「ありがとう、ご苦労様です」

 ショウがデブリ帯での作業中に拾ってきた救命ポッドから出てきたのは、

「ハロ、ハロ!!」

 と、耳をパタパタさせながら間抜けな声を出して転がり出たピンク色のペットロボットと、ピンク色の髪の美しい少女だった。ポッドから出た慣性でそのまま漂っていきそうになった彼女を、ショウはその手を掴んで床に下ろしてやると、優雅に一礼した。

「ありがとう」

 間近で礼を言う少女。が、ショウの背後にいる者達の、制服の徽章を見ると、とてもそうは見えないが、それでも驚いたような表情を浮かべた。

「あらあら? ここはザフトの船ではありませんのね?」

 マリューはまた一つ頭痛の種が増えた事を確信し、ナタルも同じ事を思ったのか溜息をついた。勿論彼女達の頭痛の種の一つには、ショウの存在もあるのだが・・・

「ラクス・クラインさんですね? 一体どうしてこんな所を漂流していたのですか?」

 と、ショウが本人がまだ名乗っていない以上、彼が知る筈のない彼女の名前を呼んで質問する。ラクスは自分の名前が呼ばれた事に疑問を持つでもなく、おっとりとした口調で答える。

「私はユニウスセブンの追悼慰霊の為の事前調査に来ておりましたの。そうしたら地球軍の船と出会ってしまいまして、臨検すると仰られたのですわ。それでお受けしたのですが地球軍の方々には私達の理由がお気に触られたみたいで、些細な事から船内はひどい揉め事になってしまいましたの。私は周りの者達に救命ポッドで脱出させられたのですわ。あの後地球軍の方々がお気を鎮めて下さっていれば良いのですが・・・」

 最後の方は少し憂いを含んだ表情になって説明したラクス。それを聞いたショウはデブリ帯での補給作業中に遭遇し、自分が撃墜した偵察用のジンの事を思い浮かべ、何とも言えない様な気分になる。

 単機で行動していた事から考えて、恐らくはあのジンもその慰霊団の船や彼女を捜していたのだろう。それを自分はほとんど不意討ちに近い形で攻撃し、落とした。

 尤もあの場合そうしなければそのジンがライフルを向けていたカズイの乗ったポッドは撃墜され、カズイは死んでいただろうし、今の自分は傭兵として地球軍に雇われている身。偶発的にとは言え、ザフトの機体と遭遇したのなら撃たねばならない。頭で分かってはいる。しかしそれでも自分に敵意を向けていない者を撃つのは、いい気分ではない。

 だが撃たなければ自分の仲間も自分自身すらも守れない。敵の命を救うのも悪いとは言わないがその為に味方を殺してはならない。

『これは戦争、と、割り切らなければならない事だと分かっている、分かってはいるんだけどね・・・』

 そういう意味で、自分はまだ戦士として未熟なのだろうか、と思う。


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OPERATION,5 歌姫


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 一方、アークエンジェル内の営倉では、なにやらけたたましい音が鳴り響いていた。その原因は・・・

「クソッ、クソォォォォォ!!!! あのガキ・・・まさかあんな事を・・・!!! ぐああああああああ!!!!」

 ガン、ガン!!!

 拳を壁に叩きつけるイザーク。プライドの高い彼にとってナチュラル(と、イザークが思っている)にMS戦で敗れ、捕虜となるだけでも耐え難い屈辱なのに、そこに更にショウが行った悪夢の急所攻撃の記憶が蘇る。最早彼のプライドはズタズタに引き裂かれていた。まあ無理もないが。

