第89章  連邦戦略会議


 

 サイド5では必至にコロニーの再生が急がれていた。その大半は居住用であったが、一部は最初に再建されたコロニーの1つであるテキサスコロニーのように増え続ける人口を養う為の食糧生産を目的とした農業コロニーになっていた。また新たに30番地として再生されていたコロニーが開放型から密閉型へと改造され、これが軍需プラントを有する工業コロニーとなる事になっている。すでに外殻は完成しており、内部にある工場の幾つかは既に稼動を開始していた。
 再生中のコロニーでは軍籍から外されたボールやジムが動き回っており、建材を運んだり溶接の光を放っていた。
 その中にはあの1年戦争の英雄、白い悪魔アムロ・レイやエゥーゴの剣姫川澄舞といったエースたちが含まれている事は何とも言えない可笑しさがあった。

「おいアムロ、そっちをもう少し右だ、NTなんだからビシッて合わせろよ!」
「そんな事を言われても、俺はお前と違ってジャンク屋じゃなかったんだぞ」
「いや、元エースで電子レンジの修理からMSの開発まで出来る万能オタクなんだから機体を完璧に操れるだろ!」
「関係ないだろ!」

 トルクの乗ったボールとアムロの乗ったボールが大きな一枚板を持ってコロニーの外壁に合わせようとしている。そして暫く付いたり離れたりを繰り返して、ようやく位置が合った。そこに他のボールたちが集まってきて溶接を開始している。
 ボールはやはり戦闘よりもこういった工作活動でこそ威力を発揮する。コロニーの近くでは数機のジムが待機しており、万が一ボールが故障するなどして宇宙の迷子になりそうになった時は彼らが助けに行くのだ。また必要があれば彼らが作業を手伝う事もある。ボールよりも複雑なマニュピレーターを持つMSは複雑な作業を行う際に頼りになる。
 そしてそのジムに混じって、武装をしたジムUの姿が見て取れた。そのMSの仕事は作業の手伝いではなく、監視である。彼らはここで作業をしているエゥーゴ兵が脱走しないように見張っているのだ。彼らがボールやプチモビを使っているのも、それ単独では何処にも行けないからである。
 投降してきたエゥーゴ兵の数は膨大であり、その全てを監視するのは中々に大変な仕事であったが、疎かにするわけにはいかない。彼らに逃げられたら何かと面倒な事になりかねないからだ。
 だが、そのコロニー再生を遠くから見ていた天野は、面倒な事をする物だと呆れた顔をしていたりする。

「秋子さんも体裁を整える為に随分と仰々しい事をやっていますね、アムロや舞さんがティターンズやネオジオンに寝返るなんて欠片も思っていないでしょうに」
「あれって、ポーズだけなの?」

 美汐の言葉に真琴が不思議そうな顔をして聞き返してくる。

「ええ、一応彼らは敵ですからね、秋子さんの無罪放免というわけにはいかないんですよ。前のファマス戦役でも投降した将兵は全員収容所送りになったでしょう」
「でも、あいつらはあそこで強制労働してるけど?」
「入れる収容所も無いですからね、まあ不足してた人手も確保できて一石二鳥です。でも舞さんくらいは貸し出して貰えないでしょうかね、訓練教官が不足してます」

 あれだけのエースたちをボールに乗せてコロニー修理に使うとは勿体無い、どうこき使うならこっちにも何人か回してほしいものだ、とここ数年でめっきり愚痴っぽくなった美汐は今日も愚痴っていた。ちなみに彼女は指揮下の天野大隊を使って訓練所を出てきたばかりの新米パイロット達の教練を秋子に押し付けられている身である。ただでさえ祐一から後は頼むなどと言って仕事を押し付けられていた彼女は更なる負担に、元々どこか暗かった気性に何だかアグレッシブさが加わって何とも怖くなっていた。久瀬と並んで彼女もつくづく上司に恵まれない女である。





 その日、ジャブローでは1つの重要な集まりが行われていた。それは地球連邦軍のTOPが集まり現在の戦況を元に戦略目標を検討するというもので、連邦軍総司令官であるコーウェンとその幕僚に加えて、地上軍と宇宙軍の司令官がジャブローに集まったのである。更に大統領府からも国防長官などが出席しており、各方面レベルの問題ではなく、地球圏全域に及ぶ大戦略の話し合いをしようとしているのが伺える。
 そしてジャブローの宇宙港に降下してきた1隻のカイラム級戦艦からは宇宙艦隊司令長官の水瀬秋子大将が久しぶりにジャブローを訪れていた。数人の参謀を伴って艦のタラップを降りてきた秋子は、出迎えの士官達に敬礼を返して視線を宇宙港の中へと視線を走らせた。

