第78章  約束はいらない




 まだ日も昇らぬ早朝に、軍港の埠頭を離れていく1隻のボズゴロフ級潜水母艦の姿があった。言うまでもなくアースロイルで、アークエンジェルの出航を見越して近海で待ち伏せる為に先に出航していくのだ。
 艦橋でじっとアークエンジェルの姿を見ていたアスランは、隣に立っているイザークを振り返らずに声をかけた。

「これで、終わるとおもうか?」
「さあな。ただ、終わって欲しいとは思う。これが最後のチャンスだろうからな」
「……そうだな。これで取り逃せば、奴は大西洋連邦の勢力下に逃げ切ってしまう」

 そう、ここで取り逃せば奴は間違いなく南米かハワイに脱出してしまう筈だ。そうなればもう自分達には手が出せない。ただ、北に向えばカオシュンの友軍が居るので捕まえられるのだが、それくらいは向こうも考えているだろう。となれば考えられる方向は1つ。

「マーシャル諸島を経由して、ハワイの勢力圏に逃げ込んだ後、アラスカを目指すか」
「それが一番安全なルートだろうな。俺ならそうする。奴らも多分そうだろう」

 イザークは敵を侮るという悪癖を少しずつだが改善しようとしていた。アークエンジェルとの長い戦いがイザークにナチュラルといえども侮る事は出来ないという認識を持たせたのだが、まだイザークはザフトの持つコーディネイター優越主義が自分達の足枷となってる事にまでは考えが及んではないなかった。いや、恐らく気付いている者はザフトでもごく少数だろう。
 ザフトは極端な少数精鋭主義で、戦闘は個人の判断で遂行されるというパターンが多い。これは明確な指揮命令系統を持たないザフトの弱点を個人の資質でカバーしているわけだが、言い換えると組織戦は不可能だという事になる。
 一方連合は大昔から積み上げられた経験によって高度な組織戦を行う事が出来る。この高度な組織戦対応能力の欠如が質で勝りながらザフトが連合を攻めきれない最大の原因である。連合は地上戦力と航空戦力を1つの作戦内で見事に連携させてくるのだが、ザフトにはそれがない。数を集めてもザフトのそれは沢山の個が集っているだけで、連合のようにチームプレイが出来ないのだ。
 アスランはその問題に何となく気付いてきているのだが、部下達には仲間との連携を考えずに勝手の動く奴が多いのでそれを生かすことが出来ないでいる。イザークがこの事に気付くのは何時の日だろうか。

 そんなアースロイルがオーブの領海を出た頃、いきなりフィリスがなにやら大きな包みを抱えて艦橋に飛び込んできた。突然のことに艦橋クルーは勿論、アスランやイザーク、ディアッカとエルフィも吃驚している。

「ジュール隊長、これは一体なんですか!?」
「な、何だとは?」
「この奇妙で不気味な像のことです!」

 フィリスはダンッと音を立ててそれを床に置くと、包みを力任せに剥ぎ取った。それを見たアスランは見たこともない不思議な姿に目を丸くしてしまっている。
 それは高さ7インチから8インチほどで、精緻な技で作られた一品だった。おおよそ人間の形をしてはいるのだが、頭部は蛸に似て、顔には夥しい触腕がある。胴は奇怪な鱗に覆われ、両手足には巨大な鉤爪が備わっている。背中には細長い蝙蝠のような翼があるこの怪物は、やや肥大した姿で矩形の台座らしき物に蹲っていた。その台座には意味不明の文字で埋め尽くされているようだ。

「なんなんですか、この不気味な像は!?」
「はああ、も、もっと大事に扱え。それを手に入れるのに俺がどれだけの金を払ったと思うんだ!」

 その象を無造作に扱うフィリスにイザークが悲鳴を上げている。一体幾ら使ったのだろうか。だがフィリスはそんなイザークの狼狽など意に介さずにビシリと右手人差し指をイザークの眼前に突きつけた。

「良いですか隊長、隊長の趣味が民芸品の収集だか何だか知りませんが、今は作戦行動中なんですよ。それなのにこんな変な物を買い込むなんて、何考えてるんですか。カーペンタリアの倉庫に山ほど積みあがってるあれもです!」
「す、すこしくらい良いだろうが。誰の迷惑になってるわけでもなし!」
「これが危険物だったらどうするんですか。そもそも、一体何処でこんなの買ってきたんですか!?」
「いや、オーブの海岸で見つけた見た感じ物凄く怪しい古物屋だが。そこでこの像と、あ
と古本を何冊か買ったんだ」
「……そんな怪しい所に行かないで下さい。それに、買った本って何なんです?」
「店の親父の話じゃ、確かアラブ人の書き残した探求の書と、遙か太古に地球にあった者達が残したナコト写本だったかな。他にも2冊あったが、親父の喋りがなんか訛りが酷くて聞き取れなかったんだよな」
「また訳の分からない物を……」

