第127章 光と闇と


 

 オーブにある難民区。そこは各地から流れてきた戦争難民達が身を寄せ合って暮らしているスラム街であったが、現在ではかなり危険な状況となっていた。何しろザフトの攻撃から逃れてきた人々だ。当然ザフトへの反感は凄く、各地で起きるザフト兵士襲撃事件の何割かはここの住人だと言われている。当然ザフトの監視の目は厳しく、武装した兵士たちが巡回している有様だ。
 そんな場所なので生活物資の配給は滞りがちであったのだが、この事態を重く見たホムラが旧オーブ軍の士官たちに志願を求めて物資を配るチームを編成したのだが、フレイはこれに加わっていたのだ。定期的にオーブ政府のマークが入ったトラックが装甲車に護衛されてやって来て、難民区の自治組織と協力して物資を配っている。
 今回もいつもと同じ仕事になる筈であった。フレイは物資のリストを自治会の幹部に渡し、幾つかの質疑応答をして話をまとめていた。

「では、今回の配給物資の搬出をお願いします」
「分かりました、すぐに取り掛からせましょう」

 初老の幹部がフレイの求めに頷いて部下に指示を出しに行く。それを見送ったフレイはやれやれと大きく息を吐き、ボードに視線を落とした。

「これっぽっちの物資じゃ焼け石に水よね。戦争する前の援助より少なくなって、全員に行き渡るわけが無い」

 元々ここの生活を支えていたのはブルーコスモスの支援が中心だった。オーブ政府は一応保護してはいたのだが、事実上厄介者として扱っていたから。まあ難民を歓迎するような国があるわけが無いので、オーブが非情だというわけではない。アズラエルが自分の家に滞在中に幾度かここを訪れていた事を知ったのは、彼女がここに配給に来るようになってからだ。
 そのブルーコスモスの支援も戦争と共に打ち切られた。いや、ルートが断ち切られたのだ。支援をしていたブルーコスモスのメンバー達は戦争が始まる前に全員がオーブを離れてしまい、難民達は見捨てられた形となった。だがブルーコスモスのメンバーと知られればザフトに処刑されてしまうので、彼等を責める事も出来ない。彼等は彼等なりに頑張っていたのだから。
 現在の難民区は難民たちのリーダーたちが集まって作った自治会によって管理されている。その中にはの歌手として有名なエレン・コナーズもいてやってきたオーブ軍人たちを驚かせていたりする。彼女はブルーコスモスの依頼でここにやってきた後、彼らと一緒に避難はせず、ここに留まっていたらしい。NGO活動は自分の身を守ることが最重要課題という原則を考えれば愚かな行為であるが、難民たちにとっては必要な人である。またブルーコスモスと協力していたオーブ国内のNGOはそのまま支援を継続している。

 とぼとぼとバラックを見て回るフレイは、そこで生活している人たちの生活状況に胸を痛めていた。最悪とも言える衛生状態と劣悪な食事、飲料水さえ満足に得られない状況は悲惨の一言に尽きる。伝染病が発生しないだけまだマシなのだろうか。医者も一応来ているのだが、患者の数に医者が対応し切れない状態だ。薬も全然足りない。おかげで毎日のように何人もの人間が死んでいく。その大半は老人や子供といった弱い人たちだ。
路地で騒いでいる子供達を避けて脇道に入ったフレイは、そこで壁に背中を預けて視線を落としてしまった。これが平時なら自分の財力で支援する事も不可能ではない、まあソアラは猛反対するだろうが。だがそれもこんな状況では支援する事も出来ないのだ。オーブで生産されている物資の多くはザフトに徴発されて宇宙に上げられており、生活が保障されているオーブ国民でさえ生活物資が不足している有様では、幾ら財力があっても意味が無い。買い付ける物資が無いのだから。

「キラ、カガリ、カズィ……早く来てよ」

 オーブに連合の攻撃が迫っている事はフレイも知っているが、それが1日でも早いことをフレイは願っていた。1日でも早ければそれだけ大勢を助ける事が出来る。物資を海外から送ってもらう事も可能になるのだ。悲しいが、オーブの力では彼等を支える事は出来ない。
 滲んできた涙を右手で拭って、フレイは仲間達の所へ戻ろうと壁から背を離したが、その時通路を塞ぐようにザフトの兵士が3人も立っているのを見て、怯えて身を引いてしまった。

「な、何よ、何か用?」
「まあ、用って言や用だな」

 下衆な笑いを口元に浮かべる3人の兵士に、フレイは身の危険を感じて1歩ずつ後ろに下がっていく。だが背後には壁があり、すぐに追い込まれてしまった。

「ちょっと、私はオーブ政府の命令で動いてるのよ。その私に変な事したら、あんた達全員無事じゃすまないのよ!」
「心配すんな、適当に誤魔化せるんだよ」
「こんな辛気臭い所を巡回させられてんだ。これくらいの役得が無いとな」
「こんな所でこんな上玉がうろついてるとは、ついてるよなあ」

