第188章  プラント本土決戦



 

 虚空の世界に無数の光が踊っている。数え切れない光芒が照らし出すのは幾つもの巨大な砂時計。月から飛来する岩塊が、ミサイルがプラントめがけて突き進み、それを守る防衛システムを突破しようとしている。そう、プラントは月面からの大規模な長距離攻撃に晒されていたのだ。
 迎撃システムはこれまで月からの攻撃を完璧とは言わないまでも、ほぼ完全に防ぎ続けてきた。だからこれまでプラントは安全でいられたのだが、今のプラントにはその力は無かった。全てをボアズ戦に注ぎ込んだ彼らの防衛力はガタ落ちしており、飛来する月からの攻撃を防ぎきれなくなっている。 
 自動防空システムと本国防衛隊だけでは支えきれないと悟ったザフトは地球軍迎撃用の戦力まで振り向けて月からの執拗な攻撃に対処していたが、それがただでさえ不足しているザフトの戦力を更にすり減らす結果を招いている。
 この攻撃はボアズから出撃するカガリ艦隊の援護の為に月のプトレマイオス基地から行われていた。ジェネシスの発射を確認した月の連合軍はプラント側に面している基地を放棄し、反対側へ退避しているのだが、これらの攻撃は残留している一部の志願兵によって行われていた。
 更にこれに加えて、どうにか追い払った筈のヤマト級戦艦による攻撃までが再開されている。1隻しか反転してきていない所を見ると片方は大きな被害を受けて後退したと思われるが、その1隻でも厄介な相手には違いない。何しろ超長距離から出鱈目な威力の荷電粒子ビームを叩きつけてくるのだから。

 これらの攻撃を前にしたザフトは絶望的な抵抗を繰り返していたが、残されている物資を急激に消耗していくに連れて絶望が諦めへと転化し始めていた。こんな攻撃を繰り返されれば地球艦隊が到着するまでも無くプラントは滅亡する。いずれ弾が尽き、MSも艦艇も動かなくなって飛来する攻撃を防げなくなる。しかもそれはもう遠い未来ではなく、今すぐにでも訪れかねない現実の話なのだ。
 この事態に至って、ザフトはジェネシスの照準を月面に向けてくれと評議会に申し入れてきた。月基地を叩かない限り、この攻撃は止まないからと言って。だがこれを受けたエザリアは当然のことながらこれを拒んだ。ジェネシスはボアズ、ないし地球に向けなくては意味が無い。

「ジェネシスは最も効果的な目標に向けなくてはならない、月に向けても一時凌ぎにしかならんのだ」
「ですが、このままではこちらも消耗しつくします。それにあれを地球に向けて発射しても地球は滅びないかもしれません。ですがこのまま攻撃を受け続ければ明日を待たずにプラントは確実に消えるのです!」
「ならば奴らも道連れだ、我々だけでは滅びはせん!」
「議長、あなたは人類全てを滅亡させるつもりなんですか?」

 流石にこれには他の評議員たちも顔色を変えて反対意見を口にしだした。幾らなんでもそれは滅茶苦茶だ。地球にジェネシスを向けるのはあくまでも脅しであって、本当に撃ったら全てが終ってしまう。地球がガンマ線に汚染されればプラントも将来的に無事では済まない事くらいは想像できる筈だ。
 周囲の評議員全てが反対に回ったのを見たエザリアは流石に顔に動揺を浮かべていたが、生来の気丈さで無理やりそれを押さえ込むとなお自分の意見を押し通そうと口を開こうとしたのだが、その時いきなり議場の扉が開いて1人の男が入ってきた。

「いやすまんすまん、すっかり遅れてしまったな」
「ジェセック議員、今までどちらに?」

 ユーリ・アルマフィが驚いた顔で議員の長老格の男に質問をぶつけたが、ジェセックは適当にそれを誤魔化して円卓の傍まで来た。

「それで、今はどうなっておる。議長は何やら青筋を立てておるし、見れば懐かしい顔も居るでは無いか?」
「ジェセック、遅刻してきたのだからもう少しすまなそうにしたらどうだ?」

 シーゲルが苦笑を浮かべながら古き友に苦言を呈するが、ジェセックは肩を竦めただけで平然と自分の席に腰を降ろしてしまった。そして彼はシーゲルから簡潔な説明を聞いたあと、エザリアにザフトの要請を入れるように求めた。

「仕方があるまい、ジェネシスを月に向けようではないか」
「しかし、月を壊滅させても奴らは来ます!」
「地球を壊滅させても奴らは来るさ。それに、ジェネシスではボアズに集結した地球軍を殲滅する事は出来んのだろう?」

