第81章  強化人間


 

 戦力を整えた祐一は再びアレクサンドリア攻略戦の指揮を取っていた。今度はMSだけではなく戦車や歩兵を参加させた正攻法であり、それだけに成功率は高いと期待されている。
 今回の攻撃に関してはわざわざアフリカ方面軍の指揮官として派遣されてきたエイパー・シナプス少将自らが直接祐一を激励に赴いており、鈍い祐一も流石にこれがコーウェンからの圧力であると認識せざるを得なかった。もし今度の作戦に失敗すれば、祐一の未来は闇に閉ざされるだろう。まあ彼個人としてはそれでも問題は無いのかもしれないが、そうなると自分に期待してくれた秋子やシアンを裏切る事にもなるので、祐一は仕方なくお仕事に全力を尽くす事になった。
 祐一はコーウェンから送られた戦時階級をそのまま継続する事になり、この作戦でもまだ大佐扱いとなっている。これにより、指揮下に置かれている複数の歩兵大隊や戦車中隊への指揮権を確立している訳だが、彼らの中にはまだ20代前半の若すぎる指揮官に対する不信感があるようだった。
 また、シナプスから作戦参謀としてゲラート・シュマイザー大尉が部下の独立MS小隊と共に派遣され、司令部を補強されている。もっとも、これは参謀というよりお目付け役だと祐一は感じていたのだが。
 今回はMSではなく移動司令部に席を設けている祐一であったが、彼はこのビッグトレー級の小型版とも言うべき物の艦橋にどうにも違和感を拭えないでいる。こんな場所は自分の居場所では無いと感じて仕方が無いのだ。

「MSを降りるってのは、こんな感じなのかな?」
「何が祐一?」
「この違和感だよ、どうにもここは俺の居場所じゃないって感じがするんだ」
「祐一、贅沢だよ」

 普通に考えればMSから降りて司令部勤務と言うのはパイロットの理想の栄転コースだ。それを喜ぶどころか、違和感が有ると嫌がるとは。この男は一度豆腐の角に頭をぶつけるべきでは無いだろうか。
 だが、その名雪の窘めるような声も何の効果も無かったようで、祐一はまだ外で警戒配置についているMSを羨ましそうに見ていた。
 そして困ったことに、それに同調する者がこの司令部に居たのである。

「はははは、まあパイロットはコクピットから降りると誰もが最初はそう感じるものですよ」
「シュマイザー大尉?」
「私も1年戦争で怪我をしてコクピットから降りたクチでして。まあ指揮官として戦争を戦いましたが、自分はパイロットだという気持ちは持ち続けておりました」
「大尉もそうだったんですか」 

 お目付け役の平参謀だと思っていたが、どうやら現場たたき上げのベテランだったらしい。そう思うと祐一はこの男に不思議と近親感が沸いてきてしまうのは感じていた。それを見た名雪は駄目だこりゃと諦めムードを漂わせ、視線を正面へと向ける。そろそろ戦闘が始まる頃なのだ。

「名雪、そろそろ始まるぞ。空軍の方は?」
「クレタとベンガジから出るはずだよ。今回はキョウさんもクレタに来てくれたみたい。それと海軍の空母2隻が援護してくれる筈だよ」
「そうか、なら空はこっちの物だな」

 祐一は大きく頷いた。元々空軍では互角と見られているが、海軍も来てくれるならまず制空権は押さえられる。問題は敵のギャプランとシュツルムイェーガーの数だ。だがこれに対してサシで勝負する事の出来るエース、キョウ・ユウカも来ているなら心強い。
 そして正面を見据えていた祐一の下に、偵察機からの報告が届けられた。

「敵です。正面15000に展開中、正面は戦車を中心に陣地を造っているようです。戦車は埋設!」
「MSの姿は?」
「さほど多くないようです、主力は戦車だと」
「……後方に隠してるのか、それともアレクサンドリア防衛を諦めたか?」
「そんな事無いと思うけど」
「まあ良いか、こっちのやる事は変わらん。名雪、予定通り砲撃開始だ」
「了解だよ」

