第65章  ジオンの残光


 

 コンペイトウに向う輸送船団。その中で最もコンペイトウに近付いていた船団が、コンペイトウからの反転命令を受けた。命令を受け取った船団はコンペイトウへの応援にMS隊を発進させ、旗艦を含む艦艇が何隻か護衛を離れてコンペイトウに向う。残りは輸送艦と共に反転してコンペイトウから離れていった。
 このような反転はコンペイトウを目指す部隊には珍しいことでは無い。最前線であるコンペイトウはネオジオンの攻撃を受けることも多く、敵艦隊が近くに居るという警報を受けて反転するケースが非常に多いのだ。




 コンペイトウを襲撃してきたネオジオン艦隊。コンペイトウ正面に展開しているのはチリアクス中将率いるネオジオン艦隊がざっと40隻。うち1隻はドロス級宇宙空母ミドロだ。それはネオジオンにしては非常に頑張った数だと言える。それを迎え撃つのはアーレイ・バーク提督率いる連邦艦隊50隻。
 自分達に匹敵する数を揃えて見せたネオジオン艦隊に感心しつつ、バークは彼にしては珍しく慎重に艦隊砲戦の用意を整えていた。

「ネオジオンめ、良くあれだけ揃えたな」
「ア・バオア・クーの部隊を根こそぎ動員したのかもしれませんな」
「そうだな、しかし……」

 見ている前でMS隊がぶつかろうとしているが、数で同等となるとこちらが不利では無いだろうか。確かにこちらにもエース級はいるが、これだけの数を出してきたなら向こうにもそれなりの数はいるだろうし。

「コンペイトウの戦力をすべて出させろ。総力戦になるぞ」
「は、すぐに要請します」

 参謀がバークの命令を受けて通信席のほうに向う。それを見送ったバークは戦術スクリーンに目をやり、間合が詰ったのを確かめて右手を軽く上げ、振り下ろした

「全艦、砲撃開始!」

 連邦艦隊から圧倒的な砲火がネオジオン艦隊に向けて放たれ、それにすこし遅れてネオジオン艦隊も反撃を開始した。2つの艦隊の間をメガ粒子とレーザー、ミサイルが交差し、防御スクリーンに逸らされたり迎撃兵器に迎え撃たれて無力化される。その艦砲の間を縫うように距離を詰めたMS隊が激突した。
 


 ネオジオンMS隊の先頭に立つのは1年戦争で勇名を馳せたソロモンの悪夢、アナベル・ガトー少佐だった。彼は青と緑の専用カラーに塗られたザクVを駆り、向ってくる連邦MS隊を見据えている。
 ミネバの親衛隊隊長である彼がここにいるのは、デラーズの要請を受けてだった。それを固辞したかったガトーであったのだが、親衛隊も指揮系統上では参謀本部の下に位置している。参謀総長であるデラーズの命令を断る事は出来ない。だからガトーはミネバに頭を下げてここにやってきたのだ。あの別れ際のミネバの心細そうな顔はガトーの脳裏に焼きついている。

「行ってしまうのか、ガトー?」
「はっ、軍命とあらば、止むを得ません。敵を一蹴し、なるべく早く戻って参りますゆえ、お許しください」
「……うん」

 サイド3の中心コロニーであるコア3にある宮殿でミネバに出陣を伝えたがトーは、ミネバを悲しませてしまった事に罪悪感を抱いていた。ミネバは自分の主君、ドズル・ザビの遺児であり、彼にとっては何があっても守らなくてはいけない存在なのだ。

「なに、御心配には及びません。私が不在の間はハマーン・カーン補佐官がお傍に控える事になっております」
「そうか、ハマーンがな」
「はい。私も早く戻れるよう死力を尽くします。ですから、暫しの間御辛抱を」
「うん、分かった。頑張ってくれガトーよ」

 こうして、ガトーはサイド3を離れて最前線に出てきたのだ。こうなった以上は一刻も早くソロモンを落として宮殿に戻るしかない。背負っている物があるからこそ、ガトーの戦意は凄まじかった。

「ジオンMS隊の栄光、いまだ潰えはしない。全機、私に続けぇ!」

 ガトーのザクVが更に加速し、ドライセンやガザ系MSが続く。それを迎え撃つのはゼク・アインとジムVで編成された連邦MS隊だ。先頭のゼク・アインと擦違ったガトーが殆ど同時にマシンガンとビームライフルを放ち、互いにそれを回避して接近戦闘に入る。しかし、ガトーは指揮官機と思われる機体を素早く撃破して勝負を有利に持っていくつもりだったのだが、その指揮官機はかなりの凄腕のようで、自分の砲撃を掠らせもせずに反撃を放ってきている。
 ばら撒かれるマシンガンの火線を必死に回避しながら、ガトーは思いがけない展開にすこし焦っていた。

