第47章  最強のパイロット


 連邦軍の追撃を受けたファマス軍は傷付いた艦を放棄して逃げようとするが、次々に現れる連邦の増援の為に遅々として作業が捗らない。艦隊戦は概ねファマス軍有利に進み、追撃してきた艦隊の大半を撃沈破したものの、MS戦では次々にやってくる新手に音を上げかけていた。

「折原大尉、もう弾がありませんよ!」
「なら戻って補給をしてこい、俺に言ってもどうにもならんだろ!」

 浩平は情けない声を出した部下を怒鳴りつけて艦に戻らせたが、その顔は苦虫をまとめて噛み潰したように苦々しい。そんな浩平に瑞佳が話しかけてきた。

「浩平、苛立ってるのは分かるけど、今のは拙いよ」
「・・・・・・ああ、すまない、ついカッとなっちまって」
「この状況じゃ無理も無いけどね」

 瑞佳も疲れを隠せないようで、顔色がかなり悪い。すでに30分も帰還せずに交戦し続けているのだから無理も無いのだが、このままでは機体よりも先にパイロットの方が参ってしまうだろう。

 瑞佳たちに後退をさせないでいる状況を作り出したのは駆けつけてきた連邦艦隊であった。高速艦艇主体で編成された艦隊が砲撃を加え、MSを出してきたために補給と急用をとる暇が無かったのだ。
 第2艦隊のキリルパトリック大佐に率いられた高速艦隊は苦戦しているあゆたちを助ける為に全ての砲を動員して撃ちまくりながら戦場に突入してきたのだ。特に駆逐艦部隊の突撃は凄まじい迫力で、レーザーを乱射しながら戦場を突っ切った駆逐艦部隊の為にファマスMS隊の陣形は完全に突き崩されてしまっていた。
 バウマンはダンケルクの艦橋で床を蹴りつけると部下に問い掛けた。

「兵員の収容状況は?」
「ほぼ、終えております。ですが遺棄艦の処分をする時間がありません」
「やむをえんな。人員を収容できただけでも良しとしよう。艦は奴等にくれてやる」

 頷くとバウマンは全軍に撤退を命令した。


 撤退命令が出たが、MS隊はそう簡単に引く事は出来なかった。何しろ乱戦なのだ。この状況から部隊を下げるというだけでえらい困難を伴うだろう。特に困難な状況に陥っているのがみさきだった。
 みさきのタイラントはアムロのGP−01と熾烈な戦闘を行っていたのだ。お互いに常人には付いて行く事も出来ないような機動を繰り返しながら手持ちの武器を叩き込み合っている。

「連邦の白い悪魔、その噂に偽り無しってことだね!」

 自分の動きに付いてくるGP−01にみさきは賞賛を込めた声を漏らす。自分の正確無比な銃撃を巧みに避けながらビームライフルを叩きこんでくる技量には感服してしまうほどだ。
 一方、アムロは始めて戦う事になったシェイドに冷や汗を掻いていた。信じがたい話しだが今戦っている敵はこれまで遭遇した中でも最強とさえ言える強さを持っている。

「こいつ、NTじゃないようだけど、シャア以上のパイロットか」
「NTかどうかが戦闘における決定的な差だと思わないでよ!」

 距離を詰めてビームトマホークを振るうが、機動性に勝るGP−01は急激な機動でこれを避ける。流石にGP−01でタイラントと格闘戦をやる気は無いらしい。だが、みさきの反応速度は逃げるGP−01を完璧に捕らえていた。いや、一瞬の未来を捕らえる事ができる彼女の力がGP−01の次の位置を教えてくれている。

「逃げられると思わないで!」

 未来位置に向けてマシンガンを叩きこむ。アムロは逃げた方向に放たれた銃弾に焦りながらも盾をかざした。すぐに盾が弾を弾き返す衝撃が襲ってくる。

「チィッ、読まれたのか!?」

小刻みに位置を変えながらビームライフルを叩きこむが、残念ながらその全ては空しく宙を抉っている。驚異的な反応を見せるタイラントにアムロは戦慄を隠せなかった。

「この出鱈目な反応の速さは、シアン中佐と同じだというのか。これが最強クラスのシェイドなのか」

 アムロはライフルの残弾カウンタ―を確認すると、タイラントから少しだけ距離を取った。間違ってもあのビームトマホークの有効半径にだけは入る気になれない。この事がアムロの選択肢を著しく狭めていた。

 それから少しして、みさきはアムロの強さに感心しながらも1つの確信を得ていた。機体性能の差がさほど無い以上、アムロはザイファに乗ったシアン程に手強い相手ではない。

「悪いけどこれ以上付き合ってる暇は無いよ!」

 タイラントの動きが途端に速くなった。それまでとはうって変わって積極的にビームトマホークの届く距離にまで詰めようと急激な機動をするようになり、アムロは突然の変化に驚いた。

