第153章  英雄退場




 穏やかな日差しが注ぐプラントの軍施設の一角で、ベンチに腰掛ける少しくたびれた白服を着た青年が居た。手にしている袋から豆菓子を掴んで足元に居る鳩たちに放っている様はまるで隠居した老人のようであったが、彼は一応まだ16歳である。
 そう、この人物こそ赤い死神と呼ばれたザフト最高のエースの1人、アスラン・ザラの姿であった。その顔にはなにやら色々なものを背中から降ろした人間特有の開放感とでもいうような物が伺える。
 その何処か空虚な穏やかさを見せているアスランの元に、1人の女性士官がやってきた。

「ザラ校長、学生たちが訓練をつけて欲しいと言っていますが?」
「またですか、俺はもうMSを降りたと断って欲しいんですが?」
「申し訳ありませんが、ザフトの英雄に直に見てもらえると生徒たちが張り切っています」
「……ミリアム先生、貴女だって俺に劣らない凄腕でしょうに」

 やれやれと菓子の袋を閉じると、アスランは屑を払って立ち上がった。生徒たちが待っていると言われては、どうにも断り辛い。それがザフトのアカデミー校長に就任したアスラン・ザラという男であった。
 しかし、人生降りたように見える彼であったが、その女難癖は未だに健在のようであった。彼はアカデミーの生徒の中に恐るべき相手を見出していたのだ。何とここにはルナマリアの妹、メイリン・ホークが在籍しており、彼女を通じてアカデミー内の女子生徒にアスランの噂が広まっていたのである。おかげでこの生徒と大して年が変わらない若き英雄は女子生徒たちの好奇心の集中砲火を受けたのである。おかげで彼は生徒たちから離れるようになったのだが、今回のように頼まれると断れない人の良さが彼の弱点だろう。



 あの作戦終了後、アスランはカリオペの独房に収監されたままプラントへ帰還することになった。プラントに付いた後も彼は犯罪者として扱われ、憲兵に固められたままの状態で議長の元に連行される事になる。連れて行かれるアスランにエルフィが駆け寄ろうとしたのだが、それは憲兵の1人に止められてしまった。

「駄目だ駄目だ、アスラン・ザラは先の作戦を妨害した容疑者として議長が査問にかけることになっている」
「何が査問よ、あんな作戦実行する方が狂ってるじゃない!」
「止せエルフィ、今は不味い!」
「ディアッカさん、ディアッカさんは納得できるんですか、こんな処分って!」

 BC兵器による無差別攻撃、それを聞いて衝撃を受けたのは連合の将兵だけではない。大多数のザフトの兵士たちはナチュラルに勝ってプラントの独立を勝ち取りたいとは思っているが、地球を滅ぼしてナチュラルを絶滅させようとまでは思っていないのだ。いや、そんな事を考えるような人間は狂っていると言うべきだろう。
 その狂った作戦を自分たちが実行したという現実はザフトの将兵の精神を打ちのめした。自分の手で世界を滅ぼしかけたなどという認識は、正気の人間に耐えられるものではない。だからザフト将兵の間ではアスランの行為を賞賛する声の方が大きかったのだ。
 だが命令違反は命令違反であり、アスランを無罪放免とすることは出来ない。アスランは上官に反抗した罪で裁かれなくてはいけないのだ。
 しかし、この理屈も周囲を納得させる事はなかった。これまでにアスラン以上に無茶苦茶なことをした人間が幾人もお咎め無しだったと言うのに、どうしてあんな攻撃を阻止したアスランが罪に問れなくてはいけないのだ。
 だが、これはアスランが望んだ事でもあった。彼はもうこれ以上クルーゼと共に戦う事が出来ない事を自覚しており、ザフトから離れたいと思っていたのだ。彼のプラントに対する義務感と国防意識はこの僅かな期間で磨耗し切ってしまったのである。



 しかし、アスランの希望は適わなかった。アスランを査問にかけようとしたエザリアは、査問を受けるまでも無いと言ってアスランが差し出した辞表を受理する事はせず、その日は官舎に戻らせたのだ。そして翌日出頭させられたアスランに提示されたのは、特務隊隊長からの解任とアカデミー校長を命ずるという辞令であった。特務隊は解散され、メンバーは他の部隊に配置換えとなる。
 この一晩の間にどのようなやり取りがあったのかはアスランには分からないが、恐らくエザリア派とザラ派の間で激しいやり取りがあったことくらいは想像できた。いくらエザリアがザラ派の駆逐を目論んでいるといっても、かつての最大派閥をそう簡単に根絶できる物ではなく、依然として政界財界、そして軍部におけるザラ派の力は大きい。彼らの事を考えればアスランをこのまま首にする事は出来なかったのだろう。だが邪魔者であるアスランを再び要職につけるわけにもいかず、妥協点を求めてアカデミーの校長という名誉職を回したのだろう。

