第170章  極点の炎




 迎撃の構えを取る第7任務部隊に襲い掛かってくるマーカスト率いる襲撃部隊。周囲に散らばっていた部隊が移動しながら集結するという離れ業を演じた彼等であったが、やはり無理があったようで今揃っているのはナスカ級とローラシア級が2隻ずつに、ドレイク級駆逐艦が5隻であった。
 地球艦隊は急いで陣形を組み上げたようで余りしっかりした物とはなっていなかったが、MSやMAは周辺に展開を完了しているようで、MAを前衛とした2重の守りを敷いている。これを見たイザークは前衛は無人機だと判断した。

「正面のメビウスは多分ファントムだ、相手をせずに後衛のMS隊を突破して後方の戦艦を沈めるぞ!」
「そうは言うけどよお、20機以上居るぜイザーク」
「それでもやるのが俺たちだ!」

 そう怒鳴ってイザークのインパルスが突っ込んでいき、仕方無さそうにディアッカのゲイツがオルトロス高エネルギー長距離砲を構えた。これはフリーダム用の追加武装である高エネルギー長射程ライフルを汎用量産化したもので、ゲイツRには少々重い火器である。本来ならザクウォーリアに予定されているガナーウィザード用の大砲なのだからしょうがないのだが、一応ゲイツRでも使えるので今回ディアッカが持ってきていたのだ。その破壊力は地球軍が使用している汎用長射程砲のアグニに匹敵する。
 これをMAの群れ目掛けて発射し。ファントム部隊を散らさせる。その時に1機が吹き飛んだようだがこれはおまけだ。ディアッカは更に群れを散らせる為に数度射撃を繰り返し、MA部隊を散り散りにしてやった。
 このバラバラになったファントム部隊にMS部隊が襲い掛かり、何機かを叩き落してそのまま駆け抜けていく。攻撃部隊はとにかく船を沈めなくては負けなのだから当然だが、その前に今度はMS部隊が立ち塞がる。その大半はストライクダガーであったが、一部は新型のダガーLであり、また少数ではあるがデュエルや105ダガーの姿もある。
 これに対してイザークは突破しろと命令を出したが、敵のMS隊は突破しようとするザフトMSの進路を塞ぐように動き、イザークたちに抜かせなかった。そのままなし崩しに混戦に持ち込まれてしまい、インパルスやゲイツRが不本意そうにダガーとの戦いに拘束されていく。敵の護衛機は自分の仕事を良く弁えた連中だったようだ。

「こいつら、動きが随分良いじゃないか。ベテラン部隊か!」

 イザークがインパルスを駆りながら見事な編隊機動を見せるダガー隊に苦々しい愚痴を漏らしている。敵にはあの足付きの化け物どものような化け物は居ないようだが、2機ずつに分かれたチームで動いている上に、チーム同士が連携して死角をカバーしあっている。こうなると幾らイザークたちといえども容易に勝たせてはもらえそうも無かった。

「アスラン、そっちも大変だったろうが、こっちも梃子摺りそうだ」

 2機のストライクダガーが放ってくるビームを回避しながら、イザークはこの任務の困難さに唇を噛んだ。予想していたより掛かった獲物は厄介な代物だったようだ。





 第7任務部隊からの救援要請は近くに居た第8任務部隊にも傍受された。味方の窮地を知ったマリューは艦隊に第2戦速まで加速を命じるとともに、艦載機の一部を出して救援させる事にした。こうなると足の長い機体が優先して出撃することになり、アークエンジェルの6機のほかにドミニオンからレイダーと6機のコスモグラスパーが出撃する事になった。
 格納庫では緊急発進することになったMS隊の準備が急ピッチで進められており、マードックが整備兵たちに発破をかけて作業を急がせていた。

「おらおら、MSに長距離装備を急いで付けろ。予備バッテリーの装着も忘れるなよ!」
「班長、お嬢ちゃんのウィンダムはどうするんです!?」
「今回はフライヤーは無しだ、アレじゃ推進剤とバッテリーがもたねえ!」
「了解、フライヤーは放っときますよ!」

 マードックの指揮で6機のMSのバックパックに追加の推進剤が入った長い筒状の増槽が2本刺さるように装備され、腰には予備の追加バッテリーが装着される。これは地球軍がMSの戦闘可能時間を延長する為に考案した装備で、パナマ防衛戦で試作装備がアークエンジェルに搬入されており、フラガのクライシスとトールのストライクGが装備可能なように改修を受けて使用している。結果としてこの2機は母艦から遠くはなれたパナマにまで前進し、アークエンジェルが到着するまで戦闘を継続している。これは追加のバッテリーと増槽が効果的だという事を実証しており、大西洋連邦の新型MSの標準装備として採用される事となった。
 実はザフトでも増槽と追加バッテリーの装備というプランが出た事はあるのだが、増槽はともかく使い捨てバッテリーはザフトの負担を著しく拡大させるという理由で不採用とされ、増槽も噴射にバッテリーを消費して結局戦闘可能時間の延長には寄与しないという理由で不採用となってしまった。
 プラントの生産力の限界がMSの運用の幅を狭めた例の1つであるが、これが結果としてバッテリーの制約を受けない筈の核動力MSの運用の幅までも狭めた事は否めない。推進剤を追加してMSが動ける範囲を拡大し、戦術の幅を広げるというコンセプトそのものがザフトから失われてしまっていたのだから。