 ジェセックの問いにエザリアは言葉に詰まった。彼の言う通りで、地球軍はボアズを中心に広く散開している。確かに大きな打撃は与えられるだろうが、一撃で殲滅などは出来ない。そして残った地球軍は復讐の念に駆られてプラントに雪崩れ込んでくるだろう。
 結局何処を撃っても完全な打開策にはならないのだ。地球を撃っても目の前の地球軍が居なくなる訳ではない、地球艦隊を撃っても敵を全滅はさせられない、月基地を破壊しても地球艦隊の侵攻は止められない。
 その現実を突きつけられたエザリアはそれまでの勢いを無くし、どさりと自分の席に腰を降ろすと抑揚の無い声でザフトに要請を受け入れると答えた。

 ジェネシスの使用許可が下りたことでザフトの動きが慌しくなる中、評議会の議員たちもそれぞれの市へと戻る事になった。彼らはそれぞれの市の代表者であり、一度戻って避難状況などを確認する必要があったのだ。
 地球軍の攻撃を前に多くの議員が退室していく中で、エザリアは自分の席で力なく項垂れていた。まるで、敗者のように。そんな彼女を無感情な目で見ていたジェセックにシーゲルが声をかけてくる。

「お前は戻らなくても良いのか?」
「心配するな、その為の準備は怠っていない。だが、プラントの命運もこれまでかな」
「せめて、子供たちには未来を残してやりたかったな」

 シーゲルが疲れた顔で天井を見上げる。一度は戦争を指導した者としての責任を感じているのか、それとも回避できぬ破滅を前にしての諦めかは判断が付かなかったが、ジェセックは彼に1つ質問をぶつけてみた。

「シーゲル、貴様はこの戦争をどうやって終わらせるつもりだったのだ?」

 それは政治家にとって最大の難問だと言える問い掛けであった。そしてシーゲルはそれに対して、頭を左右に振って苦笑を浮かべて見せた。

「残念だが、私にもどうやって終らせれば良いのかは検討も付かなかった。何しろお互いに憎しみに駆られて戦火を拡大する事しか出来なかったからな」
「地球軍の攻撃で開戦し、血のバレンタインが起きた。そしてその報復にお前はNJをあの星に撃ち込んでエイプリルフール・クライシスを引き起こしたか。そしてその後はラグランジュポイントの制宙権を得るために各地に侵攻して多くのコロニーを破壊し、地球に侵攻して数え切れない都市を瓦礫の山へと変えた」
「そうだ。私がやってしまった過ちに気付いたのは随分たってからだった。頭が冷えてきてさてどうやって終戦に持ち込もうかと考えた時、ようやくこれまで何をしてきたのかに気付いたよ」

 開戦から暫くの間はただ勢いのままに戦い続けた。NJを使ったのも核攻撃に対するアレルギーゆえの選択であったが、その結果は核による報復を超える惨劇を招いてしまったのだ。頭が冷えて考えてみれば自分たちは世界の1割以上を、ユニウス7の悲劇を数十倍に拡大した惨劇を引き起こしていたのである。
 これに気付いた時、シーゲルはどうやって戦争を終わらせれば良いのか迷った。一度はマルキオ導師を経由して講和を打診した事もあったのだが、その条件は当時のプラントからは受け入れられる内容ではなかった。何しろ当時は勝っていたのだから。

「パトリックが生きていれば、と思うよ。あいつが生きていたら戦争はオーブを攻める前に終っていたかもしれん」
「なんの事だ?」
「あいつは水面下で終戦工作をしていた。そしてスピットブレイクの前には両者が概ね合意出来る講和条件にこぎつけていた。後は双方の戦いの戦果で最期の振り子が振れるという程度だったらしい」
「シーゲル、お前はその話を誰に?」
「ああ、パトリックが打ち明けてくれたからな。そしてあいつに協力を求められて私もそれに応じた。今となっては夢のような話だよ、あの時は未来を信じることが出来た」

 懐かしそうに語るシーゲルに、ジェセックは鷹揚に頷いていた。出来れば自分たちの計画を伝えてやりたかったが、漏洩の危険を僅かでも冒すことは出来ない。クルーゼの耳が何処にあるのか知れないのだから。
 だが、その時それまで沈黙していたエザリアがボソボソと何かを言い始めた。

「……あの時は、勝てると思ったのだ。だからクルーゼの誘いに乗った」
「エザリア、何を言っている?」
「私に教えてくれたのだ、パトリックが講和を目論んでいると。だがあの頃は勝てると思っていた、だからそれは同胞への裏切りに思えたのだ」

 誘ってきたのはクルーゼであった。これまでの犠牲者を裏切ってナチュラルと妥協しようとするパトリックを許す事は出来ない。だからエザリアが政権を取り、この戦争をプラントの勝利に導いて欲しいと話を持ちかけてきたと。
 自分はその話に乗ってパトリックを蹴落とす準備に入ったのだが、その直後にパトリックは暗殺されてしまった。結果として議長の椅子は自分の前に転がり込む形となり、手を汚すことなく評議会議長の座に付く事ができた。
 そして自分が議長の座に付いた時から、ザフトの崩壊は始まった。オーブ戦の勝利を最期にザフトは各地で敗退を続けたのだ。地球軍はそれまで戦力を温存していたようで、オーブ戦の終結後から各地で大規模な反撃に出てきた。ザフトを凌ぐ圧倒的な数のMSを投入して行われた反抗作戦は各地でザフトを粉砕し、地上に降りたザフトの半数以上は宇宙に脱出出来なかった。
 そして本来なら有利の筈の宇宙でもザフトは敗北を重ね続けた。質で勝るザフトは戦術的には勝利を重ねてきたのだが、その勝利を維持するだけの力がなかった。勝っても防衛線は後退を重ね、遂にはプラント本土にまで攻め込まれてしまう事態を招いてしまった。

