第23章 英雄の敗北 

 


 本隊と切り離された事を斉藤はすぐに理解していた。定時連絡が途絶え、連絡艇の行き来も出来なくなったからだ。事態を重く見た斉藤は独断で他の2つの任務部隊に集結と作戦変更を決定し、2つの任務部隊も同意した為、3つの任務部隊は最短距離で合流している。
 3つの任務部隊を集めた斉藤は本隊との即時合流を提案したが、他の2人の指揮官はこの提案に逡巡した。自分達の受けていた命令はあくまで本隊前方の捜索であり、勝手な命令変更を行えば軍規で処断される恐れがあるからだ。
 だが、既に状況証拠が本隊の苦境を何よりも雄弁に伝えている。通信は途絶、一向に現れない敵部隊、連絡艇さえ来ないという状況は異常以外の何物でもないだろう。軍事の常識で考えれば、本隊は異常事態に見舞われている、つまりは敵襲を受けており、現在こちらに気を回す余裕も無い常態だという事になる。
 同格の中佐が3人という状況が事態の対処を困難にするかと思われたが、今回はファマスに参加した折に極めて高い名声を持っていた斉藤が指揮権をあっさりと掌握してしまった。6つの任務部隊指揮官はファマス上がりの指揮官が半数を占めており、緊急展開軍内におけるファマス上がりの将兵の比率も多かったのでこれが問題にならなかった事と、昔から続く実力主義の徹底の賜物である。
 斉藤は責任は取ると言って3つの部隊を纏め上げ、本隊の救援に急行しようとしたのだが、これがまた中々の難事であった。本隊との間は多数の機雷と無人砲台によって封鎖されており、そう簡単に突破できるようなものではなかったのだ。

「さて、エゥーゴにしてやられたわけだが、どうしたもんかな、副長?」
「強行突破も1つの手ではありますが、時間が掛かり過ぎますな」

 副長の返事に頷いた斉藤は、暗礁宙域の大まかな宙域図を出させ、暫し黙考した。そして、1つの作戦を思いつくと、口に楽しげな笑みを浮かべたのである。

「1つ、エゥーゴの裏をかいてやるとしようか、副長」
「はあ?」

 いきなり楽しそうになった上官に副長は戸惑い気味の眼差しを向けたが、特に異論を挟んだりはしない。長い付き合いである副長は、この上官の思い付きが何時も効果的である事を知っていたのだ。

 

 

 秋子の艦隊は数で劣るエゥーゴに包囲されるという屈辱的な状況におかれていた。しかもそのうちの半数近くが正規の軍艦とは呼べない仮装巡洋艦や武装商船、輸送艦改造の特設空母なのである。連邦軍は敵より高性能な艦とMSを多数揃えながらも、集団として機能していない為に個艦の群れとして敵に対処するしかなかったのだ。
 だが、そんな中でも比較的経験豊富なオスマイヤー艦隊などは集団としての機能を回復しつつあり、半数に当たる10隻がオスマイヤーの指揮の下、正面に現れたエゥーゴ艦隊に整然とした砲火を叩き付けている。
 MS隊では水瀬艦隊全軍、いや連邦軍に属する全ての部隊の中でも突出して高い技量を維持している天野大隊が、混戦の中でも統制を保っているただ1つの部隊であった。ジムV36機で編成されたこの部隊は他の部隊とは全く異なる4機1個小隊を採用しており、小隊3つで1個中隊となる。この時代は3機1個小隊がどの勢力でも基本となっている為、敵より1機多い数で小隊戦を挑めるという利点を取ったのだ。また、最小単位として2機1組のチームが2つで連携を取るという狙いもある。
 天野大隊は祐一から任されていた宙域に突入してきた20機ほどのエゥーゴMSを、虐殺という言葉が相応しいとさえ言えるほどに一方的な戦闘で壊滅させてしまった。突入してきたネモやリックディアス、ジムUに天野は第2、第3中隊をぶつけて足止めし、自ら率いる第1中隊で敵左翼から突き崩しに掛かった。エゥーゴ部隊の左翼にしてみれば正面と側面から2倍以上の数で襲い掛かられたわけで、この圧力に対抗する事は出来ずに粉砕されてしまっている。
 この時、もしエゥーゴのパイロット達にデラーズ・フリートに参加したジオン残党パイロット達並の技量があれば対抗する事も不可能ではなかっただろうが、ここに居るのは際立った技量を持つパイロットではなく、天野大隊のパイロット達に較べればヒヨッコと笑われる程度のパイロットが大半だったのである。
 内戦が始まって以来、消耗を重ねてきたエゥーゴには連邦軍から移籍してきた熟練パイロットの数が減っており、その穴を民間からの志願兵で補っている。その志願兵も相手がティターンズだけだった頃は訓練を十分に受けて前線に出てきていたのだが、連邦軍が正面に出てきた事で全ては狂ってしまった。
 圧倒的な物量を生かし、エゥーゴに多大な消耗を強いてくる連邦軍の攻撃は、ただでさえ予備に乏しいエゥーゴの余力を瞬く間に奪い去ってしまい、エゥーゴは訓練未了のパイロットまで前線に投入する事を強いられている。今ではもう訓練1ヶ月で前線送り、などという事が平然と行われているのだ。それでも未だにエゥーゴが崩壊していないのは、単にエゥーゴ構成員の最大派閥たる月面都市出身者達の母都市を守ろうという祖国防衛の意識から来る士気の高さに支えられているおかげである。