「何か、不満があるか。アスラン・ザラ?」
「……1つ、質問を宜しいですか?」
「ああ、良いだろう」
「先のBC兵器使用は議長の許可を受けたという事ですが、議長はこの戦争をどういう形で終わらせるつもりなのですか?」
「君もか、優秀な指揮官は皆その質問をしてくるな」

 それを聞いたエザリアは不快そうな顔になった。なんでもアスランの前にマーカストやウィリアムス、イザークといった指揮官たちも同様の質問をエザリアにぶつけてきたらしい。今回の攻撃で地球連合側は完全にプラントの殲滅を考え出した筈で、エザリアはどうやってこの戦争を終わらせるつもりなのかと誰もが不安になったのだ。
 そして、この問いに対してエザリアは恐るべき答えを返している。そう、この戦争は地球が滅びる事で終結すると。

「幸い、ジェネシスの建造はどうにか目処が立っている。後暫く持ち堪えてくれれば、地球をこれで焼き払う事が可能なのだ」
「…………」
「君にはザフトの次代を担う人材を育成してもらいたい。前線で君が経験した事を生徒に伝えてくれ」

 この滅茶苦茶な話を、アスランは何も言わずに受け入れた。もうこうなった以上、自分にもどうする事も出来ない。せめてプラントがどういう道を辿るのか、ザフトの中から見てみたいという程度のささやかな望みくらいしか持ってはいなかった。それにジェネシスを撃つつもりでいるエザリアに、アスランは絶望してしまったのだ。目の前の議長は地球という星に対して何の思い入れも無いのだろうか。あの美しい星を平気で焼き払うなどと言うとは。
 こんな話を聞かされて、アスランはこのエザリア政権に完全に見切りをつけてしまっていたが、さりとてラクスのようにクーデターを起こすほどの気概は無く、命令を黙って受け取るだけだった。内心では自分の意地に部下を巻き込んでしまったという後悔もあったのだが、それすらもこの無力感の前には吹き消されそうな程に小さな物となっている。
 もうどうでも良くなって出て行こうとしたアスランだったが、それはエザリアに呼び止められた。まだ彼女の話は終わっていなかったのだ。それは、アスランにとって無視し得ない話であった。

「アスラン・ザラ、ラクス・クラインの事だが」
「……あの偽者の事、ですか?」
「気付いていたか。そう、彼女は此方で用意した替え玉だ。本物は先日、クルーゼ率いる部隊が反逆者として殺害している」
「ラクスが、死んだ?」

 それは決して想像できない事ではなかった。最悪の可能性の1つとして考慮していたものではあった。だが考えてはいても、実際に突きつけられるとショックは隠せない。表情を曇らせたアスランにエザリアは遠慮する様子を見せず、そのまま話を続けていた。

「君は彼女をラクス・クラインだと思って接してもらいたい。彼女の求心力はプラントを纏めるのに必要なのだ」
「民衆を欺き続けれると思っているのですか?」
「戦争が終われば引退してもらう。それまでの間持てば良いのだ」

 それも予想通りの話だった。ラクスは反逆者であって許す事は出来ないだろうが、彼女の求心力は無視できない。ましてパトリックに比べると見劣りするエザリアならば彼女は是非とも利用したい駒だったろう。それを替え玉で手にするというのも短期的なら悪い話ではあるまい。だが、自分に演技に付き合えとは酷い話だ。
 結局アスランはこの件に関しては確約しなかった。その替え玉を前にしたとき、どういう対応をしてしまうか確信がもてなかったのだ。それにシーゲルの安否を問いかけても返事をぼかされ、それが更にアスランの不信感を煽ってしまう。エザリアはプラントの独裁者にでもなるつもりなのだろうか。


 アスランは左遷を受け入れたが、アスランがアカデミーの校長に左遷されたという報せを聞いた男は黙っていなかった。イザークは統合参謀本部から辞令を手に出て来たアスランを捕まえると、フィリスが止めるのも聞かずにその襟元を掴み上げてどういう事かを問い質したのである。

「どういう事だアスラン、何でお前がアカデミーの校長なんかに!?」
「辞表を出したら却下されてな。まあ、ザラ派へのせめてもの配慮、という事だろう」
「お前はそれで良いのか。これから戦いはますます厳しくなるんだ、お前まで前線を離れたら、ザフトはどうなる!?」
「……それは、済まないと思っている」

 その気の抜けた返事にイザークは激昂しかけたが、ふと彼は気付いてしまった。俺の知っているアスラン・ザラという男は、こんな無気力な目をした男だったかと。

「アスラン、お前どうしたんだ?」
「もう、疲れたよ。戦争も、派閥争いもな」

 それは疲れきって全てを投げ出した男の声だった。その無気力な眼も全てを投げ出してしまった人間特有の、地に足が付いていない悲しげな物だ。アスランは絶望してしまったのだろうか、これからのプラントの運命と、これまで自分がしてきた事に。
 完全に覇気を無くしてしまったアスランの姿に衝撃を受けたのか、イザークはよろめく様に3歩後ろに下がってしまう。その開いたスペースを通ってアスランはイザークの前を通り過ぎ、出口に向かって歩いて行ってしまった。
 それを見送ったフィリスは声をかけてアスランを呼び止めようか迷ったが、結局彼女は何も声をかけられなかった。そして呆然としているイザークの傍によると、彼の肩に右手を乗せて軽く身体を揺さぶる。

