第152章  激流の中で


 

 地球に対するBC兵器による軌道爆撃。それは人類史上誰もやった事が無い最悪の攻撃の1つである。既にプラントは質量弾攻撃という人類ならば想像はしても決してやらないだろう暴挙、地球を死の星に変えかけない所業をやってのけているが、俺に続いて西暦の頃から封印されていた戦略兵器による無差別攻撃を行おうとしている。それは、彼らのメンタリティが地球人のそれとは全く別の物であると証明するような物であった。
 最初、地球軍はそれを脅しだと判断した。幾らなんでも本気でBC兵器を使うとは思えなかったし、こんな任務でそんな物を持ってきているはずが無いと考えたのだ。
 しかし、クルーゼの脅しを無視して攻撃を続行した彼らの目の前で、カリオペは地上に向けて4発のミサイルを発射した。それを見た地球軍の将兵はまさかと思い、咄嗟にそれに対応できた者は少なかった。かろうじて一部の艦艇やMSがそのミサイルにビームを浴びせかけたくらいだ。だがその程度で地球に降下して行くミサイルを捉えられる筈がなく、ミサイルは地球への突入コースを進んで行く。
 一番低軌道付近に居たアークエンジェルはゴッドフリートを連射しながら更に高度を落とそうとしたが、損傷の酷い船体では下手に降下する事は出来ず、歯噛みして悔しがる事になる。目立つゆえにザフトに集中的に狙われたアークエンジェルの船体には幾多の弾痕が刻まれており、後退してもおかしくはない状態だったのだから。

「ノイマン、艦の姿勢を保って!」
「無理です、これ以上降りた艦が持ちません!」
「くっ、何も出来ないなんて!」

 地球に向かうミサイルを睨みながらマリューは悔しそうにうめいたが、その時サイがミサイルめがけて行動を落としていく2機のMSを報告した。

「艦長、戻ろうとしてたキラとフレイが!」

 そのミサイルにいち早く反応した2機のMSは重力に捕まる寸前のところまで機体を降下させていた。キラとフレイのデルタフリーダムとウィンダムだ。

「フレイ、君は戻って!」
「キラこそ、片腕のフリーダムでどうする気よ!?」

 アークエンジェルに戻る途中だったキラとフレイ。2人はクルーゼの脅しを聞いてそれが脅しだとは思わず、急いでカリオペに向かおうとしたのである。だが攻撃するには間に合わず、発射されたミサイルを迎え撃つ為に限界に近い低軌道に入っていたのだ。

「くっそお、照準がぶれる!」

 大気に触れた衝撃で弾かれそうになるのを押さえ込みながらプラズマ砲を連射するキラだったが、流石にこんなところではまともな照準が出来ない。それはフレイも同じで、ガウスライフルの弾をばら撒いているが直撃が出せず、遂に残っていた最後の1基のフライヤーを突撃、体当たりさせて無理やり1発を落とすという暴挙に出ている。

「こうなったら、大気圏に落ちてでも!」
「駄目よ、その機体じゃ燃え尽きちゃう。片腕が無いのよ!」
「じゃああれを見逃せって言うのか!?」

 更に高度を落とそうとするフリーダムを止めるフレイ。その僅かなやり取りの間にもミサイルは急激に高度を落としていき、捉えにくい所にまで行ってしまう。それを見たキラとフレイが絶望に顔を曇らせたが、そこに1つの通信が飛び込んできた。

「邪魔だ、退けキラ、フレイ!」
「なに!?」
「え?」

 邪魔だという声に弾かれるようにしてその場から退くフリーダムとウィンダム。次の瞬間には強力なビームが2機の近くを貫いてミサイルに後方から襲い掛かり、突入していく弾頭のうち2発を消滅させてしまった。
 残念ながら1発逃してしまったが、キラとフレイは誰が撃ったのだと背後を振り返り、そこに大型のビーム砲を構えたジャスティスの姿を見た。ジャスティスはもう一度ビームを発射したのだが、もうそれは磁場と大気に干渉されて直進せず、減衰してミサイルに掠りもしなかった。
 それを見送ったキラは悔しそうな顔をした後、振り返ってジャスティスを見た。

「アスラン、何で君が?」

 ザフトのアスランがどうして自分たちのミサイルを撃ち落すのだ。そう疑問に思っているキラの前で、ジャスティスはゲイツRにビームキャノンを返していた。アスランは咄嗟にシホのビームキャノンを奪って使っていたのだ。




 このミサイル攻撃を見たザフト艦隊を囲む地球連合艦隊はハルバートンの命令で砲撃を中止し、距離をとって遠巻きにしている。MS隊もそれまでの戦いを中止し、部隊ごとに集結して警戒位置にまで下がっている。ザフトMS隊も部隊ごとに集まっているが、その動きには戸惑いが見られた。彼らにとってもこの様な事態は予想外の物だったのだろう。
 そしてハルバートンは極東連合第1艦隊の古賀提督と相談した上で、ザフトのクルーゼに通信を繋いでいた。