 この3人の意図を悟って、フレイはボードをとして両手で身体を抱え込み、その場にへたり込んでしまった。武装したコーディネイター3人を相手に丸腰の自分に抵抗が出来るわけが無い。せめて誰かが通りかかってくれればと思ったが、それも期待できそうには無かった。

「や、やだ、来ないで……」

 近付いてくる3人に怯えきってしまったフレイはガタガタと震えている。MSに乗ればあのアスランさえ苦戦さえるエースでも、生身では15歳の少女なのだ。目の前に迫る身の危険を前にしては怯えて動けなくなるのも無理は無い。
 そして男達の手が伸ばされてきたのを見たフレイは、目を閉じて身体を小さくして大声を出してしまった。

「い、嫌、助けてキラァァ―――!!」

 その悲鳴を上げた直後、男の野太い声で鋭い悲鳴が上がり、何かが叩きつけられるような音が聞こえた。そして自分の身に何も起きないのを感じて、フレイは恐る恐る顔を上げた。すると路地の反対側に1人のツナギを着た、見慣れない金色の髪の男が立っていた。そしてザフト兵士の1人が壁に叩きつけられて伸びている。

「何だお前は!?」
「俺たちに手を出して、ただで済むとは思ってねえよなナチュラル!?」

 残った2人は背中に背負っていたアサルトライフルを構えたが、男は蔑むような目で2人を睨みつけていた。

「……選ばせてやろう、ここで私に殺されるのと、クルーゼに報告されて処刑されるのと、大人しく私の前から消え去るのとどちらを望む?」
「ク、クルーゼ隊長、だと?」

 オーブ占領軍司令官の名前を出された兵士たちは明らかに怯んだ。まさか、こいつはクルーゼの部下なのだろうか。自分と同じコーディネイターの同僚を素手の一撃で昏倒させた事といい、この男もコーディネイターなのだろう。だとすれば、この男はザフトの士官なのかもしれない。クルーゼが色々な連中を抱え込んでいる事は良く知られている。その中には素性さえ知れない者もいるが、総じて優れた能力を持っていることが知られている。
 自分達はひょっとして死刑執行所にサインしようとしているのではないかと理解した兵士たちは、気絶している仲間を抱えて急いでこの場から逃げていってしまった。それを侮蔑の目で見送った男はフレイの方を見る。

「不注意だな、ここで1人にはならない事だ。今のザフトにはああいう輩が多い」
「あ……あの?」

 ツナギを来た男は落ちているボードを拾い上げると、それにざっと目をとした。

「フレイ・アルスターニ尉、物資を運んできたオーブの軍人か」

 そう呟いて、男はおやっという顔になって少し考え込み、そして何かに気付いたような顔をしてフレイをまじまじと見た。

「フレイ・アルスター、そうか、そういえばオーブに居たのだったな」

 そう呟いて、男はカードをフレイに放ると呆然と自分を見上げているフレイに背を向けてさっさと歩き去ってしまった。その背中に声をかけることも出来ずに呆然としたままへたり込んでいたフレイだったが、我に返ると身分証とボードを拾って慌てて通りへと出て左右を見回したが、既にあの男はいなかった。

「お礼、まだ言ってないのに」

 あの男は何者だったのだろうか。クルーゼの名前を出していたし、ザフトの兵士が慌てて逃げて行ったのを見るとザフトの人間だったのかもしれない。礼を言ってなかった事を気にしていたフレイはどうしたものかと考えていたが、ここに来ればまた会うこともあるだろうと思い、その時に改めて言えば良いかと考えて仲間達の所に戻って行った。もう2度と1人にはならないよう注意しようと心に決めながら。





 シンガポールの野外演習場では2機のMSが激突していた。1機は背中に2門の砲を背負ったクライシスで、もう1機はフリーダム。アルフレットとキラが模擬戦で衝突しているのだ。それをカガリたちオーブの幹部達が見学しているのだが、彼等は2人の人間離れした技量に我が目を疑っていた。
 フリーダムが4門の砲をクライシスに向け、交互射撃を加えていく。キラはこれを独自のOS改良によるサポートを受けた手動操作でやって見せている。放たれているのは模擬弾とはいえ、当たればかなりの衝撃が来る代物を使っている。この弾幕の中を巧みに距離を詰めてくるのがアルフレットのクライシスだった。
 アルフレットは何時もならIWSPを装備するのだが、今回は砲が2門に減らされ、対艦刀も装備されていない新型のパックを付けている。アズラエルが持ち込んできた新型のバックパックで、実戦での運用データを元により汎用的なバックパックを完成させたと言って持ち込んだものだ。統合兵装パックを元にした次世代バックパックと言える。
 アサルトパックと命名されているもので、パイロットの大半がエールパックの使い易さと高い機動性を好むという所に目をつけてエールを上回る機動力を確保し、更にエールの不満点であった火力の不足を補う為に中・近距離砲戦用のレールガン2門を装備している。これはIWSPに較べるとかなり砲身が短い為に威力に劣るが、接近戦でも使える取り回しの良さが得られた。搭載バッテリーも高性能化され、継戦時間が伸ばされている。
 これを搭載したクライシスはキラのフリーダム以上の機動性を見せつけており、アルフレットの圧倒的な実力もあってキラを苦戦させていた。

