第66章  ファマスの名将


 

 みさきたちが到着した事で、コンペイトウ周辺を巡る戦いは連邦有利に傾いた。特にシアンやあゆでさえ勝てないと言わせるみさきや、NTとして名を上げている瑞佳、そして祐一と対等の実力を持つとされる浩平の加入は苦戦する連邦軍にとって大きな助けとなっている。コンペイトウに迫っていたアヤウラは、アプディールとリアンダー級3隻がコンペイトウ正面の砲戦に加わってきたのを見て悔しさに歯軋りしている。

「ええい、後すこしでコンペイトウに取り付けたものを!」
「准将、ここは退いた方が?」
「何を馬鹿なことを言っておるのか。もうすぐショウ・コバヤシの部隊が来る。それまで奴等を引きつけるのだ!」

 とはいえエアーとエンドラ級、ムサイ級合わせて10隻の艦隊ではきついのも確かだ。正面に居る敵の主力はサラミスだったのだが、そこにノルマンディー級が加わった事で火力が一気に強化されている。アヤウラはエアーの強さは信頼していたが、ノルマンディー級に撃ち勝てるとは思っていなかった。
 ただ、アヤウラはまだこの場に現れていない最後の部隊、ショウの高速艦隊に期待していた。あの艦隊が迂回コースから戻ってこれば、戦局はまたこちらに有利に傾く筈だと信じて。



 突入してきたみさきは中破している栞を下がらせると、浩平と瑞佳を前に出して自らはコンペイトウ近辺で戦っているMS隊を纏めだした。まだまだ数では連邦の方が多く、纏まった動きを見せれば早々負ける事は無い。
 みさきの命令を受けてコンペイトウの司令部が周辺のMS隊の掌握に乗り出し、中隊単位でみさきのゼク・アインの周辺に集結し始めた。連邦が態勢を立て直し出しているのを見たマツナガが突き崩そうとMS中隊を率いて突撃してきたが、それは瑞佳の部隊に邪魔されてしまう。
 マツナガは自分の振るうビームトマホークの斬撃に全てついてくるストライカーに焦りを見せていた。

「こいつ、先ほどの2機とは違う!?」

 マツナガも超一流のパイロットだが、瑞佳も秋子の部下ではあゆに次ぐNT能力を持つパイロットだ。その実力は祐一や浩平さえ上回り、七瀬と並ぶ。1年戦争で勇名を馳せた稀代のエースといえども簡単に勝たせてくれる相手ではない。
 瑞佳は白いザクVを見ても怯む事はなく、それどころか積極的に前に出ている。開発段階からストライカーに関わってきた彼女は、連邦のどのパイロットよりもストライカーを上手く扱えると自負している。

「私が育てたストライカーは、ザクなんかに負けないんだよ!」

 ビームサーベルとビームトマホークがお互いにぶつかり合い、双方のパイロットが持てる技を駆使して斬撃の押収を繰り返す。マツナガが素早い動きと電光の一撃で戦い、瑞佳が流れるような動きとフェイントを交えた連続攻撃を加える。2人の戦闘スタイルはまるで違っていたが、その戦いは周辺のパイロットでは手を出せないものとなっている。

「長森の奴、1人でシン・マツナガを止めるつもりか?」
「折原中尉、我々も加勢しますか?」
「止めとけ、邪魔になるだけだ」

 自分だけなら加勢になるかもしれないが、普通のパイロットでは瑞佳の足手纏いになるだけだ。それよりも、このままネオジオンMS隊を追い払った方が良いだろう。

「みさきさん、俺は攻めに出るけど、良いか?」
「う〜ん、こっちはまだ再編中なんだけど、そっちは何機くらい?」
「9機かな」
「じゃあ、あまり出ないこと。すぐに援護に回れる辺りまでなら良いよ」

 みさきの許可を受けた浩平は、自分の元で再編した9機と共にネオジオンMS隊に挑んで行った。目の前に居る敵だけでもこちらの倍は居そうであるが、浩平は怯まなかった。ファマス戦役ではこれくらい当り前だったから。

「長森ばっか良いカッコはさせねえぞ。俺だって目立ってやる!」
「ちゅ、中尉、そういう理由で張り切るのはどうかと」

 あんまりな理由に部下が嗜めるような声を上げるが、浩平は聞いていなかった。全速でネオジオンMSのガ・ゾウムの懐に飛び込むと見せて途中で横にずれて側面を取り、マシンガンのゼロ距離射撃でスクラップに変えてしまう。祐一と同じく、彼も接近戦でその真価を発揮するパイロットなのだ。
 浩平が敵の中央を切り崩し、そこから9機のジムVやゼク・アインが突っ込んで傷を広げていく。MS戦も空戦や戦車戦と同じく、正面勝負なら勢いがあるほうが強い。ネオジオンMS隊は浩平に崩された事で機先を制され、隊形を崩してしまった為にかなり不利を強いられていた。