「出来る、連邦にもこのようなパイロットが残っていたのか!」

 そしてガトーと激突した祐一もザクVの反応の良さに舌打ちしていた。今まで戦ってきた相手とは色が違うので、何となく嫌な予感はしていたのだが。ジオン系は所謂エースが使う機体には独特なカラーを施す事が許されている。連邦では滅多に許される事は無いのだが。例外的に踊る黒い死神リド・ウォルフ少佐や秋子さんなどは特徴的な色に塗っていたが、どちらも特殊な例だ。秋子さんは階級で我侭を通したという類である。
 両手で保持しながらマシンガンをばら撒く祐一。それに対してガトーはビームライフルで反撃しながら距離を詰め、ビームサーベルで格闘戦を挑んでくる。速度性能で負けているゼク・アインにはザクVを振り切る事が出来ず、祐一も格闘戦を引き受けざるを得なくなった。
 ゼク・アインがマシンガンを腰のアタッチメントに移し、左手に予備として持って来ていたマークU用のビームライフルを持ち、右手にビームサーベルを持つ。ゼク・アインは第1種兵装にマークUと同じビームライフルが採用されていて、それを予備として持ってきていたのだ。 
 互いに格闘戦を望み、同時に距離を詰めてサーベルを振るう。ビームサーベルとビームサーベルがぶつかり合い、時折蹴りを加えて相手との距離を無理やり取る。ガトーは機体正面に向けられる3門のメガ粒子砲を使ってこのゼク・アインを仕留めようと考えたのだが、自分にも引けを取らない技量を見せるこのパイロットを相手にそんな余裕は無く、ひたすらビームサーベルでの応戦を繰り返している。

「私の邪魔をするなあ!」
「一度負けたくせに、懲りずにまた湧いてきやがって!」

 ガトーが連邦を嫌うように、祐一もジオンを嫌っている。だからこの戦いには感情的なものも混じっていた。お互いに連邦如きに負けてたまるかと、ジオンの亡霊なんぞ負けられるかと意地を張っている。ただ、今回ガトーにとって不利だったのは、この戦場に、この状況下では最悪の相手が居た事である。
 祐一と格闘戦をしていたガトーはいきなり降り注いできた銃弾の雨に何発か被弾し、慌てて回避運動を取りながらその場から離れた。

「何だ、味方ごと撃ったのか?!」

 格闘戦中に銃撃などすれば味方も巻き込んでしまう。一体何処の馬鹿が撃ってきたのだと憤慨するガトーの前に現れたのは、八木アンテナを描いた新手のゼク・アインだ。

「よお相沢、苦労してるじゃないか」
「北川、お前ゼク・ツヴァイはどうしたんだ?」
「ああ、機体の調整不良とかでこっちに乗り換えになった。あれ整備性に難があるよな」

 ゼク・ツヴァイは確かに強いのだが、でか過ぎて部品数が余りにも多く、しかも高性能を追求したので厄介なMSなのだ。祐一が余り乗らないのもこの信頼性の低さを嫌っているからである。
 そして祐一は、ガトーのザクVを見据えて北川に頼みごとをした。

「なあ北川、ちょっと手を貸してくれるか?」
「構わないぜ。相沢が梃子摺るような奴だからな」

 お互いに笑みを交し合い、祐一がビームサーベルを構え直し、北川がマシンガンを向ける。それはずっと以前から続く、2人の戦闘スタイル。

「背中に当てんなよ、北川!」
「誰に言ってやがる。お前こそ、ぶった切られるなよ!」
「じゃあ、頼んだ!」

 それを合図に、祐一のゼク・アインが何の迷いもなくガトーに突っ込んだ。それを迎え撃つ体制を取るガトーのザクVだったが、相沢機の後方からいきなりマシンガンを放ってきた北川のせいで体制を崩して回避運動を余儀なくされる。そしてガトーを驚かせたのは、祐一がまるで背後からの射撃など気にしていないかのように迷う事無く突っ込んできた事だ。

「こいつら、正気とは思えん!?」

 流石のガトーもこんな戦い方をする相手とは交戦した事はなく、先ほどまでの互角の戦いが嘘のように追い詰められる事になる。何しろ祐一と鍔迫り合いをしていても北川は撃ってくるので、ガトーは常に回避運動を強いられるのだ。これではまともに戦う事など出来るわけは無い。これは2機を同時に相手にしているのではない、敵の手数が2倍に増えたような類だ。その寸分狂わぬ完璧なコンビネーションと狂ってるとしか思えない戦い方は、技量で勝るはずのガトーを窮地に追い込んでしまった。





 バーク艦隊が艦隊戦でネオジオン艦隊を押し返している。それは喜ぶべき事なのだが、後方に居た斉藤にはどうにも腑に落ちない事があった。40隻も揃えてるにしては、ネオジオン艦隊の砲火が弱すぎる気がするのだ。加えて妙に脆い。チリアクスが指揮を取っていると思うのだが、彼の指揮でここまで脆いものだろうか。