 だが、士気の高さだけでは技量と経験の差は埋められない。エゥーゴパイロット達は自分達に出来る限りの操縦を見せ、自分でもこれまでで最高と褒めて良い機動を行っている。敵をロックオンし、必中を確信してトリガーを引く。だが、目の前の敵は自分達の最高の結果を嘲笑うかのように平然と背後を取り、死角に回り込んでくる。必中と確信した射撃は空しく宙を抉っていた。そして連邦機の反撃は残酷なまでの正確さでエゥーゴMSを破壊していったのである。彼らの攻撃を躱して反撃に移れるパイロットはごく僅かのベテランに限られていた。

 右翼は突き崩された左翼から押し寄せてきた第1中隊の攻撃を受けて同様の運命を辿ってしまった。元々機体性能とパイロットの技量の双方で差をつけられているので、ここに数の差と包囲効果まで加わっては勝負にすらならないのだ。
 天野は当面の敵を壊滅させた事に満足し、追撃しようとする部下を呼び戻した。祐一に任された仕事は味方が立て直すまでの間、この方面を支える事なので、追い返せればそれで良いのだ。

「各中隊、損害を報告しなさい」
「こちら第1中隊、損失無し」
「第2中隊、2機損傷、艦に戻します」
「第3中隊、全機無事です」

 受けた損害は2機損傷で敵部隊を壊滅させたのなら上出来だ。天野は満足しつつ、この場に部隊を留まらせた。

 

 


 天野大隊にMS部隊1つを瞬く間に壊滅させられたヘンケンは最初唖然とし、次いで信じられんと呟いてオペレーターに事実を確認させたのだが、かえって来た答えは同じもので、彼は右手を右側頭部に当てて唸り声を上げた。

「何て奴らだ。20機も投入したのにこんな短時間で一蹴するとはな」
「どうします艦長?」
「あんな物騒な奴らに手が出せるか。そこは避けて、脆い場所を突き崩せ。ライデン少佐は水瀬提督の旗艦を捕らえたのか!?」

 ヘンケンはこの襲撃において、秋子の抹殺を目論んでいた。後方の拠点で多数の護衛と警備システムに囲まれていては害するなど夢のまた夢だが、戦場でならばそれも不可能ではない。旗艦であるリオ・グランデを撃沈できれば、あるいは彼女を戦死させられるかもしれないのだ。連邦宇宙軍を支える2つの恒星の片方を消す事が出来れば、連邦の受ける損害は計り知れないものとなる。
 だが、それは秋子を慕う将兵の怒りを爆発させる危険も孕んでいた。特に旧機動艦隊出身の将兵は秋子に個人的な忠誠心を持つ者も多く、彼らが復讐に出てきたらエゥーゴを圧倒してしまうだろう。 

 だが、残念ながらヘンケンの賭けは未だに成果を上げてはいない。ジョニー・ライデン率いる最精鋭部隊はリオ・グランデを見つけるなり一目散に殺到したのだが、リオ・グランデの直衛機と護衛艦に行く手を阻まれたのだ。ライデンは自身のZガンダム1機にリックディアス5機、ネモ12機、ネモV2機、ガンキャノン・ディテクター3機の21機で群がる敵機を蹴散らしながら突入したのだが、その進路を塞ぐようにあゆ、栞、みさおが直衛機を率いて立ち塞がったのだ。
 突入してきたライデン隊にリオ・グランデ直衛機であるゼク・アイン3機が接近を阻もうとマシンガンで弾幕を張っていたのだが、その弾幕を物ともせずに突入してきたZが放ったビームに1機が貫かれて爆発し、それに怯んだ2機がZにマシンガンを向けようとした一瞬をついて突入してきたリックディアスが更に1機を仕留めてしまう。
 ライデンは残る1機がマシンガンを撃ちながら退いて行くのを確認し、自分の隣にいるリックディアスに指示を出した。

「サカイ、最大の武勲はくれてやる。6機連れてリオ・グランデを沈めろ!」
「よろしいのですか、少佐?
「ああ、さっさと行け!」

 ライデンに言われたサカイは近くにいるMSを連れて敵艦隊中央に突入しようとしたが、それが飛び出そうとしたとたんに頭上からビームや実体弾が降り注ぎ、2機のネモが直撃を受けて四散してしまった。

「何っ!?」

 サカイが慌てて頭上を見上げると、8機のMSが武器を撃ちまくりながらこちらに向けて突っ込んできていた。その戦闘に立つのは有名なあのセイレーンである。

「出てきたな、サイレンの化け物!」

 サイレン屈指のパイロット、月宮あゆの名を知らぬパイロットは地球圏にはまず居ない。その名は死と同義と扱われ、ファマス戦役型のMSであるセイレーンを駆って性能で勝るリックディアスを圧倒するというその実力は、サカイをして畏怖を感じさせるほどのプレッシャーとなる。
 あゆたちの突撃でサカイたちは出鼻を挫かれ、ライデンの本隊も足を止められた形となってしまった。
 
