第88章  燃える海鳴


 

 宇宙から降下してくるティターンズMS隊の存在は本国艦隊から太平洋方面の友軍にすぐに通達された。北太平洋沿岸に置かれている基地はすぐに警戒態勢に入ったのだが、その降下軌道から推測される予想ポイントは海鳴基地であった。
 海鳴基地でも基地に迎撃配置命令が出され、市街にも避難命令が出される。俄かに慌しさを増した基地の中で、シアンが守備隊に迎撃作戦を指示していた。

「時間はある、迎撃は想定Cに沿って行え。ティン・コッドによる高高度迎撃、それを突破した奴をダガーフィッシュで落とすんだ。MS隊は基地で待機、第2中隊はゲタに乗って待機してろ」
「中佐、迎撃ミサイルは?」
「突入コースから来る敵機が相手じゃ、この基地の型落ちミサイルじゃどうせ当たらん、止めておけ」

 そう言って、シアンは全パイロットに出撃を命じた。そして司令部に回線を繋ぎ、マイベックに迎撃を上げる事を伝える。

「司令、戦闘機隊を出して高高度で迎撃を仕掛けます。街の方の避難状況はどうですか?」
「順調だが、まだしばらく掛かるな」
「そうですか……」
「なんなら、娘さんの状況を確認させても良いぞ」
「いえ、そちらは高町さんたちを信頼していますから大丈夫です。それよりも、少し気になることが」
「ティターンズがここを狙ってきた事、か?」
「はい。まあアフリカが終った以上、次の主戦場がこちらに移ることは予想出来る事です。ティターンズの情報網だって馬鹿に出来ないでしょうから、こちらに物資や部隊が動いてる事は掴んでるでしょうし。俺が気になるのは、敵の数が少なすぎる事です」
「確かに、海鳴を攻略するには少なすぎる。狙いは倉庫に集まってる物資と輸送機だとしても、中途半端すぎるな」
「気をつけた方がいいです。別働隊がいるか、降下して来た敵が余程強力な部隊なのかもしれません」
「どちらか、と分ける必要は無いさ。多分どちらも当たっている。シアン、敵の増援が来ると考えて準備しておいてくれ」

 降下してくる敵は強力な新型機の可能性があり、更に増援がある可能性もある。それを前提に準備しろと言われたシアンは無茶言うなと思ったが、とりあえず動かせるだけのMSを出して迎撃準備をさせた。
 格納庫で檄を飛ばしているシアンを見やりながら、妻であり副官でもある郁未はらしくなってきたなあと少し嬉しそうな顔をしていたのだが、いきなり後ろに現れた人の気配にビクッと1歩前に出て振り返ってしまった。

「嬉しそうですね、郁未さん。いえ、義姉さんと言うべきなのでしょうか?」
「郁未で良いわよ。ちょっと昔を思い出しててね、やっぱりあの人は前線指揮官が良く似合うなあって思って」
「そうですね、基地司令だった頃の義兄さんは何処か精彩を欠いてましたから」
「一日中椅子に座って新聞読んでるだけで給料が貰えるって事は喜んでたけどね」
「それは事務仕事の大半を久瀬中尉、いえ、今は大尉でした、大尉に押し付けていたからです」

 茜は義兄さんは昔から面倒な事は嫌いな性質でしたから、とブツブツと言っている。どうやら彼女もシアンの面倒くさがりには迷惑していたようだ。それを聞かされた郁未はおかしそうに笑うと、茜と肩を並べてMS格納庫へと向かった。この基地のパイロットの中では2人は主力級のエースなのだ。もっとも郁未は予備役から急遽現役復帰しただけの臨時雇いなのだが。




 降下してきたティターンズMS隊は成層圏でいきなり連邦軍戦闘機隊の盛大な歓迎を受けた。バリュートで降下中に30機を超すティン・コッドが下方から襲い掛かってきて、彼らは基地との交戦圏に入る前にバリュートから出る事を余儀なくされたのだ。
 だが、バリュートから出てきたMSを見たティン・コッドのパイロット達は驚いていた。姿を現したのは全てが見た事も無い新型機だったからだ。指揮官が未知の新型機が相手であることを基地に映像と一緒に伝達し、武器のロックを解除して編隊を分けながら慎重に攻撃を開始した。
 映像データを受け取った海鳴基地では早速解析が始められ、降下してくる敵機が3種類居て、そのうち1つはその正体が判明した。

「これはRX−160バイアラン、キリマンジャロ基地で戦前から開発されていた空陸型MSです」
「空陸型というと、可変機なのか?」
「いえ、MS形体で飛行を可能にするというコンセプトで開発されていた機体です。どうやらティターンズは完成させたようですね」

