第53章   火星へ


 ロストしたシェイド、司を倒そうと剣を振るう舞。2機のシェイドMSの戦いは余人の介入を許さぬレベルに達していた。これに首を突っ込めるのは僅かに七瀬と、応援に駆けつけてきたデュラハンとセルゲイくらいのものだったのである。いや、この3人でさえも辛うじてというだけで、戦っているとは言い難い。この戦いに普通の人間が介入する余地は無いと言って良かった。

「チィィ、なんて動きだ!」
「少佐、どうしますか?」
「・・・・・・・・・・・・・」

 デュラハンは赤いジム・FBを駆りながら懸命に司と舞に追いつこうとしていたが、急激な機動を繰り返す2機に付いていくことが出来ず、振り回されている。こんな事は彼の長い実戦経験の中でも初めての事であった。

「化け物か、あの2機!?」
「少佐、レベッカとフェイが付いて来れません!」
「構わん、俺と軍曹でいく。付いてきても2人じゃ相手にならん!」

言うのは憚られたが、レベッカとフェイはデュラハンやセルゲイに較べるとかなり腕が落ちる。仮に付いて来れたとしてもあの2機との戦いの役に立つとは思えなかった。

 この2人とは別行動で舞を支援しているのが七瀬だった。ジム・FBに較べて速度性能と運動性能こそ劣るものの、火力と防御力、パワーでは上回るエクスカリバーVは桁外れた攻撃力を持っている。
 だが、どんなに火力が優れていても追いつけなくてはどうしようもなかった。

「ふう、参ったわね。こう動き回られちゃどうにもならないわ。殴り合いは舞に任せるしかないか」

 格闘戦を諦めると、七瀬は左腕に搭載されているビームキャノンをヴァルキューレに向けて撃った。当たるとは考えていないが、動きを邪魔することくらいは出来るはずだ。
 ビームキャノンに狙われた司はこの攻撃に苛立ったかのように大きく回避運動を行っている。ロストして破壊衝動が押さえられない為に、細やかな動きができなくなっているのだ。
 だが、ロストしたとはいえ、いや、ロストしたからこそと言うべきか、司の操るヴァルキューレは国崎やトルクに匹敵するだけの強さがあった。そうでなければ幾ら機体が傷付いてるとはいえ、舞がこうも苦戦する訳がない。

「強い、これがロスト体が操るMSの強さ・・・・・・」

 本気を出しても五分以上の勝負が出来ない司の強さに舞は正直舌を巻いていた。こうなるとシアンがここにいない事が悔やまれる。シアンならこのロスト体も容易く片付けることが出来ただろうから。
 だが、舞もまた超一流のパイロットである。たかだか1機のMSを相手に怯むつもりも無かった。まして、自分には七瀬たちやデュラハンまで援護をしてくれているのだ。

「七瀬、援護お願い!」

 七瀬に頼むと舞はセレスティアを突っ込ませた。逆に七瀬は舞が自分に頼んだという事に軽い驚きを感じている。

「舞が私に頼むなんて、初めてじゃないかしら」

 そう考えると少し嬉しくなってくる。七瀬は少しだけ今まで感じていた苛立ちを忘れると、機体を舞のセレスティアと並べる位置まで加速させた。
 自分の隣にまで出てきたエクスカリバーVに舞は怪訝そうな視線を注いだ。

「七瀬、どうするつもりなの?」
「私も一緒に戦うわ。足手まといにはならないつもりよ」
「・・・・・・足手まといとは考えない」

 サイレンでも屈指の実力を持つ七瀬を足手まといと呼べるパイロットは連邦軍にはいないだろう。同じ機体で戦ったら自分でも負けるかもしれないのだ。

「舞、1つ聞いても良い?」
「なに?」
「あいつ、一体何なの?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「自惚れてるって言われるかもしれないけど、私はこれでもNTやシェイドを相手取っても概ね互角に戦えると思ってたわ。なのにあいつは私を振り回してくれた。こんな事ってあるの?」
「あれは、ロスト体。理性を失って破壊衝動に支配された、暴走状態のシェイドなの。その強さは私たちと同等」

 舞の答えに七瀬はなるほどと頷いた。舞たちと互角に戦えるほどの強さなら自分が苦戦させられるのも頷ける話だ。
 舞たちが話している間、司は動かなかった。舞と七瀬を同時に相手取るのが不利だと感じていたのではない。迫り来る別の気配を感じたからだ。
 その気配とは、デュラハンとセルゲイのジム・FBであった。物凄い機動性で迫る2機のジム・FBを憎々しげに見やった。

