第168章  プラントの為に


 

 廃墟のような古めかしい石造建造物が立ち並ぶ場所で、キラとカガリと対峙していた。何故こんな所に自分とカガリがいるのかは分からないが、とにかく2人は戦っていたのだ。

「カガリ、君を倒して僕はフレイを貰っていくよ!」
「キラ、お前にゃ無理だ。そのヘタレが直るには5年はかかるな」
「くぅ、なら勝負だ、僕のこの拳が受けられるか!」
「良いぜ、相手してやるよ。黄金の獅子と呼ばれた私の力を見ろ!」

 あれ、おかしいな。何で僕がカガリに喧嘩を売ってるんだろう。つうか何で僕とカガリが金色に光ってるんだ。しかもカガリの背後の獅子はまだしも、何で僕の背中にカニが?

「行くよカガリ、積尸気冥界波!」
「ライトニングプラズマ!」

 僕の放った怪しげなオーラが届く前にカガリが放った閃光が僕をズタズタにして吹き飛ばしてしまう。そのまま消え行く意識の中で僕はカガリの高笑いを聴いたような気がしたが、それを確かめる事は出来なかった。



「はっ……あれ、朝?」

 ベッドから上半身が落ちた状態でキラは目を覚ました。そこは巨石で作られた遺跡などではなく、オーブの実家の自分の部屋で、勿論カガリなどはいない。どうやら夢だったらしいと気付いてキラはホット胸をなでおろしたが、すぐに何で夢の中でまでカガリに負けるんだろうと落ち込んでしまった。

「いや、そんな事より、何で僕が夢の中で積尸気冥界波を使わなくちゃいけないんだ。普通自分の夢ならもっと凄い技使うだろ。カガリはまあ分かるけど何で僕が!?」

 僕は夢の中でまで噛ませ犬なのか、と頭を抱えて苦悩しながらのたうち回るキラ。その奇行は母が朝から騒々しいと怒りに来るまで続き、その様を見た母は息子の精神状態を本気で心配することになる。勿論見られたキラはそれ以上に苦悩しているのだが。
 原因は昨日遅くまでやっていたスーパーごた混ぜ大戦が12宮突破編に入ったからだろうか。流星拳1発でフェイトが落されたりとその攻撃力は夢に見るほど脳裏に焼きついていたのだろう。
 キラは朝っぱらから憂鬱な気分になってしまい、気晴らしにとカーテンを開けて朝の景色を見ることにした。開け放たれた窓からは清清しい空気が入ってきて何とも心地良い。そのまま大きく深呼吸をして胸に溜まった物を吐き出したキラは周囲の景色を見回して、ふと変な物に目が行ってしまった。雀が女の子を乗せて飛んでいるように見えるのだ。女の子と比較すると雀が人間の大人位はあろうかという代物になってしまう。
 キラは幾度も目をこすった後、どうやらまだ夢を見ているらしいと理解してまたベッドの中に潜り込んだ。


 今日はいよいよキラたちも宇宙に上がる予定の日だ。キラは私物を纏めたバッグを背負って食堂に降りてきて、朝食が乗っているテーブルに父と向かい合うように座った。父は珍しく早起きしてきたキラを一瞥したが、別段何を話しかけてくるでもなく、視線をまた新聞に落している。
 そしてキラはジャムを塗ったパンを2枚口にし、3枚目にジャムを塗っていたところでその手を止め、両親に話を切り出した。

「父さん、母さん。僕、行って来るよ」

 その言葉にコーヒーを持ち上げていた父の手が止まり、食器を洗っていた母が震えた。

「多分、これで最後になると思う。今度帰ってきたら、戦争は終わってる筈だよ」
「……そうか」

 キラの言葉に、父が返したのはたったそれだけであった。戦場に出向く息子にかける言葉がそれだけなのかと言われそうだが、他にかける言葉が無いのだろう。キラもそれ以上の返事を期待はしていなかったようで、パンを一口齧り、話題を別の物に変えた。これまで聞きたいと思っていた事を口にしたのだ。

「父さん、1つ聞きたいんだけど、良いかな?」
「何だ?」
「僕、自分の生まれを知ったんだ。それで、どうしてカガリじゃなくて僕を引き取ったのかって、ずっと気になってて」
「キラ、貴方何処でそれを!?」
「落ち着きなさい、カリダ」

 キラの切り出した言葉に母が驚愕して振り返り、それを父が制して困った顔を浮かべていた。

「そうか、知ったのか。まあ何時かは分かる事だしな。お前を選んだ理由はそんなに複雑な事情では無いよ、2人が一緒に居ると要らぬ目を引く恐れがあったから、分けて別々に育てる事にしたのさ。その際にウズミ様がカガリを引き取った」
「そっか、それだけか。僕が最高のコーディネイターだからじゃないんだね」
「当たり前だ、ユーレンの研究なんぞ俺たちには興味が無かったからな。ただ、興味がある奴等は居たから、うちとウズミ様とで1人ずつ引き取って素性を隠す事にした。オーブに匿ってもらったおかげで過去を消して生きていくことが出来たんだ」
「……僕を邪魔だと思った事は無いの、僕を捨てれば逃げ回ることなんて?」
「馬鹿を言うな、ヴィアさんが信じて託した甥っ子を誰が捨てられる」