 格納庫でマードックが指示を出していると、別の声が格納庫の響き渡った。アークエンジェルの整備兵には聞き慣れた声、フラガの指示を出す声だ。

「俺の小隊が前に出る、トールの隊は後衛に入れ。ドミニオンの隊はキースが指揮を取って併走する。分かってると思うが今回の任務は救援だ、敵が逃げても余り深追いするなよ。特にシン!」
「俺っすか、そういうのはキラさんの方が良くやるでしょ!?」
「あっちの躾はフレイの担当だろ?」
「……ようするに面倒見たくないんすね?」

 キラが暴走したら後でフレイに怒られるから俺が何か言わなくても良いんだ、と言っているフラガにシンは呆れた目を向けたが、フラガは俺だって忙しいんだよ、と言い放ってセンチュリオンに向かっていった。今回はセンチュリオンもフライヤーを使えないので4基のガンバレルのみが頼りとなる。実は本来なら6基のガンバレルが装備できるのだが、フライヤーも含めると12基の端末を同時操作する事になる、流石に負担が大きすぎるということでフラガが4基に減らさせたのだ。開いた2基分のスペースは現地改造でハードポイントとされている。

 そしてキラはデルタフリーダムに取り付き、コクピットの調整をしていた整備兵に調子を尋ねていた。

「何か問題はありますか?」
「流石に右腕の疲労が溜まってるから、気にしといてくれ。こいつはかなり頑丈に出来てるけど、やっぱりあの粒子砲はMSには過剰装備じゃないかなあ」
「もう壊れてきたんですか?」
「ああ、そろそろオーバーホールが必要だと思うぜ。まあ部品は全部揃ってるから、作戦が終わったら班長に言ってみるけどよ」

 デルタフリーダムはエグゾスター粒子ビーム砲を使う為に特に機体強度を向上されているが、それでも機体にガタが来るほどに巨大な負荷が掛かる。何しろ直撃すればMSなど跡形も残らないほどに破壊し尽くしてしまうほどの破壊力があるのだ。それだけの金属粒子を高速で加速するにはそれだけの反動が来るのである。そしてこれを防御できる装甲もバリアも存在しない。当たれば確実に撃破されるのだ。
 量産型では威力を落とす事でウィンダムなどでの使用を可能としているが、その圧倒的な破壊力は失われてしまった。まあそれでもアグニ級の破壊力があるのだから馬鹿には出来ないが、オリジナルに較べると見劣りしてしまう。
 デルタフリーダムにこれを装備するという意見もあったのだが、これはキラが拒否した。この絶対的な破壊力こそがデルタフリーダムの魅力であり、他者を寄せ付けない最強の武器なのだ。これを無くせばデルタフリーダムは唯のMSになってしまう。それではアスランに勝てないのだ。
 結局キラはこの砲をデルタフリーダムで使えるようにプログラムを改修し続け、とにかく反動を減らせるように発射と同時に反動を逃がすようひたすら改善を繰り返した。そのおかげで大分負担が減り、導入した頃よりも大幅な改善が見られていたのではあるが、それでも負担は機体を蝕んでいたのだ。まあその成果が量産型粒子ビーム砲の登場に繋がったのだから無駄とは言えなかったのだが。




 第8任務部隊が攻撃準備を始めた中で、1人だけ暇そうな顔で書類に目を通している男が居た。士官室の1つを与えられたムルタ・アズラエルである。そこに自分用の書類を持ち込んで目を通していたのだが、それらに目を通しながらアズラエルはどうにもおかしさを感じていたのだ。

「うちの部下が纏めた報告書に、サザーランド君に横流ししてもらった軍の情報、ラクスさんに書かせたこれまでの報告書にササンドラ大統領から聞かされた話、全部を纏めてもまだピースが足りないようですねえ」

 今分かっている情報を纏めただけでも大体の事は分かるのだ。現在のプラントはエザリアが支配しているが、それとは全く異なる勢力がエザリアに寄生するようにして動いていて、地球側からは両者が同一に見えるので動きが読めなくなってしまう。だがラクスからもたらされた情報はその埋められない空白を埋めてくれた。プラント側から見た動きと地球側から見た動きを重ね合わせる事でアズラエルは今世界で何が起きているのかを把握できるようになっていたのだ。

「ラウ・ル・クルーゼねえ」

 ヘンリーの話ではほぼ間違いなく大西洋連邦の大富豪、アル・ダ・フラガのクローンだという男。彼がクローニング技術に資金援助していたことはアズラエルも知っており、それ自体はおかしなことではない。実際、キラを殺す為に作られた調整体の完成形には彼のクローンがベースとして使われたのだから。
 だが動機が分からない。何故こんな事をして、プラントを破滅に導こうとするのだ。そんな事をしても彼が享受するメリットが思いつかないのである。まるで自分もろとも破滅させる事を望んでいるかのように思えてならないのだ。