 後方でMS隊を中隊単位で再編成していたみさきは、浩平がネオジオンMS隊の1つを切り崩してズタズタにしていく様を、感心した様子で見ていた。

「わあ、浩平君凄いね。1人で敵を引っ掻き回してるよ」

 時間を稼いでくれれば良い程度に思って許可を出したのだが、あれなら敵部隊1つを潰してくれるかもしれないとみさきは期待してしまった。浩平があそこを押さえてくれれば、こちらが部隊を投入するのも容易になる。

「うん、ここは浩平君の背中を押すのが吉だね。ジェニス中尉、中隊まとめて浩平君の援護に入って。再編が終わり次第逐次増援を出すから」
「了解しました!」

 みさきの命を受けて再編成が終わっていたジムV隊12機が浩平を援護するべく戦場に向っていく。これで更に傷を拡大し、MS戦を有利に進められれば儲けものだ。
 MS戦の方はとりあえず浩平に任せ、みさきはアプディールを任せている雪見に連絡を取った。

「雪ちゃん、艦隊の方はどう?」
「コンペイトウ周辺の艦隊は大体纏め終えたわ。今クライフ提督が再編成して、こっちに送ってくれてる」
「あ、雪ちゃんが全部指揮するんだ」
「しょうがないでしょ。指揮官が居ないんだもの」

 これは世界を4分する全ての勢力に言えることだが、人材が枯渇している。連邦軍は最も多くの人材を抱えてはいるが、正面が多すぎて個々の戦線では人材不足なのだ。特に複数の戦隊を纏めた艦隊を率いられる人材は少なくなっていて、少佐だった雪見も今では中佐に昇進させられている。理由は勿論みさきの代わりに艦隊を指揮するためだ。
 雪見はみさきの代わりに1年戦争の頃から戦隊、艦隊を指揮してきた経験があり、その堅実な指揮能力は高い評価を得ている。特徴と言えるような特長は無いが、どんな戦局にでも対応できる癖の無い能力は非常に有効で、浩平たちからも秋子からも信頼される指揮官なのだ。クライフにもその名声は届いていて、コンペイトウ直衛の部隊をみさきに預けるという形で、そのまま雪見の指揮下に入れさせていた。中には雪見と同格の中佐も居たのだが、クライフが雪見に指揮権を与えたので雪見が率いている。
 雪見の率いられた艦隊はアプディールを中心として現在18隻が展開しており、それまで相手をしていた斉藤艦隊と入れ替わるように前に出て、両翼を伸ばして上下2列の一文字隊形を作ってアヤウラのネオジオン艦隊と対峙していた。雪見に対してアヤウラは艦隊を密集させて防御スクリーンの効果を上げる手に出ていたが、艦隊運動の巧みさと戦場の流れを見る能力で雪見に劣っているようで、確実に押されていた。そもそも数で負けている。

「このまま押し込むわ。アプディールの前進に合わせて前進して。全艦、上下の艦が交互に砲撃をして弾幕を絶やさないように!」

 数で2倍近い差を付けている雪見は上下に分けた艦が交互に砲撃を加える事で弾幕を絶やさず、しかもエネルギーチャージの時間を十分に取れるようにした。これは数が圧倒的に多いからこそ出来る手で、対抗する側は相手の砲火に対抗するために主砲のエネルギーチャージ率を抑えて弱いビームを連射する事を強いられる。こうなると余計に防御スクリーンを貫けなくなり、悪循環の連鎖を生む事になる。
 整然とした砲火を叩きつけられたアヤウラは、付け込む隙を見出せずにいた。これでは打つ手が無い。雪見の指揮は憎たらしいほどに堅実で隙がなかった。こうなると単に数の差がそのまま力となってしまう。

「くそっ、艦隊戦では勝てんか。このままではショウが来る前にこっちが磨り減らされてしまう!」
「閣下、やはりここは退くべきでは?」
「……やむを、えんか」

 部下の進言に、アヤウラは怒りに顔を歪め、肩を震わせていた。だが、どんなに頭に血が上っていても最低限の冷静さは残しているようで、アヤウラは全艦に正面の敵との砲戦圏外まで下下がるように命令を出した。合わせてMS隊にも退くように言う。この後退で被害の大きかった艦やMSは取り残される事になったが、アヤウラはそれらを切り捨てて後退した。非道なようだが、必要な時に切り捨てられない指揮官はより多くの部下を死なせる事になる。


 逃げていったアヤウラ艦隊を、雪見は無理に追撃するような事はせずに適当な所で切り上げ、コンペイトウ正面に戻った。ここで無理をせずとも、まだ再編中の部隊を糾合して戦力を揃えてから追撃した方が効果的だと判断したのだ。それに、連戦で弾薬も消耗しているので補給をしたかった。
 後退してくる艦隊の周辺に護衛に付く気か、浩平たちが展開してきた。これでほぼ態勢を整えた雪見は整然とコンペイトウ正面にまで後退し、みさきと合流した。

