第36章  進撃するティターンズ


 

 月での戦いで大きな痛手を受けた緊急展開軍は傷付いた味方を庇いながら何とかサイド5に帰ってきたが、サイド5も大きな被害を出していてすぐに修理を始められる状態ではなかった。とりあえず損傷の酷い艦は無事だったオスローのドックに入れ、軽傷の艦は工作艦で修理するという体制を作っているが、作戦行動が可能になるまでにどれほど時間がかかるのか見当も付かなかった。
 フォスターUの司令部に戻ってきた秋子は急いで会議室に幹部を招集すると、現在の世界情勢を報告させた。だが、それによってもたらされた情報は秋子さえも絶望させるに足る物だった。


 地球上ではティターンズは既にダカールを占領し、連邦議会の制圧を終えたらしい。大統領と閣僚の一部、機転の利く議員などは早々にダカールを脱出したようだが、未だにその行方は掴めていないという状態だ。アフリカ大陸はティターンズにほぼ制圧されたと見て良く、ティターンズに従わなかった部隊はスエズ運河を渡ってバルカン半島からヨーロッパに入ろうとしているらしいが、ティターンズの追撃部隊と激しい戦闘を行いながらの撤退らしく、無事にたどり着けるかどうかは賭けだろう。ヨーロッパではヨーロッパ方面軍司令部はティターンズに組しようとしたのだが、ブリテン島のベルファースト基地司令官であるエイパー・シナプス准将を中心にヨーロッパの反ティターンズ系部隊が大同団結して方面軍司令部の反逆を阻止してしまった。おかげでヨーロッパは連邦側に残されている。
 だがインドにあるマドラス司令部はティターンズの影響の強い基地だった事もあり、ティターンズの決起に同調して周辺を征圧してしまった。この為に南アジアから中央アジア、東南アジアはティターンズの勢力化におかれてしまった。東アジアはカラバと連邦、ティターンズとジオン残党の4勢力が混在するモザイク状態なので未だに混沌としているが、マドラスから突き上げてきたティターンズ部隊とジオン・カラバの連合部隊が激突している。こちらの連邦部隊は烏合の衆だが、海鳴基地のシアンが纏めに入っているらしく、逐次大陸から海鳴基地に兵力を引き上げているらしい。タンユワンの極東方面軍司令部は既に音信不通になっている。
 
 アメリカ大陸の方は北アメリカはティターンズの手に落ちてしまったが、南アメリカはジャブローがティターンズのクーデター部隊を撃破出来たので未だに健在なのが大きく、パナマ基地でティターンズを食い止めるのに成功している。ただジャブローにあった地上軍総司令部はこのクーデターで真っ先に破壊されてしまった為、現在は派閥抗争の煽りで総司令部に居場所が無く、防衛司令部に居ついてたおかげで運良く難を逃れた防御指揮官のマイベック准将が司令官を代行している有様だ。
 完全に安定していると言えるのはオーストラリア大陸で、オーストラリア方面軍総司令官のジョン・コーウェン大将の強力な指導力の下、ティターンズの反乱は全て短時間で制圧され、ほとんど混乱らしい混乱を見せなかった。
 元地上軍総司令官という地位にあっただけあり、その指導力と人望は多くの連邦将兵を惹き付けるに足りる。ベルファーストのシナプス、ジャブローのマイベックはコーウェンと連絡をつけて全体の統制を回復させようとしているくらいだ。
 その一方でシアンは太平洋艦隊司令部のあるハワイと連絡を取っている。海軍はティターンズの影響が極めて小さい軍隊で、海軍の大半はティターンズに同調しなかった。僅かにマドラスに拠点を置くインド洋艦隊がティターンズに組した程度で、主だった海上艦隊は全てティターンズに毅然と反抗している。
 地球は事実上2分され、連邦とティターンズが睨み合っているという状況になっている。これを打開するには大規模な兵力の投入が必要だろうが、酷い混乱が続いている為にそれはお互いに不可能となっている。もし決戦があるとすれば、この混乱が収集して戦線がはっきりした後だろう。

 これに対し、宇宙は更に酷い混乱に陥っていた。グリプスを出撃したティターンズ主力艦隊はルナツーを陥落させ、連邦最大の宇宙拠点を手中に収めた。サイド7もティターンズの支配下に置かれており、現在はサイド6に圧力をかけているようだ。サイド6は独自にリーア軍を保有しているが、それはティターンズに抗しえる様な武力ではなく、遠からずティターンズに屈服する事になるだろう。その場合、サイド6駐留の連邦軍は近くのサイド2に移動する事になる。それまでサイド2が健在ならばの話になるが。
 サイド1は連邦主力艦隊が入り、ルナツーに入ったティターンズ主力艦隊と睨み合いを続けている。ルナツーにはティターンズに寝返った第6艦隊もあり、今やその戦闘艦艇数は100隻以上に達していると見られている。このルナツーとサイド1の中間宙域が事実上の最前線であり、決戦の舞台となるのは疑いないだろう。リビックの主力艦隊は第2艦隊を月に残してきたとはいえ、なお3個艦隊で150隻以上を保有し、2個支援艦隊100隻も同行している。ただ損傷艦も多く、サイド1の湾口施設で懸命の修理を行っていたりする。一部はサイド5に送られて本格的にドック入りを余儀なくもされた。
 