「でもまさかねえ、そんな馬鹿なことするような人間がいるわけ無いですし」

 プラントの支配権を狙っているのなら、それを手にする事は不可能ではなかった筈だ。パトリックを追い出してエザリアに首をすげ替えた時、彼女を傀儡として実権を握るという手もあったはずだ。だが彼はそうしようとはせず、プラント内での軍人としてのフリーハンドに近い裁量権を得ただけで満足している。いや、彼がやろうとしている事にはそれで十分なのだ。
 ザフトの中で私兵のような物を持ち、最優先で最新兵器と補給物資を得ているクルーゼは軍人としては好き勝手やっているようだが、果たしてその為だけにパトリックを排斥したのだろうか。たんなる戦争狂で、戦争の中で自分の思おうままに戦い、そして戦死する事が望みという変人なのかもしれないが、これまでのクルーゼという人物の評価はそういった要素を否定していた。野心家であると同時に陰謀家というのが彼に対する評価なのだから。
 
 アズラエルは自身が極端な拝金主義者にして資本主義の権化のような人間なので、自分もろとも全てを滅ぼしたいと思うような破滅主義者の考えは想像の埒外にあったのだ。そういう人間が居ると言われればそうなのかとは思うだろうが、頭の中にはそういう考えが全く無いので他人がそう考えるかも、という考えには至らない。
 ここにヘンリーなどがいれば考えを保管しあってくれたのだろうが、彼はメンデルに行くといって1人でどこかに行ってしまった。その事がこの場では不幸な方向に働いてしまったのだ。





 第7任務部隊を巡る戦いは艦隊同士の砲撃戦を交えた本格的な艦隊戦へと推移していたが、第7任務部隊は砲力では勝っていたが、MS戦で劣勢に立たされ、制宙権を失いつつあった。ダガー隊はよく奮戦していたが、それでも質の差を覆すには至らなかったのだ。特に2機のインパルスと2機のザクウォーリアが物を言っていた。
 1機のザクウォーリアが対空砲火を吹き上げる駆逐艦に迫り、突撃銃で上甲板に続けて直撃弾を送り込む。その射撃で上甲板の砲座を潰し、下に駆け抜けながら側面から推進器に弾を送り込んで破壊する。これでこの駆逐艦は砲力と推進力を無くしてただ前に進むだけの箱となった。
 そしてそのままザクウォーリアは下方に駆け抜けると、周囲の状況を確認して敵機が居ない事を確かめた。そして駆逐艦が沈まなかった事に軽く舌打ちする。見た目は余り変わってないが、防御力は上がっているらしい。

「地球軍は半年前に比べて戦闘能力を著しく向上させているな。対空火力の密度、艦の頑丈さ、艦載機の運用のどれをとっても比較にならない」

 半年前、地球軍の反撃が始まった頃では地球軍の艦隊はまだここまで強力ではなかった。それが半年の間に対空火器を更に増強し、艦隊陣形の組み方を工夫し、MSやMAを加えた防御システムの改善を行って防御力を飛躍的に高めている。なるほど、従来の戦術による力押ししかしてこなかったザフトが叩きのめされる訳だ。
 自分がさきほど駆逐艦を叩いた時も、地球軍の撃ち上げてくる対空砲火の密度は半端な物ではなかった。自分でさえこれは死ぬかと覚悟し、実際に何発か貰っている。ゲイツRよりも更に頑丈なザクウォーリアの装甲だから何とか持ち堪えたが、これが前まで使っていたゲイツRなら命は無かっただろう。
 
「他のMSはまだ混戦を抜けられんか。このままでは艦隊が沈むぞ。なにをしているイザーク・ジュール?」

 ユーレクはインパルスを駆るイザークがまだ敵を突破できない事を不甲斐なく思っていた。あのアスラン・ザラが信頼していた副隊長にしては随分とだらしないではないか。
 そしてユーレクは目標を外部を固めている別の駆逐艦に定めると、突撃するタイミングを図る為に周囲を遊弋し始めた。1機で船を沈めるというのは簡単な事ではないのだ。



 ユーレクに心配されるまでもなく、イザークはMS隊を突破しようとしていたが、意外に腕の良い敵MS隊は上手く連携しあってまだその防衛線を支えていた。突破したのはユーレクのザクを除けば数機のゲイツRやジンHMが抜けたくらいで、大部分は敵機との戦いに拘束されている。
 その為にマーカストの艦隊は地球艦隊との砲戦に拘束され、苦戦を強いられていた。

「このままじゃ作戦失敗だ、ディアッカ、俺とフィリスが突破するから援護してくれ!」
「待てよイザーク、下手に出ると袋叩きにあうぞ!」
「このままじゃ艦隊が沈む、もう増援は無いんだぞ。ここで無茶しなくて何時無茶するんだ!?」

