「…と、以上の点から考えて、特務MS小隊、フェニックス部隊隊長・ショウ・ルスカ大佐の生存の可能性は絶望的であると判断し、本日付けで彼を殉職による二階級特進、ルスカ少将とし、MIAと認定する……これが上の決定だそうですけど、どう思いますか? 皆さん?」

 巨大なモニターのある部屋の中心で、数名の男女が会談していた。

 彼等の中心に立っていた顔にソバカスのある銀髪の少年、年の頃はショウと同じ10歳前後だろう、彼は、手にした書類を読み上げると、大仰に手を振って、自分の周りに座って話を聞いている他の男女に呼びかけた。

 ドガアッ!!

「どう言う事よ、それは!!」

 真っ先に反応したのは彼と同じ年頃の少女だった。叩き付けた拳が丈夫に造られている筈の机を粉々に吹き飛ばす。ボブカットにした紅い髪と、それと同じ色の大きな瞳が、今はやり場の無い怒りと哀しみに、揺らいでいた。

「ショウが死ぬ訳無いじゃない、大体上層部の人達が何をしてくれたってのよ!! ショウを捜したのは私達と後はエターナ先生みたいに私達と同じ前線で戦っていた人達だけで、捜索の協力も何もしなかったくせに!!」

「私も納得行かないわ。ショウはきっと生きている。私には分かる…」

 次にその少女の隣に座っていた、もう一人の少女が反応した。少し癖のある栗色のショートヘアに静かな瞳。年頃も同じ位。隣の少女が太陽だとすればさしずめ彼女は月。そんな落ち着いた印象を受ける。彼女もまた、目の前の銀髪の少年の持っている報告書の内容に不満がある様子が一目で分かった。

「だが生きておられるにしろ、どうやってショウ殿のいる場所に行くか。それが問題でござるな。ユリウス殿の計算ではあの伝説巨神の崩壊のショックでどこか別の次元に飛ばされてしまった可能性が大、と言うのでござろう?」

 そして最後に、他の者達と比べて、明らかに年齢が一回り以上上回っている、その時代劇口調にピッタリの侍の様な格好をした男が、静かに言った。

 その彼に、ユリウス、と呼ばれた、最初に報告書を読み上げた銀髪の少年は頷くと、答えた。

「ええ、あの事件の後、アムロ・レイやジュドー・アーシタらから得られた情報を総合すると、あの伝説巨神は崩壊したのではなく、因果の地平とも言える世界、並行宇宙、亜空間、呼び方は数有りますが、とにかくそんな世界にシフトしたものであると考えられます。と、すればあの時その中枢にいたショウがそのはずみで別の宇宙に飛ばされた可能性は大きい、かと…」

「そこまで分かっているならどうして私達もショウの所へ行かないの!!?」

 紅い髪の少女がユリウスに詰め寄る。その剣幕にユリウスは少し押されたようだったが、説明を続ける。

「落ち着いてください、カチュア。ケインさんも言っていたでしょう、生きていたとしてどうやって彼の所へ行くのかが問題だって。確かに僕達は時空間移動が可能ですけど、少なくとも彼の存在は僕達が今まで行った事のある時空、次元には確認されなかった。となると、彼は今全く未知の世界にいる事になる。そんな所へどうやって行くと言うのです!? 大体時空移動装置の無断使用は発見され次第極刑ですし……百歩譲って戻れない事を承知で行くとしてもランダムに行く世界を設定して、それで彼のいる時空に辿り付ける確率なんて天文学的ですよ!!」

「うう……」

 カチュアと呼ばれた紅い髪の少女が、自分の後ろにいる侍風の男、ケインを縋るような目で見る。ケインは眼を伏せると、頭を振った。

「”リコリス”は何と言っているの?」

 と、栗色の髪の少女が聞く。ユリウスは彼女の問いにも淀みなく答えた。

「いくら”彼女”と言えど、全ての時空を探すことは困難です、シス。はっきり言って時空なんて星の数以上に存在するのです。そんな中から一人の人間を見つけろなんて、それこそ砂漠のド真ン中で五円玉を捜せ、と言っているようなものですよ」

 ユリウスの回答に、その栗色の髪の少女、シスも俯いてしまう。しかし、

「ですが…僕達や”リコリス”と彼の間に、絆が繋がっていれば…あるいは…」

 続けて発せられたユリウスの言葉に、沈みがちだったその場の全員の表情に明るいものが点った。ユリウスはそんな彼等を満足げに見ると、更に続けて、言った。

「ですから、彼のいる世界が分かった時に、真っ先に彼の元に駆けつけられるよう、その準備をする事が今の僕達がやるべき事だ、と思いますね。どうですか、皆さん?」

「…うん、そうだね。まずは出来る事から始めなくちゃ」

「…異議無し…」

「承知!!」

 こうしてその場は解散となった。その四人の男女、その誰一人取っても、その外見に似合わぬ一騎当千の強兵だと、誰が語らずともその身に纏う雰囲気が何より雄弁に語っていた。彼等は部屋から退室する前に、その部屋にたった一つの大きな窓を覗き込んだ。