「新型艦の建造は順調なようですね、これが上がってこれば第4艦隊のサラミスを代替出来ます」

 宇宙港には多数のクラップ級巡洋艦が係留されており、打ち上げを待っている。現在では手間の多いブースターによる打ち上げではなく、ミノフスキークラフトを搭載した専用の運搬船で宇宙へと運ばれるようになっている。これなら船体への負担もなく安全に宇宙まで上げる事が出来るのだ。いずれは全ての艦にミノフスキークラフトを搭載する事が連邦軍の夢であるが、それはまだ遠い夢のようだ。ミノフスキークラフトはまだまだ小型化が難しい上に高コストなので、大型のカイラム級戦艦で初めて量産型への搭載が始まったというレベルに留まっている。

 ジャブローの士官達の先導で秋子はジャブローに置かれている仮設大統領府に案内され、そこの一室に通された。そこにはすでにコーウェンらが顔を揃えており、自分が最期の参加者であることを座席の数が教えてくれている。
 入ってきた秋子を見て、コーウェンは厳つい顔に笑顔を浮かべて歩み寄ってきた。

「やあ水瀬、宇宙での仕事を全部押し付けてすまないな」
「いえ、ですが早く宇宙軍総司令部を再建して欲しいですよ。宇宙艦隊司令長官だけでも激務なのに、宇宙軍総司令部の役割まで押し付けられているんですから」
「分かってはいるが、回せる人材が無いんだ。エゥーゴやティターンズに加わった者も多いし、戦死した者も多い。特にルナツーの宇宙軍総司令部が第6艦隊のクーデターで全員捕虜になったのは痛かった。今では何人生きているかも分からん」
「宇宙の人手不足はかなり深刻です。特にティターンズとネオジオンとの戦線を支えているエニーとクライフさんの負担は相当なものですから、出来れば交代させられる司令部要員を一式回して頂きたいんですけど」
「残念だが、将官の不足は致命的なレベルだよ。何しろ軍団を准将や少将が率いている有様でね。中将レベルに方面軍を任せなくてはいかん有様だ」
「肩書きが完全に負けていますね。1年戦争の時より酷くありませんか?」
「あの戦争とファマス戦役で経験豊富な将官と佐官がほとんど失われたからな。結果として尉官の中から1年戦争経験者を短期教育で無理に佐官に引き上げて穴を埋めたんだが、彼らが使い物になるまで成長する時間が無かった」
「ファマス戦役中に起きたゴップ提督たち旧主流派の大粛清も大きかったですね。血を入れ替えるには必要だったのかもしれませんが、こうなってみるとあの時に軍から追放された人材も惜しかったです」

 残念そうなコーウェンに、秋子も同感だというように大きく頷いている。秋子も祐一など、幾人かの子飼いの士官を佐官に引き上げ、仕事を与えて鍛え上げるという乱暴な方法で人を育てようとしたのだが、彼らが地位に見合う経験を積ませるだけの時間は無かった。祐一も未だにMS隊隊長として必要な能力を十分に持っているとは言い難い。シアンに較べるとどうしても見劣りしてしまう。
 加えてファマス戦役中におきた第1次フォスター1攻略戦における大敗で旧主流派は軍を追放されてしまった。この大粛清は軍の機能そのものに障害をもたらすほどに大規模なもので、それまで軍の中枢を支配していた高級士官が軒並み首を挿げ替えられてしまったのだ。追い出された士官達は閑職に追いやられるか軍を去るかを選択し、多くが軍を去っていく事になったのだ。結果的にこの時左遷された士官達の多くがティターンズに流れる事になり、この事件がティターンズ決起の遠因を作ったと言えるのかもしれない。
 だがそれを言っても仕方が無い。現在は戦争中であり、人材不足を嘆いていても何の意味も無い。泣いていてもこれまでの戦いで散っていった将兵は帰ってこないし、祐一たちが突然指揮官としての能力を覚醒させるわけでもない。あゆたちはNTではあるが、NTだからといって士官に必要な知識と経験を突然得られるわけでもない。




 そして秋子は指定された席に着き、それを確認するとコロレフ国防長官がまず最初に大統領府の考えを全員に伝えた。連邦軍は文民統制が原則なので、大統領とスタッフが決定した基本方針の中で戦略を立案する事になる。

「政府はまだ現状ではティターンズ、及びネオジオンとの講和は考えてはいない。あくまでも奴らを屈服させる事を望んでいる事を覚えておいて欲しい。それと、まず地上を取り戻す事を優先する」
「そういう事だ諸君、我々は政府の要求に従って全力でティターンズを地上から叩き出す事になった訳だ。まあ幸いにしてこの戦争のおかげで地上のジオン残党軍は巻き添えを受けて殲滅されるか、こちらに投降して保護を求めてきてほとんど残っていないから無視していいだろう」

 コーウェンが政府の要求に、というくだりに殊更力を込めて言い、コロレフがコーウェンを睨んで咳払いをする。どうやらコーウェンとこの国防長官はあまりウマが合わないらしい。
 そしてコーウェンに促されて、参謀長のハモンド少将が早速全員に配布してある資料を手に取るように求めた。

