第101章  平和は過ぎ去った




 プラント内には様々な勢力がある。大きく分けても穏健派と強行派があり、その中でも更に様々な派閥に分かれていて、全体を統率するのは容易ではない。それをやっていたのが先代議長のパトリックや先々代のシーゲルであり、現議長のエザリアだ。しかし、エザリア政権の支持はパトリックやシーゲルに較べるとかなり低く、プラント内にはパトリックやシーゲルが率いていた時代を懐かしむ声が日増しに強くなっている。
 そう、若者が根こそぎ戦場に行ってしまい、とうとう子供たちまでが戦場に出れるようになったというこの現実を見れば、誰もが戦況が芳しくないという事を理解できるものだ。帰ってこない息子や父親、帰ってこなかった恋人に涙を流す。そんな事が日常茶飯事になってきている。最近の連合の巻き返しにザフトは劣勢を強いられており、もうかつてのような圧倒的な戦力で戦場を支配するなどという事は出来なくなった事で、プラントの市民は戦争の現実をようやく思い知るようになったのだ。
 このままではプラントから若者が居なくなってしまう、という恐怖がゆっくりと広がるに連れて、プラントの市民には厭戦気分が広がりだしていた。これ以上戦ってどうするというのか。このままではプラントには女と子供、老人しか居なくなってしまう。パトリックほどの力強さを持たないエザリアでは、市民の不安を押さえ切れなかったのである。
 そして、このプラント市民の厭戦気分の高まりが彼女に味方する事となる。そう、パトリック暗殺の嫌疑をかけられ、反逆罪で追われる身となっているラクス・クラインにだ。ラクスはフリーダム強奪事件以来ずっと地下活動に専念し、プラント内に地球連合との早期講和を呼びかけていた。コーディネイターは進化した人類などではなく、むしろ子孫を残せない歪な存在だと訴え、ナチュラルの中に回帰して未来を作るべきだと唱え続けてきた。
 プラント市民は最初はこの呼び掛けに耳を傾けなかった。パトリック政権の頃は勝っていたので、なんでこちらから講和など持ちかけるのだと嘲笑い、相手にしていなかった。しかし、それもパナマ戦が終わった辺りから雲行きが怪しくなった。これまで巧みな情報統制と市民の圧倒的な支持によって戦況が少しずつ悪化しているという現実を隠してきたパトリックだったが、エザリアは彼ほど巧みではなかった。それどころか内部情報が何者かによって意図的に市民にリークされた疑いさえ出ているのだ。
 この情勢の悪化を知ったプラント市民の心情は、少しずつ主戦論から講和論へと傾いていき、ラクスに期待する市民が増えだしたのである。それはプラント内にラクスへの協力者が増える事を意味していた。


 司法局が必死に捜索しているラクス・クラインであったが、彼女は今、首都であるアプリリウス1の中にある、郊外の民家から闇に紛れ易い外套を羽織って外に出てこようとしていた。隣には私服のダコスタが付き、周囲を数人の護衛が固めている。

「ラクス様、次の潜伏場所に移動します。お早く車へ」
「はい、ダコスタさん」

 焦りを見せるダコスタに頷いたラクスは、その場で玄関を振り返った。そこにはこの家の主である40代半ばの夫婦が居る。

「滞在させて頂き、ありがとうございました」

 ラクスは夫婦の好意でこの家に5日ほど滞在させてもらっていたのだ。ラクスに頭を下げられた夫婦は慌ててしまった。

「いえ、私たちこそ5日しかお泊め出来ず、申し訳ないと」
「5日で十分です。私は追われる身ですから」

 そう言って微笑むラクス。夫婦はもう一度謝ると、ラクスに戦争を終わらせて欲しいと頼んできた。

「ラクス様、私たちは貴女を信じています。どうか、息子の死を無駄にせんでやってください」
「はい、必ず連合と講和を結び、この戦争を終わらせてみせます。これ以上戦えば、プラントが滅ぼされてしまいますから」

 プラントが滅ぼされてしまう。それは先の連合の艦隊の奇襲攻撃を受けてユニウス3が完全破壊されたことで俄かに現実味を帯びてきた。それはもう冗談で済まされる事ではなく、確実に訪れる未来かもしれないのだ。
 夫婦にもう一度笑顔で別れを告げたラクスはダコスタに促されて車に乗り込み、夜の闇へと走り出した。後部座席でフードを下ろし、フウッと息を吐く。

「ダコスタさん、次の潜伏場所は何処ですか?」
「24区のエルストリー通りの裏手です。そこのアパートの地下にアジトが完成しています」
「メンデルの方はどうです?」
「既にサルベージした艦艇が5隻、稼動状態になっております。傭兵や義勇兵も順調に集っておりますし、来月には作戦行動が可能になるかと思います。ウズミ様からの物資も届くようになりましたので、一息つけています」
「そうですか、ウズミ様には感謝しないといけませんね」