「あれがクライシスか。ジャスティス並に動くじゃないか!」

 クライシスというMSが連合で使われている事はキラも知っていた。宇宙ではモーガンが使っていたのを見たこともある。だがいざこうして相手をすると、ナチュラル用のMSでここまで高い戦闘力を持たせることが出来るという現実にキラは驚きを隠せない。
 キラは自分の砲撃にそれなりの自信があったし、距離を詰められても相手がアスランのジャスティスでなければ負けるとは思わない。前に戦ったガザートには押されたが、次に戦えば勝てるという自信もある。だが、目の前で動き回っているクライシスは平然と砲撃を躱している。これを操っているのはナチュラルなのだ。

「流石、フラガ少佐やキースさんが認めるナチュラル最高のパイロットという事なのかな。でも、ナチュラルがここまで強くなれるなんて」

 機体性能がフリーダムに劣るとすれば、アルフレットの実力は自分と同等という事になる。ナチュラルでも稀にコーディネイターに匹敵するような凄腕がいることはキラも経験から理解していたが、アルフレットは別格としか言えない。強化もされていないのにフラガやフレイより強いのだ。しかも2人のようにこちらの動きを読んでくる上に、フレイのように戦い方を上手く組み立てて追い込んでくる。そうかと思えばキースのような強気の無茶な攻めをする時もある。
 梃子摺るキラを嗾けるようにアルフレットはレールガンを放ち、キラはそれを回避して距離を取ろうとしたが、機動性で負けているので逆に距離を詰められてしまう。至近距離で放たれたレールガンがフリーダムの胸部装甲を直撃し、フリーダムが仰け反る。その隙を付いて格闘距離に入り、ビームサーベルを抜くクライシス。それを見たキラはシールドをビームサーベルを抜いたクライシスの右腕をシールドで押しとめた。

「核動力MSを相手に、格闘戦を仕掛けるなんて!」
「性能だけじゃ勝負は分からねえぞ!」

 右腕を押さえ込まれて動かせないならと、右手を回転させてビームサーベルを回転させた。下手をすれば自分を斬り付けてしまう危険な動きだが、それは危うくシールドを押し付けているフリーダムの左腕を切裂きそうになり、キラは慌てて身を引いてしまったが、それにあわせるようにクライシスが前に出てきた。

「坊主、腰が引けてるぞ!」
「そっちが無茶苦茶なんですよ!」
「俺に梃子摺るようじゃ、あれ相手にした時はどうするんだ!?」
「……あれ、使えるんですかね?」
「さあなあ」

 クライシスとフリーダムが激突する演習場ではもう1機MSが動いていたのだが、それは訓練と言うより暴走であった。その加速性能はMSとしては異常なもので、操っているシンは完全に振り回されている。特に突撃槍を機体に固定し、シールドを槍と合わせて使用するチャージモードに至ってはMSでありながらMA級の加速を見せている。ただ、余りにも速過ぎて真っ直ぐにしか進めないのだが。直進以外の動きを見せればMSの機体では分解しかねないだろう。
 そしてこの機体を操る男、シンは完全に目を回していた。圧倒的な加速性能に振り回され引き摺り回され、愚痴と抗議の声を上げまくっている。

「くっそおおおお、キラさんに騙されたああ。何がすっごい新型だああ!」

 こんな操縦性最悪を通り越してまともに動かせないMSの何処が新型なのだ。これは暴走トラックと揶揄した方が良い類の欠陥機だろう。
 この酷さを見ればアズラエルが扱えるのはナチュラルではアルフレットくらいだと言うのも頷ける代物で、キラの腕を見込んで押し付けようとしたのも理解できる。その操縦性の悪さは恐らくフリーダムやジャスティス以上だろう。というかこれを設計した技術者は正気だったのだろうか。並みの強化人間では動かせないというのも頷ける話だ。
 まあアズラエルとしてはこれでデータを取って操縦性の悪さを改良し、後発シリーズの実用性の改良を行おうと思っていたのだが、これではそれは当分先のようだった。演習場の外からこの様子を見ていたアズラエルは顔を顰めている。

