当に嬉しそうに解説を始めてくれた。

「ガンダムMK−X、通称G−Xは、第1艦隊に配備されてる5機のG―Wの後継機だ。G−Wがインコムという有線誘導攻撃端末を搭載した試作機なんだが、こっちはその完成形なんだ。たぶん性能では現行の連邦製MSとしては最高だと思うぞ。まあ、インコムを使えるのは余程の熟練者に限られるそうだが」
「それは俺に対する挑発ですか?」
「腕が落ちてなきゃ大丈夫だがね」

 ニヤニヤと笑う石橋に、祐一は憮然としてしまった。腕が落ちてないとは言い切れなかったからだ。そして石橋はゼク・ツヴァイを説明する。

「こっちのデカブツはゼク・アインの後継機だが、まあ試作品だな。ペズン基地と共同で開発してて、あっちに3機、こっちにも3機がある。まあ組みあがってるのはこいつだけだがね」
「ですが、こんなデカブツじゃあ動きが鈍すぎるんじゃないですか?」
「そいつは心配ない。こいつはシェイドMSと似たコンセプトでな、大火力重装甲の機体を大量のプロペラントと移動用に大量のスラスターを取り付けて不利をカバーしてる。だから鈍重ってことは無い。俺たちは「歩く武器庫」って呼んでるがね」

 石橋の説明を聞きながら北川は自分の機体となるゼク・ツヴァイの巨体を見上げる。それはもうMSというよりMAと言うべき巨大なMSであり、これまでの自分の戦法を生かせないのではないのかという懸念があった。だが、支給された以上は乗りこなす義務がパイロットにはある。文句を言うのはある程度使ってみて、この機体が使えないと確信できた時にするべきだろう。

「分かりました。とりあえずこいつを使って訓練してみますよ」
「頼むぞ。なあに、お前ならすぐに使えるようになるさ」
「期待に添えるよう、努力はしますがね」

 石橋の言葉に北川は苦笑しながら答えた。だが、この後北川はすぐにこのゼク・ツヴァイへの印象を改める事になる。この機体は鈍重どころか優れた機動力を持ち、圧倒的な火力と重装甲を持つ強力なMSであることがすぐに判明したからだ。ただ、その整備性の悪さ、武装が多すぎて逆に使い難いという問題、やはり懐に入られると巨体が災いして不利になる、などの問題も出てきている。
 フォスターU工廠ではすでにゼク・ツヴァイに見切りを付け、新たにゼク・アインと同じコンセプトの小型化を進めたコストパフォーマンスに優れる汎用MS、ゼク・ドライの開発に入っているらしい。

 

 

 ちなみに、機種転換は他のパイロットに対しても行われており名雪と香里はゼク・アインへ、一弥は宇宙用のジムVへとそれぞれ乗機を変えている。浩平は澪と一緒にみさきの艦隊へと配属されてゲリラ狩りに赴いており、瑞佳はゴータ・インダストリーの依頼で暫く出向している。
 ただ、浩平はみさきの艦隊に配属される事をかなりの間拒み続けていたりする。その理由はと言えば、これまた何とも情けない物であったりする。
 久々にサイド5に帰ってきた浩平は軍用宇宙港で出迎えてくれた人たちの中に妹のみさおを見つけて手を振り、妹が駆けて来たのを見てお兄ちゃんの幸せに浸っていたのだが、何故か妹は自分を見事にスルーして自分より後ろに居た男の元にいってしまったのである。

「一弥君、久しぶりね!」
「わっ、み、みさおちゃん、どうしてここに!?」

 2人ともファマス戦役から2年が過ぎた事もあり、手足も背丈も伸びて、みさおも出る所は出て来たりしている。一弥もあの頃の甘いマスクにわずかばかりの精悍さが加わるようになり、大分男らしい容姿になっていた。そんな2人が向き合って久しぶりの再開を喜んでいるシーンは、まるで物語のワンシーンのように絵になっていた。
 その現場を目撃していた栞は年甲斐も無く両手を胸の前で組み合わせて感激していたりする。