「みさき、とりあえずエアーは追い払ったわよ」
「ご苦労様だよ、雪ちゃん。とりあえずこっちもMS隊の再編を終えたから、いつでもいけるよ」
「そう、じゃあ一度帰艦して補給と整備をして頂戴。艦隊も補給をするから、終わり次第反撃に出るわ」
「了解。じゃあ一度戻るね。でも、バーク提督も苦戦してるみたいだけど?」
「こっちは弾と推進剤を消耗してるわ。無理をしても意味が無いわよ」

 雪見は無理を好まないので、ここは補給をしてから艦隊戦に加わるべきだと主張する。みさきは多少無理をしてでも行くべきだと思うのだが、今回は雪見の判断に従っていた。弾切れすると言われては仕方が無いと考えたのだ。
 次々に手近な艦に着艦して補給と整備を受けるMS隊。そしてコンペイトウから出てきたコロンブスから艦艇も補給を受けようとしている。その様子を見ながら、みさきは激戦が繰り広げられている戦場を見やった。

「バーク提督、無理しなければ良いけど」

 バーク艦隊の方は苦戦しているようだが、大丈夫だろうかとみさきは心配していた。バークは20隻程度の部隊以上の集団の指揮経験は無いはずなのだが。





 バーク艦隊は苦戦を強いられていた。数では2倍の差を付けているのだが、チリアクスは実に上手く艦隊を動かし、バークを翻弄している。バークは高速部隊を率いて戦場を駆け回るタイプの指揮官なので、今回のような腰を落ち着けての戦いは上手くなく、足の遅いマゼラン級戦艦を巡洋艦のように使おうとしていたりしている。それで全体の艦隊運動が上手く取れず、大軍の利点を生かせないでいる。
 バーク自身は旗艦であるクラップ級のラー・ザイムに乗っているのだが、慣れない大艦隊にストレスが溜まりまくっていた。いっその事戦艦部隊は誰かに預けて切り離し、自ら巡洋艦、駆逐艦で纏めた部隊を率いて動いた方がマシなのではないかとさえ思っている。

「ええい、戦艦が荷物だ。斉藤はまだ来ないのか!?」
「現在後方で補給中のようです」
「そうか……」

 斉藤が来ないのでは予定が狂うと呟くバーク。どうやら自分にはこの艦隊は重荷だという自覚はあるらしい。
 これからどうするべきかと考え込んでいるバーク。だがバークにそんな事を考えている時間は与えられなかった。バーク艦隊の動きが鈍いと見て取ったチリアクスは戦艦部隊めがけて艦隊を突撃させてきたからだ。近接砲戦になればますます細かい指揮が求められるようになり、バークの能力を超えた事態になってしまう。
 これを見たバークは、これ以上戦っても犠牲を増やすだけだと考え、全艦に防御戦闘を行いつつコンペイトウまで下がるように命令した。悔しいが、自分ではこの艦隊を使いきれない。


 後退命令を受けた祐一と北川は、追い込んでいるガトーを前にどうすると話し合っていた。

「どうする相沢、もう少し粘ればこいつ仕留めれるぞ?」
「こいつ落としても、俺たちが孤立したら意味無いだろ。周りの奴等は退いてるしな」
「まあ、孤立して袋叩きにされてもつまらんよな」

 北川の言葉に頷くと、祐一は接近戦をやめて距離を取った。そして北川と一緒に艦隊周辺へと戻っていく。それを見たガトーは大破寸前の機体から怒りの声を上げていた。

「何処へ行く、私をここまで追い込んでおいて、止めを刺さずに行くというのか!?」

 ガトーにしてみれば連邦のパイロットなどにここまで追い込まれたという悔しさもあるが、それ以上に見逃されたという屈辱感が彼の中で荒れ狂っている。プライドが人一倍高いだけに、屈辱と感じる行為が我慢ならないのだ。
 だが、祐一や北川にはガトーの心情など知ったことでは無い。それより艦隊周辺に戻り、MS隊を纏めて後退の援護をしなくてはいけないのだ。2人はMS隊を束ねる指揮官なのだから。
 

 
 バークの命令を受けて連邦艦隊は戦隊ごとに隊列を維持したまま後退を開始したが、それは容易な作業ではなかった。チリアクス艦隊の攻撃も脅威だったが、側面から後退していたアヤウラ艦隊が襲い掛かってきたのだ。これに対処するために巡洋艦戦隊が個々に反撃を加えているが、全体では包囲態勢に置かれている連邦の方が不利となっている。ただ、防御スクリーンの強度で遙かに勝っているので、崩される事だけは無さそうだった。
 戻ってきたアヤウラはチリアクスと連携し、交互に突撃と後退を繰り返して連邦艦隊の防御力を磨り減らす作戦に出ていた。これに連邦艦隊は少しずつ被害を積み重ね、駆逐艦などの弱い艦が1隻、また1隻と沈められていく。このままでは数をどんどん消耗してしまうとバークが焦っていると、後退してきた祐一と北川がMS隊を率いてアヤウラ艦隊に突撃していくのが見えた。バークがそれを見て驚いていると、オペレーターが祐一からの通信をバークに回してきた。