 オペレーターの報告にマイベックは渋い顔をしてしまった。性能は分からないが、投入してきたという事は最低でも目標とした性能は達成しているという事だ。どれだけ飛べるのかは分からないが、空戦が可能な程度の性能は持っていると見て良いだろう。
 この基地には空戦が可能なMSは存在せず、強力なMSも無い。あるのは修理の為に後送されてきた損傷機を除けばジムVとジムUばかりだ。他にも工兵隊用に改修されたワークス・ジムがあるが、これは戦力にはならない。

「アッシマーやZプラスの1個飛行隊も回してくれれば良いのに、ジャブローもケチだからな」
「司令、どうなさいますか?」
「空を飛ぶ奴が相手じゃ戦闘機と防空隊に任せるしか無いさ。それで、他の2つは?」
「こちらは全く不明です。卵形のMSはジオン系だと思われます。もう片方はジム系だろうということしか分かりません。こちらはハイドロジェットらしきパーツが見られますので、水中用の機体でしょう」
「ジオン系の卵形、か。ネオジオンから入手した水陸両用機かな?」

 ネオジオン、エゥーゴ、ティターンズは時に味方となり、時に対立しあってここまで来ている。エゥーゴはティターンズに滅ぼされたが、ネオジオンはまだ残っている。この両者がなんらかの利害関係の一致で技術交換や機体の売買をした可能性は否定できなかった。過去にもネオジオンのアヤウラがアナハイム製のMSを使っていたり、ティターンズがネモを使っていた事もある。
 これらもそういった類なのかもしれない。ネオジオンが開発はしたが使う機会の無かった新型の水陸両用機をティターンズとの交渉材料に使ったのかもしれないとマイベックは考えた。地球上におけるティターンズの劣勢は制海権を完全に連邦に抑えられている事に起因している。連邦は海軍に守られたシーレーンを使う事で世界中に迅速に軍隊や物資を送る事が出来るが、ティターンズは陸と空で運ぶしかないのだ。
 連邦軍はジムVを改修したアクアジムVやカラバから接収したメタスマリナーを最近になって投入したが、ティターンズも強力な水中用MSを投入して制海権の奪還に乗り出したのかもしれない。

「となると、この近くに部隊を収容する為の潜水母艦が複数やって来ている、という事かな?」
「哨戒機と駆逐艦を出して探させますか?」
「そうだな、やってくれ。水陸両用機で使えるのは?」
「アッガイがありますが、あれは浅海用で深海には手が出せません」
「うちにもメタスマリナーが欲しいところだな。仕方が無い、すぐに対潜部隊を出せ」

 この辺りでMSという兵器の限界を感じてしまうが、まあ仕方が無いとマイベックはドン・エスカルゴと駆逐艦による対潜部隊の出撃を命令した。それを受けて10機を超えるドン・エスカルゴと5隻の駆逐艦が太平洋に向かい、潜水艦を捜索する事になる。だが、流石のマイベックもティターンズの動きを完全に読み切ることは出来なかった。ティターンズはこの攻撃に想像以上の戦力をつぎ込んでいたのだ。

 


 ティン・コッドの迎撃を突破したティターンズのMS隊は1万メートル以下の中高度に入った所で今度はダガーフィッシュの盛大な歓迎を受けた。2機の卵型MS、カプールがダガーフィッシュの放ったミサイルを集中されて木端微塵となり、バイアランが反撃に放ったビームでダガーフィッシュを撃墜する。
 後僅かで降下することが出来るのだが、やはり制空権を押さえられた基地への強襲降下は容易ではない。その事をティターンズは改めて思い知らされる事になったが、その守りを無理やりとはいえ突破しようとしている事が彼らの強さを教えてくれていた。
 降下部隊の指揮を取っている元教導団の指揮官の1人であったブレイブ・コット少佐は海鳴から上がってきた戦闘機隊の頑強な抵抗に苦虫を噛み潰したような苦りきった顔をしていたが、とにかく地上に降りろと全軍に指示していた。

「とにかく1秒でも早く地上に降下し、物資と湾口施設、飛行場の輸送機を破壊するんだ。それさえ達成すれば作戦は成功だ!」

 作戦を成功させれば地上軍が用意しているはずの回収部隊に拾ってもらって逃げ出すだけだ。海鳴基地を暫く機能不全に陥らせれば北東アジアに展開する連邦軍は僅かな間ではあるが補給が滞って身動きが取れなくなり、その間にティターンズは被害を抑えながら中央アジアや南アジアに戦力を引き上げる事が出来る。この作戦の目的は少数の犠牲で北東アジアの部隊を無傷で引き上げ、マドラスがある南アジアに主力を集めるという戦略を達成する為の作戦の一環なのだ。
 その為にティターンズ宇宙軍はこの作戦に新型MSを多数投入し、更に地上部隊の支援まで送り込んでいる。海中からは潜水艦隊が接近し、更に連邦軍の高高度監視レーダーを掻い潜る為に弾道コースでガルダ級のガーウィッシュが海鳴に迫っている筈だ。作戦を成功させてこれらに逃げ込めば、自分達はマドラスに逃げ込む事が出来る。
 だが、彼には個人的にここでやりたい事があった。だからこの攻撃隊の指揮を買って出たのだ。そう、彼にはどうしても倒したい相手がいたのである。