 そこは格納庫のようなスペースになっており、そこには一機のMSが鎮座していた。そのMSはユリウス達が覗き込んでいるのを感じたように、そのカメラアイが二、三度、瞬いた。そのMSの胸にあるコクピットハッチは開け放たれていた。あたかも、今ここにはいない自分の主を、その帰りを、待ち続けているかのように。



「ストライク、デュエルと共に落下して行きます!! 本艦とストライクとの突入角に差異、このままでは降下地点が大きくずれます!!」

 アークエンジェルのブリッジで、モニターに表示された情報を見てパルが叫ぶ。ミリアリアやサイ達、それにナタルやマリューも愕然とした表情になる。前者はストライクに乗っているショウの身を案じ、後者はそれは勿論だがストライクが失われる事も、最悪の可能性として彼女達の頭を横切った。

 確かにカタログスペック上ではXナンバーはPS装甲の熱にも強い性質により、単独でも大気圏への突入は可能とされている。だが、それはあくまで理論上は可能、というだけで、一度も実際に行われた訳ではない。ましてや今は戦闘中、その中で機体に与えられたダメージや負荷がどのような悪影響を機体に与えるか未知数だし、なにより機体が耐えられたとしても中のパイロットまで耐えられる保障などどこにも無い。

「無理だ…ストライクの推力では…もう…」

 彼女にしては珍しく、諦めたように呟くナタル。だが、事実もう自分達に出来る事は無い。後はカタログスペックを信じて、無事に大気圏の灼熱を突破してくれる事を祈る他は無い。ストライクを収容しようとしてハッチを開けば、高温の大気で内部を焼かれるか、降下姿勢を保つ事が出来なくなるかのどちらかだ。

 艦橋に沈黙が漂う。だが、ブリッジのドアを開け、入ってきた者の指示がその沈黙を破った。

「艦を寄せてください。アークエンジェルのスラスターならまだ使える筈です」

 その声の主、シェリルは、この状況においても焦りなど微塵も感じさせない凛とした態度で命令した。

「しかしそれでは艦の降下地点も…」

 ノイマンが抗議の声を上げるが、それを封じ込める。

「……ストライクを失う訳には行きません。お願いします、急いで下さい」

 それを聞き、ノイマンは危ぶむような表情でスラスターを操作する。アークエンジェルはゆっくりとストライクに近づいていく。だが、

「それでも間に合いませんっ!!」

「ギリギリまでお願いします。……このまま失うには余りに惜しい。ソフトはどの道どうにもならないとしても、彼によって使い込まれたハードだけは、何としてでも手元に置いておきたいですし、ね」

 後半は誰にも聞こえないように小さな声で呟くシェリル。今が緊急事態であるので、誰もその呟きを聞き取る事は出来なかった。

「ただちに降下予測地点、算出して!!」

 マリューがパルを振り仰いで、叫んだ。パルは言われるよりも早く、コンピューターにデータを入力している。

「降下予測地点は…アフリカ北部です!! 北緯29度、東経18度……」

 声の上擦っているパルに代わって、シェリルがその言葉を継ぐ。

「完全にザフトの勢力圏ですね」

 一同がその宣告に反応して、凍りついた。


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OPERATION,9 それぞれの道

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 炎が揺らいだ。

 僕の周り全てが、燃え盛る炎に包まれていた。

 僕の住んでいた家はとっくに焼け落ちて、僕は死にたくなくて、お父さんとお母さんと一緒に逃げ惑っていた。

 ふと上を見上げた。そこには巨人が立っていた。ピンク色に光る一つ目を持った、緑色の金属の巨人が。するともう一方から、白い巨人が飛んできて、僕達のすぐ側に降り立った。その巨人は赤と白と青の体と二つの眼を持っていて、もう一体の巨人よりもより人間にそっくりだった。

 お母さんが僕を抱いて、また別の方向へと走り出した。二体の巨人は、最初に立っていた方は斧みたいな武器を、後から飛んできた方は背中から光の剣を抜いて、戦い始めた。

 僕は心底恐ろしく思いながらも、その戦いから眼が離せなかった。光り輝く剣と斧がぶつかり合って、火花が飛び散り、耳障りな音が鳴り響く。二体の巨人は時に相手の武器をかわし、時にその武器で鍔迫り合いに持ち込みつつ、戦い続けていた。