 ラクスたちにとって最大の問題は物資だ。戦力は揃えることが出来ても物資が無ければ直ぐに干上がってしまう。それでは意味が無いのだ。
 現在のラクスの元には義勇兵という形で各地から集めた人間の他に、マルキオのツテで集められた傭兵や元軍人などで戦闘部隊が編成されようとしている。特に地上では敗残兵がザフトを見限って潜伏する事があり、彼等に声をかけてこちら側に引き込む事も行っている。

「できれば、ザフト正規部隊を味方に引き入れたいのですが」
「流石にそれは難しいかと。隊長ともなりますと、ザフトを裏切る行為に抵抗を覚えるでしょうし」
「ですが、寄せ集めの部隊で戦えますか?」
「現在の戦力ではゲリラ戦が精々です。正面きっての勝負は不可能でしょう」
「そうですか……」

 残念そうにラクスは呟いた。プラントを救う為には軍事力も必要だと考えている彼女にとって、戦力が整わないというのはかなり苦しい。せめて正規の部隊が1つでも加わってくれればかなりの戦力アップとなるのだが。

「今更ですが、正規軍というのがどれほど強力なのか、思い知らされます」
「それはそうです。正規軍は長い時間をかけて強力な戦闘集団となるように整備されていますから。正規軍を烏合の衆で倒すというのは、並大抵このことではありません」

 ダコスタも軍人である。彼にしてみれば、こんな傭兵や敗残兵、義勇兵の寄せ集めの部隊で何処までやれるのかという不安がある。正規軍とは軍隊として戦えるよう鍛えられているだけに、個人として強い傭兵や、訓練も出来てない義勇兵では対抗できないからだ。単純に数を揃えただけでは戦力とは数えられない。
 更にもう1つの問題として、指揮官が居ない事があげられる。バルドフェルドが自分の武人としての美学に走ってキラと戦い戦死してくれた代償はかなり高く付いている。バルドフェルド級の指揮官といえばザフトでも限られているので、それらをスカウトするのは不可能に近いだろう。

 しかしやらなくてはいけない。既に自分達はルビコン川を渡っているのであり、もう戻る道は残されていないのだから。






 カーペンタリア基地に1機の宇宙往還シャトルが降りてきた。そこから降りてきた人物こそ、エザリア・ジュールに左遷されて中央から遠ざけられた男、ラウ・ル・クルーゼである。彼はオーブ攻略作戦の指揮を取るように命じられてここに送られ、今回ではオーブ攻略に参加する部隊の全てをまとめる事となる。
 だが、それを出迎えたカーペンタリアの高官たちの視線は非好意的なものであった。クルーゼは敵だけでなく、味方からも忌み嫌われる存在なのだ。これまではその反感を戦績とパトリックの信頼厚いという事が押さえ込んでいたのだが、エザリアとの対立が噂されるに連れて彼に対する恐れは鳴りを潜め、代わりに敵意と軽蔑が表に出てきている。
 もっとも、そんな事を気にするようなクルーゼではない。彼にしてみればここにいる指揮官達は全て駒であり、命令にさえ従うなら自分を嫌っていようとどうでも良いのだ。
 早速カーペンタリア司令部に入ったクルーゼは、そこで集った司令官達にとんでもないことを伝えてきた。

「3日後の攻撃開始ですと!?」

 集った隊長の1人がクルーゼの命令に驚きの声を上げる。それは無理難題というレベルの話ではなかった。

「その通りだ。今頃プラントからは降下部隊を載せた艦隊が出撃準備をしているだろう。我々は全力を挙げてオーブを一撃の下に叩き潰し、奪われたフリーダムとNJCを完全に葬り去るのだ」
「で、ですが、3日後となりますと、オーブに与えた回答期限の僅か2日後ですぞ。まさか、拒否された直後に最後通牒を送るつもりですか!?」
「その通りだ。本国も最初からその覚悟で動いていたのだからな」

 クルーゼの回答にその場にいた隊長たちが騒然となった。まさか、本国は最初からオーブを潰す気でいたというのだろうか。
 この隊長たちの動揺にたいして、クルーゼは本国側の新たな戦略を提示して見せた。

「今回のオーブの攻略は、エザリア議長が示された新たな戦略に基づく物なのだ」
「と、言われますと?」
「最高評議会はウロボロスに変わる新戦略として、青い巣、オペレーション・ブルーネストを発動させたのだ。これはナチュラルを地球に封じ込め、宇宙に出させない事を目的とした作戦だ」
「ブルーネスト? 宇宙に出させない?」
「そう、その為にはナチュラル側に残っているマスドライバー、ポルタ・パナマとカグヤ、そしてギガフロートとかいう海上移動式、この3つの大型マスドライバーを破壊しなくてはならない。幸い、カグヤはオーブが自ら破滅の道を歩んでくれたおかげで破壊が可能になったがね」

 このオーブ侵攻の本当の目的はカグヤの破壊にある。そう伝えられた隊長たちは顔を見合わせて本国の動きのおかしさを語り合っていたが、そんな隊長たちにクルーゼは話を続けた。