それで足を止められた所に、祐一が何とか統制を回復させた部下1個中隊を率いて突入してきた為、いまやリオ・グランデの正面は苛烈な乱戦が行われている。ちなみに残る2個中隊はそれぞれの中隊長が統制を回復させているが、それぞれに別の敵と当たっている為に援護にはこれなかった。

 祐一自身はリオ・グランデを守れた事には安堵していたのだが、敵の技量は思いのほか高く、苛烈な消耗戦の様相を呈している。部下のゼク・アインがマシンガンでネモを撃っているが、目標のネモは巧みに機体を左右に振って射撃を回避しながら距離を詰めている。
 その向こうでは栞のマークUがエゥーゴのリックディアスに苦戦を強いられていた。 栞は知らなかったが、そのリックディアスはかつてキマイラと呼ばれたジオンエース部隊に所属していたパイロット、ジェラルド・サカイ大尉の操るリックディアスだった。栞が苦戦を強いられるのも無理は無い相手なのだ。
 そして、ジョニー・ライデン少佐のZガンダムはあゆのセイレーンとみさおのジムVと交戦していた。あゆはパイロットとしての戦闘能力ではライデンを上回っていたのだが、経験と機体性能で差を付けられて大苦戦を強いられている。流石のセイレーンも主力機がジムV、ゼク・アインに更新されだした現在では明らかな旧式機であり、ウィングバインダーによる高い運動性も廃れてしまっている。所詮は3年前の技術的頂点に居た機体なのだ。
 ロングビームライフルであゆのセイレーンと撃ち合うライデンは、鋭い機動を見せながらも何故か時々甘い動きを見せる目の前のMSに正直首を捻っていた。

「何だこいつは、腕は良いようだが?」

 あゆは単純な強さではすでにあのシアンを僅かに上回り、アムロと並ぶだけの強さを発揮していたのだが、彼女の経験はファマス戦役が全てである。一年戦争のほぼ全期間を戦い抜いたライデンとは比較できないのだ。この経験の少なさがあゆの弱点であり、実戦ではより劣るシアンに負けたり、祐一に梃子摺らされる要因となっている。
 もっとも、ファマス戦役の主要な会戦の大半に参加しているあゆが経験不足というより、一年戦争の序盤から戦い続けているライデンやシアン、祐一が経験豊富すぎると言う方が正しいだろうが。
 あゆはみさおとコンビプレーで挑もうとしていたのだが、結果は強気で攻めて来たライデンの戦い方にあゆが押し切られてしまい、みさおは2人の戦闘スピードに付いていく事ができずに引き離されてしまっている。
 シェイドは人体に人外の因子を投入する事で生み出された強化人間であり、反射神経や身体強度は量産型と言われる第3世代でさえ十分な訓練を積んだ熟練パイロットを凌ぐ能力を見せる。だが、それはそこそこの訓練で実戦に投入できる下地が完成されているというだけで、即エースパイロットになれるわけではない。まして、目の前で戦っているのは一年戦争の英雄【真紅の稲妻】ジョニー・ライデンと、ファマス戦役で生まれたエース、【天駆けるうぐぅ】月宮あゆなのだ。
 2機の異常な動きの速さにみさおは付いていく事が出来ず、すっかり呆れ果てていた。

「む、無茶苦茶だ、何て動きですか・・・・・・あゆさんはともかく、相手の人は普通の人間みたいなのに」

 シェイドの自分が振り回されて付いていけないような機動を見せている2機に、みさおはあゆの援護を諦めて見送ってしまった。無責任と詰られるかもしれないが、あゆに付いていけというのも無茶な話である。
 だが、呆れているみさおを追い抜いて超人的な2機に迫るMSがいた。それを見てみさおが驚いてしまう。

「あ、相沢少佐!?」
「みさおは名雪の援護を頼む!」

 祐一のG−Xは連邦の誇る最新鋭機だが、その加速はファマス戦役のシェイドMSヴァルキューレを凌いでいる。これを可能としたのが新型リニアシートとノーマルスーツによる対G性能の向上で、普通の人間でもファマス戦役時のシェイドMS並の加速に耐えることが可能となってきたのだ。勿論実戦でそこまで無茶な加速をさせるわけは無いのだが、高級機ならばC級シェイド向けに開発されたヴァルキューレ程度の加速性能は余裕で発揮させられるようになっている。
 祐一のG−XがジムVでは付いていけない2機の動きに追随できたのは、最先端技術の塊であるG−Xと、堅実な技術だけで固められたジムVの性格の差でもあった。一般兵向けの機体にZガンダムやセイレーンと張り合えるような機動性は過剰性能である。

 苦戦するあゆのセイレーンとライデンのZを射程に納めた祐一は、迷う事無くバックパックにあるビームサーベル兼用ビームキャノンを使った。強力なビームが叩きつけられ、Zが慌てて回避する。

