163章  星の降る夜



 ザフトの前線基地の1つ、小惑星基地トーラス。これまでは地球に対する前線拠点として、地球への中継基地として機能してきたこの基地は、今陥落寸前という有様となっていた。
 トーラスに向けて立て続けに強力なビームが浴びせかけられ、それが着弾するたびに強固な岩盤が砕け抉られ、露出している人工物が吹き飛ばされていく。小さいとはいえ小惑星を利用した基地が一寸刻みに削れていく様は信じられないような光景と言えるだろう。
 この基地の守備隊は戦艦とMSを繰り出して迎撃を行っていたのだが、この艦隊は攻撃してきている敵を射程に捕らえることにさえ難儀していた。何しろ敵艦隊はザフト艦隊の有効射程の外に居たのだから。

 トーラスを攻撃していたのは極東連合の第1艦隊である。ヤマト、ムサシに加えて3番艦シナノを加えた事でその圧倒的な砲撃能力を更に強化していた同艦隊はトーラスに対して間断無い砲撃を浴びせ続け、ザフトに反撃を行う余裕を与えなかった。

「古賀提督、ザフト艦隊は此方を迂回して距離を詰めようとしておりますが、どうしますか?」
「駆逐艦とMSで対応させろ。我々はこのまま要塞を破壊する」
「ですが、駆逐艦だけでは損害が拡大する恐れがありますが?」

 駆逐艦は他国の艦と性能的に差は無い、これではザフトを相手にするのは不利ではないか。そう進言してくる参謀の意見を受けいれた古賀はシナノを迎撃部隊につけてやることにした。トーラスはこのままヤマトとムサシで砲撃し続ければ無力化するのもそう先の話では無いだろう。
 だが、その前にトーラスからMS隊が出てきて艦砲射撃を避けながらヤマトとムサシに迫ってきた。ヤマトとムサシはそれぞれ24機ずつのオリオンが搭載されており、戦艦でありながら中型空母並のMS運用能力を持っているのでMSの攻撃を受けても恐れる必要は無いのだが、念のため古賀は後方の空母部隊にMSの来援を求めさせた。
 古賀の要請を受けて後方の空母ウンリュウとアマギから16機ずつ、合計32機のストライクダガーが出撃して援護に向かった。オリオンの生産が追いつかず、空母部隊の格納庫は大西洋連邦からの供与機で埋められているのだ。
 トーラスから出てきたザフトMS隊の数は30機前後、迎撃に出た数は直衛に残った16機を残して64機、2倍の戦力差があってはどうする事も出来ず、4機が迎撃を突破できただけであった。4機は散開しながらヤマト1隻に攻撃を集中してきたのだが、これも直衛機の迎撃を受け、これを突破した2機のジンHMはヤマトに取り付く前にヤマトとムサシ、そして護衛の駆逐艦から放たれた多数のレーザー砲が作り出す弾幕と対空モードで速射されてくる粒子ビームに迎えられ、射点に辿り付く事も出来ずに撃墜されてしまった。


 艦隊への敵機の襲撃が終わったのを見た古賀はトーラスへの対要塞ミサイルの使用を命じた。砲撃で対空、対艦火器の大半を破壊されたトーラスには既に迫る敵機を自力で排除する力は無く、空母部隊から発艦してきたメビウスと護衛のオリオンを防ぐ術は殆ど無かった。僅かに生き残っていた対空砲はオリオンの攻撃で潰されてしまい、要塞から出てきた小数のジンHMもオリオン隊に阻まれてメビウスにたどり着けないで居る。
 そしてメビウス隊は運んできた対要塞ミサイルを指定されたポイント目掛けて次々に発射して離脱していった。オリオン隊もミサイルが放たれたのを見て慌てて撤退していき、ザフトを拍子抜けさせている。だが、ミサイルが着弾した時彼らはその意味を悟った。要塞に着弾したミサイルは次々に強烈な光と共に膨大なエネルギーを生成して大爆発を起こし、頑丈な岩盤を大きく抉り取っていく。その破片が周囲に飛び散ってザフトMSなどに襲い掛かり、被害を更に拡大していった。

「まさか、核ミサイルを使ったのか!?」
「何でだよ、NJが効いてる筈だぞ!?」

 ザフトの兵士たちはその凄まじい破壊力にナチュラルは核ミサイルを復活させたのかと疑ったが、実際には違っていた。NJCが連合に流れた事で核ミサイルを復活させる事は可能になっていたのだが、今回使われたのは極東連合が開発していた核とは異なる兵器である。そう、オーブや大西洋連邦がビーム兵器として使っているローエングリンと同じ反粒子兵器、反物質弾頭ミサイルであった。原理としては陽電子砲よりも単純な物で、生成が比較的容易な反水素を真空中で安定させた磁気容器と水素を積んでいるだけである。この2つを着弾と同時に割れば対消滅を起こして大爆発するという理屈だ。
 陽電子砲ほど凶悪ではなく、また反物質弾頭の取り扱いにも注意が必要な為に危険の大きな兵器であったが、核ミサイルが封じられたこの戦争においては意味のある兵器となる筈であった。参戦時に大きな発言力を得られると期待してこんな物を大金投じて開発していた極東連合であったが、NJCの登場で意義を減じてしまった。残念ながらまだ普通に核ミサイルを使った方が安価で強力な兵器となるからだ。
しかし折角作ったのだから実戦で使いたいという思惑もあり、こうして前線に投入されることになった。また、NJCのサイズの為に小型化が困難な核ミサイルの代わりとして小型戦術弾頭にするという案も出ている。