 イザークの怒鳴り声にディアッカは返す言葉が無く、黙り込んでしまった。確かにそうだ、もう自分たちには援軍は無い。だがここでこのまま時間を無駄にすればマーカストたちがいずれ叩かれてしまう。賭けるなら今しかないのだ。
 だがディアッカとしてはここでイザークを死なせるわけにもいかない。無理をするのはイザークではなく自分が、と考えて前に出ようとしたが、その時横合いから地球艦隊に数条の光が突き刺さった。

「なんだ?」
「何処の部隊が!?」

 この場に自分たち以外に行動している部隊は居ない筈、一体何処の部隊が、そう思って発砲先を拡大してみると、ローラシア級2隻とドレイク級駆逐艦4隻の艦隊がそこにはいた。MSも出しているようで、ボロボロのゲイツRやジンが出てきている。その姿を見たイザークは流石に驚きを隠せなかった。

「な、何だあのボロボロのMSは。地上で使い古された機体みたいじゃないか!?」
「ユーラシア戦線やアジア戦線じゃあんなのが動いてたけど、宇宙でまであんな機体が動いてるとはなあ」

 それはクリントのMSがいかに過酷な状況で使い潰されているかを物語っている。MSとは壊すのは難しいが、壊れるのは簡単な兵器だ。そのMSを碌な補給も受けられずに使い続ければああもなるだろう。
 部品の枯渇を敵からの鹵獲品で補っているようで、ダガーの手足をつけている機体も見受けられる。MSとは奇妙な兵器で、機体バランスさえ気にしなければ別の機体の部品を転用することがそう難しくは無いのだ。
 地上では地球軍の兵器を積極的に利用し、戦車の装甲や砲をMSに取り付けて火力や防御力を強化する事が頻繁に行われていた。それが宇宙でも行われていたらしい。


 駆けつけたクリントの援軍の出現は第7艦隊に決断を強要した。このまま正面と側面の2正面での戦闘をするか、後退して大勢を立て直すかである。これまで数の上で優位に立っていたからこそ優勢を確保していたが、2正面となるとそれが崩れてくる。しかも新手のMSの出現は迎撃部隊の敗退を意味していた。今までどうにか互角に戦っていられたのだが、これで完全にバランスが崩れてしまった。
 司令官は仕方なくワイオミングとアーカンソーを前に出し、敵の攻撃を引き受けながら全軍を下げることを選択した。残念だがこのまま戦い続ければ自分たちもボロボロにされてしまうだろう。キング長官の意思には反するが第8任務部隊と合流して改めて最侵攻した方が良い。

「傷ついた艦を後方に。戦艦で守りながら艦隊を下げるぞ。無人機を盾にしつつMS隊も下がらせろ」

 司令官の命令を受けて艦隊が後退を始める。戦艦が前に出て主砲を敵艦隊に浴びせかけ、敵の行き足を止めようとする。それを見たマーカストは砲撃を2隻の敵戦艦に集中するように指示したが、この2隻の防御力はマーカストの予想を超えているものであった。強靭なラミネート装甲がビームやレールガンを受け止め、あるいは弾き返してしまったのだ。

「なんという艦だ、あれほどの防御力を持っているとは……」
「主砲も強力で、威力、発射速度共に此方を上回っています。データ上ではアークエンジェル級やアガメムノン級が装備するゴッドフリート砲と同じ物のようですが、FCSが強化されているようで照準精度で勝っていますな。流石に戦艦ですか」
「感心している場合か。アンチビーム爆雷で守りつつ左右に展開、四方から砲撃を加えて袋叩きにするんだ!」

 マーカストの指示を受けてマーカスト艦隊が左右に広がり、砲撃を2隻の戦艦に集中していく。その砲撃を受けたワイオミングとアーカンソーは流石に洒落にならない状態になっていく。連続する被弾に装甲が歪み、遂には貫通されていく。直撃を受けた砲塔が吹き飛び、銃座が抉られていく。幾ら強力な戦艦でも2隻では流石に滅多撃ちにあって沈められるしかないのだ。
 だがその火力と防御力はマーカストやイザークを愕然とさせた。4基の主砲は大威力のビームを短い間隔で連射してくるし、VSLから放たれるミサイルの数も多い。大型艦だけに搭載量もかなりの物なのだろう。全身に装備されたCIWSは75mm弾をばら撒いてMSを寄せ付けない。そしてその装甲はMSのビームライフルなどでは傷つかず、艦砲さえ受け止めて見せている。

「何て装甲だ、MSの武器など受け付けないのか!?」
「ライフルでは駄目です、ディアッカさんのオルトロスでないと!」

 イザークが歯軋りして悔しがり、フィリスがディアッカに砲撃を頼んでいる。インパルスのビームライフルでさえ効果が無いのでは、もう大口径砲を装備するMSを出すしかない。
 だがワイオミングとアーカンソーも限界に達しようとしていた。ラミネート装甲は熱エネルギーを装甲全体で吸収することで無効化する耐熱装甲の一種であり、受けたビームエネルギーの排熱が追いつかなければ装甲全体が劣化してしまい、限界点に達したら当然ながら溶解する。2隻の装甲も度重なる被弾に排熱が追いつかず、装甲が限界点に近付いて赤熱化を始めていた。
 もっとも、それでも頑丈な機関部は依然として機能しており、2隻の戦艦はズタボロになりながらもまだ後退を続けていた。生きている主砲もビームを叩きだし、ザフト艦隊に痛撃を与え続けている。確かに弱体化しているがまだ死んだ訳ではなかった。

