第130章  奇襲、ラバウル


 

 メンデルを中心に展開するラクス軍。その主力はサルベージされた艦艇とMSであるなが、なぜかその中にきちんとした整備を受けたと思われる、状態の良い艦艇が複数含まれていた。それらにはラクス軍を示すオリーブを咥えた鳩が描かれており、一見するとラクス軍の艦艇に見える。
 だが、その周辺で動き回っているクルーは東アジア系の人間ばかりだった。ラクス軍は雑多な人種の寄せ集めなのに、これらの艦艇のクルーは特定の人種で統一され、しかも全員が連合軍の制服をベースとしたような服を着ている。見る者の目がちゃんとしていれば、その艦艇と兵士たちが東アジア共和国の物だと分かるだろう。
 そう、彼らは東アジア共和国の正規軍なのだ。彼らの指示を出している指揮官らしき人物は東アジア軍の将官である。彼のところにやって来たラクスが歓迎の意を込めて右手を差し出す。

「ようこそおいで下さいました、李提督」
「どうも、ラクス・クライン」
「東アジア共和国の協力には感謝いたしますわ。おかげで実働戦力が飛躍的に強化されました」
「感謝などは結構、我々は命令を受けたからきただけですので。それよりも、密約の条項は守っていただきますぞ」
「分かっていますわ、戦後にプラントの東アジア共和国の利権を拡大する、ですわね」
「その通り」
 
 東アジア共和国はザフトと交渉を行っていたが、マルキオを通じてラクスとも繋がっていたのだ。最近の連合内における余りにも積極性に欠ける動きは、こちらに比重を移し、連合と距離をおきたがっている証だったのである。東アジア共和国は地球連合内の盟主的な地位を大西洋連邦が占め、それに続くのがユーラシア連邦で自分はその次という地位に甘んじるのが我慢できず、独自の動きを見せていたのだ。
 ただ、この協力関係は双方にとって敵対的なものとなっている。表面的にはラクスは穏やかで親愛を態度で表しているが、内心では東アジア共和国を蜥蜴の如く忌み嫌っていた。東アジアは連合の中では独自の思考様式を持ち、ブルーコスモスの勢力の浸透を許していないという点で貴重な存在であったが、それは別に彼らがコーディネイターに寛容だとか平和を愛しているとかの理由ではない。彼らが余りにも排他的で中華思想に凝り固まっていたため、ブルーコスモス思想でさえ入り込めなかったのだ。何しろ彼らにしてみれば自分たち以外は全て見下しているので、コーディネイターも他国のナチュラルも人括りに蛮夷扱いだった。
 そんな国なので裏切るという行為にも抵抗が無い。それまで共に戦ってきた連合諸国をあっさりと裏切り、プラントとラクスに裏から接触して軍事力まで貸すという暴挙を平然としているのだ。それでいて完全に連合から抜けるでもなく、連合軍総司令部に軍人を送って席を確保している。
 そもそも、プラントは返還を約束していたカオシュンのマスドライバーを自爆しているので、東アジア共和国としてはプラントが裏切ったと非難していたりする。どちらも相手の事など最初から信用していなかったのだ。

 東アジア共和国は最終的に勝ち組に付くつもりなのだ。だからこのままプラントが負けるのならプラントを見限るだろうし、連合が負けそうなら平然とプラントの味方面をするだろう。その際にこうして協力しているラクスを売り渡す事さえ考えている。勿論ラクスが何らかの成果を出して表舞台に出てくるならラクスの協力者だったとそしてその功績を誇らしげに語るだろう。
 ラクスは東アジア共和国のそうした卑劣な考え方をマルキオから聞かされていたので、利用はするが信用はしていなかった。東アジアの目論見はターミナルから得た情報である程度知っているので、逆に裏をかいて連合との交渉材料にする事も出来ないではない。アズラエルあたりに証拠付きで渡してやれば丁度良い貸しを作れるだろう。マルキオもそういう関係を前提でラクスとの橋渡しをしたのだから。
 ただ、彼らの持つ戦力は大きかった。アガムメノン級空母1隻に戦艦4隻、駆逐艦12隻という戦力はラクス軍の総力に匹敵する大部隊である。これの参加のおかげでラクスはかねてより検討していた作戦を実行に移す事が可能になったのだ。

「李提督、作戦目的はご理解頂いていますね?」
「分かっています、プラントへ向かう輸送船団を襲撃している通商破壊部隊を撃破し、航路の安全を確保せよというのでしょう?」
「はい、プラントでは食料が不足していて、大勢の人が苦しんでいます。これは私にとって本位ではありません」
「本国からは我が国の部隊を狙わない限りは貴女の指示に従うようにと命令を受けていますので」

 李としては別にプラントのコーディネイターが飢え死にしようとどうなろうと知った事ではないのだが、本国からの命令なので仕方なく付き合っている。幸い通商破壊部隊の大まかな動きは本国からのリークで掴んでいるので、大西洋連邦の部隊を狙い撃ちにするつもりでいる。