 不安そうに聞いてきたキラに、父ハルマは呆れた顔でそう言い返し、また新聞に目を落す。当たり前の事を今更聞くんじゃない、とでも言いたそうな態度の父にキラが二の句を告げないでいると、後ろから母の両腕が自分を抱きしめてきた。

「キラ、お願いだから、生きてここに帰って来なさいよ。貴方はうちの子なんだから」
「…………」

 キラは何も答えず、ただ頷くだけに留めた。うちの子なんだから、という言葉は嬉しかったが、帰ってこれるとは言い切れなかったのだ。それに、これまでの経験や自分の出生に関する秘密、そしてアズラエルなどが幾度となく言い続けてきた遺伝子操作の闇と人間の業の深さ、それらを理解していくにつれて、キラの中でこれからどうしたら良いのか、何となく答えが出来つつあったのだ。
 だからキラは、帰ってくるとは言えなかった。今まで自分を育ててくれた両親には嘘をつきたくはなかったから。それに自分の考えている答えに関わり無く、プラントに向かえばいずれアスランやユーレクとぶつかる事になるのだ。今度こそ決着をつけなくてはいけないと決意しているが、同時に自分では2人に対して勝てるとは言えない事も分かっている。だからキラは最悪の場合アスランやユーレクと刺し違える事も考えていたのだ。それを考えなくてはいけないほど、彼らは強い。

 キラは朝食を終えると、バッグを背負って立ち上がった。この後カガリの待つ首長府に赴いてカガリに挨拶をした後、宇宙港に向かわなくてはいけないのだ。フレイとシンはアルフレットの病院に挨拶しに行った後で宇宙港に来る事になっている。
 バッグを背負って立ち上がったキラは玄関まで両親と一緒に歩き、そこで靴を履いて振り返った。

「それじゃあ、行ってきます」




「そうか、もう行くのか」

 病院ではアルフレットがフレイとシンから出立の報告を受けていた。アルフレットは血色も良く、既に簡単なリハビリを始めているほどに回復している。まだ軍務につけるほどではないが、この調子ならすぐに回復するだろう。
 フレイは頷き、クローカーも宇宙に上がってしまうので、その間はソアラが世話を代行してくれると伝えた。クローカーもオーブ軍と共に宇宙に上がる事になっているのだ。
 アルフレットはそうか、とだけ答え、そしてフレイの右頬を大きな手で軽く撫でた。

「怪我すんじゃねえぞ、必ず生きて帰って来い」
「大丈夫よ、私たちの実力は父さんが一番良く知ってるでしょ」
「はっ、お前らなんざまだまだ未熟だ。俺に勝てるようになってから偉そうな事を言うんだな」
「んな無茶な、少佐に勝てんのってデルタフリーダムに乗った絶好調のキラさんくらいでしょ」
「あいつもまだまだだ。もう少し知恵が付けば良いパイロットなんだが、結構トロイからな」

 アルフレットの評価には容赦がなく、フレイとシンは苦笑いを浮かべてしまった。だがそれは嘘ではなく、パイロットとしての身体能力や反応速度ではキラやシンはアルフレット以上なのだが、アルフレットより強力なMSを使っても何故か勝てないのだから。
 アルフレットはフレイの頬から手を離すと、脇にある棚を引いて中から小さな物を取り出した。それをフレイとシンに手渡す。それは記章のような物であった。

「これ何?」
「卒業証書みてえなもんだ、後でキラとトールにも渡してやれ」
「卒業証書?」

 フレイとシンはどういう事かと思ったが、その疑問に対してアルフレットは思いがけない言葉で答えてくれた。それはアルフレットが初めて彼らに向けた言葉だった。

「お前たちは、強くなった」
「父さん?」
「少佐?」
「キラも、フレイも、シンも、トールも、良く俺の訓練についてきた。俺から見りゃまだ未熟だが、合格点をやれるくらいにはなったさ。だからそいつを持っていきな、俺の特訓を受け終えた証だ」
「証って、何か役に立つのこれ?」
「そうだな、まあレンジャー記章みたいなもんだ。パイロット仲間の間じゃ少しは知られたマークだよ」

 実はフラガやキースも同じ物を胸に付けていたりする。アルフレット・リンクスの特訓に耐えて彼に認められるという事は、大西洋連邦のパイロットの間では特別な意味を持つのだ。彼の出鱈目な特訓に耐えて彼を納得させるまでの技量に成長するというのは、それだけ凄い事なのである。まあ正規の物ではない、パイロットだけに通じる自慢なのだが。このアイディアにはサザーランドが一枚噛んでいるとか何とか言われているが定かでは無い。
 それをフレイたちに送ったという事は、アルフレットは遂にこの若い教え子たちを認めてくれたという事だ。それを理解できたシンは表情を輝かせて喜び、フレイは右手を旨に当ててこれまでの苦労を思い起こし、その喜びに浸っている。今まで何度しごき殺されるかと思った事か。その苦労がようやく報われたのだ。