「シアン・ビューフォート、貴様さえ来なければペズン基地を教導団ごとティターンズに持っていくことが出来たのだ。それを邪魔された恨み、晴らさせて貰うぞ」

 彼はペズン基地の一斉蜂起の計画が、部下の一部が反旗を翻した事で失敗した事を恨んでいたのだ。シアンと親交があったトッシュ・クレイ大尉率いる、いわゆる中道派の将校が基地守備隊側に付き、自分達の質の優位を崩してしまったのだ。
 ジムUやガンダムmk−Uと共に教導団マークをつけたゼク・アインが敵として現れたのを見た時、コットは計画の失敗を悟った。この計画は教導団の全部隊が参加し、かつ守備隊の隙を突いた奇襲である事が前提であった。だがクレイが裏切った事で奇襲は無くなり、正面からの力の勝負となった為に全てが狂ってしまった。守備隊は最初から万全の体制で自分達を迎え撃ち、自分達はその相手をする為に全力を費やして敗北したのだ。幾ら性能に劣るジムUとはいえ、圧倒的な数で押し潰しに来られては対抗のしようも無かったのだ。
 自分と生き残りはペズン配備の巡洋艦を奪ってペズン基地を脱出し、どうにかティターンズの部隊と合流する事が出来た。ティターンズの中でコットはそれなりの地位で遇され、バスクの手駒の1人としてこれまでよく戦ってきたのだ。
 だがコットはペズンの敗北という屈辱を忘れた事は無く、その遠因とも言えるシアンへの恨みもまた忘れていなかった。それにシアンが上級戦技官として自分の上に居た頃はスペースノイドが多くやってきたので、その事も彼に大きな不満を抱かせるものであった。何故アースノイドの自分がスペースノイドと肩を並べなくてはいけないのか、と。
 その恨みを晴らす為ならば、こんな無茶な作戦にも志願する。なまじ高いプライドがそのまま彼の視野を狭くしてしまっていたのだ。




 上空に輝く幾つもの光を見上げながら、シアンはどうしたものかと考えていた。

「空軍の守りを突破してくるのか、ジャブローに降下してきたエゥーゴより厄介かもしれんな」
「中佐、そろそろジムVに搭乗してください、敵が来ますよ」
「ああ、分かってる。お前達も早くシェルターに入れ、死なれたら基地の再建の目処が立たなくなるからな」

 整備兵たちに避難するように命じてシアンは自分用に調整されたジムVに乗り込んで機体を立ち上げた。シアン用に調整されたジムVは極端過ぎるほどにピーキーな調整で、まともに動かせるのはシアンや茜くらいというかなり無茶な代物である。恐らく氷上も動かせるだろうが、彼は基本的に基地の清掃員であって兵士ではない。彼がMSに乗るのはシアンが要請してきて、彼の気が向いた時だけである。
 整備場からジムVを出したシアンは降下してくるMS隊を光学で確認し、数が結構減っている事を確かめて少しだけホッとしていた。あの数ならば基地守備隊だけで片付けられると考えたのだ。
 しかしホッとしたのもつかの間、新手の出現が司令部からもたらされた。

「シアン中佐、警戒機が基地に向かう未確認機を捉えました。速度、サイズからして恐らくベース・ジャバーです」
「ベース・ジャバーだと。だが、近くにティターンズの基地は無い筈。潜水艦から使うにはでかすぎる代物だし……まさかガルダ級が来てるのか?」
「ティターンズも1機保有していますが、貴重な虎の子をこんな方面に回すでしょうか?」
「だが他に可能性は無い、随分と思い切った事をしてきたじゃないか」

 ティターンズは高速機動部隊をありったけ投入してきたらしい。事態は想像以上に深刻だったようだと悟ったシアンは降下してくる敵と新手のどちらに当たるべきかと考え込んでしまった。

「どうしたもんかな、どちらに向かっても基地の守りが薄くなるが、ここで迎え撃つと数が厄介になりかねん」
「義兄さん、悩んだってジムVは飛べませんよ?」
「茜か。いや、ゲタで迎撃に行こうかなと思って」
「ここで迎え撃った方がいいですから、無傷で済ませようなんて変な欲出さないで下さい。市民の避難も完了していますから、最悪の事態は避けられるはずです」
「やれやれ、口煩い久瀬が居なくなったと思ったら今度は茜が小言を言うんだな。俺はのんびりと田舎暮らしで良かったのに」
「若いんですから枯れた事言ってないで働きなさい。丁度上から来た事ですし」

 茜がライフルで上を示すと、1機のバイアランが防空網を突破して基地に降下してきていた。両手にビーム砲を内蔵しているようで左右の手を基地に向けて砲撃を加えている。攻撃力はさほどでも無いようだが、MSが変形もせず単独で本当に空を飛んでいるというのはシアンたちには些か衝撃的なものであった。