「私は、勝者になりたかった。プラントを勝利に導いた偉大な議長と呼ばれたかった」
「だからクルーゼの誘いを受けたのか」

 どうしてクルーゼがエザリア政権になってから重用されるようになったのか、その答えがこれであった。エザリアとクルーゼは最初からグルだったのだ。いや、エザリアもまたクルーゼに利用されていたと言うべきか。

「ではエザリア、私を呼び寄せたのも、本当に逆転の可能性を求めていたという事なのか?」
「ああ、シーゲル・クラインならばまだ私の知らない手を持っているのではないか、そう期待したのだ」
「エザリア、それは奇跡に縋るようなものだぞ。指導者が神頼みになってどうする?」

 シーゲルが呆れた顔でエザリアを嗜めたが、エザリアはもう聞いてはいなかった。頭を抱え込み、ただ落ち込むだけになっている。それを見たジェセックは、やはりエザリアに議長は無理だったかと呟いた。

「エザリアも、プラントを背負えるほどの強さは無かったか」
「今のプラントには役人は居ても政治家はほとんど居ないからな、後継者を育ててこなかった我々の失策だよ」

 プラントには自治権を得るまでの過程で指導的な立場に居た極少数の人間を除けば政治家と呼べる人間は居ない。シーゲルやパトリックといった古参の古強者は理事国との闘争や条件交渉などで経験を豊富に積んでいたが、それ以外の人間たちはそういう世界には余り関わっていない。
 なまじシーゲルたちが有能すぎた為に、周囲は彼らに頼りすぎたのだ。その為に彼らが居なくなった時にはリーダーと呼べる人材が居なかったのである。エザリアが無能だったのではない、誰が議長になっても同じ結果になっただろう。ジェセックはシーゲルらと並ぶ古参組であったが、彼は補佐役でこそ輝くタイプの男でリーダー向きではなかった。だから他の議員やクルーゼからもシーゲルやパトリックのオマケ程度と侮られていたのだが。

「シーゲル、今更だがこの評議会制は間違っていたのではないかな?」
「何故だ、ジェセック?」
「機械が最適任者を選んで代表を選出する評議会。だが選ばれるのは学者ばかりだ、政治家ではない。その結果が今の状況を招いたのではないかな?」
「議員の選出方法に問題があったというのか?」
「今の評議会を見る限りではそうとしか思えん。お前が抜け、パトリックが抜けた後の評議会は何も決められない集団に成り下がってしまった。学者が集まったら何も決まらないという言葉通りにな」

 政治家には政治家に必要な能力があるが、それはコンピューターの計算で割り出せるようなものではないのかもしれない。遺伝子操作では制御できない能力があるのだということをコーディネイターは認めなくてはいけない時が来たのだろう。
 だが、今更気付いても遅いではないか。エザリアは絶望し、シーゲルは諦めたように溜息をつき、そしてジェセックは最期の可能性に一縷の望みを託している。
 それぞれに全く違う想いを抱える中で、プラントは最期の戦いに望もうとしていた。


「各部隊、展開完了まであと2時間というところです。機雷の敷設は50%程度まで進行しています」
「急がせろ、敵はすぐにも来るぞ。ヤマト級はまだ押さえ込めんのか!?」
「まだです、攻防の性能が違いすぎて、我が軍の艦艇では迂闊に近づけません!」
「くそっ、化け物がっ!」

 防衛戦の指揮を取るマーカストは遅々として進んでいない迎撃準備に苛立っていたが、それも仕方が無いのかもしれない。訓練を積んでいた兵士の大半はボアズに集められていたのだ。その主力が失われた今、ここで頑張っているのは経験の浅い兵士たちばかりなのだ。敷設作業が遅れるのも無理は無い。
 だが今は無理も無いでは済まされない。この戦いの敗北はプラントの滅亡に直結しているのだ、無理を通して道理を引っ込ませるくらいの無茶が今は要求されている。だからこそマーカストは普段なら決して出さないような無茶な命令を出し続けていたのだ。
 だが、そんな作業の真っ最中にいきなり統合作戦本部から全軍を指定したエリアに避難させるよう命令が来た。一体何事かと思ったが、とにかくマーカストは全軍を指定されたエリアまで下がらせた。その途中で幾つかの事故も起きたが、それでもとにかく全軍を指定されたエリアまで下がらせた。
 そして、退避が確認された所でザフトは月に向けていたジェネシスを遂に使用した。巨大な赤い光が真っ直ぐに月まで向かって伸び、月に爆発の光が生まれている。レーザーの射線がはっきり見えたということはプラント周辺のデブリの密度がそれだけ高いことを示しており、戦争の残骸がそこらじゅうに漂っていることを教えてくれている。ようするにゴミだらけなのだ。