「急に速くなった・・・・・・今までは様子見だったのか?」

 あまりの激しい攻撃にビームライフルが真っ二つにされ、爆発してしまう。仕方なくビームサーベルを抜いたがこれであのMSと五分に戦えるとは思っていない。

「こんな所で死ぬ気は無いんだ!」
「往生際が悪いよ、白い悪魔!」

 タイラントのビームグレイブとGP−01のビームサーベルがぶつかり合う。GP−01のそれは通常よりも太く長い刃を出しており、パワーを無理に上げて使っているのが見て取れる。ビームグレイブに対抗するためだろうが、サーベルのエネルギーを考えるとそう長くは持たないだろう。
 アムロの苦境を見てか2機のジムUが援護に駆けつけてきた。北川中隊のジムらしく、右肩にクリスタル・スノーが見える。

「アムロ中尉、援護しますから下がってください!」

 2機がジムライフルを近くから撃ちまくる。正確な銃弾のシャワーを受けたタイラントは力任せにGP−01を押し返すと、五月蝿そうに撃ってくるジムUをみる。

「邪魔だよ君達!」

 いきなり自分の前から加速して立ち去り、撃って来るジムUに向かっていくタイラントを見てアムロは慌てて援護に来た2機に通信を入れた。

「速く逃げろ、狙われてるぞ!」

 アムロの叫びも空しく、1機のジムUがビームグレイブでライフルを持っている右腕を斬り落とされた。その一撃で姿勢が崩れたところを横薙ぎにされ、胴体を2つに分断され、上下に分かれたところで爆発してしまう。近くにいるもう1機は撃ちまくっていたライフルを捨てると肩からビームサーベルを抜いた。こちらは1機目よりも粘りを見せ、みさきのタイラントと3回切り結んだがそれが精一杯だった。袈裟懸けに振られたトマホークにシールドを斬られ、次いで頭部を吹き飛ばされてしまう。
 2機のジムUを一瞬で叩いたみさきは機体をアムロに向けてきた。アムロは北川大隊のMSを一瞬で1機撃墜、1機撃破したみさきの実力に恐怖さえ覚えてしまった。

「何て奴なんだ」

 乾いてヒリヒリとしてきた喉をが妙に意識されてくる。久しくなかった強敵を前にした焦りがアムロを包んでいた。
 だが、そんなアムロの焦りとは無関係にみさきはタイラントをGP−01に向きなおした。

「そろそろ、終わりにしようかな。アムロ・レイ」

 ビームグレイブをGP−01に向けたみさきだったが、その時いきなりコクピット内にアラームが鳴り響いた。何度聞いても背筋が寒くなる音、ロックオンされた時の音だ。

「何、何処から!?」

 迷いながらも機体を大きく横に振ると、いきなり複数のビームが飛来してきた。幾らタイラントでもビームの直撃を受けたらただでは済まないかもしれないので、流石のみさきも安堵の溜息を漏らした。

「ふう、いきなり何処から撃ってきたの?」

 あたりを捜索してみると、高速で接近してくる6機ほどのMSの姿があった。どうやらこの部隊が攻撃してきたらしい。

「ジムキャノンU1機にジムカスタム1機、Rガンダム2機、ジムU2機、ちょっと多いね」

 MS6機という数はみさきから見れば対処できない数ではない。並の相手ならば楽ではないがなんとか始末出来るだろう。だが、Rガンダムが2機もいる事が問題だった。ガンダムタイプとなれば乗っているのはエース級なのは間違い無く、下手をすればサイレンかもしれないのだ。
 みさきの悪い予感は当たっていた。やってきたMSのうち半分はサイレンだったのだ。

「アムロ、まだ生きてるわね?」
「クリス、バーニィもか!」
「悪い、助けに来るのが遅くなったよ」

 両脇に並んできたジムカスタムとジムキャノンUにアムロは歓喜の声を漏らした。そして2人を置いて残る4機はみさきに襲いかかっていた。2機のRガンダムがもっぱら接近戦を挑み、ジムU2機が援護するというスタイルを取っている。

「あれは?」
「1機は香里よ。もう1機のRガンダムに乗ってるのは第2艦隊のユウ・カジマ大尉。ジムUはフィリップ・フューズ中尉にサマナ・フィリス准尉よ」

 クリスがアムロの疑問に答えてくれた。それを聞いてアムロは納得しながらも軽い驚きを覚えている。香里のRガンダムが強いのは分かるが、カジマ大尉の方もかなりの腕だ。Rガンダムの性能を使いこなしている。

「2人とも、俺達も行こうぜ」

 バーニィが急かしてきた。アムロとクリスも頷くと機体をそちらへと向ける。エース級、超エース級が7人がかりでいくのだ。これで負ける訳が無いと、この時は誰もが思っていたのだ。


 みさきをアムロが引きつけてくれたおかげで連邦MS隊はファマスMS隊を少しづつ追い詰めようとしていた。ファマスMS隊の指揮をとっているのはガトーなのだが、どうやら新たにやってきた連邦のMS隊指揮官はガトー以上のやり手であるらしく、打つ手打つ手が後手に回っている。