「残念ながらパナマの破壊はもう不可能だ。そこで、本国は地球上の他の全ての大型マスドライバーを破壊し、パナマから上がってくる敵を総力を集めて叩き続けるという態勢を作りあげてプラントを守る事にしたのだ。このブルーネストが達成されれば月基地も干上がり、プラントが攻撃を受ける可能性は無くなる」
「プラントを守る為にオーブを叩くと?」
「その通りだ。本国は先の第8艦隊の奇襲攻撃のような事態を起こしてはならないと考えている。その為に考えられたのが、ブルーネストなのだよ」

 プラントを守る為にナチュラルを地球に封じ込める。それはこの戦争が始まった当初、考えられていた戦略プランの1つだ。結局はウロボロスが採用されるに至ったのだが、その作戦では地球に侵攻する事はせず、月を攻略後は地球の周辺に艦隊を常時配置し、上がってくる地球軍を一方的に撃ち降ろして宇宙に出てこさせないという戦略であった。
 現在の残存戦力ではこの作戦をそのまま採用する事は不可能だが、それを手直ししたのがブルーネストだ。ナチュラルを地球という青い巣に押し込め、宇宙を自分達が支配するというこの戦略は、成功すれば確かに状況をひっくり返せるかもしれない。

 プラントを守れるというならば、という空気が流れる中で、ジュディがクルーゼに質問をしてきた。

「クルーゼ司令、1つ質問があるのですが」
「何かな、ジュディ・アンヌマリー?」
「今回のオーブ攻略作戦において、最重要目標はカグヤとフリーダムと考えて宜しいのでしょうか。攻撃目標はオノゴロ島とカグヤに集中するのですか?」
「その予定だがね。どうなるかはオーブ軍の対応次第だろう」

 相手の出方によっては他の島も攻撃対象となりえる、その事を暗に示唆するクルーゼに、ジュディは露骨に顔を顰めて見せた。だがオーブ軍が市街戦に引き摺り込む覚悟を固めていれば嫌でも全ての島が戦場となってしまう。結局は向こうの出方次第というクルーゼの言い分は正しいのだ。それが分かるだけにジュディは一層の腹立たしさを感じてしまうのだが。




 このクルーゼの到着を、アスランは自分たちのプレハブでカーペンタリアの係員から連絡を受けることで知った。

「クルーゼ隊長が、カーペンタリアに来た? 随分と早いな」
「クルーゼ隊長は本日の午後、14:00に其方に伺うそうです」
「了解した」

 それで通信は終わったが、アスランはデスクに頬杖を付いて憂鬱そうな息を漏らした。

「まさかクルーゼ隊長が指揮官とはな」
「何か、不安でも?」

 一緒に執務室で先のダーウィン救援に使った物資の試算をしていたエルフィが顔を上げてどうかしたのかとアスランに問う。

「ああ、クルーゼ隊長は民間人が巻き込まれる事をまるで気にしない人だからな。特にオーブは人口密度の高い国だし、どれだけの犠牲が出るかと思って」
「そうですね。せめて市街戦をしなければ良いんですけど、あそこは軍事基地が集中しているオノゴロ島にも街がありましたし」
「オノゴロ島への攻撃は避けられない。最悪、数万人の犠牲が出る事になる」

 オーブは確かに豊かな国だが、その国土は狭い。発展した国内には高層ビルが立ち並んでいるが、それは狭い国土にひしめくように立っていて、海岸線にはみ出すような有様だ。これは攻撃を受けたらひとたまりもないことを意味している。そんな国でもしクルーゼが相手の被害を一切無視した無差別攻撃を加えるような事があれば、オーブの犠牲者の数は数万人では済むまい。
 よりした書類の角をデスクの上で整えると、アスランはまた大きな溜息を漏らした。

「オーブがフリーダムをキラを引き渡してくれるのが最善なんだがな」
「ザラ隊長……」

 分かっているのだ、もうオーブ戦は避けられないという事は。だが、別に戦争をしたくてやっているわけではないアスランは、この攻撃にはどうしても不満が募ってしまっていた。
 そんなアスランを見かねたのか、エルフィは席から立ち上がると、備え付けのポットでティーパックの紅茶を作り、軽く蒸してからアスランの前に差し入れてやった。

「はい隊長、これでも飲んで落ち着いてください」
「あ、ああ、すまないな」

 すっかり落ち込んでしまっていたアスランは、エルフィの淹れてくれた紅茶を口にして、ホッと一息ついた。

「相変わらず、エルフィの淹れ方は名人芸だな」
「お褒めいただき光栄です」

 アスランの言葉にエルフィは笑顔を作っていた。アスランがこうやって笑うのを見るのがエルフィの数少ない楽しみなのだから。
 





 ラバウルのドックで傷を癒すドミニオンの傍で、キースが暢気に鼻歌を歌いながら釣竿を出していた。こんな時は艦載機のパイロットなど暇なものなので、こうして退屈凌ぎをしている。
 そんな事をしていると、いきなり横からステラが現れてひょいっと海中を覗き込んでいた。