 フィリスは突きつけた指先をプルプルと震わせて怒りを押さえ込もうと努力しているようだが、それはもう限界に近いようであった。イザークはというとフィリスの怒りの余波ですっかり身を縮こまらせている。
 アスランはフィリスに気圧されるようにそこからすり足で遠のくと、ディアッカの傍までやってきて声をかけた。

「な、何だかフィリス、今日はやけに機嫌が悪いな?」
「あの日じゃないの?」
「あの日?」

 ディアッカの答えにアスランが首を捻ったので、ディアッカはやれやれと肩を竦めて懇切丁寧に教えてあげようとしたのだが、それはエルフィのニコニコ笑顔によって遮られた。

「ディアッカさん、何を仰ってるんでしょうか?」
「あ、そのだな、アスランにこう正しい知識をだな」
「そうですか、正しい知識ですか、ふ〜ん」

 あくまで笑顔を崩さないエルフィ。だがディアッカはだんだんと追い詰められているようにあうあうと喘ぎながら口をパクパクし出し、遂にはエルフィに向って降参の意を見せた。

「いえ、なんでもありません」
「そうですか」

 ディアッカ・エルスマン。逆らってはいけない時を見分けられる男であった。
 エルフィはそれを聞くと視線をディアッカからフィリスに移し、イザークを鏡を前にしたガマ蛙状態にしているフィリスを止めに入った。

 エルフィがイザークとフィリスの喧嘩を止めた後、アースロイルは有軍艦2隻と合流してマーシャル諸島を目指した。ここが最期の決戦の地となる事を予想しながら。そしてこの2隻の応援の艦にはとんでもない相手が乗っていた。そう、まだキラを諦めていないユーレクである。イザークたちとは別の意味で、ユーレクもチャンスを狙っていたのだ。





 とうとうアークエンジェルが出発する日が来た。キラは未だに両親と面会しようとはせず、ただひたすらに逃げ回っている。両親は毎日面会に訪れている事はマリューやナタルから伝えられているのだが、キラは頑として聞こうとはしなかった。
 そんなキラにとってアークエンジェルの中は居辛いだけの場所でしかなかった。サイたちは両親の元に一時的に里帰りをしており、今日の出航予定時刻まで帰ってこない。キースは釣竿を持って軍港の堤防の先で釣り糸を垂れているし、オルガは何故かキースにくっついて碁などを指している。どうやらキースに教えられたらしい。アークエンジェルの中で囲碁入門を手に考え込んでいるオルガの姿はちょっとした話題になっているほどだ。
 キースに言わせると、チェスでも何でも良いが、こういうゲームは戦場で生き残る為の状況判断能力を養う効果があるらしい。何をどうすればどういう効果があるのか、それを判断出来る様になれば生き残る確立はかなり上がると言うのだ。
 まあ、所詮はゲームなので専門の士官教育には遠く及ばないのだが、オルガにそれを求めるのは酷だろう。

 そんな訳で、アークエンジェルを降りたキラにする事と言えば街をぶらつくか、フレイの病室に入り浸るくらいしかなかったのである。流石にカガリに会いに政府ビルに行く度胸はない。
 キラからアークエンジェルが今日出航する事を教えられたフレイは「そう」とだけ呟き、ベッドの上で寂しそうに俯いてしまった。どうしても置いていかれるという感じが拭えないのだ。自分はもう連合軍の士官でもなければ、アークエンジェルのクルーでもないという事は頭では分かっているのだが、やはり感情はついてこないらしい。

「……もう、みんなに会えないのかな」
「そんな事無いよ。アラスカに着いたらみんな除隊して、オーブに帰ってくるって。元々、みんなアークエンジェルが人手不足だから残ったんだし」

 キラにしてみればフレイたちが残ると言ったから自分も残ったというかなり流されるだけの理由だったりするのだ。そんな彼らであるから、目的地であるアラスカに到着すればさっさと除隊して昔の暮らしに戻りたいと思うのは当然だろう。
 だが、戦場では何が起こるかわからない。フレイ自身も幾度と無く死神の鎌を首筋に感じてきたし、キラやトールも同様だ。フラガやキースにしてみれば数え切れないほどの死ぬ一歩手前という体験をしてきているだろう。パイロットに較べれば艦の乗組員達はまだ安全な場所に居ると言える。
 フレイはキラやトールが戦死するのを心配しているらしい。だがそれを口にしてしまうと本当にそうなってしまうという恐怖もある。これまで、フレイが口にしてきた不安は何故か良く当たる、望んだ事が裏目に出てしまうというジンクスがある。それを多少自覚してきているフレイとしては、安易な希望を口に出すのを憚っていた。

 暫しの間無言に時が過ぎていく。そして、ようやくフレイが口を開いた。

「キラは、もうお父さんたちには、会った?」
「なんで?」
「この間ね、サイたちが来て、今は家族と一緒に家に居るって言ってたから。その時に、キラだけはまだ会ってないって聞いたの」
「そう、サイが」