 反物質ミサイルを続けて叩き込まれたトーラスはゆっくりと崩壊を始め、粉々に砕け散っていった。それはザフトの防衛ラインに大穴が開く事を意味していて、ザフトの戦略に早くも大きな負担をかける要因となった。




 トーラス基地破壊、その知らせはイザークたちの帰還とほぼ同時期にプラントに届いた。プラントに帰還して負傷者の軍病院への搬送手続きを終えたエルフィの元に慌てふためいた様子で軍港の係員が駆け寄ってそれを伝え、聞かされたエルフィは一仕事終えてホッとしていた表情を再び引き締めた。
 そしてこれを聞かされたイザークは怒りに顔を真っ赤しに、もう我慢できないとばかりに大股で艦から離れていこうとする。それを見たエルフィは慌ててイザークを引き止めた。

「ど、何処に行くんですかジュール隊長!?」
「決まっている、評議会ビルだ。母上に会って一言言ってやる!」
「駄目ですってば、幾らなんでもアポ無しで会えるはず無いでしょう!」
「そんなのどうにでもしてやる!」

 両手でイザークの腕を掴んで引き止めるエルフィをずるずると引き摺って行こうとするイザーク。そのパワーに引き摺られていくエルフィは周囲に助けを求め、ヴェザリウスの手空きのクルーたちが慌てて駆け寄ってきてイザークを押し潰しにかかった。イザークは最初彼らを跳ね除けていたのだが、数の差には勝てずにとうとう押し潰されてしまった。

 そんな間抜けな事があったりしたが、とにかくプラントの中ではトーラスの喪失は衝撃を持って迎えられる事になる。脆弱なステーション基地ならばともかく、小さいとはいえ堅牢な小惑星基地が核兵器も使わずにこうも簡単に破壊されるとは思ってもいなかったのだ。
 そしてトーラスの破壊はそのまま前線に穴が開いた事を意味しており、ザフトはこの穴を塞ぐ為に艦隊を派遣する必要があるということを意味している。
 そしてこれに続いてもう1つの凶報がプラントにもたらされた。前線の中継拠点として機能していた最大の前線基地、クリントにも地球軍の攻撃が加えられたのだ。艦艇は無く、20機ほどのMAによって運ばれてきた対要塞ミサイルによる攻撃で、数が少なかっただけにこれといった被害は出ていないのだが、これは遂にクリントまで敵の攻撃圏に入った事を意味している。更にこのとき使用された対要塞ミサイルが核ミサイルか、それに類する威力を持つ新型弾頭であるという報告も寄せられた。
 この状況を重視したザフト上層部は直ちに戦略会議を開いたが、そこでこれといった解決策が出ることは無かった。宇宙艦隊は数はそれなりにいるが、此方から打って出る余裕などは何処にも無いと言いきっているし、各根拠地の守備隊はこれ以上兵力を割かれる事に激しく抵抗を示した。プラントを守る宇宙要塞ボアズにはかなりの大軍が入っているが、これをクリントの増援に割く事は出来ない。下手に兵力を分散しても各個撃破されるだけで無駄に兵力を失うだけだという事が明らかになっているからだ。

「クリントの放棄は既に決定されている、今更援軍を送ってどうしようと言うのだ?」

 これが出席者たちの偽らざる本音であった。プラントの戦略は2ヶ月持ち堪える事であり、敵をとにかくボアズで食い止める事だ。そのためならば全ての前線基地を捨石にする事も辞さない、それがザフトの決定である。
 これに従うのならばクリントは現有兵力で持ち堪えられるだけ持ち堪えてもらうしかない。彼らは捨石であり、そこで全滅してくれても惜しくは無い存在だ。まあ一応1ヶ月持ち堪えたら撤退しろという命令は出ているが、あの基地がそこまで持ち堪えるのは不可能だろう。
 この場に参加している諸将、とりわけ前線の状況を熟知している一部の隊長や提督などはこの前線部隊を切り捨てる方針に反感を抱いてはいたのだが、彼らは命令に従うだけの立場であり、戦略方針に異議を唱える事は出来ない。誰の顔にも諦めの色があり、2ヶ月持ち堪える事など出来るはずが無いと思っているのが伺える。
 そんな参加者の中にあって、イザークは腑抜けたような同僚たちの顔を苛立たしげに睨んだ後、隣にいるシホに小声で憤懣をぶつけていた。