 お父さんとお母さんが必死に走るが、やっぱり人間の足、二体の巨人にしてみれば、ものの数歩で追いつき追い抜いてしまうであろう距離しかまだ離れていない。

 そして、互角に見えた二体の戦いも、決着が着く。白い方の光の剣が、緑色の方の胸を貫いて、一瞬の間があって、真っ白な光が辺りを包んで、物凄い突風が吹いてきた。そこで僕は一度気を失った。



 気が付いたとき、辺りはもう静かだった。

 眼を開けてみる。何も見えなかった。真っ暗闇なのか? いや違う。僕の上に重い何かがのしかかっているのだ。僕はそれを力を込めて押し退けると、体を起こして周りを見てみた。もうすっかり夜になっていた。鳴り響いていた砲撃の音はもう聞こえなかった。まだ周りの所々で炎が燃えていて、明るかった。僕はふと、自分の足元を見てみた。僕の上に何がのっかっていたのか、と思ったからだ。

「あ……」

 ”それ”はお父さんとお母さんだった。いや、お父さんとお母さんの形をした何かだった。僕はそれに触れてみた。冷たかった。でも、僕にはそれがもう、お父さんでもお母さんでもない事は、理屈や言葉ではなく、分かっていた。

 感じられなかったから。

 僕が二人と話している時や側にいる時に、いつも胸に感じていた、その”感じ”が、もうしない。それが僕に教えていた。お父さんもお母さんも、”もうここにはいない”って事を。

 ジャリッ…

 後ろで物音がした。僕は咄嗟に振り返った。そこにいたのは……

「てんしさま…?」



「……!!」

 ショウは目を覚ました。白い天井とそこに付いた明かりのついていない蛍光灯が目に入った。

「夢か…随分昔の夢を見たな……ここは…?」

 まだぼやけている頭で、現在の状況を一つずつ整理して、把握していく。

 まず、自分は今、ベッドに寝ている。鼻をつく薬品の臭いや、傍らに置いてある棚に入っている多くの薬品の瓶などから考えて、どうやらここは医務室のようだ。だがアークエンジェルの医務室とは違う。気を失ってどこかに回収されたのだろうか?

 そこまで考えて体を起こすと、次に気を失う直前に何があったのかを思い出してみる。

「えーっと…」

 まずデュエルと大気圏突入直前まで戦闘をしていて、デュエルのライフルが避難民の乗ったシャトルを狙った。それに気付いてデュエルに突っ込んで、ビームライフルの照準を外させる。するとデュエルが組み付いてきて、そのまま大気圏に落下。だがその落下する角度は大気圏への突入角ではなかったので、スラスターを吹かせてそれを修正する。

「それから…」

 高度計はどんどんその数値を減らし、機体は地球へと呑み込まれていく。ストライクに組み付いたままのデュエルは中のパイロットが気絶しているのか微動だにしない。だがそれ故にがっぷりと掴まれていて、振りほどく事が出来ない。計器を見る。推進剤はもう殆ど底を突きかけていた。ストライクはちょうどデュエルから見て下側になっているので、ショウが後ろを振り向くと、一面の青が見えた。大地はもう、すぐそこにある。

「で…」

 タイミングを見計らってスラスターを全開で噴射する。その甲斐あってか、一瞬、落下速度がガクンと落ち、そして十数秒の間を置いて、

 ドオオオオオオオオン!!

 衝撃。その伝わり方や音からして大地に激突したのではなく、海に着水したのだという事だけは咄嗟にだが分かった。そして視界が暗転する。ここで意識を失ったのだ。当然、記憶もそこで途切れている。

「…とするとやっぱりあの後、誰かに回収されたと考えるのが普通だけど…時間は……気を失ってから13時間と40分ちょっとか…」

 パイロットスーツには時計が内蔵されているが、ベッドに寝かされていたのだ。当然パイロットスーツは脱がされていた。時間の感覚はあくまで自分の体内時計だ。しかしそれは分単位で正確だった。

 再び自分の周りを見渡す。寝ていたベッドの傍らの棚には着替えの服と、自分の持ち物(と、いってもストライクに持ち込んでいた物だけだからそんなに多くなく、パイロットスーツと大小二丁の自分専用の拳銃のみだったが)が置かれていた。

「……」

 ショウはその用意されていた着替えに袖を通すと、腰に拳銃をぶら下げた。この事から、自分とストライクを回収し、自分をここに運び込んだ人物は自分に対して危害を加えるつもりが無い事は容易に推測できた。でなければ少なくとも武器は取り上げられていただろう。