「バーク提督、あいつ等は俺たちが何とかするんで、早く後退してください!」
「相沢少佐、すまん」

 自分の失態をMS隊に押し付ける形になってしまった事に、バークは忸怩たる思いに捉われていた。これは自分のミスであり、どう言い訳しても誤魔化せる物ではない。これはフォスターUに戻ったら今度こそ秋子の逆鱗に触れ、降格されるだろうなと考えてバークは苦笑してしまったが、同時に妙な安堵も感じていた。自分は少将として大艦隊を率いるより、准将に留まって小艦隊を率いている方が分相応なのだと、今回の事で実感出来たから。
 しかし、運命はバークに再戦の機会を与えてはくれなかった。チリアクス艦隊が崩れたバーク艦隊正面から切り込み、ラー・ザイムに迫ったのだ。

「敵新型戦艦、正面です!」
「なんだと!?」

 バークが自虐思考から我に返り、慌てて正面を見据えると、そこにはネオジオンの最新鋭戦艦サダラーンの姿があった。サダラーン級はノルマンディー級の設計を参考にして建造されたネオジオン初の新造戦艦で、外観はそれまでのジオン系の艦艇とはかなり異なっている。ノルマンディーに近い外観で、色が同じなら遠目にはノルマンディー級と見間違えそうだ。砲力ではやや劣っているがMS運用能力では勝っているという、ノルマンディー級を現代戦に対応された再設計艦と考えた方が良いかもしれない艦である。ただし、ミノフスキークラフトは再現しきれなかったようで、大気圏に突入は出来ても自力での離脱は出来ない。
 だが、ノルマンディー級に砲力で多少劣るとは言っても、あくまでノルマンディーと比較しての話だ。その火力はクラップ級とは比較にならない。そんな物が目の前にいるのを見たバークの目は驚きに見開かれたが、次の瞬間にはサダラーンの主砲の一斉射撃を受けてラー・ザイムが爆発、その光の中に消えてしまった。





 旗艦の撃沈で、こちらの戦いの趨勢は決した。かろうじて保たれていた統制が失われてしまい、各戦隊がバラバラに動いてコンペイトウ方向に離脱して行く。皮肉な事にそれまで纏まって動いていた時よりも、バラバラになった方が逃げるのには都合が良かった。こうなると確実に食われる艦が出てくるが、全てを捉える事は不可能になるからだ。
 アヤウラはこの散開した艦隊を始末しようと全艦に命令を出していたが、それは叶えられそうも無い。アヤウラ艦隊の周辺では祐一と北川が率いる40機ほどのMS隊が艦隊直衛機と交戦していて、艦艇に取り付いてダメージを与えてくる機体までがいる。こんな状態では追撃どころではない。

「ええい、何をしてる。早く連邦のMSを始末しろ!」
「閣下、相手の方が数で勝っています。それに、この部隊はコンペイトウの部隊より技量に勝っているようで、押され気味です!」
「ちっ、シン・マツナガはどうした。ガトー少佐は!?」
「マツナガ大尉は補給中です。ガトー少佐は機体が大破しているようで」

 こちらのエース部隊も無傷では無い。それをアヤウラは思い知らされた。そしてアヤウラは、仕方ないかと呟いて奥の手を出す事にする。

「遠野と霧島のヴァルキューレを出せ」
「しかし閣下、あれは使わない予定では?」
「この状況ではやむを得まい。余り使いたくはなかったがな」

 アヤウラの命令を受けて参謀が各部署に命令を伝達する。それを聞きながら、アヤウラは少し忌々しそうに誰にも聞こえない声で呟いていた。

「シェイドか。あれは一体何なのだ。残されているデータを洗い直しても、詳しい事は分からなかった」

 シェイドだけではない。そもそもシェイド技術を持ち込んできたアーセン博士の素性さえ判明しなかった。あの男は連邦の研究所からサイド3に流れてきた科学者だという触れ込みのはずだったのだが、彼の痕跡はサイド3に来た所でぷっつりと途絶えてしまうのだ。それどころか高槻も同様に過去が謎に包まれている。ただ分かっているのは、アーセンがやってきてシェイドと呼ばれる強化人間の研究が始まり、自分に実験体の収集が命じられた事である。
 あの時はたんに命令だからという事で深く考えもせずに任務を遂行していた。なるべく若い、しかも連邦政府に登録されている医療用の遺伝子データから研究用に適合し、しかも余り怪しまれないよう特殊な素性の子供を誘拐していった。みさきや茜、舞などはこの類だ。シアンはアヤウラが自分の仕事にとって脅威となっていた御神を潰した際に、爆破後で見つけた生存者を連れ去って使ってみたらたまたま適合したというイレギュラーである。
 それが、こんなに得体の知れ無いものだと分かったアヤウラは、シェイドを実戦に使うのを躊躇うようになっていた。自分の持つ勘とでも言うべき物が、盛んに警報を発していたのだ。これを続けさせてはいけないと。これを実戦で使えば戦闘データを高槻に送らなくてはいけない。それによって何が起こるのか、アヤウラには分からないのだ。