「ちっ、新型か!」

 ライデンは機体をジグザグに動かしながら後退させ、反撃にビームを2発撃かえした。祐一は1発はシールドで止め、もう1発は回避してセイレーンの傍に機体を持ってくる。セイレーンは致命傷こそ無かったが、判定中波と言えるだけのダメージを受けていた。装甲が頑強極まりないルナチタニウムでなければ破壊されていただろう。

「あゆ、大丈夫か!?」
「た、助かったよ祐一くん。セイレーンじゃ勝てなかった」
「あれが噂のZガンダムだな。七瀬がエクスカリバーVでやりあったらしいが、その時は五分に戦えたと言ってたぞ」
「あのMS、とんでもなく強いよ。祐一くんのG−Xよりも強いかも」
「まあ、その辺りは戦ってみて考えるさ!」

 祐一はセイレーンを置いてZに挑んだが、最初の交差でお互いに相手の正体を察してしまった。Zには一年戦争で余りにも有名になりすぎたユニコーンマークが。そしてG−Xにはクリスタル・スノーマークと緊急展開軍の部隊長マークがある。自分の相手を確認した2人は、その相手に驚愕してしまった。

「まさか、あのジョニー・ライデンだってのか!?」
「ほう、あのクリスタル・スノーの大隊長の1人、相沢祐一か」

 祐一は厄介すぎる有名人の登場に舌打ちし、ライデンは高名なエースが出てきたことに喜んでいる。しかし、実際の勝負は祐一とライデンの技量差ではなく、機体の性格の差が如実に出てしまった。ライデンは技量では祐一を凌いでいたのだが、Zガンダムの対MS戦能力はG−Xに及ばなかったのだ。これは第3世代MSであるZ系列機の最大の存在理由は敵MSの排除ではなく、あらゆる戦場に投入可能な即応戦力であった為だ。大気圏突入能力などは対MS戦には不要だが、その戦略的価値は現在までに開発された如何なるMSよりも大きい。
 一方、G−Xはインコムを搭載した実用型MSとして開発されており、主目的は対MS戦だ。2基のインコムも2門のビームキャノンもその為に装備されている。この機体の性格の違いが両者の技量差を埋めてしまっていた。
 ライデンはいきなり右側から飛んできたビームに驚いてそちらを探したが、敵機の姿は見つけられなかった。

「何だ、何が撃ってきた?」

 疑問に思っている暇も無くまた別方向からビームが飛んでくる。何かは分からないが、敵は未知の新兵器を使っているようだ。

「・・・・・・まさか、あのフラナガン機関で作ってた玩具か?」

 ライデンはキシリアの側近とも呼べる人物で、キシリアの信頼厚いエースパイロットだった。そのおかげか、彼は軍の内情にもそこそこ通じていたという経緯がある。その中には、フラナガン機関というNT研究機関と、そこで開発されたエルメスという新兵器の情報もあった。
 彼もNTという存在には余り好意的ではなく、フラナガン機関にも胡散臭い目を向けていたのだが、実際に編成された第300戦隊が連邦軍相手に絶大な戦果を上げたのを見て些か興味を覚えてしまったのだ。そして彼は、サイコミュ兵器という有線、無線攻撃端末の存在を知る事になる。それが敵として出てきたら、自分は勝てるだろうかと考えた事もあったが、まさかそれが現実になろうとは。

「はん、良いだろう。古巣から出てきた亡霊などで、俺が倒せると思うな!」

 ライデンがZを高速で動かしながらG−Xとの距離を詰めてくる。それに対して祐一は2基のインコムをフルに使って足を止めようとするのだが、相手が速すぎて祐一のインコム制御が追いつかない。逆に制御に意識を向けすぎて、隙を作ってしまう醜態を晒している。
 どうやらインコムはこの手の対エース戦には向かないらしいと悟った祐一はインコムを戻すと、操作グリップを握りなおした。

「止め止め、こんな戦い方は俺の性に合わん!」

 祐一は中、長距離戦を放棄すると直属の部下2機を呼び寄せた。そう、祐一のスタイルは多数で少数を叩き潰す事だ。相手が強いなら仲間を集めれば良い。こういう考えが平然と浮かび、実行に移せるのが彼らの強さである。シアンから脈々と受け継がれてきたクリスタル・スノーの骨士は未だに失われる事はなく、今もシアンの教え子達は集団戦闘の訓練を最重要項目としている。
 祐一の命令を受けてやってきた2機のゼク・アインはZを囲むように動きながらマシンガンを放っている。2機とも祐一がファマス戦役時代から部下に持っている凄腕で、他の部隊に移れば即指揮官になれるような実力を持っている。

 祐一は自分ともう1機でZを攻撃し、残る1機に周囲を警戒させた。ライデンはG−Xと更にゼク・アイン1機が加わった事で顔を顰める事になる。祐一だけが相手ならば勝てたかもしれないのだが、相手が2機になっては身を守るので手一杯になってしまう。何故なら、祐一が自分を拘束する間に、自由に動くゼク・アインが回り込んでくるのだ。
そして、この戦いは少しずつ祐一に有利に進んでいった。背後を気にせずにZに集中する祐一と、常にもう1機を気にしながら祐一と戦うライデンの差は、疲労の蓄積と共に少しずつ出てきたのである。
 敵の動きが鈍ってきたのを見て、祐一は勝負をつけにかかった。