「ほら、そろそろ行け。シャトルの時間に遅れちゃ拙いだろうが。昔話は戦後にゆっくり出来る」
「うん、それじゃあ、行ってくるね父さん」
「おお、頑張れよ。帰ってきたら皆で戦勝祝いの馬鹿騒ぎだからな。あとシン、ステラの席もあるんだからちゃんと連れて来いよ」
「少佐、それは……」

 ステラの名を出されたシンが自身無さそうに俯くが、アルフレットは右手を握って親指を立て、ウィンクをして見せた。

「大丈夫だシン、お前なら、いやお前たちなら助けられる、自信を持て。不安は最悪を呼び込んじまうぞ。男ならどんなに辛くても顔を上げて前を見ろ」
「べ、別に自信が無いわけじゃないっすよ。助けてくるに決まってるじゃないですか、俺は約束したんすから」
「おお、その意気だ。お前は俺が認めた数少ないパイロットの1人なんだからな、人攫いなんぞに負けんじゃねえぞ」

 アルフレットの励ましにガッツポーズを作って答え、シンはフレイと一緒に病室を出て行った。扉が閉まって少ししてアルフレットは窓から外を見やり、外を舞う巨大な雀を目で追っていた。

「そうだ、お前たちは強くなった。後はもう少し知恵を付ければ誰が相手でも勝てるようになる。だが、キラはな……」

 自分が教えてきたキラ、フレイ、トール、シンの4人はかなり腕を上げており、一番弱かったトールでもナチュラル有数と言えるレベルにまで上がっている。ただ残念だったのは彼らにチーム戦を叩き込めなかった事だが、それはフラガやフレイが居れば何とかするだろうと思う。
 ただ、アルフレットにはキラの事が気がかりであった。これまで一緒にやってきたアルフレットは、キラに時々危険な危うさを感じていたのだ。キラの戦い方は稀にだが捨て身とさえ言えるほどに自分を無視した動きをせることがある。死んでしまえばそれで終わりだというのに。そう、まるで自分が死んでも良いと思っているかのように。

「まあ、俺が気付いてるんだ。フレイが気付いてねえ筈が無いか。危なっかしいからしっかり捕まえておけよ」

 あの2人が色々と厄介な事情を抱えているのは何となく察しているが、アルフレットはあえてそこには踏み入っていない。それに手を貸してやれるのは自分のような大人ではなく、共に歩んできた友人だけであると思うから。




 宇宙港でキラとカズィ、そしてカガリとユウナ、アズラエルが待っていた。フレイとシンはそこに合流し、アメノミハシラに上がる為のシャトル便に乗り込むことになるのだが、そこでフレイはシャトル便が軍の大型輸送機であることに気付き、どういう事かとカガリに問う。
 カガリはアークエンジェルに配備するデルタフリーダムやヴァンガードなんかの予備部品と追加兵装だと言い、アズラエルが折角宇宙に上がるんだからテスト目的で使えということで積み込ませたと伝えた。
 それを聞かされたフレイは変な物もって来るなとアズラエルに抗議したが、アズラエルは折角作ったんだから使わないと勿体無いと言ってフレイの抗議にやり返した。

「はあ、まあ良いです。それじゃあ、私たちはすぐに宇宙に上がるのよね」
「そうですね、用意は終わってますからすぐに上がりましょうか」
「じゃあな、フレイ、キラ、カズィ、シン。私たちもボアズ攻撃までには追いつくから、先に進撃路を切り開いておいてくれよ」
「カガリ、やっぱり出るの。カガリはオーブにいて、宇宙はミナ様に任せておいたら?」

 出てくると言うカガリにキラは最後の抵抗を示したが、カガリは意見を変えなかった。それでキラはユウナを見たが、ユウナは諦め顔で事情を教えてくれた。

「まあ、貴族の義務って奴でね。首長家や貴族の人間は有事には率先して軍に入り、民に示しをつける義務があるのさ。カガリがこの若さで本土防衛軍司令官なんて役職やってたのもそのせいでね。今回は自ら軍の陣頭指揮をする事にしたのさ」
「でも、それならカガリじゃなくても」
「僕もそう言ったんだけど、聞かなくてね。それに今のオーブには軟禁状態のホムラ様を除けばカガリとロンド・ミナ以外に首長家の人間は残って無いんだ」

 確かにカガリが倒れればオーブには後が無い。ミナではオーブ国民が付いてこない恐れがあるし、ホムラは色々と問題がありすぎる。もしカガリが倒れれば、それがオーブの終焉かもしれないのだ。
 だがカガリはこの件に関しては断固として譲らず、遂にはユウナを根負けさせて承諾させたのだ。ただユウナも同行すること、旗艦の安全を確保してカガリはMSに乗らないことを交換条件としていたが。これを飲まなければユウナは決して許さなかっただろう。実際アメノミハシラからもミナがレーザー回線まで使ってカガリを止めてきたくらいなのだから。
 黄金の獅子の意思を変えることは出来ない。それを分かっているユウナは、もうこの件に関しては完全に諦めていたのだ。