「本当に飛んでるなあ、MSなのに」
「MSまで飛ぶ時代になったんですね、でも何だか不細工なMSです」
「確かに、軽量化しすぎて走行中に分解する模型みたいだな」

 RXナンバーを振られて開発されていた元連邦軍期待の新型に対して、シアンと茜は何とも言えない顔でそれをぼろくそに評価していた。どうやら2人の美的感覚には馴染まない外観であったらしい。
 そして2人が見ている前で、いきなりそのバイアランが4発のミサイルを受けて爆発してしまった。

「ちょっとあなた、茜さん、仕事しなさい!」
「郁未か、お前も出るのか?」
「あら、私だってMS隊に名前載ってるんだから問題無いでしょ」
「郁未さんはこの基地では私に次ぐ実力者ですから、当然ですよ」
「……あの時押し切られて渋々承知しちまったが、やっぱり許可するべきじゃなかったか。女房がMSに乗って前線に来るのを見る嵌めになるとはな」

 立場の弱い旦那の悲哀を全身から発しながら、シアンは過去を振り返って肩を落としてしまった。




 海鳴基地を襲撃したティターンズは2方向から同時に襲い掛かってきていた。1つは軌道上から突入してきた降下部隊で、もう1つは海上から進入してきたベース・ジャバーに乗ったMS隊である。こちらはバーザムとマラサイで編成された普通の打撃部隊であり、それだけに降下部隊よりも厄介であった。
 シアンは空から降りてきた連中の相手は茜と郁未に任せ、自分はこの侵入してきたバーザムやマラサイの相手をする事にしたようで、ベース・ジャバーに向けてビームライフルを向けている。
 そして基地の中では茜と郁未が降下してきたバイアランやカプールを相手にジムVでよく戦っていた。多くのジムUやジムVが機体性能の差に苦しんでいる中で、2人のジムVは実に良い動きをみせてその性能差を覆すような活躍をしていた。
 しかし、2機が多少頑張ってもそれ以外の場所では苦戦を余儀なくされており、基地のあちこちに被害が出ていた。司令部のマイベックの元には被害報告がもたらされ、それを聞いたマイベックが焦った顔をしている。

「やはり連中の狙いは倉庫の中の物資と荷揚げ施設のようだな。降りてきた敵はまだ始末できんのか!?」
「現在里村中尉の指揮で掃討を図っておりますが、なかなか」
「シアンは?」
「別部隊を率いて海上から侵入してきた敵機を相手にしています。こちらは優勢なようですが、こちらの援護には回れそうもありません」
「これだけの被害を出しても退く気は無い、という事か」

 オペレーターの報告を聞いたマイベックは仕方無さそうに自分の椅子に腰を降ろし、胸の前で腕を組んで考え込みだした。ティターンズの地上軍も決して余裕があるわけでは無いだろうに、ここまでの無理攻めしてくるとは思わなかったのだ。

「新型機を磨り潰してでもこの基地を暫く機能不全に陥らせたいのか奴らは。目的は北京のタンユワン基地奪還作戦の妨害だろうが、あの基地を守りきる意味がティターンズにあるのか?」

 華北一帯は重工業地帯であり、生産力という点から見れば確保する意味はある。だがインド周辺のティターンズ基地に較べれば価値は低い筈であり、守り易さでも比較にはならない。ここで無理に戦力を消耗せずとも内陸部で戦う方が楽な筈なのに。

「長距離爆撃機の基地にされる事を警戒しているのか、それとも別の理由か?」

 だがデプ・ロッグならば南方のニューギニア基地を拠点にしてインド各地を爆撃できる。現在やっていないのは護衛機をつけられず、ギャプランの好餌になってしまうからだ。それは他の基地から発進しても同様であり、ギャプランに対抗できる護衛機をつける目処が立たない限り長距離爆撃は論外である。
 一度は衛星高度からの弾道ミサイル攻撃も試みたのだが、命中率が低すぎてすぐに中止された。

「……考えても仕方が無いか。要請した援軍はどうなっている?」
「現在、佐世保の海軍基地からアッシマーが向かっているそうです。それと大陸側からダガーフィッシュ隊が回されるそうですが、こちらは何時到着するか」
「頼れるのはアッシマー隊くらいか。ここが前線になる事は無いと思って部隊を大陸側に送りすぎたのが仇になったな」