「隊長、大丈夫ですか?」
「……なあフィリス、あいつは、本当にアスランだったか?」
「ええ、間違いありません。別人のような雰囲気ですが」

 フィリスも戸惑っていたが、イザークにはアスランの変化が受け入れられなかったようだ。ある意味イザークはアスランの背中をずっと追いかけていた。いつかあいつを超えてやる、いつかあいつを見返してやると努力し続けてきたイザークにとって、その目標であったアスランがああも腑抜けてしまったという事が現実として受け入れられなかったのだ。
 ショックの余り動けなくなっているイザークをフィリスは仕方なく壁際に追いやり、彼が自分を取り戻すのを待った。暫く待つとイザークは我を取り戻し、頭を軽く振ってフィリスに謝ってきた。

「すまん、醜態を見せた」
「いえ、構いません。ですが、ザラ隊長は……」
「戻ってくるさ、あいつならな」

 不安そうな顔をするフィリスにイザークは彼らしくない笑顔を見せてそう言いきった。

「あいつにも休みが必要だったって事だ、疲れが取れたらまた戻ってくる。それくらいの間なら俺がザフトを支えてやるさ」
「ジュール隊長」
「フィリス、恐らく母上は特務隊を解散する筈だ。何人かこっちに引き抜いて戦力を補強するぞ。特務隊レベルで無いと足付きには歯が立たんからな。お前は手続きをしておいてくれ、時間はそう無いぞ」
「はっ、了解しました!」

 何時もの調子を取り戻してきたイザークにフィリスは嬉しくなって元気よく答え、そして踵を返して本部を出て行こうとするイザークの隣に並んで歩き出した。

「ところで隊長、そろそろお昼ですし、どうです一緒に?」
「フィリス、さっき言った事を忘れたのか。今は時間が惜しいんだ」
「昼食くらいとる時間は有ると思いますよ」

 フィリスに言い返されたイザークは小さく唸って少し考えた後、仕方無さそうにそれを受け入れた。それを聞いたフィリスが嬉しそうなのを見てイザークは暢気な奴だと口に出して言っているが、この場にディアッカが居れば彼は今夜にも嫉妬制裁の嵐に晒されていただろう。





 こうしてアスランはアカデミーの校長となったが、同時に兵器開発局からこれまでの実戦経験を買われて新型MSの開発への協力を求められていた。彼の持つパイロットとしての技量はザフトの中でも屈指の物であり、テストパイロットとしても有望だったのだ。またその実戦経験も豊富であり、現場の意見を出してほしいという意味もある。
 だが、彼が求められた開発部署は開発局の中では傍流に位置する第3課であった。ここはフリーダムやジャスティス、ゲイツといった新型を生み出した部署などとは異なり、既存機の改修などを担当する地味な部署である。当然新型のザクには関われず、ゲイツRの不具合改修などをしている。
 だが、ここに呼ばれたアスランお前に示されたのはゲイツではなかった。それはジンに近い機体だったのだ。第3課が独自にMSを開発しようとしていたのである。しかし完全な新型ではなく、ジンのバージョンアップとでも言うべき設計プランである。そのデータを見せられたアスランは驚愕していた。それは現在のザフトMSの設計思想とは大きく外れた、ジンにのみ見られる思想が伺える機体だったからだ。

「これは、何なんです?」
「これはジンの発展型MSです。クローカー博士が残っていれば、この機体がシグーと呼ばれていたでしょう」

 アスランにデータを見せた技師、ロベルト技師はジンの開発に最初から関わった人物であり、クローカーの元で様々な事を学んだらしい。だがクローカーがプラントを去って以来ザフトのMS開発の方針は変わり、シグーやゲイツ、ザクといった1機でも多くの敵を倒せるMSが次々と開発されていった。その究極の姿がジャスティスやフリーダム、プロヴィデンスだ。
 だがクローカーの設計思想は大きく異なる。クローカーはパイロットを守る事を、1人でも多く生還できる事を重視し、性能を多少犠牲にしてでも機械的信頼性や整備性、操縦性に十分な配慮をしていた。その結果としてジンはゲイツが登場した今でも多くのパイロットから支持される機体となっており、新兵に扱い易い機体として改良を重ねられて生産され続けている。
 そのクローカーはプラントを離れる前にジンのコンセプトを継承した新型MSの開発を行っていたのだが、その実機が作られる前にプラントを離れてしまい、次期主力MS計画は現在のシグーという姿で完成された。
 