「貴様、正気で言っているのか?」
「勿論だとも。ここで全滅するくらいなら、何でもやって見せる。脱出した兵と艦隊、これを連れ帰るのが私の任務だ」
「そんな攻撃をすれば、一体何人死ぬと思っているのだ!?」

 ハルバートンは激昂していた。BC兵器による無差別爆撃がもし都市部に降り注いだりすれば、どれだけの死者が出るのか想像も付かない。例え居住区でなくともBC兵器による汚染は何十年も影響を残す場合があるのだから。
 ザフトがかつてアティラウで化学兵器を使った時も大問題になり、結果として地球側の態度の硬化を招いた。それの再現をこの男はするというのかとハルバートンは思ったのだが、彼は目の前の男が自分の想像の範疇に入らない狂人であることを知る事になる。

「そうだな、上手く使えば何億人かな。本艦の搭載量だけでは地球全土を汚染する事は適わないが、そのくらいは道連れに出来よう」
「き、貴様は……」
「さて、決めて頂こうかハルバートン提督、我々と地球人の命は君の決断にかかっている。さあどうするのかね?」

 クルーゼは楽しそうに聞いてくる。このまま戦えばザフトの精鋭とビクトリアの脱出部隊は間違いなく殲滅される。だが同時に地球に深刻な汚染を残す事になる。だがここでクルーゼたちを見逃せば、これからの戦いはますます激しさを増すことになるのだ。どちらを選ぶのか、ハルバートンは決断を迫られた。

「提督、ヤマト級の砲ならばエターナル級など一撃で撃沈できます」
「待て、それで沈められれば良いが、仕留め損なえばどれだけの被害が出ると思う?」

 ホフマン大佐の進言をハルバートンは退けた。事が事だけに、100%の保証がなければ迂闊に手を出す訳には行かない。それにヤマト級の砲撃でもアンチビーム爆雷には止められる事が分かっているのだ。
 もっとも、ここでクルーゼとザルクのことをハルバートンが知っていたならば彼は地球の汚染を覚悟してでもザフトの殲滅を目論んだかもしれない。だが彼はクルーゼの正体を知らないので、最も常識的な判断をしてしまった。クルーゼの脅しに乗り、艦隊を退いたのである。カリオペは低軌道ギリギリにあるので発射されたミサイルを阻止するて立てが存在しないのだ。ハルバートンは大西洋連邦の軍人であり、それ以外の国の人間に対して責任を持つことは出来ない。もし彼の決断で世界全土にBC兵器が使用されれば、地球連合の結束は崩壊しかねないのだ。
 地球連合の艦隊が退いていくのを見たユーレクはまあそうだろうなと呟き、そして面白そうに呟いた。

「まあそれが限界だろうが、ここで指揮官が暴走していれば結果的に人類を救う事になっただろうな」

 クルーゼを始末する千載一遇のチャンスをみすみす見逃した事を、ハルバートンは後悔する日が来るかもしれない。この戦いで世界の進む道はますますクルーゼの望む方向に向かう事になる。コーディネイターは地上を滅ぼす事を厭わないのだという事になれば、ナチュラルは自らを守る為にコーディネイターの殲滅を考え出すだろう。少なくともプラントは完全に滅ぼそうとする方向に向かうはずだ。

「だが、クルーゼも全てのカードを持っているわけではない。人は黙って滅ぼされるほど弱くも無いのだからな」




 仕方なく退いていく地球艦隊。多数のMSに襲われて大きなダメージを受けたアークエンジェルも同様であり、MS隊が警戒しながらその後方に付く。しかし、その中でキラはアスランのジャスティスに無防備に近づいていくと、これがザフトのやり方かと聞いていた。

「アスラン、こんなのがザフトのやり方なの? BC兵器で脅して見逃してもらうなんて、あの時の僕たち以上に卑劣じゃないか!?」

 キラの糾弾の声が聞こえていない筈は無いのだが、アスランは何も答えようとはしなかった。キラの糾弾に弁解も肯定もせず、手にしているランチャーを隣のゲイツRに返している。
 アスランにも何も言い返す言葉が無いのだ。BC兵器による無差別攻撃などどう言い訳しても取り繕う事など出来ない最悪の戦術であり、それをザフトは実行に移してしまったのだから。
 勿論アスランはこの作戦に反対していた。反対したからクルーゼに罷免され、特務隊隊長の座を一時的とはいえハイネに譲る事になったのだ。特務隊は議長直属なのでクルーゼにアスランを隊長の座から罷免する事は出来ない筈なのだが、エザリアはクルーゼにその権限を与えていたらしい。こうなると自分を引き摺り下ろしたくて仕方が無いエザリアの心中まで見て取れてしまい、アスランは愛想を尽かして黙って特務隊隊長を退いたのである。
 だが、それだけなら別に問題とはならなかっただろう。特務隊隊長を罷免されたと言ってもアスランが高級将校である事には違いなく、新たにザラ隊の編成を任されていた可能性は高い。しかし、それもこのミサイル阻止で潰えただろう。アスランがやったことは味方の作戦の妨害に他ならないのだから。最悪死刑すらありえる。
 しかしキラはそんな事情など知らず、機体をジャスティスにぶつけて接触回線まで開いてきた。