「はあ、ドラマティックです、エステティックです、ラブリィです」
「あんた、台詞の使い時がかなり間違ってるわよ」

 この手のシーンが大好きな栞につっこむの美坂香里。彼女にすれば久々のつっこみであった。やはりつっこみにはボケが必要不可欠であるらしい。2人の隣では祐一が名雪に熱っぽい視線を向けられて露骨に顔を逸らし、北川がやれやれと肩を竦め、澪が何処からとも無く取り出したボードに『ラブラブバカップル』と書いて掲げていた。
 だがしかし、この場における2人だけの世界などという存在を決して許さない者が居た。そう、みさおの兄、折原浩平である。

「み、認めん、俺は絶対に認めんぞおお!」
「へ?」

 一弥は浩平から自分へと向けられる怒気、と言うよりもはや殺気と呼べる代物をまともに受けてビシリと固まってしまった。何しろこの折原浩平と言う男、実は重度のシスコンであり、みさおに近付く寄生虫はすべて排除してやると誓っているような男なのだ。
 一弥は自らの命の危険を察して慌てて周囲を探した。浩平を静めることの出来る常識人、長森瑞佳に助けを求めようと思ったのだが、何故か視界内に彼女の姿は無かった。

「え、あれ、そんな、長森さんは!?」
「ふっふっふ、長森なら事務手続きをしに行ってる。つまり貴様を助けてくれそうなお人好しはここには居ないのだ」
「そ、そんな、み、水瀬さん!?」

 一弥はこの面子の中では瑞佳に次いで人が良いと目される人物、水瀬名雪に助けを求めたが、名雪はどうしたものかと考えてしまっていた。そしてとりあえず答えを決めたのか、一弥に晴れ晴れとした笑顔を向けている。

「うん、やっぱりやっぱりこういう時はこれだよね」
「み、水瀬さん?」
「一弥君、ふぁいと、だよ」

 一弥の前でガッツポーズを作って見せる名雪。要するに恋の生涯くらい自力で何とかして見せろという事なのだろう。この時一弥は、浩平を食い止めてくれそうな最後の希望が断たれた事を悟った。

「ふっふっふ、どうやら孤立無援となったようだな。さあ一弥よ、ここは男同士、ゆっくりと話そうではないか」
「あ、あの、浩平さん、少し落ち着いて」
「貴様にお兄さんなどと呼ばれる筋合いは無いいい!」
「そんな事一言も言ってませんよ!」

 浩平の無茶苦茶な言い掛かりに一弥が悲鳴を上げる。ちなみにみさおはドサクサの中で一弥に左手で抱きかかえられており、顔を真っ赤にして硬直していたりする。そして観客に徹している一同はニヤニヤ笑いを浮かべながら事の成り行きを見守っていた。ちなみに実況解説は相沢祐一と美坂栞である。

「ええ、どうですかね栞さん、この状況は?」
「やりますねみさおさん、どさくさ紛れとはいえ、あっという間に密着状態です」
「これはやはり、一弥君にはプレイボーイの素質があったという事でしょうか?」
「どうでしょうねえ、ただの天然という可能性もあります」

 何処から持ち出してきたのか、長机に向かう祐一と栞。しかもマイク付きだ。それを見て香里と名雪が驚いている。

「ど、何処からこんな物を?」
「一体何時の間に?」
「それに付いては俺がお答えしよう」

 2人の背後からいきなり声がかけられる。びっくるして振り向けば、そこには七瀬の部下の中崎と、石橋の部下の住井がいた。

「あれ、久しぶりだね、中崎君、住井君」
「お帰り水瀬さん、久しぶりだね美坂さん」
「さて、あれがどうしてここにあるかと言うと、実は俺たちが用意してきたのだ」
「ちなみにマイクは栞ちゃんがポケットから出した」

 相変わらず馬鹿なことには労力を惜しまない連中である。香里は何となく頭痛がしてきた頭を右手で押さえた。
 そして、最大のお馬鹿はまさに一弥にその毒牙を伸ばそうとしていた。こう、両手をわきわきと動かしながら迫っている。その異様な姿に一弥は怖気に震えて後ずさっていた。