 この発射を遺伝子研究所で知ったクルーゼは不満そうな顔をしていた。彼としては2射目は地球に向けたかったのだ。

「ちっ、エザリア・ジュールめ。中途半端な事を」
「まあ、君ほど割り切った人間は少ないと思うよ」

 彼の話し相手であったギルバート・デュランダルはクルーゼの苛立ちなど知った風でもなく、1人平然とコーヒーを口にしている。そんなデュランダルにクルーゼは不機嫌そうな顔で文句をつけた。

「言いたくもなる、ジェネシスは1度撃つのに時間がかかるのだぞ」
「それは君の都合だからな、議長には議長なりの都合があるだろう。しかし、君の方こそ良くここまで頑張れたものだ。人類全てを相手にした無理心中など私には想像も付かない事だ」
「その私の計画を知りながら私の頼みを聞いてくれる君も、かなりの狂人だと思うがな。1つ聞いてみたかったのだが、君はどうして私のことを密告しない。君の目指すディスティニープラントやらに関係があるのか?」
「まあそうだな。君に滅ぼされるようなら、人類の運命はとうに閉じていた、という事なのだろう」

 デュランダルはそう言ってコーヒーを啜る。彼は彼なりの未来を見ているようだが、どうやらその未来のためにはクルーゼという試練に打ち勝って見せる必要があると言いたいようだ。それを聞いたクルーゼは一瞬困った顔をしたが、すぐにそれを日憎げな笑みに変えると挑発するようにデュランダルに応えた。

「そうか、では是非とも頑張らなくてはならぬな。君が失意に沈むのは中々に珍しい見世物だからな」
「果たしてそう上手く行くかな、地球軍にはあの最高のコーディネイターも居るのだろう?」
「なに、何とかなる。それでは最期のパーティーの準備をしてくるとしよう。さらばだ」
「ああ、もう会う事も無いだろうな。君の計画が成功すれば私はプラントごと吹き飛んで終わり、失敗すれば君は死ぬ」
「ふっ、そういう事だ」

 クルーゼは笑いながら置いていた仮面を取ると、何時ものように顔につけて部屋から出て行った。それを見送ったデュランダルの顔には何の表情も浮かんではおらず、やがて席を立つと自分も部屋を後にした。飲みかけのコーヒーを残して。






 プラントが追い詰められている頃、ボアズからはカガリ率いる艦隊が出撃しようとしていた。オーブ軍旗艦クサナギを総旗艦とする連合艦隊であり、言い換えるなら寄せ集めの集団に過ぎない。
 だが、クサナギの艦橋に立つカガリの顔には一抹の不安も感じられない。威風堂々としたその姿はクサナギのクルーに安心感を与える効果さえあった。
 艦橋でカガリの後ろに控えているユウナはそのカガリの風格に安心したような顔を見せ、カガリに全軍への訓示を促した。

「カガリ、出撃前に一言良いかな?」
「演説しろってか。私はあれは苦手なんだけどなあ」
「苦手でも何でもやるのが君の仕事だよ、後5分で回線開くから、覚悟を決めてくれ」

 ユウナに促されたカガリは仕方なく大きく深呼吸をし、何を言うかを暫し考え込んだ。そしてユウナの合図で回線が開かれると、カガリは全軍に対して彼女らしい大きな声で自分なりの演説を始めた。

「先発隊に志願してくれた全将兵に、まず感謝の言葉を送らせてくれ。少数の兵力でプラントに突入するという危険な任務に志願してくれてありがとう。そしてこの作戦の本当の意味を今から君たちに伝えさせて貰う」

 その出だしの言葉に真相を知る者たちに緊張が走った。まだ早い、と誰もが感じたのだ。裏の事情はアズラエルたち一部の関係者と軍のTOPくらいしか知らない機密なのだ。それをここで明かすというのか。
 ユウナも静止するべきではないかと考えて動こうとしたが、一瞬だけ自分の方に向けられたカガリの視線に射竦められたようにその場で硬直してしまった。

「この作戦の真の目的は、プラントを軍事力によって完膚なきまでに叩き潰す事ではない。この作戦の目指すところは地球とプラントの間に講和を成立させ、戦争を終わらせる事。そしてこの戦争の裏側で動いて人類の破滅を画策した勢力の目的を頓挫させる事にある!」