「分かるかシホ、今じゃこんな奴らがザフトを指揮しているんだ」
「大を救うために小を切り捨てる、戦略的には必要な事では?」

 軍事的に考えれば切り捨てるというのも一つの選択だ。無理に救おうとして余計に傷口を広げてしまった例は過去に幾らでもある。それらを考えれば一部を切り捨てて本国の防衛体制を整えようとする上層部の判断は間違っているとはいえまい。
 だが、イザークはシホの言葉に頷きはしたが、それだけではないと答えた。

「地上でアスランはクルーゼ隊長の反対を押し切って台湾の守備隊を救出した。地球に残った兵を脱出させる為に宇宙軍は必死に頑張った。そうしないと兵士のザフトに対する信頼と忠誠が崩れるからだ」
「それは分かります、ザラ隊長もそう言っていました」
「だが今ここにいるこいつらにはそれをやろうとする覇気が無い。助けに行きたいけど助けれないんじゃない、最初から助ける気なんか無い顔だ」

 最初から見捨てるつもりだから誰も助ける算段をしようとはしない。脱出計画を支援する気も無い。助かる筈は無いから、そんな無駄な事をするつもりは無い。もしここにマーカストやウィリアムス、ユウキといったザフトを支えた諸将がいたらどういう反応をするだろうか。
 今のザフトでは勝てない、そう感じているイザークはエザリアに追われた人材を再び要職に戻してもらうようにエザリアに進言しようと考えていた。特に前線から追われてしまったユウキとアスランを何として戻してもらわないといけない。

「アスラン、あいつを早く前線に戻さないとな」
「それは無理じゃないですか、ザラ隊長は議長から疎まれているそうですから」
「俺が何とか母上を説得してみる。歴戦の指揮官を後方で遊ばせておくような余裕は、今のザフトには無いはずだ。権力争いで国を滅ぼす訳にはいかんだろ」
「……ディアッカさんも、ですね」

 先の作戦でもアスランとディアッカがいればもう少し楽な勝負が出来た筈なのだ。この状況では是が非でも前線に欲しい人材だと言える。だが、あのエザリアが配置転換を認めるかどうか、シホはそれが疑問であった。





 先のザフトとの交戦で受けた被害を直すため、多くの艦艇がアメノミハシラのドックに入る事になったのだが、その中には小破と判定されたアークエンジェルの姿もあった。だが問題なのは艦の損害ではなく、人的損害である。MS隊を纏めていたアルフレットはコクピット内に及んだ被害で崩れた機材に体を圧迫されてしまい、助け出されはしたものの肋骨を折る重傷を負ってしまい、ここからシャトルで他の重傷者と共にオーブの軍病院に搬送される事になった。本来なら大西洋連邦の病院に送られる筈なのだが、何があったのだろうか。
 この際にシャトルに同行する形でキラとフレイ、カズィ、シンの4人の出向組もオーブに一度戻って報告をする事になり、マリューの許可を得て一緒にオーブに戻る事になった。
 降下シャトルの発着場に手荷物を持ってやってきた4人の元には見送りに来たマリューやサイにトール、ミリアリアが居て、フレイに家族への手紙を託したり再会を約束したりとしていた。

「まああの少佐なら大事は無いと思うけど、後はお願いねフレイさん」
「はい。でも、これからはどうするんですか。父さんの後任は?」
「ああ、心配しなくてもムウが居るから大丈夫よ。丁度ここに居たから、上層部に掛け合って後任に回してもらったわ」

 どうやらアルフレットの後任としてフラガを既に引っ張っていたらしい。その手際の良さは昔のマリューからは想像も出来ない手腕であり、彼女も指揮官として成長している事が伺える。
 そしてキラはサイとトールから手紙を渡されて、ついでに家族の様子を見てくるように頼んでいる。キラはそれを請け負っていたが、少し真面目な顔になってトールに後を頼んでいた。

「トール、僕らが抜けたら暫く君1人になる。後を頼むよ」
「任せとけって、俺だって今じゃそれなりに戦えるつもりだぜ」
「ああ、分かってる。信じてるから頼んでるのさ」

 にっこり笑顔で返されてトールは喉に何かを詰まらせたように唸り、そしてぷいっと横を向いてしまう。目の前でそんな風に言われて気恥ずかしかったのだろう。それを見たサイは小さく笑うとキラに右手を差し出し、キラもそれを握り返してくる。

「まあ、早く戻って来いよ。ついでに本国の様子を教えてくれ」
「引き受けたよ。ああそうだ、お土産に雑誌でも買ってくるよ」
「ついでに食べ物も頼む」

 それで3人も分かれた。ミリアリアはカズィとシンに何か頼み事をしていたようだが、何を頼んでいたのか。だが、さあ4人がシャトルに向かおうとした時、宇宙港に懐かしい顔が現れた。