「さて、ここは一体…?」

 再び周りを見渡す。すると、

「あ、目が覚めたのね。おはよう、ショウ君」

 その医務室の扉を勢い良く開けて、一人の少女が入ってきた。身長は140センチぐらい、作業服姿でポニーテールにした髪の色は砂色。瞳の色は右目がエメラルドのような透き通った緑色、左目が銀色のオッドアイで、活発な印象を受ける。年齢は14歳ぐらいだろう。

 ショウは最初、この少女が何故自分の名前を知っているか疑問に思ったが、その理由はすぐに分かった。恐らく自分を収容してここに寝かせた時にでも自分の首に掛けてあったタグを見たのだろう。そして次に、

「あなたが僕をここに収容してくれたのですか?」

 十中八九分かっていた事ではあったが、あえて確認の意味を込めて聞いてみた。

「そだよ。もっともあなただけじゃないけど」

 と、少女は返した。自分だけではない、ショウはと言う部分も気になったが、それより先にすべき事があった。

「そうですか。ありがとうございます。改めて自己紹介させてもらいますね。僕はショウ・ルスカ、傭兵をやっています。……あなたは?」

 と、ショウが言うと、その少女は無言で歩み寄ってくると、ショウの頭を撫でた。その少女はそうして、笑いながら言った。

「人に名前を尋ねる時はまず自分から、ってね、偉い偉い。私はエレン、エレン・アルビレオ。フリーの天才MS開発者であり、ジャンク屋よ。よろしく」

 そう言うとその少女、エレンは少し身を屈めて目線をショウと同じ高さにすると、右手を差し出した。ショウもその手を握り返す。その手から伝わって来る感じは、少なくとも嫌な気分にはならなかった。この人は好きになれそうだ、と、そんな風にショウは思った。

「さて、問題はもう一人の方ね」

 エレンは懐から目覚まし時計を取り出すと、ボリュームをマックスに上げ、スイッチを押した。

 ジリリリリリリリ……

 やかましい音が医務室中に鳴り響く。彼女の側に立っていたショウも思わず耳を塞いだ。ちなみにエレンは良く見ると耳栓をしていた。と、このようにとても寝ていられるような状態ではないにも拘らず、誰かが起きてくる気配は無い。エレンはそれに業を煮やしたのか、目覚まし時計を止めると、ズカズカとベッドの置いてある場所に近づき、カーテンをめくった。

「こらっ!! いい加減に起きろイザーク!!」

「!!」

 イザーク、という言葉にショウがギョッ、としてそちらを見ると、確かに自分の寝ていた隣のベッドには、今はプラチナブロンドの髪の少年、イザーク・ジュールが眠っていた。

 エレンが彼の体を揺すったりするが彼が目を覚ます様子は無い。そこでエレンは…

「怪我人でもないのにいつまで寝ている!!」

 ズガッ!!

 華麗なフォームでイザークの鳩尾にジャンピングつま先落としをかました。

「えげつな…」

 と、ショウをしてそう言わしめる一撃である。流石のイザークもこれにはたまらず、飛び起きさせられた。

「ゲホッ、ゲホッ…くそっ、一体何が起こった!?」

 と、起きたものの状況が把握できていないイザーク。まあ無理も無い。大気圏に突入して気絶して、そして叩き起こされたのだ。彼でなくとも混乱するだろう。そこに、

「おはようございます」

 ショウが声をかけた。頭が半分寝惚けていても闘争本能は目覚めていたらしい。その声を聞いたイザークは彼の顔を見るなり襲い掛かってきた。パンチを繰り出してくる。

 ショウはそれを簡単に避けると、右ストレート、左アッパー、左回し蹴りを瞬時に彼の顔面に叩き込んだ。一撃一撃が必殺の威力を持つその三連撃はイザークを遥か遠い世界へと、再び連れ去ってしまった。

「勝負ありっ!!」

 ゴワアアアアアン……

 エレンはいつの間にやら用意していた巨大な銅鑼を思い切り叩くと、ショウの勝ちを宣言した。その顔は心底嬉しそうだ。まあ確かに格闘技の試合でもそうは見れない、実に0,5秒の瞬殺劇ではあった訳だが。

 その後、冷静さの戻ったエレンが、折角起こしたイザークをまた眠らせてしまったショウを怒るのは約1分後の事だった。



「ここにいたんですか、アスラン」

 ニコルの声がして、パイロット控え室で物思いに耽っていたアスランは顔を上げた。

「イザークはまだ行方不明のようです。Xナンバーには単独での大気圏突入の能力がありますから、地球軍の勢力圏に降下しない限りは大丈夫だとは思いますけど…」

 ニコルの声は沈んでいた。それも無理は無い。自分達はアカデミーから今までずっと一緒だった仲間だ。その仲間が一人地球に降下して行方不明となれば彼でなくとも心配になるだろう。