 一方、李に念を押して宇宙港から戻ってきたラクスは、自室に向かう途中の通路でダコスタと今後の事を話し合っていた。

「ダコスタさん、地球連合の動きはどうなっています?」
「台湾での戦いにはケリが付いたようで、全軍を南に向けています。狙いはオーブでしょう。本土の軍港に係留されるだけだったはずの原子力空母が投入されているようですから、大西洋連邦はNJCの量産に成功したようです」
「フリーダムのデータは、やはり連合に流れたのですね。そうなると、いよいよ核攻撃の可能性が出てきましたか」
「そうなります。今の所核兵器の配備という情報は入っていませんが、いずれ配備が進むかと。停止していた原子炉も稼動を始めるでしょうから、電力事情も改善するでしょう。それと、地球軌道の制宙圏を確保するために戦闘衛星の配備を進めているようです」
「つまり、連合とザフトの戦力差はますます開くという事ですね」

 今でも連合の生産力はすごいのだが、今後はそれが更に強大なものとなる。そうなれば世界はますます悪い方向へと流れてしまうだろう。そしていずれはプラントが滅ぼされてしまいかねない。この悪い方向へと向かう世界の流れを正すにはどうすればいいのか、ラクスは未だに出せない難題の答えを求めて今日も悩み続けていた。

「ウズミ様の後継者、カガリ様との接触はまだ出来ませんか?」
「マルキオ導師が動いてくれていますが、どうもあちこち飛び回っているようでして、中々難しいようです」
「キラもあそこに居ます。なるべく早いうちに接触しなくては。それとプラントの方もです。お父様の所在と、地下活動の実績はどうなっています?」
「シーゲル様は確定したわけではありませんが、司法局の本局に囚われているようです。現在は局内に潜伏している同志に所在を確認させていますが、やはり簡単にはいきません。地下活動の成果は徐々に上がってきています。プラント内には講和を求める動きが活発化してきました」
「そうですか。後は地球でも同様の動きが起きれば、連合も講和のテーブルに付かざるを得なくなります。出来ればその前に双方の強硬派を排除したいところですね」

 理想の形を口にするラクス。勿論彼女は本気だ。本気でこの形に持っていくつもりなのだ。ラクスは手段は大儀で正当化されると考えている節があり、テロ行為という手段も戦争を終わらせるためという大儀の前では問題ではないと考えている。そうでなければここまで無茶苦茶な事はしないだろう。ある意味AD世紀の民族や宗教が絡んだ政治指導者のような主張である。
 だが、そういう人物だからこそ付いて来る人間も多い。なぜか人間というのはこういう人物の主張する誇大妄想としか思えない考えに賛同して付いていくのだ。世の中声の大きい奴が有利という事なのだろうか。





 ラバウル基地。かつてはオーブ本土決戦の際にオーブへ派遣された援軍が出撃した基地であり、現在はオーブ攻撃の拠点として機能している南太平洋の要所である。ここにはかなりの規模の艦隊を停泊させられるだけの泊地と複数の飛行場があり、大型爆撃機のすれイヤー部隊を含む複数の航空部隊が常駐してオーブへの攻撃を行っている。そう頻繁にではないがオノゴロ島はこの基地から発進する爆撃機の爆撃に晒されているのだ。
 ザフトの主力戦闘機であるラプターは高高度性能に難があるため、高高度から進入してくるスレイヤーの迎撃が難しい。ただでさえNJのせいでレーダーの効果が薄く、事前の発見が難しい状況であり、侵入してきたスレイヤーをレーダーが捉えてスクランブルをかけても大抵は爆弾を投下して悠々と去って行った後にエンジンに悲鳴を上げさせながらラプターが上がってくるという体たらくだ。勿論早期警戒機や管制機を展開させておけばいいのだが、ザフトにはこれを常時展開させるだけの力も無ければそういう機体を多数保有しているわけでもない。
 この基地に集結した連合軍は、ここで最後の準備を整えていた。物資を集積し、兵員を訓練し、演習を行って部隊間の連携を確かめなくてはいけないのだ。大作戦を実行に移すのは容易ではなく、それなりの準備が必要とされるものである。
 ラバウル基地の倉庫には既に膨大な物資が収められており、入り切らない分は輸送船に積まれたままになっていたり、一部はラバウル基地の外に作られた集積所に運び込まれている。そこに集積されている物資は、ザフトがスピットブレイクに投入した物資の総量を越えるほどの途方もない量であり、ザフトの補給部の人間が見れば涎を垂らしてうらやましがりそうな圧倒的な物量であった。
 これほど物資を揃える事が可能になったのは、連合諸国の物理的な負担の軽減が上げられる。大西洋連邦、そしてユーラシア連邦の本土から前線が遠ざかったため、後方の工場が安定した操業をするようになったのだ。更に極東連合や赤道連合といった新参の国々も軍需物資を生産しているので、生産力が大幅に増加している。そして大西洋連邦はNJCの量産によって原子力発電所を使用可能にしており、エネルギー不足を解消する事に成功していた。これにより全ての工場が連日フル操業するようになり、日々膨大な物資を送り出している。
 この強大な国力が連合に続けての大作戦を可能としている。この作戦が成功してオーブを奪還できれば次は大洋州連合となるが、オーブが陥落すれば大洋州連合はプラントを見限って地球連合に降伏する可能性が高いので、実質上はカーペンタリア攻略作戦となるだろう。
 この作戦に向けて第8任務部隊とオーブ艦隊もラバウルへと前進してきていた。カガリはオーブ艦隊の旗艦であるタケミカヅチに将旗を掲げており、このタケミカヅチがオーブ開放作戦の総旗艦となる事が決まっている。一応この作戦の総司令官はカガリなのだ。
 ラバウル基地に到着したアークエンジェル隊、その中でもパイロットたちはいきなり働かされていた。彼らは非常に腕が良いパイロットが多いので、他の部隊と合流するとアグレッサーのような役割を押し付けられてしまうのだ。フラガや強化人間たちがもっぱら通常の部隊を相手に模擬戦闘を行い、トールやボーマンといった中堅どころが新兵たちの相手をしている。タケミカヅチの甲板からはトールの掛け声でランニングをしている連合の新米パイロットたちの姿が見て取れた。その中にはオーブのパイロットたちの姿も混じってるのはご愛嬌だろうか。