「それに、エアーは何処に行ったのだ?」

 そう、この場にはエアーの姿が無い。つまりアヤウラの姿が無いのだ。それに総攻撃にしてはエゥーゴの部隊もいない。幾らなんでもネオジオン艦隊だけではコンペイトウを落とすには余りにも力不足だと理解している筈なのだが。
 その疑問は、いきなりバーク艦隊を真横から撃ち抜いた多数の強力なビームによって氷解した。

「何だ、プロメテウスか!?」
「いえ、メガ粒子反応があります。あれはハイパーメガ粒子砲かと!」
「ハイパーメガ粒子砲だと、まさか、何処から?」

 急いで射線から発射地点を割り出すオペレーターたち。そしてその問いが導き出した場所は、コンペイトウのすぐ近くであった。そこには黒い澱みのような物がある。それが何なのか、斉藤は直ぐに理解できた。

「そうかしまった、アヤウラに一杯食わされたか!」
「艦長?」
「正面の艦隊は囮だ。アヤウラは黒色ガスを使いながら艦隊を側面に回していたんだ!」

 その斉藤の推測を証明するように黒色ガスが薄れ、中からネェル・アーガマ級を中心とするエゥーゴ艦隊が現れた。ハイパーメガ粒子砲を放ったのはこの連中だろう。その中に何隻かの潜宙艦が混じっているが、こいつらが黒色ガスでエゥーゴ艦隊を隠していたのだと判断できた。こちらは20隻近い大部隊だ。
 そして、それ以外の場所からもエアーを中心とするネオジオン艦隊が現れ、コンペイトウに向って突撃してくる。この陽動で敵主力を引き離し、少数の別働隊で奇襲するという戦術はアヤウラの物だ。
 そして正面のネオジオン艦隊の砲火が貧弱だった理由もすぐに判明した。直撃を受けた艦が発った1発で爆発し、残骸も残さずに消え去ってしまう。これはこの艦がダミーバルーンだという事の証明だ。ネオジオン艦隊はダミーでこちらの目を誤魔化していたのだ。
 この敵にどう対処するかを考えた斉藤は、すこし考えこんで決断を下した。

「我々はエアーを中心とするネオジオン艦隊を迎撃する。エゥーゴの方はクライフ提督の直卒部隊に任せる!」

 コンペイトウにはまだクライフ直卒の第2艦隊が残っている。これは60隻の大艦隊なので、多少相手の方が質で上でも数で押し切れる筈だ。そう考えた斉藤は、自分の指揮下の部隊をエアーに、アヤウラに向けた。

「全艦砲撃戦用意、正面に防御スクリーンを集中させろ」
「艦長、MS隊はどうします?」
「まだ待機させておけ。今日は久瀬大尉がおられん」

 流石に久瀬抜きではMS隊に自信が持てないらしい。アヤウラなら確実にシェイドを持ってきているだろうに。




 そしてコンペイトウの近くではクライフの第2艦隊とロンド・ベルとヘンケン隊がぶつかっていた。両部隊合わせて22隻とそれなりの大部隊で、MSもそれなりに強力な機種が揃っている。特にアムロのZZは猛威を振るっていた。
 だが、ジムUとジムVは湧くように現れ、流石のアムロといえども攻めあぐねている。周囲のネロやネモ、リックディアスではアムロに付いていく事も出来ない有様だ。

「ちっ、まさかこれほどの戦力を配備してたとはな……」

 アムロが忌々しげに呟くが、それで敵の数が減るわけではない。しかも厄介な事に、アムロの前に出来れば敵にしたくない相手の1人が現れた。それはガンダムmk−Xを駆り、インコムとビームライフルで味方機を1機、また1機と撃ち落している。放置しておけば味方があっという間にすり減らされてしまいそうだ。
 仕方なくそれに自機を向けたアムロは、mk−Xから感じる気配にかなり嫌そうな顔をしていた。この気配には覚えがあり、自分と対等に渡り合える凄腕だと知っていたから。

「来たのか、あゆ」
「うぐ、アムロなの!?」

 白い悪魔アムロ・レイはファマス戦役の頃の戦友で、自分と互角に戦う数少ないパイロットだった。その実力は当時でもシアンと同等、現在ではそれ以上かもしれない。そんなパイロットが目の前に出てきたのだ。
 激突したmk−Xから2基のインコムが放たれ、mk−Xのビームライフルと合わせて3方からのオールレンジ攻撃を仕掛ける。あゆのような強力なNTだからこそ可能な、祐一では使えなかったインコムの複数同時の戦闘機動をやってのけるあゆ。だがアムロもサイコミュ兵器の相手はエルメス戦やブラウ・ブロ戦で体験済みだ。この他方向同時攻撃にも怯む事はなく、ビームガンとビームライフルの同時攻撃を回避して見せた。

