第27章  孤独

 


 ヨーロッパで大敗したザフトはジブラルタル基地に増援部隊を集結させていた。本来ならスピットブレイクに回される筈だった部隊からさえ一部がこちらに転用され、何とか消耗を補っている。だが、戦力を再建した頃には連合は中部ヨーロッパまでを制圧しており、これと睨み合うような形で新たな戦線が構築されている。
 ジブラルタル基地の司令部はこの大敗の理由を、連合が配備しだしたMSにあると判断していた。僅か5機ではあるが、その5機が防衛線を食い破り、それを食い止めようと集まってきた部隊さえ蹴散らして進んできた。特に先頭に立つストライクの強さが脅威的で、あのザラ隊やジュール隊ですら撃破されてしまったのだ。
 補給と補充を受けたザラ隊とジュール隊はアークエンジェル追撃の為に出動することになっている。だが、奴らは巧みに連合の勢力下を移動しているらしく、こちらの捜索網になかなか引っ掛からないでいる。
 先の戦闘で部下を1人失ったイザークは荒れていたが、今では流石に落ち付きを取り戻していた。ただ、足付きとストライクに対する憎悪はこれまで以上のものがある。ディアッカでさえ呆れて手が出せないほどだ。
 また、ジンやシグーでは足付きの搭載機にはまるで歯が立たないことが分かりきっている為、両隊には本国から完成したばかりの次期主力量産機、ゲイツの量産試作型が送られている。言ってしまえば試作機に毛が生えた程度の機体で、本格量産型に較べると信頼性などの面でかなり問題がある。いわゆる実戦テストに使われるということだが、これを渡されたのはザラ隊ではミゲル、ジュール隊ではフィリスだった。他のメンバーはジンからシグーに乗換えとなっている。
 ゲイツを渡されたミゲルとフィリスは渋い顔でこの新型機を見上げていた。

「なんだかなあ。本当に大丈夫かよ、これ?」
「気に入りませんね。戦場で故障したらどうしてくれるんですか」

 まだ本格生産にも入っていない機体に喜ぶパイロットなどいない。カタログスペックこそ凄いが所詮はカタログ上のものだ。実戦ではどんな不都合が生じるか分からない。
 だが、ビームライフルとビームサーベルを標準装備というのは、足付きを沈める為の必須条件だ。あれに搭載されているストライクとデュエルを倒すにはビーム兵器が絶対に必要なのだから。
 ミゲルのゲイツはミゲル用のカラーに塗られているが、フィリスのゲイツは標準的な濃緑色だ。ミゲルは赤を着ている訳でもないのにこの辺りの優遇ぶりが凄い。まあ、それだけの実力はあるのだが。言ってしまえばミゲルの実力は赤を着るイザークにも引けを取らない。ただ学校の成績が良くなかっただけなのだ。

 ザラ隊は出発を目前にして移動の準備に追われていた。とりあえず足付きがアジアに向かっている事だけは確かなので、そちらの友軍部隊と合流しようというのだ。アスランとミゲルは飛行場で輸送機に自分たちのMSが搬入されていくのをじっと見守っている。

「しかし、独立部隊ってのも良いもんだな。気は楽だし、自由に動けるし。なあアスラン」
「そうだなぁ」
「そして、なによりあの変態仮面がいない」
「開放的だなあ」

 両手を上げて背筋を伸ばしながらとても嬉しそうに答えるアスラン。そして、2人の周囲をなんとも言えない不思議な沈黙が支配した。

「・・・・・・・・・俺、何か言ったか?」
「いや、何も聞えなかったぞ」

 漏れ出たアスランの本音を、ミゲルは引き攣った笑顔で聞き流してくれた。そしてわざとらしく話題を方向転換させる。先ほどの会話は脳内からあえて忘却してしまう。

「まったく、ヨーロッパに来たと思ったらもう移動かよ。忙しいことだな」
「そう言うな。俺たちは足付きを沈める為に降りてきたんだからな」

 ぼやくミゲルをアスランが苦笑混じりに窘める。だが、本当はアスランももう少しここに居たかったのだ。少し疲れが出ているのだろう。それに、明日にはラクスが戦場慰問でジブラルタルにやってくる事になっている。彼女の顔も見たかった。なんとも運の悪い事である。
 何処となく残念そうなアスランの顔を見て、ミゲルは近くでジャックと話しているエルフィを手招きして呼び寄せた。エルフィは軍人としてはいささか問題を感じさせる背中の半ばまで届く水色の髪を揺らして駆けてきた。

「なんですか、ミゲルさん?」
「悪いけど、アスランのサポート頼むわ。俺はちょっと別の用事がある」
「はあ、分かりました」

 何となく釈然としないものを感じながらも、エルフィは請け負った。そして少し嬉しそうにアスランの所に行ってしまう。ミゲルはそれを見送ると、突然顔を邪に歪めた。その顔は、悪戯を思いついた悪餓鬼そのものだったのである。