「ウ・・・ウガアアアァァァァァァ!」

 自分たちに向かって来たヴァルキューレにデュラハンはビームライフルを2回撃ったが、掠りもしなかったことで舌打ちしながらライフルを捨て、ビームサーベルを抜いた。

「軍曹、バックアップ頼むぜ」
「少佐、あれを相手に格闘戦は無茶です!」
「だからって、逃がしてくれると思うかあ?」

 この状況でも皮肉げな口調が消えないデュラハンの余裕にセルゲイは唖然としたが、直ぐに我に返った。デュラハンのジム・FBとヴァルキューレが格闘戦を始めたからだ。

「当たっても文句言わないで下さいよ!」

 セルゲイの放ったビームは高速で動くヴァルキューレを正確に狙っていたが、やはり非常識なまでの機動性と運動性能を持つヴァルキューレを捕らえる事は難しいらしく、そのことごとくが空しく宙を抉るばかりだった。デュラハンもこうなると分かっていたのか特に落胆する事も無かった。
 そのデュラハンだが、接近戦ではなんとヴァルキューレに引けを取らない強さを見せていた。機体性能で負けているからいずれは押しきられるだろうが、それでも凄い事に変わりは無い。もっとも、戦っている当人は喜んでなどいられなかったのだが。

「クソッタレッが、ジム・FBでもで押しきるってかよ!」

 ビームサーベルと右腕の関節が悲鳴を上げている。連続しての高速機動に推進剤タンクの残量計が恐ろしいほどの速さで減っていく。

「ええい、くぞ。シアンの様にはいかんか」

 距離を取りたくてもこう激しく動き回っていてはタイミングを見出すのも難しい。我ながら無謀な事をしたかなと後悔しだした時、ようやく舞と七瀬が加わってきた。ヴァルキューレとジム・FBの間を分かつかのように強力なビームが貫き、両者を強制的に引き剥がしてしまう。デュラハンが離れた所で再び舞がヴァルキューレに斬りかかっていった。

「任せてすまない」
「いや、助かったぜ」

 舞の通信にデュラハンは本気で感謝の意を示していた。舞はそれに答えることなくヴァルキューレに斬りかかっていく。デュラハンは少し下がって機体の状態を確かめながらも、セレスティアとヴァルキューレの戦いを見ていた。

「なんて奴等だ。あれが噂のニュータイプなのか?」

 シェイドの存在を知らないデュラハンは舞と敵パイロットをニュータイプだと考えていた。一年戦争後半において、ニュータイプと思われるパイロットたちが実戦に投入された事は彼も聞いている。特にジオンはとんがり帽子と呼ばれる強力なNT専用MAまで投入してきたという。
 機体の状態を確かめたデュラハンは神を呪いたくなった。もうガタガタなのだ。直ぐにでも母艦にとってかえして整備士に機体を預けなくてはならない。

「駄目だこりゃ。軍曹、俺は母艦に帰る。後は任せるぞ」
「了解、何とかやってみます」

 セルゲイが前に出たのと合わせてデュラハンは下がって行った。すでに制宙権を確保してあるので戦闘宙域から離れれば安全なのだ。


 舞と司の戦いは激化の一途を辿っており、七瀬やセルゲイでも手を出すのが難しくなってきている。北川たちでは付いて来る事さえ出来ないくらいだ。

「こんのおおっ!」

 エクスカリバーVがビームキャノンを叩きこんだが、それは容易く回避されてしまう。未だに一発の有効弾も出せない事に七瀬は自分への苛立ちを押さえきれない。

「くそっ、ちょこまかと動いて!」
「中尉、落ち付いて」

 セルゲイが声をかけるが、逆上気味の七瀬には聞こえていないらしい。再度ビームキャノンをヴァルキューレに向けた。だが、ビームキャノンのトリガーを引くよりも速くパルス間隔の短いビームのシャワーがヴァルキューレに襲いかかった。

「なに、ビームマシンガン?」
「中尉、後方から敵です!」

 セルゲイが機体を翻すが、手を出す前に七瀬が押し止めた。

「待ちなさい!」
「な、何故ですか?」
「私たちを狙ってる訳じゃないわ。理由は知らないけど、同じ目標を狙ってるみたい。それに、あれは・・・・・・」

 見紛うはずも無い。かつて自分が肩を並べて戦った戦友の機体だ。七瀬は通信機を弄ってその機体、イリーズに通信を繋いだ。

「茜、聞こえる?」
「・・・・・・七瀬さん、ですか?」
「ええ、久しぶりね」
「はい、お元気そうでなによりです」
「敵同士がこういう通信してると色々勘ぐられるかもしれないけど、何であんた、味方のMSを撃ってるわけ?」
「・・・・・・シェイドなりの事情があります。それに、あれは私が堕とさなくてはいけないんです」