「まあ、今回連れてきてるのはファマスで使った奴等だから、多少は安心できるかな?」

 そんな事を呟いて、胸の内に湧き上がる不安をアヤウラは押さえ込んでいた。一体、このシェイドとは何処から出てきた代物なのだ。




 エアーから出撃したのは2機のヴァルキューレだった。それはファマス戦役でアヤウラの元で活躍した遠野美凪と、霧島佳乃だ。2人は改良された新型ヴァルキューレを駆って出撃してきて、どうしたものかと周囲を見回した。

「どっちを見ても敵だらけだね、美凪ちゃん」
「そうですね、どうしましょう?」
「私に聞かれてもなあ〜」

 国崎がリーダーだったので、自分では考えた事が少ない2人はとりあえずどうしようかと話し合っていた。戦場でそんなアホな事をしてると当然ながら狙われるわけで、2機はジムV荷ビームライフルを向けられる事になる。

「あれ、警報だよ」
「ピコピコ!」
「佳乃さん、狙われてるようです」

 そんなにのんびりと言わないでくれと思いつつ、佳乃は回避運動に入った。そして至近を貫いていくビームに冷や汗をかき、佳乃は撃ってきたジムVを見る。

「美凪ちゃん、とりあえず数減らそうよ」
「……そう、です」

 分かりましたと言って、美凪はビームグレイブを取り出す。佳乃もそれを見てビームグレイブを取り出したが、2人が暴れるより早く敵は逃げに入ってしまった。

「あれ、逃げてくよ?」
「そうみたいです」
「どうしたのかな、ポテト?」
「ピコピコ」

 この女と怪生物はどうして会話が成立しているのだろうか。



 この後退は祐一たちが敵の足止めを十分に終えたと判断しての物であった。バークは戦死したが、他の艦艇は多くがコンペイトウ方向に逃げている。その殿を祐一たちは勤めた後、一斉にコンペイトウ方向に逃げていったのだ。
 これで、この戦いはお互いに仕切りなおしとなる。チリアクスもアヤウラとエゥーゴ艦隊を呼び戻し、これからどうするかを相談する事になった。





 コンペイトウの司令部では、クライフが右手で顔を押さえてじっと何かに耐えていた。祐一からバーク提督戦死を聞かされた彼は、その衝撃に暫し言葉を無くしていたのだ。司令部にやって来ていたみさきや斉藤、雪見にはかける言葉が見つからず、次の言葉をじっと待っている。
 そして、ようやく顔を上げたクライフは斉藤を見た。

「斉藤、君にバークが率いていた艦隊を任せる。川名大佐と協力して、敵の迎撃の陣頭指揮を取ってくれ」
「私がですか。提督は?」
「私はここから防衛戦全体の指揮を取らなくてはいかん。艦隊を任せられるのはもう君だけなのだ。頼む、ファマス戦役で我々を苦しめた君の手腕を見せてくれないか」
「しかし……」

 ファマス上がりの自分が、今回だけとはいえ60隻以上という正規艦隊並の大部隊を動かして良いのだろうかと斉藤は考えている。しかしクライフに頼まれては嫌とも言えず、斉藤はこれを引き受ける事になる。
 引き受けてもらった事で、クライフは斉藤に本作戦に限り戦時階級で准将扱いとすることを通達した。大艦隊を率いる者は将官でなくてはならない。大佐の階級ではこれだけの部隊は纏められないだろう。准将でも本当は低いのだが、戦隊指揮官の大半は中佐なので何とかなると割り切っている。


 クライフに大任を任された斉藤は、ノルマンディーに戻る途中の通路でみさきと雪見に苦笑を向けていた。

「まさか、私がこんな仕事を任されるとは思わなかったよ。クライフ提督が直接出てくると考えてた」
「司令部を留守にするのも不味いから、しょうが無いんじゃないかな」
「みさき、そんな軽く言わないでくれ。私は正規艦隊を率いた経験は無いんだぞ」
「大丈夫だよ、斉藤さんなら」

 責任の重さを肩で感じている斉藤に対し、みさきは何処までものほほんとしている。そんなみさきに、斉藤も苦笑を漏らしていた。どうにもこの同僚と話していると調子を狂わされる。これでは真面目に悩んでる自分が馬鹿みたいではないか。
 なんだか困っている斉藤を見かねてか、雪見が口を挟んできた。