 祐一に言われて名雪が通信士に指示を出し、命令が各所に伝達される。そして少し待って、周囲から轟音が轟き始めた。ガンタンク部隊や自走砲部隊が砲撃を開始したのだ。そして少し遅れて更に後方からも遠雷のような砲声が轟き、自分たちの頭上を飛び越えて多数の砲弾が敵陣地に叩き込まれていく。此方は輸送ヘリで運ばれて布陣していた長射程の重砲部隊だ。移動力は無いが破壊力、射程はガンタンクや自走砲の比ではない。
 重砲弾が着弾して次々に逆円錐形の土煙が吹き上がる。あの砲撃のしたでは多数のティターンズ兵士が吹き飛ばされているのだと期待したいところだが、砲撃ではしっかりと作られた陣地に篭る敵兵には大きな効果が無い事を祐一たちは良く知っていた。ただ砲撃は敵陣地よりももっぱらその前面に撃ち込まれており、時折着弾とは異なる爆発を起こしている。そう、砲撃は地雷原を潰す目的もあったのだ。
 そして1時間きっちりと撃ちまくった後で、祐一は地上部隊に前進を命じた。上空には既にジェットコアブースター隊が展開してエアカバーをかけており、地上部隊に安心感を与えている。ジェットコアブースターは今では旧式の戦闘爆撃機だが、見た目が平らであれば不整地でも離着陸できるというとんでもない特徴を持っている。これのおかげで地上部隊と共に前線に張り付く事が出来るのだ。
 そして前進を開始した地上部隊は、案の定生き残っていた敵からの反撃を受ける事になた。正面から戦車が砲を放ち、あるいは対戦車ロケットが放たれて砂漠を進んでいた戦車の正面に、至近に着弾していく。まだ距離が遠いので装甲を貫く物は無かったが、それは思っていたよりも激しい砲撃である。

「ちっ、これじゃ真っ直ぐには突っ込めんな」
「隊長、上空を!」

 戦車隊の隊長が至近に着弾した砲弾を見て不味いと思ったが、操縦士が上空に注意を向けさせた。ジェットコアブースター隊が上空を駆け抜け、攻撃を開始して位置を暴露した砲や陣地に攻撃を加え始めたのだ。それまでは入念な偽装の為に多くが良く分からなかったのだが、それが分かったので攻撃を開始したのだ。
 爆弾が投下されて着弾するたびに土煙が吹き上がり、時々砲や車両の破片が舞い上げられていく。そしてその爆撃が落ち着いた時、確かに敵の攻撃は弱まっていた。それを見た地上部隊の指揮官たちはここがチャンスとばかりに一斉に前進を始め、敵の陣地に突入していく。途中で未処理の地雷を踏んで擱座する戦車もいるが、その程度は最初から計算のうちだ。
 急速に距離を詰めてくる戦車に爆撃を耐えていた歩兵隊が対戦車ロケットを構えて発射するが、それは散発的だった上に、正面から行われた攻撃であった為に何の効果も無かった。戦車をミサイルやロケットで撃破するなら多数を纏めて、可能なら側面や背面から叩き込むのが定石だ。歩兵用携帯火器で戦車を撃破することは可能であるが、決して楽ではない。
 逆に埋設されていた戦車から放たれる砲弾は突進してくる戦車を撃破していた。砲塔だけを地上に出した戦車は古典的な手ではあるが地上戦ではかなり有利であり、落ち着いて狙う事が出来る。対する連邦は的が小さくて当てるだけでも大変なのだ。
 陣地に突入してきた戦車隊は塹壕を乗り越え、一気に防御陣地を抜きにかかった。乗り上げたところを下腹にミサイルを叩き込まれる不運な車両もあったが、大半はこれを抜けることに成功した。
 距離を詰められたのを見たティターンズの戦車隊は壕から出て後退に入ったが、スピードが上がる前に連邦の戦車隊の餌食になる物が続出した。ティターンズの戦車は旧型の61式ばかりだが、連邦軍は新型の81式戦車を主力にしているのが物を言っているのだ。
 この時点ではまだ双方共にMSは出していない。MSが出てきてからが本番なのだが、それだけにこういった野戦では迂闊に切れないカードとなる。特にティターンズは数で負けている分、先手を取って動きにくい。


 だが、ティターンズが動かない事に困っていたのは祐一も同じだった。ティターンズの動きを見てMS隊を投入しようと考えていたのに、前線が抜かれてもまだ出てこないのだ。敵は何時まで待つつもりなのだろうか。
 業を煮やした祐一は、とうとう自分から動く事を決定した。ジムV1個大隊に戦車隊に随伴するように命じ、自らも移動司令部と主力部隊を連れて前進を開始する。

「あのジムV隊を見て、敵は動くかな?」
「動くと良いけど、どうかなあ。何だか縦深陣地に誘い込まれてるみたいな気持ち悪さがあるよ」
「……まさかな」

 名雪の不安を祐一は最初笑い飛ばそうとしたが、すぐに考えを変えた。敵の抵抗は余りにも弱すぎて拍子抜けしたが、確かに此方を誘い込む為の罠とも考えられる。時に敵が寡兵だとするなら戦力を伏せておいて周囲から一斉に奇襲をかけてくる可能性のほうが大きいだろう。自分ならそうする。
 少し迷った後で、祐一は北川に命じて内陸側に展開して警戒させる事にした。こういう仕事はゲリラ相手の戦いが長い北川が最も慣れているので、奇襲などを受けても対応し易いのだ。
 これを受けた北川は早速ゼク・アインを展開させ、上空にジェットコアブースターを張り付かせて偵察させた。やはり空からの目が有ると無いでは索敵で雲泥の差が出る。