「こ、浩平さん、ここは穏便にいきましょう」
「ああ、穏便に済ませてやるとも。くっくっく」
「全然信用できません!」

 浩平の怖すぎる答えに一弥はもうすっかり怯えていた。冷静に考えればシェイドの一弥なら素手で浩平に負けるはずは無いのだが、そんな考えも吹っ飛んでしまうほどに今の浩平はやばかった。
 因みに、今のところ観客たちは人の不幸は蜜の味を地で行っており、一弥を助ける気は欠片も無さそうである。まあ、浩平が度を越せば名雪が本性を垣間見せるだろうという計算がある奴も混じっているのだが。
 そしてみんなの見ている前で、みさおが状況をさらに悪化させるような事を言い出した。

「か、一弥君、その、あの・・・・・・」
「は、はい、何でしょう?」
「あの、腕」
「え?」

 ここまで来てようやくみさおを抱き寄せていた事に気付いた一弥。たちまち耳まで真っ赤になって慌ててみさおから離れる。みさおの方もまだ真っ赤であり、何とも初々しいというか、ハイスクール未満と言うか、とにかく見ていてほのぼのさせられる2人である。
 だが、中にはそんな反応を許せない御仁もいるわけで、兄はそんなみさおの反応に心の中で涙し、一弥に理不尽極まりない怒りを向けるのであった。

「貴様あ、みさおを傷物にするとはいい度胸だ」
「ちょ、ちょっと待て、そんな事して・・・・・・」
「黙れ、みろ、みさおが俯いて肩を震わせてるじゃないか!」

 みれば確かにみさおは俯いて肩を震わせている。それを見て一弥はショックを受け、浩平は目に殺気を交えながらにじり寄ってくる。

「さあ一弥、地獄で己の罪を後悔してくるがいいわ!」
「ただの八つ当たりって気がしますけど!?」
「やかましい、さあ、兄の大いなる怒りを受けるがいい!」

 振り上げられたパイプ椅子。つうか貴様、一体何時の間にそんな物を。こんなので殴られたら幾ら一弥が頑丈でも怪我は免れまい。慌てて頭を庇う一弥、助けようと飛び出そうとする観客の良識派。だが、浩平がそれを振り下ろすより早く、すぐ傍にいた妹が動いた。

「お兄ちゃんの、バカ―――!!」
「グボハァァァァァ!!」

 電光石火で振るわれたみさおの右ストレートが浩平の左頬を捉え、思いっきり吹き飛ばした。吹き飛ばされた浩平はそのま床で3度バウンドしたあとにようやく止まり、飛び出そうとした観客達はみさおのパンチの威力に吃驚している。

「・・・・・・やるわね、筋が良いわ」
「香里、一体何の筋だの?」
「決まってるじゃない、あの娘なら世界を狙えるわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

 物騒な事を考えている親友に、名雪は心の中で大きく溜息をついた。
 そしてようやく帰ってきた瑞佳は、何故か血を流して倒れている浩平と一弥にペコペコと頭を下げているみさおを見て、何故か深く大きな溜息を吐いた。

「はああ〜〜〜〜、また馬鹿な事したんだね、浩平」
「瑞佳ちゃん、何でこの状況で冷静なの!?」

 名雪は瑞佳のまたかと言いたげな態度に驚いたが、瑞佳は何だか疲れた顔で名雪に答えてくれた。

「浩平が馬鹿なことしてみさおちゃんに怒られるのはいつもの事だからね。パンチが出るのも珍しくないんだよ」
「・・・・・・分かるわ、その気持ち。うちにも馬鹿が多いから」

 何だか同情している香里。だが、香里の一言にその場にいるほとんど全員がビクリと身を震わせた事が、なんとなく救えない現実を物語っているような気がする。
実は秋子指揮下の部隊の風紀はマイベックが抜けて以来、ますます悪くなっていたのである。元々秋子自身が放任主義というか、問題さえ起こさなければ細かい事は気にしない性質だった為、サイド5の部隊の中にはかなりフレンドリーな空気が漂っている。何しろ艦隊司令自らが「秋子さんと呼びなさい」といっている位だ。その為に軍隊で本来守られるべき規律という物が妙に緩くなってしまい、サイド5は弛んでいると陰口を叩かれる原因ともなっている。