「ふっふっふ、アスラン、俺の友情に感謝しろよ」

 ミゲルは無気味な笑いを浮かべながら輸送機に移す為の作業を行っているイージスの方に歩いて行く。一体彼は何を思いついたのであろうか。

 それから10分ほどして、アスランが整備兵に呼び出された。エルフィを伴ってやって来たアスランは整備兵から驚くべき話を聞かされる。

「イージスに致命的な故障が見つかった?」
「はい、まだプログラムチェックの段階なんですが、どうやら動力系に異常があるようで。これから一度ハンガーに戻して総点検に入ります」
「じゃあ、今日の移動は?」
「諦めてください。少なくとも1日はかかります」

 整備兵の返事にアスランは困り果ててしまった。整備兵が動かせないと言う以上、ごりおしも出来ない。こと機体の調子に関しては整備兵の方が権威がある。だが、困っているアスランの肩をミゲルがポンと叩いた。

「まあしょうがないさ。お前は後からのんびり追って来い」
「ミゲル、だが」
「なあに、ニコルも俺もいる。イザーク達も行く訳だし、何かあっても戦力的な不足はないだろ。それに、不完全な機体で出られても戦力には数えられないぞ」
「・・・・・・・そうだな、分かったよ」

 アスランも渋々頷いた。確かに壊れたイージスで出撃しても足手纏いになるだけだろう。アスランが残る事が決まったので、ミゲル達は先に出発することになった。見送りに来たアスランに手を振りながらニコルが不思議そうにミゲルに語り掛ける。

「ですが、イージスだけ再点検ですか。前の損傷が思ったより酷かったんですかね?」
「う、うーん、まあ、そう思っておいてくれ」

 あからさまに何か知ってますよと言いたげなミゲルに、ニコルは彼らしくもなく疑いの視線を向けた。

「何か知ってるんですね、ミゲル?」
「な、なんのことかな?」
「とぼけないで下さい。まさか、イージスに細工したのはあなたなんですか?」

 非難の目を向けてくるニコルに、ミゲルは渋々頷いた。

「ばれちゃあ仕方ないな」
「なんでそんな事をしたんです?」
「明日、ラクス・クラインがジブラルタルに来るんだよ。それが理由さ」
「・・・・・・・・お節介な人ですねえ」

 ニコルは呆れた顔になりながらも、ミゲルを責めはしなかった。いつもふざけてはいるが友情には篤い兄貴肌の男。それがミゲル・アイマンなのである。
 ミゲルは苦笑しながら輸送機の方に顔を向け、そして妙なものを見つけた。なにやら大荷物を抱えたイザークの姿だ。その後ろにやはり大きな袋を抱えてるディアッカの姿がある。

「・・・・・・何をやってるんだ、あいつ等?」
「イザークの持ってる梱包はなんでしょうね?」

 不思議に思った2人はイザークに近付いて声をかけた。

「おいイザーク、なんだよその荷物は?」
「な、なんだ、ミゲルか。暇なら荷物を持ってくれ」
「いや、だからこれはなんだよ?」

 ミゲルの問い掛けに、イザークは言い難そうにぼそぼそと打ち明けた。

「これは・・・・・その、この辺りの民芸品だ」
「はぁ?」
「だから、この辺りで買い込んだ民芸品なんだ。この辺りにはいろいろと面白いものが売ってるからな」
「そういえば、イザークはその方面に進みたいんでしたね」

 イザークの趣味を知っているらしいニコルが納得して頷く。どうやらイザークは自分の趣味に没頭していたらしい。後ろからついて来ているディアッカが情けない声でミゲルを呼んだ。

「おいミゲル〜、手が空いてるならこっちも手伝ってくれ」
「あ、悪い、今丁度用事を思い出した」

 無茶苦茶嘘っぽい事を言ってミゲルは逃げて行く。ニコルはいささか唖然としてその後姿を見送っていたが、それが彼の命取りだった。背後からイザークとディアッカがなんとも言えない目でこっちを見ているからだ。

「わ、分かりましたよ。だからそんな必死な目で見ないで下さい」
「そうか、やはりニコルは俺達の仲間だな」
「ああ、持つべきものはグゥレイトな戦友だぜ」

 とたんに爽やかな笑顔を浮かべて2人はニコルに次々と荷物を渡した。その余りの量にニコルの顔が引き攣る。

「また随分と沢山ありますね」
「まだもう一度往復しなくちゃいけないんだ」

 ディアッカがうんざりと言いたげに答える。それを聞いたニコルは騙されたと言いたげな顔でイザークを見たが、イザークはいそいそと逃げるように輸送機の中へと消えて行ってしまった。

 基地に残るアスランにエルフィが幾つかの書類を渡している。どうやら機内で処理して欲しかった書類らしい。全然嬉しく無さそうな顔でそれを受け取ったアスランはボソリと愚痴をこぼした。

「ふう、偉くなったら仕事が増えた」
「なんですか、いきなり?」
「いや、人間関係複雑になったし、書類は増えたし、クルーゼ隊長と一対一で話さなくちゃいけないし・・・・・・・・」
「あんまり悩んでると禿げますよ?」