「これなら聞こえるだろ、アスラン!」
「……お前と話すことは無いぞ、キラ」
「あるだろ、BC兵器って、正気なのか君たちは!?」
「ああ、正気だよ、正気だから阻止しようとしたんだ。友軍がこんな戦術を使う事を止められなかった俺の気持ちがお前に分かるのか!?」

 言われっ放しになっていたアスランもとうとう我慢の限界に達したのか、キラに激しい口調で言い返した。俺だってこんな作戦容認してなんかいないと言い返したアスランにキラはそんな言い訳通じるかと言い返し、暫し2人の間で低レベルな舌戦が繰り広げられる。
 それを呆れた顔で見ていたフレイは、味方が後退を始めたのを見てこれまでと判断した。どうやらハルバートンは兵を退く事にしたらしい。
 フレイは手にしていたガウスライフルを降ろして相手に戦意が無いことを示すと、密着したまま言いあっているキラとアスランを引き剥がそうと目の前のゲイツRに申し入れ、それに返事をしてきたのがシホだったので少し驚いてしまった。

「あ……、久しぶり、で良いのかな?」
「えっと、戦場で敵味方として再会して、久しぶりはどうなのでしょうか?」
「そうよねえ。でも他に言いようも無いし……」

 そもそも敵味方で顔見知りというのが問題なのだとは誰も突っ込んでくれないので、フレイとシホはどう表現すれば良いのだろうかと少し悩んでしまった。そんな事をしているうちに2人の言い争いはどんどん低レベル化を続け、今では幼少期の事まで持ち出して罵り合っている。なにやらあの時ボールの上に着地して豪快にすっ転んだだの、授業参観にお母さんが来てくれなくて泣いてただの、マザコンだの廃人だのとアホらしくなるような単語が飛びかっている。
 流石にこれ以上身内の恥を晒されるのは不味いと思い、フレイとシホはそれぞれの仲間を引っぺがしにかかった。引き離された2人はまだ文句を言いあっていたが、流石に仲間に諭された後では正気に戻ったのか、その声は小さくなっていった。
 これで終わりかと思われたが、別れ際になってフレイはあることを思い出した。

「そうだキラ、あの手紙の事、アスランに言わなくて良いの?」
「手紙って、アスランのお父さんが生きてるって話?」
「うん、嘘か本当かわからないけど、一応」

 ユーレクの手紙にはパトリックは生きていてクライン邸に監禁されていると書いてあった。もし本当なら救出する事も可能かもしれないのだ。だが与太話としか思えない類の内容であり、アスランが信じるとは思えない。
 そしてそれを聞かされたアスランは当然の事ながらそれを信じなかった。

「父上が生きている、誘拐したのはクルーゼ隊長? キラ、騙すのならもう少し上手い嘘を考えたらどうだ?」
「まあ、僕も信じられない話なんだけどね」

 流石にあの手紙の内容をすんなり信じられるようなら大物を通り越して馬鹿というべきだろう。アスランはキラの話を真に受ける事はなく、仲間を連れて艦隊の方に戻って行ってしまった。
 それを見送ったキラとフレイはまあそうだよなあと思いつつ、自分たちもアークエンジェルへと戻っていった。





 戦いは終わった。地球艦隊はザフト艦隊から離れ、クルーゼは無事に艦隊をプラントまで連れ帰る事に成功する。放たれたミサイルはクルーゼにとっては残念な事に過疎地帯である中央アジアの草原上空で炸裂してガスを散布し、数百人ほどが巻き込まれるだけに終わってしまった。ユーラシア連邦軍は急いでここに出動して救助活動と中和剤による汚染除去入っているが、C兵器の汚染は状況によっては長期に渡る事もあるため、今後どうなるかは分からない。
 そしてこのミサイル発射のニュースは世界中に衝撃をもたらした。プラントは地球を滅亡させる事を厭わない攻撃計画を実行に移そうとしたというニュースは地球に住む人類に衝撃をもたらし、そしてそれは世界中に反コーディネイター感情を爆発させる事になる。
 これはそのまま各国の強硬派を勢いづかせる事になる。特にジブリールに代表されるブルーコスモス最強硬派はこの事態を利用して勢いを盛り返す事になり、アズラエルに苦虫を纏めて噛み潰させる事になった。これまでの工作によって引き込んだ強硬派連中が再びジブリール側に付いたばかりか、中道派の中からさえジブリールに同調するものが現れだしたのだ。
 そしてこの動きはブルーコスモスだけではなく、各国の政界にも影響を及ぼしていた。民意がプラントの破壊を望みだした為、政治家がその方向に流れ出したのだ。政治家には民意に敏感に反応するタイプと地元の財界との繋がりで動くタイプの2種類に大別されるが、各国の政界は民意を背景にプラントを討つべしと言う者と、プラントを無くしたら今後の再建はどうなるのかと言い返す議員がぶつかり合っている。
 この動きにアズラエルは激怒したが、もはや彼にもこの世界の動きは抑えようがなかった。これまでかけた金が無駄になったと彼は嘆き、そして事態に干渉するのを止めてしまったのだ。