 だが、輸送艦に向かおうとした4人は何故か付いてくるアズラエルに怪訝そうな顔を向けた。何でこの人は付いてくるのだ。

「あの、アズラエルさん、何か用ですか?」
「僕もアークエンジェルに乗るんですよ、今日から暫くよろしくお願いしますね」
「「「「何―――っ!??」」」」
「はっはっは、いや実は私もこの戦いの結末を見届けたくなりましてねえ。まあとりあえず一番沈みそうに無いアークエンジェルに席を1つくれって軍に無理言ったんですよ」

 公私混同もここに極まれり、な事を言ってくれるアズラエル。この頼みを引き受けさせられたであろうサザーランド准将の苦労を思って、4人は少し同情してしまった。あの人も苦労が多いんだろうなあと。


 こうしてアズラエルを加えて5人となった彼らは宇宙に上がり、彼らを回収したアークエンジェル隊は月を進発した筈の第8任務部隊主力と合流し、クリント攻略に向かう事になる。それは、彼らにとっては終戦の時が見えた出撃であった。





 アークエンジェルが出撃した頃、プラントではウィリアムスの指揮の下でザフト艦隊の出撃が始まっていた。準備を終えた艦から予定のコースに乗って出撃していき、1隻、あるいは2隻程度の艦が軍港を離れていく。そんな中にはアスランたちの姿もあったが、彼らは宇宙港ではなく、軍施設の傍に作られている黒い石碑の前にいた。この巨大な石碑には戦没者たちの名前が全て刻まれており、合同慰霊碑のような物となっている。
 その前でアスランとイザーク、ディアッカ、デュラントの4人は花束を置き、既に散っていった多くの同級生たちの冥福を祈っていた。共に戦って散っていった大勢の戦友たちの顔を思い浮かべ、1人1人名前を呟いている。戦場に出てからもう1年以上になるが、その間にそれほど多くの仲間が死んだのだろうか。戦場に出たばかりの頃は、もうすぐナチュラルが降伏して自分たちは家に帰れるとばかり思っていたのに。
 だが現実にはプラントはもう本土間際まで攻め込まれ、前線に補給を届けるだけでこの有様だ。何処で間違えてしまったのか、それを知るものはこの場ではアスランだけであった。

 そして目を開けたアスランは、仲間たちを振り返って先に行くと告げた。アスランたちが最も早く攻撃を開始する事になっているのだ。

「俺たちがまず仕掛けるんだ。タイミングを逃さないでくれよイザーク」
「お前こそしくじるなよ。お前はNJの援護も無いし、数も少ないんだからな」
「なに、何とかなるさ。その為にジュール隊からエルフィとジャック、シホを引き抜いたんだからな」
「ちゃんと返せよ。あいつらが居なくなったら、ジュール隊の戦力がガタ落ちするからな」

 アスランは隊を2つに分けていたが、第2部隊の指揮官としてジャックを借り受け、更にそれぞれのオペレーターとしてシホとエルフィも借り受けたのだ。この3人が抜けたらジュール隊の戦力は半減してしまうのだが、事が事だけにイザークも仕方なく了解している。まあ今回はジュール隊として参加しているわけでは無いのでイザークには断る権利はなかったのだが。
 変わりにデュラントとディアッカがゲイツRでイザークに同行してくれる。本当ならようやく量産が始まったザクウォーリアが欲しかったのだが、これはボアズとヤキン・ドゥーエに優先配備されている。最大の懸案だったコリアンスチール社製のメインフレームの耐久度の問題がようやく解決したという事で量産許可が下りたらしいのだが、それが本当かどうか疑わしいとアスランたちは思っている。

「それじゃアスラン、死ぬんじゃないぜ。帰ってきたら同窓会でもやろう」
「ああ、デュラントも無事でな。これ以上顔見知りが減るのは嫌だぞ」

 アスランはデュラントが差し出した右手を握り返し、再会を誓い合った。そして踵を返してアスランが輸送船に向かおうとした時、こちらに向かって壁を蹴って飛んでくる見慣れた人物に気付いた。フィリス・サイフォンだ。

「フィリス、どうしてここに?」
「ああ、やっと見つけましたよ。私を置いて行こうなんて何考えてるんですか?」

 フィリスはアスランに一礼すると、イザークに向かって形の良い眉を顰めて抗議をぶつけだした。何で自分に連絡も無しで勝手に出撃を決めたのかと。

「隊長、何で私に連絡の1つも寄越さないんです。隊長1人でインパルスもって推参なんて、なに考えてるんですか!」
「いや、それはお前が忙しそうだったから、今回は俺の我侭でもあるし、別行動でも良いかなあと思って……」
「良い訳ありません、大体ジュール隊の方はどうするんですか。アデス艦長への引継ぎも満足に終わらせないで!」