 茜の声にはなにか、気負っているような色があった。七瀬はそれが気にかかったが、合えて口にはせず、茜に提案をした。

「分かった、茜に任せる」
「すいません」
「いいわよ。でも、あいつを堕としたら、あんたはどうするつもり?」

 七瀬の問い掛けに茜は小さな声で笑った。

「ふふふ、すでに帰る所も無いんです。どうするも何も無いでしょう」
「そう、分かったわ。あんたの身柄は私が預かるから、安心して行ってらっしゃい!」

 七瀬の声援に茜は彼女にしては珍しく微苦笑を浮かべると、ビームマシンガンを軽く上下させて謝意を示した後、舞と司の戦いに加わるべく機体を加速させた。
 後に残された七瀬はもう終わったと考え、ビームキャノンの起動電源を落とした。

「ふう、終わったわね」
「良いんですか、あのMS?」
「ええ、戦いが終わったら投降してくるわよ。あいつは嘘がつけないからね」
「・・・・・・知り合いなんですか?」
「ええ、戦友よ」


 茜の接近は直ぐに舞と司の知るところとなった。両機のレーダーが接近する機影を捕らえ、機種照合でイリーズと出たからだ。

「茜、なんで?」

 あれほどこのヴァルキューレと戦う事を拒んでいた茜がどうしてここに来たのか。

「舞、私に任せてください!」
「茜、出来るの?」

 舞は不安そうに問い掛けた。あれほど躊躇っていたのに、あのパイロットを手にかけることがあなたに出来るの、と思ったのだ。
 だが、茜の答えは舞を驚かせるものだった。

「私がやらなくてはいけないことですから」
「・・・・・・そう。わかった、任せる」

 舞はセレスティアを下がらせた。変わりにイリーズが前に出る。この間、不思議な事に司は全く手を出してこなかったのだが、その理由も茜には何となく分かっていた。無駄かもしれないが、通信を繋いで話しかける。

「待っていてくれたんですね、司」
「・・・・・・・・・・・・・」
「理性を取り戻しているのでしょう。だから手出しをしなかった、違いますか?」
「・・・・・・・・・・・・・」

 司からの返事は無い。だが、茜はじっと待ち続けた。かつて自分が愛した男が、ロストしてなお理性を保っていると信じて。
 そして、随分と長く待たされた気がした後、司の声が通信機から聞こえてきた。

「・・・・・・随分・・・・・・待ったぞ・・・・・・茜」
「すいません、色々迷ってしまいまして」
「良いさ・・・・・・無茶を頼んだと・・・・・・分かってる」

 司の声をは随分と苦しげな物であったが、はっきりと聞き取る事が出来た。

「茜・・・・・・いいか・・・・・・高槻と・・・・・・地球の亡霊に気を付けろ」
「地球の亡霊、何の事です?」
「かつて・・・・・・地球を支配した・・・・・・奴等だ・・・・・・俺達は・・・・・・世界は・・・・・・奴等のおもちゃじゃ・・・・・・ない」
「どういう事です、何が言いたいんですか!?」
「・・・・・・G8だ・・・・・・奴等はG8と呼ばれている」
「G8・・・・・・」

 茜はそれを刻み込むかのようにゆっくりと呟いた。そして、通信機から司のどこか疲れたような声が流れてくる。

「早く・・・・・・撃ってくれないかな・・・・・・辛いんだ」
「・・・・・・・・・・・はい」

 茜はヴァルキューレに向けてイリーズの最強装備であるビームキャノンを向ける。そしてまさにトリガーを引こうとした時、司が話しかけてきた。

「みさきさんに謝っておいてくれないか。すまなかったと」
「・・・・・・・・・・・」

 茜は小さく頷くと、トリガーを引き絞った。右肩のビームキャノンから放たれたビームが正確にヴァルキューレのコクピットを貫き、パイロットを瞬時に焼き尽くしてしまう。それに少し遅れて機体も誘爆の光に飲まれ、消えていった。

「最後くらい、気のきいた事を言ってくれても良いじゃないですか・・・・・・何で最後がみさきさんへの謝罪なんですか・・・・・・馬鹿・・・・・・」

 コンソールに身を預け、茜は涙を見せることなく泣いていた。最後まで自分に面倒をかけさせた不甲斐ない恋人だった男への不満を口から迸らせながら、茜は泣いていたのだ。

 舞と七瀬は動こうとしないイリーズの近くにまで来て、じっとしていた。話しかけるタイミングを逸したというよりも、話しかけてはいけない気がしたのだ。セルゲイのジム・FBが一度連行しようとしたのだが、舞と七瀬に睨まれてすごすごと引き下がっている。相手が中尉という事もあるだろうが、2人とも迂闊な事を言えば殺るという凄みを感じさせたのだ。特に舞はシェイドの持つ独特の殺気さえ滲ませていた。

「ねえ舞、あのヴァルキューレのパイロットって、茜の大切な人だったのかな?」
「・・・・・・かもしれない。あんなにはっきりと感情を見せる茜は初めて見たから」

 付き合いの長い舞ですら、こうも感情を露にする茜を見るのは初めてだ。2人の間に何があったのかは知らないが、落ちつくまで待ってやろうと2人は考えたのだ。公私混同ではあるが、戦いも終わったのだ。このくらいの我侭は現場の判断で許されるだろう。