「なんだかんだで、トールもすっかりベテランっぽくなってるじゃないか。少し見ない間にずいぶん変わったもんだな」
「まあ、人間変われば変わるものさ」

 カガリの隣で書類を納めたファイルを抱えているユウナがカガリと同じように訓練風景を見下ろしながら答えている。それを聞いたカガリはやれやれとわざとらしく肩を竦めて見せた。

「他人事みたいに言ってるけど、私から見ればお前もずいぶん変わってるぞユウナ」
「僕がかい?」
「ああ、カグヤ管制室が吹き飛ばされた時は頭抱えてもう駄目だ〜、なんて言ってた奴が、前の戦闘じゃ艦橋で仁王立ちして敵艦隊に突撃してたじゃないか。まあ頭に血が上ってたんだろうが、ミナも驚いてたぞ」
「あれはまあ、ねえ」

 あれは自分でもおかしくなっていたと自覚があるので、こうやって話題に出されると恥かしくなってしまう。そしてユウナをやり込めたカガリは楽しそうに笑った後、艦首の方を指差してあれは何だと聞いた。

「ユウナ、あいつらは何してるんだ?」
「ああ、大昔の映画タイタニックの真似だねえ」

 艦首では何故か両腕を水平に広げたステラをシンが抱え上げていた。危ないので止めた方が良いのだが誰も止めていない。カガリはタイタニックと言われても何の事だか分からず、代わりに別のことを聞いた。

「ところで、ステラは何時までこの艦にいるんだ。アークエンジェルに戻ると思ってたのに」
「一応、向こうに戻ってはいるようだけどね。こっちに遊びに来る事が多いみたいだね」
「あのなあ、それじゃ軍規ってものが保てないだろうが。あいつは一応部外者なんだからほいほい入れるなよ」
「軍規ねえ」

 カガリがそれを口にした事がおかしくて仕方ないのか、ユウナはくくくっと笑い出している。それを見てカガリは不満そうに口を尖らせてぷいっと横を向いてしまったが、反論はしなかった。規則を破る事に関してはカガリも常習犯であり、天に唾する妄言でしかないからだ。ぶっちゃけお前が言うなと言われるだけだろう。
 



 アークエンジェルのパイロットたちは、仲間内で技術を磨く事が多い。他の部隊のパイロットでは相手にならないほどの凄腕がゴロゴロしているのが原因と言えるが、あちこちたらい回しにされるせいで余り他の部隊と訓練を共にする機会がないのだ。今日もシャニとクロトがストライクダガーに乗り、アルフレットのクライシスと模擬戦を演じている。その隣ではアウルとスティングがやはりストライクダガーでキラの使うダガーLと模擬戦をしていた。
 強化人間たちがストライクダガーを使っているのは、彼らの機体がオーバーホールに入ってしまったためだ。カラミティは問題が無かったのだが、フォビドゥンとレイダーはその複雑さが大問題で、オーブ戦を前に本格的なメンテナンスを受ける事になったのだ。これに前から整備の不足が指摘されていたマローダーもついでに分解整備する事になり、彼らは今回はストライクダガーを使っていたのだ。
 だが、シャニとクロトの連携は最悪だった。何しろオルガがあれこれ指示を出してどうにかチームプレイもどきが出来るような3人組であり、オルガが欠ければただ強い2人でしかない。それではアルフレットにただ遊ばれるだけでしかなかった。元々1対1では彼らはアルフレットには歯が立たない。
 模擬ビームサーベルを抜いて斬りかかるシャニの一撃をシールドで受け止め、逆に足払いを仕掛けてシャニのバランスを崩してしまう。