「お〜い、キラ、フレイ、カズィ、シン!」
「ああ、フラガ少佐!」

 フラガも見送りにやってきたのだ。フラガは駆け寄ってきてキラたちと手を叩きながら挨拶を交わし、アルフレットの事を頼んでいる。そしてフラガはマリューを見た。

「ただいま、マリューさん」
「ええ、お帰りなさいムウ」

 珍しくビシッとした顔をしているフラガと、にっこりと微笑んでいるマリュー。この2人も上手くいっているのだろうかと思わせるワンシーンであったが、マリューが懐から取り出した一枚の写真で全ては終わってしまった。それを見たフラガはビクッと身体を震わせ、だらだらと冷や汗を流しだしている。それを見た全員が首を傾げる中で、マリューが笑顔のままでフラガに問いかけてきた。

「病院はとても楽しそうねえ、ムウ?」
「あ、いや、その……何処からそれを?」
「オーブのとある方に頼んでおいたのよ。浮気して無いか見張っておいて欲しいって」
「と、とある方って?」

 フラガは焦りまくった顔で問いかけたがマリューはそれには答えず、フラガの襟首をむんずと掴むとそのまま引き摺りだした。

「さあ、言い訳は私の部屋で聞かせてもらいましょうか」
「あの、それはですねえ……お、おい、前ら見てないで助けてくれ!」

 フラガは縋るような声でキラたちに助けを求めたが、求められてキラたちは顔を見合わせると笑顔でバイバイと手を振ってくれた。どうやら友情より保身が勝ったらしい。そしてフラガは悲鳴を残しながら宇宙港から姿を消し、残された少年少女は相変わらずだなあと苦笑を向け合っていた。ただ、フレイとミリアリアの何処か電気を帯びたような視線を受けていたキラとトールは肩を寄せ合って何故か引き攣った顔をしていたが。どうやら彼らも叩けば多少の埃くらいは出るようだ。


 この後オーブ行きのシャトルに乗って地球に向かう4人であったが、まさか同じ時にオーブに彼女がやって来ているなどとは、このときは誰も想像する事も出来ないで居た。4人は空いた時間で何処かに遊びに行こうかなどと暢気な事を話し合っていたのだから。



 だがその時、ふと窓の外を見たカズィは窓の外を流れ落ちていく無数の光をた。それは宇宙から次々に地上へと目掛けて光の尾を引きながら落ちていく。

「おい、ちょっと外見ろよ、あれ」
「なにさカズィ、何かあるのか……?」
「わぁ、綺麗」

 まるで流星群のように空から降り注いでいる無数の光。それは美しいと表現するに足るものであり、キラたちは暫しそれに魅入ってしまっていた。だが、それの正体を知ればそんな感想は抱けなかったかもしれない。それは先のザフトの強襲の際に散布された機雷を処理する掃宙部隊の作業によって生まれたデブリが地上に降り注いでいた光だったのである。その中には処理から漏れた機雷に触れて爆発した掃宙艇の残骸も含まれているかもしれない。
 だがそんな裏方の戦いを知る者は殆ど居ない。南半球のあちこちから伺う事の出来た。オーブの官邸から夜空を見上げたカガリは時期外れの流星群に驚き、ユウナは首を捻っていた。空路でオーブに向かっていたアズラエルとラクスも降り注いでいる光を見上げていた。




 オーブの軍病院に搬送されたアルフレットは意外にも元気であった。看病にやってきたクローカーに向かって白い歯を見せてニヤリと笑い、右手で頭を掻きながら失敗したぜと軽い調子で自分のミスを詫びる。
 それを聞いたクローカーは亭主のミスに口元を綻ばせ、そして仕方が無いという感じでアルフレットの軽口に付き合った。

「貴方でも負ける事があるのね、フレイから聞かされた時は驚いたわ」
「けっ、負けた訳じゃねえよって言いたい所だが、まあミスはミスか。俺ももう年かな」
「それはそうよ、もう40を超えてるんだから。何時まで現役でいるつもりなの?」
「生涯現役、が目標だったんだがな。もうロートルか」

 病院のベッドの上に寝かせられて、流石のアルフレットも年を実感せざるを得なかったようだ。だが、アルフレットはまだ降りる訳にはいかないと妻に語った。

「だがよう、もうちょっと待ってくれねえか。この戦争にケリが付いたらパイロット廃業するからよ」
「あの娘の為、かしら?」
「フレイだけじゃねえさ、あいつら全員だ。あいつらは強くなったが、俺から見ればまだまだヒヨッコだ。誰かが後ろに居てやる必要がある」
「ふふふ、お節介なところは直らないわね。でも、その身体でどうやってMSに戻るのかしら?」
「へっ、このくらい半月で治してやるよ。それでリハビリやって来月には前線に戻ってやらあ」

 アルフレットは紺なのは怪我の内には入らねえと笑って答えたが、肋骨数本が折れる重症なのだ。医療技術が進歩した現在でも半月は無茶では無いかとクローカーは思ったが、それについては何も言わなかった。