 

 茜達が決着をつける前に、すでにファマス殿部隊と連邦艦隊の決着はついていた。圧倒的多数の艦隊の攻撃を真正面から受けるしかなかったバウマンは必死に抵抗し、そして撃破されたのだ。
 旗艦ダンケルクの艦橋に仁王立ちになって指示を飛ばしていたバウマンだったが、比喩ではなく1発撃ったら100発返って来るという状況では何が出来るものでもない。バウマンたちのの努力は津波を人の力で止めようとする行為と似て、相手にはほとんど抵抗とはなっていなかった。
 そして、味方が次々に被弾沈没していくなかで、遂に決定的な時が来た。

「直撃、来ます!」
「右5度、回頭、回避!」

 見事な繰艦をみせる艦長の繰艦のおかげでこれまで纏まった被害を受けていなかったダンケルクであったが、遂に敵主砲の直撃を受けた。着弾の衝撃に艦が揺さぶられ、誰もが手近な物に捕まって体を支えなくてはなかった。そしてその衝撃が収まらない内に更なる直撃が艦を揺さぶる。一発食らう度に何人、何十人という単位で部下が死んでいるのは明らかだった。
 バウマンは指揮官用椅子にしがみつきながら悪態をついた。

「くそっ、対ビーム榴散弾はどうした。主砲は弾幕を張るんだ!」
「駄目です、敵の火力が圧倒的過ぎて、防ぎきれません!」

 部下の報告にバウマンは歯噛みしたが、ふと視界に巨大な戦艦を捕らえてわが目を疑った。

「バーミンガム級戦艦だと!?」
「間違いありません、第2艦隊旗艦のエディンバラです!」

 全ての主砲がダンケルクを向いている。艦長が回避と反撃を指示するのを聞きながらバウマンは1人満足げに呟いた。

「クライフ、お前が私に幕を引くのか。それも良いだろう」

 目を閉じ、何かに耐えるように一瞬身震いした後、目を開けたバウマンはその場で最敬礼を施した。
 その直後にエディンバラの主砲がダンケルクの艦橋を直撃し、第3艦隊の幹部もろとも艦橋を吹き飛ばしてしまった。さらに続けての直撃弾が装甲を貫いて主要部分に損害を与えた。
 ダンケルクは立て続けの直撃弾に身悶えし、遂に内側から引き裂かれる様に爆発四散していった。
 このダンケルクの撃沈が戦闘終了の合図となった。生き残った艦とMSは次々に投降を申し出てきた。逃亡を図った艦はたちまち砲撃を集中されて撃沈されている。


 ジ・エッジ会戦は公式にはここで終結している。ファマス艦隊は圧倒的多数の連邦第1連合艦隊を相手に勇戦敢闘し、後生の戦史研究家たちから歴史上最大の宇宙会戦の1つとして記録される事になる。多くの研究者がファマス艦隊指揮官たちの能力を賞賛しており、ファマスの人的資源が連邦に勝っていた事を確たる事実としている。この戦いにおいてファマス艦隊が最終的に惨敗としか言い様の無いほどの大損害を受けているが、これはファマスが戦術的には勝ち続けながらも、連邦に戦略面で敗北したからだと言われている。ファマスはジ・エッジ会戦は終盤近くに至るまでの主導権を握り続け、連邦艦隊に自軍に倍する損害を与えていたのだが、最終的に自軍を二分する事が可能だった連邦艦隊が火星を直撃する動きを見せたことがファマス艦隊の壊走に繋がってしまった。

 投降したファマス艦艇やMSの拿捕や、生存者の救出作業に駆けずり回っている部下たちをバーミンガムの艦橋から眺めながら、リビックは指揮官椅子の背凭れに体を預けた。流石に疲労が体を蝕んでいたのだ。

「ふう、終わったのう」
「はい、ファマス艦隊は壊走しました」
「どれだけ、逃がしたかな?」
「ざっと40隻という所でしょうか」
「そうか。まあ、水瀬の部隊なら問題無いじゃろう」
「私もそう思います、後は任せて大丈夫でしょう」

 リビックもクルムキンも、もう自分たちの戦争は終わったと考えていた。脱出したファマス艦隊が水瀬艦隊を掴まえられるかどうかは微妙なところだが、仮に捕捉されたとしても半数程度の艦隊を相手に秋子が負けるとも思えない。それに、脱出した艦隊は傷付いており、何隻かは確実に落伍するはずだからだ。


 やがて、エイノーのアンソンからリビックに意見具申が来た。

「長官、我が第2連合艦隊はこのまま火星に向かい、ファマス残存艦隊を殲滅いたしたく思います。許可を頂けませんか?」
「じゃが、今からで追いつけるのか?」
「やってみる価値はあると思います」