「でも、何でこんな物が今頃?」
「我々はこれを元に現代戦に対応した改良を加えた新型の開発していましたが、そのテスト機がある程度完成してきたのです。それで申し訳ないのですが、ザラ校長に手を貸していただけないかと思いまして」
「技本のテストパイロットはどうしたのです?」
「……それが、熟練兵の不足でテストパイロットの一部が前線に出てしまったのです。残った少数のパイロットは1課と2課が使っていて、此方には回ってきません」

 ザフトの台所事情は後方を支えていた人間さえ前線に送り出さねばならないほどに疲弊していたのだ。エザリアの戦略を考えればあと少し持ち堪えれば勝てるのだから、形振り構っている必要は無いのだろう。
 まあアカデミーの校長など、時々回されてくる書類に目を通して、生徒の前に出て訓辞をする程度の閑職なのでかなり暇であり、アスランはまあ良いかとこの申し出を受けていた。必要ならアカデミーに持ち込んで教官たちの意見を聞く手もある。

「分かりました、あらかじめスケジュールを教えていただければ、此方も便宜を図りましょう」
「助かります」
「ところで、この機体の名は何と言うのですか?」
「ガルム、クローカー博士の設計図にはそう書かれていました」
「ガルムですか」

 ロベルトの返答になるほどと頷いて、アスランは視線をデータに落とした。予想されている機体性能はゲイツRに及ばないだろうが、これがジンの正当な後継機だったとすれば、もしかしたらこれはザフトにとって救世主になるかもしれないとアスランは考えていた。今のザフトで主力を努めているゲイツ、及びゲイツRは新兵には手に余るMSであり、機体性能を生かせぬままに性能に劣るストライクダガーに仕留められるケースが多いのだが、ジンの特性を受け継ぐというのならばこれは新兵にも扱い易い機体なのだろう。


 こうしてザフト兵器開発局の中では日陰と言える場所からスタートした計画は、歴史に埋もれていたMSを再生する事になる。それはかつての仲間たちの協力も得て、異常な速さで開発が進む事となる。





 クルーゼの暴挙以降、地球軌道にザフト艦艇が近づく事は不可能になった。地球軍は地球周辺の制宙権を完全に押さえる事に全力を注ぐようになり、常時2個艦隊規模の艦隊がアメノミハシラを拠点として展開し、多数の哨戒部隊がうろつき回るようになったからだ。更に防空衛星多数が要所に展開し、仮に先のヴィクトリア部隊収容艦隊と同規模の部隊が接近してきても地球軌道に近づく前に殲滅可能なほどの防衛力になっている。
 防空衛星以外では以前から開発が進められていたファントムと小型ステーションを組み合わせた自動迎撃基地も投入されだした。ようするに無人機と無人輸送艦を組み合わせたもので、識別信号を発していない目標を確認すると周囲に警報を送り、味方を呼び寄せると共に搭載機で迎撃を開始するというものだ。これは軍の部隊拡充に兵員の補充が追いつかないという地球軍の抱える問題に対する解答の1つで、哨戒網の穴を埋める事が出来る。無人システムゆえにやや高価であるが、状況はそんな文句を許さなかった。
 先の戦いで壊滅状態になった第5、第6艦隊の再建も急がれると共に、パナマ基地で打ち上げ予定になっている第1、第2艦隊の準備も急がれている。地球連合諸国はこれ以上ザフトに時間を与える事は危険だと判断し、短期決戦の準備を始めたのだ。それはザフトの望む土俵に上がる事を意味するが、核を撃ち込まれるよりは良い。



 あのミサイル攻撃以降、軍への志願者の数は更に増えた。おかげで兵員の不足は解消されつつあるのだが、訓練施設が不足するなどの笑えない事態も発生している。訓練不足の状態で前線に送り込む事は他ならぬ前線部隊が拒否しているので、地球軍の兵士は規定の訓練を終えてから前線に送られている。しかしそれでも新兵であり、そこから現地で戦えるようになるまでにはまだまだ長い時間が必要となる。
 宇宙軍は反撃に出るための準備を進めてはいたが、折角再建した艦隊も既に半数近くが消耗し、また再建に入っている。その結果訓練した兵士も多くが消耗され、艦艇があっても運用できる兵士が足りないという状態になった。ザフトが陥っている兵員不足という問題に地球軍も蝕まれていたのである。
 しかし座して待っている訳にもいかない。地球軍はザフトに対する小規模部隊による遊撃消耗戦、フリントロックを発動させ、ザフトの前線基地に対する襲撃を繰り返す事になる。これは同時にザフトが地球に手を出す余力を失わせるという意味も持っている。


 この攻撃によってザフトは複数の前線基地を破壊され、艦隊を動かす事が困難に鳴り出した。正面戦力に力を注ぐ余り支援装備の充実は疎かになっており、艦隊を遠隔地で展開させるのに十分な数の艦隊型補給艦を持っていない。それが禍して前線基地から離れた場所に十分な数の部隊を回せなくなってしまったのだ。
 この再度のミサイル攻撃を恐れた地球軍の攻勢は、結果としてザフトの戦力をすり減らしてしまった。それはこれまで追い詰められた鼠の立場から来る死に物狂いの士気の高さで数の不利を補ってきたはずの筈のザフトが、逆に死に物狂いになって攻撃してきた地球軍に士気の高さという面で並ばれた事を意味している。クルーゼの攻撃はナチュラルを本気にさせてしまったのだ。