 各地の方面隊を見れば、コンペイトウは司令官のブライアン・エイノー中将がティターンズ側に付いたため、ティターンズ勢力となっている。ただエイノーは部下の中から不満を持つ者を纏めて巡洋艦に乗せサイド5に送り出しており、他のティターンズ同調部隊とは些か毛色の違いを感じさせている。
 ペズンは教導団の一部がブレイブ・コット大尉を中心に反乱を起こし、守備隊と激しくぶつかった。ただ、トッシュ・クレイ大尉の率いた穏健派が守備隊と共にこれに立ち向かった為に反乱は失敗し、コット大尉は残存部隊を纏めてルナツー方面に脱出している。シアンの残した人脈が役に立ったらしかった。
 サイド3に最も近いドリルは依然として立場をはっきりとさせていないが、ティターンズ側に付いていないのは確かなようであり、秋子はここを中立と見ていた。
 各サイドは全て明確な反ティターンズであり、未だに連邦側にあるサイド1、サイド2、サイド4では攻撃に備えて住民のサイド5への疎開を始めている。これには各駐留軍が護衛艦を割いており、かなり物々しい状態となっている。
 地球軌道は宇宙ステーションのペンタを巡って本国艦隊とティターンズ艦隊が激突し、激しい消耗戦の末に質に勝るティターンズが本国艦隊を敗退させて制圧する事に成功している。ただペンタは戦闘に巻き込まれて破壊されてしまい、地球軌道の拠点は失われてしまった。
 月上空にある環月方面軍司令部にある第2艦隊は、事後処理を済ませた後に司令部を放棄し、サイド5で整備と補給を受けた後にサイド1に向かう事が決まっている。環月方面司令部には小規模なドックがあるくらいで、生産拠点としての機能は無いのだ。
 外洋系艦隊司令部、火星との中間にあるフォスターTの駐留軍は地球圏の混乱を見て秋子に連絡を取ってきており、既に地球圏への帰還の準備を始めている。この2つの駐留軍が合流してくれれば連邦軍の戦力は飛躍的に向上する事になり、ティターンズへの反撃も容易となるだろう。

 この連邦とティターンズの激突のおかげで命脈を保つ事の出来たエゥーゴは、その戦力の大半を文字通り殲滅されてしまい、脅威を感じさせるものでは無くなっている。幾つかの小艦隊は健在であるものの、開戦時からのベテランはその多くが戦死し、大量の新兵を1から訓練し直さなくてはならない。装備の方も大問題で、グラナダは緊急展開軍によって壊滅状態にされたので生産力が激減してしまったので数を揃えるのも一苦労になっている。特にグラナダで試作されていた試作ZZが破壊されたのが大きく、Z計画の到達点といわれるZZの開発は遅れる事が確実になっている。
 更にアンマン、エアーズといった先の連邦軍の攻撃で連邦に屈した、もしくは同調した都市の存在もあり、内憂外患状態となっている。これ等の都市は現在では中立を宣言しているが、実体は環月方面軍司令部に入った連邦第2艦隊の支援を受けており、第2艦隊から供与されたジムVなどによって戦力を大幅に強化している。
 これに加えて上層部のティターンズとの裏取引の件が波紋を呼んでいる。エゥーゴは反ティターンズの巣窟であり、実戦部隊にはティターンズ憎しで凝り固まっている者も多い。特に古参の者にその傾向が強く、エゥーゴの指揮系統は半ば崩壊気味であった。そうでなければ幾ら連邦の最新兵器を供与されているとはいえ、月面都市の5つ程度がエゥーゴに制圧されない訳が無い。特にブライトやヘンケンといった実戦部隊指揮官、舞やデュラハンといったベテランのMS隊指揮官などは露骨にエゥーゴ上層部に不信感を向けている。

 これらの諸勢力の混乱に対し、サイド3にあるジオン共和国は開戦時からの中立政策を貫き、現在もそれを維持し続けている。ただ領空侵犯を警戒して艦隊を常時哨戒に出すなどをしている。それも警戒態勢の域を出るものではなく、また他の3勢力もジオン共和国には興味を示していないので、世界から無視されるという形でここだけは平穏を保っていた。地球から最も離れているという立地条件もあって、既にここには軍を向けるだけの戦略的な意義が存在していなかったのだ。


 

 これらの情勢を一通りブリーフィングしてもらった秋子は余りの厄介さに頭痛を堪えるように右手で眉間の間を押さえた。地球圏で連邦軍の拠点と言えるのはこのサイド5だけであり、しかも周囲に敵と味方が入り乱れている。地球との航路も敵に抑えられている。