 病院の外に出たキラたちはそこで一度別れることにした。一度家に顔を出し、そこから明日軍司令部に出頭して報告書を提出する予定である。ただまあ、どうせカガリが直接言いに来いと言ってくるのは目に見えているので、報告書は形式だけの物であったが。

「じゃあ僕とカズィは家に帰るから、フレイとシンはお屋敷だよね?」
「お屋敷って言わないでよ、あそこはただの別荘なんだから」

 お屋敷といわれたフレイは何だか馬鹿にされてる気がして抗議したが、それを聞かされた男ども3人は何とも言えない顔になって肩を寄せ合って「これだから金持ちは」とか「ブルジョアなんて大嫌いだ」とかボソボソと愚痴をぶつけ合った。彼らの感覚からすれば狭いオーブの国内にあって首都オロファトの山岳部の広大な一角をそっくり敷地として囲い、複数の建物を配置しているあの屋敷が別荘と言われても納得できないのだ。
 もっとも、ヘンリーなどは島1つを個人保有して避暑地としているので、大西洋連邦の金持ちの感覚とはこういうものなのかもしれない。アズラエルなども地中海に島を持っていたりする。
 仲間たちと別れたキラは懐かしいオーブ本国の道を歩きながら周囲の様子を見回し、復興景気に沸く街の様子に少し驚いていた。こんな戦時下であるのに、こんなに活気があるとは思わなかったのだ。
 だが同時に戦争の傷を感じさせる面もあった。戦前には見られなかった難民が街の彼方此方に見られるようになり、スラムが随所に形成されるようになった。他国から流れ込んだ難民がオーブに溢れているのだろう。

「戦争の傷跡、なんだろうな」

 難民の問題はユーラシア連邦を抜けるときに嫌と言うほど目にしてきたが、オーブには彼らを受け入れるだけの面積が元々無い島国なのでユーラシアなどのように彼らを受け入れる場所が無かったのだ。なのに難民は押し寄せた為に仕方なく一角に閉じ込めていたのだが、ザフトの攻撃で一度滅亡した為に初期の統制が失われ、再興した今でもその混乱は収まっていない。
 大西洋連邦などではザフトの勢力を駆逐した地域に対する難民の帰還事業が始まっているようだが、オーブにはそこまでの余力はまだ無いので彼らを祖国に戻してやる事は出来なかった。何しろどれだけの難民が流れ込んでいるのかさえ把握できていないのだから。

 宇宙港から繁華街を抜けて住宅街へと達したキラは、街中に座り込んでいる多数の難民の姿を横目に見ながら慣れた道を歩いていく。難民に対する同情心が湧かないではなかったが、彼らの事を意図的に無視する事が出来るくらいにはキラも現実に慣れてしまっていた。街中で難民とオーブ人のグループが衝突する場も幾度か目にしたが、手を出す事は無く警察に任せている。
 そしてキラは、ようやく懐かしい我が家へと帰ってきた。玄関に立ったキラはポケットからカードキーを取り出して鍵を開け、家へと入っていった。すると玄関が開く音に気がついたのか、奥から母が顔を出してきた。既に連絡が行っていたのか、驚いている様子は無い。まるで朝出かけていったかのような当たり前の調子で母は息子を迎えてくれたのだ。

「お帰りなさいキラ。今度は早かったわね」
「……うん、ただいま母さん」

 帰ってきたんだ、という実感を胸にキラはオーブ本土の我が家へと足を踏み入れた。この家に住んでいたことはオーブに帰ってきたほんの僅かな間でしかないが、戻る家が有るということの有り難さをキラは噛み締めていた。




 カガリは不機嫌であった。とにかく彼女は朝から不機嫌であった。その理由は単純なもので、アズラエルが厄介な人間を連れてオーブに来ると一方的に伝えてきたからである。まあアズラエルが来るだけなら面倒くさがるだろうがここまで嫌がりはしないだろう。何だかんだ言っても彼はオーブの復興に協力してくれた恩人でもあるし、私的にもそこそこ交友がある間柄でもあるからだ。
 だが、そのアズラエルが連れてくると言った人間が問題だった。その相手とはウズミが手を貸していたあのラクス・クラインだと言うのである。何故ラクスがここに居るのかは分からないが、彼女はオーブにとってはまさに疫病神であり、恨む理由は数あれど歓待する理由など欠片も見つからない。
 しかもその後の調査によってウズミは相当量の物資や兵器、人員をラクスに横流ししていた事が判明しており、その量を知ったカガリはふざけるなと激怒し、ユウナはオーブ防衛戦でこれがあったらなあと天井を仰いで嘆息したほどだ。その物量はオーブ宇宙艦隊が2度は全   
力で戦えるほどだったのである。またオーブ軍に回される筈だったM1の一部もラクスに譲渡されていた。
 こんな事があったので、カガリはラクスに欠片ほども好感情を抱いてはいなかった。彼女に何らかの力があるならまだ愛想笑いをするくらいの努力はしたかもしれないが、ラクス軍が壊滅した事は既に彼女も知っている。カガリがラクスを歓待する理由は本当に無かったのだ。アズラエルの頼みでなければ入国拒否か、テロ容疑でもかけて拘束していたかもしれない。