 エイノーの強気にリビックはしばらく考えていたが、遂に根負けしたかのように頷いた。

「分かった、貴官に任せよう。分かってると思うが」
「降伏させるのが大前提、ですな」

 エイノーは不満そうであったが、軍人気質が強い彼は上官の命令には逆らわない。リビックもそれを知っているからこそ頷いたのだ。
 敬礼を残してエイノーがスクリーンから消えると、リビックはやれやれと参謀長に肩を竦めて見せた。

「エイノーももう少し政治的配慮が出来るようになれば良い提督になれるんだがな」
「中将は生粋の武人です。政治には極力関わらないようにと考える方ですから」
「それは儂も同じじゃろう?」
 
 リビックに問われたクルムキンは少し考える振りをしてから頷いた。

「そうですな。最も、閣下の場合は政治家の方から敬遠されているだけだと思いますが」
「・・・・・・貴官も良い難い事をさらりと言う男じゃのう」

 リビックは渋い顔をしたが、反論はしなかった。連邦軍でも知られた頑固者であり、どの派閥からも敬遠されていたのがリビックなのだ。こういう時代でなければどこかの辺境基地の司令官で退役を迎えていただろう。なんの政治的後ろ盾も無く軍大学も出ていないリビックが宇宙艦隊司令長官まで上り詰められたのは、今が戦乱の時代だからである。もし一年戦争が無ければとうに退役して年金生活をしていたはずだからだ。

 このリビックと対極とも言える存在がジャミトフと秋子だった。ジャミトフは政治的な動きを続け、今や連邦軍統合作戦本部で一大派閥を築きつつある。特に宇宙軍総司令部は名目上はコリニー大将がTOPだったが、実体はジャミトフがTOPとなっている。その為か、リビックを筆頭とする宇宙艦隊司令部と宇宙軍総司令部は水面下で激しく対立しており、意思疎通さえ困難となりつつあるのが現実だ。今やジャミトフはティターンズという私兵集団を擁し、グリーンノア1、2という2つのコロニーを軍事コロニーとして占有し、拠点化するという暴挙まで行っている。
 これに対し、秋子はリビックらを筆頭とする軍穏健派を代表する人物だが、穏健派の代表たるリビックやコーウェンが政治に関わろうとしない愚直な職業軍人であるのに対し、秋子は政界や財界に太いパイプを持ち、その影響力を行使して自分の立場を強化してきたという、ジャミトフと似た面を持っている。ただ、秋子は軍人としての枠から必要以上に外れようとはせず、政界への進出や中央での栄達までは望まなかったという点が異なっている。
 だが、そんな秋子もすでに来るべきティターンズとの対立に備えて足元を固める工作を始めている。もう秋子やジャミトフの頭の中には戦後の新たな青写真が描かれようとしているのだろう。

 

 ジ・エッジ会戦が連邦軍の勝利に終わり、ファマス艦隊が必死になって火星に戻っている頃、秋子率いる火星攻撃部隊はカノン級戦闘空母、アキレウス級戦艦、カウンペンス級軽空母、リアンダー級巡洋艦、ペガサス級強襲揚陸艦、高速輸送艦で編成された強力な打撃部隊である。全てが戦後に建造された新造艦であり、連邦艦としては長い航続距離とMSや航宙機の搭載能力を持っている。
 火星に向けて航行する艦隊は一見すると何の問題もなさそうだったが、実は旗艦であるカノンの中ではある問題が発生していたのだ。

 それは、何の脈絡も無く突然に訪れた。カノン戦闘隊長であるシアン・ビューフォート中佐は何時も通り嫌々ながらも自室で山のような書類を整理していた。もっぱら目を通してサインをするだけなのだが、それでも数が数なので見るだけでめげてくる。しかも、5枚に1枚は始末書なのが性質が悪い。
 加えて、シアンにはもう1つ頭痛の種があった。

「ふんふんふん〜〜〜〜〜♪」

 自分と向かい合うように座って書類整理を手伝ってくれている美女がその頭痛の種であった。何かと自分にアタックをかけてくる千堂瞳少尉だ。彼女が自分に絡んできて郁未がそれを見咎めて喧嘩を始め、仲裁に入った自分が結果として一番貧乏くじを引くというのがここ最近のパターンである。その都度生傷が増えていくのだから堪ったものではなかった。

「・・・・・・・・・・・ああ、千堂少尉」
「はい、何でしょうか?」
「書類整理を手伝ってくれるのは、真にありがたいのだがね」
「はい」
「その・・・・・・自分の仕事は良いのかね?」
「大丈夫です。訓練も終えましたし、書類も残ってはいません」
「・・・・・・・・・・・・・天野中尉を手伝うとか」
「天野中尉は遊んでた沢渡中尉を引き摺って自分の自室に引き篭もってますよ」
「そうか」