「うわぁ!?」
「おらおらどうした、足元がお留守だぞ!」
「ああ、五月蝿いなあ!」
「なら頑張りな、ほらどうした!?」
「ああああ、ムカツクこいつ!」

 シャニを完全に弄んでいるアルフレット。機体性能も違えば腕も違うのでシャニはまったく歯が立たないのだが頭に血が上っているシャニは真っ向から突っ込んでは叩きのめされている。もっとも、シャニがフォビドゥンでアルフレットがダガーでもアルフレットは勝てたりする。
 そしてクロトはと言えば、こちらは模擬ライフルで格闘戦の真っ最中のクライシスを撃ちまくっていた。おかげでシャニはもろに巻き込まれて背後から被弾しまくっている。

「何しやがる!?」
「邪魔するそっちが悪いんだろ。さっきから撃ち難いったらありゃしない」
「なら撃たずに黙って見てろよ……」
「お前の指図は受けないよ」
「テメェ……」

 アルフレットを前に仲間割れを始める2人。それを見たアルフレットはこめかみを引き攣らせていた。

「お前ら、少しは仲良く出来ねえのか?」
「黙ってろよ……」
「こいつ黙らせたら相手してやるよ!」

 もう完全に殺る気になっているシャニとクロト。それを見たアルフレットはやれやれと呆れ交じりのため息を漏らすと、2人をクライシスのパワーでぼこぼこにしてしまった。こういう時のアルフレットには容赦というものがないのだ。



 その隣で戦っていたキラはというと、こっちはかなり手を焼いていた。シャニやクロトと違ってアウルとスティングにはチームプレイが出来たのだ。加えてキラには致命的な弱点があった。実はキラはその出生ゆえに高い能力を持ち、どんな高性能機でも乗りこなすポテンシャルの高さを持っているのだが、実戦経験ばかりで訓練を碌にしてこなかった弊害がでていて実力は低かったりする。つまり機体の性能が低いと余り強くない。
 このあたりでキラはアルフレットらのベテランに劣っていた。アスランなどは機体性能が低くてもそれなりの強さを見せるのだが、キラは機体の性能相応の強さしか見せない。まあちゃんと基礎訓練を積めば強くなるのだが、その基礎訓練を怠っているのだ。能力に物を言わせるスタイルがもたらした弊害である。こういう部分ではむしろ基礎の基礎からみっちり鍛えられたトールやフレイの方が優れている。だから2人は教官としても活躍できるのだ。だからM1同士で模擬戦をしたときはフレイと互角の勝負になってしまった。
 アウルとスティングはアウルが接近戦を、スティングが支援を担当してキラのM1と戦っていた。1対1ならアウルはキラの敵ではないが、要所要所でスティングが銃撃してくるのでアウルを追い詰めきれず、自然と闘いが長引いている。
 この模擬戦でアウルとスティングがキラを押さえ込めているのは、2人がフラガのアドバイスを受けていた事も原因だった。キラの戦いぶりをキースと共に見てきたフラガは、キラの弱点を知っている人間の1人だ。だからフラガは模擬戦の前に2人にキラの攻略法を教えていたのである。

「いいか、キラはコーディネイターだけに反応が速い。だが2つの事には同時に対応できなかったりする。結構不器用な奴だからな。2人で上手く連携すればそのうち我慢できなくなってミスするから、そこを狙え」

 そのアドバイスを守って2人はキラを確実に追い込んでいた。時間をかけてじっくり攻めると確かにキラの動きは乱れていく。それを確かめた2人はじっくりと持久戦をしてキラのミスを待っていた。




 この戦いを遠くから見ていたキースは困ったもんだとナタルに苦笑いを向けていた。2人はドミニオンの艦橋で部隊編成についての話をしていたのだが、丁度訓練風景が見えたのでそれを観察していたのだが、その惨憺たる有様には呆れざるを得ない。

「やれやれ、シャニもクロトも仲悪いねえ。頭が居ないとやっぱ駄目か」
「サブナック無しでも戦えるようになってもらわないと困るのですが」

 こちらは憂鬱げな吐息を漏らすナタル。強化人間の取り扱いの難しさは彼女の悩みの種の1つなのだ。この仲の悪さのために作戦が窮地に陥った事もある。まあ実戦ではオルガが中心になるのでもう少しマシなのではあるが。
 彼らを有無言わさず統率できるのは、彼らに恐れられているキースか、さもなければ第8任務部隊の影の実力者であるアルフレットくらいだろう。そのアルフレットはMS隊全てを統率しなくてはいけないので、彼らを任せられるのはキースだけなのだ。そのキースがオーブに取られているために強化人間たちの統率はすっかり乱れている。