 エルフィの本心から心配してますよ、と言いたげな瞳に、アスランは額に青筋浮かべながらもどうにか怒りを押さえることに成功した。ただ、ちょっと声が震えているが。

「はははは、ま、まあ、そんなつまらない事は気にしなくてもいい」
「は、はいっ」

 僅かに漏れ出る怒気、というか殺気に気付いたのか、エルフィは背筋を正してビシッと答えた。そのまま何やらヤバゲな沈黙が続く。
 それを壊したのはジュール隊のフィリスだった。アスランを探していたようで、こちらに真っ直ぐに歩いてくる。

「ザラ隊長、こちらでしたか」
「あ、ああ、フィリス・サイフォンか。何か用か?」
「いえ、用という訳でもありませんが」

 フィリスは懐から手紙を取り出すと、アスランに差し出した。それを見てエルフィが大声を上げる。

「え、え、え、えええええええ―――っ!! ま、まさかそんな・・・・・・」

 何やら凄いショックを受けた様子でよろよろと後ろに下がるエルフィに、どうかしたのかと不思議そうに首を傾げるフィリス。アスランはエルフィの様子にようやく状況を把握したのか、焦った顔になる。

「あ、あの、フィリス。僕にはその、婚約者がだね」
「・・・・・・はあ、それが何か?」
「いや、だから・・・・・・」

 ごにょごにょと口の中で必死に台詞を探すアスラン。だが、それよりも先にエルフィが暴発してしまった。

「フィ、フィリスさん、ザラ隊長にはラクス様という婚約者がいらっしゃるんですよ。それくらいあなただって知ってるでしょう!」
「ええ、勿論知ってますが」

 済ました顔で答えるフィリスにエルフィは更にショックを受けたようで、何やら顔面蒼白になっている。そして悔しそうに下唇を噛んだ。

「そ、そうですか。あなたは強い人なんですね。私にその半分も勇気があったら・・・・・・・」
「あの、エルフィさん?」

 何やら1人で青くなったり赤くなったりと急がしそうな同年輩の同僚にフィリスが戸惑った声をかける。だが、エルフィはキッと顔を上げるとそのまま走り去ってしまった。それを呆然と見送ったフィリスは戸惑いを隠しきれないままにアスランを見る。

「・・・・・・あの、エルフィさんはどうなさったのでしょうか?」
「い、いや、どうなさったと言うか・・・・・・・」
「まあ、いいですけど。それではザラ隊長、すいませんがこの手紙をラクスに渡しておいてください」
「・・・・・・ラクス、に?」
「はい、ザラ隊長は明日降りてくるラクスに会うのでしょう。でしたらと思いまして」

 フィリスの言葉にアスランは脱力してしまい、危うくその場に崩れ落ち掛けた。顔が安堵のあまりだらしなく緩む。

「そ、そうか、分かったよ」
「・・・・・・あの、エルフィさんもザラ隊長も、本当にどうされたんです?」

 まだ分かっていないフィリスに、アスランはなんとか精神を再構築して状況を説明した。

「いや、その手紙をラブレターだと勘違いしてしまってね」
「そんな事しませんよ。ラクスに怒られます」
「君は、ラクスの友達なのかい?」
「はい、戦前からのつきあいです。ザラ隊長の事もいろいろとラクスから伺っていますよ。惚気話が多かったですけど」

 そう言って微笑を浮かべるフィリス。そのコーディネイターらしくない柔らかな笑みにアスランは胸が高鳴るのを覚えた。ラクスの微笑みもふわっとして可愛いのだが、フィリスの何処か人を落ちつかせる微笑みには、また違った魅力があった。
 だが、すぐにそれを落ち着かせると、アスランは手紙を受け取った。

「分かった。ちゃんと渡しておくよ」
「お願いします。あと、エルフィさんへの言い訳を考えておいた方がいいかもしれませんよ」
「・・・・・なんでだ?」
「それはご自分でお考えになってください」

 煙に巻くような事を言い残して、フィリスは輸送機の方に行ってしまった。残されたアスランは途方にくれた顔でその後姿を見送っている。ラクスの言うとおり、本当に鈍いと言うか、なんと言うか。

 

 

 難民と第11機械化中隊の生き残りを乗せたアークエンジェルは、目的地であるインドのマドラス基地を目指して出発した。難民と中隊は途中の友軍基地で降ろす事になるが、そこまでは乗せていく事になったのだ。難民には不自由な思いをさせる事になるが、彼らには連合軍の戦艦に乗っているというだけで安心できるのか、文句を言う者はいない。ただ、500人近い大人数なだけに、早く降ろさないと食料を始めとする問題が出てくるのは時間の問題だったが。
 MSベッドにストライクを固定し、整備兵に任せたキラはヘルメットを脱ぐと汗に濡れた髪を鬱陶しげにかきあげた。今日の戦闘では敵との交戦はほとんど無かったが、最近では出撃するだけで重苦しさを感じてしまう。理由は分かっている。なんのために戦うのか、それを見失ったからだ。
 だが、パイロットスーツを脱ごうとロッカールームに行こうとしたキラを呼び止める声があった。