 部隊を展開させていた北川は、隣の香里に警戒を強化するように指示した。それを受けて香里は予備部隊に何時でも戦えるよう準備しておけと言ったが、機体を北川の機に寄せると本当に来ると思うかどうか尋ねた。

「北川君、本当に出てくると思う?」
「美坂なら相沢の相手をするとしたら、どう戦う?」
「そりゃ、砂の下にMSを伏せておいて、相沢君たちの側面と後背を突くわね。同時に正面から押し出せば包囲下における」
「俺もそうするな。制空権が得られるなら正面から行くだろうけど、残念だがそれは無理だからな。多分連中、MSが出てくるのに合わせて空からも来るぜ」

 ただ1つだけ問題があるとすれば、敵にそれだけの余力があるかどうかだろう。ティターンズはアレクサンドリアに大部隊を集結させていたことは確かだが、その大半は前線への増援として送られてしまっている事が確認されている。居残りの部隊はそう多くは無く、質も大した事は無いと予想されていた。

「まっ、何とかなるだろ。まだ後ろには佐祐理さんもいるし」
「相沢君が何時もの突撃癖を出さなければ良いんだけどね」

 祐一は腕は良いし状況判断も優れているが、迷うと前に出るという悪癖を持っている。どうも無自覚のようで一向に治る気配が無いのだが、この辺りは彼の長所である積極性にも関わるので微妙なところだ。





 北川隊が内陸部に展開を始め、側面を固めたところで祐一は全軍を前進させ出した。ティターンズの抵抗が弱すぎるのが気にかかったが、敵が退いたからには前進するしかない。まあ連邦軍は十分すぎるほどの予備兵力を揃えての前進なのでそれほど神経質にならずとも危険は少ないのであるが。
 だが、ある程度前進したところで連邦軍は砂中から姿を現したMSの攻撃を受ける事になった。北川たちの予想したとおりティターンズは砂の中に伏兵を忍ばせていたのだ。マシンガンを装備したハイザックやジムU、ジムクウェルが砂から身体を上げて連邦軍のMSや戦車に容赦なく銃弾を浴びせ、あっという間に8台の81式戦車が火を噴いて爆発し、砲塔を空高く舞い上げている。そしてジムV2機が直撃を受けて擱座した。
 だが、ティターンズの奇襲部隊はその戦果と引き換えに周囲から砲撃を集中され、各個撃破されるという悲惨な末路を辿った。圧倒的な大軍の中にいきなり現れたのだから当然と言えば当然だが、彼らは時間を稼ぐ事も出来なかった。

 ティターンズの奇襲中心の僅かばかりの抵抗を排除した祐一は内陸側の高台を北川の隊を使って制圧させ、そこに重砲部隊を空輸させると共に自らは本隊を率いて海岸道路沿いにアレクサンドリアに向かった。前回はここで包囲された事から慎重に海岸道路を進む事になるが、戦車隊の足が取られない分進撃速度は上がっている。
 自身のG−9のレーダーで周囲を索敵しながら前進していた祐一は、意外なほどに抵抗を見せないティターンズに流石に拍子抜けしていた。

「おかしいな、前に来たときは囮部隊でももっと抵抗してきたんだけど?」
「流石にティターンズも息切れしたんじゃないかな。確かロシアとバルカンでかなり消耗戦をやってたらしいし」
「そうなら良いんだけどな、佐祐理さんはどう思う?」
「佐祐理は敵の空軍が出てこないのが気になります。引きつけるだけ引きつけて全力で反撃に出てくるつもりかもしれませんが、流石に遅すぎる気がしますし。佐祐理ならもっと手前で防御線を敷いています」
「MSの足を使った機動防御は?」
「ここまで近付かれたら機動力を発揮する間がありません」

 佐祐理は敵の出方が解せないと首を傾げていた。自分たちを食い止めるならもっと手前に地雷原を敷設した防衛線を敷くべきだ。なのに敵の纏まった抵抗は先の防衛線だけで、その後には防衛線らしきものが無い。これではアレクサンドリアまで一気に抜いてくれと言っているようなものだ。

「上空の空軍機からも敵発見の報は無いんですよね、祐一さん?」
「今の所は無いですね、もしかして敵はアレクサンドリアを放棄したのか?」
「まだそうと決まった訳じゃないですよ」

 佐祐理は祐一の楽観を窘めたが、内心ではそうかもしれないと思っていた。ここまで全く反撃が無いということを考えると、本当に敵は逃げてしまったのかもしれない。先ほどの防衛線は逃げる為の時間稼ぎに過ぎなかったのだろうか。
 そしてもうすぐアレクサンドリアというところで、空軍機がアレクサンドリア正面のナイルデルタにティターンズの纏まった部隊を確認したと報告がもたらされた。その数はMS1個大隊ほどに戦車、装甲車を含む装甲師団であり、ようやく敵らしい敵が出てきたと言える。
 これに対して祐一は北川に重砲による砲撃支援を求めると共に、本隊に同行しているガンタンクU部隊に砲撃を行わせた。命令を受けたガンタンク部隊は砲列を敷き並べると一斉に砲撃を開始し、中口径の榴弾が敵部隊の頭上へと降り注いでいく。そして程なくして北川たちの方からも雷鳴のような音が轟き、大口径の榴弾が飛来してきた。