 カガリの演説は艦隊の将兵たちを沈黙に追い込んでいた。作戦の目標がプラントの壊滅でも屈服でもないというのも驚きであったが、人類の破滅を画策する勢力とは一体何だというのだ。いきなりそんな事を言われても分かる訳が無い。
 だが、それでも誰もが話に耳を傾けていた。カガリの声には不思議と人を引き付ける何かがある。アークエンジェルでそれを聞いていたアズラエルやイタラでさえ引き込むような力だ。初めて彼女の指導者としての声を聞いたアスランは驚きを浮かべてイタラを見る。

「これは、まるでラクスのようだ。彼女は一体?」
「SEEDを持つ者、ではないかと儂らは考えておるよ。ラクス嬢やお前さん、キラ君にシン君もね」
「……今なら信じそうですよ」
「そして我々は、フレイさんがコーディネイターだと考えています。今の世界の流れは彼女とカガリさんを中心に、キラ君や貴方といったSEEDを持つと考えられる人々を中心に変化が起きているのです」
「…………」

 そう言われてアスランは過去を振り返って、その言葉を否定できない事に気付いた。確かに自分の知る分岐点には何故か彼女らが関わっている。これまでは気にしたこともなかったが、本当にそうだと言うのだろうか。

 アスランが悩んでいる間にもカガリの演説は続いた。彼女は自分たちの目指す先は破壊ではなく戦いを終らせる事だと全軍に徹底させていた。

「勿論復讐を望む者が多い事は分かっている。私とて国土を2度も焼かれた怒りを忘れた事は無い。だが今は堪えてくれ、地球の再建にはプラントの生産力も必要となるというのが各国の判断でもあるのだ。そして何よりも、コロニーを巻き込んだ無差別攻撃などというザフトのような戦い方を私はしたくはない。奴らと同じ過ちを繰り返さないことを私は君たちに求める!」

 それは今の地球軍の将兵からすればとんでもない頼みだと言えるだろう。人類史上最大の惨劇と言えるエイプリルフールクライシス、人類の1割が失われたあの戦いで誰もが身内や友人を無くしている。その復讐を望む声は根強いものがあるのだ。実際、あの事件がブルーコスモスの勢力を飛躍的に拡大する契機ともなっている。
 だが、今この場では兵士たちはカガリの言葉に引き込まれているようだった。その力はラクスに近い、人々を取り込んでいくような力だから。ただラクスとカガリが違うのは、ラクスの言葉は人々を自発的に動かすが、カガリの声は自分の後に付いて来させる声だ。故にアズラエルなどは彼女をジャンヌ・ダルクとようだと評している。
 どちらも強大で、そして恐ろしい力だ。ただカガリは自分の力を自覚していない、だからアズラエルもカガリに未来を託している。もし彼女がその力を自覚して利用しようとしていれば、彼もカガリに力を貸していなかったに違いない。
 そしてカガリは、演説をある意味彼女らしい言葉で締めくくった。

「さてと、長ったらしい演説はここまでにしよう、言う方も聞いてる方も苦痛だからな。それじゃあ皆、ちっとばかし世界を救いに行くか!」

 それを合図に艦隊に歓声と笑い声が同時に響き渡った。歓声はカガリの演説でその気になった将兵の物で、笑い声は言うまでも無いだろう。少なくともカガリは確かに艦隊の将兵の心を掴んだようだ。
 ただ、アークエンジェルのクルーだけは本気で笑っていたりするのだが。




 カガリの合図で全艦が推進器に点火し、核パルスの光を上げて艦隊がプラントに向けて出撃していく。それはプラントを攻略する筈の艦隊であったが、同時にこの戦争を終わらせる鍵を握る部隊でもある。もしこの艦隊が全滅すれば、ボアズに残る本隊がプラントは殲滅する事になるだろう。
 マリューはこの艦隊の最前列に第8任務部隊を配置し、自ら先鋒を務める事にしていた。ただパワーだけは機関部の不調が修復できず、艦載機とクルーの一部を他の艦の補充として供出するに留まっている。他にも動けない駆逐艦が出ており、第8任務部隊も今ではアークエンジェル級戦艦3隻に駆逐艦8隻にまで目減りしていた。敵地まで近いので今回は指揮下の補給艦は随伴しない。補給は後から来る本隊から受ければいいのだ。

「各艦の距離に注意、余り開きすぎると敵に割り込まれるわ。敵は自殺攻撃を仕掛けてくる恐れがある、全方位を警戒しなさい!」
「艦長、ドミニオンが哨戒機を出すと言ってきていますが?」
「許可します、それと直衛の展開を急がせて」