「ええい、数の差があるとはいえ、連邦風情にこうも追い詰められるとは」

 ジャギュアーのコクピットでガトーは歯を噛み締めて怒りを堪えていた。その怒りは敵に対するものと不甲斐ない自分への双方に向けられている怒りだ。だが、ガト―が戦っている相手はいささか分の悪い相手であった。

「第2、第3中隊は正面からの攻撃を続行。第4中隊は側面に回れ。栞ちゃんの隊は健在機の再編が終わったら正面攻撃に加わってくれ。一気に突き崩すぞ」
「大尉、我々は?」
「もう少し待ってろ、すぐに出番を作ってやる」

 北川に念を押されてしまい、第1中隊のパイロット達は動くに動けなくなってしまった。何故北川がここで戦闘を避けたのかは分からないが、とにかく戦闘は現在交戦している部隊に任されることになった。


 キリルパトリック大佐は乗艦のペルーンの艦橋で自軍が僅かだが有利な戦況に頬を緩めていた。

「奴等はそろそろ逃げに入るだろうな。全艦に命令あり次第追撃に入る様に準備をさせておけ」
「ですが艦長、あまり深追いをしては水瀬提督が怒るのではありませんか?」
「小賢しいかもしれんが、多少の功績稼ぎくらいはしても良いだろう」

 上司がいないからか、キリルパトリックは億面も無く本音を口にして見せた。すでにフォスターUが陥落したことで戦争の終結が見えた途端功績争いという厄介な問題が連邦軍将兵の頭に生まれてきており、キリルパトリックの様に功を焦る者が増えてきていたのである。
 だが、この時すでにバウマンとチリアクスも乏しい戦力でなんとか十字砲火を形勢出来るように陣形を造りなおしていたのである。

「敵艦隊の先鋒が集中砲火の中心に入った所で砲撃開始だ。そのまま1分間砲撃後、残りのMSを洗いざらい出して敵を押し返す。これにしくじったら後が無いぞ。死力を尽くせ!」

 バウマンの命令が各艦に伝達されていく。各艦の艦長は最高のタイミングを必死に待ち続け、最後の罠に敵が飛び込むのを待ち構えている。そして最初のリアンダーが予定ポイントに達した瞬間、全ての艦が一斉に砲撃を開始した。全ての砲を撃ちまくりながら突進してきていたそのリアンダーは四方八方から殺到するビームに撃ち抜かれてほとんど一瞬で爆散してしまった。先頭艦の最後を見て後続艦の行き足が一瞬鈍ったが、キリルパトリックの叱責を受けて前進を再開した。

「このくらいの反撃で怯むな、全艦突撃、第2波MS隊を発進させろ!」

 連邦艦隊からMS隊が発進してくる。その数は迎え撃とうと出撃してきたファマスMSの3倍にも達する60機。激突した双方のMS隊はたちまち乱戦となったが、なんと連邦MS隊は数で圧倒的に劣るはずのファマスMS隊に苦戦を強いられていた。その理由としては今までアクシズ隊のハウエル准将が投入を躊躇っていたシェイド部隊を全て投入して来た事もあるが、ようやく機体の整備を終えた茜が出てきたのが大きい。

「カノン隊ならいざ知らず、あなた達のような雑魚が何機出てきても結果は同じです。死にたくなければ引きなさい!」

 公用周波数に乗せて連邦機に引くように言うが、茜の言葉に耳を傾けるパイロットはいないらしい。むしろイリーズを目の敵にしたかのように襲いかかってくる。茜は小さく溜息をつくとビームマシンガンを構えた。

「仕方ありません、長引かせるつもりもないですし、真面目に戦うとしましょう」

 ビームマシンガンが低威力のビームを立て続けに撃ちだし、茜を狙っていた3機のジム改を続けて破壊した。それで怯んだのか他のMSの動きが鈍くなったが、だからといって攻撃の手を緩めるつもりは茜には無かった。連邦機の間をすり抜けながらビームを叩きこみ、確実に撃墜していく。そのスコアが8機を数えた頃になってセンサーが大型物体を捕らえた。確認するまでも無く連邦のリアンダー級巡洋艦だ。

「巡洋艦ですか・・・・・・仕上げには丁度良いかもしれません」

 各所に配された対空レーザー機銃がイリーズに向けて濃厚な弾幕を叩きつけてくるが茜は意に介した風も無くそれを潜り抜けて艦橋の上に出た。右肩に搭載されているビームキャノンにエネルギーが充填されていく。充填率を確かめた茜は真上から艦橋に向けてビームを放った。


「オハマ、爆沈!」

 ペルーンのオペレーターが茜に沈められた巡洋艦の報告をする。それを聞かされたキリルパトリックは黙って頷くだけで何も言わなかったが、内心ではかなり苛立っていた。この段階であまり大きな被害を受けては功績を差し引かれてしまうではないか。
 キリルパトリックはシェイドパイロットの存在を知らなかったのでまだ強気でいられたが、もしこれが秋子だったら迷わず逃だしていただろう。この為に状況を把握するまでの僅かな時間で彼は手持ちのMSの半数を失うという醜態を曝す羽目になったのである。 