「今回の議題は地上と宇宙における現状の把握と、それに伴う我が軍の次の作戦に向けた戦力配置の見直しです。特に問題となっているのが地上軍の兵站の負担が過剰になっている事です」
「ちょっと待ってください、兵站に苦しんでいるのは宇宙も同じです。特に民間人を支える負担の大きさは軍の作戦行動に大きな負担になっています」
「落ち着かんか水瀬提督、その事をこれから話し合うのだろう」

 太平洋方面軍司令官のバルバリゴ中将が不満顔の秋子を宥めている。もはや退役間際の老将であるが、連邦では残り少ない経験豊富な将官として退役前の最期のお勤めとして赴任していた田舎基地から中央に戻されたのだ。階級では下位ではあるが年長のバルバリゴに窘められた秋子はバツが悪そうな顔で口を閉ざしたが、彼女としては今以上に物資の割り当てを減らされてはたまったものではない。下手をすればティターンズに対する限定攻勢の準備も無駄に終るかもしれないのだ。
 そして壁に埋め込み式で配置されている大型のスクリーンに現在の地上の戦況が表示された。赤くなっているのがティターンズで、青くなっているのが連邦の勢力範囲であることを示している。いくつか点在している白いエリアはどちらの勢力とも言えない無法地帯を示していた。

「これを見ればお分かりいただけると思いますが、太平洋と大西洋、そして南米、豪州は完全に連邦の支配区域になっています。そしてこれに加えまして最近の勝利で欧州、北アフリカ、シナ北部などを制圧し、ティターンズ勢力の駆逐を図っております」

 そしてハモンド少将は手に持っている指示棒でスクリーン上の地図の何箇所かを示した。

「現在の主要な戦域はアフリカ、メキシコ、ウクライナ、東南アジア、南アジアです。特にメキシコと東南アジアの戦いは激しく、消耗戦の様相を呈しております」

 メキシコは連邦軍のパナマ基地を基点とする連邦軍と、キャリフォルニアベースを制圧したティターンズがぶつかりあう戦場だ。ここはティターンズのクーデーターの際にキャリフォルニアベースを襲った敵とは別の部隊がパナマ基地の制圧を目論んだのだが、これに失敗して以降はキャリフォルニアベースの奪還を目指して北上する連邦軍と、これを迎え撃つティターンズという構図が延々と続いている状態になっている。
 北米のティターンズは宇宙航路が連邦軍に押さえられた今となっては完全に孤立しているのだが、キャリフォルニアベースを含む有力な生産拠点を多数有するだけに戦力が低下の様子を見せず、頑強に抵抗し続けている。これに対して連邦軍もジャブローが生産する膨大な兵器をぶつけて突破を試みているのだが、ティターンズも頑強に抵抗して連邦軍をメキシコの山岳地帯より上には行かせなかった。
 本来ならハワイの太平洋艦隊を使って海上から上陸作戦を実施し、西海岸に第2線を形成して敵の力を分散させるべきなのだろうが、太平洋艦隊は極東方面軍と太平洋方面軍の支援で手一杯であり、こちらに運ぶ揚陸船団を守るだけの力は無かった。また南米軍も新たな戦線を開く事には消極的であった。2、3個師団程度ならば可能だろうが、その後が続かなければ返り討ちにあってしまう。


 そして東南アジアは最近になってタンユワン基地を攻略した極東方面軍が南に撤退したティターンズを追撃する形で形成された新たな戦場で、地上軍は補給を受けやすい海岸沿いに香港からハイフォンを攻撃している。また海軍を使って一足飛びに海南島を攻略して海軍と空軍を進出させ、フィリピンの友軍と協力することでトンキン湾と南シナ海の制海権をほぼ押さえている。だがインドシナ半島はティターンズの勢力化である南アジアへの壁であるために相当数の部隊が配置されているようで、南下してきた極東方面軍と北上してきた太平洋方面軍の大攻勢を受けても持ち堪えていた。
 この極東方面軍には地上軍でも高性能な兵器が優先配備されているようで、ジムVが纏まった数で配備されていた。マイベック准将が指揮していたシナ攻略部隊の主力はジムVに切り替わっており、アッシマーなども装備してティターンズの強力なMSに勝利してきたのだ。先の欧州反攻作戦での連邦軍の主力がジムUであった事を考えればこちらにかなり重点を置いた編成になっている事が伺えるが、これは実はコーウェンがマイベックを送り出す際に約束した装備であった。大軍を送れないならその分装備を優遇してくれと。
 マイベックは極東方面軍にシアンたちが留められている事を考え、優秀な兵器を送り込めれば後は彼らの能力で作戦を遂行出来ると考えていたのだ。そして実際にシアンは期待に応えて少数の精鋭で海鳴基地を基点に大陸への反攻作戦を成功させ、橋頭堡を築いて後続部隊を大陸に送り込んでみせた。これを見たコーウェンは極東戦線で勝利出来る可能性を見出し、増援を送り込んでこれを支援したのだ。言ってしまえば欧州反攻作戦に参加した部隊の装備が旧式主体だったのはこちらに持っていかれたからであった。その為に不足気味であった戦力を補う為に祐一たちがフランスに降ろされたのだ。