 カズィがドミニオンへの通信を行い、ミリアリアが艦載機部隊に指示を出す。そしてサイとチャンドラが艦隊の所定位置を通達している。その指示に従って3隻のアークエンジェル級が中央に、駆逐艦1個戦隊ずつが左右に展開して傘のように広がっていく。この後方に総旗艦クサナギを中心とするオーブ艦隊が続くのだ。
 全軍の総指揮は実質的にはユウナがとっている。カガリも軍人としての教育を受けてはいたが、やはりこれだけの規模の艦隊を指揮する能力は無い。だからカガリが指導的立場にあってユウナがその下で実務を担当するという形が自然と作られてしまっている。部下たちも細かい指示は直接ユウナに仰ぐということが当たり前になっているくらいだ。まあ当のカガリが細かい事は任せると言っているのでこれで良いのだろうが。
 その時、いきなり状況に変化が起きた。プラント方向に一瞬強烈な光が観測され、直後にそれまでプラントに長距離攻撃を加えていた月基地からの連絡が途絶したのだ。それが何であるのか、今更確認するまでも無かった。ユウナの報告を受けたカガリは怒りを隠そうともせずに近くの椅子の足を蹴り付け、吐き捨てるように怒鳴った。

「奴ら、またジェネシスを使ったのか!」
「そのようだね。でも、問題は先ほどの発射から12時間で撃ってきたって事。偵察部隊からの観測データを纏めた報告だと1度目の発射には準備に丸1日かけてるんだけど、2度目はその半分で撃ってきた。発射準備がそれだけ効率化したんだ」
「つまり、3射目は更に早く撃ってくるって事か?」
「そう考えておくべきだろうね」

 だが、唯一の救いは敵がジェネシスをこちらに向けなかったという事だ。月基地が潰されたことは痛いが、第3射を撃つまでの間に自分たちは距離を詰める事が出来る。




 艦隊の先頭に立っているアークエンジェルは第2戦闘配置で進んでいたが、その艦内では相変わらず問題が多かった。今も幾つかの問題がマリューの元に持ち込まれて彼女の頭を悩ませている。

「なに、この期に及んでまたキラ君とアスラン・ザラが喧嘩したの?」
「はい、まあ今回は口論だけですが。それとステラ・ルーシェの容態が一時的に安定してきました。まだベッドからは起こせませんが、話しくらいは出来ますよ。あとまた理事がミーア・キャンベルを怖がらせていたという報告も来てます」
「……ステラちゃんの方は良い知らせね。理事の方は私にはどうすることも出来ないわよ、あの性悪中年が」

 アズラエルに関しては自分の管轄外だという姿勢を貫いているマリューであった。実際彼の暴虐を食い止められるのはカガリとフレイくらいなのだから。後何故かフレイのメイドのソアラにも頭が上がらない事が分かっている。
 ミーアも本来ならボアズに降ろさなくてはいけなかったのだが、困った事に彼女がアスランから離れたくないと言い出したことで話が拗れてしまった。彼女は別になんの情報も持っていない、ただ利用されていただけの捨て駒だった事が明らかである以上、連合軍としては彼女に利用価値は無いと判断していたのだ。いや、ラクスが生きている事を考えれば彼女はむしろ始末した方が良い存在だと言える。
 だが彼女の運命は気まぐれな変態の一言で変わってしまった。アズラエルが動向を許可したのだ。ある意味ハルバートン以上の発言権を有するこの男が許した為にミーアはアスランと共にアークエンジェルへの乗艦が許されたのである。もっとも、与えられた個室から無断で外に出ないことが条件となっていたが。

「困ったものだわね。ノイマン、プラントへの到着時間は?」
「予定では4時間後ですが」
「そう、それでは全員に交代で食事と休息を取らせて。最期の休養だから、思い残す事の無いようにね」
「艦長、そんな物騒なこと言わないで下さいよ。俺たちは死にに行くんじゃないんですよ」
「あら、そうだったわね。ごめんなさい」

 ノイマンの反論に艦橋の全員が笑いだし、カズィが艦内放送で全員にマリューの指示を伝達した。それを受けて各部署でリーダーがメンバーを分けて食事を取りに行かせ、にわかに喧騒が戻ってきた。それを聞きながらマリューも艦橋のクルーに予備要員と交代して休養取るように命じた。

「皆も今のうちに休んでおきなさい。プラントに付いたら、もう休む暇は無いわよ」
「それじゃあ、そうさせてもらいます。行こうぜミリィ、カズィ」
「そうね。あ、トールにも連絡入れておこっと」
「んじゃ、俺もちょっと行って来るかね」
「あれ、チャンドラ少尉も来るんですか?」

 何故かチャンドラまでがCICを離れて艦橋から出て行こうとしている。それを見たカズィが意外そうな顔をしたが、チャンドラは右手をぷらぷらと振ってちょっと野暮用がねと言って艦橋から出て行ってしまった。それを見送った一同は野暮用って何と顔を見合わせてしまっていた。実はチャンドラが普段何をしているのかは皆良く知らなかったのだ。その影の薄さはアークエンジェルでも並ぶ者が無い男であったから。



「で、今度は何が原因で揉めてた訳?」

 食堂ではご立腹なフレイを前にキラとアスランが弁解を繰り返していた。やって来たサイたちも面白そうだと話を聞いていたのだが、その内容は彼らの想像を遥かに超えるようなアホらしい物であった。