 しかし、それも限界が来た。MSとMAを突破したゲイツやジンが戦艦や駆逐艦に取り付き、攻撃を加えだしたのだ。残っていた銃座が対空砲火を放ち、VSLからミサイルが放たれるが、それも空しい抵抗でしかない。遂にはVSLに発射されずに残っていたミサイルが被弾によって誘爆を起こし、アーカンソーが中央から引き裂かれるようにして爆発、撃沈してしまった。
 アーカンソーが沈むのを何処か他人事のように覚めた目で見ていた指揮官は重苦しい空気の中でじっと考え込んだ。このままワイオミングの撃沈と引き換えに駆逐艦と空母を逃がすか、それとも残存戦力を持って反撃するかを。
 暫し悩んだ指揮官は、艦長に状況を尋ねた。

「艦長、本艦の戦闘力はどれ程残っているか?」
「は、主砲はまだ2基が健在、VSLも10基は動いています。機関もまだ全力が出せます」
「……そうか、ではまだ戦えるな。駆逐艦と空母だけでも逃がすか」

 ワイオミング級戦艦2隻があればどうにか持ち堪えて逃げられる、と考えていたが、それは甘すぎる判断だった。幾ら最新鋭艦でも数の前には対抗できなかったのだ。後は自分に出来ることは旗艦を盾にして残存艦を逃がすくらいか、と司令官が考えていると、ふいに艦を襲っていた振動が止んだ。それまで集中していた砲火が止んだのだ。

「どうした、何が起きた?」
「後方より味方MSとMAが接近してきます!」
「味方機だと、第8任務部隊か?」
「そのようです、アークエンジェル隊とドミニオン隊と連絡が来ました。発信者はムウ・ラ・フラガ少佐です!」

 エンディミオンの鷹が来てくれた、その報は司令部に活力を取り戻させた。あと少し頑張れば第8任務部隊が来てくれる、そうすれば傷ついた艦隊を下がらせられるのだ。
 司令官はやる気を取り戻すと、軍帽を被り直して全軍に砲撃しつつ後退を続けるように命令を変更した。生きて戻れる可能性が出てきた以上、指揮を投げ出すわけにはいかないのだ。
 そして現れた敵MSをみたイザークたちの顔は苦渋に歪んだ。まさか、何故こんなときにあいつらが出て来るのだ。

「フリーダムにヴァンガードとかいう奴に変な新型、あいつらが何で!?」
「イザーク、それどころじゃないぜ。どうするのか決めてくれ!」

 オルトロスを2度発射してディアッカが怒鳴った。既にデュラントは命令を待たずに味方を率いて新手への迎撃行動を始めており、向かってきたウィンダムに向かっていっている。
 イザークはボロボロにした戦艦がアンチビーム爆雷による防御壁を築きながら後退していくのに気付いていたが、戦力を二分して押さえ込めるような相手ではないことも分かっていた。何しろ今ここにはアスランやジャックは居ないのだから。

「仕方が無い、全力であいつ等を迎え撃てディアッカ。艦隊には近付かせるな!」
「おい、分かった!」
「マーカスト提督には艦隊を纏めて後退してもらうしか無いな。あいつらに取り付かれたら船が沈む」

 迫る敵機の中には主戦場を迂回するMAの姿もあった。その先頭にいる機体がエメラルドグリーンに輝いているのを見て、イザークはあのエメラルドの死神も来ていることに気付いていたのだ。





 攻撃を終えて迎えの輸送艦に合流したアスランは、そこでジャックとシホを交えて今回の攻撃の分析をしていた。ザフトが初めて行ったMAによる攻撃ミッションであり、その戦訓は全て貴重な物だったのだ。生還率も5割ほどと当初の想定に較べれば意外に高く、戦果の少なさを別にすれば初めてにしては上手くいったと言える。
 今回の攻撃の映像データから戦果の分析と攻撃方法の妥当性を検証していたアスランは、やはり多数機による一方向からの集中運用には無理があるという結論に達してしまっていた。敵の迎撃が一点に集中してしまい、被撃墜機が増えてしまう。それに護衛機も必要だった。当初はガルムが自分で身を守れると考えられていたが、やはり重い対艦ミサイルを抱えて敵艦に突撃しながらでは敵機に対応する事など出来るものではないし、敵艦への牽制も必要だ。