「よし、ケリをつけるぞ。追い込むんだ!」
「「O・K!」」

 祐一と連携して2機のゼク・アインがZを囲むように動く。見張りに付いていた1機も攻撃に加わっている。ライデンは祐一と、名前が知られていないのが信じられないような強さをみせるゼク・アインのパイロット2人に舌打ち混じりの賞賛をしている。
 機体を右に流しながらゼク・アインめがけてロングビームライフルを連射するが、狙われたゼク・アインはそれに掠りもしなかった。

「ちい、連邦風情にしては出来るな!」

 G−Xのビームキャノンとビームライフル、2機のゼク・アインが放ってくるマシンガンの弾を必死に回避しながらライデンは自分の隊の状況を確認し、絶句してしまった。リオ・グランデに取り付いた機体は1機も無く、それどころか徐々に増えている敵に押し返されている有様だ。
 だが、それに歯軋りしている時間は無かった。通信機からラーディッシュの管制官の声が雑音混じりに聞こえてきたのだ。

「ライデン少佐、一度後退して態勢を立て直してください!」
「馬鹿な、ここで退けだと!?」
「離れていた北川大隊が戻ってきます。そちらへの対処を少佐の隊に任せると艦長が!」
「ヘンケン艦長が・・・・・・」

 総指揮官のヘンケンの命令といわれては流石のライデンも従うしかない。更に、ライデンの知らないことであったが、エゥーゴ部隊を駆逐した天野が中隊1つをこちらに差し向けており、それがもう近くにまで迫っていたのだ。
 これ以上は無理と判断すると、ライデンはサカイに部隊を下げるように指示を出した。

「サカイ、隊を纏めて下がれ!」
「ですが少佐、折角ここまできて!」
「ヘンケン艦長の命令だ。俺達は北川大隊に向かうぞ!」
 
 3機の敵に囲まれているにも関わらず、ライデンはこれだけの指示を出して自分も逃げようとしている。そうはさせまいと祐一たちが距離を詰めてくるのだが、ライデンはZをウェイブライダーモードに変形させると真っ直ぐに1機のゼク・アインめがけて突撃した。狙われたゼク・アインのパイロットは慌てる事も無く回避運動を取りながらマシンガンを叩き込んだが、残念ながら致命傷は与えられなかった。それでも交差した一瞬で命中弾を送り込んだのだから大したものだが。
 逃げ出した可変機に追いつく事は出来ない。祐一は追撃を諦めるとようやく気を抜いた。

「さすがはジョニー・ライデン。3機がかりで攻め切れなかった」
「どうします隊長?」
「いいって。あのダメージじゃあもう戦闘は出来ないだろう」

 祐一の言う通り、致命傷こそ受けなかったがかなり被弾していたライデンのZは、一度工場に戻して修理しなくてはいけないほどの損害を受けている。倒す事は出来なかったが、無力化は出来たのだ。ジョニー・ライデンがもう一度戦場に出てくるとすれば、性能に劣る予備機に乗り換えるしかなく、先程のような脅威とはならないのは確実だろう。

 

 


 ここにようやく北川が部下を率いて殴り込んできた。新たに30を越すMSが加わった事は一時的にエゥーゴを撹乱する効果があったのだが、エゥーゴも必死にこれを食い止めてしまった。北川隊に対し突撃をかけてきたネモやリックディアスは1機ずつ囲まれて撃破されていったが、それでも北川大隊を暫くそこに拘束したのである。
 時間を稼ぐ意図が見え見えのエゥーゴの攻撃に北川は唸ったが、武器を乱射しながら突入してくるエゥーゴ機を無視することは出来ず、貴重な時間を無為に失っていったのである。

「これじゃ本隊を助けられん。美坂、第1中隊でここを任せていいか!?」
「私はいいけど、1個中隊だと少し心許ないわね」

 群がってくるエゥーゴ機を相手取るには北川が抜けた11機では足りないのではと香里は考えた。しかし、本隊を助ける為には1機でも多くのMSが必要なのは分かる。北川は香里の答えに少し考え込んでしまった。
 乱戦の中で意識をほかに向けることがいかに危険かを北川はよく知っている筈だったが、この時はそれを失念していたらしい。この一瞬の隙を敵に付かれた北川は、リックディアスの接近を許してしまった。

「隊長、右です!」
「なっ!?」

 部下の警告で敵の接近に気付いた北川は慌てて機体にランダム回避をさせたが間に合わず、クレイバズーカに左腕を吹き飛ばされてしまう。緊急装置が働いて左腕への電源供給をカットし、被害を抑えようとしたがエネルギーリバースを完全に遮断することは出来ず、コクピット内の全天周スクリーンのパネルが爆ぜ、破片がシートに座る北川を襲った。