 戦況を把握できた時、キリルパトリックはあまりの惨状に顔を蒼くしていた。

「馬鹿な、たったの10分で60機出したMSが30機残っていないだと?」
「キルレシオは1対5というところです。このままでは遠からず突き崩されます!」
「・・・・・・分かっているが、このまま引くことは・・・・・・」

 キリルパトリックの顔が苦渋に歪む。ここで引けば彼は良い笑い者になってしまうだろう。だがその苦悩も一瞬のことであった。更に一隻の巡洋艦が宇宙の塵と変わった時、震える声で撤退を命じたのである。

 連邦艦隊が退いていく様子を戦術スクリーンで確認したバウマンはホッと安堵の声を漏らした。

「やれやれ、やっと退いてくれたか」
「全くです、あのまま突っ込まれていたら危ないところでした」

 隣にいた作戦参謀が額に浮いた汗を右腕の袖で拭う。実のところ、すでにファマス艦隊の戦闘力は残っていなかったのである。ビームエネルギーもミサイルも底をついており、キリルパトリックがもう少し粘っていたら弾切れで敗北という運命を向かえていただろう。その事を考えれば勝ったというよりも助かったという気持ちの方が強くなるのは仕方がない。

「よし、今のうちに退くぞ。艦隊を集合させろ。MS隊を呼び戻せ」

 バウマンが今のうちに逃げ出そうと指示を飛ばしているが、その時艦橋を凍りつかせるような報告がオペレーターから飛び出した。

「閣下、敵艦隊と入れ替わるように新たなMS隊が前進してきました!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 バウマンはしばしその場で言葉を無くしてしまった。その間にも連邦機の大群を示す光点がスクリーン上をゆっくりと近づいてくる。その先頭にいるのは通常とは少し違う形状のジムUであった。

 

 再編成の終わった栞達を加えたMS隊を率いて北川が艦隊の前面に展開しようとしていた。

「全機、艦隊の後退を援護しろ。無理に敵と戦う必要は無い。ちょっかいをかけてくる奴だけ相手にしろ!」

 北川にはこれ以上損害を拡大させるつもりは無かった。幸いにして彼の部隊はほとんど損害らしい損害を受けてはおらず、損傷機はあっても撃墜された機体は無い。すでに戦闘力のほとんどを喪失し、追い詰められていたガトー達には荷が勝ちすぎる相手だったという事だ。
 すでにガトー隊は蹴散らされ、生き残りはほうほうの体でファマス艦隊へと撤退していったこともあり、これ以上無理をする必要性を感じていなかったのだ。
 期せずして両者の思惑は一致し、双方とも砲火を交えないままゆっくりと距離を開いていった。

「・・・・・・ふう、どうやらこれで終わりそうだな」

 ようやく緊張を解いた北川だったが、センサーが小さいが断続的に続くエネルギー反応を捕らえていた。どうやらまだ小競り合いを続けている部隊があるらしい。

「チッ、何処の馬鹿だ。まだ戦ってやがる」
「北川さん、大変ですっ!!」

 栞のRガンダムが接触してきた。

「どうした栞ちゃん?」
「お、お姉ちゃんたちが押されてます!」
「美坂が押されてる?」

 北川はそちらに機体を向けてみた。確かに何機かがMS戦を行っているが、敵は誰だろうか。見慣れないMSと戦っているようだ。

「なんだありゃ、新型か。いや、何処かで見たことあるような気がするな」
「フォスターTで戦った七瀬さんのMSですよ。アムロさんやお姉ちゃん、7機のMS相手にして押してますよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 北川は識別信号を調べた。確かにアムロに香里、クリスにバーニィの反応まである。後の3機は知らない相手だ。

「この面子を相手にして押してるだと!?」
「これはもう人間じゃありませんね。どうしますか北川さん?」
「決まってる、すぐに助けに行くんだ。第1中隊は俺に続け!」

 北川は直属の部下に声をかけると大慌てで戦場へと向かっていった。声をかけられた第1中隊のMSがそれを追いかけていく。栞はそれを見送りながら小さく呟いた。

「お姉ちゃんが絡むといつもの冷静さが無くなりますね、北川さんは」

 北川はカノン隊の4人の大隊長の中では一番冷静で手堅い指揮を取る男だ。普段のムードメーカー的な部分は影を潜め、常に冷静な指揮振りを見せる。祐一は経験で指揮を取る叩き上げタイプであり、佐祐理や天野は知識と直感で指揮をとる天才肌、そして北川は叩き上げだが理論と直感で指揮をとるという変わったタイプだ。意外かもしれないがこの面子の中では北川が一番堅実で論理的な思考をするのである。
 その北川が普段の冷静さも何もかもをかなぐり捨てて考え無しに行動してしまう相手、それが香里だった。