「ガルムの単独運用は危険、か。やはりゲイツ、では足が遅いから、ジンHMと連携する必要があるかな」
「それよりもMS隊との同時攻撃の方が良いのでは無いですか。MSが敵機を食い止めている間にMAが突入すれば強襲でも使えると思います」
「だが、MSに捕まったら脆いぞ?」
「ある程度はしょうがないと思います。それに、ミサイルを発射した後ならガルムに追いつけるMSはありませんよ。むしろコスモグラスパーのが厄介です」

 ジャックは攻撃終了後に追撃してきたコスモグラスパーの存在を思い出していた。MSは追いつけないためか追ってこなかったが、こいつらはガルムの加速で振り切れず、何機かが落されてしまった。
 MAは加速を生かした一撃離脱が妥当である、というのがアスランがエメラルドの死神から学んだ戦訓であったが、やはり部隊としての運用は試行錯誤が必要だったのだ。MA単独での戦闘では大きな犠牲を払うわりに戦果が期待できない、という戦訓が得られたのだから、次はこれを活用して新たな攻撃法を考案するのがアスランの役目であり、実戦でそれを生かすのがジャックたちの仕事である。幸いにして今回の作戦を生き延びたパイロットも多く、彼等が次の作戦で隊の中心になる事だろう。

「でも、攻撃隊の編成や攻撃パターンの研究もしないとな。暫くは寝る暇も無さそうだ」

 また忙しくなりそうだとアスランが思っていると、エルフィが慌てふためきながらやってきた。彼女が慌てふためいているのは珍しい事ではないが、それは大抵碌でもない情報を持ってきたときなのでアスランは嫌な予感がしてしまった。

「エルフィ、どうした、また何かあったのか?」
「大変です隊長、ジュール隊長たちが苦戦しているそうです。敵艦隊は思っていた以上に頑強であり、どうにか戦艦1隻を撃沈、1隻を大破に追い込み、その他数隻を損傷させたものの、増援が現れてこれ以上の戦果拡大は出来なくなったようです」
「そうか、あいつ等が苦戦するとなると、よほど強力な部隊だったんだな。だが、増援がくるとは思わなかったな」
「それだけじゃありません。やってきたのはあのフリーダムを含む部隊なんです!」
「…………」

 それを聞いたアスランは胃がシクシクと痛み出すのを感じてしまった。何だ、あいつ等は疫病神の類なのか。何でこう何時も何時も俺たちが何かすると現れては邪魔をするのだろうか。そう頭の中で愚痴り、キラを2度ほど処刑して鬱憤を晴らす。
 そしてアスランは慌てふためく周囲を無視してじっと考え込んだ。TOPが黙り込んでしまった為にジャックとエルフィ、シホが慌てふためいているが誰も止められない。そうこうしているうちにジャックが救援しようと言い出し、シホとエルフィもそれに賛成してしまった。幸いにしてこの艦にも弾薬や推進剤はあるので、再武装して出撃する事は出来る。
 だが、ジャックたちがその準備を始めようとしたのをそれまで黙っていたアスランが止めた。

「まて、再出撃破しない。俺たちはこのままボアズに帰還する」
「な、何でですかザラ隊長、そこで味方が苦戦してるんですよ!?」
「落ち着けジャック、俺はもう隊長じゃない。出撃しないのは間に合わないから、そして足手纏いになるからだ」
「…………」

 アスランに冷厳に突きつけられた事実に、ジャックは返す言葉がなかった。その通り、どれだけ頑張っても今から再武装して出撃準備をするには30分は掛かる。最初から戦闘準備を整えて用意していた訳ではないので今からとなるとかなり時間がかかるのだ。それにもし間に合ったとしても、素人ばかりのガルム隊では全滅しに行くようなものなのだ。
 そんな準備をして出撃しても、もう戦いは終わっているだろう。要塞などを狙った攻略戦ならともかく、宇宙での小規模な艦隊遭遇戦ではそんなに時間がかかることは無いのだから。
 勢いを無くしたジャックは椅子に腰を降ろし、そしてエルフィとシホも反論の言葉も無く黙り込んでしまう。アスランに反論するには不可能を可能にしなくてはいけないのだ。だがそれでも諦め切れなかったのか、輸送艦配備の直衛機であるジンを使おうとシホが主張した。

「隊長、この船にもジンが2機は乗っています。2隻あわせれば4機です、これを使えば間に合わせれます!」
「それじゃシホは、この輸送艦隊には丸裸で帰れと言うのか?」
「それは……でもっ!」
「命令だシホ、船団はこのままプラントに帰還する。後はイザークたちに任せるんだ」

 反論を許さぬ力強さを込めて再度命令し、シホは抑え切れない感情に身体を震わせながら敬礼をして部屋から出て行った。それを見たエルフィがジャックの肩を叩き、追うように身振りで示して後を追わせる。
 2人が出て行ったのを見送ったアスランはやれやれと肩の力を抜き、右手の親指と人差し指で眉間の辺りを軽く揉む。そして面倒くさそうに身体を起こすと、その前についっとコーヒーの入ったカップが差し出された。