 ガックリと項垂れ、シアンはペンを走らせた。どうやらまた生傷を覚悟しなくてはならないらしい。
 だが、そんな覚悟を決めた時、突然部屋にヘープナー中尉が飛び込んできた。

「中佐、大変です!」
「な、何だ、敵襲かっ?」

 椅子から立ちあがったシアンは厳しい顔でヘープナーに問いかけたが、その答えはシアンの意表を付くものであった。

「すぐに医務室に行って下さい。軍医が呼んでいます!」
「先生が、何でまた?」
「さあ、それは俺にも。とにかく、早く行ってください」

 ヘープナーに急かされたシアンは首を捻りながらも外に飛び出した。残された瞳が戸惑いを隠せないままにシアンが飛び出して行った入口を見ている。

「・・・・・・何があったのかしら?」
「俺に聞かれても分からんよ」
「そうよね・・・・・・私も行ってみようかしら」
「好きにすれば良いだろ」

 ヘープナーは面倒はご免だとばかりにさっさと何処かに行ってしまった。瞳と郁未の喧嘩に巻きこまれたら命が無い、というのはカノン隊ではもう疑う事無き真実だ。向う見ずに割って入った祐一が一瞬でボロ雑巾のようになって転がった事はまだ記憶に新しい。

 医務室の前に来たシアンは一言断ってから中に入った。

「先生、何かあったのか?」
「おお、来たか中佐。まあそこに掛けてくれ」

 軍医は1枚のカルテを手にシアンに招き入れ、向かい合うように椅子に座らせた。そのまましばらく軍医は悩んだり考えこんだりとシアンの前で困った様子を見せつけ、やや演出過剰気味にシアンの不安を煽っている。
 やがて、耐え切れなくなったシアンは軍医に問い質した。

「なあ先生、俺に何の用があるんだ。パイロットの誰かが出撃できないような状態だとでも言うのか。俺が呼ばれるんだから、隊長級の奴か?」
「・・・・・・まあ、今回の患者の状態を色々検証した結果、私は出撃を許可できないと決めたんだが、一応中佐にも話を通しておこうと思ってね。中佐個人にも色々と関係のある話だし」
「俺に関係がある?」

 シアンは首を捻った。出撃できないような健康状態のパイロットが自分の部下にいただろうか。自分に関係があるとすると、個人的にも親しい部下だと言うことになるのだが。

「・・・・・・なあ先生、一体誰なんだ?」
「ああ・・・・・・そうだな、隠していても仕方あるまい・・・・・・いいか、落ち付いて聞いてくれ。なんなら精神安定剤を飲むか?」
「・・・・・・まさか、相沢とか天野とか言うんじゃないだろうな」

 シアンは僅かに身を乗り出した。信頼する2人の部下のうち、どちらかでも欠ければ戦力の大幅な低下は避けられないからだ。だが、そうでは無いらしい。軍医は苦笑しながら首を横に振っている。

「いや、違う。天沢少尉だよ」
「・・・・・・郁未に何かあったのかっ?」

 動転していたのだろう、公的な場ではシアンは何時も郁未を天沢少尉と呼んでるのに、郁未と呼んでしまったのだから。
 軍医はシアンの慌てように笑いだしそうになるのを堪えながら事実を伝えた。

「実はだ、彼女の体はもうMSの操縦に耐えられない。前々から忠告していたのだが、本人が中佐の役に立ちたいというので私も仕方なく許可していた。だが、もう許可できない」

 そう前置きして軍医はベッドを隠しているカーテンの仕切りを開いた。ベッドでは確かに郁未が横たわっていた。それを見たシアンはいよいよ焦りの色を濃くしている。

「ほ、本当なのか、郁未は何かの病気なのか!?」
「いや、詳しい事は本人から聞いてほしい。私が言うべきことじゃないだろう」

 軍医はそう言うとシアンに道を譲った。シアンは郁未に駆け寄ると紅い顔をしている郁未に問いかけた。

「郁未、冗談だよな、相沢やキョウや柚木が1枚噛んだ悪い冗談だよな?」

 何故そこで祐一たちの名前が出てくるのだろうか。なんとなくシアンが彼等をどう思っているのかが垣間見れる瞬間である。だが、郁未は力なく頭を左右に振った。

「すいません、もう暫くMSには乗れないみたいなんです」
「そんな・・・・・・何処が悪いんだ。まさか放射線障害か?」

 宇宙空間である以上、常に放射線に晒されている。通常ノーマルスーツはこの放射線を完全に遮断してくれるが、戦闘中ともなれば必ずしもそうとは言いきれない。僅かな破片が容易にノーマルスーツを切り裂き、そこから放射線を浴びる可能性はあるのだ。
 だが、郁未は心配するシアンに不思議そうな視線を向けていた。

「あの、何で私が放射線障害なんて重症を負わなくちゃいけないんですか?」
「へっ?」
「私を見て分かりませんか?」

 言われてシアンは改めて郁未を良く見た。確かに命に関わるような病気を患っているにしては計器類も一切取りつけられていないし、薬も見当たらない。強いて言うならやや腹部が張っている事ぐらいだろうか。