「大尉、早く戻ってきては頂けませんか。彼らはあの有様ですし」
「それも分かるんだけどね。オーブ軍への出向は上からの命令だから、せめてオーブ本土奪還までは離れられないのよ。艦長には悪いと思うけどさ」
「上ですか……」

 上層部を出されると弱いナタルは目に見えて落ち込んでしまった。そしてはうっと弱気なため息を漏らし、視線を落としてしまう。

「このまま大尉が帰ってこなかったら、私は心労で倒れるかもしれません」
「そんな怖い事言わないでよ、俺のせいみたいだろ」
「はい、私が倒れたら大尉のせいです」
「なら艦長の親戚なり兄貴なりに頼んでこっちに戻すように言えば良いじゃない。確か艦長の家は軍人の名門でしょう?」

 バジルール家は大西洋連邦軍に多くの高官を輩出した名家だ。父親はこの戦争の初期に将軍として指揮を取り、戦死している。だが親戚がまだ何人か軍上層部に居る筈だし、兄もどこかで軍務に付いている筈なのだ。
 だが何故か、ナタルはそれを言われて酷く嫌そうな顔になってしまった。

「いえ、兄に頼むのは、その、なんと言いますか……」
「確か、中佐だったよね。今はプトレマイオス基地に居るんだっけ。参謀か艦長でもやってるんだろ?」
「現在は第52駆逐隊司令の筈ですが、その、兄に頼みごとをするのは色々と問題がありまして」
「何で?」

 なんだかナタルは兄のことを口にするだけでも不愉快そうであった。まるで兄の事を嫌っているかのような態度を見せるナタルにキースが訝しげな顔をすると、ナタルは渋々という感じで兄のことを語りだした。

「兄はその、性格に少々問題がありまして。軍人としては尊敬できる人なんですが、人としてはその、かなり困った人と言いますか、妹として恥ずかしいと言いますか」
「……どんな人な訳?」

 ナタルがここまで他人を悪し様に言うのは珍しい。キースが物珍しそうに聞くと、ナタルはがっくりと肩を落としてしまった。

「それが、フラガ少佐みたいな女たらしなんです」
「……本当に艦長のお兄さん?」
「はい、残念ながら。学生の頃は何人もの女性を引っ掛けていて、いつも女性をはべらせていましたね。そんな兄を尊敬する気にはなれませんでした」

 なんともうんざりした顔で言うナタルを見て、彼女がフラガの女癖の悪さに厳しい目を向ける理由を理解できたキースだった。なるほど、身近にそういう困った人が居たわけだ。そして何故かナタルはじっとキースの顔を見てきて、キースはその無言のプレッシャーに思わず半歩身を引いてしまった。

「大尉は、そんな事はしていませんよね?」
「し、してる訳ないでしょ。俺はそんなにもてないってばっ!」

 疑惑の目を向けられたキースは焦った声で身の潔白を訴えたが、キースの出鱈目なほどに広い交友関係を考えれば疑いたくなるのも無理はないかもしれない。そしてキースはナタルの視線に冷や汗をかきながら、ひょっとしてナタルはものすごく嫉妬深い人なんだろうかと考えていた。フレイもそうだが、情の深い女は怒らすとすごく怖いのだ。




 ラバウル基地の工廠ではクローカーがヴァンガードの調整をしていたが、手を貸している地球連合の技師たちもほとほと手を焼く厄介者でどうにも対処の仕様がなく、遂にクローカーはこの機体にリミッターをかけることにした。性能を意図的に制限し、サポートシステムへの依存度を高めて機体の安定性を確保したのである。
 この処置で性能は70%程度に低下してしまうが、おかげでどうにか扱えるMSになっている。この状態でもクライシスと同等といえる性能は何とか確保しており、アズラエルの要求したザフト制核動力MSを確実に撃破しうるMSというコンセプトは満たせなくなってしまったが、どうにか実用機として追い繰り出せるレベルにまで持っていく事が出来ている。
 ただ、クローカーはこの処置が不満そうであった。兵器とはテストを重ねる事でプログラムを改良し、誰でも使えるようにする代わりに性能にある程度の制限が加わるものだが、このヴァンガードに施した処置は明らかに機能を劣化させたという処置だ。これは技術者としては面白くない。

「ふう、この子の性能をもっと安定させられれば良いんだけど、現在のシステムじゃこれが限界なのよね」
「仕方がありませんよ、クローカー技師」

 サポートしてくれていた大西洋連邦の技術者が慰めるように言うが、クローカーの気持ちは晴れなかった。このMSは生まれるのが早過ぎたのだと言わざるを得ない、まさに不運の機体である。機体のポテンシャルがどれほど高くても、それを制御できるコンピューター・システムがなければ宝の持ち腐れでしかない。それをパイロットの能力で埋める事も不可能ではないが、それだけの能力を持つならクライシスに乗った方が良い結果を出すだろう。
 結局、このMSは性能を十分に発揮する事も出来ぬまま、多くの試作機が辿る失敗作という不名誉な称号を与えられて消え行く運命なのだ。それがクローカーには不憫でならなかった。