「キラ君を信じて任せましたが、大丈夫ですかねあれ?」
「あれだけ動かせるのでしたら、期待は出来そうです」

 アズラエルの質問に同行していた技術者が答えている。実は財団のテストパイロットでは真っ直ぐ動かす事もできなかったので、曲りなりにも動かせているシンはかなり凄い。だがズラエルにはただの欠陥機にしか思えず、右手で頭痛を堪えるように額を押さえた後、困った顔を後ろでデータを取っている技術者に向けた。

「クローカー・リンクスさん、何とか出来そうですか?」
「そうですね、改善点は幾らでもありますが、その前に1つ聞かせてもらっても良いですか?」
「なんでしょう?」

 クローカーの求めににこやかに応じたアズラエルだったが、許可を得たクローカーは酷く冷めた声でこう問い掛けてきた。

「まともに動かせないMSを作るなんて、何を考えてるんです?」
「……耳に痛いですね」

 自分でもそう思っていることなので、他人に突っ込まれると反論のしようが無い。だからアズラエルはその質問に対しては何も答えないことにしていた。彼も全く同感だったから。





 この演習の後、カガリは知人と共に懐かしい戦艦を尋ねていた。そう、シンガポールに入港している、いまや地球連合最高の殊勲艦となっているアークエンジェルだ。その姿は連合に勝利を、ザフトに敗北をもたらす戦場の死神と恐れられている。
 その艦に久々に顔を出したカガリたちは、格納庫で早速懐かしい顔を見る事になった。

「よお、久しぶりだなマードック」
「おお、何だカガリじゃねえか。何時こっちに来たんだよ!?」

 格納庫で指示を出していたマードックだったが、部下を連れて入ってきたカガリを見て昔のように気安く声をかけてきた。それを聞いて隣にいた部下が小声でマードックを窘めるが、マードックは聞く様子は無かった。そしてカガリは全く気にしていなかった。背後でティリングたち高官が色めき立ているのにも全く構っていない。
 そしてキラやキース、カズィが苦笑しながら前に出てきて、ステラがマードックにダイブする。それを受け止めたマードックが大笑いしながら頭を撫でてやり、キラとキースにお帰りと言った。

「大尉、坊主、カズィ、お帰り」
「ただいま、マードックさん」
「本当、随分久しぶりって気がするねえ」
「帰ってきたってのは変な言い方の筈なんですけどね」

 格納庫の中を見回しながらキラとキースが感慨深げな顔をして、カズィが苦笑いを浮かべている。キラとカズィにとってはここは本当の意味では帰る場所ではない筈なのだが、あまりに長く居すぎたせいかそんな風に感じてしまうのだ。そして周囲から群がってきた顔馴染みの整備兵たちが3人を揉みくちゃにしてしまった。

「こ、こらお前等!」
「あははははははっ!」
「ちょっと、軍手が油塗れっ!」

 目の前でいきなりアットホームな状態を作り出していくアークエンジェルクルー達に自由オーブ軍の高官たちは唖然としてしまっていた。まあ普通の神経なら唖然とするだろう。だがこの程度の事ではもうめげないユウナやシンはやれやれと肩を竦めるだけであった。キラやカガリの仲間なのだから、これくらいで驚いても仕方が無かろう。
 そしてこの騒ぎを聞きつけたのか、キャットウォークの上にはフラガとスティング、アウルまでが顔を出してきた。

「よお、しぶとくまだ生きてたかお前等!」
「はっはっは、俺が死ぬわきゃないでしょう少佐!」
「フラガ少佐、お久しぶりです!」

 アークエンジェルを離れて、もうどれだけ経っただろうか。あの日アスランに撃墜されて以来、この船には一度も足を運んでなかった。マードックに坊主と呼ばれるのも、フラガと話すのも本当に久しぶりだ。
 キャットウォークから降りてきたスティングとアウルにステラがじゃれ付いていき、フラガがキースと握手を交わした。

「キース、オーブに何時まで手を貸してるんだ。早く戻ってきてくれないとこっちの苦労が減らなくて困るぜ」
「オーブ本土奪還まで待ってくださいよ。そうすれば俺はお役ごめんです」
「それまで、俺は1人で頑張るのね」

 やれやれと苦笑いをうかべたフラガがキースの肩を叩き、そして視線をカガリたちの方に向けた。

「よおお嬢ちゃん、久しぶり。って言って良いのかな。それとも自由オーブ軍代表閣下とお呼びするべきなのかな」
「お嬢ちゃんで良いよ。この船じゃ私はカガリ・ユラだからな」
「ははははは、肩書き変わってもそういうところは変わらんなあ!」
「あったりまえだろ。肩書きくらいで変わってたまるか!」

 あっはっはと笑い合うカガリとフラガを見て自由オーブ軍の面々はもう完全に茫然自失状態に陥っていたが、ユウナは肩を震わせて笑い出すのを堪えている。それを見てティリングが恐る恐る声をかけてきた。