 プラントでザラ派の潜在的求心力であったアスランが失脚させられた頃、地球では戦争を終わる方向に持っていっていたブルーコスモスの盟主、ムルタ・アズラエルが盟主の座から下ろされ、新たな盟主が誕生しようとしていた。アズラエルが開催した総会において、ジブリールがアズラエルの盟主としての方針に疑問を投げかけてきたからだ。
 開催されたブルーコスモス総会においてアズラエルはジブリールの強化人間とその関連技術を第3者に流したという行為を糾弾し、これには総会のほぼ総意を持ってジブリールを糾弾する事になる。これに対してジブリールは活動資金の確保のためにやむを得ずやった事であり、資金を断ったアズラエルを逆に糾弾したのだが、これは完全に周囲から無視された。
 だが、その後がアズラエルにとって最悪の方向に流れた。ザフトのC兵器使用という行為に多くのブルーコスモス有力者は激怒していて、この総会においてもこれまで自分が取り込んでいた有力者の多くがジブリールの強硬論を支持しているのだから。
 この総会でアズラエルはプラントへの直接侵攻による屈服、そして占領統治と軍事力の完全な放棄を迫る事を提案したのだが、ジブリールの主張はアズラエルの出した妥協案とは比較にならない強硬論であった。そう、プラントの完全な破壊とコーディネイターの殲滅を唱えたのだ。これには地球に住むコーディネイターも含まれて居たのだが、流石にそれは参加者たちも難色を示した。
 しかしジブリールの主張は大筋においてアズラエルの主張よりも参加者たちの賛同を集める事になる。あのC兵器攻撃が彼らの危機意識を煽ってしまったのだ。


 ジブリールはこの追い風を受けてアズラエルを糾弾した。アズラエルのとった融和という方針が連中を調子付かせたのだと。奴らは完全に根絶しなくてはいけないのだということが今回の攻撃で証明されたと。
 これに対してアズラエルは財界の承諾が得られず、強硬論を通せば今後財界の支援を得られなくなると主張して利権で動き易い層を味方に引き込んだのだが、元々強硬派は利害よりも感情で動く層が中心である為、大勢を動かすには至らなかった。
 アズラエルの主張が大勢を動かせないとと見たジブリールはアズラエルの指導力そのものに疑問を投げかけ、アズラエルを引き摺り落しにかかる。ジブリールにしてみれば折角訪れた一発逆転のチャンスであり、もう後は無い彼に怖い物は無い。その鬼気迫る演説姿と血走った目には見る者を圧倒する凄みがあった。
 この騒動は盟主の再選にまで発展してしまい、強硬派と強硬派に近くなった中道派を取り込んでジブリールが穏健派と中道派を纏めたアズラエルに勝る結果を招いてしまう。穏健派はアズラエルが嫌いだったが、アズラエル以上にジブリールが大嫌いだったので消去法でアズラエルの側についている。中道派はこれまでと同様の動きをしているだけだ。
 結局多数決による採決でジブリールは僅差でアズラエルを下し、アズラエルは盟主の座から下ろされて新しくジブリールを盟主とする新体制が生まれる事になる。これはブルーコスモスが更なる暴走に走る事を意味していたが、アズラエルはそれを特に拒まなかった。彼にとってブルーコスモスという看板にはもうそれほどの価値は無かったのだ。
 ただ退任の挨拶において、彼はブルーコスモスに脅しとも取れる言葉を残していた。

「まあ仕方がありませんん、今後はジブリール君に任せるとしましょう。私はブルーコスモスから身を引かせていただきますので、今後は独力での活動をお願いします。私は私のやり方で今後の活動を続けるとしましょう」
「それは、今後アズラエル財団の協力は受けられない、という事ですか?」

 流石にアズラエルがブルーコスモスから手を引く、という事態は想像していなかったのか、強硬派の有力者の1人が血相を変えた。アズラエル財団はブルーコスモスにとって重要な財源であり、政界や財界、ロゴスへの影響力も大きい存在だ。それが手を引くとなるとブルーコスモスの力は一気に弱体化しかねない。何しろブルーコスモスの強大化の背景にはアズラエル財団のバックアップがあったからこそなのだから。
 アズラエルがブルーコスモスを放れて独自の活動をするという事は、ブルーコスモスとは異なる新たな圧力団体を新設するか、全く別の組織を利用するということだろうか。どちらもアズラエルなら可能だ。アズラエル財団にはそれだけの力があるのだから。

「ブルーコスモスが私の考えと外れるというのなら、私が協力する理由は無いですからね。そして私の考えはロゴスの方針でもあります。違いますかジブリール君?」
「……そ、それはそうだが」