「落ち着けイザーク。体力を無駄に消費する事もないだろ」

 と、たしなめるディアッカ。彼もイザークと同じ思いを味わったので、気持ちは理解できるのだろうが・・・かと言って安眠を妨害されてはたまらない、と言った所か。

「そうですよ。ここはグッ、と堪えて脱出のチャンスを待ちましょう」

「そうそう、静かにしてください。あなたの声が居住区まで響いて眠れやしません」

「クッ・・・ん? おい!! お前!!」

 余りに自然にそこにいたので最初はうっかり見逃してしまいそうになったが、本来この場にいる筈の無い者がニコルの隣に座り、その言葉に相槌を打っていた。

 その人物とは他でもない、ショウ・ルスカだ。

「なっ!? いつの間に!?」

「おいお前!! どこから入ってきた!?」

 慌てて彼の側から離れるニコルと、本当に唐突に現われたショウに、驚きを交えて問うディアッカ。それにショウはできるだけ彼等を警戒させないよう気を配ってか、優しい調子で答えた。

「僕には行けない場所も境界も無い。たとえどんな最果てや密室でもね。どこへでも自由だ」

「・・・きさまっ!!」

 聞く耳持たん、といった調子で彼に飛びかかるイザークだが、片手であしらわれ、組み伏せられてしまった。

「いたたたたたた!! は、放せ!!」

 関節を極められ、一転して情けない声を上げるイザーク。ニコルとディアッカはコーディネイターで、しかも赤服のイザークを赤子同然に扱うショウを呆然と見ている。ショウはややあきれたような表情になると、イザークを解放してやった。

「そういきり立たなくても・・・僕は少し退屈だったから話でもしようかな、と思って来ただけ。やりあうつもりは無いよ」

「はあ・・・」

「ヒマ人だね。君」

 こういう時どう対応していいものか戸惑っているニコルと、その言葉に軽い皮肉を込めて引きつった顔でくすくす笑うディアッカ。イザークは極められていた右肘をさすりながら、ショウを睨みつけている。三人とも態度はまるで違うが、下手にこの少年を刺激しない方が良い、という意見は一致しているようだ。

「さて、何から話しましょうか?」



 と、ショウが前代未聞の捕虜との雑談を開始していた頃、評議会への報告の為に出頭するクルーゼについてプラントに戻っていたアスランは、二次待機、つまり呼び出される事を前提とした休暇、の時間を自室で過ごしていた。婚約者であるラクスは今仕事でプラントにはいないし、たとえいたとしても今会う気にはとてもなれなかった。

「クッ・・・!!」

 苛立ち紛れに机を叩く。まだ組みかけだったハロのパーツがその衝撃で床に飛び散るが、アスランの眼には入っていない。

「ラスティ・・・イザーク、ディアッカ・・・ニコル・・・」

 ラスティは自分の目の前で撃ち殺され、イザークとディアッカはやはり自分の目の前で足つきに連行され、そしてニコルもプラントへの帰路の途中、ガモフのゼルマン艦長からの報告で、捕らえられてしまった事が分かった。

 自分の仲間達が次々と自分の側を離れていく。

 覚悟はしていた筈だった。

 元々自分達は志願して軍に入った。だから、その任務の中で命を落とす事も当然覚悟の上だった。その、筈だった。

 だが、実際にそれを前にして感じる圧倒的な喪失感と無力感。アスランがこんな感情を抱くのは11ヶ月前、2月14日、自分の母親、レノア・ザラのいる食糧生産プラント、ユニウスセブンが地球軍の核攻撃によって崩壊するのを目の当たりにして以来だった。

 自分はあの時のような悲劇をもう二度と繰り返させないために、コーディネイターがコーディネイターらしく生きていく事の出来る世界を求め、そのための力となる為に、ザフトに入った。

 しかし現実はどうだ? プラントどころか、自分のすぐ側にいる仲間達さえ、自分は守ることは出来なかったではないか。

「俺は・・・」

 ふと、アスランの視線が壁にかかっている写真の一つに向けられる。その写真の中では、幼い日の自分と、一番の親友だった、そしてきっと今でもその筈の茶髪の少年が笑いあっていた。

「キラ・・・」

 あいつは今は月にいる筈だ。あいつが今の俺を見たらどう思うだろう。ザフトの兵士になって、あいつも俺も嫌いだった戦争をしている今の俺を見たら・・・あいつは何て言うだろう。「何で君がザフトなんかに!!」と驚き、次に憤るだろうか。