「キラ」

 その呼び掛けに、キラは話が耳を疑った。まさか、なんで彼女が僕を呼ぶのだ。慌てて振り返ると、そこにはフレイがいた。自分にはこれまで向けた事のない優しい笑顔を浮かべて。
 戸惑いを隠せずにいるキラに、フレイは小さく頭を下げた。

「ありがとうキラ、あなたのおかげで、みんな助けられたわ」
「な、なんの事?」
「ビルに撃ちこまれた砲弾を防いでくれたでしょう。あのビルには難民の人たちや、軍曹達がいたのよ。あなたが来てくれなかったら、みんな死んでた」
「ああ、そういう事」

 キラは納得したが、同じに小さな疑念も生まれた。他人のことでこんなに喜んでいるフレイを見るのは初めてだ。あれだけ避けていた自分にわざわざ礼を言いに来るとは。
 でも、今の笑顔を見ていると内心に悔しさが込上げてきてしまう。僕が見たかったあの笑顔を、フレイは遂に僕の傍では見せてくれなかったから。

「・・・・・・フレイ、今日は笑ってるんだね」
「えっ?・・・・・・そうね、やっぱり嬉しかったからね。みんな生きててくれたし」
「そうなんだ・・・・・・」

 寂しげに小さく笑うキラ。そんなキラを見て、フレイは胸のうちがズキリと痛むのを感じる。まだキラは、あの間違った日々を引き摺っているのだろうか。
 フレイは小さく頭を横に振ると、踵を返した。顔だけでもう一度キラを見る。

「今日はお礼が言いたかっただけなの。ご免ね、話し掛けたりして、迷惑だったでしょう」
「そ、そんな事は・・・・・・・」

 無いよ、と続けようとして、キラは口篭もってしまった。自分を利用していた腹立たしい女、というイメージが今のフレイにあるのも事実だからだ。キラが何か言いかけてやめた事にフレイは不思議そうに小さく首を傾げたが、それ以上なにも言わないのを見ると、スタスタと向こうに行ってしまった。

 残されたキラは1人、拳を握り締め、込上げてくる感情に必死に耐えていた。だが、それでも押さえていた内心が口から漏れてしまう。

「なんでだよ、フレイ。他人に優しくなれるのに、どうして僕には優しくしてくれないんだ・・・・・・・」、

 それは、キラが口に出して漏らした、初めての本心であった。


 格納庫を出たフレイは、人通りの無い通路でフラガに呼び止められた。

「フレイ、ちょっといいか?」
「フラガ少佐?」

 フラガが自分に話し掛けてくるのは珍しい。フレイは意外そうな顔で足を止めた。

「なんですか、少佐?」
「・・・・・・フレイ、お前、前に俺に言ったよな。戦闘中に相手の動きがゆっくりに見えたり、声が聞こえたりするって」
「はい、言いましたけど」

 フレイはフラガが何を言いたいのか分からなかった。ただ、フラガは何かを考えこんでいる。そして、フラガは何時もの彼らしくない、真面目そのものの顔でフレイを見た。

「フレイ、その感覚だが、自分で制御出来るのか?」
「ええと、クリスピー大尉達を助けた時は、何となく制御できたようたけど」
「そうか・・・・・・いや、悪かったな。変な事聞いて」」
「はあ」

 あからさまに怪しいが、深く追求する気にもならなかったフレイは敬礼するとフラガの前から歩き去っていった。残されたフラガは真面目な表情を崩さず、じっとフレイの背中を見続けている。そして、その口からだれにも聞えないくらいに呟きが漏れ出た。

「戦闘感覚、か。フレイ、お前も俺達と同じだったんだな」

 



 格納庫から艦橋に行ったフレイは、そこで先の戦闘の報告をマリューにしていた。話を一通り聞いたマリューは、感心した顔でフレイを誉めた。

「よくやってくれたわね。1人で敵部隊を支えるなんて、貴方ももう一人前のパイロットという事かしら」
「そ、そんな、私なんてキラに較べたら、全然駄目ですよ」
「ヤマト少尉と較べるのは流石に無茶ね。でも、ナチュラルパイロットとしては正直凄いと思うわよ。ねえ、ナタル?」

 マリューはCIC指揮官席に座るナタルに声をかけた。ナタルは先のフレイの戦闘データの検証をしていたのだが、マリューに声をかけられてそちらを見た。そのナタルの顔にも珍しく満足げな笑みが浮かんでいる。