「何してるの?」
「魚釣りだよ」
「お魚さん?」

 魚と聞いたステラが目を輝かせている。何がそんなに楽しいのだろうかと思ったキースだったが、ステラが竿に手を出してきたので少し驚いた。

「ねえ、ステラにもやらせて」
「やらせてって、使い方が分かるのか?」
「教えて」
「……ああ、はいはい」

 こうはっきりと言われると何だか毒気が抜かれてしまう。キースは苦笑して頷くと、ステラに竿を渡して自分用に別の竿を用意する事にした。

「ところでステラ、艦長のとこに居なくても良いのか?」
「いいの、今日はこれからお仕事だから、自由にして良いって言ってた」
「そっか、艦長は大変だな」

 実はステラは暫くドミニオンに預けられていたのだ。理由は色々あるが、表向きにはステラにナタルが教育を施す為となっている。だが、その裏にはアークエンジェルでの様々な悪影響からまだ子供子供しているステラを守る為だったりする。
 新しい仕掛けを取り出して準備をするキース。その隣でわくわくした様子で竿を握っているステラに、キースは楽しいかと聞いてみた。

「ステラは、今楽しいか?」
「うん、楽しいよ」

 満面の笑顔でそう答えてきたステラ。それを聞いたキースもくすりと笑みを零し、自分も竿を海に出した。






 クルーゼがオーブ攻略作戦を発動した頃、オーブではフリーダムとキラを引き渡すか否かの最後の話し合いが行われていた。これに関してはウズミを初めとする主流派が一貫して拒否の姿勢を見せており、彼等に対して戦争回避を最優先する首長たちがプラント側の要求を受け入れるよう求めている。

「ウズミ殿、何故たかがMS1機とパイロットの為にオーブを危険に晒さなくてはいけないのですか!?」
「一度要求を呑めば、向こうは更に要求を突きつけてくる事になる。前例を作るわけにはいかんのだ!」
 
 オーブはこの戦争に関与しない。少なくとも表向きにはこの姿勢をこれまで頑なに貫いてきた。そのオーブの強硬な姿勢がこれまで他国の干渉を防ぐ壁だったのだ。オーブは何を言っても聞くことは無い、そう思わせる事がオーブの基本戦略だった。
 しかし、周囲の情勢の変化がオーブに中立を保つ事を難しくしていった。連合の矛先は遂に大洋州連合に向けられ、オーブの周辺が戦場になりだしたのだ。こうなるとオーブは連合から見れば大洋州連合攻略の橋頭堡となりえるし、大洋州連合からは防御拠点として使える位置にあるので、双方から味方に付けという圧力をかけられるようになった。
 だが、これまでオーブはこの要求を拒否し続けてきた。これまで戦争には絶対に協力しないという姿勢を貫いてきた為か、双方ともオーブの意思を変えるのは容易ではないだろうと最初から見越していたようで、交渉は半ば定期行事のようになっていたが。
 その意味では今回のプラントの要求もはねつければ良いとするウズミの判断はおかしな物ではない。そもそもオーブのフリーダムとキラに関する扱いは亡命者を受け入れたという形なのだから、オーブにはキラを保護する義務がある。
 更にウズミはラクスにフリーダムを送る約束をしているので、プラントに返すのはこれに反する事になるのだ。この世界を救えるのはラクスたちSEEDを持つ者だと信じるウズミにとっては、彼女たちの希望は可能な限りかなえてやりたい。しかし、現実問題としてザフトの脅威はカーペンタリアというすぐ傍にあるのだ。

「もしここで奴等の要求を呑めば、次は更にエスカレートした要求を突きつけてくる。何があろうとこちらから折れてはならん!」
「では、プラントの要求はどうするのですか。拒否を伝えるのですか?」
「そうだ。彼は亡命者であり、我が国はそれを受け入れた以上、彼を保護する義務がある!」

 何処までも強気なウズミに、その場に居る全員が黙り込んでしまった。事実上の最高権力者であるウズミに逆らえる者は居ないのだ。5大首長制とはいっても、実際にはアスハ家が代々代表首長の座を世襲しているというオーブではアスハ家の声が国の声となるのだから。






 オーブ軍基地では、昨日できなかったキラとフレイの模擬戦が行われていた。カガリやキサカ、ユウナも含めたギャラリーの中で、2機のM1が激しくぶつかっている。その戦いは見ているオーブ軍のパイロット達から顔色を失くさせるに十分なほどのインパクトを持っていた。何しろ、時々どう動いたのかが分からないのだから。