「……とにかく、背後のコンペイトウだけはすぐに攻略する必要がありますね。あれを押さえてペズンとの間を防衛線とすれば、私達は背後を気にせず全力をルナツーに向けられるようになります」

 秋子の話に居並ぶ幕僚や提督たちは大きく頷いた。コンペイトウはサイド1と同じラグランジュ1にある恒久要塞で、その防御力は恐ろしく高い。拠点としての機能も高く、月とサイド3を牽制する位置にある戦略上の要所でもある。ここをティターンズに押さえられていてはサイド5もサイド1も常に背後を脅かされる事になるので、秋子としてはここだけは先に潰しておきたいのだ。
 ただ、問題は動かせる兵力である。月に向った主力も、サイド5に残っていた守備隊も大損害を受けており、その多くが損傷を受けてドック入りを必要としている。そして僅かに残っている無傷の艦も戦闘と長い航海で痛んでおり、やはりドック入りして整備を受ける必要があった。
 更にサイド5には各地でティターンズに敗北した、あるいはティターンズに寝返った部隊から離反した部隊などが集結してきており、これを再編成する作業にも追われている。特にルナツーから脱出した部隊はかなりの大軍で、しかもその大半が何らかのダメージを受けているという最悪の状態である。
 その中から秋子はかろうじて動ける部隊を臨時に編成し、サイド5防衛用の部隊をオスマイヤーに任せている。更に2つの任務部隊を編成して斉藤とみさきに与えているが、これらの全てを合わせても数は1個艦隊程度でしかなかった。もしティターンズなりリーフなりが再度大攻勢をかけてきたら到底防ぎきれまい。
 ただ、サイド1にリビックの主力艦隊がある限りティターンズは大軍を動かすことはできない筈なので、暫くサイド5は安全だと考えても良いだろう。自分達もかなり酷い状態ではあるが、ティターンズにも余裕があるはずは無いのだから。

 秋子は配られている資料から目を離すと、末席の方に座っているMS隊隊長の祐一を見た。

「祐一さん、MS隊の状況はどうです?」
「余り良いとは言えませんね。MSそのものの損失も大きいですが、それ以上にMSの整備状態が悪すぎます。何しろ月面降下からグラナダ侵攻、そしてティターンズとの艦隊戦と3連戦を強いられましたから」
「サイド5守備隊とフォスターUの駐留軍の機体はどうです?」
「こちらもボロボロですね。頼みの綱だったGレイヤーも1機失ってますし、MSも半数以上が喪失、廃棄で失ってますから。人員の損失も馬鹿になりません」
「つまり、MS隊も再建に時間がかかるという事か」

 祐一の報告にバーク准将が酷く疲れた声でぼやきを漏らした。ついこの間にはエゥーゴを片付けて戦争は終わりだと明るい空気が流れていたのに、それが今では先の見えない混乱が世界を包んでいる。この混乱を収拾する方向さえまだ見えない状況にあっては愚痴の1つも言いたくなるだろう。
 バークのぼやきに祐一は苦笑いを浮かべ、報告の続きを話しだす。

「まあ、現在は天野大尉と久瀬大尉の2人を中心に2個MS大隊を編成し終えてます。当面はこれで凌ぐしかありませんね。後はまだ再編が終わっていませんし、再編が終わっても訓練して使い物になるまでに1月は必要ですから」
「……こちらから積極的な攻勢をかけるのは不可能、ということですね、祐一さん?」

 秋子の問いに祐一は小さく頷いた。MS隊が再建を必要としている状況では攻撃手段は限られてしまう。流石に緊急展開軍最強の天野大隊は無傷に近く、数機の補充を受けただけで任務に戻る事が出来たのだが、後の部隊は全て再編成の途上にある。久瀬の大隊は損害が少なかった中隊を再建して3つ集めただけに過ぎない。久瀬はこの大隊をとにかく訓練して大隊として使い物になるレベルまで仕上げようとしているが、当面は中隊が3つ集った部隊と見るしかない。