 この最前線基地とは思えない、どこかのんびりした空気の流れるラバウル基地を遠くから眺める目があった。ザフト潜水艦隊の潜望鏡のカメラだ。クルーゼの乗艦であるエキュイルがラバウル基地を眺めていたのだ。
 クルーゼの居る艦橋のモニターにはラバウルに展開する連合の大艦隊が映し出されていた。その数は艦橋のクルーの顔色を青褪めさせるほどで、モニターに納まりきらない駆逐艦や輸送艦の群れには無言の威圧感がある。

「クルーゼ隊長、これは……」
「凄まじい物量だな。だが、これを叩けばまだ暫く地上軍は支えられる」

 怯えさえ見せる部下の前で、クルーゼは絶対の自信を伺わせる笑みを浮かべている。その自信はどこから来るのか分からなかったが、あれだけの大軍を見ても何時もと変わらない危険な笑みを浮かべるクルーゼの姿は、周囲の部下の動揺を抑える効果があった。
 部下たちが落ち着いたのを確かめると、クルーゼは夕暮れの攻撃開始を指示し、各艦に戦闘準備を伝達させた。

「いいか、この作戦が失敗すればオーブは陥落する。せめて全軍を宇宙に脱出させるための時間を稼ぐ必要があるのだ。その事を忘れるな!」
「はっ、クルーゼ隊長!」

 部下が一斉に最敬礼をもってクルーゼに返し、クルーゼは満足げに頷くと艦橋を後にしていった。それにアンテラが続き、一緒に艦橋から出て行く。そして少し離れたところでアンテラが口を開いた。

「隊長、あの数は多すぎます。オーブとカーペンタリアの全軍をぶつけても勝ち目はありません」
「分かっているさ。だが私が怯めば全軍の指揮に関わるだろう。あそこは芝居を打って見せる必要があったのさ」
「それは分かります。ですが、どうやって戦うつもりですか?」

 クルーゼは獅子身中の虫ではあるが、将としての心構えは持っている。ザフトにとっては皮肉な話だが、クルーゼは確かに名将と呼べる人材だったのだ。そして今の彼は自らの目的のためにザフトの勝利を目指して戦っている。自らの最大の敵が結果的に自らの最大の擁護者となっているのだから、皮肉と言えばこれほど皮肉な事はあるまい。

「しかしまあ、あの数に勝つにはこちらも相応の無理をしなくてはいかんだろうな」
「まさか、勝てると本当に考えているのですか?」
「まさか、私はそこまで自惚れてはいないさ。せいぜい敵に怪我を負わせるくらいが限界だろう」
「ではどうするのです?」
「まあ、またアスランたちに頑張ってもらうとしよう。そのために彼らに優先していい装備を渡しているのだからね」
「……彼らを使い潰すつもりですか?」

 クルーゼの目的は知っているし、最終的にはアスランは間違いなく敵に回る相手だから、どこかで殺しておいた方が良いに決まっている。だがまだここでは失うには惜しい人材なのだ。彼の技量と指揮能力は今のザフトには必要不可欠なものだ。
 それが分からないクルーゼではない筈なので、ここでアスランを殺すとは思えない。だが、その部下たちを捨て駒にする可能性は高いだろう。イザークやフィリスといった人物は貴重な能力を持っているが、それ以外はただの強いパイロットでしかないので代えは利くからだ。
 悩んでいるアンテラの心情を見透かしたのようにクルーゼは酷薄な笑みを浮かべると、アンテラの肩に手を回した。

「心配するな、ここまで来て下手な手は打たんよ。すでに全てのカードはこちらの手にある。NJCも連合に渡り、核の封印は解かれた。ブルーコスモスの侵食を許している連合は間違いなくプラントに核を撃つよ」
「……はい」

 おそらくそうなるだろう。大西洋連邦大統領のササンドラは聡明な人物ではあるが、民主国家の大統領である以上は世論や利権への配慮から逃れる事は出来ない。議会制民主主義とは専制君主を否定した代償として衆愚政治と化すことを容認したシステムなのだから。
 既に世界はクルーゼが敷いたレールに従って進むしかない、ブレーキをが壊れた列車も同様だ。世界はもう滅亡に向かって突き進むしかないのだ。それを阻止するにはもう奇跡以外にはありえないだろう。そして、そんな都合の良い奇跡など起きるはずがないのだ。世界が生み出した憎悪は世界そのものを滅ぼそうとしているのだから。
 表情を翳らせたアンテラの肩を抱き、クルーゼは楽しげな笑い声を漏らす。そう、復讐は果たされ様としているのだ。