「悪くないですね。MS操縦技量もそうですが、戦い方もさまになってきてます」
「あら、貴方が素直に誉めるなんて、珍しい事もあるものね。明日は雹かしら?」

 マリューのからかい混じりの言葉に、ナタルは憮然とした表情になった。

「艦長、私とてそれなりの成果を上げた者に賞賛の言葉くらい掛けます」
「そうだったかしら?」
「そうです。艦長は私を誤解しています」

 はっきりと言い切るナタルに、マリューはクスクスと笑い出した。それを見たナタルはますます不機嫌そうに表情を顰めるが、それが気恥ずかしさを隠す為の仮面であることをフレイとマリューは見抜いていた。この副長は、最近は妙に感情の変化が分かり易くなっている。それが誰のせいなのか、2人には分かり切っているだけに面白くてたまらない。
 だが、面白そうにナタルの横顔を見ていたフレイは、ふと感じた憎悪の視線にそっと目だけでその元を探し、それを確認してたちまち気が重くなってしまった。自分に憎悪の視線を向けていたのは、ミリアリアだったのだ。まるで汚い物でも見るかのような目で自分を見ている。

『ミリィ・・・・・・?』

 自分が嫌われているのは分かっているので今更ショックは受けないが、それでも気が落ち込んでしまうのは避けられない。だが、1つだけ分からないことがある。嫌われるのは分かるのだが、どうして自分がミリアリアに憎まれているのだろう。少なくとも、彼女に憎まれる覚えは自分には無い。
 
 フレイに覚えが無いのも当然だった。この時のミリアリアは、フレイがマリューやナタルと親しそうにしているのを、狡猾に立ち回って取り入った結果だと思っていたのだ。冷静に考えればフレイにそんな器用な真似が出来るはずは無いのだが、ことフレイの件に関しては悪意のフィルターがかかるようになっている今のミリアリアに、そんな冷静な考えが出来るはずも無く、彼女はフレイを「卑怯で恥知らずな女」とみていたのだ。

 

 

 仕事を終えてキラは部屋に帰ってきた。中に入り、明りを付ける。その中の空気は何処か寒々としていて、人を迎え入れる温かさに欠けている気がする。もうここには自分を迎えてくれる人はいない。例え偽りであっても、出迎えてくれる人がいるというものはなんて暖かな空間を作り出してくれるのだろう。

「利用していただけだなんて、本当にふざけてるのに、本当に腹立たしいのに・・・・・・・」

 分かっているいのだ。自分たちが間違っていた事は。その答えは彼女が示してくれた。利用する為に、復讐の道具にする為に近付いたのだと。だが、それでも・・・・・・・
 失ってみてようやくその価値が分かった。偽りであってもいい、愛してくれてなくてもいい、彼女がここにいてさえくれれば、それだけで僕は自分を保っていけるのだから。
 この狭い部屋でさえ、今の僕には広すぎる。寒すぎる。狭いベッドに横になり、早く寝てしまおうとするが、辛さと寂しさのせいでなかなか寝つけない。

「・・・・・・フレイ、僕は・・・・・・」

 どうしたら戻って来てくれるだろう。彼女は僕を利用していたと言っていた。だけど、もう利用しないと言って去っていった。何故? 自分もデュエルに乗れるようになったから? それとも僕が弱いからなの? 僕が弱いから、復讐の道具にはなれないから、フレイは僕から離れて行ったの?
 でも、ならどうして謝る。フレイは僕を理解してくれてた。僕の弱さに気付いてた。でも、だったらどうして傍にいてくれないの。謝るくらいなら傍にいて欲しかった。優しくして欲しかった。
 もう、こんな寂しい思いをするのは嫌だ。僕がフレイの刃となれば、フレイは帰ってきてくれるのだろうか。もしそうなら、僕が強ければいいのだ。強くなれば、敵を沢山殺せば、きっとフレイは帰ってきてくれるから。この寂しさから逃れられるなら、幾らでも同胞の血に汚れてみせよう。そう、相手がアスランであったとしても・・・・・・・・・・・。

 



 アークエンジェルの中に流れる不穏な空気。その発生源たるキラとフレイは、フレイの一方的な拒絶によってお互いの接触を断っている。フレイは艦長やキース、ナタルと新たな関係を築き、キラは仲間たちの所へ戻れる、筈だったのだ。少なくともフレイはそう思っていた。
 だが、現実は違った。キラは前以上に人を寄せ付けなくなり、トールでさえ声をかけられなくなっている。意図的にキラを見ないようにしていたフレイだったが、漏れ伝わってくる噂話でそれとなくキラの様子を知ることは出来たし、キースに聞けばそれなりの事を教えてくれる。そして、伝わってくる噂はいずれも自分の予想とは懸け離れていた。
 今もキースから聞いた話に驚きを隠せないでいる。

「なんで、こんな事に・・・・・・」
「お前は別れたら、キラは解放されると思ってたんだろうけど、いささか的が外れたかな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 フレイには答えられなかった。別れてもなにも変わらなかった。いや、もっと彼を傷付けてしまった。自分はもはや、存在しているだけでキラの重荷なのではないのだろうかとさえ思ってしまう。もし自分が殺されてやれば、キラの気持ちも晴れるのだろうか。

「私、どこまでいってもキラの重荷なのかも」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もし私がいなくなれば、キラも楽になるのかな?」