 だが、戦争など間違っていると叫べば戦争は終わるのか? 答えは否。少なくとも現時点でこの戦争は言葉で止められるようなレベルを超えている。それはアスランだけでなく、プラントと地球に住む殆どの者の共通の認識だった。

 ならばただの少年でしかない自分がする事は言葉で何か言ったりする事ではない。それは戦争が終わった後、然るべき立場にある者、そう、自分の父や、ラクスの父、シーゲル・クライン等の為すべき事だ。

 自分は、戦うしかない。

 再び戦う時が来るのならその時こそストライクを討ち、足つきを沈め、イザーク達を助け出してみせる。

 そうしてアスランは再びその意思を固めるのだった。

 ピピピピピ・・・

 彼のリストウオッチが、非常呼び出し音を鳴らした。



「そうですか・・・中立コロニーを隠れ蓑に新型兵器の開発をね・・・自分達の決めた規定、条約を自分達で反故にするとは。連合だとか連立だとかいうものにろくなものはありませんね」

 三人、主にニコルから、色々と話を聞き、情報を収拾しているショウ。勿論一方的に聞くだけではなく、依頼人である地球軍の機密に触れない程度のことは教えてやる。

「ろくでもないのはナチュラルだろ!? あいつ等が何を血迷ったのかユニウスセブンに核なんて撃ち込むから、こんな一大戦争になっちまったんだろうが」

 と、ディアッカ。

「ユニウスセブンか。243721人の人の命が一瞬にして失われた禁断の地・・・道理であれだけの思念が渦巻いているわけだ・・・おっと、そろそろ戻らなくちゃ。話に付き合ってくれてありがとうございます。おかげでこの世界の事が色々分かってきました」

 そう言うとショウは立ち上がった。それを見たニコルが思い出したように聞く。

「ショウ君、君は何の為に戦っているんですか? 君のような子供が・・・」

 それが彼の抱いていた疑問だった。何故ショウのような幼い少年がMSのパイロットなどをしているのか。その問いに対して、彼は満面の笑顔になり、

「僕の戦う理由は唯一つ、一人でも多くの力無き人の命と笑顔を守る事・・・戦争というものは理不尽に人の大切な物を奪う。決まって最初に奪われるのは抗う術を持たない人々・・・そんな糞のような戦争と言うシステムが生み出す悲しみを一つでも減らすために、僕の戦いは僕が生きている限り続くんですよ」

 そう、明瞭に答えた。彼とニコルの眼が合う。その彼の紅玉のような瞳を見た時、ニコルはハッとした。澄み切っていて、深くて、ひ弱そうな外見からは想像もつかないような強い意思を内包した鋭い眼差し。それは抜き身の剣の様でもあり、湖底の石の一つ一つまで見えるほどに澄み切った湖の様でもあった。

 それは自分にはまだしばらくは出来そうも無い眼だ、とニコルは思った。

 ショウはそんなニコルに気付いていたのかいなかったのか。分からないがにっこりと笑うと、次の瞬間、彼の体は蜃気楼のように揺らぎ、消え去った。残された三人は呆然と固まっていたが、その中でニコルは思っていた。

『一人でも多くの力無き人の命と笑顔を守る、か・・・』

 それは子供がヒーローを気取って言うのとは訳が違った。彼の言葉と、その眼には確かな決意と覚悟があった。だが、ニコルは思う。彼は10歳そこそこの少年、今が戦時中とは言え普通ならまだ遊びたい盛りだろう。そんな少年が一体何を見て、何を選択すればあんな眼が出来るようになるのか。

 そして彼の信念。それが偽りや口からのでまかせでない事はニコルにも伝わってきた。では何故彼はそんな信念を持つようになったのか。結局の所、詳しい事は何も分からなかった。だが分からないのなら分からないなりに、ニコルの中でも一つの考えが生まれていた。