「さて、作戦まではまだ時間がある。私の部屋にでも行こうか」
「クルーゼ隊長、こんな所で……?」
「ははははは、そういう所は何時までたっても変わらないのだな」

 顔を赤くするアンテラを伴って、クルーゼは苦笑しながら自室へと下がって行った。作戦開始までの、幾ばくかの時を楽しむために。



 クルーゼから作戦開始を伝えられたアスランたちは、与えられたデータを見て顔色をなくしていた。冗談ではない、前に台湾で相手にした戦力など比較にならないような大軍ではないか。こんな所に攻撃をかけてどうしようというのだ、クルーゼは。

「冗談じゃない、大型空母多数を含む大艦隊じゃないか。しかも足つきが3隻もいる!?」
「クルーゼ隊長は俺たちに特攻でもしろって言うのか!?」

 アスランとイザークがその作戦の無茶苦茶ぶりに非難の声を上げる。一体何個師団がここに集結しているというのだ。ここに突っ込むならせめてフリーダムとジャスティスが20機は欲しい所だろう。
 フィリスは情報を元に戦術スクリーンに敵戦力の配置図を作り出していくが、そのフィリスも嫌になってくるほど敵の数は多かった。確認されているだけでも空母が4隻も居る。駆逐艦や巡洋艦は100隻を越えているだろう。これでも全てが確認されたわけではないのだ。

「敵の中にはオーブ戦で脱出したオーブの大型空母の姿もあります。どうやら自由オーブ軍も集結しているようですね」
「飛行場には格納庫に収まりきらない作戦機が駐機場を埋め尽くすほどに並べられています。無茶苦茶な戦力ですね」

 航空写真を手にエルフィがトホホ顔でアスランに報告する。写真にはスレイヤー大型爆撃機の他にも多数のスカイグラスパー戦闘機やスティングレイ攻撃機が並んでいる。これだけでオーブに居るザフトは撃破されてしまうのではないだろうか、と思わせる圧倒的な物量である。しかもこれはラバウルの飛行場の1つだけで、他にも多数の飛行場が各地に点在している。ポートモレスビー基地もまだ連合の最前線として機能しており、多数の戦闘機が配備されている。
 こんな所に突っ込むのは自殺行為だが、軍人である以上は突っ込まなくてはいけないのだ。確実に死ぬという命令には拒否する事も可能だが、死ぬかもしれない命令を拒否する事は許されない。そんな事をしていては戦争など出来ない。たとえ生還率が1%程度だったとしても、兵隊は行かなくてはいけないのだ。
 そしてアスランはイザークをみて自分たちが先陣を切ると伝えた。

「イザーク、悪いが先陣を切るのは特務隊だ」
「分かっている、新兵どもじゃ荷が重過ぎるからな」

 ザフトの戦力の低下は目を覆わんばかりのものとなっている。先の台湾戦では宝石よりも貴重なベテランパイロットが多数参加し、幾人も命を落としてしまった。その穴は援軍が来ない今、永久に埋まる事はない。もう新兵といえども補充は来ないのだ。
 そして台湾での悲惨すぎる戦場を体験したアスランたちは、かえって悲壮な義務感を感じるようになっている。台湾には2万の新兵や補充兵が居たのに、生きて脱出できたのはたった1割の2千名だ。勿論敵の捕虜となった者も沢山居るだろう。だが、これらはもっと早く脱出させておくべきだったのだ。本国が見捨てるような命令を出さなければ、1万以上は救う事が出来ただろうに。その気負いが生き残った2人には生まれていたのだ。それに、ミゲルを無くした事も気負いとなっている。
 ただ、ディアッカはまだ落ち込んでいた。ミゲルが死んだのは自分のせいだと考えてしまい、責任に押し潰されてしまっているのだ。


 そしてアスランはクルーゼへの意見具申をすることにした。攻撃開始を薄暮ではなく、日中に変えて欲しいと伝えたのだ。これを聞かされたイザークとフィリスは驚いてアスランに理由を問い質している。

「アスラン、日中の攻撃は自殺じゃないか。何でいきなり?」
「そうです、夜間なら敵は思うように航空機を使えません」

 イザークとフィリスは反対している。何もわざわざ敵の得意な条件で戦う必要はないだろうと言う2人の言う事も最で、アスランはそれに頷きながら理由を説明した。

「部隊のレベルが高ければ俺も夜間攻撃には賛成なんだが、今回は止めた方が良い。参加するパイロットのレベルが低すぎる上に、部隊全体での訓練を一度もやってないんだ。これじゃ同士討ちになるぞ」
「……なるほどな」
「確かにそうですね。今回の参加部隊は各地から集まった寄せ集め部隊で、一度も合同演習をやっていません」