「あ、あのユウナ様、良いんでしょうかこれで?」
「ぷ、くくく……まあ、良いんじゃないの、今日くらいはさ。別に公式の場じゃないんだし」
「はあ、そう仰るのでしたら」
「それに、公私の別くらいはカガリも付けるさ。これまで無理して代表の真似事してたんだから、今日くらいは自由にさせてあげよう。手続きは僕らで進めれば良い」

 アメノミハシラに上がって以来、慣れない肩書きに無理やり合わせていたカガリには色々と鬱憤が溜まっていたことをユウナは知っていたので、ここらで発散させてやるのも手だと思ったのだ。それにどうせ細かい事務手続きにはカガリがいても大して役には立たないのだ。

「ああ、シンもこっちに居て良いよ。僕らに付き合っても暇だろうしね」
「でも、こっちに居ても何してりゃ良いんです?」
「艦内を見学して回るのも良いんじゃない。それに、カガリの話だとこの船に居れば何時も何か変な事が起きるらしいし」
「どういう船なんです、ここ?」
「そうだね、カガリやキラが自分はマシな方だ、と主張するような船かな」

 あの濃ゆい面々が自分はまともな人間だと主張するくらいに変な人間が多い船だという事だ。まあ本人がそう思ってるだけで、周囲から見れば同じ穴の狢なのだが、そういう事を軽々と口にしない辺りがユウナの賢い所だろう。
 そしてフラガが全員を見回して右拳を上げ、とんでもない事を言い出した。

「よおし、今晩は久々に宴会でもやるかあ!」
「おおおおお―――っ!!」

 フラガの掛け声に整備兵たちが威勢良く賛成の声を上げ、早速宴会準備の為にメンバーが抽出されていった。こいつら絶対にMSの整備よりお祭りの方が気合が入っている。その準備メンバーにカガリまで加わっているのを見たユウナは微笑を浮かべると、同行してきた高官たちを連れて来た道を戻ってしまった。





 地球からプラントに向う輸送船団。ザフトは10隻ほどの輸送船に2〜3隻の護衛艦で編成されるのが普通だが、この船団もその例に漏れないスタンダードな編成を取っていた。デブリベルトを抜ければもうすぐプラントであり、あと少しで本国に帰れるというところまで来ているが、彼等の警戒心は緩んでは居なかった。デブリベルトを抜けてボアズの制宙権下の宙域に辿り着くまで油断する事は許されないのだ。その僅かな油断で襲撃され、壊滅した船団は数知れない。
 先のウィリアムスが行った宇宙軍の反攻作戦でザフトは連合軍に2個艦隊相当の犠牲を強い、奪われていた地球航路を取り戻す事に成功していた。これは大きな勝利であり、途絶しかけていた物資の輸入が再開されるようになったのだ。これによって生活物資や資源、地球で保護したコーディネイターなどがプラントへと送られたのだが、この輸送の成功率は6割程度だった。船団が無傷で本国に帰還できることはまず無く、大半が襲撃されて何らかの犠牲を払う事になる。特に多いのが機雷による被害で、航路を狙って敷設された嫌いに触雷して沈められる輸送船の数が馬鹿に出来ない。ザフトも必死に掃宙作業を進め、敷設部隊を捜索して攻撃するなどの努力を重ねていたが、中々被害は減らなかった。
 この為に船団の指揮官はとにかくボアズの勢力圏に逃れるまでは安心する事が出来ず、周囲にMSまで展開させてひたすら警戒を強めている。だが、そんな努力を嘲笑うかのようにいきなり船団の1隻がいきなり爆発の光を上げた。触雷したのだ。機雷は多少の自立索敵能力と移動力を持っているのが普通で、今回も掃宙から漏れた機雷が輸送艦に反応して突入してきたのだ。
 この触雷で輸送艦は大破し、船団は乗員を救助して船を放棄している。これでここまで運んできた5000トンの食糧が空しく失われ、プラントの食糧調達計画が更に狂った事になる。



 この積み重なる被害に評議会議員は頭を痛めていた。国内では多くの生活必需品が配給制へと切り替わり、経済活動に著しい不便を強いている。しかも物資は軍需優先であり、民需用の物資は徹底的に切り詰められている。こうしないと戦争が継続できないからなのだが、これは市民に不満を抱かせており、ザラ政権時代には起きなかった戦争の終結を求めるデモが起きるようになっている。今の所暴動にまでは発展していないが、何かの切っ掛けがあれば一気に不満が爆発しかねない情勢だった。
 評議会の円卓に顔をそろえた議員達の顔は皆悪く、特に穏健派の議員は沈痛な顔をしている。情勢は彼等が予想していた最悪の事態を超える事態にまで悪化してきていたのだ。そして議長であるエザリアは落ち込んでいる彼等に今後の方針を話している。