「流石はキラだな。相変わらず良い腕だ」
「良い腕っていうか、あれは化物じゃないのか、カガリ?」

 桁違いの技量を見せ付ける2機のM1にユウナは唖然としている。これまでも幾度かM1隊の訓練は目にしていたし、映像などでザフトMSの動きも見てきたユウナだが、目の前の戦いはレベルが違うとしか言いようがない。この2機を相手にするだけでM1隊は全滅させられるのではないか、という気さえしてくる強さだ。
 ユウナが2人の動きを見て化物呼ばわりするのも無理はないとカガリは思っていた。自分とてあのキラの凄まじさには恐怖したのだから、実戦の経験がないユウナでは仕方があるまい。
 カガリの見ている前でキラはM1を3歩下がらせ、フレイが振ったサーベルの切っ先に空を切らせる。その直後に前に出たキラだったが、1歩踏み出した所で無理やり機体を横に流した。その直後にペイント弾がそれまでキラがいた場所を貫いていく。いつの間にかフレイはライフルを左手に持ち替えていたのだ。
 キラが横に逃げたのを見てフレイは距離を取ろうと後ろに下がる。踏み込まれたら自分ではキラとは戦えないと分かっているからだ。距離を取られたキラは舌打ちして自分も一度距離を取って仕切りなおす。

「完全に手の内を読まれてる。何度も戦ってるから仕方ないんだけど、これじゃ千日手だ」

 射撃戦を得意とするフレイは、格闘戦ではキラに歯が立たないことを知っているので容易に懐に入らせてくれない。入れてもさっきのように牽制を入れられて距離を取られてしまう。こと戦い方に関しては自分よりフレイのが上じゃないのかと思えるほど、フレイの戦いの組み立ては上手くなっていた。

「オーブに来てずっと教官をやってたって言うから、考えて戦うのが上手くなったのかな」

 それはそれで厄介な事だが、これではどうしようもない。また隙を作るためにお互いに牽制を加えあうしかないではないか。


 速さで勝るキラの攻撃をフレイが何故か上手く捌いている。それは見ているオーブパイロットには理解できない事だったが、これはナチュラルのエースならば身に付けている能力であった。身体能力ではコーディネイターになかなか及ばないので、スピードで勝つのは難しい。
 ならばどうすれば良いかとなると、何か1つでコーディネイターに勝るしかないのだ。キースやトールなどがこのタイプになる。対してフラガやフレイなどは戦闘技術で勝負する。空間認識能力による異常なまでの認識範囲の広さと反応速度、勘の良さを生かして相手の動きを先読みして戦いを組み立てていくのだ。
 まあ、中にはアルフレットのような、コーディネイター並の速さで動けて空間認識能力も持っているという人類の規格外も居るのだが。

 暫くぶつかっていたキラとフレイだったが、遂にキラがフレイの懐に踏み込み、フレイが回避しようとした所を素早く足払いを入れて態勢を崩して勝負が付いた。コンクリートの上に尻餅をついたフレイのM1に容赦なく模擬サーベルを突きつけ、キラが決着が付いたと笑って伝える。

「はい、僕の勝ちだね」
「いったああああい、何よ、足引っ掛けるなんて卑怯よキラ!」
「勝負に卑怯はないよ、フレイ」
「くううううう」

 完全にやり込められて、フレイは悔しそうな唸り声を上げていた。


 これで模擬戦は終わりだったのだが、周囲のギャラリーはカガリとキサカを除けば皆声を無くしてしまっていた。キラの実力も凄まじいが、フレイも自分達相手では見せた事のないような動きを見せている。これまで自分達相手では手加減していたという事なのだろうか。

「す、凄いや……」
「つよーい、かっこいいー!」

 シンが呆然と呟き、兄に我侭言ってここまで付いてきたマユが歓声を上げている。まあ目の前で超一流同士の模擬戦を見られたのだから、傍目にはカッコよく見えたかもしれない。だがシンには2人の戦いは信じられないレベルだったのだ。何しろ、コーディネイターの自分でさえ反応できないようなキラの攻撃を、フレイは全て防いで見せたのだから。

「僕が相手の時は、相当に手加減してるってことかよ」

 悔しそうに拳を握り締めて呟く。普通はここまでの実力差を見せ付けられればやる気を失くしそうな物なのだが、シンはむしろ戦意を掻き立てられているらしい。中々に負けず嫌いな面があるようだ。

 だが、そんなシンに更に衝撃を与える事件が起きた。機体から降りてきたキラを見てマユが目を輝かせて兄に質問をぶつけてきたのだ。

「ねえお兄ちゃん、あの人なんていうの?」
「ああ、確かキラ・ヤマトとか言ったかな。カガリ様のやフレイさんの友達らしくて、大西洋連邦のパイロットらしいけど」
「キラさんって言うんだ。カッコいいよねえ」
「なぬっ!?」

 なんだか不穏当な発言をしてくれる妹に、シンは目を見開いて驚愕していた。まさか、マユはああいうのが良いのか。

 機体から降りてきたキラはヘルメットを脱いで額の汗を拭った。手の内を知り尽くされているフレイが相手だとどう上手く戦ってもこちらも疲れきってしまう。それはフレイも同じなのか、同じようにヘルメットを脱いで、鬱陶しそうにポニーに纏めていた髪を解いてしまっている。
 キラはフレイに声をかけようと思ったが、ふと自分に向けられる強烈な視線に気付き、そちらを見てうっと唸ってしまった。そこには何故か知らないが自分に物凄く凶悪な視線を叩きつけてくる少年が居たからだ。