 お忍びの訪問なので公の場で会うわけにもいかず、カガリは前にアズラエルが逗留していたアルスター邸で会談をする事にした。丁度フレイたちも一時帰国する事であるし、夕食を共に出来るという個人的な思惑もあったりする。ソアラの了解を取り付けた上でアルススター邸の一室を借りて2人を待っているカガリは仏頂面を隠そうともせずに窓際に立っているユウナに不満をぶつけていた。

「ユウナ、お前が相手すりゃ良いじゃないか。私は復興事業の視察でもしてくるからさ」
「そうもいかないだろ、アズラエル理事がお忍びで来るって言うのに。それにスカンジナビア王国のメッテマリット候の推薦もあるんだから無碍にも出来ないだろ」
「う〜」

 まだ不満そうなカガリであったが、メッテマリットの名を出されると渋々黙り込んでしまった。メッテマリットにはカガリも幾度か世話になった事があり、彼女が個人的に尊敬する相手の1人でもある。そして同時に、どうにも頭が上がらない相手でもあったのだ。
 カガリが不満そうに唸っていると、ノックする音が聞こえた後に扉を開けてソアラが現れ、アズラエルの到着を告げてきてた。それを聞いたユウナがカガリに目配せをした後で此方に通すように指示する。
 そして待つこと数分、ドアがノックされて開けられ、見慣れた顔が入ってきた。

「やあ、お久しぶりですねカガリさん、ユウナさん」
「ああ、相変わらず元気そうで残念だなアズラエル」
「はっはっは、開口一番にいきなりなご挨拶ですね。まあ貴女らしいですが」

 アズラエルはカガリの皮肉とも言えないような挨拶を特に気にする風でもなく、さっさと自分からドサリとソファーに腰を降ろした。この辺りの遠慮の無さは儀礼的にはアレだったが、そんな事を今更気にするような関係ではなかった。
 そしてカガリは視線をドアの方に向け、まだ入り口でじっと突っ立っているアズラエルの連れを見た。彼女は目の前のやり取りに目をぱちくりとさせて呆然とそこに立ち尽くしている。

「何時まで突っ立ってるんだよ、早く入れって」
「あ……はい、そうですね」

 カガリに促されてラクスは我に返って中へと入り、アズラエルの隣に腰を降ろしてカガリと向かい合った。ラクスが座ったのを見てカガリが胸の前で腕を組み、アズラエルを見る。

「それで、わざわざオーブまでこの女を連れてきた訳ってのを聞かせてもらえるのか、アズラエル?」
「そんな怖い顔しないで下さいよカガリさん、私はただ、貴女にラクスさんの話を聞いて欲しいと思っただけですから」
「話を聞く?」
「ええ、かつてウズミ・ナラ・アスハが見た夢。彼が信じて賭けた夢を、貴女はどう思うのかと思いまして」

 ウズミが信じて賭けた夢、と聞かされたカガリは胸の前で組んだ腕に力を込めてしまった。二の腕を掴む腕に力が篭り、怒りが垣間見える。
 アズラエルはそんなカガリの反応を楽しみながら、ラクスに話すように促した。だが、ラクスのほうはカガリの様子を見て話すのを躊躇っていた。

「カガリ様は、私の話を聞きたくないご様子ですが?」
「まあ好いては無いでしょうが、聞いてはくれると思いますよ。ねえカガリさん?」
「……お前とメッテマリット姉貴の口添えが無ければ叩き出してやるんだけどな」

 不承不承、という感じでカガリはラクスに目配せをし、それを受けたラクスはカガリに自分たちが立ち上がった経緯と目指した世界をカガリに語りだした。ナチュラルとコーディネイターの対立する世界の情勢を憂いていた事、そんな頃にマルキオ導師と出会い、導師の唱えていたSEED理論に共鳴した事、そして導師の理想の元にSEEDを持つ者たちと自分たちの考えに同調してくれる人々を集め、今の間違った流れを断ち切るための力を手にしようとした事を話した。その過程で協力してくれたのがウズミであり、作り上げたのがメンデルで壊滅した軍勢であった。
 ラクスの話す内容はカガリにとっては興味を引くような内容ではなかった。カガリからすればラクスの言っている話は宗教なんかに出てくる理想郷か何かの話のようで、どうにも実感をもって捉えられなかったのだ。

「なあ、1つ聞いて良いか。どうにも私には理解できない事があるんだが」
「何でしょうか?」
「そのSEEDって奴を集めれば全てが上手くいくような事言ってるけどさ、なんでそのSEEDとか言うのが集まると上手くいくんだ。どっかからか金とか兵隊が湧いてくるのか?」