「そうか…だがイザークもそう簡単に死ぬ奴じゃない。きっと大丈夫だ。俺達にはそう信じる事しか出来ない…」

 と、アスラン。ニコルも頷いて、控え室の窓から見える自分達の機体、イージス、ブリッツ、そして今ここにはいないディアッカのバスターに視線を移す。イザークが無事ならそれは敵である連合の技術によるものという事だ。それを考えると少々複雑な気分ではあるが、それでも彼が生きていてくれるならそんな感情は些末な物でしかない。

 自分もアスランも一言も喋らず、控え室に重い空気が漂う。それに耐えられなくなったのか、ニコルが話し始めた。

「でも、どういう事なんでしょう?」

「何が?」

「結局僕等はあの最後の一機、ストライクと新型戦艦の奪取にも破壊にも失敗しました。いくらパイロットが常軌を逸して強いとは言えたった一機のMSを相手に、それもこちらには同型機が四機もあるのに。あの足つきにしても装甲や火力は大した物だと思いますが無敵の戦艦ではありません、それをどうして取り逃がしてしまったのか、クルーゼ隊が、ですよ?」

 困ったように笑うニコル、だがすぐにその表情を引き締めた。

「…と、言っても、今までの任務に失敗を続け、あまつさえ三人も捕虜となってしまった僕達はもう特別な存在ではないのでしょうけど。彼、ショウ・ルスカ以外にもナチュラルでありながら僕達よりも強い人もいるようですし…」

 彼は思い出していた。先の戦闘で遭遇した黒いジン。乗っているのはナチュラルである筈なのに、その黒いジンは自分達コーディネイターの操るジンを次々と撃墜し、そして機体性能においては数段上の筈の自分のブリッツをも、弄んだ。ニコル自身、あんな操縦がナチュラルに出来るものなのだろうか、とも思うが、実際にそれを目にしているのである。否定は出来ない。

「ああ…、でも…」

「え?」

「あいつは…ショウ・ルスカはいい奴だった。俺に…ラクスを還してくれた…でも、だからこそ、会いたくなかったな。顔を見たくはなかった。そんな奴を撃たねばならないなんてな…」

「そうですね…できれば僕も彼とは戦いたくはありません。でも僕達は軍人なんですから…その時が来れば戦う以外の選択肢はありません。プラントを護る為には…」

「…そうだな。クルーゼ隊長はまた本国へ呼び出されたんだって?」

 話題を切り替えるアスラン。ニコルは頷く。

「ええ、評議会でも足つきと、何よりもストライクの戦闘能力はかなりの脅威と判断されているらしいですよ。勿論、別の作戦に関する事もこの帰投の目的ではあるのでしょうが…」

「ああ、この戦争はまだ続く、俺達もそう遠くない内に地球へ行く事になるかも知れないな…」

「ええ…」

 アスランとニコルはそれ以上は何も言わず、格納庫に佇むイージスやブリッツを見つめていた。



「ここがアラスカ」

 ムウの指が、艦長室の壁の世界地図の一点を指差す。その指が動き、世界地図の上を横断していく。

「で、ここが現在地、なんとも嫌な所に降りちまったねぇ。見事に敵の勢力圏だ」

「あの状況では仕方が無いでしょう。ストライクと離れる訳には行かなかったのですから。それに最悪の場合この艦が沈んでもデータは第八艦隊に存在します。それを元に量産計画は進む筈です」

 いつもと変わらない冷静で丁寧な口調で、マリューの傍らに立っていたシェリルが言う。結局あの後ストライクを回収する事は出来ず、ロストしてしまった。回収されている可能性は殆ど無い。だが彼女の言うように、あの状況でアークエンジェルのみが生き残っても意味が無かったのだ。Xナンバーのデータだけなら彼女の言う様に第八艦隊にもある。アークエンジェルの役目はその本体であるストライクを届ける事であったのだから。

「とにかく!!」

 艦長席に座っていたマリューは重い口調で言う。それは自分がこれから話す内容が以下に困難か、理解しているからだ。

「本艦の目的、及び目的地に変更はありません!!」

 その彼女を見て、シェリルは言う。

「では、とにかく一休みしましょう。ラミアス少佐もフラガ少佐もかなりお疲れのようですし…私も体が休息を求めています。私達がこんな調子ではどうにもなりません。ブリッジのバジルール中尉から船殻の歪みデータ等を聞いたら、私は眠る事にします」