「私でも助けてくれるでしょうけど、もう少しきちんと状況を把握してからなんですよねえ」

 ぼやくような呟き。相手が誰かも確かめずに突っ込んで行くような無鉄砲さんに呆れているのか、それとも単なる嫉妬か。
 栞の気持ちを知っているのかいないのか、北川は香里を助けに行ってしまった。


 北川が応援に来たことを察したみさきはどうしたものかと辺りを見まわした。

「ん―、MSが更に12機、か。先頭のジムUはなんだかいつもと違うし、とても強そうだよ。今でも手一杯なんだけどなぁ」

 どうしたものかと悩むみさき。現在アムロのGP−01と切り結んでいる最中であるが、そんな事を感じさせない余裕を見せている。意識を他に向けながらアムロと香里の同時攻撃をあしらい、バーニィとクリスの援護を全く相手にせず、ユウやフィリップ、サマナを蹴散らしていく。もうほとんど化け物であった。相手にしてるアムロ達の方が追い詰められた顔をしている。回りこもうとしてもまるで全て読まれてるかのように正確に次行く所に弾が飛んでくるので動く事さえ容易ではない。

「アムロ、あれの足を止めてよ!」
「出来ればやっているさ!」
「おいユウ、何とかしてくれ」
「・・・・・・何とかと言われても」

 腕の立つ4人が前に出てみさきのタイラントの足を止めようとがんばっているが、まるで歯が立たないでいる。前にみさきとサシで戦ったシアンやあゆの技量の凄まじさが伺えるが、実はこれはみさきの乗っている機体の差のせいだ。みさきの本来の機体であるリヴァークは実は長距離攻撃力と純粋なパワー以外の全てでタイラントにかなり劣るMSであり、ザイファやセイレーンのような超高性能機とまともに渡り合えるようなMSではなかったのだ。それがジャギュアー以上の高性能機に乗ったのだ。化け物じみてしまうのも無理は無い。
 そうこうしている内にやってきた北川のMSがタイラントに向けて左腕のシールド裏ににマウントされている大型のガトリング砲を向けてきた。

「幾ら頑丈だろうが、こいつに耐えられるか!」

 猛烈な勢いで徹甲弾がガトリング砲から叩き出される。マシンガンのそれなど比較にもならないほどに強力な攻撃にみさきのタイラントが素早くその場から退いてしまう。あっさりと躱されたことで北川は舌打ちしたが、相手を考えれば仕方が無いだろう。

「あのジムU、随分ごつい機体だね。それに物騒な物持ってるよ」

 北川のMS、ジムUATを見ての、それがみさきの感想だった。
 ジムUAT(アサルトタイプ)。ジムUのフルアーマー型とでも言うべき機体で、ジムUの装甲を強化し武装を著しく増やしたMSだ。装甲を増やした事で機体構造が強化された事で重火器の運用が可能となり、左腕にはシールドにアタッチメントで固定された大型ガトリング砲がマウントされている。両肩には多連装のマイクロミサイルランチャーが2基搭載され、バックパックと両足には機動力向上用の追加スラスターユニットがある。更にはスカートの左右にも3連グレネ―ドラックが増設されているのだ。秋子のアサルトガンダムのデータを元に連邦軍ジャブロー工廠で製作された攻撃型MSである。言ってしまえばガンダムタイプでテストされていたフルアーマー構想の発展型で、追加ユニットではなくヘビーガンダムやアサルトガンダムのように最初からフルアーマー状態で完成機にしてしまおうというものだ。
操縦系統はジムUとほとんど同じであり、ジムUパイロットなら違和感無く乗り換えられるようになっている。おかげで北川は量産型初期ロットであるこの機体をいきなり乗りこなせているのだ。パイロットのことを考えて作られているとも言える。だが、この機体のより革新的な装備はコクピットにあった。

「なんて言うか、違和感あるよな、このコクピット」

 北川は居心地が悪そうに周囲に注意を向けている。無理も無い、どっちを見ても宇宙なのだから。このジムUATはMSとしてはアレックスに次いで2機目の360度スクリーンを採用したMSなのだ。更には試作型のリニアシートシステムも採用されている。どちらもまだ完成された技術とは言い難く、360度スクリーンと言いながらコクピットを保持するためのフレームがあるし、リニアシートにはまだシートベルトがある。流石にまだインジェクションポッドは開発中だ。
 だが、それでも視界の良さは従来のモニター式の比ではなく、パイロットの受けるアクションフィードバックも著しく軽減されている。これは「史上最悪の乗り心地」と言われたMSの乗り心地を劇的に改善しており、疲労の軽減に絶大な効果があるのだ。
 だが、このように良い事尽くめに聞こえる装備もまだ試作の段階を出ておらず、何時壊れるかという不安が付き纏ってしまう。更には突然の360度スクリーンにリニアシートだ。乗っているパイロットが違和感を感じるのも仕方がない。
いずれにしても極めて強力な攻撃力を持つMSである事には代わりが無く、北川の射撃技量もあってみさきをしても無視し得る相手ではなかった。更には北川の手足となって動く精強極まりない直属の第1中隊まで来ているのだ。