 機動艦隊時代、一度この問題にマイベックが立ち上がったことがある。MS隊から天野美汐を同士として迎え、祐一やキョウといった連中に規則の何たるかを教え、艦隊に規律を取り戻そうとしたのだ。
 だが、この運動は最初から難航した。規律が厳しくなって喜ぶような者は珍しいのであり、多くは祐一の味方になってしまったのだ。秋子はこの問題を遠くから見守っているだけで助けてはくれず、孤軍奮闘を強いられた2人は香里を抱き込もうと考えた。しかし、香里は委員長タイプのくせに、細かい事言うのは嫌いというタイプであったため、2人の思想には賛同してはくれなかった。祐一は改革派を自称し、マイベックたちに対抗していった。
それで途方に暮れてしまった2人に救いの手を差し伸べたのは、何と名雪だったのである。意外な事に名雪は規則というものをわりと重視するタイプだったのだ。考えてみれば名雪は寝る事さえ除けば約束には煩いし、決まり事にも拘るし、祐一たちが限度を超えてハメを外すと叱り付けて止めさせるなど、機動艦隊内のお馬鹿軍団のリミッターのような存在である。祐一たちは名雪を怒らせないレベルで馬鹿を繰り返してきたのだ。
 機動艦隊内でも良識派と言われる名雪が加わった事で、統制派は勢いづいた。逆に改革派はたちまち勢いをなくしてしまった。改革派の中心人物たちの多くは名雪の本当の怖さを知っている。栞などの例外を除き、彼らは名雪に隠された凄まじい一面を垣間見ていたのだ。
 ちなみにこれが秋子になると、相手に呼吸困難さえ伴う物理的ダメージを知るようになるためか、秋子を怒らせようとする者は誰も居ない。一度秋子の隣でそれを味わったマイベックなどは、自分に向けられた訳でもない威圧感の余波で縮み上がったほどだ。
 かくして元々思想も何も無く、ただ締め付けられる事が嫌という不純な動機で纏まっていた改革派は空中分解の危機に直面してしまった。中立派とも言うべき北川などには馬鹿馬鹿しい事だったが、末期には改革派は16派の派閥に分かれて訳の分からない抗争を繰り広げており、リーダーの祐一にさえ何がどうなっているのか分からないという笑えない状態に陥っていたのだ。
 だが、祐一も掌握できていないという事はマイベックたちにはもっと分からないという事であり、艦隊内は混沌としてしまったのである。この事態にとうとう困り果ててしまった名雪は伝家の宝刀、「お母さんに言い付ける」を使い、事態の収拾を図る事になる。名雪を連れて直接乗り込んできた、ちょっぴり怒っている、具体的には何時もの笑顔で額に十字マークを浮かべている秋子さんに祐一とマイベック、そして各派閥のリーダー達は文字通り震え上がり、遂に話し合いというプロセスに至った。
 後にカノン隊風紀戦争と呼ばれたこの異常事態はこうして終息した。結果として緩みきった風紀が僅かとはいえ正される事になり、マイベックはまあ矛を収める事が出来たのだ。

 現在サイド5の綱紀粛正を取り仕切っている天野は、近々配属されるという久瀬にかなり期待していたりする。あのシアンさえも黙らせるという久瀬ならば、このサイド5に吹き荒れる自堕落な空気を吹き払ってくれると考えていたのだ。
 もっとも、天野はその久瀬が既に胃潰瘍寸前の状態になるまで追い詰められ、肉体的にも精神的にもボロボロになっているという現実をまだ知らない。

 

 

 地球の赤道付近にある大都市、シンガポール。そこにある喫茶店の店内でコーヒーを啜りながら新聞を読みふける男が居た。アヤウラ・イスタスである。そしてそれと向かい合うように座るのは連邦軍情報部のフリッツ・バイエルライン少佐だ。なぜアヤウラと連邦の士官がこんな所でコーヒーを啜っているのだろうか。