 既に海鳴は北京奪還を目指す部隊に物資を送る為の後方拠点でしかない筈だった。一応ハワイにある太平洋方面軍の北東アジア方面軍の最大拠点であり、司令部施設も充実している。また湾口の荷揚げ施設の充実振りと巨大な倉庫群、MSや艦艇の補修を行える工廠設備など、ティターンズに狙われるには十分すぎるほどの基地ではあった。
 だが既に前線は大陸側に移り、制海権はほぼ連邦軍の掌中に落ちている今となってはこの基地が襲撃を受ける可能性はゼロの近い。現在では稀に潜水艦からのものと思われる巡航ミサイルが飛んでくるくらいであり、それらも簡単に撃墜できていたので警戒も緩み、防衛隊も削減されて前線に送られていたのだ。
 言い換えるならば、その油断を突かれたのだろう。この基地の荷揚げ施設を破壊すれば船舶輸送が出来なくなり、北京攻略部隊は補給に不便をきたす事になる。まあミデアがあるので滑走路を潰されても補給は継続できるが、効率の低下は避けられない。

「油断大敵、か。私も鈍ったかな?」
「司令、何かおっしゃいましたか?」
「ああいや、何でもない。後はシアンたちの頑張りに期待して、我々も地下に移動するとしようか」

 マイベックは独り言を誤魔化すと、いそいそと手元の書類を集めて移動の準備を始めた。さすが日常のビルに居ては何時弾が飛んでくるかもしれない。




 上空から降下してきたカプールが地上に降りた所を狙って茜がビームを叩き込み、これの足を破壊して擱座させる。そして次の敵を探そうとした彼女は、新たに現れたジム系と思われる新型の攻撃に慌ててその場から移動した。だが新型の攻撃は執拗なうえに効果的で、茜に反撃の隙を与えなかった。

「上手い、機体を実に上手に動かしている。相当の手練れですね」

 ティターンズの初期メンバーだろうかと茜は思った。結成した頃のティターンズは教導団や機動艦隊と並ぶ連邦軍最精鋭部隊であった。その中にはNTレベルの実力を持つパイロットもいたようで、このパイロットもそんな男かと思ったのだ。
 しかし、新型が振るってきたビームサーベルを引き抜いたビームサーベルで受け止めた茜は、相手のパイロットの問い掛けを聞いて驚いてしまった。

「シアン・ビューフォートは何処に居る、教えれば見逃してやるぞ!」
「その声は、ブレイブ・コット大尉?」
「貴様、里村茜か!?」

 驚いたコットは一度剣を引いて距離を取り、背面のビームキャノンを正面に向けた。

「何でこんな所にお前が居る!?」
「義兄さんの左遷で一緒に移動したんですよ。それより大尉、見慣れない新型のようですが、ティターンズでも活躍しているようで元部下として安心しました」
「貴様達を追い出した俺に対する皮肉か、少尉。それと今は少佐だ」
「それは失礼しました。ああ、私も今は中尉です」

 互いに相手を嫌い抜いている2人は牽制に皮肉を飛ばしあいながら、どうやって攻めるかを考えて距離を測っていた。パイロットとしての腕では茜の方が上だが、機体性能はコットに分がある。
 コットは茜の実力を知るが故に迂闊に手を出す事が出来ず、茜は目の前の新型の性能が分からずにやはり手を出せない。そんな千日手状態に2人は陥ってしまっていた。




 降下してきたMSの一部は市街地にも降りていた。単に降下に失敗しただけであるが、その為に市街地を巻き込んだ戦いに発展している。民家やビルがMS用の火器で容赦なく粉砕され、瓦礫へと変わっていく。
 その僅かなティターンズMSを撃破するためにシーマが率いるMS隊が迎撃に出てきていた。

「全く、無粋な奴らさね。こんな良い街を壊すなんてさ!」
「シーマ様、じゃなかった大尉。どうしますかい、重火器を使ったら街が木っ端微塵ですぜ」
「下手すりゃシェルターまで破壊しちまうよ。ミサイルやビームライフルは却下だよ!」
「じゃあ仕方がありません、これを使いましょう」

 そう言ってバーグマンのジムVが構えたのはゼク・アイン用の大型マシンガンであった。実弾火器としては現行では最高の兵器であり、ビームライフルと違ってシェルターの天蓋を撃ち抜く危険性も低い。シーマもそれに賛同して大型マシンガンを持ち、手近に居るカプールを狙ってトリガーを引いた。
 放たれた高速弾が容易くカプールの装甲に大穴を穿ち、炸裂して内部の部品を撒き散らしている。ザクVやドライセンの重装甲さえ穿つ砲弾に耐えられる筈も無いのだ。

 地上で戦いが起きた事はシェルター内の人々にもすぐに分かった。彼らの中には1年戦争を同じようにシェルターの中で過ごした者も多く、あの頃にジオン軍の攻撃で海鳴の市街地が焼かれたのも1度や2度ではない。その彼らの記憶が独特の轟音と振動から市街地に戦闘が及んだ事を理解したのだ。
 着弾の振動がシェルターを揺るがし、天井から埃を落としてくる。その度にシェルター内に悲鳴が聞こえ、避難している人たちが身を寄せ合って震えている。その中にはシアンたちが娘を託した高町家一家もおり、桃子さんが子供達に大丈夫だと言い聞かせていた。