 この2つの戦場に較べると、この前まで激戦場であったウクライナや中央アフリカ、延々と戦い続けている南アジア戦線などは穏やかであると言える。北アフリカに退いた連邦軍をキリマンジャロのティターンズは無理に追撃しようとはせず、中央アジアで戦線を形成して睨みあいを続けていた。現在では双方の斥候部隊による遭遇戦や空軍同士の小競り合いが散発的に起きるくらいだ。
 侵攻部隊を率いたシナプス准将はアレキサンドリアに退いた後、北アフリカを押さえて守りに入っている。こちらは暫くこちらからは動かず、戦力の再編成に入っている。ジャブローは連戦で疲弊した師団を欧州にまで後退させ、戦力の補充と休養を行って再建しようとしていた。

 これはウクライナでも同じで、どうも先の総力戦で両軍共に力を使い果たしてしまったらしい。モスクワを中心に展開している孤立した部隊であり、ウラル周辺の工業地帯を除けば戦略的価値の低い地域に押し込められた彼らは積極的に動こうとはせず、じっと守りを固めている。こちらは放っておいても勝手に消耗してやがて降伏すると見られているが、もしかしたら南を突破してアフリカか南インドに合流する可能性も残されている。まだアラブはティターンズの勢力下であるので、黒海周辺を突破されればこちらと合流されてしまう事になる。

 南アジア戦線はティターンズ海軍の大半を集めて編成された艦隊と豪州を基点とする太平洋方面軍のインド洋と東南アジアを巡る戦いである。少ない海軍力をティターンズはここに集中する事でキリマンジャロ−マドラス間を死守していたのだ。その為にティターンズは高い代償を支払ってマダガスカル島を攻略し、ここで頑張っていた連邦軍を叩き出してここに大部隊を配置してインド洋とキリマンジャロの南方の守りとしたのだ。巨大な島であるだけに基地を置く場所には事欠かないので、マダガスカル島は今ではティターンズの巨大な軍事基地と化している。
 勿論連邦軍もここの重要性は知っているので幾度となく奪還作戦を立案しようとしたのだが、まだキリマンジャロを攻略する段階ではないということで何時も流れていたりする。





 これらの戦線の戦況報告を一通り聞き終えた司令官達は、全員が少し疲れたような顔をしていた。改めて自分達が世界中で戦っているんだという事を思い知らされたのだが、では何処を重視するのかと言われたら何処も重要だと答えるしかない。
 そして誰もが沈黙している中で、まずコーウェンが口を開いた。

「宇宙の事は後で水瀬に説明して貰うとして、まずは地上の事から決めよう。統合軍司令部の判断としては東南アジアを攻略し、まずマドラスを攻略したいと考えているのだが」
「何故ですか?」

 大西洋方面軍を預かるシャルーク中将が不満そうな顔で聞いてくる。太平洋側を重視するとなれば自分達は暫く守りに入るしかなくなるからだが、それ以上にこちらから戦力が引き抜かれるのでは、ということを恐れていた。
 そしてシャルークの予想は最悪の形で実現してしまった。

「我々は戦線を整理する事を優先する事にした。そしてそれには何処を狙うのが一番良いかを考えた結果、マドラスが一番狙い易いという結論に達したのだよ。幸い西太平洋の戦いは終ったから艦艇をインド洋に回せるようになったからな、このまま東側から押し込んでいけば、南アジアの敵をアラビアを越えてアフリカに押し込める事も可能だろう」
「つきましては、こちらの戦力を補強する為に欧州やアフリカ、中米、宇宙から戦力を引き抜きたいのですが」

 ハモンド少将が協力願いたいとばかりに参加者一堂を見回したが、その視線に対しては全員が一様に渋い顔をした。何処だって決して余裕があるわけではないのに、そこにいきなり戦力を回してくれとはとんでもない話だ。

「冗談ではないぞ、こちらとてギリギリの状況なのに、部隊を引き抜かれたら現在の戦線を維持出来なくなる!」
「それにそれだけの物資を何処から集める気だ、ジャブローに溜め込んであったのか!?」
「まさか、宇宙軍の物資を投下しろとは言いませんよね?」

 たちまち剣呑な空気が漂う室内。先の欧州反攻作戦で連邦軍はジャブローに蓄えられていた余力を吐き出し、次の大作戦を実施するなら相応の準備期間を取らなくてはいけない筈だ。それを他の戦線から戦力と物資を無理に引き抜いて無理攻めするとはどういう了見なのだ。
 だが、統合軍司令部を束ねるコーウェンもやりたくてこんな無茶をしようとしているわけではなかった。困った顔で自分を見てくるハモンドの視線に、コーウェンは仕方無さそうに事情を打ち明ける。