 上空3000から地上の様子を観察していたキョウは、アレクサンドリア手前に物凄い弾量が叩きつけられるのを見てティターンズの兵士に同情してしまっていた。あそこには居たくない、そう思わせるほどの圧倒的な砲撃が続いている。
 だが、敵機は未だに姿を見せない。ミノフスキー粒子の濃度も低く、レーダーが機能している状況なので見逃す筈は無いのだが。それとも今時珍しいステルス機でも使っているのだろうか。

「隊長、出てきませんね?」
「アレクサンドリア空軍基地に向かわせた連中は?」
「少数のセイバーフィッシュの迎撃を受けただけで、攻撃は成功したようです。滑走路の破壊に成功したと報告が来ました。ただ、MA打ち上げ用発射台は確認できなかったそうです」
「そうか、となると敵はアレクサンドリアを放棄したってことだな」

 発射台が無いならギャプランは使えまい。シュツルムイェーガーは使うことも出来るだろうが、この様子では配備されていなかったのだろう。敵は完全にこの基地を放棄していたのだ。
 だが、中東との重要な連絡通路であるここを放棄してはティターンズはアフリカとユーラシアに分断される事になる。その重要な拠点をこうも簡単に放棄するとは、一体何を考えているのだろうか。

「……やはりおかしいな。よし、索敵範囲を内陸部に大幅に拡大する。小隊を各方面に展開させるんだ」
「良いんですか隊長?」
「構わん、相沢にはある程度好きにして良いと言われている。すぐに偵察隊を出すんだ」

 部下に指示を出してキョウは部隊を周辺に大きく広げさせた。幾らなんでもこの重要な拠点をこうも簡単に明け渡すのはやはり腑に落ちない。




 キョウが部隊の一部を割いて偵察に出したことを祐一は追認する形で認めた。祐一も敵の抵抗の無さを疑っていたし、佐祐理もそれは同じだったからだ。
 そして祐一の本隊の先鋒隊は間もなく敵の最後の守りと接触しようとしていた。重砲とガンタンクが散々に叩いて見る影も無くなったであろう防衛隊であるが、彼らは降伏する事も無く祐一たちに反撃を加えていたのだから。
 先鋒を務めていたのは中尉に昇進したあゆと栞の小隊であった。先鋒を任されているだけに中々に強力な部隊であるが、彼らはここで強力な敵部隊と遭遇する事になる。
 それに最初に気付いたのはあゆだった。近付いてくる異常な気配に顔を顰め、不快感を露にする。

「うぐぅぅぅ……これって、何。頭の中にTVの雑音みたいなのが入ってくる?」

 決して耐えられないほどではないが、その不快感はあゆの神経を掻き毟った。そしてそれはすぐに栞にも感じられるものとなった。

「あゆさん、なんですかこれ!?」
「栞ちゃんも感じるんだ、これって何なの、シェイドの時ともNTとも違うよ」

 強いて言うならシェイドに近いが、これはまた別の異質な物だ。この気配に危険を感じたあゆと栞は前に出るのを躊躇い、入れ替わるように別の小隊が前に出てしまった。一番乗りの功績争いに先んじようとしたのだろうが、それはあゆと栞が避けた危険に真っ先に飛び込む事を意味していた。
 敵陣にビームライフルを放ちながら突入したジムVは敵陣から飛び出してきたストライクマラサイの攻撃を受け、2機が胸部を破壊されて擱座してしまう。それを見た最後の1機が危険を察して逃げに入るが、次々に出てきたストライクマラサイに追いつかれてビームに右腕をライフルごと破壊されてしまった。

「ライフルを無くした、誰か、誰か援護を!」
「考え無しに前に出るからだよ!」

 振り下ろされたストライクマラサイのビームサーベルを横から突き出されたビームサーベルが受け止め、そのまま払う。そしてジムVとストライクマラサイの間に割り込むようにガンダムmk−Xが横から押し込んできた。だがあゆがビームライフルを向ける前にストライクマラサイはホバーで後退してしまった。それでもあゆはビームを放ったが、吹き上がる砂塵が放たれたビームを急激に減衰させ、装甲を貫くには至らない。
 あゆは敵の逃げ足の上手さに軽く驚きながらも更に続けて2発放ち、敵機を完全に遠ざける。そして部下の2機と栞の小隊の前に出てきてマラサイの前に砲列を敷いた。