 そう言うとシェリルは艦長室を退室していった。彼女に続いてムウも。一人残されたマリューは椅子にもたれかかると、大きく溜息をついた。

 これからどうすれば良いのか。目的はあり、目的地も分かっている。だがどうすればそこに辿り着く事が出来るのか、彼女には思い描く事すら、出来なかった。





 それから約1時間後、アークエンジェル内の士官室。今はシェリル・ルシフェル大佐の部屋として使われているその部屋は、彼女が眠っている為、明かりは点いておらず、静かであった。が、

「やめてええええええええええっ!!!!」

 その静寂を悲鳴が切り裂いた。幸いその部屋は防音になっているので誰かが駆けつけてくる、という事は無かった。

 悲鳴とともにベッドから飛び起きたシェリル。顔色は真っ青で、体は汗びっしょり、呼吸もかなり乱れている。

「うっ…」

 途端に吐き気がこみ上げてくる。彼女は部屋のトイレに向かうと、そこで激しく嘔吐した。五分ほどもそうしていただろうか、ようやく体が落ち着きを取り戻すと、彼女は机に置いてあった何種類かの薬を口に入れ、再びベッドに体を横たえた。彼女はぼんやりと焦点の定まっていない目で、自分の部屋の天井を見る。いつの間にか彼女の目には涙が伝っていた。

「…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい……」

 うわ言の様に繰り返される謝罪の言葉。やがて先程飲んだ薬の内の、睡眠薬が効いてきたのか、彼女は再び眠りについた。



「で、これからどうするの?」

 と、ようやく意識を取り戻したイザークとショウを前に、エレンが問い掛ける。

「やはりお金を受け取ってしまったし、契約はまだ有効だろうからアークエンジェルに戻らないと」

「生きているのなら軍人が原隊に復帰するのは当たり前だ」

 と、ショウとイザーク。エレンはその回答に頷くと、二人を格納庫へと連れて行った。そこには十数人の人間が働いていて、並んでいるMSはジンやグーン、ディンなどがあり、その中にストライクとデュエルも並んで立っていた。

「…水中用に、高機動型か。随分といろんな種類のMSがあるんですね?」

 と、グーンやディンの機体の特性を一目見ただけで把握したショウがエレンに言う。それを聞いたエレンは壁のモニターを操作した。そのモニターに船体にクレーンのような作業機械を満載し、それでいて武装もした、どこかつぎはぎのような印象を受ける船の映像が映る。恐らくはこれが自分達の今いる船と言う事なのだろう。

「まあジャンク屋の仕事なんて遠くまで行く事もよくあるし、海の中に沈んだお宝を回収するなんて事もあるからね。持っている機体は大いに越した事は無いよ。もっともただ持っているだけじゃなくて私の理論を試す為に色々改造はしてあるけどね。グーンだったら地上での機動性を高める為に足にホバーをつけるとか、ディンはサブフライトシステムとして他のMSを運べるように推力を強化したり変形の機能を持たせたり。後ジンの汎用性を高める為に色んな特殊装備を換装して付けたり出来るようにしたり」

「上手く行っているんですか?」

 ちょっと意地悪な調子で聞くショウ。その指摘を受けて、エレンの顔が傍目にも「うっ!!」と言う感じになる。痛い所を突かれた、という表情だ。彼女は咳払いをすると、

「……成功の裏には多くの失敗作が転がっているものよ」

 と、答えた。まあ確かにその通りなのだがちょっと動揺しすぎだ。

「でも、今回の作品はこれまでで最高の完成度を持つ傑作よ!!」

 そう言って彼女が指を差すと、そこには巨大な翼を思わせるようなパーツが吊り上げられていた。形状からして機動性を重視した物であるのは一目で分かる。どうやらMSに装着するパーツのようだ。

「成る程、あちらこちらにスラスターやブースターを付けて、その結果機体の重量を上げて、機動性もそれほど伸びない、という結果に終わるぐらいなら、最初から大推力のスラスターを可動式にして、機動性を確保しようと、そういうコンセプトですか。いいんじゃないですか?」

 またしてもそのパーツの特性を一目見ただけで看破してしまうショウ。エレンはそれに心底嬉しそうな顔になる。やはり自分の研究を褒められれば誰だって嬉しくなるものである。

「そう、そうなのよ。これは七つもの失敗作を経て、その結果やっと完成した最終モデル。完成率は99.5%よ!!」

「? 残りの0.5%は?」

「それはパイロット一人一人の癖に合わせた微調整よ。機械は人の助けになる為のもの。扱う人と一体になって、初めて真の完成品と言えるのよ!!」

「成る程、納得しました」

 と、笑って頷くショウ。自分の作品について説明しているエレンの表情は本当に幸せそうだ。そしてメカニックとしての信念も持っている。ショウは目の前のこの少女に好感を抱いていた。すると、エレンは急にショウに向き直って、