「アスランがごた混ぜ大戦の僕の部隊編成にケチをつけたんだ!」
「当たり前だろ、何だあのおかしな編成は。バランスが悪すぎる。しかも改造の方向までイカレてるじゃないか!」
「何を言うんだアスラン、この手のゲームは趣味に走ってナンボだろ!?」
「いや違う、綿密な計算に基づいて効率的な進め方をするもんだ!」
「そんなのどこが楽しいんだ、男なら黙ってシャナをフル改造だろう!?」
「あんな紙装甲で武器の射程1しか無い奴に資金突っ込むな。それよりコンボイとアンパンマンの強化をしろよ!」

 ぎゃあぎゃあとまた喧嘩を始めた2人を前にフレイは頭痛がしてきた頭を抱え込みたくなったが、最近耐性がついてきたのか放り出すことはせず、呆れた顔でミリアリアに助けを求める事にした。

「ねえミリィ、この2人が何言ってるのか分かる?」
「分かる訳無いでしょ」

 問われたミリアリアは何故か憮然とした様子でフレイに応えた。その態度にどうしたのかとフレイは首を傾げたが、その答えはすぐに男どもがくれた。

「いやいや、やっぱりそこはだな!」
「違うだろキラ、お前は資金の使い方が間違ってるぞ!」
「とりあえずデータ弄って資金MAXかな」

 トールとサイとカズィが嬉々として2人の口論に加わって騒ぎを拡大している。どうやらこれは男にしか分からない拘りの世界であったらしい。そしてフレイはミリアリアの態度を理解した。なるほど、彼女はもっと前からこんな話を聞かされていたのか。

「ミリィ、大変だったわね」
「言わないでフレイ、同情されると余計虚しくなってくるから」

 ジュースをちびちびと口にしながらミリアリアはこれまでを思い出して心底疲れた顔をしてしまっていた。男にしか分からないような話題を恋人に振ってくるんじゃないと何度も態度で伝えていたのだが、この鈍感馬鹿は全く気づいてくれなかったのだ。
 フレイはかける言葉が浮かばずに誤魔化し笑いを浮かべて視線を別の方に逸らせたが、そこでフレイは何とも奇妙な物を目にする事になる。

「あれ、あれはセランさんに、チャンドラ少尉?」

 パワーからこちらに移ってきたセランがいるのは別におかしくは無いのだが、何でチャンドラと一緒に食事をしているのだろうか。その視線に気づいたミリアリアがチャンドラは用事があると言って艦橋から出て行った事を教えてくれた。

「みんな不思議そうにしてたけど、用事ってもしかして彼女と食事だったのかしらね?」
「でも、何時チャンドラ少尉がセランさんと?」
「俺の聞いた限りじゃ宇宙に上がってかららしいけどな」
「ボ、ボーマン中尉、いきなり出てこないで下さいよ!」

 話していたフレイとミリアリアの背後に何時の間にやらパワーのMS隊に所属しているボーマンがやって来ていた。彼もウィンダムと共にアークエンジェルに移ってきていたのだ。彼の話ではセランとチャンドラが知り合ったのは第8任務部隊の全艦が揃った後の事であるそうだ。

「パワーのパイロットと整備班の間じゃ何時まで続くかで賭けをしてるぞ。ちなみに俺は3ヶ月に給料1ヶ月分を賭けた」
「お兄さんなのにそれで良いんですか?」
「いや、俺だって妹は可愛いぞ。だがそれは妹という存在だからであって、それ以上ではない。あいつの性格を考えれば3ヶ月がラインだろうと見たのさ」
「同じ兄でもシンとはえらい違いね」

 ミリアリアが呆れ果てた様子でシンとボーマンの違いを思い浮かべていた。シンのあの妹に対する接し方は正直少し危ないと思えるものであったが、ここまではっきり言うようになるのもそれはそれで問題な気がしたのだ。
 だがまあ、妹なんて本来そんな存在なのかもしれないが。


 そのシンはといえば、ステラの目が覚めたと聞いてスティングと一緒に医務室に来ていた。ステラはベッドの上で上半身を起こして退屈そうにしていたが、入ってきたシンとスティングを見てニパーと笑顔を見せていた。

「シン、スティング!」
「元気になったって聞いて顔見に来たよ」
「あれ、俺の事覚えてるのか?」

 なんで俺の事覚えてるんだ、と聞いてきたスティングにステラの方が今度は首を傾げてしまっていた。

「何言ってるの、スティングを忘れる訳無いよ?」
「いや、だってこの前は完璧に忘れて……」
「スティングさん、ひょっとして今度は忘れてた時の事を忘れてるんじゃ」

 シンの指摘にスティングはなるほどと頷いたが、それはそれで厄介な事であった。スティングはいくつかの質問をステラにぶつけ、ステラの記憶がどうやら大体の部分で攫われる前に戻っている事を確認したのだが、やはり失われている部分もあり、更には攫われた以降の記憶とごっちゃになっている部分もある。どうやら頭の中で記憶の混濁が起きているらしい。
 シンにステラの相手を任せたスティングがどういう事なのかとアズラエルが連れてきた医者、というか研究者に質問をぶつけたのだが、返ってきた答えはスティングの期待を大きく裏切る物であった。