 フレイの言葉に、キースは僅かに眉を顰めた。

「・・・・・・まさかとは思うが、キラになら殺されても良い、などとは思ってないだろうな?」
「キースさん?」

 何時になく不機嫌そうなキースの声に、フレイはキースの目を見て、おもわず息を飲んだ。今のキースは明らかに怒っていたのだ。

「もしそんな事を考えてるなら、そんな馬鹿な考えは今すぐに捨てろ。他人の為に自分が死ねば良いなんてのは間違いどころじゃない。ただの迷惑だ」
「め、迷惑って・・・・・・・」
「いいか、世の中には死んで責任を取るなんて馬鹿な事を考える奴がいるが、そんな考えは俺に言わせればただの馬鹿でしかない。死んで何になる。生きてこそ責任ってのは取れるもんだ。お前がもしキラに何かを償いたいと思ってるなら、生きてそれを探せ。生涯をかけてもだ」

 何時になくきつい事を言うキースにフレイは目を瞬いたが、すぐに顔を俯かせた。

「キースさんは、優しいのか冷たいのか、時々分からなくなります」
「俺は常にマイペースさ。ただ、妹分が道を踏み違えようとしてるなら、力づくでも正道に戻してやろうとしてるだけだ。確かに人間には命を賭けてでも何かを成し遂げるっていう時はある。俺もそれを否定はしない。だがな、残される奴の事を考えてみろ」

 妹分、という言葉に、フレイは小さく肩を振るわせた。驚いた目でキースを見上げている。

「妹・・・・・・私が?」
「前にも言っただろう。俺はお前に妹の面影を重ねてると。可愛い妹を見捨てられる兄貴はいないさ」

 キースはフレイにもはや1人の肉親もいない事を知っている。いや、自分にもすでに1人の肉親もいない。今のフレイは昔の自分と同じであり、依る何かが無ければ倒れてしまうかもしれない。その考えがキースにフレイを保護させていた。ナタルにもフレイの事を頼んでおり、極力彼女が1人にならないように気を使っている。そのナタルもフレイを妹のように見だしているとは流石のキースも気付いてはいなかったが、

「まあ、キラが何を望んでいるのか、それが分からなければどうにもならんかも知れんけどなあ」

 途方に暮れてキースは呟いた。そうなのだ、キラが何を求めているのか、それが分からなければ対処のしようも無い。だが、それを聞いたフレイは辛そうに顔を逸らした。

「・・・・・・なんだ、何か分かってるのか?」
「・・・・・・分かってる、なんて思うのは、私の思い上がりなんでしょうね」

 だが、確信を持って言えてしまうのだ。キラは寂しがってると。彼が求めてるのは共に笑ってくれる仲間であり、自分を自分と見てくれる人なのだと。そう、「コーディネイターのパイロット」ではなく、「キラ・ヤマト」と見てくれる人が。
 多分、キースでさえキラの辛さを、弱さを知らない。キースでもキラの余りの強さに、それ以外のキラを見れていないのだ。サイやトールでもそうだろう。
 何となくフレイは聞いてみたくなった。キースから見たキラを。

「ねえキースさん、キースさんは、キラをどう思いますか?」
「どう思うと言うと?」
「つまり、キースさんから見て、キラはどういう風に見えますか?」

 問われたキースはしばし考え、そして答えた。

「キラはなあ、凄い奴だと思うよ。カスタフ作戦で見せたあの強さといい、俺達と一緒に戦えるだけの体力といい、MSの整備から調整までこなせる能力といい、さすがはキラだよ。他の奴らとは出来が違いすぎる」

 キースの答えに、フレイは口の中で「やっぱり」と呟いた。キースでさえキラという人間を「強い奴」「凄い奴」と見ている。多分他のクルー全てもそうなのだろう。これではキラは誰にも苦痛を打ち明けられまい。
 フレイは悲しくなった。何故、誰もキラをその様にしか見れないのだろうか。だが、キラも悪い。その悲しさを、辛さをもっと人に見せればいいのに、そうすれば艦長だってキースさんだって気付いてくれるだろうに。

「なあ、なんでそんな事を聞くんだ?」
「・・・・・・いえ、何でも無いです」

 フレイは寂しそうに口元を緩ませ、力なく答えた。キースはフレイが何を考えてるのか分からなかったが、1つ気になってることを問いただした。

「フレイ、お前はキラとやり直すつもりは無いのか?」
「・・・・・・無理ですよ。私たちは、最初から間違ってたんですから」

 自嘲気味に言うフレイに、キースは何も言えなかった。2人の関係が間違っていた事はキースにも分かる。しかし、間違っているのなら正せばいいのだ。やり直せないなどと思うのは当人の間の問題だが、言ってしまえば当人同士がやり直そうと思えばそれは可能なのだ。
 だが、すでに諦めているように見えるフレイの横顔を見ると、それを言い出すのは憚られた。こればかりは他人が言っていい事ではない気がするのだ。