「がぁっ!!」

 破片が胸部に突き刺さり、口から出た悲鳴に血が混じる。ヘルメットのバイザーに付いた血を見て流石の北川も不味いと感じた。

「ちっ、こりゃ死ぬかな」

 幸いにして空気漏れは無いようだが、これでは戦う所ではない。もう一度襲われたらアウトだろう。
 だが、幸いにして北川が襲われる事は無かった。香里が第1中隊を纏めて北川を徹底的にガードさせたからだ。部下が近付く敵機を蹴散らしているのを横目に、香里はゼク・ツヴァイを掴んで声をかけている。

「北川君、北川君、大丈夫!?」
「グッ・・・・・・くあ・・・・・・」

 北川からの返事はなく、何やら苦悶の声が漏れ聞こえるのみだ。どうやら負傷しているらしいと判断した香里は、第2中隊と第3中隊の中隊長に通信を入れた。

「北川大尉が負傷しました。第1中隊は敵を強行突破して手近な味方の艦に大尉を預けます!」
「待て美坂少尉、この状況で突破など出来ると思うのか!?」
「やってみなくては分かりません。このままじゃ大尉、潤が死にます!」

 香里の悲痛としか言えない叫びに、2人の中隊長は黙ってしまった。この2人の関係は誰もが知るところであるが、香里がこうも焦りを見せるのは珍しい事だからだ。
 そして、諦めたように2人の中隊長は香里の案を受け入れた。

「分かった。ここは任せろ。近くにラーカイラムが居るから、少尉は第1中隊と共にラーカイラムを目指せ。後は俺達が何とかしてやる」
「す、すいません!」
「気にするな。それより、必ず隊長を助けろよ」

 迫ってくるエゥーゴ部隊に第3中隊が挑み、第2中隊が第1中隊の為に突破口を切り開こうと無茶をしてくれる。北川の人望の高さが部下に無茶をさせているのだが、とにかく2つの中隊の努力で何とか艦隊への道は切り開けた。


「よし、行け美坂少尉!」
「はい、後はお願いします!」

 香里の指揮する第1中隊が艦隊主力めがけて突入していく。北川のゼク・ツヴァイを引っ張ってなので足は余り早くは無いが、突破口が開けていたので何とかたどり着けるだろう。突っかかってくる奴くらいは元サイレンの香里1機でお釣りが来る筈だから。

 ゼク・ツヴァイは何とかオスマイヤーの旗艦、ラーカイラムに収容されたが、コクピットから救出された北川は胸部にスクリーンの破片が突き刺さり、出血多量で意識を失う重体となっていた。
 同じくラーカイラムに着艦した香里は整備兵に機体のチェックと補給を頼むと、急いで医務室に向かった。途中の通路には手当てが済み、病室を追い出された負傷兵が腰を降ろしている。医務室に飛び込んだ香里は手近な衛生兵を捕まえて問いかけた。

「大尉は、北川大尉は無事なの!?」
「お、落ち着いてください美坂少尉。大尉は現在手術中です。まだどうなるかは分かりませんが、出血多量で意識はありませんでした」
「・・・・・・そう」

 香里は衛生兵を話すと、肩を落として手近な椅子に腰を降ろしてしまった。香里はそのまま、格納庫から呼び出しが掛かるまで座り続けていたのである。

 

 MS戦は祐一や天野の奮闘でどうにか五分以上の勝負をしていたのだが、ライデンとの戦いでボロボロになった祐一とあゆ、サカイとの戦いでやはりボロボロにされた栞が空母に戻ったために再び押され始めている。特に祐一が後退したのは大きく響き、各部隊間の連携が乱れてきていた。相沢大隊と天野大隊を除けば質が一気に落ちるだけに、これらの部隊と連携が断たれたのは痛い。更に戻ってきてくれた北川大隊も肝心の北川が負傷して指揮がとれなくなった為、中隊レベルの奮闘に留まっている。もっとも、この時点では北川の負傷はオスマイヤーしか知らない。
 MS隊が押されだすのと同時に艦艇の被害が増えだす。MSに取り付かれた巡洋艦や駆逐艦が沈められ、その攻撃は少しずつ戦艦や空母といった主力艦に及ぼうとしていた。
 ライデン隊を退けた旗艦の直衛艦隊は態勢を立て直そうとしていた。頼みにしていたエースたちは後退してしまったが、まだ集結しているMSは残っているし、艦艇も大半が健在だ。敵はまだ押し寄せているが、そうそう突破される事もあるまい。

 しかし、まだ油断するのは早すぎた、ヘンケンはまだ諦めてはいなかったし、態勢はまだ完全に立て直されたわけではない。リオ・グランデ周辺は未だに隙が多く、護衛艦は集結を終えてはいない。そこに、エゥーゴ艦隊が突進してきたのだ。
この場に集まった戦艦の中で最強の砲撃力を持つラーディッシュは直衛機の支援を受けつつ、遂にリオ・グランデを射程に捉えたのである。幸いにもリオ・グランデはこちらに側面を向けている。

「敵旗艦、捕捉しました!」
「ようし、何が何でも当てろよ!」

 ラーディッシュの主砲が咆哮し、幾条ものビームがリオ・グランデを襲う。だが、その砲撃は偶然にもリオ・グランデとラーディッシュの間にいた駆逐艦を直撃し、これを轟沈させてしまった。