 アズラエルの言葉にジブリールははっきりと怯んだ。アズラエルはブルーコスモスの盟主であったが、それ以上に軍需産業連合理事、つまりロゴスのTOPにある人間でもある。どちらがより恐ろしいか、考えるまでも無いだろう。ブルーコスモスの強大な力の背景にはロゴスのバックアップがあったのだから。ジブリール家もロゴスの一員であるが、アズラエル財団とは比べるべくも無い弱小勢力だ。
 まあロゴスが完全にブルーコスモスを見限る事は無いだろうが、アズラエルが手を退くという事はロゴスの支援は確実に減るということになり、ジブリールが本当に望んでいた潤沢な活動資金と政治に介入する権力が激減する事を意味する。これではブルーコスモスの盟主になる旨みが無いではないか。

 大混乱に陥った総会会場に背を向けたアズラエルは、会場の外で彼のシンパたちに囲まれる事になった。

「アズラエル様、本当にブルーコスモスから身を引かれるおつもりですか?」
「当然でしょう、盟主でなくなった以上、ブルーコスモスに僕が拘る理由はありません」
「では、我々はどうすれば良いのですか?」
「それくらい自分で考えなさい、ブルーコスモスに残るも良し、私についてくるも良し。自分で何かを始めるのも良いでしょう」

 企業人であるアズラエルにとって、ブルーコスモスは手足として価値があった。企業が独自に軍組織を持つのは非効率的に過ぎるしイメージ的にも良く無い。だからそういう仕事の為にマフィアと手を組むという事はよくあるが、ロゴスはその仕事の為にブルーコスモスを選んだのだ。
その意味が無くなるのならばブルーコスモスに拘る必要などは無く、新たな組織を見繕って手駒にすれば良い。もしくは新規に手足となって動ける組織を作るなりすれば良いのだ。いや、そんな事をしなくとも既に幾つかの国家要人と直接的な関係もあるのだから、彼らに頼んで実行してもらうという手もある。現在なら大西洋連邦のササンドラ大統領とも意見の一致を見ているので、ブルーコスモスという看板はむしろ邪魔だったとも言える。
 さし当たってはササンドラ大統領と連絡を取って今後の方針の摺り合わせをしつつ、ロゴスの老人連中と話をしてロゴスとしての動きも考えなくてはいけない。場合によっては傭兵を集めてロゴスの意向で動く私兵部隊を編成するくらいの必要も出てくるかもしれない。

「これから、また忙しくなりそうですねえ」

 後ろ髪引かれる事も無く颯爽とブルーコスモス総会の会場から出て行くアズラエル。その後ろには彼の主だった側近たちが続き、そして少し遅れて考え込んでいた人間たちの中から利に聡い者たちが続いていく。彼らはジブリールに付くよりもアズラエルについていった方が利益になると判断したのだろう。逆に動かなかった者たちは迷いを見せたままに踵を返して会場へと戻っていく。
 こうしてブルーコスモスからアズラエルは去ることになり、新たな盟主となったジブリールはブルーコスモスの方針をアズラエルのような政治の道具的な物からより過激な方向へとシフトさせ、地球各地に残るコーディネイターへの攻撃すら容認する新たな方針を打ち出した。

「これまで我々は間違えていた、あの薄汚い宇宙人どもを地球から完全に駆除する事が我々の大義なのだ!」

 ジブリールの方針は教条的な強硬派からは支持される物であったが、大多数の参加者からは疑問視される物であった。その方針は結構だが、それを実行するための資金や装備は何処から出てくるのだ。アズラエルが盟主だった頃は財団がそれなりの金を出してくれたが、お前にそれだけの力はあるのか? というのが大半の人間の偽らざる感想だったのである。
 あのような攻撃を受けて尚これまでの路線を維持しようとするアズラエルには付いていけないが、さりとてジブリールではどうにも心許ない。このジレンマを解消できるかどうかが今後のブルーコスモスの命運に関わってきそうだった。





 地球におけるザフト最後の拠点、カーペンタリア。ここは一度地球軍に完膚無きにまで叩かれた事があり、その戦力を大幅に減少させていたのだが、今では復旧も進んだ事でその価値を回復させている。集まっている戦力も過去最大級であり、決して弱体とは言えない存在だ。強いて問題があるとすれば、集まっているのが敗残兵の群れということくらいだろうか。
 カーペンタリアには現地改修型MSや鹵獲MSが多く、逆にゲイツ系のような新鋭機は殆ど配備されていない。各地の敗残部隊が持ち込んできた機体がそのまま守備隊に転用されたのだが、新鋭機を持っている部隊は少なかったのだ。ただ陸戦型MSであるバクゥの数は多く、それだけが救いだといえる。
 このカーペンタリアは長い事大きな動きを見せず、マスドライバーも無い事から規模の割には地球軍から放置されてきた。地球軍としては封じ込めておけば良い拠点であり、無理に攻略する必要性も感じられなかったのである。
 だがそれも過去の事であり、ビクトリアが陥落した今、地球軍がこの基地を攻略する事を躊躇う理由は無い。宇宙用の戦力は続々と宇宙に上がっていく中で、地上用の部隊はこの最後のザフト拠点を叩く為に南太平洋に集まりだしていたのだ。
その中でも最大の物が大西洋連邦と赤道連合、極東連合の艦隊が集まっているポートモレスビー基地である。前にアスランによって破壊された基地だが、その後再建されてカーペンタリア封鎖作戦の拠点として機能している。この基地からは戦術偵察機が交代でカーペンタリア基地を偵察する為に飛び立っているのだが、それが妙な情報を掴んできてカーペンタリアの司令部を困惑させていた。