 一瞬余計な事を思ったりもしたが、サイはサイなりに心配してくれているのだと思い直して気を静めた。しかし、もっとも、そのサイの気遣いも今のキラには無思慮な同情にしか感じられないでいる。またいつもの自虐症候群が発病していたのだ。
 フレイはなんだか不満そうなキラの顔を見て何かを察したようだが、その事に関してはなにも言わず、キラから顔を背けてしまった。

「見送りにはいけないと思う」
「そう、なんだ」
「ごめんね」

 それだけであった。そう言って謝ったフレイはベッドに横になると、キラから顔を背けたまま無言で拒絶の意思を伝えている。それを感じ取ったキラは寂しげにフレイに背を向けると、無言のままに部屋を後にしようとしたが、扉に手をかけた所で、フレイに声をかけられた。

「家族に、会っておいた方が良いと思うな」

 その言葉にキラは足を止めて振り返ったが、フレイは相変わらずこちらに背を向けていた。キラはその言葉に何も言い返せずに黙り込んでいたのだが、フレイはお構い無しに話を続けていく。

「何があったのか、何を知ったのかは分からないけど、それでも家族なんでしょう? なら会っておいた方が良いよ」
「でも、僕は……」

 フレイの言葉にキラは初めて悲しみと苦しみを見せた。育ての親が本当の親ではなかったという事実と、自分が遺伝子操作の過程で生まれた実験動物でしかないという過去はキラに拭えない強烈な自己嫌悪をもたらしている。自分は生まれてくるべきではなかったのではないのか、という疑問を抱いたのも一度や二度ではないのだ。
 しかし、次のフレイの言葉がキラの心を大きく抉った。

「会えなくなってから、後悔しても遅いんだからね」
「え?」
「出迎えてくれる人が居るのは、幸せだと思う」

 その言葉に、キラは弾かれるように顔を上げてフレイをみた。彼女は相変わらずこちらに背を向けていたが、その言葉が意味する所をキラは正しく理解する事が出来ていた。そう、フレイはもう天涯孤独の身なのだ。最後の肉親であった父親を失ったフレイにはもう帰るべき場所も、迎えてくれる人も居ないのである。
 その事にようやく思い至ったキラは、自分が逆にフレイを酷く傷付けていた事を悟って慌てて頭を下げていた。

「ご、ごめんフレイ、そんなつもりじゃなかったんだ」
「…………」

 キラの謝罪の言葉に、フレイは僅かに頭を動かしただけで何も答えようとはしなかった。そしてキラは少し迷った後、扉を開けて部屋を出て行ったのである。




 フレイの病室から戻ったキラは、その足でアークエンジェルの入港している軍港を目指して歩いていたのだが、何故かたどり着いたのは軍港が見下ろせる海岸の高台であった。ここから見下ろすと軍港に入港しているアークエンジェルの全景が見て取れる。
 そのほかにもオーブの軍艦が何隻も見て取れる。ドックで建造しているのは空母か何かだろうか。似たような船をマドラスの港でも2隻見た事があるのだ。
 そして良く見ていれば、軍港の一角に赤いMSがあるのに気付いた。どうやらオーブもMSの配備を進めているらしい。

「中立とか戦争には加担しないとか言ってても、ちゃんと戦争の準備だけは進めてるんだな」

 もしかしたらオーブも連合に参加するつもりなのかもしれない。ヘリオポリスを破壊されたのだから、世論がプラント打倒に傾いていてもおかしくはないはずだ。あの惨劇でどれだけの犠牲者が出たのかは分からないが、決して少なくはあるまい。
 もう、何処に行っても戦争からは逃げられないのだろう。いや、今はもう逃げようとは思わない。そうするには余りにもアークエンジェルに関わり過ぎてしまっている。アークエンジェルの仲間達を見捨てる事は出来そうもないし、あの船に居る友人たちを守らなくてはいけないのだから。
 
「さて、行こうか。みんなでアラスカまで」

 恐らくまたアスランたちは来る。その確信だけは何故かはっきりと感じ取れてしまう。その時こそ、自分はアスランと決着をつける事になるのだろうか。それとも……。
 胸のうちにモヤモヤとした迷いを抱えながら、キラはアークエンジェルに戻った。






 そして、アークエンジェルが出航時間間近になっても、フレイは言った通り姿を見せなかった。キラは諦め気味にウィングから外を眺めているのだが、その様子を見ていたカガリがサイを捕まえてどういうことなのかを問い質している。
 だが、カガリに掴まったサイは困り果てた顔でフレイが来ないって言っていた事をカガリに伝えた。

「多分、別れるのが辛いんだと思う。フレイは寂しがり屋だからさ」
「だからって、こんなんで良い訳あるかよ。キラもフレイも、馬鹿は死にかけても直らないみたいだな!」

 そういい捨ててカガリは大股で歩きながら何処かに行こうとした。その様を見たサイが何かに気付いたのか、押し留めるように声をかける。

「お、おいカガリ、何する気だよ?」
「決まってるだろ、フレイを引き摺ってでも連れてくる!」
「そんな、怪我人なんだし、それにフレイだって考えた末での事なんだろうし」
「私が確かめたわけじゃない。とにかく私は行くぞ。それで私が納得できなかったら重症だろうが面会謝絶だろうが引き摺ってきてやる!」