「・・・・・・まさか郁未、ここで寝てる理由は食い過ぎか?」

 バキィッッッ!!
 郁未は無言でシアンの顔を殴りつけた。

「私はそんなに食い意地張ってませんし、太ってもいません」
「じゃ、じゃあ、何なんだ。便秘とかじゃなさそうだし」

 郁未はシアンの言葉にやたらと重苦しい溜息をつくと、もう察してもらう気も失せてしまい、正直に話すことにした。

「・・・・・・子供が、出来たんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 シアンは硬直していた。耳から入った言葉が脳で処理できずにフリーズしてしまったのだ。郁未は答えを聞きたいのだが、反面聞くのも怖いというジレンマに立たされており、声をかける事が出来ずにいる。
 だが、待っている郁未も辛いのだが、同じ部屋の中でこの異様な緊張感に叩きこまれている軍医もまた辛かった。何というか、1人でこのむず痒い緊張感に耐えるのは苦行以外の何物でもなかった。

『だ、誰か来ないかな〜〜』

 必死にカルテを読む振りをしながら軍医は誰か道連れが来るのを待ち続けた。そして、その道連れは思いの他早くやってきた。

「すいません、シアン中佐来てますか?」

 瞳だった。どうやらシアンを追ってきたらしい。軍医は慌てて瞳を捕まえるとシアンと郁未から見えない所に連れこんだ。瞳はいきなりの事に抵抗する事さえ出来ずに連れ込まれてしまい、気が付けば口を軍医の右手に塞がれてしまっていた。慌てて大声を出そうとしたが、軍医は声を出すなというジェスチャーをしている。それを見て瞳は小声で問い掛けた。

「な、何をするんですか、先生」
「いいから喋るんじゃないぞ。気付かれたら事だからな」
「はあ?」

 瞳は軍医が何を言っているのか良く分からなかったが、医務室に漂う不可思議な空気には直ぐに気付いた。何でこんなに緊張感が漂っているのだろうか。

「まるで、修羅場みたい」
「似たようなものだな、あれを見てみろ」

 軍医に指し示された所には、ピシリと固まっているシアンと、そんなシアンを不安そうに見詰めている郁未がいる。
「別れ話、じゃなさそうね」
「・・・・・・まあ、少なくとも痴話喧嘩じゃないぞ」

 じっと2人が見守る中で、シアンはようやく再起動した。

「・・・・・・こ、子供?」
「はい」
「お、お、俺の、子か。本当に?」
「・・・・・・ここ1年は中佐としか寝てませんから、間違い無いですよ」

 ちょっとむっとしながらも郁未は答えた。どうやら疑われた事が気にいらないらしいが、まあ普通はそうだろう。シアンの言ったことは女性には決して言ってはいけない事の1つとまで言われている言葉なのだから。
 だが、シアンの言葉の意味はいささか異なっていたらしい。彼は深刻そうな表情を崩すことなく、その内心を口にした。

「まさか、この悪鬼の如しシェイド、その中でも試作品でしかない俺が、子供を授かったというのか」
「・・・・・・シアン・・・・・・」
「・・・・・・考えた事も無かったよ。これまで生きる事に精一杯だったし、余裕が出来てからも子供を作るなんて考えた事も無かった。郁未と付き合いだしてからもそんな事考えなかったな。いや、考えないようにしてたのか」

 シアンは右手で顔を覆った。喜びと戸惑い、罪悪感がない混ざって表現し難い感情を呼び起こしている。郁未はシアンの苦悩が理解できないではなかった。FARGOにおける悲劇も、シアンほどの苦衷を味わった訳ではない郁未ではあったが、それでもシアンが子供を作ることを考えられなかったという理由は理解できた。ジオンの、いや、FARGOの追跡を恐れ、逃げ続けねばならなかった日々を思えばとてもそんな事を考える余裕は無かったに違いない。自分は終戦間際のごたごたに紛れて逃げ出したし、久瀬中将の庇護下にいたのでそれほど身の危険を感じた訳ではなかったが、それでも不安に振るえる日々を過ごした事は間違いないのだから。
 だが、かくいう郁未自身もかつてない不安に囚われていた。もしシアンに拒絶されたらどうしようという恐怖に囚われていたのだ。

『ここで拒絶されたら、私って未婚の母ってことに・・・・・・そんなのはドラマの中だけにして欲しいな〜、て、栞や由衣じゃあるまいし、んな馬鹿な事考えてる場合じゃないわよ』

 いや、まだ結構余裕がありそうだ。
 
 だが、郁未の心配は懸念だったらしい。ようやく自分の気持ちを整理したのだろう、シアンは顔を上げると嬉しそうに何度も頷いた。

「それじゃあ仕方ないな、郁未はここでゆっくり寝ててくれ。なあに、主力のいない火星なんか簡単に陥としてみせるって」
「それじゃあ」
「俺が父親か・・・・・・まあ、それも良いんじゃないかっておもうよ、うん」