「実は、これは軍事的な必要性からではなく、政治的な要請からの作戦なのだ」
「政治と言いますと、大統領が何か?」
「ああ、実は我々は最初は孤立しているキャリフォルニアベースへの総攻撃を考えていたのだが、だが大統領はこれを良しとはせず、南アジアの奪還を命令されたのだ。まあ、大統領はここ数年の戦乱で軍部の力が大きくなりすぎている事に疑心暗鬼になっている。だから軍部に自分の存在感を示そうとしているんだな。そうですな国防長官?」
「総司令、少し口を慎んだらどうかね?」

 コロレフ国防長官が不快そうな顔でコーウェンを窘めてくるが、否定はしなかった。実際にこの作戦は大統領がゴリ押しで通しただけの無謀な作戦案であり、準備期間が余りにも不足している。だからそれを実行するとなれば、物資をある所から掻き集めるしかないのだ。勿論コーウェンもこんな作戦を唯々諾々と受けた訳ではないだろうが、政治面には疎いコーウェンでは抵抗しきれなかったのだろう。
 こんな無茶な作戦が政治家の都合で決定されて上層部が押し切られた、と知らされた司令官達は一様に呆れた顔をしていたが、そう聞かされては反対しづらくなってしまった。コーウェンも仕方なく命令に従っているだけの立場なのだから。秋子もやれやれと肩を竦め、頭の中をどうやってコーウェンの要請に応える為にどれだけの物資を部隊を割けるかに切り替えた。





 ここでコーウェンは地上軍の説明を一度打ち切り、秋子に宇宙の状況説明を求めた。これを受けて秋子は席を立ち、自ら宇宙図の前に立っておおまかな説明を開始した。

「宇宙は戦場が混沌としていて戦線と言えるものは無いのですが、対ネオジオンと対ティターンズの2つの目的に部隊を割いています。対ネオジオンはオーエンス中将の指揮でコンペイトウを中心に展開していて、ペズン基地と合わせて敵をサイド3に封じ込めようとしています。もっとも完全とは言い難く、敵に幾度も外に出られていますが」

 宇宙はミノフスキー粒子があちこちに漂っているのでレーダーは副次的にしか役に立たない。地上では重力で地上に落ちるし、直ぐに吹き散らされて拡散してしまうので撒布し続ける必要があるのだが、宇宙では自己崩壊するまでは漂い続けてしまう。まあミノフスキー粒子の寿命は短いので何ヶ月も効果が持続するという事は無いのだが、最近戦闘が行われた宙域などは濃密なミノフスキー粒子のせいで通信、索敵機器が役に立たなくなる。
 この為に広大な宙域を多数の哨戒機でカバーするというのが現代の常識となっている。それに1年戦争の頃に較べれば対ミノフスキー粒子の技術も進歩しているので濃度が低ければレーダーも有効になる。
 この哨戒網は極めて密度の高いものであったが、広大な宇宙の全てを見張るのはどうしても限界がある。網を抜けた敵は味方の輸送船を襲ったりティターンズと接触したりしているようで、これをどうするかが宇宙軍の悩みの種であった。

「そしてティターンズ方面はレイナルド中将が指揮しています。こちらはサイド5を拠点に常時部隊を展開させ続けていて、グリプスやルナツー、サイド6から出てくる敵と遊撃戦を戦い続けています。最近は地球航路をティターンズが奪還しようと幾度も攻撃を受けていまして、かなり消耗しているのが問題となっています」

 エニーが率いる部隊は拠点に張り付いて敵が出てきたら出撃するのではなく、常時宇宙に展開して出てきたティターンズと交戦するという形を取っている。これはルナツー方面に拠点となるような基地を連邦軍が持てなかった事に起因しており、負担は大きいがこんな無茶な事をしていたのだ。
 地球の守りは軌道ステーションを再建して拠点にしようという計画が進んでおり、既にステーションの一部は機能していた。先の海鳴基地に降下した部隊を迎撃する為に出撃したZプラス隊はここから出てきている。
 これが完成すれば本国艦隊が正式に地球の守りに付く事になり、エニーの負担は軽減される事になるが、それにはまだ少しかかりそうであった。

「あと、宇宙ではMSの世代交代が早くて苦労しています。ティターンズはグーファーの数を増やしてきていますし、ネオジオンはザクVとドライセンで前線部隊を固めてきています。これに対抗するにはゼク・アインでも苦労している有様でして」
「ジムVを大量配備してるくせに贅沢言わないでくれ水瀬提督」