「・・・・・・ううん、流石にもう無理そうだね。みんなも逃げちゃったみたいだし、私も逃げよっと」

あっさりと逃げに入ったタイラントをアムロと香里が怒りを露にして追っていく。

「勝ち逃げなんか許すか!」
「ここまでコケにされて黙って帰すわけないでしょ!」

 サイレン4機がかり、ユウ達もいれれば7機がかりでたった1機のMSに負けたなどとなれば恥以外の何物でもない。相手が化け物なのは分かっているがこのまま勝ち逃げされるのはたまったものではなかった。
 だが、追いかけてくる2機を見たみさきは小さく笑うと、GP−01の方を見た。

「Rガンダムは加速で振り切れるから、こっちを足止めすれば何とかなるよね」

 ビームサーベルを取り出すと刃を発進させたかと思うと、なんと近づいて来たGP−01に向けて 投げつけたのだ。勘半分の回避運動を行っていたアムロは、まさに自分が動いた方向にビームサーベルが投擲された事に驚愕し、慌ててコントロールスティックを大きく動かした。なんとかビームサーベルは回避したものの、タイラントはその間にすっかり遠くに行ってしまった。元より速度で劣るRガンダムでは追いつけるはずも無い。2人は手を打ち合せたり舌打ちをして悔しがったが、仕方なく追撃を諦めた。
 そして、ヘルメットを脱いだ香里の耳に北川の声が飛びこんできた。

「美坂、大丈夫か、何処も怪我してないか!?」
「え、北川君? え、ええ、私は無事だけど、なんでよ?」
「なんでって、それだけ機体が傷付いてれば不安になるだろ!」
「・・・・・・え?」

 香里は慌てて機体のチェックに入ったが、全身に小さなダメージが積み重なっている事を見て頭を抱えてしまった。

「ああ〜、これじゃまた石橋さんにどやされるわね」

 これだけ細かいダメージを積み重ねれば、機体は総点検が必要だろう。ガンダムは決して整備しやすい機体ではないので、整備班の愚痴が今から聞こえるようだ。

「まあそうだな、Rガンダムをそれだけ壊したなら・・・・・・30分くらいかな。あ、シアンさんの特訓フルコースもつくかもな」
「他人事だと思って簡単に言わないでよ―――っ!!」

 香里の悲鳴が通信波に乗って轟き渡った。そしてもう1人、悲鳴を上げてはいないが頭を抱えている男がいた。アムロ・レイである。

「僕もどやされるんだろうな・・・・・・」

 

 連邦軍のエース部隊を単機で引き受けていたみさきの帰還をエターナルの代わりに母艦に指定されたエア―は歓呼の嵐でもって迎えていた。着艦したタイラントの周りにはエターナル隊のMSパイロットやエア―の甲板要員や整備兵などが鈴なりになって騒ぎ立てている。だが、降りてきたみさきの顔色は物凄く悪かった。慌てて浩平と瑞佳が駆けよって左右からみさきの体を抱えている。

「ど、どうしたのみさき先輩!?」
「浩平、一応余所の船なんだから大佐って呼ばないと駄目だよ!」
「む、そうだったな」

 ついいつもの癖でみさき先輩と言ってしまった浩平だった。
 みさきは疲労疲労困憊した様子で、顔色は真っ青だ。さすがにエース級7機同時に相手取るのはみさきといえども無謀であったのだろう。

「さすがに今日は疲れたよ。シェイド能力をフルに使ってどうにか相手が出来たけど、7機を同時に相手取るのは無茶だったなあ。特に白い悪魔の強さは名前に偽り無しだね。正直言って2度と戦いたくないなあ〜」
「「し、白い悪魔――――っ!!!」」

 浩平と瑞佳の悲鳴のような絶叫が轟き渡った。辺りに集まっている他のクルー達も顔を見合わせて口々に驚きを表している。

「う、うん、私が相手をしたガンダムの1機は間違い無く白い悪魔、アムロ・レイだと思うよ」
「な、なんでそんな事が?」
「だって、瑞佳ちゃん以上のプレッシャーを感じさせるニュータイプなんだよ。あゆちゃんじゃないんだから、後は噂に聞く白い悪魔しかいないよ」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 もはや何も言えない2人、いや、その場にいる全員が声を無くしていた。この人はあの白い悪魔、アムロ・レイを含む7機を相手取ってたのか?