「ザフトの潜水艦隊が動いている、だと?」

 カーペンタリア攻略作戦の指揮をとっているゴームレー中将が意外そうな顔で参謀を見た。参謀は偵察機が撮影してきた写真を並べ、湾口から潜水艦隊が出撃している様子を示す。

「数はそれほど多くありません、10隻前後というところでしょう。恐らく稼動艦艇の全てだと思われます」
「10隻前後となると、MSは60機から80機というところだろうが、その程度の数で何をするつもりだ?」

 ゴームレーは首を捻った。確かにその数は戦力としてはそれなりのものだが、現在の戦局を考えれば余りにも中途半端すぎる。最大数を見込んで80機程度を持ってきたとしても、その程度でもしポートモレスビーを狙うのなら自殺行為だ。ここには4隻の大型空母を含む150隻もの艦艇と数百機のMSが集まっているのだから。

「この程度の数で我々にそれなりの打撃を与えられるとすれば、どのような方法が考えられる?」
「可能性としては要港への強襲か、各地に分散して散発的な奇襲を加える神経戦が考えられます。どちらも潜水艦隊を磨り潰す覚悟が必要ですが」
「今の奴らにとってはそれは余り問題ではなかろうな。潜水母艦など残しておいてももう意味は無い」

 ザフトは戦力を宇宙に上げる事に固執している。それを考えれば潜水母艦など何の価値もなく、磨り潰しても惜しくは無いだろう。だが、それならもっと早い時点、艦隊が集まる前に洋上で仕掛けるべきでは無いだろうか。それとも今になって用意が整ったということだろうか。

「どうにも分からんな。まあオーブのサザーランドの所にでも送っておけ。我々はカーペンタリア攻略が第一だ」
「そうですな。仮に我々の方に来たなら、潰せば良いだけのことです」
「ですが、念のために対潜哨戒の範囲を広げては如何でしょうか。万が一ということもあります。幸い対潜哨戒機には余裕がありますし」

 司令官の判断に参謀長が同意したが、作戦参謀が多少の懸念を示した。これを受け入れたゴームレーは対潜哨戒機のシフトを作るように指示を出し、この件はこれで終わりにしてしまった。カーペンタリア攻略戦までそう日が無く、余計な事に気を回している暇など無かったのだ。
 だが、後に彼はこの決断が元で大きな失態を犯す事になる。彼らはザフトが攻撃しそうな要所で、かつ防備が手薄な場所を見落としていたのだ。



 ポートモレスビー基地には毎日のように新たな部隊がやってきて、基地側はその収容に追われている。そんな中で、些か変わった戦闘機が飛行場へと降り立っていた。それはエメラルドグリーンを貴重としたスカイグラスパーで、最近になって量産が開始されたアサルトパックを装備している。それはキーエンス・バゥアー大尉のスカイグラスパーであった。
 基地に降り立ったキースは真冬の北米から真夏の南半球に来た事で少し戸惑いを感じていたが、すぐに荷物を担ぐと真っ直ぐに自分の原隊であるドミニオンへと向かった。とりあえずキースはナタルから艦を離れる前に出した問いへの答えを貰いたかったのだ。
 しかし、残念な事に彼は艦長に出迎えられる前にドミニオン整備スタッフの熱い歓迎を受ける事になってしまう。ドミニオンに居る3人の強化人間はいずれも困った奴らであり、彼らを纏められるキースという存在はドミニオンの希望の星だったのだ。
 仲間たちに歓迎されたキースは当然の事ながらむさくるしいおっさんに囲まれても嬉しい筈は無く、「ええい引っ付くな暑苦しい!」と声を上げて整備兵たちを蹴散らそうとしていたりする。だが多勢に無勢、キースは揉みくちゃにされて暫しの間格納庫で地獄を見るのであった。

 その騒ぎをキャットウォークの上から眺めていたオルガは、隣で手摺にもたれかかっているシャニに面白そうな顔で声をかけた。

「意外と早かったじゃねえか、戻ってくるのがよ」
「またウザイ奴がグダグダ言ってくるんだろうな」
「まあそう言うなよ、俺は仕事が減って助かるぜ」
「……お前が隊長ってのもムカつくんだけど」