 MS隊も艦隊も当面は仕えない秋子だが、リーフ部隊に叩き潰されたフォスターUの再建も頭痛の種ではある。何しろ緊急展開軍を支えていたその圧倒的な工廠設備の多くを破壊されており、泊地としての機能を著しく損なっている状態だからだ。要塞周辺に多数設置されていた浮きドックは残らず破壊されており、現在は損傷の少ない物の修理を急いでいる。12もあった建造ドックは9つが被害を受けており、これの再建もしなくてはならない。3つのドックは無傷で残されており、このうち2つを使って損傷艦艇の修理を行っている。
 残る1つはカノンの完成に全力を挙げており、これが完成したら外洋に出して訓練と完熟航海を行う事になっている。艦長だったデヴィソン大佐は暫くの間は別の任務を任されているため、暫くはMS隊の訓練も兼ねて祐一が指揮することになる。第一線で指揮できる能力のある者の大半は復旧作業の現場監督に狩り出される運命が待っているのだ。
 フォスターUの中にあったMS生産ラインを含む各種生産ラインも大きな被害を出しているのも大きく響いている。各種の武器弾薬を生産するラインを再建できなければどれほど高性能な兵器もただの箱に過ぎない。とりわけ司令部を青褪めさせたのはゼク・アインのラインが破壊されていた事で、これが復旧するまでゼクの生産は再開できないのだ。ただジムVのラインは何故か無傷で保全されており、これは現在も稼動して新規のジムVを生産している。幸いペズンにもゼク・アインのラインはあるのでフォスターUのラインが再建されるまではこちらで機体と補充部品を生産する事になるだろう。
 だが、やはり中心となるのはルナツーと並ぶ生産能力を持つフォスターUのラインであり、秋子は整備が終わっているジムVのラインを拡充する事でティターンズに対抗しようかと考えていた。ルナツーが落ちた以上ティターンズもジムVを投入してくる可能性は高いが、ティターンズはマラサイとバーザムを既に持っているので今更ジムVを使う理由は少ないので、ジムVのラインを改造してバーザムに変更してしまうかもしれない。ジムVは生産性と整備性は申し分ないのだが、やはりMSとしての性能そのものは第2世代としては低い部類に入るからだ。マラサイやネモには概ね互角以上に渡り合えるのだが、バーザムにはかなり部が悪い機体である。

 これ等を全て再建し、フォスターUの拠点としての機能を再建するには最低でも半年はかかると見られている。それまでティターンズが動かないでいてくれるかどうかは賭けになるが、動かないで欲しいというのが秋子の本音だった。今の連邦は、とても戦いえる常態には無いのだから。

「まあ、気の重くなる報告ばかりなのは仕方が無いですが、もう少し景気の良い話は在りませんか?」

 流石に頭痛を堪えきれなくなった秋子は一堂を見回したが、誰も項垂れるだけで秋子の方を見ようともしなかった。ようするにそんな知らせは1つも無いという事なのだろう。せめてもの救いは地上でも宇宙でもティターンズに一方的に叩かれている訳ではないという事くらいだろうか。
 余りの情勢の悪さに秋子は小さく溜息をつき、会議用の長机に置かれている湯飲みからズズズッとお茶を啜った。

「……ふう、落ち着きますね」

 お茶を飲んで一息入れた秋子は会議室にいる全員に休息を伝えた。流石に長期に渡る報告を聞き終えて疲れを感じていたのだ。室内の幹部達もそれぞれに背を伸ばしたり、部屋を出て行ったりしている。そんな部下達を見ていた秋子は、自分の席で資料を纏めている甥に声をかけた。

「祐一さん、ちょっと良いかしら?」
「はい、なんですか秋子さん?」

 呼ばれた祐一は資料を置くと、秋子の傍へと歩いていく。秋子は祐一が隣にきたのを見ると、ちょっとした疑問をぶつけてきた。

「祐一さん、貴方のガンダムmk−Xですが、良いんですか、栞ちゃんにあげてしまっても?」
「あれは俺には向きませんよ。インコムは確かに強力なんですが、どうにも使い難くて。栞はデンドロビウムを使う局面もそう無いですし、良い機体を使わせても良いでしょう」
「ですが、それでは祐一さんのMSはどうします? ゼク・ツヴァイは残っていませんよ?」
「俺はゼク・アインかジムVで良いですよ。あれくらいのMSの方が使い易いですし」

 この男、良い機体があれば乗りたがるくせに超高級機は余り使いたがらない。愛機という考えを持たないようで、どんな機体でも使えなくなったら簡単に乗り換えてしまう。ファマス戦役中にもジムコマンド、ジムカスタム、ジム・FBと乗り継いで戦い抜き、今度の戦争でもジム・FB、ゼク・アイン、ガンダムmk−Xと乗り継いできた。mk−Xこそ超高級機だが、どれに乗ってもきちんと使いこなせる男なのだ。
 機体を選ばない強さを持つ祐一は北川と並んで優れたパイロットと言えるが、超高級機に多い特殊装備となるとその性能の全てを使いこなせないようだ。mk−Xが合わないというのもインコムを使いこなせないからである。mk−Xはインコムが無ければただのMSで、インコムを使わないならゼク・ツヴァイの方がずっと強力な機体である。祐一にしてみればそれなら他の機体の方が良いというのは当然だろう。
 なお、祐一からmk−Xを譲られた栞は大喜びでこれに乗っており、インコムを使う練習を繰り返している。腐ってもNTだけあり、そのインコム操作能力は祐一を遙かに凌いでいて、練習相手をしているあゆが手を焼いているのが凄い。どうやらこの手のサイコミュ兵器の扱いに関しては栞の方があゆに勝るらしかった。