 アフリカ方面軍のウォルコット中将が呆れた顔をしている。地上軍では未だにジム改を前線で使っている所もあるというのに、宇宙ではゼク・アインでさえ不足だという。地上では宇宙軍ばかり良い機材を使っているという不満さえ出ているのだが、これではそれらの不満も間違っているとは言えなくなるだろう。
 だが宇宙軍では既にゼク・アインの力不足を指摘する声が上がっている。主力装備である第3種兵装の大型マシンガンの威力は一部の化け物を除けば依然として十分な物であったし、ドライセンやバーザムの最新型が相手でも決して引けをとらない機体ではあるのだが、グーファーやザクVの数が増えるにつれて性能不足が目立ってきてしまったのだ。ティターンズが宇宙にグーファーを重点配備しているのもゼク・アインに対して優位に立てるMSであるという判断からだろう。
 この状況を前に、各方面からゼク・アインの更なる改良を求めると共に新型機の配備を切望する声が上がってきている。まして第3世代、第4世代に分類される化け物のようなMSには手も足も出ないのだ。ガブスレイやハンブラビ、キュベレイやゲーマルクといったMSを相手にするにはガンダムmk−Xやゼク・ツヴァイが必要であったが、これは使いこなせるパイロットが少ない上に調達数も少ないので全部隊に送るという事も出来ない。
 つまり前線部隊が要望しているのは誰にでも使えて大量配備出来る高性能なMSという物なわけで、そんな物がすぐに用意できるなら苦労はしないと秋子は言い返したかっただろう。だが、幸か不幸か秋子の手元にはその要望を満たせそうなMSの開発プランがあったりするのだ。

「そこで、宇宙軍としましては現在進めているゼク・ドライとは別にジムVのラインの一部をエゥーゴから入手した新型機へと切り替えようかと思っているのです」
「新型機?」
「ジェダ、そう命名されていたMSです。まあエゥーゴではこれは採用せず、更なる改良とコストダウンを目指した新型をアナハイムに依頼していたようですが、このジェダの実機を複数と開発データ一式を投降してきた部隊が持って来ていたのです。エゥーゴと共にやってきたアナハイムの技術者を加えてうちのスタッフに検討させた所、既存のジムVのラインを改修する事で対応可能だと分かりました」

 ジェダはエゥーゴのMS技術の集大成とも言える機体で、ネロほどの性能はないがネモの信頼性とジムVの生産性を併せ持ちながら、これらより高性能なMSとなっている。そして連邦規格で作られている全ての装備に対応可能という、まさに連邦軍の要求に見事にマッチしている。系譜としてはネロやネモというよりガンダムmk−Uの量産型という位置づけであるらしく、連邦のジムV、ティターンズのバーザムと異母兄弟に当たるような機体になるという。
 その設計には同じガンダムmk−Uの系譜に属する為かジムVとの共有部分が多く、多くの部分が流用可能だというのも大きかった。どうやらこの戦争が始まる前に月に送られていたジムVがアナハイムの手に渡って解析されて参考にされたというのが投降してきたアナハイムの技師の話であった。
 元々MS不足に泣いてきたエゥーゴの為に高性能だが高価なネロと安価だがそこそこの性能というネモを供給してきたアナハイムであったが、安価で高性能、しかも既存の設備と装備を使い回せるMSを求めたエゥーゴの対するアナハイムなりの回答であった。
 ただエゥーゴはその性能に不満を感じ、更なる改良とコストダウンを求めたのだと言う。それを受けてジェダをベースに更なる改良を行った発展型が存在しており、それがティターンズの手に渡った可能性はきわめて大きいとエゥーゴは言っている。アナハイム内ではジェガンと命名されていたこの新型MSが敵として現れる可能性は高く、当面の戦線を支える為にもこのジェダを改修した上で正式採用したいと秋子は求めたのだ。
 この話には各方面軍司令官達も興味を示した。ジムVのラインを利用してより高性能な機体を生産できるようになるというならば、それは地上軍でも戦力の強化に繋がるからだ。ただ宇宙軍の開発している機体を地上軍で使うという点には抵抗もあった。地上軍と宇宙軍の対立は深刻な物で、両軍の間では装備に対する対立も根深い物がある。
 だが今は戦時だ、そんな贅沢も言っていられない。ティターンズのグーファーに対抗できるMSがあるなら是非とも欲しいというのが彼らの共通する願いでもあった。幸いにしてアッシマーでは対抗し辛かったギャプランやシュツルムイェーガーに対してはカラバから生産施設ごと譲り受けたZプラスの生産が始まった事で対抗が可能になっていたので、地上で対抗可能なMSが量産できれば安心してキリマンジャロやキャリフォルニアベースの攻略に取り掛かる事が出来る。質の差さえ埋まれば連邦軍の生産力に太刀打ちする事は流石のティターンズにも出来ないからだ。今でも性能の差を数で埋め合わせて戦っているのだから。
 この件に関しては宇宙軍がやるのならば構わない、という事で誰も反対はしなかったのですぐに終った。というか成功したらすぐに地上軍でも作るつもりなので宇宙がやるなら望む所という感じである。既にゼク・アインも元々は宇宙軍専用機のような形であったのに地上軍が強力な量産機を欲した為に急遽地上でも生産されるようになった経緯がある。
 しかし、これは仕方の無い側面もあった。ファマス戦役で大損害を受けた宇宙軍の再建の為に予算の多くが宇宙軍に振り向けられた為に地上軍は装備の更新をする手段がなく、1年戦争型のマイナーチェンジ機で我慢するしかなかった。宇宙では予算を用いて新型艦艇を次々に就役させ、新型MSで失われた戦力を生めている影では地上軍が泣いていたのだ。