「斉藤大佐、みさきのいう事は話半分くらいで丁度良いんですよ。全部真に受けてたら胃に穴が開きますから」
「雪ちゃん、それ酷いよお。私は公平君じゃないんだよ」
「折原君を使いこなすあんたは、尊敬してるけどね」

 自分が使ってた時は何度怒鳴りつけたか分からない。そういう意味では、雪見は確かにみさきを尊敬していた。そして2人のやりとりを見ていた斉藤は、なんだかなあという顔をした後に小さく笑い出していた。





 斉藤の指揮で再編された連邦艦隊がコンペイトウの正面に出てきたのは、先の仕切り直しから2時間後の事であった。この頃にはショウの艦隊もコンペイトウの背後に現れていたのだが、両軍の艦隊が睨みあって激突寸前なのを確かめたが手を出すタイミングを見出せず、その場で暫し様子を見ている。

「参ったな、こいつは」

 連邦艦隊は前衛として60隻以上、後衛にも60隻以上がいる。大してネオジオン、エゥーゴの連合艦隊は50隻程度だ。前衛が相手ならどうにかなるかもしれないが、その後で後衛を相手にする力はあるまい。

「こりゃ負けたな。痛い目見る前に引き上げるか」
「艦長、それで良いんですか?」
「トップ、あそこに突っ込めって言うのか?」

 ショウは昔から自分を補佐してくれる副長にぼやくような声でそう問い掛ける。トップはそう問われて戦場を方を見やり、ガクリと肩を落として力なく首を横に振っている。自分達が突っ込んでも無駄だろうと理解できたのだ。
 それを見てショウは無理だろと言い、これからどうするかと考える。そんなショウの決断を決定付けたのは、周辺に出していた哨戒機の報告だった。

「艦隊が近付いてる?」
「はい、偵察に出していたドラッツェからの報告ですが、コンペイトウに急行している空母主力の連邦艦隊を発見したと。それ以外にも巡洋艦と駆逐艦で編成された小部隊が複数発見されています」
「周辺宙域に散っていた哨戒部隊が、要塞の様子がおかしいと思って戻ってきたか」

 コンペイトウはかなりの戦力を通商破壊部隊への対処に出している。それらが要塞からの連絡が途絶えるなりの異常をみて、戻ってきたのだろう。1つ1つは少ないだろうが、全部集れば侮れない数になるのは間違いない。ショウはすぐに決断を出すと、チリアクスにそれを伝える為の信号弾を上げろと命じた。

「チリアクス提督の想定が当たっちまったな。敵来援接近中の信号弾を上げろ。それと、我が艦隊はこの宙域から脱出する!」
「了解しました」

 トップが部下に信号弾を上げるように命じる。そして艦隊が撤退に向う中で、ショウはトップに悔しそうに話しかけた。

「やはり、コンペイトウの防御は厚いな。こうなるとノイエ・ジールやキュベレイを持ってこないと無理かもしれん」
「開発中の新型はどうです? ゲーマルクに、Rジャジャでしたか?」
「どちらもいつ物になるか分からん状態だ。特にRジャジャは汎用性に難があるそうだからな」
「それでは、アヤウラ准将が持ち込んできたドーガとかいうのは?」
「本国で試作が進んでるらしい。ザクVのデータを元に改良をしているらしいがね」

 ザクVやドライセン、ガ・ゾウムにズサといった機体でMS隊を改変しているネオジオンであったが、この新型を揃えるのが急務で新型の開発は遅れ気味だった。この問題を解決してくれそうな安価でそこそこの性能を持つゴブリンは、残念ながらデラーズら参謀本部に嫌われているので、本格生産は期待出来そうも無い。
 参謀本部が意地を張らず、ゴブリンを量産してくれていれば、手持ちのMSの数は3割り増しくらいになっていただろうに。連邦が主力機をジムVとゼク・アインに絞って運用性を向上させているのに、国力で圧倒的に劣るネオジオンがこうも多くの機種を運用しているのも負担となっている。ザクVとドライセン、ガ・ゾウムは全く別系統の機体なので、整備性が最悪なのだ。これにゴブリンが加われば、4機種の互換性に欠けるMSを使う事になり、まともな運用など望めなくなるかもしれない。

「質で数の差を補うって言っても、流石に限度があるよな。何とか一本化して欲しいもんだが」

 ファマスの頃はシュツーカ系MSで固めていて、シュツーカとブレッタ、ジャギュアーには部品の互換性があった。同じ技術で作られていたので整備面でも楽で、運用し易かったのだ。これはジオン公国時代からの悪しき弊害といえるもので、統合整備計画が進むまでは互換性がまるで無いMSを複数運用していた。それを是正する為に統合整備計画を進めて部品の共有化や操縦系統の統一化を進めたのだが、結局それは十分な成果をもたらさずに終わってしまった。その為にこの問題はアクシズにまで尾を引いてしまったのだ。
 連邦は1年戦争でジム系一本で通したので、こういった問題とは無縁だった。その為に主力機はジム系を改良して使うという事を繰り返し、ジムVに至っている。連邦軍がジム系とは全く異なる機体を主力機に据えたのは、ゼク・アインが1年戦争以来初めてだというほどである。ハイザックは外観こそザクだが、中身はジムUのバリエーションという体たらくだったので当て嵌まらない。マラサイはその可能性を持っていたが、ティターンズに流れてしまった。