 祐一は久瀬大隊と天野大隊の他にも、ファマス戦役時代の元部下を集めて自らを隊長とするアグレッサー部隊を編成する事にした。隊には名だたるエースが揃い踏みであり、これだけでMS大隊1つ分以上の戦力なのではと言われている。当面は他の部隊を鍛え上げる為の教練部隊として使う予定だが、カノンが完成したらこれに乗せてテスト航海ついでに遊撃戦をしようかと考えている。



 

 だが、平和なのはサイド5だけなのかもしれない。リビックたちが入っているサイド1には流石のティターンズも手が出せなかったのだが、サイド6は中立であるがゆえに連邦の大規模な援軍を期待できない立場もあってリーフが侵攻して来ていた。
 リーフは来栖川の私設企業軍だが実質的な能力は同規模の平均的な連邦軍と概ね互角以上に戦えるほどのもので、旧式MS主体のリーア軍でどうにかできるような相手ではない、筈だったのだが、サイド6にあった連邦軍がリーフの想像を超えて強力だった為に攻めあぐねる事態になっていた。
 リーフは藤田浩之の直接指揮を受けた主力艦隊をサイド5に向けた後、帰還して来た部隊を再編成してサイド6にティターンズとの約束に従って20隻ほどの部隊を向けてきたのだが、これが少数の連邦軍に良いように叩きのめされてしまったのだ。
 ここに駐留していた連邦軍は旧式巡洋艦4隻に駆逐艦6隻という小艦隊であったのだが、配備されているMS隊が余りにも凶悪すぎた。ここのMS隊の主力を成していたのはなんとあのクリスタル・スノーの火力中隊としてその名を轟かせた沢渡中隊、通称フォックス・ティースだったのだ。現在ではジムキャノンU4機とジムU8機に部隊を改変されているが、クリスタル・スノーで編成された完全な1個中隊という戦力は余りにも大きく、リーフのMS隊は性能で劣る筈のこれ等の旧式機に文字通り叩きのめされて撤退させられている。
 リーフ部隊は今回は藤田浩之が出れなかったので来栖川家の次女である来栖川綾香の指揮でサイド6に来たのだが、綾香の指揮ではサイド6を守る連邦軍を撃破できず、頼みの新型MSスティンガーも大きな被害を出して後退を余儀なくされた。
 半数足らずの敵に敗北した事で綾香は怒り心頭に達しており、艦橋を熊のようにぐるぐると回っている。

「……綾香、少しは落ち着きなさいよ」
「これが落ち着いてられる分けないでしょ!」

 副司令官として付いてきた坂下好恵に窘められても綾香は怒りを鎮める様子は見られず、坂下はやれやれと肩を竦めた。2人は昔からの付き合いがあるが、その関係は血の気の多い綾香を坂下が宥めるというスタイルとなっている。
 それでも暫くしてようやく落ち着いた綾香が席に着いたのを見て、坂下は現状を綾香に説明しだした。

「綾香、分かってると思うけど、私達は戦力の2割を先の攻撃で失ったわ」
「全く、あのふざけたジムキャノンUのせいね。どういう腕してるのよ?」
「機動艦隊時代にその名を馳せたフォックス・ティースの現隊長、沢渡真琴中尉ね。乱戦下での砲戦能力には定評があるエースパイロットよ」

 文句たらたらな綾香を気にせずに坂下は情報を補足している。沢渡真琴は機動艦隊の超エース軍団の中では目立たない存在ではあったが、ガンキャノン量産型、ジムキャノンUなどを使って巧みな支援攻撃を行い、クリスタル・スノーの中で最強の火力中隊と呼ばれたフォクス・ティースを率いた地味なエースである。何気のその個人スコアは40機にも達しており、中距離の砲戦技能は脅威とされている。反面近距離に入られると一気に脆くなるという弱点も抱えているが、それは真琴自身も承知しているようで中々近づかせる事はない。
 この真琴に率いられたフォックス・ティースが数と機体性能で勝るはずのリーフMS部隊を徹底的に引っ掻き回して戦場を混乱させた為に、リーフ側は最後まで数の優位を生かすことが出来なかった。寧ろ指揮系統が失われた部隊が各個撃破されてしまい、リーフ部隊はサイド6側の3倍に上る犠牲を支払って叩き出されている。
 これはクリスタル・スノーの凄まじい実力を如実に示していたが、それ以上にリーフの限界を示していた。将兵の錬度も低く、更に艦艇やMSを使っての戦闘に関するノウハウも乏しかったリーフでは、1年戦争から戦い続けてきた百戦錬磨のフォックス・ティースの相手にはなれなかったのだ。幾ら良い装備を持っていても使うのは人だという事である。
 フォスターUを巡る戦いでもリーフ部隊は北川大隊の居残り部隊に大苦戦を強いられている。彼らはクリスタル・スノーほどの腕ではなかったのだが、それでもリーフのパイロットよりは遙かに凄腕だったのだ。そのリーフ部隊がクリスタル・スノーと真っ向勝負したのが無茶だったのかもしれない。