「もうどうにもなりません。世界中が怒りをもってプラントを滅ぼそうとしています。私に出来る事はアルビム連合に攻撃の矛先が向かないようにするくらいです」
「随分と諦めが早いな、お得意の金の力はどうした?」
「買収できる連中は買収しましたが、民意だけはどうにも出来ません。世の中には金だけでは動かせない物があるのです」
「……民主主義の美点にして最大の欠点だな」

 民主国家は民意で動く。これは民主国家の存在理由であり、そして最大の欠点だ。民衆は単純なことに反応し、目の前の事で右に左に振れてしまう。そんな理由で国政が左右される事は国を誤らせる元となるのだ。だから時として国の動きは民意を無視していると言われるのだが、それはしょうがないという場合もある。
 今回も折角築いた終戦への新たな道が民意によって崩壊し、崩れ去ろうとしている。民衆が熱狂を持って動き出したらもうどんな権力でも止めようが無いのだ。そしてそれを背景に動き出した政治家たちを止める事も難しい。民意を敵に回した政治家は次の選挙で落選する事になるから。

 頭を抱えているアズラエルに、キースは部隊に戻ると言って背を向けた。ジブリールを糾弾する予定だった総会は全く異なった結論、強硬派の意見が採択されて世界各国にプラントへの強硬姿勢を促す方向に圧力をかけるという方針が採択されるだろう。もはや自分がここにいても何の意味も無い。こうなった以上、一刻も早く戦いにケリをつけるしかない。
 だが、扉の前で足を止めたキースは、振り返らずにまだ足掻いている筈の知人の名を出した。

「カガリは、きっと諦めてないと思うぞ。あいつは良い意味で往生際が悪いからな」
「……彼女に世界を動かす力があるとでも?」
「1人じゃ無理さ。でも何人かが力を合わせれば、少しは大きな力になるんじゃないかな。お前だって無力じゃないんだぜ」
「私にカガリ・ユラ・アスハと、あんな若輩の小娘と手を組めと?」
「ああ、そうだ。それに落ち込んでるお前ってのは見ていて気持ちが悪い。やっぱり無意味に高慢で威張り散らしてこそムルタ・アズラエルだろ。大人しいカガリがらしくないように、な」

 キースは扉を開けて出て行き、アズラエルはやれやれと背凭れに身体を預けて椅子を軋ませ、これからどうするかと考え出した。こうなった以上自分も強硬路線に戻るしかないのだが、ロゴス全体の意思としてはプラントを完全破壊するのは困る。あれは富の源泉であり、まだまだ搾り取れる植民地なのだから。
 だが国民がここまで沸騰してしまうと議会工作だけではどうにもならない。せめて憤懣収まるまで事態が動かないでくれれば良いのだが、余り時間を置けばザフトが立ち直ってしまうのでそれも不味い。

「八方塞ですねえ。計画ではボアズ要塞を落とした辺りでザフトが降伏、プラントを理事国の管理下に戻す筈だったんですが、これでは殲滅戦になってしまいます。老人たちには何と言って言い訳しましょうか」

 とりあえず大統領や軍部と折衝をしなくてはなるまいと考え、アズラエルは渋々各方面に会談の根回しをするように指示を出す。出来れば連合諸国の代表を招いた首脳会談でもやって欲しいところだが、東アジアと大西洋連邦、ユーラシア連邦は急激に関係を悪化させているのでそれも難しい情勢だ。こうなってくると世界の舵取りは難しい。
 だが、ふとアズラエルはキースの言葉を思い出した。カガリは諦めていないと思うぞ、という言葉を。

「……カガリさんが流れを止めるきっかけを作ってくれる事を、期待しますかね。自爆するかもしれませんが」

 カガリには人を惹き付ける天性のカリスマのような物がある。それが地球連合諸国の情勢に僅かでも影響してくれる事をアズラエルは期待しだした。この際、神頼みをするよりはマシに思えたのだ。
 ただ、カガリは肝心なところで失敗する事が多いので、その辺りでまた何かしでかさないだろうなと心配していた。いろんな意味で彼女はアズラエルの想像を超える事をするトラブルメーカーでもあるから。




 その頃、オーブではカガリがいきりたっていた。よもや地上への無差別BC攻撃とは、出鱈目してくれるにも程がある。もしオーブの狭い島々に着弾したら、人口過密のオーブではどれだけの犠牲者が出るか知れたものではない。
 ただ、一応オーブの理念を継承したという建前を持つオーブは他国のようにプラントなんかぶっ潰せ、という怒号は聞こえてこなかった。未だに王政国家というオーブはカガリが激発していないので国としてはプラント討つべしという強硬論が吹きだしていなかったのだ。マスコミを総動員して世論誘導を徹底したり、カガリが自ら国民に訴えたりするという努力もある。
 ただ、これらの工作をやらされたユウナは過労でフラフラになっていたりする。オーブの人材難はまだまだ深刻なのだ。そんなボロボロのユウナをソファーに座らせた状態でカガリはどうしたものかと今後の事を相談していた。