「このシェルターは前の戦争でも壊れなかったんだから大丈夫よ」
「で、でも桃子さ〜ん」
「やっぱ、これは我慢できへんて」

 晶とレンが肩を寄せ合って震えている。幾らシェルターの中に居るとは言っても、着弾の振動と轟音は神経を掻き毟るような恐怖を与えるものなのだ。まだ子供である2人に耐えろという方が酷だろう。なのはも姉の美由希にしがみついて震えている有様だ。兄の恭也だけは平然としているが、彼の場合はその辺の神経の作りが違うのだろう。
 そして桃子さんは自分で抱いている未悠を見た。この娘は状況がさっぱり理解出来ていないようで、周囲が怖がっている中で1人楽しそうに笑っている。周囲の爆発音や振動をお祭りか何かと勘違いしているのだろうか。まあこんな小さな子供に戦争が理解できる筈も無いので仕方がないのだが。
 早く攻撃が終れば良い、そう思いながら未悠の頭を撫でていた桃子だったが、それまでとは違う大きな音と振動に驚いて天井を見上げ、そしてその目を見開いた。先の着弾はシェルターの天蓋部を捉え、シェルターの天井にヒビを入れたのだ。それを見てシェルター内の人々が慌ててヒビの入った辺りから逃げ出そうとしたのだが、すぐに次の着弾の衝撃が走り、遂に脆くなったシェルターの天井が崩れ落ち、人々の上に降り注いだ。



 市街地に戦闘が拡大したという知らせはシアンと郁未を動揺させた。シェルターに入っているとはいえ、直撃を受ければ流石にもちはしない。それが誰よりも分かるだけに2人は焦りを見せたのだ。
 郁未は突っ込んできたベースジャバーを真下からビームライフルで機上のマラサイごと撃ち抜いて撃墜すると、不安げな顔を市街地から上がる黒煙に向けていた。

「未悠、無事で居てね……」

 倉庫を守っていた郁未の周辺では既に戦いは終りかけていた。襲撃者の大半は撃退されて撤退したようで、空のベースジャバーがMSを拾って戻ろうとしている。何があったのかは知らないが、どうやら戦いは終わりのようであった。

 しかし、ここで郁未はシーマから送られてきた通信で凍りつく事となった。市街地で敵機を始末していた筈のシーマからなにやら切羽詰ったような声で通信が送られてきたのだ。

「郁未、聞こえるかい!?」
「あら、どうしましたシーマ大尉、そんなに慌てふためいて?」
「落ち着いてる場合じゃないよ、流れ弾でシェルターの1つに穴が開いちまったんだ。今歩兵と工兵が救助をしてるけど、その中に高町さん達が居たらしいんだよ!」
「……それじゃあ、まさか!?」
「ああ、未悠ちゃんも巻き込まれたかもしれない。どうも内線が壊れちまったようで、中と連絡が取れないから確認が出来ないんだけどさ」
「そ、そちらの状況は!?」
「敵機は全部片付けたよ。まあ手間取っちまったせいでこんな事になったんだけどさ。それで、そっちも片付いてきたんなら一度こっちに来てくれないかと思ってね」
「す、すぐに行きます!」

 娘が危ないと聞いた郁未は敵が退いているのをこれ幸いとばかりに市街地へとジムVを走らせて行ってしまった。それを見た周囲の仲間はどうしたのかと声をかけたのだが、郁未はそれに答える事も無く彼らの視界から消えていってしまった。それを見送った仲間達は不思議そうな顔をしていたが、すぐに指揮官からの命令を受けて自分の仕事に戻っていってしまった。シアン直属の郁未と違って、彼らはこの場でやらねばならない事が多いのだ。



 敵が撤退を始めたのは、回収に来たガーウィッシュが攻撃を受けた為であった。警戒機に発見されたガーウィッシュには既に駆けつけた佐世保のアッシマー隊や戦闘機隊が攻撃を仕掛けていたのだが、そこに更にベースジャバーに乗ったジムUやジムVが襲い掛かってきたのだ。その中の1機のジムVがクレイバズーカを手に迎撃に出てきたバーザム隊を突破してガーウィッシュのブリッジに迫っていた。
 それはシアンのジムVであった。街が攻撃を受けたと知った時、シアンはこれ以上長引かせる訳にはいかないと考え、位置が割れたガーウィッシュを叩く事を決めたのだ。その為に少数のMSを伴ってガーウィッシュに無謀とも言える強襲を仕掛けたのである。

「こいつを落とせば、戦いも終る!」

 MSの迎撃を抜け、対空砲火の弾幕に飛び込んでいったシアンはクレイバズーカを機首のブリッジ目掛けて4発発射した。そのうち2発がブリッジを捉え、操縦系を失ったガーウィッシュがふらつくようになり、ゆっくりと降下していく。姿勢を完全に崩さないのは予備系統に切り替えたという事だろうか。
 機首を翻して逃げていくガーウィッシュを追うようにティターンズのMS隊が後退を開始する。あれを落とされたら自分達が困るので当然だが、それを見たシアンも追撃を止めさせて基地に部隊を戻らせた。実はこの時、シアンも内心でホッとしていたのである。