 今もリーフ艦隊は4隻を失って16隻にまで減った艦隊をサイド6の領空外に待機させて次の攻撃をどうするか模索しているのだが、リーフの士官たちではどうやってサイド6を攻めたら良いのかが分からず、会議は紛糾してしまった。
 そしてその会議中のところを、いきなり大きな振動が襲う事になる。

「な、何よ!?」
「これは、攻撃?」

 驚く綾香に坂下が確認するように呟く。そしてそれに僅かに遅れて艦橋から報告が入った。

「司令、連邦のMS隊が奇襲をかけてきました!」
「何ですって。警戒機は? 何で発見できなかったの!?」
「それが、奴らは太陽の方向から進入してきましたので、光学では発見できませんでした。レーダーは濃いミノフスキー粒子のために役に立ちませんし」
「ミノフスキー干渉波の逆探は!?」
「障害物が多すぎて、役に立ちません!」

 この辺りはデプリが多い。先の大戦の後遺症の1つで、これを回収するデプ業者は仕事に困る事は無い。有名なのはブッホ・コンツェルンなどであるが、戦争が起きなければ浩平と瑞佳もジャンク屋を一生続けていたかもしれない。
 このゴミに艦隊を紛れさせて連邦の目を誤魔化そうとした綾香だったのだが、真琴にしてみれば艦隊がゴミの中に潜んでいる事くらいは予想の範囲内であり、その程度の事で裏をかかれるなどという事は無い。斉藤やみさきはもっと上手く艦隊を隠してきたのだ。

 リーフ艦隊を見つけた真琴は嬉しそうに声を上げると、部下の全機に突入を命じた。先の戦いで2機を失って10機にまで数を減らしてはいるが、その戦闘能力は尚凄まじいものがある。長距離射撃用の光学照準スコープをシートの裏から引っ張り出した真琴は旗艦らしいマゼラン級戦艦に照準を定めると両肩のビームキャノンを発射したが、それは空しく防御スクリーンに吹き散らされてしまった。
 それを見て真琴は舌打ちをし、スコープを戻して機体を加速させる。どうやら敵は防御スクリーンを展開させっぱなしにしていたらしい。
 直衛に付いていた十数機のスティンガーやネモがこれを迎撃に出たのだが、それを見た真琴は手近なネモを狙ってビームキャノンを放った。この一撃は回避されたものの、回避のために足を止めた所を僚機に狙い撃たれて破壊されてしまう。他にも三方から撃ちこまれたビームに貫かれて爆発するスティンガーや格闘戦を挑んで逆に腕を切り落とされるネモなどが続出している。
 気が付けば迎撃に出てきたMS隊は一箇所に追い詰められ、周囲を高速で動き回る連邦機によって作られた篭に入れられたような状態になっていた。連邦機は見事な連携を見せながら周囲からビームや高速弾を集中させてきて、リーフ機は周囲から集中される攻撃にあっという間に撃ち減らされてしまった。
 リーフのパイロットでは全員が教官レベルといわれるクリスタル・スノ−の相手にはなれない。数人集ればシェイドやNTでさえ撃退してしまうほどの強さなのだ。

 あっという間に迎撃を抜けた真琴は両機の2機のジムUと共に手近なサラミスに接近した。慌てて対空銃座がレーザーを撃ちまくってきたが、狙いの付けられていない適当な弾幕など当たるものではない。まして真琴ほどの熟練者には尚更である。

「キリー、ジャクソン、あいつに取り付くわよ。防御スクリーンも効かない内側から弾を叩き込む!」
「了解です、中尉」
「俺が先に行きます!」

 90mmマシンガンを装備したジャクソンのジムUがサラミスに突っ込み、対空銃座を3つ破壊した。これで対空砲火に穴が開き、そこに真琴のジムキャノンUとキリーのジムUが飛び込んでいく。サラミスはヤケクソ気味に主砲まで撃ってきたが、流石にこれは掠りもしなかった。真琴はジムキャノンUをサラミスの後部甲板に着地させるとまず艦橋を砲で撃ち抜き、次に足元の機関部に砲を叩き込んで離脱した。真琴たちが叩いた巡洋艦は機関部の誘爆を起こすかと思われたが何とかこれは避けられたようで、炎上しながら航行不能状態になっている。その向こうでは別部隊が襲った駆逐艦が滅多撃ちにされて爆発していた。

「よし、もう良いわ、逃げるわよぅ!」
「戦果の拡大はしないんですか?」
「早撃ち早逃げが奇襲のコツなの!」

 渋る部下に叩きつけるように言った真琴は自ら先頭に立って逃げ出した。それを見た部下達も慌ててその後を追い、フォックス・ティースは1機の損失も無くリーフ艦隊に痛撃を与える事に成功した。