「護衛の駆逐艦に直撃、撃沈しました!」
「駆逐艦なんぞどうでもいい、リオ・グランデに当てろ!」

 ヘンケン艦橋で激昂していたが、その一撃でリオ・グランデがこちらに気付いたのは確かだ。艦首をこちらに向け、主砲が旋回している。

「敵艦、主砲温度上昇、来ます!」
「防御スクリーン前方に集中、衝撃に備えろ!」

 ヘンケンの咄嗟の指示が飛び、全員が急いで手近な物に捕まる。その直後に防御スクリーンがビームと干渉して衝撃が艦体を激しく揺さぶり、ラーディッシュの正面には干渉によって生じた防御スクリーンの燐光が薄い幕となっている。
 ヘンケンは振動が収まったの確かめると、リオ・グランデを睨みつけながら指示を飛ばした。

「こうなったら根競べだ。撃って撃って撃ちまくれ。ファマス戦役に作られた巡洋戦艦なんかに撃ち負けるなよ!」

 ヘンケンの気合が乗り移ったかのように撃ちまくるラーディッシュ。負けじとリオ・グランデも撃ち返すが、アイリッシュ級戦艦とアキレウス級巡洋戦艦では砲力も防御力も決定的に違う。リオ・グランデに出来る事は唯一勝る速度性能によって有利な距離を維持することであった。防御スクリーンでは弾けないレーザーブラスターも有利な武器となる。レーザーブラスターはファマス戦役で設計されたリアンダー級巡洋艦、アキレウス級巡洋戦艦が標準装備する正面固定式の対艦レーザー砲で、威力不足と射界が狭いのが弱点だが、優れた直進性を持つために命中率はかなり高い。ことに防御スクリーンが標準装備されるようになった現在の戦いでは非情に使い勝手がいい武器となっている。
 ビームが防御スクリーンに弾かれ、あるいはスクリーンを突破した直撃弾で艦が振動するたびに参謀達は小さな悲鳴を上げている。実戦の経験が足りないのがはっきりと分かる醜態だが、それは経験を積めば自然と慣れるものだ。秋子は参謀達を責める事も無く、じっと旗艦と敵艦の砲戦を凝視している。

「・・・・・・ふふふふ、戦艦同士の正面からの砲戦、時代遅れとは分かっていますが、やはり一度は夢見たシチュエーションですね」
「提督、こんな時に何を言っているのですか」

 ボスウェル大佐が何だか嬉しそうな秋子を嗜めるが、秋子は聞いてくれない。ボスウェルはこの提督がこういう人だとは知っていたが、改めてこの人と付き合ってきた昔の上官、マイベックの凄さを実感してしまう。
 秋子は何だか昔を振り返っているボスウェルを無視し、戦術スクリーンに視線をやって周囲の状況を確認する。

「流石に、祐一さん、あゆちゃん、栞ちゃんが艦に戻ってはMS隊もまともに動けませんね。まあ、この戦いにMSを使うのも無粋ですから、丁度良いですか」

 秋子は嬉しそうに微笑むと、直後にその笑みを消した。

「リベシオ、アリセオに通信。右側面から敵戦艦に突撃し、敵艦の動きを妨害せよ」

 秋子の指示が伝達され、マエストラーレ級駆逐艦2隻がラーディッシュの側面に高速で移動しながら砲撃を加えていく。セプテネス級駆逐艦が突撃艇の設計が残る艦首固定のレーザー砲とミサイル発射管であったのに対し、マエストラーレ級駆逐艦はメガ粒子砲の連装砲塔1基を装備し、上下に1基ずつの旋回式のミサイル発射管を装備する事で攻撃の自由度を向上させた、より実戦向きの艦となっている。これに右側面からビームとミサイルを撃ってくるので、ラーディッシュも流石に後退を余儀なくされた。
 ヘンケンはたかが駆逐艦ずれがと激怒していたが、流石に駆逐艦のミサイルをまともに受けるのは不味い。駆逐艦は装甲もほとんど無く、ジェネレーターの出力不足から防御スクリーンも持たない極めて脆弱な艦だ。だが、その突撃艇譲りの速度性能と運動性は戦艦からすれば厄介極まりなく、主力兵器である対艦ミサイルは一撃で巡洋艦を屠り、数発で戦艦さえ沈めてしまう。
 後退していくラーディッシュに追撃ちを加えるリオ・グランデの艦橋で、秋子はふと時計に目をやった。

「そろそろ、戻ってくる頃ですかね」
「何がですか?」
「うふふふ、斉藤さんたちですよ。通信が遮断された状態で、何時までも子供みたいに慌てふためいているような可愛げのある人だと思いますか?」

 何時もの笑みを浮かべる秋子。だが、それを見たボスウェルの頬に一筋の汗がつたり落ちる。まさか、この提督は任務部隊が戻ってくる事を予想していたとでも言うのだろうか。しかし、それはまだ予想であり、斉藤たちが戻ってくるとは限らない。いや、こんな予想が当たるなど、あって欲しくは無い。
 しかし、ボスウェルの戻ってくる筈が無いという想像は、ものの見事に裏切られる事になる。

 