 そう怒鳴りつけてカガリはアークエンジェルを飛び出してしまった。それを見送ったサイはやれやれと呆れた顔になったが、その隣に居るキサカはもっと疲れた顔をしていた。

「サイ君、お互い、苦労が多いようだな」
「キサカさん……」
「さて、私はカガリ様のフォローに行くとしようか。カガリ様のことだから、病院に行った後のことは考えていないに違いないからな」
「それって……」
「こっちの方は頼むぞ、サイ君」

 笑いながらキサカはサイに別れを言い、アークエンジェルを降りて行った。一体何をする気なのだろうか。サイはそれを見送りながら、自分はどうするべきかを考えた。カガリは無鉄砲な奴だが、言った事は必ず実行に移すタイプだ。そうなれば、手段はどうあれここにフレイを連れてくるに違いない。

「となると、俺に出来る事は時間稼ぎかな」

 とにかく出発を遅らせてカガリがここに来るまでの時間を稼ぎ出す。その為にはあらゆる手段を使ってみるべきだろう。サイはとりあえず艦橋に行ってカズィに相談を持ちかけてみる事にした。ああ見えて結構アークエンジェルの内部事情には詳しいのだ。トールやミリアリアは勿論、マードックやフラガ、キースも手を貸してくれるに違いない。

「さて、俺も一仕事するか」





 乗用車で軍病院に向ったカガリは、全ての規則を自分の権威で押し切って強引に病院の前に乗り付けてしまった。

「すまんマユラ、助かった!」
「カ、カガリ様、こういう心臓に悪い運転はもうごめんですよ」

 車から飛び出していったカガリを見送ったマユラはハンドルに突っ伏しながらカガリに文句を言った。勿論カガリが聞いていないことは承知の上でである。
 カガリはそのまま病院内を駆け抜け、フレイの病室に駆け込んでいた。

「こらフレイ、いるかああああ!」

 扉を蹴破る勢いで飛び込んだカガリは、その病室の中にベッドに横たわるフレイ以外に、もう1人の人物が居る事に直ぐに気付いた。クローカー・リンクスがフレイのベッドの脇にで椅子に腰掛けていたのだ。

「カガリ様、病院では静かにしろと教えられませんでしたか?」
「今はそれどころじゃないんだ!」

 カガリは嗜めるようなクローカーの言葉にもめげずにフレイに詰め寄った。フレイは目を見開いて驚いていたのだが、カガリは構わずにフレイを問い詰めてきた。

「フレイ、何で見送りに来ないんだよ。もう会えないかもしれないんだぞ!」
「……分かってるわよ」
「分かってるなら今すぐ行くぞ。こんな所で寝てる暇は無いんだ!」

 そう言ってカガリはフレイを連れ出そうとしたが、その手をクローカーが掴んでしまった。

「カガリ様、どういうことか聞かせて頂けますか?」
「そんな暇は無いんだ。離せクローカー!」
「あらら、そんな乱暴な言葉遣い、ウズミ様が聞かれたらまたお叱りを受けますよ」

 表情は穏やかだが、カガリの腕を掴んでいる手は万力のような力でカガリを押さえ込んでいる。流石にナチュラルとコーディネイターの差はそう簡単に埋まるものではない。暫し抵抗を続けたものの、無駄だと悟ると仕方なくカガリはクローカーに事情を語る事にした。

「アークエンジェルがもうすぐ出航するんだけど、こいつは見送りに行かないって言うんだ。あの船には大事な仲間が沢山乗ってるのにだぞ!」
「…………」
「それをこいつは、見送るのが辛いからなんて理由で嫌がってるんだぞ。だから私が無理やりにでも連れて行ってやるんだ。だから離せクローカー!」

 カガリは必死にクローカーの手を振り解こうとしているが、クローカーは手を離さずに視線をフレイに移した。

「フレイさん、お別れが辛いのは分かるけど、言った方が良いと思うわ。きっとみんな待っているから」
「そんな事……」
「そうでないなら、カガリ様がわざわざ怒鳴り込んでなんて来ないわよ。そうですよね、カガリ様?」

 クローカーに念を押すように問われたカガリはコクコクと首を大きく上下に振って肯定していた。それを見たクローカーはフレイに視線を戻した。

「居るそうよ?」
「…………」

 クローカーの視線に耐えられないかのようにフレイは顔を逸らせてしまった。その反応に心当たりはあるのだと察したクローカーはやれやれと呆れた吐息を漏らし、フレイの背中と足に手を差し入れて強引にその体を持ち上げてしまった。