「くそっ、損傷艦の救助を。送り狼は出したの!?」

 坂下が急いで部下に指示を飛ばすが、部下たちの対応は明らかに遅かった。相手が悪いと言えばそれまでだが、真琴たちはリーフが送り狼を出す時間さえ与えずにさっさと逃げて行ってしまったのだ。

 艦隊の混乱を立て直した綾香は連中がどうやってこんな遠くまで来れたのかを調べさせた。第3世代MSならいざ知らず、あんな旧式MSが単独でこんな遠くまで作戦行動が出来るわけが無いからだ。周辺の宙域を捜索させた綾香は、ほどなくしてその答えを得た。

「旧式の弾道ミサイルですって?」
「はい。ミサイルから弾頭を取り外し、牽引用のワイヤーを取り付けた簡易推進システムのようです。これでMSを領空外まで運搬、集結して襲い掛かってきたようです」
「生意気な事をするじゃない。実戦で鍛えた工夫って訳かしら」

 忌々しそうに綾香は呟いたが、それは完全に負け惜しみでしかなかった。機動艦隊はスペース・ジャバーを積極的に使ってMSの行動半径を広げている事は有名な事であり、その流れを汲むフォックス・ティースが同様の戦法を使ってくる事は十分に予想される事態のはずだ。それを予想できず、単純にジムUの性能だけを頼りにした綾香の判断ミスである。
 だが、この奇襲で更に使える艦が2隻減ってしまった。MSも直衛に出ていた14機全てが撃墜か大破されている。再攻勢をかける前に戦力の1割をそっくりもぎ取られてしまったのだ。今の戦力ではサイド6を攻め落とすのは難しいだろう。

「…………好恵、悪いけど、本社に援軍の要請をしてくれるかしら?」
「いいの綾香?」
「仕方ないじゃない。認めるのは癪だけど、私達だけじゃあいつらには勝てないわ」

 親指の爪を噛みつつ綾香は悔しそうに坂下に答えた。綾香は非常に負けず嫌いな上に好戦的ではあるが、絶対に勝てないと分かっている勝負を挑むほどに馬鹿でもない。浩之自身がサイド5でも感じた秋子の身内たちの凄まじい強さを、綾香も自ら陣頭指揮を取ってようやく実感できたのだ。彼女自身がサイド5で北川に良いように叩かれているのだが、その時はまだ認識が浅かったようだ。
 とにかくこいつ等は強い。憎らしいほどに強い。かつての機動艦隊の血筋、とりわけクリスタル・スノーに在籍していた連中の強さは完全に桁が違うと言うしかないだろう。もし手元に今より多い、敵の3倍の兵力があったとしても勝てなかったのではないだろうか。

「完全に私達は見誤っていたわね。水瀬秋子の部下たちの力を」
「戦力の見積もりが甘すぎた、という事ね。相手の2倍の戦力を揃えれば圧倒できると考えていたんだけど、まさかこっちが圧倒されるなんて」

 実際には敵の戦力見積もりが甘かったどころか、自分たちの力を過大評価さえしているのだが、その辺りの事を冷静に見直すにはリーフはまだ時間が必要だった。リーフの人的資源は連邦に遙かに劣っているのだが、人材というものはそう簡単には育たないのだ。




 この真琴たちの勇戦は連邦軍の諸部隊を勇気付けはしたが、リーフが更なる増援を繰り出してきた為に敗北を余儀なくされてしまう。
 サイド6行政府はサイド6の領空外に展開した30隻を超えるリーフ艦隊を見て怯んでしまった。確かに連邦軍は強いかもしれないが、これでは多勢に無勢だ。情けない話だがリーア軍は頼りにならない。
 そしてサイド6行政府は、リーフから送られた降伏勧告をあっさりと受諾し、連邦の駐留艦隊に退去を命じてきたのである。当然これに連邦軍は反発したのだが行政府の方針は変わらず、仕方なく駐留軍司令官のトレチャコフ准将は全軍のサイド2への後退を行う事にした。
 これを聞かされた真琴は当然ながら憤慨し、部下や同僚の制止を押し切って司令官オフィスへと押しかけていった。

「どういうことよぅ、なんで撤退なんかするの!?」
「……沢渡中尉、殴りこんでくる事は予想していたが、せめてノックくらいしたまえ」

 トレチャコフ准将は真琴の性格を良く知っているようで、無礼な行動に不快感以上を示したりはしなかった。実際の所、真琴はサイド6駐留軍の要とも言えるフォックス・ティースの隊長であり、トラブルメーカーであることさえ目を瞑れば極めて優秀なパイロットにして部隊指揮官である。先のリーフとの戦いにおいてフォックス・ティースを率いて大打撃を与えて追い返すなど、その実力は物凄い。
 これほどに使える部下を手放すような真似をトレチャコフ准将はあえて取らず、自分に忍耐の二文字を課して彼女の着任以来ずっと耐えてきたのだ。まあ最近は慣れてきたせいか、腹が立つ事もなくなってきているのだが。