「とりあえず、このままじゃプラントを完全破壊するしかなくなるな。連合は間違いなく報復戦略の準備に入るだろうし、封印されてた核弾頭を持ち出しかねないぞ」
「まあ……、今回は先に手を出したのは向こうだからねえ。連合が報復に出ても文句は言えない」
「だがそれじゃプラントは間違いなく全滅する。今回だって艦隊戦ならザフトは間違いなく全滅してたんだ。つまりプラントはもう連地球軍に対抗できないという事だ」
「そりゃこれだけ消耗すればね……。多少の新兵器じゃ戦争には勝てないさ」

 新兵器の開発や新戦術の考案、優れた人材、これらは確かに戦争を遂行する上での重要なファクターだが、あくまで短期決戦に限定できるならばだ。今回の戦争のように長期戦になれば国力が物を言うようになり、失った戦力を補充できないプラントに勝ち目は無くなる。既にその限界点を超えてしまったプラントには反撃に出た地球軍に対抗する術は無いのだ。
 だからこのまま押し続ければ連合は間違いなく勝てる。カガリはプラントの戦力を粗方奪い去った上で屈服させるという考えを持っており、大西洋連邦のササンドラ大統領や赤道連合のマリフ首相などもこれに賛同している。地球連合軍の戦略も大体これに沿ったものであり、ボアズかヤキン・ドゥーエを陥落させた辺りでプラントは降伏してくるだろうと考えていた。
 だが、それはプラントが地球にとって脅威ではなくなったら、という前提での話だった。まさか今回のようにプラント側に地球を全滅させるような意思があるとなれば、また話は変わってくる。BC兵器は貧者の核とも言われるほど安価に製造する事が可能な兵器だ。確かに研究費や初期投資は大変だが、宇宙という空間では完全な隔離施設には事欠かない。そういった場所で密かに製造する事は十分可能なのだ。ましてプラントでなら製造施設など幾らでも調達できる。
 プラントにこのような暴挙に出る考えが有るというのならば、地球連合は安全保障のためにプラントの存在を容認できなくなる。事が自分たちの存亡に関わるだけに、妥協など出来ない問題だからだ。

「とにかく私は一度各国の首脳と話し合ってみる。出来れば一度連合総会を開きたいくらいだがな」
「連合総会を開いても結論は出ないさ。東アジアがガンになってる」
「どうにかならないのかよ?」
「残念ながら、オーブみたいな小国じゃあ大した発言力も無いからね」

 カガリに言われるまでもなく、既にユウナは赤道連合や大西洋連邦、極東連合などに連絡をとっていた。だが彼らは首脳会談ならともかく、連合総会の開催には否定的であった。これまでにも連合総会で激しい対立がおき、意見が纏まらなかったことは多い。今回もそんな形になるだろうと各国の代表者は口を揃えて言ってきたのだ。
 だから変わりにユウナは太平洋沿岸国による首脳会談を打診し、返答を待っている状態である。幸い沿岸4ヶ国は仲が良いので意見の対立は出難い。各国とも今回の事件を背景にした強硬派の突き上げに苦慮しているようで、一度意見を纏めたいという思惑はあったのだ。
 そして内政方面を担当しているユウナの父、ウトナが現在の国内の情勢について報告をした。彼はホムラ政権から横滑りしてきた人材で、今では数少なくなったオーブ貴族の1人だ。

「国内は首長家の威光に物を言わせて今のところ暴走を押さえ込んでおりますが、何時まで持つかは不明ですな。私は正直言いますと何時TVのトップニュースにコーディネイターへの暴行事件が出てくるか気が気でなりません」
「そうならないよう警察と軍を使って各所を警戒させてるんだろ。出来れば現在のオーブの姿を崩したくは無い。一度やったら、たぶん二度と戻せなくなる」
「居住区の区分け、ですか。それも1つの方法ではありますが……」

 ザフトが撤退した後、オーブでは反コーディネイター感情が高まって危険な状態となった事がある。占領されていた恨みを国内のコーディネイターにぶつける事件が多発し、全てのコーディネイターを安全なところに隔離してナチュラルと切り離すことで対立を防ごうとした事があったのだ。
 だがこれはカガリに却下された。私はお父様のやり方を全て否定している訳じゃない、こんなやり方はオーブの国是と否定するものだと言って、カガリはナチュラルとコーディネイターが共存できる社会を崩す気は無い事を示したのだ。
 これを受けたユウナはこのプランを引っ込め、次善の策として地球軍に協力による
治安維持案を提出し、これを実行に移した。名目的には解放直後の治安の悪化を防ぐ為とされた処置だが、実際にはコーディネイター系市民を守る為の処置だったのだ。
 そして混乱も収まってくるとこういった事件を起こす馬鹿も自然と少なくなり、オーブ社会は昔の平穏を取り戻したのである。それに戦後復興が始まって仲間内で喧嘩をしている場合でも無くなったのだ。