「良い機体を使ってるじゃないか、あゆ!」
「あの攻撃に反応できるの!?」

 まさかこうも簡単に回避出来るとは思ってもいなかったあゆは驚いてインコムを戻し、エネルギーのチャージに入る。そのあゆに向けてアムロはダブルビームライフルを放った。MSのビームライフルとしては桁違いの破壊力を誇るZZのライフルから放たれたビームは、mk−Xの至近を通過して装甲表面を僅かに溶かしてしまう。そのMA級としか思えない火力にあゆは焦りを見せた。

「で、出鱈目だよ!」

 MSサイズにMA並の火力を詰め込むとは、エゥーゴも無茶苦茶なMSを作ったものだとあゆは思った。mk−Xは優れた機体だが、インコムがなければ普通のMSなのだ。火力も防御力も機動性も優れてはいるが、際立っているわけではない。アムロ相手にはインコムは簡単に読まれてしまうとなると、MS同士の小細工無しの激突になるしか無い。

「うぐぅ……接近戦は嫌いなのに」

 月宮あゆ、基本的にはどつき合いよりも射撃戦を好む女だった。だがそうも言っていられず、あゆはビームライフルを持ち直すと一気に距離を詰めに出た。あの機体の性格を考えれば、打ち合えば確実にこちらが負けると分かりきっている。ならば格闘戦に持ち込み、勝負をつけるしかない。
 ビームライフルを連射モードとにして威力の弱いビームを続けて発しながら距離を詰め、ビームサーベルを抜いて上段から斬りつける。ZZもハイパービームサーベルを抜いて迎撃し、接触したサーベル間でプラズマの光が散っている。だが、この勝負でもあゆは勝てない事を悟らされた。コクピット内にはサーベルユニットが過負荷を起こしているという警報が響いており、mk−XのビームサーベルではZZのハイパービームサーベルに対して非力な事がはっきりと証明されている。

「こんなパワーをMSに、エゥーゴは何考えてるんだよ!?」
「ZZはZの3倍のパワーがある。この機体にパワー勝負で勝てるMSは無いぞ、あゆ!」
「うぐぅ、アムロがこんなの使うのは反則だよ!」

 再びインコムを起動し、アムロを背後から狙わせる。それに対してアムロは機体を捻って片方を回避し、もう片方はハイパービームサーベルでワイヤーを切り捨てる。この隙にあゆはZZと一度距離を取り、態勢を立て直した。

「どうしよう祐一君、名雪さん、すっごくピンチだよ」

 流石に自分と同等レベルのアムロが、自分より高性能な機体を使っているというのは洒落にならない。あのサイズなので運動性は鈍いようだが、火力とパワーは圧倒的と言える。今の連邦にはあの機体と戦えるようなMSは多分無いだろう。だがあゆが勝て無いなら、このアムロに勝てる可能性があるのはみさきを例外とすれば、シアンと茜くらいになってしまう。その2人は今地球なのだから、宇宙でアムロと戦えるのはあゆだけだ。
 退く事は出来ない。せめて仲間の誰かが助けに来てくれるまでここでアムロを拘束しておく必要がある。あゆは覚悟を決めると、ZZにビームライフルを向けなおした。


 

 そしてエゥーゴ部隊の中で猛威を振るっている機体がもう1機あった。それは赤いZガンダム、そう、ジョニー・ライデンのZもこの戦場に居たのだ。彼はWBモードで敵と距離を詰め、MSモードに変形してロングビームサーベルで斬りつけるという戦法を使っている。これで仕留められた連邦機もかなりの数に上っていたが、連邦側も良い腕のパイロットが出てきたようでライデンの攻撃を上手く凌ぐようになっている。

「はっ、やるな!」

 自分の攻撃を凌いでみせるジムVに賞賛を送るライデン。しかし、すぐに側方レーダーの警報に反応して機体をとっさに動かした。いつの間にか側面にゼク・アインが回りこんでいたのだ。更によく見れば自分を包囲するようにジムVやゼク・アイン、ストライカーが動いている。その数は6機。それもただの6機ではない、連邦軍最強部隊と言われるクリスタル・スノーマークを付けたMS隊だ。