「サイド6側がこちらに退去を求めてきたのだ。私はそれに応じる事にした」
「どうしてよ。ここを守るのが私たちの仕事でしょ!?」
「あの戦力が相手では守りきれんからな。かといってこちらから逃げ出す事も出来ん。まあ、言ってしまえばサイド6の要請は渡りに船なのだよ」

 つまり、勝てないから逃げ出したいところに丁度都合よくサイド6から出て行けと言われたから、これ幸いと逃げ出すという事だ。真琴は司令官の戦意の無さに呆れてしまったが、理由を説明されては文句も言いずらい。確かに真琴も戦って勝てるとは思っていなかったからだ。ただ、戦わずに逃げるというのに我慢できなくて文句を言いに来ただけだった。
 動機がしょうも無かっただけに一度静まってしまうと再燃する事も無く、肩を落としてしょぼんとしてしまった真琴に、トレチャコフは慰めるような声をかけた。

「まあ、そうしょげるな。サイド2に付けば友軍と合流できるし、サイド5と連絡も取れるようになる。そうすればこの雪辱戦も挑めるようになる」
「あう、分かった」

 元気のない返事を返してとぼとぼと部屋から出て行った真琴を見送ったトレチャコフは、やれやれと椅子に座り直し、壁にかけられている連邦旗を見た。

「雪辱戦、か。ルナツーが落ちた今、それが可能なのかな?」

 ルナツーは連邦宇宙軍最大の拠点であり、巨大な工廠でもある。その生産力は1年戦争で連邦軍を支えたほどで、フォスターUやコンペイトウと並んで全てをその工廠内で全てをそろえる事の出来る完全自給自足型の恒久要塞である。その生産力がリビックの主力艦隊を支えていたのであり、これを失えば圧倒的な戦力を持つ主力艦隊も戦う事が出来ない。
 数で負ければ連邦はティターンズに対して不利を強いられる。それを分かるだけに、トレチャコフはこれから先の未来に暗い影を感じざるを得なかった。




 一度脱出と決まればリーフ艦隊とぶつかるのも嫌であり、トレチャコフ准将は物資を輸送艦に積み込ませると基地施設はそのままにサイド6を脱出する事にした。基地要員や物資を満載した6隻のコロンブス級輸送艦を10隻の戦闘艦が護衛し、周囲を基地駐留のMS隊が固めながら領空外へと退去していく。そして自分達と入れ替わるようにサイド6へと入っていくリーフ艦隊を後方監視モニターで見ていた真琴は、悔しそうに歯軋りをしていた。

「くうう、戦いには一度も負けなかったのに、撤退させられるなんて……」
「隊長、今は我慢してください」

 部下達が気性の激しい真琴を宥めているが、彼らも内心では真琴と同じ気持ちだったので説得する言葉にも熱意が感じられない。だが艦隊を放り出して敵に手を出すほど馬鹿でもなく、彼らは不満を抱え込んだままサイド2へと後退していくことになる。


 だが、真琴たち以上に不満を溜め込んでいたのが綾香だった。確かに自分達はサイド6を制圧するという戦略上の目的を達成しはしたが、戦術的には半数の相手に完敗したのである。来栖川家の次女にして行政から部屋の掃除、料理までと全てに優れた才能を示し、天才としか言いようの無い彼女にとって、これまでの人生で初めて一方的に敗北したのだ。その憤りは半端なものではないだろう。

「……次は、こうはいかないわよ」

 それは綾香にとって初めての宣言であった。次は負けない、という言葉はを彼女はこれまで聞く側だったのだから。




後書き

ジム改 改めて纏めてみると、連邦がボロボロだと実感してしまった。
栞   弾が無い、MSも無い、船も無い。こんなの初めてです。
ジム改 拠点が潰されたからねえ。補給がないと動く事も出来ないよ。
栞   デンドロも封印されちゃいましたし、また暫くMS乗りに戻る事に。
ジム改 ティターンズはグリプスがあるから当面の生産力は確保してるんだけどね。
栞   うちはズタボロですからねえ。何時になったら動けるのか。
ジム改 もうすぐカノンが完成するから、そうしたら多少は動けるよ。
栞   でもその前にコンペイトウ攻略戦があるんですよね。
ジム改 そうだね。斉藤とみさきの仕事になるだろう。
栞   当然私たちも行くんですよね?
ジム改 というか、動けるのはお前らしかおらんぞ。
栞   …………味方はいないんですか?
ジム改 自分で言ってたじゃないか。弾も船もMSも無いと。
栞   物量戦が使えない連邦って、なんだか違和感があります。
ジム改 だから斉藤やみさきが前に出るんだけどな。秋子さんじゃ勝てないから。
栞   こき使われてますね、2人とも。
ジム改 適材適所という奴だよ。それでは次回、『砂漠からの撤退』でお会いしましょう。
栞   何気に著名エースが何人も出てきますね。オグス大尉も再登場ですか。