「素直じゃないですね。フレイさんは」
「ちょ、ちょっと、何を!?」
「カガリ様、今から港に行くための足はありますか?」

 フレイの抗議を完璧に無視してクローカーはカガリに足の有無を問い掛けたが、カガリは何故かしまったという顔で右手で顔を押さえている。それを見たクローカーはジトッとした目でカガリに問い掛けた。

「もしかして、用意してないんですか?」
「ア、 アハハハ、行きはマユラに送ってもらったんだけど、待たせとくの忘れてた」
「……相変わらず、詰めが甘いようですね」

 さてどうしたものかと暴れるフレイを抱えながらクローカーが思案しようとした時、大きな音を立てて扉が開け放たれた。

「カガリ様、お迎えに上がりましたぞ!」
「キ、キサカぁ!?」

 港に置いてきた筈のレニドル・キサカだった。

「さあ早く、屋上にヘリが用意してあります!」
「な、何で、どうしてだよ!?」
「カガリ様、私が何年あなたの世話をしてきたと思うのですか。こうなる事は予想していました」

 カガリの問いに当然のような態度で答えるキサカ。その堂々とした態度にカガリは文句を言う口を封じられ、フレイは呆然として暴れるのを止めてしまっている。そしてクローカーは楽しげな笑みを浮かべながらキサカの言葉に頷いていた。

「では参りましょうか、カガリ様」
「あ、ああ、そうだな」

 まだ完全に復活していないカガリがボケた答えを返してクローカーの後に続いて歩いていく。そしてクローカーの隣についたキサカがフレイにすこし楽しげな声でアークエンジェルの事を教えてくれた。

「サイ君がアークエンジェル出航までの時間を稼いでいてくれている筈だ。きっと間に合う」
「サイが?」
「多分、他のみんなも手を貸してくれているだろう。だから我々も急ぐのだ」

 そう言ってキサカは3人を先導するように前に出て行く。その後姿を追うようにクローカーとカガリも足を速めた。




 アークエンジェルでは些か問題が起きていた。通信担当のカズィが通信機の調子がおかしいと言い出して再調整の要求を出したり、マードックが格納庫でトラブルがあったから出港準備が遅れるとか言い出したのだ。出航準備の指揮を取っていたナタルは仕方なさそうにその上申を受け入れたが、早く終わらせろと念を押している。
 だが、何故か艦内から次々に異常を知らせる報告が来たり予定時間内に終わらないからもう少し時間をくれと言ってきたりしてくる。その余りの多さにナタルは自分の作ったスケジュールに無理があり過ぎたかと少し悩みこんでしまったほどだ。

 このゴタゴタとした雰囲気の中、パイロット用の待機室ではキースが新聞を広げ、キラとオルガがポーカーをやっていた。キラが何やら余裕ありげでオルガが追い詰められた表情をしているところからすると、オルガが負けているようだ。
 そこで出航まで暇潰しをしているつもりだったのだろうが、キースが取り出した3紙めの新聞を広げた時、少し驚いたような声を出した。

「ほう、これはこれは」
「どうしたんですか?」

 キースの声に気を引かれたキラが顔だけを向けてキースに問う。キースは新聞の一面をキラの方に広げて見せた。

「驚いたな。ワシントン・ポストのトップ記事でお前の事が出てるぞ。タイトルは前線で戦う戦友たち、だそうだ」
「僕の記事?」
「お前だけじゃなく、連合で戦っているコーディネイター全般を扱ってるようだがな。マドラスのオルセン兄妹なんかも出てる。ヨーロッパで戦う第100歩兵大隊なんかは有名どころなんだが、こいつは世界中飛び回って写真を集めてやがったな」
「でも、なんでそんな記事が?」

 キラは首を捻っていた。コーディネイターの事を特集しても、誰が見てくれるというのだろうか。

「ワシントン・ポストは大西洋連邦でも権威のある大手だからな。その影響力はかなり大きいんだよ。それに連邦市民は戦場でコーディネイターがナチュラルのために戦ってるなんて事は知らないんだ。この戦争はナチュラル対コーディネイターの図式だから当然なんだが。そのイメージがこの特集で少しでも変わるかもしれん」
「そうなんですか?」
「お前だってボーマン中尉やスコット准尉には驚いてただろうが。他の連中も似たようなものなのさ。みんな知らないんだよ。だからコーディネイターをプロパガンダどおりの化け物と思って、国内のコーディネイターを隔離収容所送りにしたりする。まあ上の連中にしてみればコーディネイターの兵なんて使い捨ての道具くらいのイメージだったわけなんだが、それが少し変わるかもしれん」
「どうしてです?」
「簡単さ。真実が報道されちまったからだよ」