「当面の課題は制宙権の確立だ。先のウィリアムス提督らの尽力によって地球との航路は取り戻せたが、依然として奴等の脅威に晒され続けている。これを何とかするには月のプトレマイオス基地を破壊するか、艦隊を叩く必要がある」
「だが、どうやって叩くと言うのです。先の作戦で勝利したとはいえ、ザフトも重傷を負わされたはずでは?」

 エザリアの方針案にカナーバが疑問をぶつけた。プトレマイオス基地には減ったとはいえまだ正規4個艦隊が健在であり、基地の守備隊も加えればその数は計り知れない物となる。2個艦隊を叩くのにザフト宇宙軍は全力を振り絞ったというのに、それを超える敵を相手取れると思っているのだろうか。
 この問いに対してエザリアはザフトから提出された作戦案をモニターに表示させた。いや、正確にはクルーゼの提案と言うべきか。それに目を通した議員達の顔色はみるみる悪くなっていった。
 タッド・エルスマンがその作戦案に黙っていられず、席を立って叱責するような声を叩きつける。だがエザリアは眉1つ動かさなかった。

「エザリア、貴様正気なのか。こんな作戦を実行に移せば、ナチュラルに報復攻撃の正当性を与えるぞ!?」

 それはL3にあるオーブコロニー郡に対するB兵器攻撃という作戦案であった。L3のオーブコロニー群は僅かな数のオーブ宇宙軍が居るだけの無防備に近い状態であり、戦略的な意味が無いので無視されてきただけで攻撃するだけなら簡単に手が出せる場所ではある。クルーゼはここにB兵器としてS2インフルエンザウィルスを使用する事を提案してきたのだ。
 S2インフルエンザはワクチンを投与すれば治療できるが、ナチュラルには致命的なウィルスだ。しかもその被害は記憶に新しく、地球諸国に恐怖を与える効果が期待できる。上手くすれば月からワクチンを輸送する部隊が出てくるから、これを叩くなり兵力が減った月基地を襲うなりが可能になる。つまりオーブコロニーを人質として連合に無謀な出兵を強要することが出来るのだ。うまく使えば連合軍は大きな犠牲を払うことになる。政治的に考えれば同盟国の数十万の民間人を見殺しにする事はありえない。
 だが、議員たちは難色を示した。開戦初期に地球でザフトが暴走してC兵器である毒ガスを使用し、都市1つを無人の地へと変えた悲劇は血のバレンタインほどではないが有名な事だ。あれでナチュラルが激怒し、戦争の長期化の一因を作ったのだ。それの再現になるだけではないのか。更なる憎悪の連鎖を呼んで、全てが破滅へと向うのではないかと考えている。

 この件は議員達が反発を示した事でエザリアは保留することにした。元々彼女も乗り気だったわけではない。代わりに彼女は別の作戦を提示してきた。それは南米の独立運動の支援を強化し、独立戦争を起こさせるという物であった。計画自体はパトリックの頃から進められていたものであり、後はタイミングだけという状態になっている。これが発動すれば大西洋連邦はこれの鎮圧に兵力を割かざるをえず、地球連合の勢いも翳る事になる。労は少なく得られる物は大きいという都合の良い計画であったが、確かに効果は大きそうだった。
 ただ、問題が無いわけでもない。南米はかつては独立国であったが、大西洋連邦にあっさりと滅ぼされ、併合されてしまった。要するに元々弱小勢力なのだ。ここに多少の支援をしたとしてもあっさりと潰されてしまい、陽動にもならないのではないかという懸念が存在したのである。大西洋連邦も無防備ではなく、南米に相当数の部隊を配置しているからだ。それらが鎮圧に乗り出せばあっさり殲滅されかねない。
 これがせめて陽動の役割を果たせるくらいの戦力を保有していれば良いのだが、事実上ただのゲリラの集合体なので、こちらが武器を供与しなくてはいけないという事だ。まあこれは地上で鹵獲した連合軍の装備を引き渡せば済むことであり、すでにある程度は流れているのだが。
 しかし、これにはマクスウェルが不安を口にしていた。南米のゲリラ風情に何が出来るのかと不安を隠せないのだ。

「この連中、何処までやれるのですか。所詮ナチュラルの、しかも敗残兵と素人の寄せ集めです」
「だが騒ぎを起こす事は出来る。確実に敵の数を減らしてもくれるのだ。やって損はあるまい」

 これにユーリ・アルマフィがエザリアを擁護するように口を挟んだが、マクスウェルは陽動にすらならないのではないかと不安を隠せないでいる。いや、本当はこう言いたいのだ。これ以上戦っても無駄なのではないか、と。だがこれまで強行派で鳴らしてきた自分がそんな事を言い出すことも出来ず、マクスウェルは口を閉ざしてしまう。
 しかし、そんな中でそれを口にできる人間がいた。パトリッ、シーゲルといった重鎮が次々に消えていく中で、ただ1人目立たないが故に残っていた古参の男、パーネル・ジュセックである。