 



 だが、キースとフレイが話している頃、別の場所ではとんでもない事件が起きていたのだ。
自室から出てきたキラを、サイが待ち構えていた。サイを見たキラが驚いた表情になる。

「サ、サイ・・・・・・」
「キラ、久しぶりだな」

 サイの様子は何時もと違っていた。あの何時もの真っ直ぐな眼差しはそのままだが、キラが気圧されるほどの気迫を見せている。その強い眼差しに、キラは無意識に半歩身を引いた。


「キラ、今日は聞きたい事があって来た」
「聞きたい、事って?」
「なんでフレイと別れたんだ?」

 余りにも直接過ぎる言葉に、キラはどう答えるか悩むよりも先にぶつける先の無かった苛立ちが込み上げてきた。なんで他人にそんな事を聞かれなくてはならないのだろう。

「なんでだっていいだろ、サイには関係無い」
「関係無くなんてないだろ!」

 サイが強引にキラの胸倉を掴み上げた。その行為にキラの僅かな忍耐心がたちまち消費される。

「離せよっ!」
「煩い、お前に俺の気持ちが分かるかよ!」
「なにがだよ、振られたのは僕なんだ!」
「その前に俺からフレイを奪ったのはお前だろうがっ!」

 サイの右拳がキラの顔を打ち付けた。予想よりも遥かに大きな衝撃にキラは一瞬ふらついたが、すぐに立て直して自分も拳を握る。

「何をするんだ、サイ!」
「黙れ、キラぁ!」

 また殴り掛かってくる。キラは完全に頭にきて殴り返した。もう何もかもがどうでもいい。ただこのむしゃくしゃした気分を誰かにぶつけてやりたい。その一心でキラは動いていた。何時もなら無意識にやっている手加減も何処かに放り捨てて反撃する。
 だが、この時のサイは誰もが驚く程の粘りを見せた。キラに殴られても倒れず、さらに殴り掛かって3発目の拳をキラに叩きこんだ。キラも口から血を流しながらさらにサイを殴りつけた。流石に2発もキラに殴られては耐えられなかったのか、サイは廊下に無様に転がった。キラはその上からサイの脇腹に蹴りを入れた後、馬乗りになってさらに殴りつけていく。

「お前に、お前に何が分かる。ただ利用されてただけの僕の気持ちが、サイに分かるのかよ!」

 すでにサイの意識は無い。だが、気付かぬままにキラはサイの胸倉を掴み上げ、そのまま上下に激しく揺さぶった。その顔は涙と悔しさに歪み、見ていてどちらが敗者か分からないほどだ。
 この騒ぎを聞きつけたクルーが駆け寄ってきてキラをサイの上から引き剥がす。キラはまだ興奮しており、クルーの手を引き剥がそうとする。その内にとうとうキースまでが駆けつけてきてキラを取り押さえた。

「何をしてる、止めろキラ!」
「離せ、離せぇ!」

 暴れるキラを羽交い締めにしたキースはそのまま力任せに床に押し倒した。数人掛かりで押さえこみ、その自由を奪う。
 キースはサイの様子を確かめると、すぐに軍医を呼びにいかせた。そして不機嫌さを隠さないままにキラを見る。

「キラ、なんでこんな事をした?」
「殴りかかってきたのはサイです!」
「お前ならサイをあしらうくらい簡単だろう。なんであそこまでした!?」

 キースは明らかに怒っていた。だが、今のキラにはキースがこう言っているように見える。

「コーディネイターのお前がナチュラルを殴ればどうなるかくらい分かるだろう」

と。
 馬鹿馬鹿しい、なんで先に殴られた側の僕が手加減などしなくてはならないのだ。悪いのは先に殴りかかってきたサイなのに。これで喧嘩したのが僕じゃなくトールだったら、ここまではされないのだろう。
 キースは答えず、ただ怒っているだけのキラを見て今度こそ苛立った。

「もういい、こいつを独房にぶちこんでおけ。俺が良いと言うまで出すな!」
「は、はい」

 衛兵がキースに敬礼をし、キラに拘束具をつけて立ち上がらせる。キラはまだ不満そうであったが数人掛かりで動きを封じられては逆らえないのか、渋々従っている。
 キースはそれを見送ると、今度はサイの方を見た。サイは担架に乗せられて医務室の方に運ばれている。何故彼はキラに喧嘩など売ったのだろうか。勝てる訳無いと分かっているだろうに。

 独房にぶち込まれたキラは不機嫌さを隠さないどころか、感情の激発に身を任せて荒れ狂っていた。独房の中の備品を手当たり次第に蹴りつけ、殴りつけ、扉を何度も激しく蹴りつける。警備に付いている兵が怯えてしまったほどだ。
 キラの頭の中には行き場の無い怒りがあった。自衛でサイに反撃しただけなのに、何故こんな目にあわなくてはいけないのだ。自分がコーディネイターだからか。困った時は利用するくせに、平気で差別をする。なんて身勝手な奴らなんだ!