 その時、カーペンタリアでは、ボートの上で網を上げていた2人の男が驚いた表情でオーブのほうを見ていた。

「こ、これは、新たな同志が生まれたのか!?」
「凄い嫉妬のオーラだぜ。オーブのほうだが、何があったんだ?」

 食糧調達係をやらされていたイザークとディアッカは、オーブの方向にいきなり出現した強烈極まりない嫉妬の波動を感じていたりする。嫉妬団にナチュラルもコーディネイターなどという区別は無く、ただ嫉妬の道を追求するという組織である。それは、かなり違う気もするがシーゲルやマルキオの理想である両者が手を取り合っている組織であった。



 訓練を終えたキラとフレイはユウナとキサカから逃げてきたカガリと共に街に出ようとしていたのだが、途中でアサギとジュリ、マユラに掴まってしまっていた。

「カガリ様〜、さっきユウナ様が探してましたよ」
「げ、もうここを嗅ぎ付けてきたか。ジュリ、適当に誤魔化しといてくれ」
「でも、いい加減ユウナ様が不憫なんですけど。これで何回目ですか?」
「もうダースで数えないといけないんじゃないかしら」

 ジュリとアサギはどうやらしょっちゅう逃げ出すカガリを探し回っているユウナにかなり同情しているようだ。これは2人だけでなく、オーブ軍内部に結構広まっている感情でもある。基地内をカガリの名を呼んで歩き回るユウナの姿は、流石に見ていて不憫なのだ。
 だが、マユラは違う意見のようだった。

「まあ仕方ないんじゃない。書類の相手なんてしたくないし」
「おお、マユラも分かるか!」
「分かりますよ。私だって嫌ですから」

 どうやらこの2人は似た物どうしらしい。それを聞いたキラとフレイが苦笑いを浮かべ、アサギとジュリがジトッとした目で2人を見ている。
 そんな事をしていると、基地の正門の方からマユラを呼ぶ男の声が聞こえてきた。誰かと思ってそちらに目をやると、エドワードがこちらに向けて手を振っていた。

「あ、エドワードさんだ」
「ふうん、マユラ、今日はデートだったんだあ」
「な、何よ、悪い?」

 ジュリとアサギに冷やかされたマユラが追い詰められた小動物のような焦りを見せて強がるが、それを聞いたアサギはなんともわざとらしくジュリにしな垂れかかって悲しそうな声を出していた。

「うう、女の友情なんてこんな物よね。男が出来た途端私たちはポイ」
「アサギ、私たちは強く生きようね」

 サメザメと泣いてる振りをする2人にマユラは顔を赤くして文句を喚き散らしているが、不利は免れなかった。そんな事をしているとエドワードがこっちにやってきて、アサギとジュリに軽い調子でどうしたのか聞いてきた。

「な、何か都合が悪かったかな?」
「い〜え、独り者の僻みですよ」
「マユラをお願いしますね〜」

 アサギとジュリは満面の笑顔でマユラをエドワードに預け、気を利かせたようにカガリたちと一緒に吉の外に出て行ってしまった。それを見送ったマユラは腰に手を当てて不機嫌そうに口を尖らせ、エドワードは苦笑いを浮かべている。

「何だか、気を使わせたかな」
「ふん、余計な事して」
「まあそう怒るなよ。良い友達じゃないか」
「そうなんだけどさ」
「ああ、本当に良い人たちだよ」

 エドワードの顔に寂寥感がさす。エドワードは時々こういう寂しそうな顔をする事があり、それがマユラには気にかかっている。

「もう、また変な顔して」
「あ、ああ、悪い」

 叱ってくるアサギに謝った後、エドワードは少し真面目な顔になってアサギに変な事を言ってきた。

「なあ、暫く、どこかに旅行にでも行かないか。国外にさ」
「は、何よそれ。この御時世に何処に行くって言うのよ。何処も戦争中よ」
「……そう、だよな」

 いきなり訳の分からないことを言ってくるエドワードにアサギが呆れた声を返すと、エドワードは酷く残念そうな顔でそう呟いた。どうしてそんな事を言ってくるのか分からないアサギは訝しげな表情をしているが、エドワードは真面目に聞いていたのだ。彼は知っていたから。もうすぐ、ザフトがオーブに攻めてくるという事を。






 街に出た5人はキラに荷物を持たせながら適当にショッピングなどをしていた。この戦時下であってもオーブにはまだ物が溢れている。それはオーブ首脳部の舵取りが成功していることを意味していたのだが、世界はオーブだけの平和を許しておく事はなかった。それを最も肌で感じているのがカガリのような軍人だろう。
 