「月宮中尉、た、助かりました」
「戦えないならすぐに後退、訓練で教わったでしょ!?」
「は、はい!」

 あゆに叱咤されたパイロットは急いでジムVを下がらせた。それを見送ってあゆは改めて正面の敵を見据え、マラサイ隊から異常なプレッシャーを感じる事を確かめてあゆは先ほどから感じる不快感の原因がこの部隊であると確信した。

「栞ちゃん、感じるよね?」
「はい、さっきから感じてたのはこのマラサイのプレッシャーだったんですね。でも、何なんですこれ?」
「分からないよ、NTでもシェイドでもない、こんな相手は初めてだよ」

 自分たちに近い、だが決定的に違う存在を前にして、あゆと栞は戸惑いを隠せなかった。彼女たちはティターンズのやっている事を知らなかったのでこの相手の正体を察する事が出来なかったが、もしここに秋子やシアンがいればその正体を察する事が出来ただろう。そう、強化人間である。


 強化人間が駆る4機のストライクマラサイは左右に散り、あゆと栞のmk−Xを包囲するように動き出す。これを見たあゆと栞は部下と一緒に円陣を敷いたのだが、慣れない不快感にその動きは鈍くなっていた。4機のストライクマラサイの動きは2人がこれまで戦ってきた化け物に較べれば大した事は無かったのだが、2人は明らかに遅れていたのだ。
 あゆと栞が遅れたことで4機のストライクマラサイは先手を取ることが出来、放たれたビームが左右から襲い掛かる。あゆと栞はそれを地面に突き立てたシールドで受け止めたが、部下たちはそうもいかずに2機が直撃を受けて撃破されてしまう。

「シールドを使って、防御姿勢をとって!」

 部下のジムVをそう叱咤するあゆ。それを聞いたジムVは慌ててシールドを前に出したが、その動きは最前線に出るには稚拙と言う他は無く、あゆは苛立ってしまった。宇宙ではこのレベルではまだ教導隊から出て来れないというのに。

「……そうか、だから祐一君も秋子さんもあんなに訓練に熱心だったんだね」

 こんな未熟な状態で前線に出したくない、その思いがあったからあんなにひたすら訓練を重ねていたのだ。自分は唯のパイロットでしかなかったからあまり気にしてはいなかったが、未熟な兵が自分の部下に居るというのはここまで苛立たしいものか。

「栞ちゃん、祐一君に支援を頼んで。ここから一度退こう!」
「賛成です、これじゃ戦いなんて出来ません!」

 酷い頭痛を抱えている栞は堪り兼ねるようにそう答え、ビームら連射しながら後退を始めた。一方で祐一は2人の要請を受けて嬉しそうに自ら前に出てきたが、流石に信じられない思いであった。あの2人が撤退するから援護してくれなどと言ってくるとは、一体何があったのだろうか。

「あゆと栞が手に負えない相手って、どんな化け物なんだ?」
「そうですねえ、アムロさんみたいなのが出てきたんじゃないですか?」
「……佐祐理さん、それ洒落になって無いですよ」
「ふえ、すいませんでした」

 祐一の問い掛けに佐祐理が笑って答えたが、あゆが勝てない相手となると本当にそのレベルになってしうまうので洒落にならない事になる。佐祐理も祐一が深刻そうになってしまったのを見て不味い事を言ったと思い、しょげてしまった。
 だが、その祐一の隣をいきなりビームが駆け抜けていく。何事かと思った祐一の隣をすぐにまたビームが駆け抜けて行き、それが誰のものであるかを悟る事が出来た。

「名雪、撃つなら撃つって言え、危ないだろ!」
「言ってる暇が無かったんだよ〜」

 スマートガンを持ち上げながら名雪が言い返してくる。その先ではあゆの部下のジムVを切り伏せようとビームサーベルを振り下ろして、それを必死に受け止めていたジムVが居たのだ。それを見た名雪は1撃目でマラサイの足を撃ち抜いてバランスを崩し、2撃目で胴体を撃ち抜いて撃破したのだ。
 これを見た祐一はぶすっとした顔で押し黙り、ビームライフルを向けて牽制に3発発射する。それに続いて祐一直属の部下たちや佐祐理の直属小隊も射撃を開始し、ストライクマラサイ隊の動きを押さえ込む。ゼク・アインとジムVが作り上げる弾幕はかなりの密度でマラサイ隊を圧倒し、彼らは耐えかねた様に後退を始めようとした。
 しかし祐一はそれを許さず、部下の援護を受けながらG−9を突撃させて距離を詰め、まず1機にビームサーベルで切りかかった。マラサイもビームサーベルでこれの相手をしようとしたのだが、3度目の切り結びで祐一のフェイントにかかり、次の瞬間には胴体を半ばまで切り裂かれて擱座してしまった。
 その時には更に1機が佐祐理たちの集中砲火で撃破されており、最後の1機は逃げようとしたところを名雪に狙撃されて片腕を吹き飛ばされ、あゆのmk−Xが放ったビームキャノンを受けて胴体を撃ち抜かれ、部品をばら撒きながら砂漠に転がってしまった。