 キラが思っている以上にジャーナリズムの影響力は大きい。特にそれが歴史ある大手の出版社だと、その力は時として国をも動かしてしまうほどだ。その内の1つ、ワシントン・ポスト誌は大西洋連邦のオピニオンリーダーとしての役割を担う社会的影響力の強い新聞社である。
 この新聞社は伝統的に真実のみを報道しようとする。政府はコーディネイター問題に関しては報道規制とも言える統制を強いている筈なのだが、多少の危険を承知でこの記事を載せたのだろうか。
 記事を追っていったキースは、その記事のライターの名を見て得心したように頷き、そして小さな笑い声を上げた。

「なるほどな、ヘンリーの奴、だからアークエンジェルに乗り込んだのか」
「ヘンリーさんがこの記事を?」
「ああ、それでマドラスに居た訳も分かった。あいつオルセン兄妹を取材していたんだな」
「ヘンリーさんは、こんな記事を書くために僕に付き纏ってたわけですか」
「ああ、あいつはオーブでこの記事をどこかの出版社に売りつけるとか言って降りたが、まいったねこりゃ。まさにペンは剣よりも強しだ。俺が出来なかった事をあっさりとやっているよ、あいつは」

 ブルーコスモス時代にキースは世論を操作していたアズラエルに敗れ去り、状況の悪化を止める事ができなかった。おかげでブルーコスモスはアズラエルの宣伝する過激なコーディネイター排斥集団というレッテルを貼られるようになり、キースは嫌気が差してブルーコスモスを抜けてしまった。
 それが今に至るわけだが、こうして目の前であっさりとコーディネイターを敵視する世論に小石を放り込んで波紋を投げ掛けてしまうあの男は、やはり凄いのだろう。ワシントン・ポストがこんな記事をトップで扱っているのもヘンリーの記事だからに違いないのだから。
 
「キラのことも載ってるな。何々、友達を守る為にMSに乗って戦う若きアークエンジェルの守護者? こりゃまた、随分と持ち上げたもんだな」
「は、恥ずかしい……」
「……フレイとの関係まで仄めかしてやがるな。あの野郎、余計な事しやがって。またいつもの悪い癖が出たんだろうが」

 戦乙女との距離は見ていてもどかしい。等とまで書いてある。勘の良い奴ならこれがフレイの事だと察してしまうだろう。また妙な騒動を引き起こさなければ良いのだが。
 しかし、この記事が騒動を起こす事は避けられないだろう。連合軍に入ってナチュラルのために戦うコーディネイターも居るのだという事を世間が知れば、必ず動く者が出てくるはずだ。世論が高まれば大西洋連邦政府といえども無視して強硬路線を行くことは出来ないだろう。どんなに優れた政治家だろうと、選挙に落ちればただの人なのだ。だから世論が変われば政治家の主張も変更を余儀なくされてしまう。それは議会を動かし、大統領を動かす力になる筈だ。
 ヘンリーはその騒動の火付け役となったのだ。これで議論が沸き起これば他紙も部数欲しさに同じ問題を取り上げだす。そして、真実を知った人々はどういう未来を選択するのだろうか。

「一本のペンでも世界を動かす可能性を作り出せる、という事かな」
「……じゃあ、僕たちのやっている事は無意味なんですか。何も変えられないんですか?」

 キースの言葉にキラが噛み付いてきた。自分達が戦っても、何人殺しても世界は変えられないのだろうか。何も得られないのだろうか。
 その当然すぎる問い掛けに対して、キースはどう答えたものかと考えてしまった。軍人は戦う事しか出来ない。何かを変えられるのは政治家であって、軍人は現実に対処する事しか出来ないのだ。軍人が何かしようと恣意的に動けば、それは大抵悪い結果をもたらしてしまうから。
 だが、軍人にしか出来ない事もあるのだ。

「キラ、お前はここに来るまでに、何もしていなかったのか? お前の力は無意味だったのか?」
「え?」
「違うだろ。お前の力は大勢を助けてきた筈だぞ。ヨーロッパでも、ロシアでも、中央アジアでも、インドでもだ。お前が戦ったおかげで助かった奴は数え切れないほど居る。ドゥシャンベのネルソン大佐たちはお前にとても感謝してたぞ。あれはお前が頑張ったからだ」

 軍事力による直接の脅威には軍事力で対抗するしかない。この段階では頼れるのは軍人だけなのだ。だからキラたちが決して無力というわけではない。むしろ良くやっていると言えるだろう。自分やフラガではキラほどには頑張れなかっただろうから。
 キースの言葉にキラが小さく頷こうとした時、いきなり後ろから頭を軽く叩かれてしまった。それで驚いて顔を戻すと、オルガが不機嫌そうにこちらを睨んでいるではないか。

「おい、俺はもういいぞ。お前は?」
「あ、はい、良いです」
「おし、じゃあ勝負だ」

 そう言ってオルガが開いたのはフラッシュ、キラはフルハウスだった。それを見たオルガが悔しそうに唸り声を漏らし、もう一度勝負を挑む。それをキラは苦笑しながら受け入れていた。
 キースはそんな2人を見ながら嬉しそうに目を細め、また新聞に視線を戻そうとしたのだが、その時待機室にトールとミリアリアが駆け込んできた。