 フィリスは完全に堪忍袋の緒が切れてしまっているようで、イザークに対して立て続けに怒声をぶつけている。それに対してイザークが縮こまっているのを見ると、どうやら相当に後ろめたい事があるのだなと察する事が出来た。
 そして一通り文句をぶつけて気が晴れたのか、フィリスはしょうがなさそうに自分も同行すると申し出て、4人を吃驚させてしまった。

「いやでも、アンヌマリー隊長の手伝いは?」
「もう終わりました」
「あ……MSは?」
「インパルスの搬入手続きは終えています。ユキ隊長にも参加申請を出しておきました」
「…………」

 イザークは追い詰められた顔でアスランに無言で助けを求めたが、アスランは何故かニヤニヤ顔でイザークの肩をぽんと叩き、イザークをどん底に叩き落す一言を囁いた。

「お前、遊んでた所を奥さんに見つかった甲斐性無しの亭主みたいだぞ」
「な、なんでそうなるっ!?」
「ふっ、フィリスに責められてしどろもどろになって下手な言い訳をした挙句、助けを求めるような男が何を言うかな?」

 アスランの裏切りのような突き放しっぷりにイザークは目を白黒させてパニック状態になっていたが、実際にイザークの心境は嘘を付いて遊んでいた事がばれた旦那さん状態であった。折角隊長業務から解放されて一介のパイロットとして仲間と戦場に出れると思っていたのに、フィリスが居ては羽目を外せないではないか。
 しかも嫌な事に、フィリスは絶対に連れては来ないと決めていた彼女まで連れてきてしまっていた。フィリスのインパルスと一緒にナスカ級に搬入されているザクウォーリアを見たイザークは、まさかあいつがと蒼白になってしまった。

「おいフィリス、お前まさかあいつまで連れてきたんじゃないだろうな!?」
「しょうがないじゃないですか、置いて行かれるのは嫌だって聞かなかったんですから」
「聞かなかったんですからじゃないだろ、ザフトは保育所じゃないぞ!」
「まあ腕は良いんですから、大丈夫ですよ。それにザクウォーリアも正式採用型でパワーアップしてますし」

 フィリスはイザークの抗議をあっさりと受け流し、マーカストの旗艦であるナスカ級シエラに向かった。彼女は参謀として傑出した能力を持っており、作戦立案から全体の運営、事務処理などの幅広い業務に素晴らしい才能を発揮している。その手腕はアカデミー在席時から知られていて、特務隊やジュール隊では部隊の運営の中心的な存在として活躍していた。あの年中火の車だった特務隊があそこまで戦力を維持出来たのはフィリスの功績が大きいのだ。
 マーカストもそれを聞いており、今回の作戦に当たって各部隊の連携が最重要な今回の作戦にあたり、フィリスの協力を求めたのである。



 フィリスがシエラに向かったのを見てイザークもそれに続くように歩き出し、ディアッカとデュラントも自分が乗る艦へと向かう事にした。今回は完全な寄り合い状態なので組む相手の顔を拝んでおかないといけないのだ。そしてアスランは自分が指揮するガルム隊の様子を見るべく輸送艦J・サムナーに向かった。
 今回参加するガルム隊は輸送艦2隻に分乗する形で40機が搭載されており、そのパイロットの大半はこれが初陣となる。総指揮を取るのは赤い死神アスラン・ザラで、ナビゲートも担当する。後席にはシホ・ハーネンフースが座り、今回の長距離攻撃の航法を担当する事になっている。
 シホはアスランのリアシートを任された事に驚き、そしてジャックとエルフィが第2部隊の指揮官と補佐に抜擢された事に複雑な思いを抱えてアスランに何でかと理由を問い質していた。元副官で気心も知れているエルフィの方が良かったのではないかと。
 これに対してアスランは、今回の任務の性格上から航法管制や通信、索敵機器の扱いに熟練した人間が必要なので、こういう仕事に精通しているシホを求めたのだと答えた。

「シホはアカデミー時代には情報面で際立った成績を残してるんだろう?」
「それはまあ、そうなのですが。航法も一通りは出来ますし」

 必要な能力を自分が持ってるから、という理由を出されてはシホも反論は出し辛く、仕方なくシホは引き下がった。そしてシホはガルムの機体データに視線を移し、その仕様の歪さに驚いていた。

「ジンとMAの融合物ですか。武装は重突撃機銃に対艦ミサイルランチャー、多目的ランチャー、これは完全な対艦攻撃機ですか?」
「いや、元々はプラント周辺の哨戒と迎撃を目的とした多目的MSだ。それに対艦装備を追加したのさ。プラント本土を守る為に開発された筈なのに、その巡行性能が別の目的で役に立つってのも皮肉な話だがな」
「でも、これではNJの支援が受けられませんよ。迂闊に近付けばミサイルの餌食になります。NJが無ければMSなど戦闘機以上に脆いというのは常識です」