 これで妙なマラサイの一件は終わったかと思われたのだが、どういう訳かあゆと栞が激しい疲労と倦怠感に襲われていて戦闘を継続できる状態ではなくなってしまっていた。これを見た祐一は仕方なく2人を小隊ごと後方に下げて軍医に見てもらうように言い、代わりに佐祐理にアレクサンドリア突入を命じる事になる。実は最初祐一は自分が突っ込もうとしたのだが、これは名雪と佐祐理に笑顔でしっかりと駄目出しされてしまい、仕方なく佐祐理に任せることにしたのだ。
 祐一の命令を受けた佐祐理は上空に空軍機の支援を求めてMSを突入させ、敵のMSや戦車の掃討を図ると共に戦車と装甲車、歩兵を市街地に突入させて制圧を図った。MSは大型目標の破壊には適するが、このような市街地での戦いには向かない。隠れられる場所が多いので対MS用ミサイルを担いだ歩兵に脆い部分を狙われる危険が高いからだ。こういう場所での主役は歩兵である。
 上空からの偵察で市内にMSの姿が無いことを確認した佐祐理は、後は戦車や歩兵の仕事だと判断してMS隊を下がらせ、後は彼らに任せた。上空には戦闘機に加えて攻撃ヘリの姿も見受けられ、市街地の各所で煙が上がっている。

「アレクサンドリアは落ちましたね。後は空軍の援護に任せれば十分でしょうし、私たちも引き上げましょう」

 敵にMSが無いのなら此方もこれ以上MSを使う必要は無い。制空権も押さえてあるし、そう待たずに市街地は押さえられるだろう。そう判断した佐祐理は動かすだけでも消耗するMSを後方に下げて整備部隊に預け、後は装甲部隊に任せることを決めた。
 佐祐理の判断を受けてMS隊は後方のサービス部隊と合流するべく後退を始めたが、一部は戦場に残って万が一の事態に備え、あるいは戦場掃除の手伝いをした。MSは作業機械としての側面があり、擱座した兵器の移動や残骸の撤去などにも威力を発揮するのだ。



 歩兵隊の突入から3時間ほどでアレクサンドリアは陥落した。元々数が違う上に火力支援が隔絶していた為にティターンズ守備隊が早々に戦意を喪失して降伏を申し出てきたのだ。
 降伏したティターンズは進駐してきた連邦軍によって後送される事になったが、彼らから得られた情報によってアレクサンドリアに居た守備隊の主力はポートサイドに移動している事がわかった。彼らはスエズ運河を死守するつもりなのだ。紅海の支配権さえ押さえられれば分断される事は無い、というのが理由だろうが、随分と思い切った物だと祐一たちは感じていた。

 また、この戦いであゆたちの戦意を喪失させる原因となった敵の正体も判明した。あゆたちを食い止めた4機のストライクマラサイのパイロットの1人が生存しており、捕虜となっていたのだ。その捕虜の異常性はすぐに明らかとなり、守備隊指揮官を尋問することでその正体が強化人間だと分かったのだ。
 強化人間がどういうものなのかは祐一たちも良くは知らなかったが、碌な物ではないことは捕虜の異常な精神状態から察する事が出来たので、祐一は輸送機を特別に用意してこの捕虜をすぐにジャブローに送る事にした。こういう面倒そうなのはジャブローに押し付けるのが一番効率が良いのだ。
 だが、接収して臨時司令部を置いた祐一はその司令部で集めた仲間たちを前にして、何とも憂鬱そうに愚痴を言い放っていた。

「強化人間、かあ。なんかまた面倒な事になりそうだよなあ」
「祐一〜、それ洒落になって無いよ〜」

 また、という部分に名雪が心底嫌そうな顔をし、北川と佐祐理は表情を引き攣らせ、香里はやれやれと肩を竦めてしまう。ファマス戦役の頃からの常だが、こういった厄介な連中の相手は自分たちに回される事が多いのだ。MSの世界ではエースパイロットの戦力はかなり大きいので、エースにはエースをぶつけて撃破するのが一番効率が良くなるのである。特にここ最近になって登場している一部の超高級機はその戦場の戦況に大きな影響を及ぼすほどの脅威となり得るほどの力を持っている場合がある。アムロの乗ったZZやシロッコのジ・O、そしていずれ出てくるだろうシャアが乗ったNT専用機などがそういう部類に入るだろう。
 これらが出てきた場合、対抗するには此方もエースをぶつける事になる。そうなった時にお鉢が回ってくるのは何時も自分たちなのだ。今回の強化人間という奴らもそういった厄介事の原因となりそうであり、祐一たちは嫌な予感を拭えなかったのである。