「とりあえず今は国内を混乱させない事だ。情報を統制してでも国民の暴走を防げ、必要なら多少の強攻策も認める」
「情報統制と弾圧、まるで悪の独裁国家だねえ」
「茶化すなユウナ、私は真面目に言ってるんだ!」

 クククと笑うユウナを睨みつけて怒鳴るカガリ。それにユウナは悪かったよと軽く謝って話を切り替えたが、これはブラックジョークと言うべきだろう。オーブは専制君主が支配する独裁国家だ。これは否定しようが無い。ただ独裁国といっても民主国家と同等の自由と平等は保障されており、近代国としての要素はきちんと有していた。だが必要とあればその自由を制限し、独裁国家らしい強権を行使する事が出来る。
 まさかその独裁国の悪い部分をカガリが見せる事になろうとは。ウズミ以上に子供らしい潔癖症な部分を持つカガリがそれを言い出したことにユウナは指導者として成長したのだと感じると共に、カガリの精神的な余裕を心配していた。カガリはウズミの独裁者としての部分をきっぱりと否定している。そのカガリが同じ事をしているのだから、彼女は抱え込んだ矛盾に苦しむ事になるだろう。




 オーブ内の混乱を押さえる為の方策を話し合っているところに、いきなり謁見の申し出が入ってカガリは驚く事になる。それが誰からの物かと聞いたカガリは、オーブ軍ニ尉のエドワード・マスと聞かされて困惑してしまった。何故あいつがとカガリは疑問に思ったが、現状に関係する事で知らせたい情報が有ると言われては黙ってもおれず、カガリはエドワードを執務室に招きいれた。
 首長室に招かれたエドワードはカガリがいる執務机に向かうように立つと、軍人らしい敬礼をしてきた。

「エドワード、今回の件というのは、ザフトの行ったBC兵器による攻撃の事か?」
「いえ、正確にはあの攻撃を行った敵の司令官に関する情報です。この世界の裏側で力を蓄えてきた、戦争を裏から煽ってきた組織についてです」
「戦争を裏側から煽ってきた?」

 どういう事だ、と顔を見合わせるカガリとユウナ。ソファーに腰掛けているウトナの眼はサングラスに隠れてて見えないが、恐らく老獪な光を宿している事だろう。

「どういうことだ、何でそんな組織の事をお前が知っている?」
「簡単な事です、私もその組織の一員だったからです。ラウ・ル・クルーゼをリーダーとする組織の」
「その組織の名は?」
「ザルク、人類を棺桶に送る組織です。ザルクの目的はただ1つ、人類への復讐です」

 エドワードは語った。ザルクは戦争の影にその姿を見る事が出来る。そのメンバーはプラントと地球の双方に潜伏しており、影から少しずつ地球とプラントの対立を煽っていた。あの悪名高いユニウス7の惨劇も、ザルクが裏側から手を貸した結果起きた惨劇なのだと。

「クルーゼ隊長から聞いた話ですが、ザフトの防衛ラインにわざと隙を作り、そこに弱点があるとブルーコスモスに吹き込んだそうです。後は知っての通り、地球軍はプラントに侵攻し、核によってユニウス7は崩壊しました」
「どうしてユニウス7なんだ?」
「当時、そこにはパトリック・ザラ国防委員長の夫人が居たそうです。彼女を地球軍の手で殺害すれば元々コーディネイター至上主義者で愛妻家でもあったパトリック・ザラは必ず怒り狂うというのがクルーゼ隊長の考えだったそうです。実際、事態は隊長の思う方向に進みました」

 ユニウス7の惨劇の後も、ザルクは戦火が拡大するように仕向けてきた。まあ全てがザルクのせいという訳でもなく、アティラウの惨劇などは関係ない士官が暴走した結果らしいのだが。
 ザルクの最終目標はプラントと地球が共倒れして滅亡する事であり、人類を滅ぼす為にあらゆる努力を重ねている。自分などもザルクのスパイとしてオーブに送り込まれていて、様々な情報をクルーゼに送っていた。

「まあ、私が送った情報は余り生かされなかったようですが。カガリ様が中立国の姫君でありながら地球軍に組してゲリラ戦をしていたなどという情報も送りましたが、そんな物を使うまでもなくオーブを攻める口実が出来てしまったようでして」
「ゲリラ、地球軍に組してた?」
「ま、まあ、それはもう過ぎた事だから口に出さないように」

 何の事だという顔をするユウナを遮るようにしてわざと大きな声を出したカガリは、視線でエドワードにこれ以上余計な事を言うなと釘を刺し、咳払いをして話を変えた。

「それで、だ。お前の話を信じるならそんな漫画みたいな悪の組織が世界を滅ぼそうとしている事になる訳だが、何でお前はそんな組織に入ったんだ?」
「……私は、捨てられたコーディネイターなんです。髪の色が要求と違うという理由で親に捨てられた、ね」
「捨てられたコーディネイター?」