「ふう、あんな高い機体、落としたら後で何言われるか分からんかったな」

 さっきまで撃墜する気だったくせに、いざ落とさずに済んだとなると途端に後始末の事に考えが及んで安堵の息を漏らすシアンであった。ガルダ級の建造費は天文学的で、両軍共に例え敵機であっても落とすのに二の足踏んでしまうような代物だったのである。
 このガーウィッシュの撃退を機にティターンズは撤退を開始した。バイアランは自分で空を飛んでガーウィッシュを追い、カプールは海に入っていく。まだ発見こそされていないが、やはりどこかに潜水艦が居るのだろう。
 そして茜と戦っていたコットも味方が退いていくのを見て舌打ちし、自分も撤退に入った。茜は左腕を半ばから吹き飛ばされていたものの、どうにかコットを引き受けていたらしい。

「くそっ、シアン・ビューフォートの首を上げるのは次の機会を待つしかないのか」
「退くのでしたら見逃して差し上げますよ、元上官に対する私の最期の義理です」
「ほざけ里村、時間さえあれば誰が貴様などに遅れを取るか!」
「……負け惜しみは見苦しいですよ少佐、エースなら引き際も潔くあって欲しいものです」

 茜の皮肉にコットは憎々しげに目の前のジムVを睨みつけたが、それ以上は何も言わずに機体を翻して海へと駆け抜け、周囲からの銃撃を回避しながら海に飛び込んだ。やはりあれは水陸両用機だったのだ。
 約束どおり彼を行かせた茜は、銃をしまうと周囲を見回して残骸の片付けに入る事にした。破壊された基地施設の復旧の為にも、また生存者の捜索の為にもすぐに瓦礫や残骸の撤去をしなくてはいけないのだ。しかし、周囲を見回した茜はよくもまあこれだけ壊してくれたものだと不機嫌そうに呟いていた。誰が直すと思っているのだろうか。




 結局、ティターンズの襲撃は不完全ながら目標を達成する事に成功した。海鳴基地は集積していた物資の30%を焼き払われ、湾口施設の一部を残骸へと変えられてしまった。だが飛行場は無傷であり、荷揚げ施設も全てを破壊されたわけではない。つまり後方基地としての能力は一時的に衰えはしたものの、完全に機能不全に陥らせる事は出来なかったのだ。まあ投入した戦力の規模を考えれば良くやったと言える戦果だろう。
 市街地にも被害が出ており、一部のシェルターの天井が崩落して民間人に死傷者が出ている。シーマたちは良く頑張っていたが、少数のジムUやジムVではやはり荷が重すぎる相手だったのだ。
 この崩落したシェルターの中に居た高町家の面々は幸いにして崩落した天井に巻き込まれる事は無く、全員が無事に救助されていた。なにやらシェルター内の人たちからは崩れてくる天井が一瞬止まっただとか、一瞬室内がピンク色に光ったなどの怪しげな証言が多数寄せられていたが、シェルター崩壊による精神的なストレスから来る幻覚か何かだろうと言う事で片付けられていた。


 これらの被害の集計を終えて対処指示を出していたマイベックの元に、捕虜の尋問を終えた憲兵が持ってきた報告書が届けられた。それを受け取ったマイベックはざっと目を通し、そして室内で回された書類に目も通さずにサインをしまくっているシアンに束を放り投げた。

「シアン、せめて流し読みくらいはしろ。とんでもない書類だったらどうするんだ?」
「一応目を走らせてますよ、相沢じゃないんですから」
「そうは見えんかったがな。まあいい、それよりも敵の新型の水陸両用機の正体が分かったぞ。捕虜が吐いてくれた」
「なるほど、カプールに、ハイドラクスですか」
「片方は予想通りネオジオンからの供与機だったようだな。だが、ハイドラクスとかいう方は問題だ」
「ネオジオンの技術供与で完成したティターンズの水陸両用機、ですか」

 捕虜にしたティターンズのパイロットから吐かせた情報によると、ハイドラクスはネオジオンの水陸両用機の技術をティターンズで開発中だった水中用可変MAに組み込んで開発された新型なのだそうだ。
 まだ本格生産はされていないが、今回の実戦データを考えれば間違いなく量産してくるだろう。連邦に対抗出来るだけの艦隊の早期建設が不可能である以上、海軍力で圧倒されているティターンズが状況を打開するには高性能な水陸両用機の投入以外に無いのだから。
 ただ、この攻撃で娘が危なくなったと知った後のシアンは誰も声がかけられないほどに不機嫌そうなオーラを撒き散らしていて、些か基地の復興に支障をきたしたそうな。