「ちっ、厄介な奴等が出てきたな。しかも6機も!」

 クリスタル・スノーを持つパイロットは教官レベルの腕を持っている。それは確かに祐一たちと較べると見劣りするが、その辺の部隊で幅を利かせているエースでは勝てないくらいに腕は良い。そんな奴等が同時に6機も出てきたという事で、流石のライデンも余裕を無くしてしまっていた。
 しかも性質の悪い事に、クリスタル・スノーは個人戦闘よりも集団戦闘を得意とする。6機がかりで1機を袋にするというのは、彼等にとっては常套手段と言えるものなのだ。ライデン自身も連邦との戦いで幾度か秋子率いる部隊とぶつかった事があり、こいつらの強さと戦法はよく知っている。自分を包囲しているのが彼等の戦術だという事も知っていたので、彼はここから脱出しようと機体を加速させた。だがそれとほぼ同時に連邦MSも動き出し、Zガンダムの退路を塞ぐようにビームとマシンガン、ミサイルを浴びせてきた。
 この弾幕の中で必死に回避運動を取りながら退路を探すライデンだったが、ストライカーが接近戦を挑んできたのを見て遂にそれを諦めてしまった。この包囲を突破するには、敵を減らすしかないと考えたのだ。
 ぶつかりあうZのロングビームサーベルとストライカーのビームサーベル。ライデンは鍔迫り合いの力押しではなく、手数の多さで勝負に出た。Zガンダムは現用MSとしては最高峰の機体であり、スピード勝負なら負ける事は無いと考えて挑んだのだが、ストライカーもまた接近戦ならこの時代でも最高レベルの性能を達成した機体である。パイロットの腕はともかく、接近戦ならストライカーはZに劣らなかった。ぶつかりあったビームサーベルの光がZとストライカーを照らし出し、ライデンの顔に僅かに焦りが浮かぶ。
 鍔迫り合いでエネルギー消費が危険域に達する前に、ライデンはストライカーに蹴りを入れて強引に引き離した。そして反撃が来る前にハンドグレネードを叩き込む。だが、ストライカーはそれを上半身に装備されている2門のマシンキャノンで迎撃、1発を撃ち落としてもう1発はシールドで止めてしまった。

「ええい、やるな!」

 しかし、このグレネードで態勢は崩した。シールドの爆発の反動で姿勢が大きく崩れているストライカーにビームライフルを連射し、5射目で機体を捉えて爆発させる事が出来た。
 やっと1機か、と呟いてライデンは他の5機を見る。こいつらもストライカーに劣らない凄腕なのは間違いなく、これからの戦いの困難さを思ってライデンはウンザリしてしまった。



 しかし、アムロやライデンといった際立って強力なパイロットは止められたのだが、それ以外の連中は止める事ができなかった。頼みのクリスタル・スノーの数は決して多くはなく、突入してきたもう1機のZガンダムやレッテンディアス、ネロ隊を止める事は出来なかったのだ。
 コンペイトウに向って切り込んでくMS隊の戦闘に立つネロのパイロット、ケーラ・スゥ中尉はコンペイトウへの道が開けたのを見て、部下を連れて突入した。

「全機突入する、コンペイトウに取り付いて宇宙港を破壊するんだ!」
「ケーラ中尉、新手です!」

 ケーラの隣に付けているカミーユが警告する。見れば突破した自分達を逃がすまいとするかのように新手のMS隊が4〜5機の編隊を組んで向ってきている。その数は合計で20機ほどだろうか。恐らくは後方で自分達のように突破してきた部隊を迎え撃う第2線だろう。MS戦で縦深を敷けるというのは羨ましい物量だ。
 ケーラは新手を見て、ここは強硬突破しかないと腹を括った。迂回する事も出来ないわけではないが、そんな時間をかけたら周囲の敵が集ってきてますます数が増えかねない。

「ここは突破するぞ、続け!」

 ケーラのネロが加速し、ネロ隊がそれに続いていく。そしてカミーユのZも前に出ようとしたが、その前に一度だけ後方に付いてきているレッテンディアスを振り返った。

「カツ、僕から離れるなよ。この乱戦じゃ見失ったら助けてやれない!」
「わ、分かってるよ!」
「分かってれば良い。アムロ大尉に言われた事、忘れるなよ」
「常に周囲に気を配れっていうんでしょ。分かってるって」
「本当にそうなら良いんだけどな」

 アムロが連邦のエースの相手をしているので、カツは自然とカミーユが面倒を見る事になっている。まだ若く、経験が浅いカツはすぐ無茶をするので、アムロから幾度も窘められていたのだ。カツもアムロには頭が上がらないのか、わりと言う事を聞くのだが、カミーユが相手だとどうにも反発してしまうらしい。自分にもこういう頃があっただけに、カミーユとしても嗜める声に力がなかったりする。
 カミーユはかつての連邦の月面攻略作戦において自分を助けて戦死したジェラルド・サカイ大尉の後を継ぎ、新兵の教育を自分から引き受けている。彼の死がカミーユに精神的な成長をもたらし、軍人としての自覚と責任感をもたらしたらしい。それはエゥーゴにとっては喜ばしいことであり、サカイの穴を埋める本当のエースの誕生となった。カミーユは教育者としては決して有能とは言えなかったが、彼の指導で多くのパイロットが新人過程を終えて前線へと向ったのである。
 