 シアンの答えを聞いて、郁未は頬を紅く染めたが、直ぐに瞳からポロポロと涙をこぼし始めた。

「あ、あれ、おかしいな、嬉しい筈なのに、あははは、ははは、は・・・・・・」

 泣き笑い顔で嬉しさと戸惑いをみせる郁未を、シアンは力強く抱きしめた。

「この作戦が終わったら、俺は後方に下がる事にする。どこかの基地で教官なり部隊長なりに転属を願い出る」
「・・・・・・・・・・・・」
「地球に下りればFARGO残党の追跡も無いだろうし、宇宙よりは安全だと思う。そこでのんびりと暮すのも悪くないさ」
「・・・・・・はい」

 じっと抱き合うシアンと郁未。それを覗き見していた軍医と瞳はそっと部屋を後にした。

「やれやれ、暫く入室禁止だな」
「作戦行動中に妊娠だなんて、天沢さんは何を考えてるのかしら」
「まあ、軍規に照らせば懲罰ものだが、火星も間近だ。水瀬提督のことだから、功績次第で減刑とか言い出すんじゃないか」
「・・・・・・・・・・・」

 反論する事が出来ず、瞳は不満そうに口篭もりながらも引き下がった。シアンの事になるととかく熱心な彼女にしては珍しいと軍医は思ったが、特に口に出すことはなく、医務室の入口で暫く番をする事にしていた。
 軍医は気付いていなかったが、この時、瞳はショックに打ちのめされていたのである。千堂瞳、恋に破れた瞬間であった。

 

 瞳の妊娠は秋子に伝えられ、秋子はシアンを会議室に直接呼び出してどういう事かを問い質した。シアンはすでに覚悟を決めていたのか、淀み無く答えている。

「申し訳ありません。時期を考えますと、どうやら2月頃にできてしまったようです」
「・・・・・・責任は取るんでしょうね?」
「勿論であります。軍規違反についても言い訳をするつもりはありません。処罰は覚悟しています」

 堂々としたシアンの態度に秋子は「はあ」と溜息を吐き、右手で頭を押さえた。

「作戦を目前にして中佐を外せる訳が無いでしょう。軍規違反に付いては功績次第で不問とします。郁未さんの為にも全力で頑張ってもらいますよ」
「はっ、寛大な処分、ありがとうございます」

 シアンは感謝の意味を込めて敬礼をした。秋子はそんなものにどういう感情も持たなかった。むしろ別の事に興味があるようだった。

「ところで中佐、話は変わりますが、結婚式はどうするつもりなんです?」
「・・・・・・はっ?」
「ですから結婚式です。機動艦隊の戦闘隊長ともなればそれなりの地位ですからね。当然私は出席するとして、祐一さんたちも出たがるでしょうね」
「あの、提督?」

 1人で勝手に話を勧めていく秋子にシアンは言い知れぬ不安を覚えた。

「一体何を企んでるんです、提督?」
「あら、シアンさんは私が悪巧みをするように見えますか」
「はい」

 はっきりとシアンは言いきった。言いきられた秋子は怒るどころかますます笑顔を危険なものへと変えてゆく。

「うふふふ、結婚式の準備は任せておいてください。頑張って盛り上げて見せますから」
「頼みますからそういう事しないで下さい。自分も郁未も披露宴はやめようかって話てたんですから」

 秋子の悪戯気たっぷりな笑顔にシアンは拝み倒さんばかりに頼みつづけた。もし秋子の思うがままに任せたらどんな事になるか知れたものではない。秋子はそんなシアンの反応を楽しみながらあれこれと意地悪な事を言い続けるのであった。

 


後書き
ジム改 もう直ぐファマス編も終わりだなあ。いよいよ火星だよ。
栞   私の最後の活躍はあるんでしょうね?
ジム改 し、栞さん、なんでお姉さんみたいなものを右手に嵌めてらっしゃるんでしょうか?
栞   決まってます。私の出番を奪おうんなんて考える不届きな作者に天誅を加える為です。
ジム改 ま、まだ君の出番が無いと決まった訳ではないのだが。
栞   そう言われて期待することもう幾度目でしょうか。いいかげん騙されませんよ!
ジム改 ま、まて、約束する、次はきっと君の出番を作るぞ。
栞   またボケ役とか、引き立て役じゃなくですか?
ジム改 うむ、任せておきたまえ。
栞   ・・・・・・良いでしょう、最後のチャンスを上げます。

栞、カイザーナックルをしまって立ち去って行く。

ジム改 ふう、ええと、相方に恵まれない時はどうするんだっけか。

ジム改、タウンページを手に新しい相方を捜しはじめる。

 

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