 ラクスの言っている事にはどうにも明確にこうするというビジョンが見えず、全てが抽象論で作られているように聞こえる。目指す目標だけ掲げてあって、そこに至るまでの過程が欠けているのだ。だからカガリにはラクスの言っている事が理解できなかったのである。
 戦争を終わらせたい、ナチュラルとコーディネイターの対立構造を無くし、平和な世界を作りたい。そしてコーディネイターが進化した人類という考えは間違っているから、ゆっくりとナチュラルに同化しながら回帰するべきだ。というラクスの言っている事はカガリも否定しない。そうなるならその方が良いとはカガリも思うからだ。だが、どうやってそこまで持っていくのだ。戦争を終わらせるには軍事力で相手を叩くしかないし、ナチュラルとコーディネイターの対立構造を無くす方法などカガリには思いつかない。そしてコーディネイターがナチュラルに回帰することを納得する筈も無い。
 もしこの全ての問題に決着を付けられる政治家が居るとすれば、その政治家は歴史に偉大な人物として名を残すに違いあるまい。だがそんな政治家は今の世界には見当たらない。誰もが夢より現実への対処に奔走し、自分の国を最優先に考えている。カガリもオーブの建て直しが最優先であり、ラクスの妄想に付き合っている暇も余力も無いのだ。

「悪いが他を当たってくれ、今のオーブにはボランティアをしてやる余裕は何処にも無いんだ」
「カガリ様、貴女は今の世界をどうにかしたいとは思わないのですか?」
「そりゃ私だってナチュラルとコーディネイターの対立には頭を痛めてるさ。でもな、上から押さえつけてもこればっかりはどうにもならないんだよ。それにまずは戦争を終わらせてからでないと何も始められないだろ」
「カガリ様はプラントに滅びろと?」
「別に滅ぼされたりはしないだろ。まあ新聞とかじゃそんな風に騒いでるけど、地球連合はそんなこと考えて無いぞ」

 プラントを叩き潰せ、コーディネイターを滅ぼせというのはタカ派の新聞の社説などで踊るようになった煽り文句だ。現在の世界情勢では仕方の無い話であり、民衆もこの記事を概ね支持している。
 だが連合諸国の首脳部は必ずしもそうではなかった。政治家は国益で動くので、プラントは滅ぼすよりも隷属状態の下で存続させた方が良いと判断していたのだ。もっとも戦後の統治に関しては各国の思惑もあって未だに意見の一致を見ていなかったが。理事国は戦前のような隷属状態に置きたがっているが、オーブや極東連合といった非理事国はもう少し条件を緩和するべきではと考えている。

「まあ、プラントが攻撃されたくなけりゃ降伏するんだな。そうすりゃ本土決戦も避けれるし、それだけマシな条件で戦後を迎えれるぞ。どうせもう勝ち目は無いんだし」
「本当にそう思いますか、降伏すればプラントは助かると?」
「勝ち目が無い戦争をこのままズルズル続けるよりはな」
「……戦前のプラントの置かれた立場の弱さをご承知なのですか、貴女は?」

 一瞬、カガリとラクスの間に火花が散った。共に同じような理想を抱いている2人であったが、両者の間には致命的なまでの違いがあったのだ。それは背負っている責任の違い、守らなくてはいけないものの有無と言うべきか。ある意味で守るべきものを持たないラクスは自由な身で理想を希求することが出来、後先考えずに動く事が出来た。だがカガリは違う、彼女には守るべき国と国民がいた。守るべきものがあるから理想と現実に折り合いを付ける必要があったのだ。
 その差が2人の間に感情的な縺れを起こしていた。2人の間に走った強烈な怒気の余波を受けたユウナがビクッと肩を震わせ、怯んだ様子になる。ラクスの隣にいるアズラエルが涼しい顔をしているのに較べると、やはりユウナには胆力が足りないと言えるだろう。


 そんな一瞬即発の空気が限界に達しようとした時、いきなり扉がノックされてソアラが姿を現した。彼女の登場で場の空気が霧散し、ユウナがホッと安堵の息を漏らしている。
 ソアラは室内の険悪な空気など意に介していないようで、中の4人を見回すと一礼して主の帰宅を告げた。

「お嬢様がご帰宅なさいました、ご友人の方々もご一緒です」
「ああ、そうですか。それじゃあ一言挨拶しておきますかね。ここを借りている礼もありますし」

 アズラエルは椅子から立ち上がるとフレイに挨拶するべく部屋を出て行き、それに続くようにユウナとカガリも立ち上がって部屋から出て行こうとしたが、部屋から出ようとしたときにカガリが立ち止まり、ラクスに振り返る事無く突き放すように出て行くように告げた。

「なるべく早くこの国から出て行ってくれ。今のオーブには、これ以上厄介ごとを抱え込む余裕は無いんだ」
「……私は、厄介者ですか?」

 ラクスの問い掛けに、カガリは答えずに部屋から出て行った。それを追ってユウナも部屋から出てカガリの隣に並ぶ。

「カガリ、あれは良くないぞ。彼女は上手く使えば此方のカードに出来る」
「あいつを材料にプラントと取引をするってか?」
「カードは多い方が良いって事だよ。プラントが地球軍の攻撃で壊滅したら不要だろうけど、もし組織として残ったら意味が出てくるかもしれないだろ。もし面倒になったら表沙汰になる前に始末すれば良いし」
「ユウナ、私はそういうやり方は嫌いだ、覚えておけ」