 この攻撃により上海に向かう輸送船のスケジュールに遅れが生じる事になり、中国で戦っている連邦軍の動きが鈍る事となった。連邦軍は膨大な物資に支えられて戦う軍隊うなので、一度補給が途切れると途端に動けなくなってしまうのだ。ジオン残党が連邦軍を指して物量だけの能無しどもと罵倒するのもあながち間違ってはいないのである。
 連邦軍の動きの鈍化に合わせてティターンズは予定通りに華北から華南へと移動を始め、最終的に資源採掘エリアである東南アジアや中央アジアに後退し、そこで連邦軍と戦うという計画で動いていた。
 勿論連邦軍の追撃もあったのだが、補給が滞ると途端に動きが鈍くなるという悪癖が祟ってか追撃の動きは鈍く、ティターンズはほぼ作戦目的を達成する事が出来た。
 ただ連邦軍も基地施設を見事なくらいに爆破されていたとはいえ、タンユワン基地を含む華北から沿海州一帯を奪還する事に成功し、ここに大規模な地上軍を配置してマドラス攻略を目指す事になる。
 そしてそれは、海鳴基地に集められている兵団に新たな戦場が用意される事を意味していた。

 


機体解説

YRMS−160 バイアラン

武装 メガ粒子砲×2
    ビームサーベル×2

<解説>
 キリマンジャロ工廠製のMSによる単独巡航飛行能力の獲得、というコンセプトの下に開発された異色のMS。だがその代償は大きく、携帯火器を使えない、防御力が余りにも低い、という欠点を抱える事となった。また単独巡航能力も結局達成は出来ないでいる。
 だが2門のメガ粒子砲の威力はギャプラン以上という凄まじさであり、機動性などはZガンダムにも匹敵するとあって、同時代のMSの中でも極めて強力な機体に仕上がっている。
 海鳴を強襲した機体は量産試作型で、実戦データを得るという目的もあって投入された。

AMX−109 カプール
武装 メガ粒子砲
   ビームガン×3
   ミサイルランチャー×8
   バイスクロウ×2

<解説>
 ネオジオンが開発したゴッグ系MSをベースとした新型の水陸両用MS。地球侵攻を考えて開発されたMSの1つであり、ガルスJなどと同じく使う機会の無いまま少数が生産されただけで放棄された機体であった。
 グリプス戦争後にティターンズとの取引材料として開発データと共に譲渡され、運用される事になった。机上の設計だけで作られた割には優秀な機体であったが、部品を使い切った後は修理する事も出来ずに廃棄されている。

RX−173 ハイドラクス
武装  ハイドロキャノン×2
    ビームサーベル
    魚雷
    バイスクロウ×2

<解説>
 ネオジオンから得たデータを元にグリプス工廠で開発された新型の水陸両用可変MS。その性能は水中でこそ進化を発揮し、地上では火力不足となる。海軍力で絶望的な差を付けられているティターンズ地上軍の期待を背負う新型であるが、連邦がメタス・マリナーの量産を始めている事を考えると出遅れたという感は否めない。
 海鳴攻撃に実戦データ収集も兼ねて試作機2機が投入され、ブレイブ・コット少佐機が生還している。
 


後書き

ジム改 今回は幕間話みたいな物だったなあ。
栞   コット少佐って誰でしたっけ?
ジム改 昔にシアンが赴任してた教導団に居た人。シアンと折り合いが悪かった。
栞   私は会った事無いですねえ。
ジム改 まあ縁が無いからな。
栞   でもシアンさんを逆恨みして追いかけてくるなんて、余程の腕が無いと自殺行為じゃ?
ジム改 一応オールドタイプとしてはかなり強いキャラだぞ。
栞   ちなみにオールドタイプ最強は誰なんです?
ジム改 間違いなくヤザンだな、カミーユやシャア相手に互角という反則キャラだった。
栞   私より強いですか?
ジム改 お前さんはNTとしては弱い方だからなあ。
栞   し、失礼な、私の何処が弱いと言うんですか!?
ジム改 でも、ZやZZに出てくるNTや強化人間は化け物だぞ、サイコパワーでビームも弾くし。
栞   く、カミーユや強化マシュマーさんでも出来るのに何で私には……
ジム改 でも出来るようになったら人間辞めちゃった気がしないか?
栞   つまりシアンさんやみさきさんは人間辞めて……辞めてるかもしれませんね。
ジム改 そうだろう、シアンたちの能力は実はシェイドでなくても使えるのだよ!
栞   鉄仮面なんて素手でMSのハッチ引き千切りますしねえ。
ジム改 それでは次回、海鳴にやって来た祐一たちは、そこでシアンの指揮下に組み込まれ、マドラスを目指す作戦に参加する。ジャブローでは地球圏全体の戦略を巡る話し合いが行われ、修正がされる事に。その為に各地から要人が集まってくる。次回「連邦戦略会議」で会いましょう。
栞   でも、こんな時期に秋子さんがサイド5離れて良いんですか?
ジム改 まあ秋子が居なくても現状維持なら大丈夫だ。