「そこでショウ君!! 頼みがあるの。あなたにこのパーツを預けるから、モニターになって欲しいの!!」

 そう言ってきた。この申し出にはショウも、彼の隣にいたイザークも驚いた顔になった。

「どうしてこの僕に?」

「あなたの乗っていた機体、ストライクのOSや戦闘のデータは勝手だとは思うけど見させてもらったわ。あれ程の腕を持つパイロットはコーディネイターにも少ない。やっぱり最高の装備は最強のパイロットに使って貰いたいじゃない?」

「…僕の機体のOSにはプロテクトが掛かっていた筈ですが?」

「破ったわ」

 あっさりとそう言うエレン。ショウは表情こそ変えなかったが内心ではかなり驚いていた。プロテクトはかなり厳重に施しておいた筈なのに、半日足らずの間にそれを破ってしまうとは。

「そうですか。でも少し聞きたい事があります」

「何?」

「僕にこの装備を預ける理由は本当にそれだけですか?」

 この質問は当然至極の物であった。まだ会って一時間もしていない相手に、こんな研究の成果を預けると言うのもおかしな話である。ショウがそう聞くのも当たり前だった。エレンもその質問を予想していたらしい。即座に答えた。

「うん、実を言うとね。あなたの事がちょっと気に入ったからでもあるかな」

「は?」

「あなたさっき言ったでしょう? まだ傭兵としての契約が済んでいないからアークエンジェルに戻らなきゃ、だって。そう言ったから、この装備を預けてもいいかなって、そう思ったのよ」

「??? どう言う事です? そんなの当たり前でしょ?」

 聞き返すショウ。エレンはそんなショウを見て、うんうん、と首を縦に何度か振ると、彼の肩に手を置いた。

「そう、それを当たり前だって、そう言えるのが偉いって言ってるのよ。だってそうでしょ? 母艦から離れて、ストライクは大気圏突入後の衝撃で背中のエールユニットが破損したとは言え、本体はほぼ無傷。そのままばっくれて、これを売り払えば信じられないお金になるって言うのにそれをしないなんて、戻る事を当たり前と言えるなんて、偉いじゃない!! 昨今はジャンク屋も傭兵も殆どが名ばかりの哲学もへったくれも無いゴロツキのような連中ばかり。そんな中であなたは…」

「はあ……それでエールが破損と言うのは?」

 これ以上話し続けさせると延々と講釈になりそうだったので、ショウが次の質問に移る。まだ話の途中だったのでそれを打ち切られたエレンは少々残念そうだったが、その質問に答える。

「ああ、あなたのストライクデュエルと組み合ったまま背中から海面に落ちたでしょ? 恐らくその時に破損しちゃったのよ。私達は海面にプカプカ浮いてる所をサルベージしたんだけどね。雇い主(ボス)の所に戻るとしても足が無くちゃどうにもならないでしょ?」

 と、エレン。

「そうですか、分かりました。ではこれが最後の質問ですが…」

「うん」

「これを僕に託して本当に良いんですか?」

「どう言う意味?」

 ショウの顔が真剣なものになっているのを見て、その質問に答えるエレンの顔もまた真剣なものになる。ショウは続けて言った。

「どんな機械も武器も使い方次第。人の助けになる事もあれば、人を殺す事にもなるだろう。力は容易く暴力になり得る。僕にこんな力を託して、僕がそれを暴力に使わないと、そう思うんですか?」

 エレンの目を真っ直ぐに見て、問い掛けるショウ。エレンもまた、ショウの目を真っ直ぐに見返す。どちらも相手を睨んだりしているのではない、ただ、じっと見つめている。そしてやや間があって、エレンが答えた。

「うん、そう思うよ」

「どうして?」

「そんな風に私に聞くことが出来るからよ。”力”と”暴力”の違いをあなたは知っている。だから大丈夫だって、私はそう思うよ。質問を質問で返す様だけど、あなたは自分の力を暴力にするつもりがあるの?」

 そうショウに聞き返すエレン。ショウは一瞬だけ、何かを思い出すように目を伏せると、その眼を開いて、言った。

「無い。僕はここに来る迄に余りにも多くの血を流してきた。一つでも哀しみを減らせるなら、とそう願って。でも僕が戦うと言う事は確実に他人の人生を断ち切り、どこかの誰かに僕が減らしたいと願っているその哀しみを背負わせている。だから、僕には責任があるから。今まで僕がその手に掛けて来た命と生み出してしまった哀しみに対する責任があるから。それが僕の背負わなければならない十字架だから。だから僕は力を暴力にはしない。それをやってしまったら、僕の奪ってきた命を本当の意味で無駄にしてしまうから。だから僕に出来るのは、それでも戦い続ける事、ただ、それだけ……」