 何だそれは、という顔をするカガリ。その疑問に答えてくれたのはエドワードではなく、ソファーに腰掛けていたウトナであった。

「もう随分前になりますが、子供をコーディネイター化するという事がブームになった時期がありましてな。親が子供を愛玩物と看做した時代ですが、親は自分の望む姿の子供を欲したのですよ。ですが遺伝子操作とはそんな都合の良いものではなく、要求した通りの姿で生まれてくるとは限らなかったのです」
「じゃあ、その要求どおりにならなかった子供ってのが?」
「ええ、捨てられたコーディネイターです。資産家の贅沢な捨て子ですな。まあ、そういう子供を預かって育てる施設は存在したのですが、そのまま闇に葬られた子供の数も計り知れないという噂もあります」

 捨てられたコーディネイターの赤ん坊たちは孤児院のような施設で育てられたのだが、全ての子供が生きる事を許された訳ではないらしい。中には親の要求で処分されてしまったり、戸籍を抹消された上で何らかの実験材料に供されたと言われている。当時は遺伝子研究のタブーが失われて暴走した時代でもあり、膨大な数の人間や卵子が実験の糧にされたとされている。
 その話を聞いたカガリは自分が生まれたというメンデル研究所の話を思い出した。様々な人から話を聞かされ、そして本国に戻ってからは自分でも調べたメンデル研究所の実体は、カガリの背筋を凍らせるような物であった。イタラはもう全てを完全に知っている者は居ないと言っていたが、残ってなくて幸いだと思ったほどである。

「それじゃあ、お前がザルクとかいうのに入ったのは?」
「最初はブルーコスモスでした。プラントでぬくぬくと生きているあいつらが許せなくて、ブルーコスモスに入ってプラントで幾度かテロをした事もあります。プラントだとコーディネイターだというだけで信用されましたから、動き易かったですね」
「…………」
「ですがナチュラルへの恨みも消えた訳でもなく、この世界全てが憎くなっていた頃、クルーゼ隊長が私の前に現れて誘いをかけてきたんです。人類に復讐したくないかね、と」

 プラントでテロをしていた事がある、と聞かされたカガリは明らかに表情を変えたが、今は話を聞く時だと分かっているのか口は挟まなかった。しかし、クルーゼの誘い方はまるで悪魔の誘惑のようで乗る奴が居るとは思えないのだが、目の前にその話に乗った奴が居るので効果的なのだろう。
 話を聞き終えたカガリは背凭れに身体を預けて軋んだ音を立てさせ、腕組みしてエドワードを睨みつけていた。

「で、何でそんな話を私の所に持ち込んできたんだ。お前は人類全体を憎んでるんだろ?」
「ええ、まあ、これまではそうでした」
「これまでは?」
「まあその、なんと言いますか、オーブにはマユラたちが居ますから」

 顔を赤くして右手で頭掻き出したエドワードに、カガリはそれまでの緊張がぶち壊されていくのを感じて脱力してしまった。ユウナの方は笑いを堪えるのに必死という感じであり、ソファーのウトナは我関せずとばかりにコーヒーを啜っている。何の反応も示さないのは人生経験の差だろうか。

「つまり何か、お前はそんな悪の組織を色恋沙汰で裏切ったってのか?」
「ま、まあ、端的に言うとそうなりますか」
「そうとしか言わねえよ、このボケ!」

 お前まさか私を担ごうとしてないだろうなと聞いてしまうくらいにカガリはアホらしい気持ちになっていた。何処の世界にそんな馬鹿げた理由で世界を相手にしようとしている組織を裏切る奴が居るというのだ。
 そしてカガリは、当然の事ながらエドワードの話を素直には信じなかった。いくら何でもこんな与太話を素直に信じろという方が無理だろう。カガリはエドワードにその話を信じられるような証拠は無いのかと問い、残念ながら証明する証拠の持ち合わせは無いと答えている。ただ、オーブ開放作戦においてモルゲンレーテの地下で核を爆発させようとしていた連中はザルクのメンバーだったと伝えた。ザルクのメンバーは服の襟などに棺桶を象った紋章を付けているので見分ける事は可能らしい。
 だが、誰がザルクのメンバーなのかはエドワードにも分からない。ザルクは横の繋がりが全く無いスパイ網のような組織をしており、全てを知っているのはクルーゼとその直属だけらしい。エドワードは他のメンバーを殆ど知らない代わりに、自分を知る者も殆ど居ない。だから自分のように裏切り者が出ても組織の全貌を知られることは無い。もしかしたらオーブの中に自分以外のスパイが居るかもしれないのだが、それを知る事は出来ない。