「そして、新型機が揃う前に宇宙軍としてはルナツーに対する攻撃を考えていたのです。本当ならこの会議で承認を貰いたいと思っていたのですが……」

 そこで言葉を切って、秋子はチラリとコーウェンを見る。視線を向けられたコーウェンはわざとらしく咳払いをして顔を逸らせて彼女の視線を避けた。まあ秋子もこの問題をこれ以上突っつく気は無かったのでこの程度で済ませ、早急に降下させられる物資と部隊を纏めて連絡すると伝えて話を終えた。攻勢作戦は企画段階で中止する事が決まったのだ。
 そして地上の各方面司令官達も仕方無さそうにそれぞれの戦域から抽出できそうな戦力を検討するとコーウェンに伝えた。次の連邦軍の作戦目標が南アジアの奪還と決まった以上、反対するよりも何が出来るかに頭が切り替わったのだろう。

 だが、問題は作戦をティターンズに察知されて先制される可能性が高い事だ。これだけの大作戦となれば準備を秘匿する事は不可能に近く、ティターンズも相当の戦力を南アジアに集める事が予想される。奇襲などは当然不可能で、真っ向から総力戦になることが予想される。その場合、果たしてどれだけの消耗を強いられるか分からない。いや、もしかしたら過去にそうであったように先制されて作戦を頓挫させられるかもしれない。
 部隊の動きの速さはどうしてもティターンズが勝る。それはクーデター政権であるティターンズの方が命令伝達を迅速に行える事を意味しており、機先を制される事が多い連邦軍は幾度も苦杯を舐めさせられてきた。ついこの間も極東軍が大攻勢に出るための準備として物資を集積していた海鳴基地がティターンズの攻撃を受けて被害を受け、極東軍の動きを暫く止められてしまったばかりだ。おかげでシナで壊滅させられる筈だったティターンズの兵力の脱出を許してしまった。

 だが、真っ向から正攻法でぶつかれば自分たちは負けはしない、そういう自信が連邦軍にはあった。地力においては元々他の3勢力を合わせたよりも上回る連邦が勝っており、国力が物を言う総力戦になれば最終的な勝利は間違いなくこちらに転がり込んでくる。
 そのことを考えたから1年戦争でジオンはあれほどの大量虐殺を行ったし、ティターンズは奇襲で連邦中枢の全てを同時に押さえようとした。ファマスは火星に拠点を作り、その距離を利用して連邦との差を埋めようとした。
 だがこれまでがそうであったように、この戦争も総力戦へと移行した。ジャミトフはどうやってこの戦争を終らせるかで悩んでいる筈だ。


 しかし、どうにも出方の読めない相手がいる。それはあのキャスバル・ダイクン率いるネオジオンであった。これまでコロニー落としを除けば積極的な攻勢にも出ず、不気味なまでに沈黙を保っているあのジオンの亡霊がどう出てくるのか、これは誰にも分からないでいる。直接対峙している秋子でさえ把握できないのだ。
 ただ、秋子はあのアヤウラを通じる事で少しだけネオジオンの内情に通じてはいた。そう、ネオジオンの総帥であるキャスバルは連邦にサイド3の独立自治権を求めており、それが認められるなら連邦に参加する1国家として講和する意思がある事を伝えられてはいたのだ。だが、連邦政府はこの条件を一蹴していたので今の所こちらも解決の目処は立っていない。
 ネオジオンがあの強力なMSを揃えて攻勢に出てきたら、宇宙軍も全力で迎え撃つ事になる。そうなったら宇宙軍は地上の援護どころではなくなるだろう。だからこの件に関しては動かないでいてくれる事を期待するしかない。
 このことを秋子は一応全員に伝えたのだが、今の所動く兆候が無いのならば当面は現状維持で放置するしかないという事でネオジオンの事は今まで通りの対応に留め置く事が決まっている。どのみち方針が地上重視である以上、宇宙軍が勝手に大攻勢に出る事も出来ないのだから。




 しかし、連邦は全くあずかり知らないことであったが、ネオジオンは不気味な沈黙を保っているのではなく、動きたくても動けない状況にあったのだ。
 ネオジオンは政府と軍部の間で激しい意見の対立が起きていたのだ。サイド3の内政自治権の確保を最終目標として掲げ、連邦との休戦を考えるキャスバルに対し、軍部を代表するデラーズはあくまで地球連邦の打倒を目指すべきだと主張して譲らなかったのだ。本来ならば総帥であるキャスバルの命令にデラーズが従うべきなのであるが、デラーズの反攻を押さえられない辺りにキャスバルの立場の弱さが見て取れた。
 デラーズの抵抗にキャスバルは正直困り果てていた。軍部の多くはデラーズの影響下にあり、自分に従う部隊は決して多いとは言えない。その為にキャスバルはデラーズの意見を無視して豪腕を振るう事も出来ず、さりとてデラーズの積極策を許すわけにもいかず、ネオジオンはコンペイトウとの間で延々と戦い続けていたのだ。