 ラクスを使い捨てのカードにすると言ったユウナに対して、カガリは睨みつけるようにしてそういう手段をきっぱりと否定した。それを受けたユウナはやれやれと肩を竦めてそれ以上は何も言わず、カガリの言う事に従う事にした。彼女はオーブの代表なのだから、彼女が駄目と言うならそれがオーブの方針なのだ。



 家に戻ってきたフレイはそこにアズラエルの姿を見て驚いてしまった。何でここにこの男がいるのだ。更にそれに続いてカガリとユウナまでが姿を現し、これはどういうことかとソアラを問い詰めた。

「ソアラ、何で3人がここに居るのよ?」
「表沙汰に出来ない会談を行いたいので場所を貸して欲しい、とアズラエル理事から申し込まれまして。カガリ様の口添えもあって一室をお貸し致しました」
「表沙汰に出来ない会談って、うちは何時から公館になったのよ」
「申し訳ありません、出過ぎた真似でした」

 ソアラは深々と頭を下げて謝ってきたが、フレイは仕方が無いかと事後承諾した。そしてアズラエルとカガリを見やり、何を話していたのかと問いかける。するとアズラエルは意外なほどあっさりと教えてくれた。

「ああ、実はカガリさんにある人を紹介していたんですよ」
「ある人?」
「ええ、プラントの反逆の歌姫、ラクス・クライン嬢をね」
「ラ、ラクスですって!?」

 ラクスの名を出されたフレイは吃驚してしまった。まさか、あの偽者を立てられて行方不明のはずの彼女がどうしてこんな所に居るのだ。驚いたフレイの前にカガリとユウナもやってきたが、フレイは2人になんでラクスが居るのだと問い掛け、ユウナは苦笑いして誤魔化しカガリは不満そうな顔で横を向いてしまう。それを見たフレイは彼女は歓迎されていないのだと察する事が出来たが、カガリがこんな反応をしているのは珍しいと思った。
 そしてフレイはラクスに会いに行こうかと思ってソアラに場所を聞こうかと思ったが、いきなり背後で上がったシンの悲鳴に吃驚して背後を振り返った。そこでは何故かメイド服を着て拳を繰り出した姿勢のマユと、吹っ飛ばされて転がっているシンの姿があった。

「……ソアラ、何でマユちゃんがうちの服着てるの?」
「ご本人が世話になるだけでは申し訳ない、と言われまして」
「ふうん。で、あの見覚えのある左ストレートは?」
「最近は物騒ですので護身用に少々、何時も私が間に合うとは限りません」

 この短期間で黄金の左ストレートを身に着けたというのか、マユの資質も中々のものらしい。どうやらメイド服姿のマユにシスコン魂を刺激されたシンが触ろうとした事に身の危険を感じたマユが反射的に殴ってしまったという事らしく、目が覚めたシンはフレイとカガリとマユの冷たい視線に晒される事になる。
 そんな訳の分からない空気の中に、更なる混乱を呼びかねない相手が姿を現した。その気配に気付いたフレイがそちらを向き、その少女と目を合わせてしまう。そこに居た少女は、自分の記憶にある彼女とはかなり印象が違っていた。ここに彼女が居ると言われていなければ気付かなかったかもしれないほどに。

「ラクス、なの?」
「はい、お久しぶりですフレイさん」

 ラクスとフレイ、およそ1年ぶりの再会であった。




後書き

ジム改 この3人が揃ったのは初めてだよなあ。
カガリ 降ってるのは流星じゃなくてデブリかよ!
ジム改 いや、実際軌道上で戦ってれば何時も沢山落ちてくると思うぞ。
カガリ 浪漫も何もあったもんじゃねえな。
ジム改 心配しなくてもお前はそういうシーンには縁が無いから。
カガリ だから何で私だけ!?
ジム改 ヒーロー属性だからだ。
カガリ こうなったらすぐにでもプラントに行ってアスランを引き摺ってきてやる!
ジム改 いや、そういう発想だから浪漫とは縁が無いんだが。
カガリ あっ!?
ジム改 自爆したようだな、それでは次回、トーラスに続き、クリントにも連合の手が伸びる。アルスター邸に集まる人々、こいつら実は暇なんじゃないかと疑ってしまうキラ。プラントではイザークがエザリアにアスランたちの現役復帰を直訴するが。そしてアスランは。次回「ラクスの決意」でお会いしましょう。
カガリ そうだ、髪伸ばして女っぽい格好すれば私だって捨てたものじゃ!
ジム改 まあ捨てたものじゃないけど、相手はあの2人だぞ。
カガリ ……チクショオオオオオオオ!!
ジム改 ああ、行っちゃった。ヒーローの何が不満なのかね?

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