 斉藤隊と第2艦隊の迎撃を突破したエゥーゴとネオジオンのMS部隊はコンペイトウに襲いかかった。コンペイトウにはまだ無傷の砲台や、まだ要塞に残っていた駐留MS隊や戦闘機隊がいて、これがこの敵機を迎え撃つ事になる。しかし、ジムV主体の守備隊ではネロやドライセン、ガ・ゾウム、ゴブリンの部隊に対抗するのは少し困難で、撃墜されている機体は連邦機が圧倒的に多い。
 だが、そんな弱体なMS隊を支援するように宇宙港から切り札とも言える大型MA、Gレイヤーが出撃してきた。飛び立ったGレイヤーの火力はサイコガンダムと並んで地球圏で最大最強で、特に多数の敵機を掃討するのに向いている。今回もマイクロミサイルコンテナを射出してMS隊を薙ぎ払い、ロングライフルで向ってくる敵を蹴散らしてしまう。その加速力は比類するものがなく、相変わらずの強さを発揮していた。

「あの化物を叩き落せ!」

 ネオジオンやエゥーゴのパイロット達はそう叫んでビームライフルを集中したが、巡洋艦の艦砲さえ容易く防いでしまうIフィールドバリアを展開するGレイヤーには豆鉄砲でしかない。GレイヤーはMSの反撃など無視するかのように動き回り、巨大なビームサーベルを振り回し、ビームとミサイルを放っている。ただ、味方機も危な過ぎてGレイヤーには近づけなかったりするが。そもそも機動性が違いすぎて付いていけない。
 このGレイヤーの活躍で、意外とコンペイトウ近辺の戦いは拮抗していた。また少数とはいえ残っているゼク・アインやストライカーなどの高性能機は敵の新型に対抗できるので、必ずしも一方的にやられているわけではない。
 そしてここでも活躍しているエース達が居た。

「ネモの色違いのくせに、ちょこまか動くじゃない!」

 自分を狙って左右から挟みこんできたネロ2機に香里が文句を言いながらマシンガンを放つ。それは右から来たネロの左腕を吹き飛ばし、次いで頭部を破壊して動きを止めてしまった。
 だが、左から来た方には対応が間に合わない。香里は迎撃を諦めて回避しようとしたが、突っ込んできたネロは横合いからのビームの直撃を受けて破壊されてしまった。

「お姉ちゃん、今のは危なかったよ」
「栞、ありがと、助かったわ」

 栞のmk−Xが香里の横に並んだ。姉妹が揃って戦場に立つのは久しぶりだが、その息の合い方は中々の物だ。

「お姉ちゃん、名雪さんがコンペイトウの傍で狙撃をしてるけど、どうする?」
「名雪は乱戦に巻き込まれない方が良いわ。あの娘接近戦は苦手だから」
「でも、この数が相手じゃ……」

 香里の放ったマシンガンの弾幕に1機のゴブリンが飛び込み、機体をバラバラに引き裂かれてしまう。栞の放ったインコムはガ・ゾウムのハイパーナックルバスターを吹き飛ばし、これを後退させた。
 だんだんと味方の数が減っているようで、敵の数が増えている。それが2人の感じている事だった。

「どうするの、お姉ちゃん?」
「ここでこれ以上戦うのは無理ね。でも要塞には下がれないし、北川君たちが戻ってきてくれたらね」
「それは難しいと思うよ」

 この混戦の中でも一際目立つ強さを見せる2機は的になり易いのか、敵機が次々に群がってきている。それに対して2人は何とか上手く退けていたのだが、だんだんと鬱陶しくなってきていたりする。
 しかし、そんな2人にとんでもない敵が襲い掛かってきた。その接近に最初に気付いたのは栞だった。センサーが接近してくる新手を捉えたのだ。

「2時方向から新手、ザクVですかね」

 またかと思いつつインコムを放つが、狙ったザクVは死角から放たれたビームガンを回避して見せ、栞を驚かせた。

「インコムを躱したんですか!?」
「退きなさい栞、あいつ接近戦をする気よ!」

 距離が詰るのなら栞より香里の方が強い。栞は素直に香里の後ろに回り、香里は迫る白いザクVにマシンガンを撃ちまくったが、そのザクVは巧みな回避運動で香里の射撃を回避している。その動きは間違いなく場慣れしたエースの物だ。

「ネオジオンにも凄腕は残ってるってこと、ね。でもあの白い機体は……」

 まさか、という不安が香里の中に膨れ上がってくる。そしてコンピューターがはじき出した識別を見た香里は、焦りの声を上げてしまった。

「やっぱり、白狼のザクV、何でこんな所に来るのよ!」
「お姉ちゃん、来ますよ!」

 ビームサーベルを手にしたザクVが一気に距離を詰めてくる。香里はそれに対してマシンガンを撃ちまくって弾幕を張り、ザクVを近づけないようにした。白狼といえば接近戦の強さで知られるエースなので、近付かれたら自分に勝ち目は無いと理解しているのだ。
 しかし、マツナガは香里の射撃に簡単には当たってくれなかった。機体を大きく左右に振って香里の射撃を回避し、距離を詰めてきたのだ。もっとも香里の射撃技量も中々のもので、マツナガは距離を詰めるのに予想外の苦戦を強いられていたが。