 数々の障害を迂回してきた任務部隊は、遂に本隊を襲うエゥーゴ部隊を捕らえる事に成功した。

「エゥーゴ艦隊、捕らえました!」
「まだ味方は頑張ってるようだな。着いたはいいが味方は全滅でした、なんて状況も考えてたんだが」
「艦長、そういう想像は口にしないで下さい」
「やれやれ、我が艦隊には言論の自由は無いのかな?」

 茶化すように斉藤が答え、そして軍帽を被りなおすと、裂帛の気合を込めて全軍に命令を出した。

「全艦全速、敵艦隊の背後を叩く!」

 サラミスD型、E型、補給艦といった艦は駆逐艦をつけて残し、残る全艦で敵の背後に出た。斉藤たちの接近に気付かなかったエゥーゴ艦隊は斉藤たちに無防備な背後を晒す結果となり、護衛のMSがその接近に気付いた時には、すでに主砲の照準を終えていたのである。

「主砲、一斉発射!」

 斉藤が振り上げた腕を振り下ろす。それと同時に20を越す艦から主砲が放たれ、急いで防御スクリーンを背面に展開しながら回頭に入ったエゥーゴ艦艇だったが、十分に照準された無数の砲火は正確に艦艇を捕らえ、防御スクリーンを過負荷で撃ち抜いて艦を捕らえた。
 爆発四散した味方艦を見てヘンケンは何事かと背後を振り返り、オペレーターの報告を聞いて絶句してしまった。

「背後より敵です。ノルマンディーの姿を確認!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 咄嗟に言葉が出てこず、ヘンケンは背後を凝視している。馬鹿な、一体どうやってあの機雷源や自動砲台をこんなに短時間で突破してきたというのだ。その疑問だけがヘンケンの頭に渦巻いている。だが、それに答えてくれそうな人物はノルマンディーの艦橋で指揮をとっている。
 今のヘンケンに出来る事は、全軍に撤退を命じる事だけであった。

 


機体解説
MSK−005K ガンキャノン・ディテクター
兵装 ビームキャノン×2
   ビ−ムスプレーガン
   頭部60mmバルカン×2
<解説>
カラバがメタスのフレームを流用して開発した中距離支援機。性能は優秀で、カラバは防空MSとして使用して大きな戦果を上げている。戦闘機だけでなく、アッシマーのようなTMAを撃墜した記録もあり、廃れていた中距離支援機の価値を再認識させた。
MSKはカラバのナンバーで、エゥーゴで使う宇宙用はMSA−005Kのナンバーとなる。


MSA−004K ネモV
兵装 ビームキャノン
   ビームライフル
   ビームサーベル
   頭部60mmバルカン
<解説>
 ネモの強化型の1つで、武装強化型。ネモ自体は小改良を繰り返す事で性能を少しずつ向上させているが、それとは別に時代の流れにあわせて火力を強化したタイプ。試作だけに終わったネモUがベースとなっており、ネモ系では数少ない大火力・重装甲を目指して開発されたMSである。
 だが、ティターンズと戦う為に開発された本機は内戦向けであり、コストに目を瞑ってそれなりの性能を達成しているのだが、連邦の本格的な参戦によって大規模消耗戦となった現在ではその高コストが災いし、余り多数は生産されていない。ガンキャノン・ディテクターの方がコストパフォーマンスで勝った事も本機の価値を下げている。




後書き
ジム改 ようやく斉藤が戻ってきて、エゥーゴは遂に撤退
栞   まあ、勝てるとは思ってませんでしたが、連邦も大損害を出してますね
ジム改 うむ、並の艦隊なら解散させられてもおかしくないほどの損害を出してる
栞   水瀬艦隊なら大丈夫だと?
ジム改 水瀬艦隊は150隻位を保有してるからな
栞   第2艦隊が60隻なのに、その2倍以上ですか
ジム改 水瀬艦隊だけでエゥーゴを潰せると言われるのはジョークじゃないのだよ
栞   ですが、北川さんは重症。艦隊もボコボコですよ
ジム改 ふっふっふ、水瀬艦隊の人材の厚さを侮っては困るな
栞   沢山いますからねえ
ジム改 それに、ヘンケンの部隊もボロボロだよ。犠牲は5割以上だ
栞   倍以上の大軍相手にこの戦果なら十分圧勝です!
ジム改 その圧勝で出た損害を回復できないのが問題だね
栞   数の暴力に勝る力は無し、ですか?
ジム改 必ずしもそういう訳じゃないけどね
栞   ところで、何で私はNTなのにOTのサカイ大尉に負けてるんでしょう?
ジム改 NTだから絶対に強いって訳でもないからねえ
栞   相変わらず酷い話です
ジム改 七瀬はOTだがS級シェイドの舞や茜と五分に戦えるぞ
栞   あの人は人類の例外です! なんでOTなのにシェイドと戦えるんです!?
ジム改 シェイドは人工的に人間の限界レベルの力を引き出してるだけだからねえ
栞   七瀬さんは強化されずにそのレベルに来てると?
ジム改 そう。ファマス編でトルクと互角の白兵能力を見せた久瀬もその類になる
栞   シェイドって、何なんです?
ジム改 それはまたそのうち本編でw