「恐らく、記憶障害だろう。彼女に施された処置は分からないが、何の障害も出ないほど都合の良いものとは思えん」
「じゃあ、ステラはどうなるんだよ?」
「このまま放置すればまず間違いなく死ぬだろうな。だが、仮に助かったとしても元の彼女に戻るかどうかは分からん。どの程度障害が残るかは予測が付かんのだ。それに、今は下手に手を出すことも出来ん」
「……なにも、出来ないのかよ」

 無力感にスティングは肩を震わせて苛立ちを堪えていた。エクステンデッドなどというご大層な存在になっても妹分1人助けてやることも出来ない。既にアウルを失っているというのに、今度はステラまで目の前で死んでいくというのか。
 症状の悪化が予想していたよりも早い、という研究者の言葉にスティングは絶望をさせるものだったが、そんなスティングの苦悩など全く気づかないステラはいきなりとんでもない事を言い出してくれた。

「退屈だから、もうベッドから出ても良い?」
「いや、それは不味いんじゃないかなあ、と思うんだけど?」

 シンがチラリと研究者とスティングを見るが、2人は2人で顔を見合わせてどうしたものかなあと考え込んでしまっていた。研究者の結論で言うならば寝てても症状が改善する事は無く、出歩いても問題は無いはずなのだ。でももし何か起きたときの事を考えればここに居てくれた方がまだ対処し易いとも言える。それに現在の彼女は治療の為にプラントに運ぶ為に乗っているのであって乗組員ではないのだ。勝手にうろつかせて良いのだろうか。
 だが、判断を任されたマリューはいともあっさり許可を出してしまった。手続き上では一応ステラはまだアークエンジェルのパイロットとして登録されたままでいたようで、出向待ち状態でいたらしい。事務処理の手抜きもここに極まれりと言うべきだろうか。
 まあ、仮に抹消されていても面白がったアズラエルが許可を出していたであろう事は想像に難くないのだが。


 敵影を前衛艦であるアークエンジェルのレーダーが捉えたのは出撃から予定通り4時間後であった。索敵レーダーに大量の機影が現れたのだ。パネルを見ていたパルが前方に現れた数え切れないほどの反応に吃驚している

「前方に無数の反応を探知、サイズはMSより小型です!」
「……機雷源かしら。迎撃機の反応は?」
「動体反応はその後方に確認できます、艦艇と思われる反応はまだありませんが、MSらしき反応は多数あります」
「いよいよね、全艦ミサイル第1派用意、機雷群を潰すわ!」
「了解、各艦に目標の指示出します。前衛隊の照準はアークエンジェルに合わせ!」

 第8任務部隊の全艦から一斉にミサイルが発射されてプラントへと向かっていく。それは、プラントを巡る戦いの開始を告げる号砲であった。

 




 オーブ領内にある小島の1つ、そこにマルキオは住居を移していた。ここには身寄りの無い孤児ばかりが住んでおり、ウズミ時代からの縁でオーブ政府からの僅かばかりの支援も行われている。
 このマルキオ邸に、1人の男が訪れていた。ヘンリーがまたマルキオの元を訪れていたのだ。訪れたヘンリーはノックをしても何の反応も無いことを不審に思い、玄関から庭の方へと回ってみると、ベランダに置かれた安楽椅子に腰掛けたマルキオが居た。

「こちらでしたか、導師」
「スチュアート様ですか、今日はどのようなご用件で?」
「なに、今日も質問したい事がありましてね。アルカナムについて知っている事はありませんか?」

 余りにも単刀直入すぎる言葉に、マルキオは彼らしくも無く絶句して招かれざる客人を見返している。それを見て、ヘンリーは予想を確信へと変えていた。やはりこの男は何かを知っているのだと。




後書き

ジム改 カガリ艦隊、遂にプラントに突入。
ラクス あの、私の出番は?
ジム改 君の出番は次回か次々回で必ずあるが、何時もの相方はどうした?
ラクス カガリさんでしたら向こうでお食事中ですわ。
ジム改 まさかあの毒料理を……
ラクス 失礼ですね、昔よりは上達しています。
ジム改 ま、まあいいか。殺しても死なないお方だし。
ラクス そういう事ですわ。それで私の出番は何時に?
ジム改 まあそう遠く無い未来にあるから慌てなさんな。
ラクス なら良いのですけど。
ジム改 それでは次回、プラント本土決戦が遂に始まる。ジェネシス破壊を目指すカガリたちと、それに立ち塞がるザフト最期の艦隊。終焉の時を前にクルーゼは1人プロヴィデンスで人類を嘲笑いながらキラたちを襲う。そしてその戦いの中で、アスランはイタラと話をする機会を得た。次回「俺たちの選んだ道だ」で会いましょう。

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