 残念だが、MS開発の効率という点では連邦の方が上ではないかとショウは考えている。今開発中というドーガが、この問題を解決してくれれば良いとショウは思っていた。そして、艦隊戦の第2幕が上がる。

「艦長、光です!」
「……始まったか」

 両軍の間をメガ粒子ビームとミサイルが交差し、防御スクリーンに弾かれたり迎撃弾に撃ち落とされている。そして艦隊砲戦の上側を両軍のMS部隊が相手に向って突撃し、激しい乱戦になってしまった。

「このまま放置したら敵が増えるだけだ。信号弾まだか!?」
「今上げます!」

 ノルマンディー級のバルジから信号弾が上げられ、バルジ隊の上空に赤と緑の光が灯る。これがチリアクスと取り決めていた信号であった。





 斉藤率いる連邦艦隊とぶつかるチリアクス。数ではほぼ互角だったが、質では連邦の方が上なのか、艦隊戦はネオジオンに不利だった。ネオジオンの主力となっているムサイ級は旧型だし、エンドラ級はMS搭載能力と航続力を重視した為に砲力は今1つだ。連邦艦は元々砲力を重視しているので、正面切っての砲戦ならネオジオン艦隊には分が悪い。しかも新鋭艦であるクラップ級、ラーカイラム級の数もそれなりに多い。このため、砲戦ではネオジオン艦隊が苦戦するようになっていた。
 加えて、先ほどとは違って艦隊は上手く動いている。指揮官が代わったようで付け入る隙がチリアクスにも見出せなかった。

「やるな、堅実な指揮だ」
「提督、感心している場合ではありませんぞ」

 ジャレット参謀長が敵に感心しているチリアクスにそう抗議したが、チリアクスはそう怒るなと言って指揮官席の背凭れに体を預けた。

「MS隊の方はどうなっている。キュベレイ2機とヴァルキューレ6機を全て出してやったんだ。それなりに勝負はしているのだろう?」
「そうとも言えないようです。敵MS隊はかなり凄腕が揃っているようで、ガトー少佐やマツナガ大尉でさえ押さえ込まれています」
「ソロモンの悪夢や、白狼がか……」

 みさきを中心に再編されたMS隊の戦力は強力だった。浩平に瑞佳、祐一、北川、あゆ、香里に栞、名雪というエースが揃っていて、ネオジオンのエース部隊を完全に封じ込めている。特にみさきは凄まじく、彼女1人でヴァルキューレ3機を相手取っている。量産型のD級シェイドは一弥やみさお程度の力しか無いので、みさきには脅威とさえ言えないのだ。

 MS線も優勢とは言えないとあって、さしものチリアクスの顔にも焦りが浮かんでいる。そしてそこに決定的な報告がもたらされた。

「信号弾を確認、コバヤシ准将です!」
「来たか!」

 これで挽回できるとチリアクスは期待したが、それに続いた報告はチリアクスの期待を完全に裏切る物であった。

「いえ、この信号弾は……敵艦隊来襲の信号弾です!」
「……なんだと?」
「コバヤシ提督がこちらに向う敵艦隊を見つけたという事でしょう。このままではこちらが不利になるだけですぞ提督」
「連邦は、まだ部隊を残していたのか」

 一体どれだけいるのだとチリアクスがウンザリした声を漏らす。そして、これ以上の交戦をしても得るものは無いと判断して全軍を後退させる事にした。今回は緒戦の戦果で満足するしか無いようだ。
 だが、なんとも無念な事だ。これだけの戦力を揃え、奇襲まで成功させたのにコンペイトウに辿り着けないとは。

「退くしか、ないか」

 仕方が無いと呟いて、チリアクスは全軍に戦域からの離脱を命令した。それを受けてネオジオン、エゥーゴの両艦隊が急速後退を開始する。それを見た斉藤は即座に全軍に追撃を命じた。

「逃げにかかったか。追撃しろ!」
「宜しいので?」
「敵は引き上げるつもりだ。ここは追撃して戦果を拡大する!」

 斉藤の命令を受けて斉藤指揮下の艦隊がチリアクス艦隊を追撃する。これに対してチリアクスはエゥーゴ艦隊が持つハイパーメガ粒子砲を使って足を止めようとし、不完全ながらも成功を収めた。だが、この追撃でネオジオン、エゥーゴ艦隊は5隻の巡洋艦、駆逐艦を喪失していた。