 MSの特徴は運動性能と手持ち武器の持ち替えによる火器選択の豊富さにある。この特長を生かして艦船との距離を詰め、これを撃沈する事がMSの仕事なのだ。だがその速度性能、巡行性能は戦闘機やMAに較べれば遥かに低く、旧型のメビウスであっても最新のウィンダムやザクウォーリアより速い。しかも大気圏内ではMSは音速の壁を越えられないのだ。
 その速度性能はNJ障害が無い状況ではそのまま防御力となる。ミサイルの誘導性能を速度で振り切る事が出来るからだ。ミサイルの誘導性能が発揮されれば、MSの運動性では回避する事は極めて困難となる。ミサイルは小型で無人なので加速性能、旋回性能でMSには不可能な動きを可能とするからである。
 ゆえにMSはNJの影響下でのみ戦った。ザフトが艦隊とMSを常にセットで運用しているのも艦隊のNJの影響圏内でMSを使う為だ。ザフトのMSはその全てが局地戦闘機なのである。

「NJの援護が無い状態で地球軍の艦隊に挑戦、自殺行為では無いですか?」
「その代わり、此方のミサイルも誘導可能になる。それにガルムにもそれなりの欺瞞装備は搭載されているからな」
「ですが、レーダーが効果を発揮する戦場にたかが40機で挑むなんて……」

 NJが無ければ戦艦は最強の兵器だ。たとえフリーダムやジャスティスであっても、レーダーを用いた戦闘が可能であるならば唯の的と化す。艦砲とミサイルによる超長距離砲撃を行われればそれだけでMSには手も足も出せないのだから。例えフリーダムであっても砲撃性能においては戦艦の足元にも及ばない。これらが威力を発揮するのは目視距離で戦う近距離戦闘のみだ。というか、そうで無いならわざわざMSなんて兵器を投入する理由は無い。MSとはあくまで艦隊の手足として動く兵器なのだから。
そして長距離からの艦砲戦になったら数で劣るザフトには全く勝ち目は無い。だからザフトはMSというコーディネイターの身体能力の差を存分に発揮できる機動兵器による近接戦闘を仕掛け、戦場を自分たちが支配する手に出たのだ。幸いにしてジンは地球軍の主力艦載機メビウスゼロに対してもある程度の優位を確保できるという目算があった事もこの方針に有利に働いた。
だが、ナチュラルは不屈の努力で自分たちでも動かせるMSを開発してしまった。能力差は機体性能と数で埋めるという手に出た地球軍にザフトは徐々に追い詰められ、消耗戦に引きずり込まれた。あとは簡単な話で、ザフトが10の戦力で20の敵と戦い、3の犠牲で10を倒して撤退させたとしても、ザフトが戦力を10に戻した頃にはナチュラルは25で押し寄せてくる。これを4の犠牲で撤退させても次は此方の9で敵は30で攻めてくる。こんな無限地獄で勝てる訳が無い。

 シホはこんな自殺紛いの事をする必要があるのか、と暗に問うていたのだが、アスランはそれに対して彼にしては珍しい自信ありげな笑みを浮かべていた。

「まあ最初の一回は多分成功するだろ、ナチュラルもまさか俺たちがNJ干渉無しで攻めてくるとは思わないだろうからな。今回の攻撃はミサイルと誤認してくれると俺は思ってる。その為にギリギリまで此方もミサイルをフリをするんだからな」
「では、これは最初で最後の花道ですか?」
「これ以降は使うとしても相応の準備が必要だろうな。もしくは100機程度を纏めて運用して数で勝負するかだ。問題なのは有人での索敵と航法だが、これはAD世紀の第2次世界大戦の頃からやっている事だ。何とかなる」
「その計算を私がする訳ですか」
「観測機器の情報が頼みの天測航法になる。頼むぞシホ」
「……全力を尽くします」

 こうまで期待されては悪い気はせず、シホも敬礼を残してガルムのほうに歩いていった。こうなった以上、やらなくてはいけない事は多いのだ。
 シホが去って1人になったことでアスランは肩の力を抜き、やれやれと右手を丸めて左肩を幾度か叩く。久しぶりの徹夜で少々身体に堪えていたのだ。まあ今回は胃の痛くなる部下や上司はいないし、何かあったらユウキ隊長やウィリアムス提督に丸投げすれば良いので幾分か気は楽だったが。
 そして自分も作戦の詰めの作業をしようかと思って歩き出した時、何処からか聞き慣れた声が聞こえてきた。

「アスラ〜ン、ここに居たのね」
「……は?」

 聞き慣れているが、どこか品に欠けるこの声はまさか。とアスランが疑問を感じて振り返ろうとしたが、振り返ったと殆ど同時にアスランの顔に2つの柔らかなふくらみが押し当てられた。自分の前にはラクスと同じ顔で同じ髪型、でも一部だけ決定的に違う物を持つラクスの影武者、ミーア・キャンベルが自分に抱きついていた。

「酷いわアスラン、出撃するのにあたしに一言も無しだなんて」
「ま、まてミー……じゃなくてラクス、人前で恥ずかしい事をするんじゃない。俺にも一応世間体とかかがあるんだぞ!」
「婚約者に一言くらい残してから出撃するのが常識でしょう」
「う、そ、それは……」