 カガリはユウナと相談した上でこの話の裏を調べる事にし、エドワードにはこの件はそれまで保留すると答えた。ただし、内容が内容だけにエドワード自身を完全に自由にする訳にはいかず、彼には暫く基地内で待機状態になってもらう事となった。勿論これまでどおり軍務はしてもらうが、外出するには許可が必要となり、場合によっては監視をつけるという制約が科されることになる。
 それに、とりあえずカガリはエドワードのことをユウナに任せて国内の事にかかりきりになるしかなかった。エドワードの話はまだ酔っ払いが酒場でする与太話よりはマシという内容であり、なるほど分かったと動き出す訳にはいかない。だからカガリはユウナに任せてしまたのだが、後にカガリはこの事を後悔する事になる。



 そして、このニュースを見て立ち上がった者が、カガリ以外にももう1人いた。未だにアメノミハシラに滞在していたラクスだ。戦闘の詳細を伝えるニュースが流された時、彼女は驚いて立ち上がり、そして焦りを見せていた。一緒にお茶を飲んでいたリーアムや樹里も厳しい表情でモニターを見ている。

「これは不味いですね、地球軍は間違いなく報復に出ますよ」
「どどど、どうすんの。なんかますますやばい方向に行ってるよ!?」

 NBC兵器は相互確証破壊に基づく報復を覚悟しなくてはいけない兵器だ。ゆえに脅しとして使えるのであり、互いに切る事の出来ないカードとなる。正気の国家ならばこんな物に頼る事はせず、通常兵器で勝利を目指すだろう。
 しかしザフトはその一線を越えてしまった。前回のアティラウの時はユニウス7の報復だと強弁する事も出来たが、今回はザフトが先に使ったのだから。NBC兵器の保有量の差を考えればザフトには勝ち目が無いはずなのに、何故彼らは使ったのだ。
 樹里がパニックを起こしてリーアムが首を傾げている中で、1人ラクスは何故か得心したような顔で大きく頷いていた。ようやく彼女も見つけたのだ、自分が倒すべき相手を。

「ラウ・ル・クルーゼ、貴方が私の倒すべき敵なのですね」

 これまで何と戦えば良いのかはっきりと見えていなかったラクスは戦争指導をしているパトリック・ザラを敵と看做して、結果的にプラントそのものを敵にしてしまうという失敗を犯した。性急に事を運ぶと碌な事にならないという凡例の1つと言えるくらいに愚かな事をしでかしたラクスであったが、ようやく戦う相手を見つけたのだ。
 だが、その呟きを聞いたリーアムはコーヒーを一口啜った後、ラクスの決意にちょっと水を差してしまった。

「それは良いのですが、どうやって戦うんです?」
「……はぅ……」

 折角テンションを上げていたところに水を差されて、ラクスは椅子に腰を降ろしてしょんぼりと自分のコーヒーに視線を落としてしまった。その通り、まずこれからどうするのかを考えなくてはいけないのだ。プラントに向かう船はもうすぐやってくるが、プラントに残っている同志と連絡を取る手段さえ無いのだから。その手段を握っていたダコスタはメンデルで戦死し、プラントでは偽者が現政権の後ろ盾を元に自分は誘拐されて無理やり協力させられていたという嘘を振りまいている。
 状況は絶望的に悪い。そのことを思い出してラクスは再び暗澹たる気持ちに陥ってしまうのであった。なお、つっこんだリーアムは樹里に後頭部を殴られて頭を抱えていたりする。




後書き

ジム改 世界はジブリールの望む方向に向かっております。
カガリ 私は雑魚扱いか。
ジム改 まあ、所詮は小娘だし。
カガリ 納得がいかん、これでもオーブの獅子の娘だぞ!
ジム改 獅子の娘が獅子とは限らないし。まあ一部の人は認めてくれてるけど。
カガリ ところで、結局ザルクって何なんだ?
ジム改 ようするに人生負け組みの集まりだ、嫉妬団の狂ったバージョンだな。
カガリ 一気にグレードが下がったような気がするな。
ジム改 でも根は深いぞ、10年以上にもわたる恨みだからな。
カガリ 執念深いなあ、連合が総力挙げればすぐに潰せるんだろ。
ジム改 流石に国家と真っ向から戦って勝てる武装集団は無いなあ。
カガリ よし、では早速オーブ軍を動員して潰しに行こう。
ジム改 何処に?
カガリ ザルクの本部を潰しに行くに決まってるだろ。
ジム改 ザルクの本部は何処にあるか不明なんだが。
カガリ なに、エドワードが知ってるんじゃないのか!?
ジム改 1人が裏切ったくらいで潰れるような組織なら、とっくに潰れてるよ。
カガリ ぬわんだとう!?
ジム改 それでは次回、作戦妨害の責任を取って辞表を出すアスラン。特務隊は解散され、他の部隊に編入されてしまう。そしてエザリアは新たな直属部隊の編成に入り、同時に新たなMSの開発がスタートする。地球ではジブリールがブルーコスモス内で主導権を握る。そしてカーペンタリアから最後の潜水艦隊が出撃し、最後の作戦に望む。次回「英雄退場」でお会いしましょう。


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