 そして、MS同士の戦いも艦隊戦の終結と時を同じくして自然に下火になっていった。MS戦は文字通りの殴り合いになっており、両軍共に大量の被弾機、撃墜機を出している。そんな中で一際目を引くのはやはりアムロのZZとあゆのゼク・ツヴァイの戦闘だろうか。シェイド部隊はみさきにすでに叩きのめされている。

「ああああっ!」
「チィ!」

 ゼク・ツヴァイとZZのビームサーベルがぶつかり合い、火花を散らす。互いの左腕にもつビームサーベルがぶつかりあう中で、ゼク・ツヴァイはサブアームに握らせた小型のビームサーベルでZZに切りかかる。だがこれもアムロに気付かれてしまい、後ろに下がられてしまった。
 あゆは先の戦闘でmk−Xを中破されていたので、整備が終わっていた北川のゼク・ツヴァイを自分用に再調整してもらって乗り換えていたのだ。インコムなどの装備は無いが、MS単体として性能はmk−Xよりゼク・ツヴァイの方が勝る。この重MSならばZZのパワーにも遅れは取らず、あゆとアムロは激しい乱打戦を繰り広げている。

「パワー負けしなければ、ボクだって!」

 mk−Xで押されていたのが余程悔しかったのだろうか。あゆはアムロに対して、かなり怒っているようだ。対するアムロも負けてはいないのだが、周囲の味方が撤退を始めているので自分も下がりたいという焦りがあった。ZZにはまだ切り札のハイメガキャノンがあるが、こんな乱戦下で使うのはただの自殺行為でしかない。
 一度離れたところでゼク・ツヴァイがミサイルを放ち、アムロがバルカンで叩き落す。その爆発の光を貫いてZZのダブルビームライフルを光がゼク・ツヴァイを襲ったが、既に狙った場所にはツヴァイは居ない。ツヴァイは横移動をしながら片手で保持していたマシンガンで弾をばら撒いてきた。

 この弾丸のシャワーを回避して反撃に出ようとしたが、それはカミーユに止められてしまった。

「アムロ大尉、何してるんですか、撤退ですよ!」
「分かってる!」
「急いでください、新手も来ました!」
「新手だと?」

 慌てて周囲を確かめてみれば、コンペイトウとは別の方向から10隻ほどの艦隊と60機ほどのMSが近付いてくるのが分かった。周辺に散っていた部隊が戻ってきたのだろうが、まさかこんな大部隊が出てくるとは。

「くそっ、これまでだな!」

 逃げるしかないとアムロは考えたが、自分1人ではあゆを振り切れそうにもなく、カミーユに援護を求めた。これを受けたカミーユのZがツヴァイに攻撃を仕掛け、その動きを止める。これをチャンスと見たアムロは機体を翻し、変形して戦場を離脱して行ってしまった。
 あゆは、驚いた目で逃げていったGフォートレスの後姿を見送り、呆然とした声を漏らした。

「あ、あの巨体に火力で変形までするの。エゥーゴって本当に何考えてるの?」

 実は更に3つに分離合体変形まですると知ったら、あゆはどういう顔をするのだろうか。



「あう〜、あいつ等逃げてく!」
「まあ、この戦力差じゃ逃げるだろうな」

 駆けつけてきたのは空母エンタープライズを旗艦とする機動部隊だった。これには久瀬がMS隊を纏めて乗り込んでいて、真琴と一緒に周辺航路の哨戒活動を行っていたのだ。それがコンペイトウの異常を知って急いで戻ってきたのだが、結局戦闘には間に合わなかった。
 
これでコンペイトウを巡る最初の会戦は終了した。連邦軍は多くの犠牲を払ったがコンペイトウを守りきり、戦略的には勝利したと言える。しかしバーク少将を失うなどの人的被害は大きく、今後の戦略にも影響を及ぼしそうであった。





後書き

ジム改 コンペイトウ第1次会戦終了。
栞   結構ボコボコにされてましたが、まあ痛み分けですね。
ジム改 回復力の差があるから、このレベルの戦いを繰り返さないとネオジオンは勝てない。
栞   繰り返せるんですか?
ジム改 連邦軍にも反省とか改善という言葉はあるかな。
栞   駄目じゃないですか。
ジム改 駄目だな。
栞   頼みのシェイドも、みさきさんには対抗できないみたいですし。
ジム改 みさきに勝てる人はいないって。まあ、D級シェイドは祐一にも勝てないけどな。
栞   微妙な強さですねえ。
ジム改 一弥クラスを量産できるんだから効果的ではあるぞ。
栞   連邦もそろそろ反撃に出たいです。
ジム改 その辺はそろそろだな。それでは次回、グリプス2の情報に揺れるサイド5。ソーラ・レイの悲劇がまた繰り返されるのだろうか。同時にヨーロッパの戦況も悪化の一途を辿っている。グーファーを加えて連邦MSを圧倒するティターンズに、ヨーロッパの連邦軍は対抗できないでいた。次回「欧州を救え」でお会いしましょう。