「・・・・・・で、私をここに呼び出した理由は何だ?」
「まあ待て、もう1人呼び出している奴がいる」
「もう1人?」

 バイエルラインの眉がピクリと動くが、アヤウラは意に介した風も無くコーヒーを啜り、新聞に視線を落としている。バイエルラインはそんなアヤウラの態度が気に食わなかったが、まさかここで拳銃を抜くわけにもいかず、激発しかけた感情を押さえ込んだ。
 そして、喫茶店に1人の女が入ってきた。そして店内をきょろきょろと見回し、こちらに気付いたのかトコトコとやってくる。

「お久だね、悪徳商人さん」
「誰が悪徳商人だ、柚木詩子」
「う〜ん、自覚が無いのかなあ」
「・・・・・・・・・まあ良い、適当に座れ。注文するなら早くしろ」
「奢り?」
「・・・・・・それ位ならかまわん」

 アヤウラの返事に表情を明るくした詩子はアヤウラの隣に腰を下ろすと、ウェイトレスを呼んで膨大な注文をしてくれた。その量にアヤウラがこめかみを引き攣らせた位だ。
 注文を終えた詩子は満足そうに正面に向き直り、そしてバイエルラインを見た。

「やっほ〜、久しぶりだねバイエルライン少佐」
「・・・・・・貴様、今まで何処に居たのだ?」
「う〜ん、世界中遊びまわってた」
「あ、遊びって・・・・・・」
「まあまあ、本題はそういうことじゃないでしょ」

 呆れるバイエルラインの前で手をパタパタと左右に振り、詩子はバッグから数枚の写真と紙の束を取り出した。

「さてと、これがアヤウラに注文された品だよ。どうするのか知らないけどさ」
「ああ、すまんな」

 アヤウラはそれを受け取ると、幾つかをバイエルラインに渡した。

「これは?」
「あんたが欲しがってた、ティターンズの内部データの一部だ。ティターンズが提出している数値と比較したいのだろう?」
「・・・・・・タダでこんな物を寄越すわけじゃあるまい。何が目的だ?」
「何、ちょっとしたお目こぼしが欲しいだけさ」
「お目こぼしだと?」

 アヤウラの提案はバイエルラインにとって考えさせられてしまうものであった。アフリカのジオン地上軍をアジアへ脱出させたいので、部隊の移動に関する情報を連邦部隊に流さないで欲しいというのだ。確かにゲリラ化した連中の移動など、情報を隠匿されれば掴むのは難しい。
 バイエルラインにしてみれば地上のジオン残党などどうでも良い存在であり、むしろ纏まってくれたほうが殲滅し易いという考えもある。それよりも今のバイエルラインにとってはティターンズのほうが気になっている。既にFIST(連邦情報部特殊任務班)が動いているのだが、ティターンズの動向はようとして知れない。それをここで得られるのなら、それは確かに大きな価値を持つだろう
 ただ、バイエルラインは現場上がりという事もあり、味方を裏切れというにも等しいこの提案に抵抗を感じてもいたのだ。しかし、それは所詮私情であり、バイエルラインはそれを押さえ付ける事が出来た。

「分かった。そのくらいは手を回そう。だが、これが本物である証拠は?」
「あ〜、それって詩子ちゃんを信用してないって事?」
「・・・・・・そうだったな」

 詩子は自分から出す情報に絶対の自信を持っている。そして今のところ彼女がガセを流した事は無い。そして彼女の立場は基本的に中立だ。連邦にもジオンにも、ティターンズにも肩入れはしない。報酬次第でどんな情報でも可能な限り入手してくる腕利きの情報屋なのだ。ただ、個人的に友人としている者を売る事だけは無いらしく、シアンや秋子たちの情報を流した事は無い。
 バイエルラインは貰った書類の束を書類入れに入れると、席を立った。