「こんな奴らを守る為に、僕は戦ってきたのか?」

 もう嫌だ。なんでこんな目にあってまで戦わなくちゃいけないんだ。もう戦ってなんかやるものか。自分達だけで戦ってみれば良いんだ。そしてせいぜい苦労して、身の程を知れば良いんだ。誰のおかげで今まで生きて来れたのか、それを少しは肌で感じれば、少しは考えを改めるさ。
 だが、キラの中に僅かに残る冷静な部分は、1つの疑問にぶつかっていた。あの時、キースは自分を力づくで押さえ込んでしまった。ナチュラルの筈のキースが、コーディネイターの自分を。おかしい、普通に考えればナチュラルがコーディネイターに力で勝てるはずが無いのに、何故キースは自分を押さえ込めたのだろう。

 怒りと憎しみに支配されたキラは、感情のままにヘリオポリスの仲間達を、アークエンジェルのクルーを罵倒し続けた。キースやフラガさえも今のキラには敵だと思えている。今までに溜まった心労と鬱憤が捌け口を求めて暴走してしまったという状態なのだが、これから数時間後、キラは怒りも屈辱も、何もかもが消し飛ぶほどの衝撃を受け、凍り付く事になる。

 

 サイとキラが殴り合ったという話はたちまち艦内を駆け巡る。これが、次なる騒動の幕開けであった。



キャラ紹介

ミゲル・アイマン  19歳
 ザラ隊の誇る「黄昏の魔弾」。その実力はイザークにさえ引けを取らず、オレンジの機体を駆るエースパイロット。最年長者なだけに自然と部隊の纏め役のような存在となってしまい、会議などでは場を仕切っている。アスランが最も頼っている僚友であり、ミゲルは良くその期待に答えている。イザークを押さえ込む事の出来る数少ない人材。

フィリス・サイフォン  17歳  
 ジュール隊に配属された新人パイロット。赤を着る凄腕だが、経験は浅い。その操縦技量はイザークにさえ引けをとらないが、戦い方はまだまだヒヨッコの域を出てはいない。ジュール隊の良心として活躍を続けるが、実はわりと意地悪で確信犯的にイザークをからかう事も。
 ラクスの友人で、彼女の理想に共鳴している。現在も彼女の命を受け、アスランとキラを観察している。実はSEEDを持っていて、その力を制御する事が可能。SEED発現時の力は絶大。

 

エルフィ・バートン  15歳
 ザラ隊に配属された新米パイロットで、実戦の経験は浅い。何事も前向きに考える性格で、誠実で品行方正と、ザラ隊とジュール隊の呼吸する良心のような女性。その真っ直ぐな性根は誰にも好感を持って迎えられるものだが、反面一度決めたら譲らない頑固さもあり、イザークと正面からぶつかる強さもある。
 事務処理能力に長けており、ザラ隊とジュール隊の実務全般を取り仕切っている。


ジャック・ライアン  16歳
 ザラ隊に配属された新米パイロット。その実力はエルフィよりも上だが、ミゲルやイザークとは較べられるものではない。ミゲルとはウマが合うらしく、よく一緒に行動している。性格は軽くてお調子者だが、一本芯が通っているようで、やって良い事と悪い事の区別はしている。



後書き
ジム改 遂にラクスが出てくるなあ
カガリ 私の出番、欠片も無かったぞ
ジム改 気にするな。今回はアスランたちが出張ってたからだ
カガリ しかし、アスランって苦労性なのか?
ジム改 というか、苦労に好かれてるタイプだな
カガリ なるほど。でも、ミゲルって要領よさそうだな。アスランとは対照的だぞ
ジム改 彼は世渡り上手なタイプだ
カガリ でも何だかなあ。遂にキラは壊れてきたし、本当に大丈夫かよ?
ジム改 いや、全然大丈夫じゃないぞ
カガリ 言い切るなよ!
ジム改 仕方なかろう。あいつは孤独に耐えられるタイプじゃない
カガリ しかもそこで友達が助けに来るかと思えば、サイが喧嘩売ってるし
ジム改 サイも男なんだよ
カガリ 拳と拳で分かり合ってないようなんだが?
ジム改 うむ、分かり合ってないw
カガリ 意味無いじゃないか!
ジム改 起こしたアクションの全てに期待通りの答えが返ってくるなどいと思ってはいかんよ
カガリ うがあああ、どいつもこいつも鬱陶しいくらいに暗くなりやがって!
ジム改 まあ、そのうちに明るい奴も出てくるさ
カガリ 何処にいるんだよ!?
ジム改 とりあえずザフトに数人いるな
カガリ 私たちと接点が無いんじゃ意味が無い!
ジム改 そいつはご尤もだが、心配は無用だ!
カガリ その根拠はなんだよ?
ジム改 うむ、そろそろまた出会うからだ!
カガリ 要するに、また戦うって事だろうが!
ジム改 では次回、「2人の出会い」でお会いしましょう
カガリ 分が悪くなったからって逃げるな――!

 

 

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