「キ、キースさん、副長を止めてください!」
「このままじゃアークエンジェルが出航しちゃいますよ!」

 いきなり訳の分からない事をいってくる2人にキースは首を捻ったが、とりあえず席を立って2人の傍に歩いていった。

「出航して、何か不都合でもあるのか。もう時間だろう?」
「それが、そのですねえ」
「カガリさんがフレイを連れてくるまで、アークエンジェルを足止めしようってサイが言ってきたんです。それでみんなであれこれ時間を稼いでたんですけど」

 ようするに意図的なサボタージュだ。キースはおいおいと思ったが、サイたちの考えもまあ分からないでもなかった。となると2人が頼みたいのは自分にナタルの足止めをして欲しいということかと察したのだが、それは不要となりそうだった。外からヘリのローター音が聞こえてきたからだ。





 外に軍の関係者やウズミがアークエンジェルを見送ろうと集っているところにそのヘリは降りてきた。外に出てきていたマリューたちも目を丸くして驚いていたが、そのヘリからカガリとクローカー、そしてフレイが出てきたのを見て驚愕してしまった。

「フ、フレイさん、貴女どうして!?」
「見送りに来させたんだ。キラは、サイたちは何処に居る!?」

 飛び出してきたカガリがマリューの問いに答えるが、その場にはキラたちは居なかった。そこにはマリューとフラガしか居なかったのだ。カガリの問いを受けてマリューは背後を振り返り、タラップの所にキースと子供たちの姿を見た。

「大尉、それにヤマト少尉たちも」
「やれやれ、随分と派手な登場だな、カガリ」

 キースはヘリコプターで乗り付けてきたカガリに呆れ、そしてフレイの体を支えているクローカーを見た。
 その後ろでヘリから降りてきたキサカがサイに向けて右手を突き出して親指を立ててみせ、それにサイが大きく頭を下げて礼を返していた。

「アルフレット隊長の奥様ですね。写真で拝見した事があります」
「貴方は?」
「元月面第32MA隊のキーエンス・バゥアー大尉であります。アルフレット隊長には、何かとお世話になっていました」
「……ああ、貴方がアルの言っていた手のかかる新人さんですか」

 どうやらクローカーもキースの事を知っているらしい。キースはその事に軽い驚きを感じたが、それを表情に出すことはなく場所をキラに譲った。キースに代わって前に出たキラはウズミたちと一緒に両親が居るのを見て顔を背けてしまう。それを見て母が悲しそうな顔になったのには気付いたが、今は何を言っていいのか分からないのだ。
 一方、クローカーに前に出されたフレイも何を言って良いのか分からなくなっていた。1人は嫌だと言えば良いのか? それとも笑って送り出せば良いのか? こういう時に何時もアドバイスをくれたキースは何故か今回に限っては後ろに下がってじっと様子を見守っている。

 そのまま暫く沈黙が続いていたが、とうとう我慢しきれなくなったのか、フレイが先に口を開いた。

「あの、その、無理しないでね。キラは直ぐ無謀な事するから」
「あ、あはははは、それは酷いよフレイ」

 フレイの言葉に酷くぎこちない笑みを浮かべるキラ。しかし、フレイの目から一筋の涙が零れ落ちるのを見て、その笑みが固まってしまった。そしてフレイは零れた涙に気付いて戸惑っているようだ。

「あ、あれ、おかしいな。何で私……」
「フレイ、その……」

 戸惑うフレイにキラはどうしていいのか分からないようで狼狽してしまっている。それを見てキースやサイたちは駄目だこりゃとばかりに顔を押さえ、クローカーは困った笑顔を作っている。そしてカガリはそんな2人の歯痒さに業を煮やしたのか、いきなりフレイの背中を強く押してしまった。背中を押されたフレイはキラの胸に飛び込む形になり、キラは大慌てでそれを受け止めている。

「ああもう、何でお前はそう正直じゃないんだ。はっきり言えば良いだろうが。行って欲しくないって!」
「カ、カガリ、そんな大声で何を……」

 キラが顔を赤くして抗議しようとしたが、カガリの怒りの矛先は今度はキラに向いてしまった。

「キラもキラだ。情けないにも程があるぞ。キースほど鈍感なのも犯罪だけど、あれくらい気を大きく持てよ!」
「な、情けないって」
「ああもう、後は知らん。勝手にやれ!」