 キースの指導によりオルガはシャニとクロトを纏めた小隊の小隊長にされている。まあ他の2人ではリーダーなど出来ないので自然とそうなったのだが、オルガに命令されるのがシャニには面白くは無かった。でも文句言うと自分の仕事が増えるかもしれないので余り表では言わない辺り、少しは学習しているらしい。
 2人で下らない話をしながらキースを見下ろしていると、レイダーからクロトが顔を出してきた。

「あれ、何かあったの?」
「ああ、俺たちの隊長様の帰還だよ」
「隊長って……まさかもう戻ってきたのかよ!?」

 慌ててコクピットから這い出して下を見たクロトは、そこにキースの姿を見つけて頭を抱えてしまった。この3人組の中ではクロトが一番キースを苦手としているのだ。何故かあれこれ言われると頭が上がらない。MAに変形できるレイダーに乗っていたためにキースに一番過酷に扱き抜かれたせいか、骨の髄まで躾けられてしまったのだろう。


 格納庫からようやく開放されたキースはボロボロになった軍服を大雑把に整えると、トホホ顔で荷袋を背負い直した。

「やれやれ、この日の為にわざわざ新調した制服だったんだけどなあ。これじゃ艦長に合わせる顔が無いぞ」

 艦を出て行くときにあんな事を言ってしまった手前、多少は格好を付けていった方が良いかなと考えていたキースだったのだが、現実は残酷であった。艦長に会う前に張っておいた見栄が一瞬で何時ものボロ軍服に成り果ててしまったのだから。
 パンパンともう一度軽く上着をはたいてため息をつき、艦橋に行くかと呟いて歩き出したキースであったが、彼は通路に入ったところで思いもかけない人物と出会ってしまい、目を丸くしてしまった。

「……艦長?」

 自分の前に現れたのはナタルだった。何故か息を切らしていて何時も被っている軍帽が何処にも無いが。彼女はキースを見ると慌てて壁についていた手を放し、見た目の呼吸も整えて何時ものように敬礼をしてきた。

「大尉、よく戻ってきた。これからまたよろしく頼む」
「……ぷっ…くくく……くっくくくくくく!」

 だが、それはキースには逆効果だった。まあ何時のもナタルを保とうとしてカッコをつけても額に汗の粒を浮かべ、ヨレヨレになった軍服を見れば走ってきた事が丸分かりなのだが、それを誤魔化しているつもりなのがなんともおかしかったのだ。
 だが笑われた方は勿論大真面目であり、笑われた事に腹を立ててしまった。

「な、何ですか大尉。何で笑うんですか!?」
「いや、だってなあ。そんないかにも慌てて走ってきたって格好で敬礼されてもさあ?」
「そんな事はありません。べ、別に大尉を出迎えに来た訳では!?」
「俺はそんな事一言も言って無いけど?」
「あっ……」

 しまった、という顔をするナタル。それを見たキースはまた笑い出し、通路にナタルの照れ隠しのような叱責の声が響いていた。それを聞いたクルーは多かったのだが、気を利かせたのか邪魔しに来ようとする野次馬は現れなかった。この2人の関係はドミニオンでは誰もが知っている公然の秘密なのだから。

 こうしてドミニオンは戦闘隊長の復帰によって戦力を回復し、カーペンタリア侵攻の準備は整った。羽を伸ばしていた問題児3人もボスの帰還によって再び押さえ込まれる日々が始まり、訓練の毎日を行う事になる。
 尚、戻ってきたキースはナタルの事を艦長ではなく名前で呼ぶようになった。




後書き

ジム改 アスランとアズラエルは現場から退場。
カガリ イザークが今後はザフトの星かな?
ジム改 最大の問題はアスランが居なくなった事でキラを止められる奴が居なくなった事だ。
カガリ ザフトにはまだまだエースが……
ジム改 イザークやディアッカじゃなあ。
カガリ ザフトには新型は無いのか?
ジム改 インパルスがある。
カガリ 他の4機は?
ジム改 地球用なので作る意味が無い。それならインパルスを5機作る。
カガリ 初陣で何機か落とされそうだな。
ジム改 まあ今回で地球軍はいよいよプラント侵攻の準備に入った。決着の時は近いぞ。
カガリ このままプラントが滅びそうなんだが?
ジム改 ピースメーカー隊作れば確実に滅ぼせそうだよな。
カガリ 何、出すのかピースメーカー?
ジム改 …………
カガリ おいこら?
ジム改 それでは次回、フリントロックに参加する為出撃する第8任務部隊。キラたちはそこでザフトの切り札、ヴェルヌと遭遇することに。プラントではイザークがインパルスと出会い、エルフィたちにも束の間の休息が訪れる。そしてアスランはミーアと顔をあわせた。時代がクルーゼの思惑通りの方向に向かう中、必死に足掻く少女は自分にやれる事を見出す。次回「夢から覚めて」でお会いしましょう。

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