「余り溜め込むと身体に毒ですよ、隊長」
「だから俺はもう隊長じゃないと言うのに」

 口で間違いを修正しながらも、アスランは感謝を身振りで伝えてコーヒーを口にした。身体に染みこんでいくような暖かさが少し胸のつかえをとってくれたような気がする。そして少し表情を暗くしてカップをソーサーに戻すと、心配そうな声を漏らした。

「イザークを信じるしかないな、全員無事に連れ帰ってくれるよう祈ろう」
「隊長、ですから隊長が手の届かないところの事まで心配する事は無いんですよ」
「エルフィ、今は隊長じゃなくて校長だというのに」

 もう訂正するのも億劫になってきたアスランは、苦笑いをしながらコーヒーを口に運んでいた。久しぶりに口にするエルフィのコーヒーはやはり美味かった。





 味方を援護する為に駆けつけてきたキラは、そこで暴れている見た事がある新型を見てまたあいつ等かと唸っていた。前に自分を苦しめたザフトのストライクに似た新型、情報部の報告でインパルスという名称が判明している、恐らくはザフト最強のMSの1つがまた出てきたのだ。

「あいつら、また性懲りもなく!」
「偶然もここまで重なると、運命とか宿命って奴を信じたくなるなあ」

 少し前に出ているシンが呆れたような声を漏らしている。またこいつらかと思っているのだろう。そしてキラが粒子砲を向けようとした時、不意に下から感じた殺気のような物に慌てて機体を横滑りさせた。
 それはギリギリのタイミングだったようで。何発かのビームが下方から自分が居た場所を撃ち抜いていき、上へと抜けていく。そしてそれを追うように1機のザクウォーリアが駆け抜け、そしてすぐに旋回して戻ってくる。それが誰の機体であるか、何故かキラには理解出来てしまった。全く根拠は無いのだが、アレはユーレクだと自分の中の何かが教えてくれたのだ。

「ユ、ユーレクさんがザクを……?」
「この感じは、君も目覚めようとしているのか?」

 一方でユーレクもまたキラから今までは感じなかった力を、自分と同じ存在が持っているものと同じ力をキラから感じていた。そう、空間認識能力である。さして強い力ではなかったが、キラもまたそれに目覚めてきていたのだ。

「また1つ私との差を埋めたか、流石は最高のコーディネイターだ、そうでなくては面白くない!」
「僕は、楽しくなんか無いです!」

 ユーレクの狂気を感じとったキラが嫌悪さえ込めて粒子砲を向け、トリガーを引く。放たれた重金属粒子の奔流がザクウォーリアに向かうかと思われたが、発射する前に既にザクウォーリアは位置を変えていた。相変わらず反応速度はキラ以上、、いや、キラが撃つより僅かに先に動いている。それは時折フレイが見せる、限界を超えたかのように自分と対等に闘って見せるほどの力を発揮する時に見せる動きと同じだった。
 こういう動きを見たのは初めてではない。フラガやアルフレットもこういう動きを見せる時がある。これはキラにも出来ない芸当なので、この動きをされるとかなり面倒な事になる。特にこういう化け物相手のときは。

「くっ、粒子砲をセーブモードにして、接近戦をするしかないのか」

 ユーレク相手に接近戦するのは愚の骨頂、と頭では分かっているが、逃げられるとは思えない。ならば不利を承知で勝てる手を考えるべきだ。
 そしてユーレクはキラが自分の挑戦を受けてたとうとしているのを見て、狂気さえ感じるような笑みを浮かべていた。一度破れて目標を見失ったユーレクであったが、やはり自分は戦士なのだと実感させられる。

「さあ、始めようかキラ・ヒビキ。私たちが戦うのにつまらぬ理由などは必要なかろうからな」
「僕は、戦いたがってる訳じゃない。貴方とは違う!」
「だが私は戦いたいのだよ、キラ・ヤマト。宿命でもなんでもなく、戦士としてな!」

 肩のシールドから高周波トマホークを引き出して左手に持ち、ユーレクは切っ先をデルタフリーダムに突きつけて一気に加速してきた。キラは突っ込んでくるザクウォーリアにプラズマ砲を発射し手足止めをし、セーフモードにした粒子砲を横に動いたザクウォーリアに向けてトリガーを引く。
 セーフモードになった粒子砲はマシンガンとまでは言えないが、ビームライフルよりも遥かに速いペースでビームを発射してくれた。反動は何時もより小さいが断続的に襲ってきて機体を震わせている。だが頑丈なデルタフリーダムはこの反動を吸収してくれていた。
 これはヤマト級戦艦の主砲がモードを変更することで対空速射砲として使う事が可能、という機能を受け継いでいた事に由来する。ようするにこれは対空用の射撃モードだった。だから速射性能が優れているのも当然なのである。
 逆にユーレクは自分に向かってくるビームの弾幕を見て慌てて大きく機体を横に向けて機体を加速させた。あんな物に真っ向から突っ込んだら機体をバラバラにされてしまう。