「良い腕だ。ベテランか……だがっ!」

 3度同じ動きをした後、いきなりそれまでとは違う軌道を取って距離を詰めようとする。それに対してマシンガンを慌てて向けようとするが、スカートから放たれたビームが至近弾となって上半身を焦がした。

「お姉ちゃん、下がって!」
「栞、でも!」
「ゼク・アインじゃ無理だよ。私が相手をするから!」

 インコムを起動し、ビームライフルを構えて香里の前に出た栞だったが、それは無謀すぎた。距離を詰めてきたマツナガはザクVのくせにドライセンが使っているビームトマホークを持って来たらしく、巨大な戦斧を掲げたザクVの姿に栞は一瞬気圧されてしまった。
 それでも何とか2度トマホークを回避し、頭部バルカンを牽制に放ったが、そんな攻撃ではザクVの装甲は撃ち抜けず、敵を止めることは出来ない。
 ただ、栞の苦戦を見て周囲の友軍機が集ってきた。

「美坂中尉、今援護に!」
「駄目です、貴方達じゃ!」

 助けに駆けつけてきたジムV3機。それを見たマツナガは栞のmk−Xからそちらに狙いを移すと、先頭のジム3を狙って突っ込んでいった。それを慌てて栞と香里が追おうとしたのだが、マツナガはジムVのビームなど意に介していないかのように突っ込んで先頭のジムVの懐に入り、胴体部分を蹴りで破壊してコクピットを粉砕してしまった。それに怯んだ僚機の片方がトマホークによって真っ二つにされ、残る1機も頭部のビーム砲で右腕を吹き飛ばされてしまった。
 一瞬で3機を撃破したマツナガの技量に、栞と香里は戦慄を禁じえなかった。目の前に居るのは祐一や北川以上の、七瀬や舞と比較しうる超エースだ。あんな戦い方は自分達には出来ないだろう。
 そしてマツナガは再び栞たちを向くと、ビームトマホークを手に再び襲い掛かってきた。栞もビームライフルで近付かせまいと撃ちだし、香里も側面にまわってマシンガンの弾幕を作り上げた。香里の作り上げた弾幕に飛び込んだザクVは胸部に直撃を受けて仰け反ったものの、撃墜される事はなく栞に襲い掛かってきた。ゼク・アインの大口径マシンガンの直撃に耐えたのを見て香里が怒りの声を上げている。

「嘘ッ、なんて装甲よ!?」

 近付かれた栞は更に2度ビームライフルを撃ったが、ザクVを捕らえる事は叶わず逆にビームライフルを真っ二つにされてしまう。それで栞もビームライフルを捨ててビームサーベルを抜き、更にバックパックのビームキャノンを放った。だがこれも近すぎて当たらず、逆に連続したビームトマホークの斬撃に逃げ回る羽目になる。シールドを失い、胸部やスカートを切裂かれ、少しずつ機体各所を削られていく。致命傷を必死に避ける栞に、マツナガは止めを刺そうと更なる斬撃を加えてくる。

「くうっ、きゃあっ!」

 コクピット内にも間接被害が及び、スクリーンパネルが何枚か爆ぜる。カメラが潰されたのか、既に何も映さないパネルも多い。そして動きが鈍ってきたmk−Xに、マツナガは何故かいきなり後ろに退いた。

「え?」

 その直後に強力なビームがmk−XとザクVを分けるかのように通過していった。何が起きたのかと栞が疑問に感じる間も無く、第2射がまたザクVを襲い、ザクVは更に栞から離れていく。

「な、何です、名雪さんですか!?」
「いえ、名雪はコンペイトウの方よ」

 香里がmk−Xの前に出て庇うようにしている。しかし、名雪で無いなら誰がこんな長距離射撃をしてきたのだ。
 そしてマツナガもこの攻撃に何事かと発射位置の方を見る。

「何だ、援護に駆けつけてきた艦隊か?」
「大尉?」
「行くぞ、確かめねばならん!」

 マツナガのザクVがそちらに向い、周辺のゴブリンやドライセン、ガ・ゾウムが続く。そして、彼等の進む先からまたビームが飛来してきてMS隊の中を貫いていった。それが何かと思いながら距離を詰めていくと、接近してくる敵の姿が見えてきた。

「あれは、ゼク・アイン?」

 それはビームスマートガンを両手で保持しながらこちらに銃口を向けているゼク・アインだった。距離が詰ってきたのを見てかスマートガンを捨ててマシンガンに持ち替えている。その周囲にもザク・アインやストライカーの姿があるが、数はさほど多くは無い。だが、マツナガはMSよりもその後方に居る艦隊の旗艦らしい大型戦艦に注意が向いている。あの戦艦をマツナガは知っていたから。