 確かにその通りなのでアスランは返す言葉に詰まってしまった。いや、ミーアはラクスの偽者であって婚約者ではないのだからそこまでする必要は無い、と言えばそうなのだが、そこはそれミーアがアスランに割と本気だったので複雑になっているのだ。まさにミーアにとっては棚からぼた餅であり、アスランにとっては泣きっ面に蜂状態である。そして更に性質が悪い事に、アスランはラクスそっくりでありながら性格は付き合い易いミーアが嫌いでは無かったりする。というかラクスもこんな風だったら俺ももっと身近に感じれたのになあ、などと愚痴ってしまう有様だ。
 ミーアの愚痴を聞きながらアスランは必至に彼女を宥めすかし、帰ってきたら食事にでも誘うからと約束して彼女に帰ってもらった。その際にミーアはアスランに別れのキスをして欲しいと強請ってきて、アスランは仕方が無く左頬にする事で誤魔化している。それがミーアには少し不満であったが、それでも嬉しかったので笑顔でアスランの前から去っていった。
 ミーアを送り出したところでアスランはどっと疲れたように肩を落とし、そして仕事するかと呟きながら歩き出したのだが、そこに今度は何故かユーレクが荷物袋を背負って現れ、ぽんと背中を叩いてきた。

「どうした、随分と疲れているようだが?」
「……ああ、あの時の傭兵か。まだ居たのか?」
「まあな、ザフトの為に戦うと契約してしまった以上仕方があるまい。今回はクルーゼは関係なく、私の息抜きだがな」
「息抜きでこんな分の悪い戦いに出るのか?」
「なに、やるなら負け戦を引っくり返す方が面白いさ。初めから勝てると分かりきってる勝負など面白くもなんとも無い」

 典型的な戦闘狂の台詞を吐くユーレクにアスランは少し引いたが、今回はこういう奴が居たほうが頼りになると思えば悪い気もしなかった。それにその実力はこの目で見てある程度知っているから確かに頼もしい。
 そしてユーレクはもう一度アスランの肩をぽんと叩き、そして指で宇宙港の一角を指差した。

「ところで、先程から君をじっと見つめる、というか睨んでいる少女があそこに居るのだが、心当たりはあるかね?」
「睨む?」

 言われて指差されている方を見たアスランは、そのままビシリと固まってしまった。そこには何故か半泣きでじっと此方を睨んでいるエルフィが居たのだから。その傍でジャックが右手で顔を押さえ、ふるふると力なく頭を振っているのは何なのだろうか。

「お、俺が何をしたって言うんだ……」
「ふっ、青春真っ盛りだな少年。そんな風に悩めるのも若者の特権だ」
「これ以上悩みが増えても嬉しくない!」

 アスランは悲鳴のような抗議の声を上げたが、ユーレクは大笑いするだけでそれを聞いてはくれなかった。そしてアスランはやっぱり校長室でコタツに入ってれば良かったと情けない愚痴を漏らしていた。





 クリントを2日おきくらいのペースで毎日毎日攻撃を続けていた地球軍であったが、そろそろ決着を付けたいと宇宙艦隊司令部では考えるようになっていた。そこでキング長官はこれまで後方で訓練を行っていた第5任務部隊を前線に投入し、クリントの防衛力を激減させるという手に出ようとしていた。既に連合軍総司令部からは第8任務部隊にクリントの攻略命令が出されており、そのための部隊も合流する為に既に出撃しているのだが、キングはその前に一撃を入れて戦力を削り取ろうと考えていた。もうすぐプラントとの戦争が終わるのも確実であり、その前に自分の子飼いの部下に功績を立てさせてやりたいという親心が働いたのだ。
 これを受けてワイオミング級戦艦のアーカンソーを旗艦とする第5任務部隊が遊撃任務を帯びて出撃したのだが、それはアスランたちにとって格好の獲物が自分たちの懐に飛び込んでくることを意味していた。
 そして第8任務部隊のアークエンジェルはというと、ようやく仲間を加えて4隻の護衛艦と共に第8任務部隊主力と合流を果たしていた。完全編成となった第8任務部隊はアークエンジェル級戦艦4隻に駆逐艦16隻、空母1隻に輸送艦2隻という大所帯であり、下手な正規艦隊より強いのでは、と揶揄されるほどだ。
 今回はこれに加えてクリント制圧用の海兵隊を満載した揚陸艦4隻も同行しており、これを全て統制しなくてはならないマリューはその苦労の大きさを想像して頭を痛めていた。

「はあ、何で私がこんな大艦隊の指揮を取らなくちゃいけないのよ。しかも頼みのリンクス少佐は負傷されて後送されちゃうし、困ったわね」
「おいおい、一応俺が後任なんだけど?」
「リンクス少佐と較べたら頼りないわね」
「ぐっ、腹立たしいが隊長と較べられたらそりゃ無理だな」

 マリューに言い返されたフラガは悔しそうではあったが、それを否定する事はしなかった。そして目の前の艦隊を見やり、勢ぞろいした第8任務部隊の威容に素直に感心してしまった。良くこれだけ揃ったものだ。