 みさきは艦内に入るとパイロットルームの椅子に腰掛け、ドリンクを口にしながら浩平に問い掛けた。

「それで浩平君、エターナルのクルーは?」
「八割のクルーは退艦できたみたいです。巡洋艦オスムが収容してくれましたから」
「そう、良かったよ。それで、こちらの損害は?」
「22隻を遺棄しました。残存艦はざっと14隻ですね。残ったMSも半数は使い物にならないと思います」
「・・・・・・損害の絶対数は連邦も変わらないのがせめてもの救いかな。将兵を撤収できただけ勝ったと言えるかもしれないね」

 なんというか、空疎な笑いをみさきは浮べた。彼女にも分かっているのだ。すでに善戦が勝利に結びつかない事を。もうどれだけ頑張っても連邦に勝つことなど出来ないのだという事は。すでに斉藤も久瀬もいない。艦隊戦で全幅の信頼を置けた斉藤に恐らくはファマス最高のMS隊指揮官であった久瀬を失った事はすでにさっきの戦いでその影響が見て取れている。ガトーの指揮を受けて戦っていたファマスMS隊であったが、北川が来てからは一方的に押されるだけであった。これまでの戦いでこうもMS戦で手玉に取られた事は無かっただけに久瀬率いるリシュリューMS隊の存在がいかに大きかったかが分かる。
 重苦しい沈黙が立ちこめるパイロットルームだったが、その空気を引き裂くような明るい声がドカドカと足音高く部屋になだれこんできた。

「あ−、やっと終わったね一弥君」
「出撃させられるとは思って無かったからね」
「こらこら2人とも、他の人がいるんだから静かにしなさい」

 みさおに一弥と友里であった。アサルム所属のはずなのだが、どうやらこちらに着艦していたらしい。3人はすぐに浩平達に気付いた。面識のあるみさおが浩平に駆け寄ってくる。

「あれ、浩平さんじゃないですか」
「お、みさおじゃないか、何だ迷子か?」
「うゅ〜〜〜、浩平さん失礼です。私これでもパイロットです」
「嘘つけぇぇぇぇぇ!!」
「嘘じゃないです〜〜〜!!」

 みさおの爆弾発言に浩平が怒鳴り声を上げた。みさおもそれを受けて両手を胸元で握り締めながら怒鳴り返した。

「むう、なかなかのツッコミだ。瑞佳などとは出来が違う」
「そんな事で感心されても嬉しくないですよぉ!」
「おおお、この脊髄反射級の切り返しの速さ、間違い無い、みさおは天性のツッコミキャラだ!」
「うゅ〜、だから人をツッコミキャラにしないで下さい〜」

 胸元で両手を握りながら下から顔を覗き込むように潤んだ目で見上げてくるみさお。狙ってやってるならかなりの悪党だが、他意無しでやってるならかなり性質が悪い。このみさおのウルウル攻撃で浩平は物凄いダメージを受けてしまった。

「グハァッ!」

 危うく理性が飛びかけた浩平はロッカーに頭をガンガンと叩きつける事でどうにか自分を保つ事が出来た。ただ、ロッカーはボコボコになってしまったが。

「ぐわぁぁぁ、痛いぞおお!!」
「ロッカーに頭を叩きつければそりゃ痛いよ」

 呆れたようにガックリと肩を落として突っ込む瑞佳。すでに悟りの境地のようだ。

「ううう、少しは心配してくれてもいいじゃんかよう」
「浩平の自爆ボケはもう心配するだけ無駄だもん」
「なにをう、あれは自爆ボケじゃないぞ!」
「じゃあなに?」
「・・・・・・こう何と言うかだ、内なる獣を鎮める為にやらねばならなかったのだ」
「・・・・・・・・・・・・」

 瑞佳ははあっと呆れたような溜息をつくとフルフルと力無く頭を左右に振った。

「やっぱり浩平にはちゃんとした人が必要だよ」
「あああ、何だその何時になくしみじみとした言い方は!?」
「あ、みさおちゃんだったよね。用事は何?」
「あ、浩平さんが居たから声をかけただけですよ」
「いきなり無視かよ!」

 自然に自分を無視してくれる2人に浩平は悲鳴を上げたが、2人は涼しい顔で浩平を見るとニッコリと微笑んだ。

「「浩平(さん)は黙ってて(ください)」」
「はい」

 なんだか逆らえなくなった浩平は肩を落としながら小さく頷いた。それを見て浩平以外の5人が声を上げて笑い出した。

「「「「「あははははははははははははっ!!」」」」」」
「な、なんだよ、笑う事無いだろ!?」
「あはっあはっあはっ、浩平君と瑞佳ちゃんは何時もの事だけど、みさおちゃんも息がピッタリだね、まるで浩平君の妹みたい」
「え、えええ――――っ!!?」

 みさおが顔を赤くしてわたわたとしだした。それを見て友里がさらりと危険な発言を飛ばす。

「あら〜、じゃあ将来一弥は浩平君の義理の弟になるのかしら〜?」
「な、何ですかそれは――っ!?」
「あらら、真っ赤になっちゃって可愛い〜」
「友里さんからかわないで下さいよ−!」

 両手を振りまわして友里に食って掛かってるが、所詮だだっ子パンチなので伸ばした手で額を押さえられると届かない。
 そして今、この苛められっ子な空気を持つ一弥の存在に浩平の中のいじめっ子遺伝子が敏感に反応してしまった。