「アプディールか。では、まさか川名みさきがいるのか?」

 川名みさきの強さはファマス戦役に参加した事がある者には伝説的なものだ。もし彼女が目の前のゼク・アインに乗っていたら、自分1人では歯が立たないのは確実だ。

「くそっ、どうするか……」
「マツナガ大尉、仕掛けます!」
「待てマシュマー、相手がまだ分からん!」

 マシュマーと呼ばれたパイロットの駆るドライセンがゼク・アインに迫る。だが、マシュマー機はゼク・アインの放ったマシンガンを上に飛んで回避した途端、狙っていたかのように飛んできたマシンガンの砲弾を受け、重装甲を貫かれ、右腕を吹き飛ばされてあっさり撃破されてしまった。

「な、なんとお!?」
「下がれマシュマー!」

 マツナガがビームライフルを放ってゼク・アインを牽制するが、そのゼク・アインはマツナガの射撃を楽々と回避している。まるで自分の射線を読みきられているかのような余裕を持った回避にマツナガは苛立った。そして部下達が向ってきた他のゼク・アインやストライカーに立ち向かうが、こちらもかなりの凄腕のようで苦戦を強いられている。
 自分達だけでは勝てないと考えたマツナガは、付いてきた部下達に下がるように指示した。そして自身は大破したマシュマーのドライセンを確保して後退していった。
 それを見たみさきは別段追撃をする様子もなく、なんとも暢気な声を出している。

「あははは、逃げられちゃったね」
「逃げられちゃったねって、追撃すれば叩けるぜみさきさん」

 みさきの隣に来た浩平が追撃をかけたいと暗に言うが、みさきはそれをさせなかった。

「駄目だよ浩平君、私たちのお仕事はコンペイトウの救援で、ネオジオンの殲滅じゃないからね」
「でも、逃がすと後で面倒だぜ」
「大丈夫だよ。また突っ掛かってきたら私が落とすから」

 にこやかに、まるでいつもの書類を一枚片付けるとでも言うような気軽さで答えるみさき。アムロでさえ寄せ付けない彼女にしてみれば、相手があのシン・マツナガでも大して関係は無いのだ。まあ本気を出すつもりは微塵も無いので、アムロたちを相手にしたときのような化物じみた力は出ないだろうが。

「じゃあ、行こうか浩平君、瑞佳ちゃん。コンペイトウもだいぶ苦戦しているみたいだよ」
「へいへい、分かりました」
「浩平〜、不満なのが丸分かりだよ。みさきさんに失礼だよ」
「大丈夫だよ瑞佳ちゃん、素直な浩平君なんて、逆に何企んでるんだろうって思っちゃうし」

 そんな態度は良くないと嗜める瑞佳に、みさきは浩平はこれくらいで丁度良いと笑っていて、逆に瑞佳ががっくりと落ち込んでしまう事になる。

「はあ、浩平にはやっぱりしっかりした人が必要だよ〜」
「長森、そんなしみじみ言わないでくれ」

 思いっきり疲れた声に、浩平はかなり大きなダメージを受けていた。それを聞いていた周囲の部下達の笑い声が通信網を満たす中で、みさきは全員にコンペイトウに向うよう命じて自ら先頭に立った。彼女等の介入により、コンペイトウを巡る戦いは第2幕を開ける。




後書き

ジム改 何気にガトーが不幸かも。
栞   私はみさきさんの引き立て役ですか!
ジム改 流石にお前じゃマツナガの相手は無理だって。
栞   くう、デンドロビウムがあればザクVくらい。
ジム改 mk−Xも良いMSなんだがなあ。
栞   ところで、ネオジオンやエゥーゴには続々と新型が出てますが、連邦には無いんですか?
ジム改 ストライカーじゃ不満か?
栞   不満じゃないですが、ジードやゼク・ドライは?
ジム改 そろそろ試作が出てくるかもな。でも連邦は余り高級機は無いのだよ。
栞   mk−Xはだんだん数が増えてきましたけどね。
ジム改 ゼク・ツヴァイがこけたからな。その代わりだ。
栞   あとはZプラスですね。PX−180はまだですか?
ジム改 どっちももう少し先だな。先にシューティストが出ると思う。
栞   何ですそれ?
ジム改 連邦製NT専用機。テンペストの後継機だな。
栞   おお、なら是非私に!
ジム改 普通はあゆか瑞佳だろ。それでは次回、みさきたちの加入で敵を押し返しだす連邦軍。だが、ショウの率いる別働隊が現れて戦局は再び混沌としてしまう。そんな中で、クライフは最後の手段を使う事に。次回「ファマスの名将」でお会いしましょう。