『ナチュラルにもあんな人がいるのか・・・僕は今までプラントを守る為に戦ってきた。それは絶対に間違いじゃない。だがその為にナチュラルを殲滅する事は本当に正しいのだろうか・・・?』

 彼だけでなく、イザークとディアッカも何かを考えるように無言で天井や壁を見つめていた。



「嫌ったら嫌!!」

 ニコル達三人と話してきた帰りのショウがアークエンジェルの通路を歩いていると、食堂の方から何やら叫び声が聞こえてきた。それを聞きつけた彼が見てみると、フレイとミリアリアが食事のトレイを前に言い争っていた。ショウは側にいたカズイに事情を聞いてみる。

「君が拾ってきた女の子の食事だよ。ミリィがフレイに『持ってけ』って言ったらフレイが『嫌』って・・・それで揉めてる訳」

 フレイが叫ぶ。

「嫌よ! コーディネイターの所へ行くなんて怖くって・・・」

「フレイ!!」

「あ、勿論ショウ君は別よ? でもあの子はザフトの子でしょ? コーディネイターって反射神経も凄くいいんでしょう? 何かあったらどうするのよ!?」

 ミリアリアがたしなめ、フレイもショウの姿を認めると、流石に失言だと思ったのか弁解する。ショウは最初何故彼女がそんな反応をとるのか理解できなかったが、自分がコーディネイターだと言う事にしておいたのを思い出し、ああそうかと納得する。彼にとってはナチュラルやコーディネイターという言葉などその程度の意味しかない。早い話がどうでもいいのだ。だがフレイはそうではなかった。

「あの子はいきなりフレイに飛びかかったりはしないと思うけど・・・」

 ぼそっ、と言うカズイ。

「そんなの分からないじゃない!! 本当は凄く強かったらどうするのよ!?」

『やれやれ、このままじゃ埒が開かないな・・・』

 ショウは心の中で溜息をつくと、言った。

「ミリアリアさん、僕が持っていきます」

「えっ・・・」

 ミリアリアはショウの提案を意外そうに受け止める。その間にショウはテーブルにおいてあったトレイを手に取る。

「構いませんよ。気にしないで下さい」

 ショウはミリアリアの心中を察して、嫌な顔一つせず、そう付け加える。

「それはいいけど・・・でも・・・」

「そ、それがいいじゃない、コーディネイター同士なんだし。そのほうがあの子も喜ぶわ」

 と、自分が持っていかなくても良くなった事にほっとしているのを隠そうともせずに言い放つフレイ。それをミリアリアが先程より強い口調でたしなめる。

「フレイ!! あんた自分が何言っているか解ってるの!?」

「な、何よ!!」

 再び口論になりそうな予感がしたのか、やや足早に食堂から出るショウ。

 先程の三人との話の口振りからも感じ取れたが、ナチュラルとコーディネイターとの溝は思った以上に深いらしい。まだこの世界に来て一月にもならないショウだがこのような溝が何故生まれるのか、それはおおよそ理解していた。

 人間は過去にもやれ肌の色が違うだの、住んでいる場所が違うだのでそんな根拠の無い差別を何百年も続けてきた。そうやって垣根を作り、お互いを理解する努力を止め、結果、争う。人の歴史はその繰り返し。ショウもまたそんな人の愚かしさを今まで幾度も見てきた。そして戦いの果てに辿りついたこの世界でも、人は争い続けている。

『結局、同じ事の繰り返しか・・・・・・戦いは人という種の性・・・呪いと言い換えてもいいかも知れない。自分を進化した人類だと言っているコーディネイターも、結局は人なんだな・・・』