 そこで問題になったのが、功績争いである。ある意味ティターンズ以上の軍政国家であるネオジオンにおいては軍功というものの比重が非常に大きい。キャスバルが総帥でいるのはあのジオンの遺児という素性もさることながら、赤い彗星という2つ名も大きな意味を持っている。
 ジオン・ダイクンの息子にしてジオン軍の英雄、このネームバリューが彼の最大の武器であったのだ。だがそれもデラーズほどの男を黙らせるのは難しく、彼の暴走を食い止められない事もしばしばであった。
 上層部の対立で功績を立てる場を奪われていたネオジオンの将兵の不満は大きかった。折角地球圏に戻ってきたのに、どうして自分たちはこんな所に閉じ篭っていなくてはいけないのだ。こちらから打って出てソロモンを奪還し、連邦の最重要拠点たるサイド5まで進軍するべきだという声が強くなっていたのだ。

 今日も統帥本部から送られてきた作戦案に目を通したキャスバルは、そのあまりに攻撃的なプランに顔を顰めていたのだ。だが彼以上に感情を荒げているのがハマーンであった。

「デラーズは何を考えてこんなプランを寄越したのだ、今のネオジオンにはこれだけの作戦を継続する力はない!」
「彼には彼なりの成算があるんだろうさ、あまり怒るなハマーン」
「キャスバル、貴方がそんな風だから軍部が付け上がるのだぞ!」

 軍部に甘い態度を見せるキャスバルにハマーンは不満を隠そうともせず、そして大股で部屋を出て行ってしまった。閉められた扉が甲高い音を立てているのが彼女の苛立ちをよく示しているだろう。
 キャスバルを改めて作戦案に視線を落とした。それは連邦宇宙軍の最大拠点であるサイド5を攻略し、宇宙での情勢を有利に持っていくというものだった。水瀬秋子は地上にあり、連邦宇宙軍はTOPを欠いている状態だ。今攻撃を加えれば連邦は指揮系統の乱れから迅速な対応が出来ない事が予想されるので、そこに付け込むというものであった。

「不利な側が奇襲を目論むのは良くある事、そう考えればデラーズの考えも間違ってはいないだろうが、連邦のシステムはそこまで弱体ではあるまいに。悪戯に消耗を早めて何をするつもりなのだ?」

 キャスバルにはそこが分からなかった。デラーズは頑迷な男ではあるが、決して無能ではない。こんな無謀な作戦を立案するような事は無い筈なのだ。そうでなければデラーズフリート単独でコロニー落としを成功させたりは出来ない。
 何故デラーズがこんな無謀な作戦を持ってきたのだろうとキャスバルは考えたが、同時にこれを拒否した場合の現政権に対するリスクも考えねばならない。最悪の場合、デラーズがクーデターを起こすかもしれないから。彼にはそれを可能にするだけの子飼いの戦力がある。もし彼が動けば自分に味方する戦力だけでは恐らく勝つことは出来ないだろう。
 そう、自分にジオンの名があるように、デラーズにもザビ家の亡霊がいるのだから。




後書き

ジム改 てなわけで、マドラス攻略を目指した連邦軍の攻撃は戦略上の理由ではなく決定されたのでした。
栞   はた迷惑な話です、良いんですかこれで?
ジム改 文民統制ってのは政府の基本方針に軍人は従うって事なのだよ。
栞   政治家や役人が個人であれこれ言うのは駄目なんですか?
ジム改 状況によるが、戦術レベルに口出すのは駄目。言うならその前の段階で。
栞   えうう、軍人も楽じゃないです。
ジム改 まあお前は何も考えずに命令に従って動くだけだから楽だろう
栞   次に出てきたら私の指揮官でしょうが、今頃テキストを丸暗記中ですよ!
ジム改 真っ当な士官が不足しまくってる弊害だ、諦めろ。
栞   ちゃんと士官学校出てるのって、意外に少ないんですよね。
ジム改 天野やお前は1年戦争の生き残りパイロットってだけで士官に上がっただけだからなあ。
栞   NTは何時の世も不遇です……
ジム改 それは関係無いような。それでは次回、決定に従って東南アジア攻略に向けて準備に入る連邦軍。祐一たちも海鳴に入ってシアンの指揮する部隊に組み込まれる事に。そしてネオジオンでは久々に軍事行動の兆候が見られるようになり、クライフが全軍を警戒配置につかせる事に。次回「デラーズの矛先」で会いましょう。
栞   考えてみたらネオジオンが一番装備良い気がしますねえ。