 キラのボソボソとした反論にカガリは叩きつけるように返して背中を向けてタラップを戻って行こうとしたが、背中を向けたところで足を止め、キラを振り返らずに声をかけた。

「あと、私もお前達が無事に帰ってくるのを待ってるからな。弟と一緒にどこかに遊びにも行ってみたいし」

 それだけ言うと、カガリは今度こそ足音も高く歩いて行ってしまった。それをキラは呆然と見送っていたが、我に返ると慌ててフレイの様子を確かめた。

「フ、フレイ、大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。落ち着いたわ」

 フレイは目尻に残る涙を拭うと、キラから身を離して自分の足で立った。

「キラ、私、カガリと一緒にここで待ってるわ。本当は一緒に行きたいけど、行っても足手纏いだから」
「フレイ……約束するよ、きっとオーブに帰ってくる」

 キラはそうはっきり言い切ったのだが、フレイは何故か首を横に振っていた。それを見てキラがまた戸惑っている。

「約束なんかしなくていい。もう、そういうのでキラを縛りたくないから」
「フレイ、でも……」
「それに、今までキラが何か約束してちゃんと守れた事無いし」

 その一言で聞いていたキースたちがその場で豪快にずっこけてしまった。マリューさえも手摺に突っ伏し、フラガは大笑いしている。そしてタラップの向こうからカガリが駆けてきてフレイの頭を引っぱたいた。

「お前は、どうしてこういう場面でそういう事を言うんだ!?」
「だ、だって実際そうなんだもの」
「そりゃ確かに否定はしないんだが、こう何て言うか、その場の雰囲気って奴があるだろう。何でそう思った事をポンと口に出すんだよ」
「カガリだって思ったことすぐ口に出すくせに」
「うぐっ」

 フレイの反撃にカガリは口篭ってしまった。何となく自覚はあったらしい。だが、目の前でボロクソに言われているキラはかなり落ち込んでしまっていた。こちらも自覚はあるらしい。
 そして起き上がったキースがやれやれという感じに肩を竦めながらキラの肩をポンと叩いた。

「さて、そろそろ行こうか。なに、無事にアラスカに付いて、5人一緒に当然って顔で帰ってきて、2人を見返してやればいいさ」
「でもキースさん、なんかすっごく落ち込んだんですけど」
「気にするなって。なんなら女の子の扱い方をフラガ少佐に伝授してもらえばどうだ。参考になるかもしれんぞ」

 ハッハッハと笑いながらキースはキラの肩をもう一度叩き、艦内に戻らせた。フレイとカガリには手を振って別れを告げ、そしてその背後に居るウズミと、キラの両親を、特に母親のカリダを見た。

「カリダ・ヤマトか、あったらどんな気持ちになるかと思っていたが、特に何も感じないもんだな」

 自分にとって、メンデルはもう過去の1コマでしかないらしい。そう確信を持ったキースは3人に軽く頭を下げると、自分も艦内へと戻って行ってしまった。それを見送ったフレイとカガリもクローカーに促されて埠頭のほうへと戻っていくが、その途中でフレイがカガリに問い掛けた。

「カガリ、さっき、弟って言ってたけど、どういう事なの?」
「ああ、その事か。そのうち話すよ。私もまだ頭の中が整理しきれてないんだ」

 フレイの問いにカガリははぐらかすように答えた。キースの実家から得た資料で、ヘンリーやイタラから聞かされた話で自分達が姉弟なのは大体分かったのだが、そこに至るまでの経緯が複雑すぎてまだ自分でも上手く納得できないでいたのだ。


 そしてタラップが外され、アークエンジェルはゆっくりと埠頭を離れていく。ウィングには手空きのクルーが出て敬礼をしており、それにオーブ関係者が敬礼を返している。その中でフレイとカガリはここまでやってきた仲間の顔を1人1人見送っていた。2人にとってアークエンジェルは長く一緒にやってきた愛着のある船であり、そのクルーは確かに仲間だったのだから。
 そして2人は最後に艦橋の下に立つキラを、サイを、カズィを、トールを、ミリアリアを見た。ここに来るまでに5人とも敬礼がだいぶサマになってきている。ナタルに鍛えられた成果なのだろうか。

「みんな、無事に、無事に帰って来てね」
「大丈夫さフレイ、きっと帰ってくるって。その時はお祝いパーティーでもしようぜ」
「……うん、そうね」

 2人はオーブの港から離れて外洋に出ようとしているアークエンジェルの後姿を見送りながら、あの船が無事である事を真剣に祈っていた。しかし、運命はアークエンジェルの前にまだ試練を残している。そう、アークエンジェルとザラ隊の決着をつける時が迫っていたのだ。





後書き

ジム改 ふう、これでいよいよ決着が付けられるな。
カガリ キラ、落とせるのか?
ジム改 それがとても悩んでいる。オルガが居るだけで戦力バランス傾いてるしな。
カガリ なんか、フラガとキースは関係無さそうだな。
ジム改 あいつらの対抗にミゲルとフィリスが居るから。
カガリ トールは生き残れるのかな?
ジム改 どうなるかねえ。次の戦い、2度目をやる気は無いし。
カガリ え?
ジム改 一撃でケリをつける予定。アスランたちに2度目はない。
カガリ えっと、それじゃあつまり?
ジム改 次の戦いでで生死が決まる奴が居る。いわゆる運命の分かれ道って奴だ。
カガリ ユーレクも居るんだよなあ。
ジム改 その辺りは次回で。では次回「決着の時」でお会いしましょう。

 

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