 その時、食堂から再びフレイの叫び声が聞こえてきた。

「病気でもないのに遺伝子を操作した人間なんて、自然の摂理に逆らった、間違った存在よ!!」



「失礼します。食事を持ってきました」

「ハロ、ハロ?」

「まあ、わざわざすみません。呼んで頂けたら参りましたのに」

 食事を持って入ってきたショウをハロは耳をパタパタさせて、ラクスは笑顔で迎えた。ショウは食事をサイドテーブルに置くと、彼女に笑いかけた。

「そうもいかないでしょう、ここは地球軍の艦だし、コーディネイターを良く思わない人だっています。下手に出歩いてあなたの身に何かあってはいけないでしょう」

 ましてやこの艦に乗っている避難民の住んでいたヘリオポリスを崩壊させたのもコーディネイターなのだから、とは言わなかった。中立を隠れ蓑に兵器開発を行っていた地球軍にもその責任はあるし、何より彼女にそんな事を言っても仕方が無い。

「残念ですわね・・・」

 少し切なげな表情になるラクス。だがそんな表情もすぐに消え去り、包み込むような笑顔に変わる。

「でも、あなたは優しいのですね。ありがとう」

 ショウはその礼の言葉に、くすぐったいような気持ちになった。彼にしてみれば別に何も大した事はしていないのだから。

「別に僕はコーディネイターもナチュラルも気にしませんよ。誰も生まれる時に親は選べない。あなたも望んでコーディネイターになった訳じゃないでしょう? そんな事で人を比べるのはナンセンスですよ」

 遺伝子を操作されていようがいまいが、一つの意思としてそこに存在する以上、誰にもそれを否定する権利も資格もある筈が無い。それがショウの考えだった。

「退屈なら話相手になりましょうか?」

 その申し出にラクスは快く応じる。

「ありがとうございます、是非お願いしますわ・・・ええっと・・・」

「僕はショウ、ショウ・ルスカです。ラクスさん・・・」



 その頃、プラントからヴェサリウスが修理と補給を終え、発進した。そのブリッジでアスランは出発前に父、パトリック・ザラから聞かされた言葉を思い返していた。追悼式典のためユニウスセブンに向かった彼女の乗った視察船がその消息を絶った、と言うのだ。ヴェサリウスはその捜索に出るらしい。

「ラクス・・・」

 自分の婚約者の、あの愛らしい笑顔を思い浮かべ、拳を握り締める。

 元々は親同士が決めた婚約だった。困惑のままに彼女の家を訪れ、調子の悪くなったペットロボット、オカピを修理したのが自分達二人の馴れ初めだった。あの時自分は、”元気になった”オカピを見て無邪気に喜ぶラクスに、スクリーンの中の「ラクス・クライン」以上の魅力を感じた。

 それから二年経つが、自分達の間にあの頃以上の進展はほとんどない。それは半ば意図的に、半ば無意識に、自分がそうなるようにしてきたからかもしれない。自分がラクスに抱く想いがはっきりとは分からなかったから。そんな気持ちでただ親の決めた婚約者だからと言うだけでラクスの前に立つ事が後ろめたく、また情けない様な思いがあったかも知れない。

 しかし、こんな状況になってみて初めて分かった。やっと気付いた。

『俺は、あなたの事が、正真正銘好きです、ラクス・・・どうか、どうか生きていて・・・』



 ショウの眼前で、ラクスは床を転がっていたハロを抱き上げると、ゆっくりと話しかけた。

「さて問題です、私達はどこへ向かっているのでしょうか?」

「どこへ、か・・・」

 勿論自分に言った訳ではないだろうが、ラクスのその質問に、ショウは思いを巡らせた。

 自分はどこへ行くのだろうか。こんな見たことも無いような世界に飛ばされて。これからどうすればいいのか。こんな時、自分の側にはいつも仲間達がいた。彼等は自分を慕ってくれて、自分もまた彼等に色々と支えられてきた。今、彼等に頼る事は出来ない。それを思うと少々不安な気分にもなる。

 だがショウはすぐにそんなネガティブな思考は叩き潰した。

 もう、自分のいた場所には戻れないかも知れない。それでも、自分はまだ生きている。ならば生きなくてはならない。この世界で、精一杯に。ショウ・ルスカとして。





TO BE CONTINUED..