「エザリア、もう限界なのではないか?」
「どういう事ですか、ジュセック議員?」
「ザフトは良く戦った。市民もこれまで良く耐えてくれたよ。もうこの辺りで手を上げても良いのではないかな」
「何を言うのだ、ジュセック議員!?」
「そうだ、ここで負けを認めたら、これまで払ってきた犠牲はどうなる!?」
「それに、この戦況ではこちらの無条件降伏に近い内容になるぞ。そうなれば、開戦前以上にプラントは悲惨な境遇に置かれる事になる!」

 ザフトの限界を口にしたジュセックにエザリアとユーリ、グールドらが反論し、ライトナーやホワイトも非難の目を向けている。だが穏健派のカナーバやカシムは勿論、中立派のエルスマンも驚きと賞賛の眼差しを向けている。パトリックが政権に付いて以来続いてきた強行派の流れの中にあって、初めて口に出された戦争終結の提案であったからだ。
 これを口に出せたのはジュセックがただ1人、エザリアよりも上位に位置する、パトリックやシーゲルと並ぶプラントの重鎮であったからだ。他の議員、特にカナーバらの若い議員では空気に押されて中々言うことが出来ない。それにラクスのクーデターで穏健派の権威は失墜しており、仮に言い出したとしても冷笑されるだけだったろう。だがジュセックが口に出せば重さがまるで違う物となる。穏健派の若輩議員と老練のジュセックでは発現の重要性がまるで異なるのだ。だからエザリアたちもこれには反応せざるを得ない。

 過敏に反応してきたエザリアたちに、ジュセックはあくまで穏やかに、だが毅然とした態度で話を続けていた。エザリアたちの気色ばんだ反論など意に介していないかのような態度だ。

「では、何時終わらせるのだ。今後ザフトが戦局を挽回できる可能性があると言うのかね。これまでの話を聞いていても、ザフトにやれることは効果があるかどうかも分からない時間稼ぎだけのようだが?」
「時間さえ稼げば、我々は立ち直れます。宇宙ではいまだナチュラルに対して対等以上に戦えているのです!」
「対等以上か。昔は5倍の兵力差を跳ね返せたと言うのに、随分と縮まったものだな」

 つい数ヶ月前までは圧倒しており、評議会では景気の良い報告が発表されていた。それが今では対等以上に戦えるなどという苦しい表現に変わっている。先にウィリアムスの指揮で行われた艦隊決戦では大勝を収めたものの、それはザフト宇宙軍の精鋭を掻き集めて行われた、負ければ次が無いという背水の陣で行われた賭けのような作戦だったのだ。
 もうザフトは敗北への道を転がり始めている。それは評議会のみならず、プラント市民の間に共通認識として広がり出しているのだが、エザリアたちはまだ諦めてはいない。

「これ以上戦いを続けて勝利を得られるのなら戦う意味もあるだろうが、続けても勝ち目が無いのなら一刻も早く終わらせるべきではないのか。今ならば交渉材料に使える占領地域はあるのだ」
「心配には及びません。ジェネシスの建造も進んでいますし、新型MSのザクも順調な仕上がりを見せていますし、フリーダム、ジャスティスに続くセカンドシリーズの開発も順調です」
「ザクか。確かPS装甲などの新技術がコストの高騰を招いて、従来のバッテリー型MSになったと聞いているが?」

 ガザートなどがテストをしていた世界初の核動力量産型MSとなる予定であったザクだが、そのコストはフリーダムやジャスティスよりは安い、というふざけた代物となってしまった。まあ核エンジンはまだしもPS装甲などの新技術をふんだんに取り入れた意欲作であった為、1機辺りのコストが笑えない額になってしまったのだ。流石にこれでは要求数を満たせないとして大幅な設計変更が行われ、従来のバッテリー型MSとして再設計が行われていた。これには核動力機だと運用できるのがエターナル級に限られるという運用上の問題もある。流石に現用の艦艇に核動力機の整備システムを追加するような余裕は無いのだ。
 兵器に限らず、道具とは高性能であれば良いというものではない。高性能でも動かなければただのガラクタであるし、使い難ければやはりガラクタと一緒だ。コーディネイターはこの問題には無理解で、とにかく高性能、とにかく大火力を追求した機体を開発する傾向がある。その結果フリーダムやジャスティスのような欠陥MSが誕生する事になる。
 ザクはこれらのMSに較べればまだマシであったが、やはり色々と問題があった。だからその辺りを改善し、性能の低下を覚悟しても兵器としての完成度を上げようとしているのがバッテリー型のザクだ。ベテランパイロットの多くが未だにジンやシグーの改良型を愛用してゲイツなどの新型に乗り換えないのもこの兵器としての完成度の低さを嫌うからに他ならない。多少の性能向上など、信頼性に較べれば取るに足らない要素なのだ。どんなに凄い機体でもいざという時に故障しては意味が無い。
 まだゲイツでさえパイロットが馴染んでいない状況で、更なる新型を投入するのは現場を混乱させるだけではないかと思う関係者は多いのだが、上層部はこれが勝利の道だと信じて必死に開発を進めている。だが戦況の悪化は彼等の努力を嘲笑うかのような速さで進み、プラントにも直接的な脅威が迫ろうとする事態を迎えていた。