「しっかし、アークエンジェル級が4隻にアガメムノン級空母が1隻とは豪華だよなあ」
「でも、これだけ揃えられてクリントを落せなかったら、それはそれで問題よね」

 その戦力の凄さにマリューが嘆息していると、通信士のカズィが各艦の艦長と戦隊司令部がアークエンジェルに集合したという報せを持ってきたので、やれやれとマリューは席から腰を上げて艦橋を出て行った。
 だが、それが新たな騒動を呼び込む事になるとは、このとき1人しか想像できなかったのである。



 プラントに向かう貨物船の中で、ラクスはモップを手に重力ブロックの窓から外を見ていた。この船は一見貨物船にしか見えないが、その実はラクスをプラントに密航させるジャンク屋の船である。

「これが最後の機会ですわね、私の頑張り次第でプラントの命運が決まってしまいます」

 そう思うと身が引き締まる思いであったが、両肩に感じる責任の重さには少々苦しんでもいた。自分で軍を率いていた時よりも遥かに重い責任を背負わされた感じさえするのだ。それは明確に目に見えた目標ゆえだろうか。
 実のところ、クーデターを起こしてラクス軍を結成した時には何をどうすれば良かったのか、誰を倒せば良かったのかはラクスにも分かっていなかった。無責任もここに極まれりであったが、とりあえず組織を作るのが優先してしまって目標が明確ではなかったのだ。結局やったことは双方の軍事バランスを保つ為に戦闘に介入する程度で、それも行き当たりばったりの物であり、何らかの戦略があった訳ではない。
 何でこうなってしまったのか、と問われるとラクスにも答えられない。はっきり言ってしまえばその場の勢いというか、そうしなければいけないと思い込んで周りを見ずにがむしゃらに突っ走った結果なのだろう。ただ、何故か自分の言葉が多くの人を動かし、何時の間にかそれは1つの軍団を生み出すまでになってしまった。そして今でも世界中に自分を信じる人々は散らばっている。

「本当に、どうしてこうなってしまったのでしょうね?」

 メンデルから追い出され、アズラエルに助けを求めてから散々に自分を否定されたラクスは、冷静になった頭で過去を振り返っては後悔を繰り返している。まあ人間、何かをやっている時は自分が間違っているとは中々思わないものであるが。

 そんな風に過去に浸っていたラクスであったが、いきなり自分の見ていた窓に自分の背後に立つ巨体が映ったのを見て、吃驚して背後を振り返った。そこにはまるで核戦争滅びた世紀末の世界からやって来たのでは、と思わせるような巨人が立っている。

「客にでもなったつもりか、小娘?」
「い、いえ、そんな事はありませんわ。ちょっと窓の外を見たくなっただけです」
「船員扱いで安い金しか貰ってねえんだ。契約分は働けよ」

 そう言って船長はズシンズシンと歩き去っていく。その足音を聞きながらラクスは全力でモップがけをしながら、頭の中でアズラエルに恨み言を言っていた。

『アズラエル様、プラントへの渡航手段を用意してくれたのは感謝していますが、旅費をケチる事は無いでしょう!』

 ムルタ・アズラエル、相変わらず変なところでケチな男であった、ただ、これが唯のケチなのか、それとも悪意のある悪戯かは判断の付かないところである。




後書き

ジム改 改めて考えると種って艦船の周辺でしか戦わないんだよな。
カガリ そういやそうだな、MSって遠くには行けないのか?
ジム改 まあ戦闘機じゃないし、長距離を移動する兵器じゃないのは確かだな。
カガリ 足だしな。地上だと普段はトランスポーターで移動が常識なんだろ。
ジム改 少なくともうちではそうなってるが。
カガリ でも宇宙ではやってないな。
ジム改 それでザフトの方はNJの援護が必要だから、って理由を作ったが、連合は不明だ。
カガリ 元々MAを使ってたんだしなあ、天測航法くらい出来るだろうし。
ジム改 宇宙なら巡航速度まで加速すれば推進剤使わないからなあ。
カガリ まあ、この辺は突っ込んでも仕方が無いから無視しよう。
ジム改 うむ、そうだな。
カガリ でだ、ザクウォーリアって量産開始したのか?
ジム改 元々量産体制は整っていたのだ。問題解決すればラインが稼動してもおかしい事は無い。
カガリ 連合のウィンダムは量産体制整って無いんだろ?
ジム改 ウィンダムよりこっちの方が開発が早かっただけだ。
カガリ で、うちのムラサメは?
ジム改 オーブにそんな物を開発する余力は無い。M1で頑張れ。
カガリ 新型欲しいんだけどなあ。スーパーメカカガリばらしてアカツキでも作るか。
ジム改 金かけて弱くしてどうする?
カガリ 納得いかねえ! それでは次回、第8任務部隊に襲い掛かる新たなる騒動と落ち込むナタル。アスランたちは地球軍の大艦隊を狙って攻撃を仕掛け、それに続いてマーカスト率いる本隊が襲い掛かる事に。次回「灰色の襲撃者」で会おうな。


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