 だが、この戦いを密かに監視していたドローンが砂の中に居た事には誰も気付かなかった。それはアレクサンドリア正面で行われていた戦いを観察した後、砂漠の中から姿を現して何かを遠くに打ち出している。その推進煙でようやく警戒配置についていた部隊が気付いてそこに向かい、そのドローンを回収している。それが何らかの撮影機材であった事は直ぐに判明したのだが、何を撮影していたのかは謎のままであった。

 シナプスはアフリカ侵攻軍の指揮官に任命された事で少将に昇進を果たしていた。彼は西海岸から上陸した部隊とアフリカ中央を南下する部隊、そしてスエズ運河を攻略する部隊の3つを指揮下に収めているが、その全ての動きを纏めるに連れてティターンズの抵抗の激しさを知る事になった。

「思っていたより抵抗が激しいな、西海岸から上陸した部隊はカサブランカを落としたは良いが、そこから先には進めずにいる。敵はダカールは譲らんつもりだな」
「サハラ砂漠を突破してアダマワ高原まで抜き、敵を包囲する筈だった中央軍もチベスチ高原で食い止められています。敵は相当数のグーファーとストライクマラサイを出してきたようで、味方は機動力に翻弄されています」
「ジムVG型が纏まった数此方に送られていれば、何とかなったのだろうがな」

 味方の地上用MSはどうしても開発が遅れている。秋子の主導でMSや艦艇を含む装備の更新に努めていた宇宙軍はジムVやゼク・アインやストライカーといった新型をこの戦争に間に合わせ、更に新型の開発も進めている。艦艇も新型のカイラム級戦艦、クラップ級巡洋艦が量産配備され、マゼランやサラミスとの代替が進められている。
 だが地上軍はこうはいかなかった。宇宙軍と共同開発していたジムVだけは量産体制を整える事が出来たが、その他の新型機開発計画はまともに進んでいなかったのだ。それどころか一部はティターンズに移譲されてしまったほどである。地上では宇宙と違って大きな戦いが少なかった事もあり、旧型兵器のマイナーチェンジで十分だったためだ。
 これが地上におけるティターンズとの戦いで連邦の大敗という結果をもたらした。連邦軍の主力はジムUならまだマシで、ファマス戦役で量産配備されたジム改が中心だったからだ。本来なら全てがジムUに改修されているはずだったのだが、その作業は後れに遅れており、未だに旧型のままだったのである。これではマラサイやバーザムといった第2世代MSを多数保有するティターンズに対抗できるはずも無く、連邦軍は各地で撃破されてしまった。これに対抗できたのはジムVや第1世代終盤型のシュツーカなどを装備した部隊だけであった。

 あの悲惨な敗走は1年戦争を髣髴とさせる物があったが、あの時とは決定的に違う事がある。それは連邦軍もMSを装備し、それを使いこなせるようになっているという事だ。確かにティターンズに対して兵器の性能、将兵の能力、戦術などにおいて劣勢を強いられているが、連邦軍にはティターンズには無い絶対の力、物量という強大な武器がある。質の差が余りにも大きいと物量では対抗できない事は近代戦の常識であるが、連邦とティターンズの差はそこまで大きくは無い。ジムUでも数機いればマラサイやバーザムに対抗できるのだから。
 この物量の力を最大限に発揮させてコーウェンはヨーロッパを奪還した。圧倒的な大軍と膨大な物量、そしてそれを円滑に運用するための指揮、通信、補給といった後方支援体制、この全てを揃える事が出来るのは連邦軍だけなのだ。ヨーロッパのティターンズはこの連邦軍の総力戦に真っ向から戦う羽目になり、結果として惨敗を喫してしまた。


 地上軍は確かに反撃に出ているが、戦線が広がったとたんにまた足を止められてしまう。ティターンズに決定的な打撃を与えるにはやはり第2世代MSの充実が不可欠なのだ。その計画も既に進んでおり、宇宙軍が量産しているゼク・アインの陸戦改修型の生産が開始され、更にファマスが運用していた汎用量産機ジャギュアーの再設計も行われている。これらの生産が軌道に乗ればティターンズがグーファーを持ち出しても勝てるようになるはずなのだ。
 もっとも、宇宙軍では既にゼク・アインやジムVの後継機の開発も進められており、ゼク・ツヴァイを小型化したような次世代MSゼク・ドライやジム系の設計を発展させたジードの開発が進められている。最も本命はゼク・ドライであり、ジードは保険程度でしかないのだが。


 シナプスはアフリカ中部の戦況報告を聞き置けると、アレクサンドリアに向かっている筈の祐一たちの方はどうなっているかを聞いた。

「相沢大佐の方は?」
「アレクサンドリアを落としたようです。一部は内陸部の高地を占領し、アレクサンドリア周辺への砲撃地点を確保したようで、重砲部隊がここに進出しています」
「ほう、思っていたより早いな」
「敵の抵抗がかなり少なかったようです。相沢大佐からも不自然なほどに敵が静かだと言ってきています」
「静か、か。相沢大佐は慎重なようだな」