「なあフレイ、どこかに腕の良いパイロットって居ないかなあ?」
「何よいきなり?」
「最近、オーブ周辺がきな臭いんだ。この間も周辺を警戒してた護衛艦隊がザフトの潜水母艦を近海で発見してるし」
「まさか、ザフトがオーブに攻めてくるって言うの?」
「私にも分からないんだ。でも、お父様達は何かを隠してる。またプラントがうちに圧力をかけてきてるんだと思うけど」
「オーブも大変なのねえ」

 政治の世界なんて考えた事も無かったフレイにしてみれば、カガリたちの苦労など完全に別世界の出来事に聞こえてしまう。自分に関係するとすれば、開戦が決まって戦争になるときくらいだろう。

「あ〜あ、どっかその辺にキラくらいの凄腕が転がってないかなあ」
「あ、あのね」

 無茶苦茶な事を言ってくれるカガリにフレイが呆れ果てた目を向けている。それを受けたカガリが拗ねたように口を尖らせているが、フレイは相手にせずさっさと歩いていってしまった。カガリが文句言いながらその後を追いかけていく。


 そんなカガリたちの後ろを、コナーズ母娘と一緒に荷物を持って歩くユーレクが歩いていた。

「日用品に土木作業用の道具を一揃えか。他所では中々手に入らんのだがな」
「オーブがそれだけ平和で豊だってことでしょ。早く車に乗せて頂戴」
「ああ、分かった」

 エレンに言われてユーレクは乗ってきたボロボロのバンに買い込んだ荷物を積み込んでいく。しかし、その途中でふと手を止めて海の方に目をやった。

「平和、か」
「ん、どうかしたユーレク?」
「……いや、なんでもない」

 そう答えて作業を再開するユーレク。しかし、彼には気になっていた事があったのだ。それはつい数日前に見かけた海上の戦闘の光である。日中だったので周りの人間は誰も気付いていなかったのだが、ユーレクはそれに気付いていたのだ。
 もしかしたら、オーブも戦火に巻き込まれる時が来たのかもしれない。傭兵の勘もそう教えている。しかし……。

「まあ、私には関係の無い事だ」

 オーブが戦火の中に燃え尽きようと自分には関係が無い。弱者は強者に倒されるのみなのだから。そう考えると、ユーレクは作業を再開した。今の彼は、エレンに雇われたガードマン兼雑用なのだから。






 その日の午後になって、特務隊の本部であるプレハブ小屋にジュディが書類を手にやってきた。

「おや、クルーゼ司令はまだなのかい?」
「ええ、まだ来てませんが」

 入ってくるなり質問をぶつけてくるジュディに書類から顔を上げたフィリスが答える。それを聞いたジュディは「そうかい」と答えると、手近な椅子を退いてそれに腰掛けた。

「ふう、しかしここは遠いね。歩いてくると結構時間がかかるよ」
「車で来なかったのですか?」
「車を出すほど遠い訳でもないしね」

 実に難儀な距離だよと笑って答えるジュディに、そんな物かとフィリスが頷いた。
 現在事務所の中にはフィリスのほかにアスランにエルフィとジャック、イザークとミゲル、ルナがいる。ディアッカとレイ、シホはどこかに出かけているようだ。とはいえ大半は仕事ではなく、たんにクルーゼを待っているだけのようなのだが。アスランとエルフィとフィリスはせっせと書類を片付けている。
 そんな室内を見回してジュディがお茶を飲もうとした時、いきなり外からクルーゼの悲鳴が聞こえてきた。

「な、何だこいつら。ええい、寄るな。ぬ、ぬおおおおおおっ!」

 その悲鳴を来たジュディはお茶を飲むのをやめると、悲鳴の聞こえる方を見た。

「……なんだい?」
「クルーゼ司令のようですが」
「羽音もするな」

 何かと思って外に出てみると、クルーゼがデボたちの集中攻撃に晒されてボロボロにされていた。

「ク、クルーゼ司令がデボたちに襲われてる!?」
「よし、今だやっちまえ」
「こ、こらミグカリバー、その人は違うんだってば!」

 驚くアスランに妙な応援を入れたミゲル。そしてフィリスが慌てて飛び出してデボたちを追い払って、どうにかクルーゼは一命を取り留めることが出来た。

「す、すいませんクルーゼ司令!」
「な、な、な、何なのだ、あの巨大なスズメの群れは?」

 謝るフィリスにボロボロにされたクルーゼが聞いてくる。それにフィリスが答えると、クルーゼは籠にでも入れておけと言ってプレハブの中へと入っていってしまった。それを見送ったアスランたちは、全員一斉にフィリスがなにやらお叱りタイム中のデボスズメたちを見る。

「な、なあフィリス、デボたちって、人間を襲うほど凶暴だったのか? お前等何時も遊んでただろ?」
「いえ、この子達は人間を襲ったりしませんよ。ただ、私が番犬代わりにならないかと思って、怪しい人を見つけたら追い払えって言ってあったんです」
「それでクルーゼ司令を攻撃したわけか」