 一度も全体での訓練をしていない部隊など烏合の衆だ。しかも半数以上は実戦を一度経験していればマシ、というレベルの雑魚としか言いようのないパイロットが占めている。これでは部隊間の連携が取れず、危険が大きすぎるだろう。下手をすれば敵に殺られる者より味方に殺される者の方が多いかもしれない。何しこちらには敵から鹵獲したストライクダガーまで配備されているのだから、誤認の危険が大きすぎる。むしろ明るい昼間に攻撃した方が安全だろうと考えたのだ。
 アスランのこの進言にクルーゼは当初難色を示したが、特務隊が先陣を切ると言われて仕方なくこれに同意している。攻撃開始は3時で、5時前には撤退を完了するという計画に修正する事になる。





 まだ日が高いラバウルでは今でも訓練が続けられていた。彼らは来るべきオーブ戦に備えて少しでも技量を高めておく必要がある。外洋では洋上艦隊が艦隊運動の訓練に出ているし、上空では飛行隊が編隊飛行の訓練をしている。
 この様子を司令部のビルのオフィスから眺めていたアズラエルは、満足そうに頷いてサザーランドを見た。

「よく短期間でここまで練成できましたね、准将」
「いえ、パナマ以降こちら側に余裕が出来ましたから、後方で訓練を積ませる事が出来ました。訓練に使えるMSも増えましたし」
「予備があるってのは楽だねえ。ザフト地上軍は補給が途絶えて息絶え絶えだし、そろそろ宇宙でも反攻作戦に出れるかな」
「そうですな。そうなればいいのですが……」

 サザーランドが珍しく表情を綻ばせて答えたとき、いきなり空襲警報が基地内に鳴り響いた。そして迎撃ミサイルが続けて発射され、海上に向けて飛んでいく。それに驚くまもなく海上に幾つもの光が生まれ、そして黒い粒が見えてきた。

「な、何が?」
「伏せてくださいアズラエル様、ミサイルです!」

 サザーランドが覆いかぶさるようにしてアズラエルを倒した。そして基地上空に達したミサイルは次々に多数の子弾をばら撒き、地上施設に被害を与えていく。この突然の攻撃に基地内は騒然となってしまった。
 そして起き上がったアズラエルとサザーランドは急いで発令所に降り、基地司令に状況を問い質した。

「司令、敵の攻撃かい!?」
「洋上からのミサイル攻撃です。どうやら潜水母艦が近くに居るようですな」
「なんで発見できなかったんだ!?」

 基地司令の答えにアズラエルが激昂したが、それをかき消すようにオペレーターたちの報告が相次いだ。

「ミサイル第2波来ます!」
「MSらしい反応来ます。数20以上!」
「先ほどの攻撃で基地内に混乱が広がっています!」
「とにかく空軍機を出させろ。MS隊は出せないのか!?」
「スカイグラスパーが緊急発進します!」

 報告が交差する間にもまた基地が振動する。敵の第2波が着弾したらしい。その衝撃に顔を顰めながらアズラエルは天井を見上げていた。

「まさか、昼間強襲を仕掛けてくるとはね。先の台湾の件といい、ザフトにはよほど無茶な指揮官が居るようです」
「ですが、こちらの意表を突かれたのは確かです。敵を侮っていましたな」
「港の艦艇は外に出した方が良いでしょう。アークエンジェルは?」
「残念ですがまだドックの中です。逃がせませんね」
「そうですか、では洋上艦隊の脱出を」

 湾口に居る艦艇を叩かれれば上陸作戦そのものが潰されてしまう。出来れば基地に接近される前に阻止したいところだが、おそらくは難しいだろう。こういう作戦ではこちらに第8任務部隊があるように、向こうにも必ず出てくる厄介な部隊が確認されているから。台湾でも出てきたあの強力なMS部隊が。
 そう、ザフトが最近になって編成した精鋭部隊、特務隊が出てくるだろうとアズラエルは考えていた。




後書き

ジム改 ラバウル戦開始。
カガリ アスラン、珍しく強気に出てるぞ。
ジム改 仲間の死が彼を突き動かしているのだよ。
カガリ だが今回はあいつの好きにはさせないぞ。こっちのが今回は強い!
ジム改 まあ、圧倒的な大軍だからねえ。どうやっても連合は負けないけど。
カガリ オーブの時とは逆になったな。今回はこっちのが沢山居る!
ジム改 あの時はむしろオーブ軍が雑魚過ぎたのでは?
カガリ やかましい!
ジム改 では次回、復讐に燃えるアスランたちの攻撃に晒されるラバウル基地。迎撃に出たMSや戦闘機が次々に撃破され、艦艇が損傷して傾いていく。ザフトの奇襲に混乱する連合軍であったが、アスランたちの前に頑強に立ちふさがる部隊があった。彼らに止められたザフトの前に奴らが現れる。次回「余所者の定め」でお会いしましょう。

 

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