「武装を強化してきたか、そう来なくてはな!」

 キラはまた強くなってきた、それが嬉しいユーレクは、小刻みに機体を左右に動かして的を絞らせないようにしながら牽制に突撃銃からビームを放ちながら突っ込んでいった。




 キラが1機のザクウォーリアに向かって行くのを見たフレイは吃驚してそれを止めようとした。キラは何を考えているのだ。

「ちょっとキラ、私たちの仕事はこの艦隊の撤退支援よ。敵の撃滅じゃないんだから戻って防衛ラインを敷いて!」
「駄目だフレイ、この人を自由にしたら、どれだけの犠牲が出るか分からない。この人を押さえられるのはここじゃ僕だけだ!」
「この人って……まさかっ!?」

 キラが戦っている相手の気配に気付いたフレイも驚愕に表情を引き攣らせた。ユーレク、あのオーブで出会った出鱈目に強い傭兵だ。彼が敵として現れていたのだ。

 ユーレクの相手をキラがする、というのは仕方が無い。そう考えてフレイはそれ以上キラを止めるのはやめたが、今度は別の2人を止める事になってしまった。フラガとシンも敵に突っ込んでいたのだ。

「だからなんで突っ込んでるのよ2人とも、仕事しなさいよね!」
「ま、まあまあフレイ、落ち着いて」
「トールも何黙ってるのよ、小隊長なんだから少佐止めなさいよ!」
「いや、俺ただの中尉だし……」
「あ――もう、男ってどうしてこうどいつもこいつもっ!」

 トールの不甲斐なさに激怒したフレイは仕方なく第7任務部隊のMS部隊指揮官を呼び出そうとしたが、既に上級指揮官は全滅していたようで指揮系統が崩壊している事が分かっただけだった。イザークたちは指揮官機を優先して落していたのだ。
 状況の酷さに落胆したフレイはどうしたものかと思ったが、まさかオーブ軍の自分が他の大西洋連邦の部隊に命令するわけにもいかず、トールとスティングを連れて艦隊後方で直衛に付く事にした。

「全くもう、フラガ少佐もシンも自分勝手なんだから。少しはチームワークって物を考えなさいよね!」
「まあ、ムウも指揮官向きな性格じゃ無いからな」
「それが困るっていうのよ!」

 やれやれという態度で達観したことを言ってくれるスティングにフレイが噛み付き、向かってくるゲイツRの右腕を50mm弾でズタズタにしてやった。とにかく今は最後尾に居る戦艦を守り抜く事だ。後はアークエジェルが追いつけばマリューたちが判断してくれるだろう。



機体解説

ZGMF−1000 ザクウォーリア

兵装 ビーム突撃銃
   高周波トマホーク×2
   対MSミサイル×4
   ウィザードシステム

<解説>
 ザフトが見切り発車で量産に許可を出した次世代主力MS。だがゲイツ系さえ行き渡っていないのに更なる新型が必要なのか、という問題がある。実際ザフトは最近になって次々に配備されてくる新型機の多さに辟易している。更にウィザードシステムも未完成である。
 性能はゲイツ系とは一線を画す物があり、パイロットさえ確かならば核動力MSにも対応する性能を誇る。地球軍のウィンダムの対抗馬といえるが、ウィンダムに較べると開発期間が長かったにも拘らず完成度は高いとは言えない。また、フレーム強度の問題をはじめ、幾多の問題が今だ完全に解決していない。
 特務隊に配備された量産試作型とは変更点も多い。装甲は通常装甲が採用される予定であったが、地球軍が実弾を多用する事から胴体胸部に限定してインパルスで採用されたVPS装甲が採用されており、生存性が向上している。また採用予定だったビームトマホークは従来の高周波トマホークとされた。これは地球軍の新型MSがラミネート装甲を採用している事に対処した物である。腰に装備予定だったハンドグレネイドは試験部隊からの文句でミサイルに変更された。



後書き

ジム改 物凄く強いのに実は意外に使えないアークエンジェル第1MS小隊でした。
カガリ まああいつ等は元々一匹狼だからなあ。
ジム改 というか、強すぎて連携組める味方が居ないんだよな。
カガリ キラやシンにチームプレイなど出来るはずも無い、と。
ジム改 うむ、それがアルフレットの悩みの種だった訳だが。
カガリ フラガもまあ指揮官向きじゃあないよなあ。
ジム改 キースの方が指揮官向きなんだよなあ。
カガリ で、結果的にフレイが指示出す羽目になると。
ジム改 何気にオーブ防衛戦じゃMS隊を束ねて活躍したりと、大軍の指揮経験者だし。
カガリ アルフレットのおっさんが居なくなると結構バランス悪いんだな。
ジム改 まあ、大黒柱だったからねえ。
カガリ 人材難だなあ。それでは次回、第7任務部隊を逃がそうとするキラたち、戦力を低下させているイザークたちは苦戦を余儀なくされる、その激戦の中で1人の戦士が覚醒する。そこにアークエンジェルが追いついてきた時勝敗は決したかに見えたが、それを妨害するように見慣れぬ戦艦が姿を現した。次回「月女神の抱擁」でお会いしましょう。


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