 なるほどを頷く一同。だが、その中で一人、ミゲルだけが重要な事に気付いてしまった。

「でもアンヌマリー隊長は普通に入ってきたよな」
「あれ、そういえばそうですね?」 

 言われて見ればとエルフィが声に出してしまう。何でジュディは襲われなかったのだろうか。この疑問に対して、ミゲルがとんでもなく恐ろしい答えを出してくれた。

「つまり、デボたちはアンヌマリー隊長は怪しくないが、クルーゼ司令は怪しいと判断したわけか。結構頭良いんじゃないか、こいつら?」

 感心したようなミゲルの言葉に、アスランたちはもう一度デボスズメたちを見る。まさか、こいつらにはそんな知性があるとでも言うのか?

「ま、まさかなあ」
「スズメにそんな知能は無いよなあ」

 あっはっはと乾いた笑い声を上げるアスランとイザーク。だがミゲルは気付いていた。フィリスに叱られているデボたちの中で、一際大きいボスのミグカリバーがこっちを見て片方の羽をバサバサっと動かしているその動作が、自分達に対するジェスチャーのような行為だと。






 日も傾き、空が僅かに赤く染まってきた頃になって、仕事を片付けたらしいナタルが艦の外に出てきた。そこでキースが釣りをしていると聞いてきて、キースは確かにそこで竿を出していた。ただ、何故かキースはそこで項垂れていて、隣ではステラが楽しそうにはしゃいでいたりする。
 何があったのかと近付いて声をかけてみたが、返ってきた答えはなんとも情けないものであった。

「ねえ艦長、ひょっとして俺、釣りに向いてないのかなあ?」
「はあ?」
「何で、何でステラにまで負けなくちゃいかんのだ……」

 そう、キースはまだアタリすらないのに、隣のステラはもう16匹も釣っているのだ。それを見たナタルは、この人は何を子供相手にムキになっているのだかと呆れた顔をしてしまい、キースを無視してステラに声をかけた。

「ルーシェ、キース大尉と遊んでいたのか?」
「うん、釣り教えてもらってた」
「そうか、よかったな」

 ステラの頭をポンポンと叩いて、ナタルはステラをはさんでキースの反対側に腰を降ろした。そしてそこで背を伸ばし、赤みが射してきた空を見上げる。

「良い風が吹きますね、ここは」
「ああ、良い風に、良い景色だ。赤道付近の夕焼けはエキゾチックで良いよ」

 ゆっくりと赤く染まっていく青空と雲、そして海面。その境界は赤だけでなく青や緑の光も見え、見る者を惚れ惚れさせる景色を作り上げる。それを見たステラは声を無くして見惚れてしまっていた。






 だが、この美しい夕焼けの下では美しさとはまったく無縁の事が起きていた。オーブ首長府の応接室でザフトの領事と会見したホムラは領事に拒否の回答を返したのだが、それを受け取った領事は別段動揺するでもなく、ただホムラに1つの封筒を突きつけてきた。
 それを受け取って目を通したホムラの顔色はみるみる青褪めていく。それとは対照的にプラント領事は余裕の態度を維持しており、この場の主導権がどちらにあるのかをうかがわせている。

「これは、プラントの正式な回答と受けとって宜しいのですかな?」
「勿論です。本国はこの件に関して妥協の余地は一切無いと言っております」

 それを聞かされたホムラは、低い唸り声を上げてもう一度視線を書類に落とした。そこに書かれていた内容は簡単に言えば現政権の即時解散による親政権の誕生、オーブのプラント側に立っての参戦と、プラントの指揮優越権の保障である。これはつまり、オーブにプラントの尖兵となれという事だ。これは他の親プラント国家とは扱いがまるで違うもので、オーブが到底容認できるような内容ではない。つまりプラントは、事実上オーブに宣戦布告をしてきたのだ。




後書き

ジム改 オーブの平和は遂に破られた。
カガリ 戦力何処から持ってくるんだよ!?
ジム改 落ち着きたまえカガリ。
カガリ これが落ち着いていられるか。オーブにどうやってザフトと戦えというんだ!?
ジム改 気合と根性と理念で。
カガリ 精神論で戦争に勝てるかあ!
ジム改 大丈夫だ、きっとキラが蹴散らしてくれる。
カガリ 1機で何が出来るか!
ジム改 むう、自分の尻尾に火が付いたせいか、何時もよりリアリストになっている。
カガリ とにかく、私は急いで傭兵を募集しないと。
ジム改 急いで数を集めるならそれしかないよなあ。
カガリ あああ、でも金がなあい!
ジム改 やれやれ、それでは次回、出撃準備に入るカーペンタリア、この事態になってようやく現状を知らされたカガリが烈火の如き怒りを見せてウズミに抗議する。戦争が間近に迫ったことを未だに知らされない市民たち。そしてプラントがオーブに事実上の宣戦布告を行ったことを知ったマリューたちは。次回「風が吹く時」でお会いしましょう。


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