「さて、私はまだ仕事がある。これで失礼させてもらおう」
「大変だな、公務員は」
「無職のフリーターよりは良いだろう」

 皮肉の応酬をしてバイエルラインを去っていく。それを見送った詩子はバイエルラインが座っていた席に移り、運ばれてきたケーキを頬張りだした。

「そうそう、1つおまけで良い事を教えてあげよう」
「何だ、良い事とは?」
「斉藤さんが秋子さんの部下になった」
「ブホッ!」

 詩子の話にアヤウラは飲みかけのコーヒーを危うく吹きかけた。詩子がそれを迷惑そうに睨み、アヤウラはすまないと言って口元を拭った。

「何だと、斉藤は輸送機部隊で冷や飯を食ってたはずだ」
「そうだけどね。この度エゥーゴ討伐にあわせて秋子さんが呼び寄せたみたい。あんたにとっちゃ迷惑な話よね」
「・・・・・・ちっ、面倒な話だな」

 アヤウラは忌々しそうに飲みかけのコーヒーを睨みつけ、詩子は我関せずとばかりに次々と運ばれてくる品を攻略している。とりあえず今の詩子は、アヤウラよりもこの料理の山のほうがよっぽど注意を向けるべき問題なのだ。



機体解説

ORX−013 ガンダムMK−X
兵装 ビームライフル
   ビームキャノン兼用ビームサーベル×2
   インコム×2
   頭部60mmバルカン×2
   推進器付きシールド
<解説>
 オーガスタ研究所で開発されたガンダムだが、インコム搭載の量産機という性格の方が強い。第1艦隊で試験を続けられていたガンダムMK−Wから得たデータでかなり大規模な改良を受けており、性能的には現行のエゥーゴ、ティターンズの最新鋭機にも引けを取らない高性能機となっている。
 機体を作ったのはオークランド研究所であるが、テストの関係でデータと技術者はサイド5まで来ており、そこの施設を使って更なるテストが繰り返されていた。
 インコムは擬似サイコミュと言える物で、NT能力を持たないパイロットでも使えるという利点があるが、使えるのは余程の熟練兵に限られている。それでもNTパイロットを揃えるよりは余程簡単であり、量産型に期待がかけられている。


RMS−142 ゼク・ツヴァイ
兵装 マシンガン
   速射型スマートガン
   ミサイルポッド×3
   クラブ×6
   兵装ラッチ×4
   ビームサーベル×2
   頭部60mmバルカン×2
<解説>
 ゼク・アインの2倍の性能と機体の大型化の限界に挑戦した超高級機。ほとんど試作機であり、量産は全く考慮されていない。その巨大さは他のMSを圧倒する。
 ほとんど移動する武器庫であり、全身に装備されたスラスターのおかげで高機動を誇る。ただし、その超重量の為に地上での運用は不可能である。余りに癖のある機体である為、余程の熟練者でなければ動かせない厄介なMSとなっている。



後書き
ジム改 初めて祐一と北川に超高級機を支給したよ
栞   ガ、ガンダムです。祐一さんがガンダムに乗ってます
ジム改 でも性能じゃあゼク・ツヴァイの方が上だけどね
栞   そんなのどうでも良いです・ガンダムという名前が問題なんです
ジム改 何で?
栞   だって、祐一さんにガンダムなんて似合わないです!
ジム改 酷い事言うな
栞   祐一さんは量産機で頑張る影の薄いエースというのが売りじゃないですか!
ジム改 そ、そうだったの?
栞   そうです
ジム改 まあ、それはそれで
栞   まあ私はデンドロがあるから良いですが
ジム改 ・・・・・・確かに、未だにあれが最強だよな
栞   スペリオルが出てきても負ける気がしません
ジム改 いや、実際負けないし
栞   ところで、このまま月に侵攻するんですか?
ジム改 もう少しかかるけどね
栞   とりあえず、ゲリラ退治ですか
ジム改 まずはそっちかね。そろそろティターンズやリーフも出さないと
栞   そういえば、リーフってのも居ましたねえ
ジム改 まあ、いずれ出てくるさ
栞   とりあえず楽しみに待ってましょう