 先の失敗を反省しているのだろう、祐一の攻撃は慎重に進められている。ある程度前進したら重砲部隊を前に出して常に味方を支援できるようにしているし、上空には常に空軍の傘がかけられている。偵察も入念に行っているようで付近の敵の動向に注意を払っている事が分かる。
 これらを見る限り、祐一は指揮官としてはやや猪突の癖があるが、失敗を繰り返すような愚鈍な人物では無いと分かる。また今回は最初から戦巧者として知られる北川と佐祐理も居た事が大きいのだろう。
 しかし、確かに祐一が不審に思うようにティターンズの抵抗は無さ過ぎる。アレクサンドリアはアフリカ北部における最大の要港であり、アル・ギザやカイロといった都市の玄関口だ。ここを失えばティターンズは中東との連絡通路を遮断されると共に、アフリカ北部を完全に失う事になる。そうすれば連邦軍はアレクサンドリアに船で大量の物資を送り込む事が出来るようになり、アフリカ攻撃軍への補給は格段に改善されるのだ。
 連邦軍の戦略に詳しいアーカットにそれが分からない筈は無いのだが、一体何を考えているのだろうか。

「戦力の消耗を避ける事を重視したのか?」
「ティターンズはそれほどに消耗しているのでしょうか?」
「どうだろうな。だが罠であったとしても、アフリカとユーラシアを分断される打撃と引き換えに出来るような物ではあるまい。この後に奪還できる見込みでもあるなら別だがな」

 だが、この戦況を引っくり返せるような妙案があるとも思えない。両軍の戦力比は確実に開いていく筈で、しかもティターンズは2つに分断されてしまう。連邦軍はこのどちらかに戦力を集中して叩き潰し、かえす刃でもう一方を殲滅する事も十分に可能なのだ。
 この不利を一時的に甘受してでもティターンズが戦力を温存しているとすれば、流石に洒落にならない事態ではある。だがそんな手段があるとは思えず、シナプスも唸る事しか出来ないでいた。
 だが、その時平参謀があることを思いついた。

「閣下、1つだけ可能性があります」
「なにかね?」
「例のサイコガンダムという化け物です。もしあれに量産化の目処が立ったとすれば、我々を撃破することもできるでしょう」
「あの化け物をか。だが、あんな代物そうそうとは増やせまい」
「それが、宇宙軍からあれの系列機と思われる巨大MSと交戦したという報告があったようでして。ティターンズはあれの数を増やしているようです」
「……サイコガンダムの量産化、か」

 ありえない話ではない。強固な装甲にIフィールドバリアで身を守り、ミノフスキークラフトで空を飛びながら全身のビーム砲で周囲を掃射してくる空中要塞。前に戦った時はあれが1機だったからどうにかできたが、もし数機で部隊を組んでこられたらどうやって落とせば良いのだろうか。戦艦が数隻集まっているような物なのだ。
 今のところ、あれに有効打を与えられるのは攻撃機が装備するスピアフィッシュ対艦ミサイルだけである。ファマス戦役では対宇宙要塞ミサイルだったものを対艦用に転用したものだが、これをぶち込めば撃破可能な事が前の交戦で判明しているのだが、同じ手が二度効くかどうか。普通のMSが数機随伴して援護してやればそれだけで数段厄介な相手になる事も分かっているのだから。
 あんな物が大量に出てこられたら対抗のしようがない、その事が分かるだけにシナプスたちは深刻な表情で沈黙してしまった。




後書き

ジム改 祐一たちはアレクサンドリアを攻略。
栞   攻略と言うか、相手が放棄しただけじゃないですか。
ジム改 それでも一応攻略なのだよ。
栞   ところで、何で私たち苦しんだんです?
ジム改 強化人間の持つ思念はNTには雑音のように受け取られるのだ。Zでクワトロやカミーユが苦しんだだろ。
栞   私たちもあの状態なわけですね。
ジム改 まあ慣れれば大丈夫だろうけどな。
栞   でも強化人間ってそんなに沢山居るんですかね?
ジム改 人工的に作れる分NTよりは多いだろうな。
栞   でもティターンズの強化人間って使えないですよね?
ジム改 ネオジオンの方が安全で簡単に作れるからな。
栞   ファンネルも無いですしねえ。
ジム改 それでは次回、エゥーゴ壊滅を目指すティターンズは月侵攻の準備を始める。グリプス宙域で侵攻部隊の編成が行われ、新造艦艇とMS部隊による演習が行われるようになる。だがその動きをキャッチしたエゥーゴでは対応を巡って意見が分裂してしまう事に。次回「鷹の獲物」でお会いしましょう。