 ジュセックはプラントが破壊されてからでは遅いと考えて講和を主張するが、エザリアはジェネシス完成まで支えれば一発逆転は可能と考えている。まだ完成もしていない兵器が実戦でいきなり予想通りの性能を出すわけがないのだが、エザリアはもうこの可能性に賭けていた。
 だが、歴史を振り返ればこういう賭けが成功した事例は無いと言っても良い。戦争に勝利するのに必要なのは事前の準備と国力、システムであって単純なハードウェアではない。時折小国が近隣の大国を新兵器で圧倒するなどという事があるが、そんな事はごく稀な事例で、9割以上は大国に小国は勝てない。新兵器や新戦術による一発逆転に賭けるのは小国の発想であって、貧乏性の発露なのだ。

 ジュセックはエザリアたちが執拗に継続を主張するのを見て、大人しく自説を下げて引き下がっていた。感情的になられて話が拗れては意味が無いのだ。今回はあくまで議論の場に講和という考えを投じるのが目的であって、ここで講和の方向に持っていくつもりではなかったから。
今回は議員達に現実の厳しさと講和という考えを頭に入れさせれば成功だとジュセックは考えていた。老練で数え切れないほど政治の場で場数を踏んできた古狸は結果を焦らないものだ。パトリックもシーゲルも同様であり、彼等の動きはクルーゼも察知できなかったほどに慎重で緻密な物であった。
 エザリアはジュセックがあっさりと引き下がった事でそれ以上の議論を終え、話を今後の戦略へと移した。当面は南米の独立運動に手を貸し、装備などを援助する。地上軍は逐次宇宙への脱出を進める。あわせて月基地を封じ込め、制宙権を奪還する事に全力を傾ける事などが決められる事になる。これにあわせて、プトレマイオス基地以外の基地や都市を狙った攻撃も計画されることになった。
これによってザフトは新たな作戦の準備を始めるのだが、ザフト上層部はその負担にいよいよ悲鳴を上げだしていた。




機体解説

GAT−X451  ヴァンガード

兵装 突撃槍
   右腕固定レーザー砲
   ビームサーベル×2
   頭部40mmバルカン×2
   突撃用ABシールド

<解説>
 クライシスをベースとして開発された核動力MS。カタストロフィ・シリーズの1番機にして接近格闘戦を想定されて開発されている。それに特化された性能のためにバックパック換装システムを廃し、機体バランスを大幅に改善している。相手の懐に飛び込む為に防御力はクライシスよりもさらに強化されており、エネルギー偏向装甲とABシールドを装備することで防御力は桁違いのレベルに達している。突撃槍は高周波剣の技術を用いた強力な物で、チャージモードで使用されればどんな装甲をも貫通してしまう。
 弱点は砲撃力の弱さで、右腕に固定式のレーザー砲を1門装備するだけでしかない。これは対MS火器としては貧弱すぎる装備である。単機での運用は危険なMSと言える。



後書き

ジム改 ヴァンガードの未来は果てしなく暗いな。
カガリ やっぱキラに使わせりゃ良かったんでは。
ジム改 キラはフリーダムがあるから仕方がないだろう。
カガリ じゃあ他に使えそうな奴は……よし、こうなったら私が!
ジム改 まて、なぜいきなりそうなる?
カガリ 私もSEEDを持つ種割れキャラだ。割れれば何とかなるさ。
ジム改 無茶苦茶言ってくれるな。
カガリ シリーズなんだから他にもあるんだろ。なら1機くらいくれたって良いじゃんか。
ジム改 何でそんな化け物をやなくちゃいかんのだ。第一、このシリーズはテスト機だぞ。
カガリ 大丈夫だ、強けりゃ何でも良い。
ジム改 それならスーパーメカカガリに乗った方が良いのでは?
カガリ まてゴラァ!
ジム改 そうそう、まさにスーパーメカカガリに相応しい雄たけびだ。
カガリ 本当にあれ使えるのか?
ジム改 あれは世界最強の特撮用機材だから。
カガリ 間違ってる、絶対にそれは間違ってる!
ジム改 それでは次回、宴会は続くよどこまでも。呑み、食い、暴れ、脱ぐ。狂乱の宴の中で人はどこまで正気でいられるのか。そして台湾では連合軍の包囲に殴り込みをかける命知らずの特攻野郎たちが暴れ回っていた。次回「包囲網を突破せよ」でお会いしましょう。

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