「むう、それはいかんなあ。妹は嫁にはやらんぞ!」
「おお、お兄ちゃんがやらんと言ってるぞ、どうする一弥?」
「だ、だから僕は―――!」
「うふふ、ムキになっちゃって可愛いわね〜」
「友里さんも浩平さんも何馬鹿な事言ってるんですか−!」
「あらみさお、2月14日にチョコレート渡してたのは何処の誰だったかしら〜?」
「うゅ―――っ!!」

 恥ずかしさからかついにパニックを起したみさお。めちゃくちゃに振り回される手足が周囲の物体を手当たり次第に殴りつけていく。

「わ、や、やめオブゥ!」
「わー、浩平しっかりして!」
「み、みさおちゃん、やめなゴハァ!」
「あああ、一弥君まで!」

 近くにいた浩平と一弥がみさおの暴走に巻きこまれて轟沈してしまった。瑞佳は2人の身を案じていたが助けに行く度胸は全く無かった。そして事態をここまで悪化させた張本人2人はすでに安全圏に避難を終えている。

「みさおちゃんは本当に可愛いね」
「大佐もそう思います?」
「うん、可愛いよ〜」

 このくらいの事で騒ぎ立てている少女の姿に、2人はニコニコと朗らかな笑みを浮かべていたのであった。全ては安全圏に退避し終えたという確信からくる余裕だろうか。

 

 フォスターU攻略戦は終わった。駐留していたファマス軍は全兵力の6割を失うという甚大な損害を蒙り、組織的な戦闘力を喪失してしまった。特にリシュリュー隊の失った事とエターナルの撃沈はファマス軍全将兵に衝撃をもたらしている。リシュリュー隊、エターナル隊、アリシューザ隊はファマス最強部隊であり、これらの部隊だけは決して負けることはないという迷信じみた話まであるほどなのだ。そのうち1つが失われ、1つもまた壊滅的な損害を受けたとあっては受ける衝撃もまた半端な物ではない。この話が伝わった時、ファマスを全将兵が敗北感を感じたのである。この低下した士気をもう一度立て直すのにファマスの指揮官たちはなみならぬ苦労を強いられたのである。


人物紹介
ユウ・カジマ  大尉  20代半ば?
 かつてガンダムを相手にしたシュミレーションに唯一勝利した凄腕パイロット。もっともそのデータはジャブローに届けられた実戦データで作られたものなので、ソロモン戦以降の化け物じみた状態のデータではない。でもまあ、それでも凄い事には代わりがなく、彼の名は一躍連邦軍のパイロット中に知れ渡る事となった。
 普段は寡黙で少々無口な人物だが、時にはジョークを言う事もある。

フィリップ・ヒューズ  中尉  20代後半?
 BDに関わってしまった不幸なパイロットの1人。実力はなかなかのものでユウと共に戦場を駆けぬけてきた。どちらかというと無口なユウの分もまとめて喋っているような感じがあり、とにかく何時も喋っている。

サマナ・フィリス  少尉  20代前半?
 ユウ達のなかで一番普通の人。やはりBDのせいで人生を狂わされている。よくゲームなどで酷評されているがその基本に忠実な操縦技術は決して悪いものではない。ユウのような天才と較べる方が間違っているのだ。
 後に教官として訓練校に赴任しているが、彼の性格を考えればまさに転職であっただろう。少なくとも彼の操縦技術は生徒たちの良き手本となったであろうから。
 


機体解説
ジムUAT
兵装  ジムライフル・バズーカ・ビームライフル
    ビームサーベル×1
    多連装マイクロミサイルランチャー×2
    3連グレネ−ドラック×2
    シールドガトリング×1
<説明>
 ジムUベースの上位改良機の1つで、全面的な改装が施されている攻撃型MS。現在のところジム・FBを除けば最強のジム系列機で、火力だけなら連邦全体でも最強の量産機である。まだ生産が始まったばかりであり、その数は少ないがファマス軍にとっては脅威である事に変わりは無い。現在北川大隊がこの機体に機種改変を行う予定であり、次の輸送船団が到着すれば火力中隊を除く3個中隊がジムUATになる予定である。
 この機体の最大の特徴はジムUと基本となる操縦系がほとんど共通である事で、ジムUパイロットなら機種転換にかかる時間が大幅に短縮されるという点だ。それに量産機として初めてリニアシートに360度スクリーンを採用しており、パイロットの負担が大幅に軽減されている。ただ、リニアシートもまだ完全な物ではなく、360度スクリーンも全天周スクリーンのような完璧な物ではない。当然インジェクションポッドもまだ採用されてはいない。


後書き
ジム改 フォスターUの最後の後始末が終わった。
栞   私の出番〜〜(涙)
ジム改 出てたじゃん。
栞   セリフだけじゃないですか!!
ジム改 セリフだけでもあるだけ良いのでは?
栞   たまには華々しい出番を下さい!
ジム改 そんな無茶な願いは叶えられん。
栞   えう〜。
ジム改 泣きそうになっても駄目だな。
栞   もう良いです、こうなったらポケットから色々出してやるんです!
ジム改 ドラ○もん?
栞   そんな事言うのはこの口ですか!!
ジム改 ひゃふぇれ―――!!


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