 静かに語るショウ。イザークもエレンも彼の言葉が終わるまでそれに耳を傾けていた。そして彼が語り終えて、1分ほどの間を置いて、ようやくエレンが口を開いた。

「……辛い、ね。あなたみたいな子供がどうしてそんな深い眼をできるのか、あなたの中にどんな光と闇があるのか、私みたいな人には想像もつかないけれど、あなたは、覚悟してるのね。色んな意味で…でも、あなたがその道を行けば、必ず大勢の人から罵られる事になる。その人達はあなたを憎み、裁こうとするわよ?」

 少し重い口調でエレンはそう言う。その言葉に対してショウは、

「その日が来ても僕は殺人者である事を誰にも隠さない。血まみれで裁きを受ける」

 そう、はっきりと答えた。エレンにもイザークにも、彼が本当にそれを覚悟して生きている事が分かった。言葉は短くとも、それがはっきりと伝わってくる、そんな重みがあった。そして再び、エレンがその口を開く。

「…OKよ。あなたにこそ、私は私の技術を託したい、そう思うわ」

 彼女は手元の機械を操作すると、そのパーツをストライクに装着させた。規格の違うストライクに付ける事が出来たのは、恐らくはアタッチメントの部分を改造したのだろう、この短期間で。全く恐ろしい技術力である。

 ショウはそのパーツが装着されたストライクに乗り込むと、OSを立ち上げた。キャットウォークにいるエレンに言う。

「このパーツに名前はあるんですか?」

「…そう言えば考えてなかったわね。…うーん、じゃあ、ソニックストライカーなんてどう? 流石に音速は出ないと思うけどエールより機動性は上がってるだろうから。後、アークエンジェルの予想降下地点と現在位置はマッププログラムに組み込んであるからね」

「重ね重ねありがとうございます。今度何かあったら僕の方が力になりますよ。いつでもどうぞ」

 ショウはそう言って機体の発進準備を整えていく。そんな彼に、イザークが叫んだ。

「おい!! ショウ・ルスカ!!」

「!!」

「お前を倒すのはこの俺だぞ!! それまで死ぬなよ!!」

「……あなたもね」

 クスッ、とイザークに笑い返すと、ショウはストライクのコクピットハッチを閉じた。同時にエレンが操作したのだろう、天井が開き、青い空が見えてくる。ソニックストライカーを装備したストライクは、その空へと飛び立った。

 その姿を見送っていたエレンとイザークだったが、その姿が見えなくなって、天井が閉じると、イザークは不意に隣にいるエレンに話しかけた。彼にしては珍しく、その眼には迷いが浮かんでいた。

「…なあ、俺達は人殺しなのか?」

「…戦争は殺人よ。聖戦と呼ぼうと平和維持と言い換えようとその本質は変わらない。あなたはどういう事か知っているの? 人を殺すと言う事が、人に殺されると言う事がどう言う事なのか…」

「それは勿論…」

 知っている、と言いかけて思わずイザークは口を噤んだ。自分は確かにザフトの軍人として地球軍と戦い、敵を撃ってきた。だがその時自分は考えた事があっただろうか。自分と同じ様に、自分が撃った者にも家族や友人がいると言う事を。そんな事を考える余裕が無かったのなら、せめて撃つ意味を、引き金を引く意味を、一度でも深く考えた事があっただろうか。

 自分は何の為に銃を手に取り、目の前にいる相手を撃つのか、それが敵だからという以上の理由を考えた事があっただろうか。プラントを守る為、コーディネイターの未来の為、勿論それもある。だが自分は本当にその為にザフトに入ったのだろうか。周りの気運や親の立場を考えなかった、と言えば嘘になるが、あの時と、そして今の自分に、誰かの人生を犠牲にしても貫かねばならない正義があるだろうか?

 イザークの中に、疑問が次々と浮かんでは消えていく。が、そんな自問自答はいきなり後頭部に襲い掛かってきた衝撃に遮られた。

「ぐわっ!!」

 エレンが懐から取り出したスパナで思い切りイザークの頭を殴りつけたのだ。余りの激痛に転げまわるイザーク。しばらくして立ち上がると、涙目になってエレンを睨む。

「貴様何するんだ!!」

「少しショックを与えて目を覚まさせてあげたのよ」

 イザークの抗議にそうとぼける様に返すエレン。

「何だと!?」

「いくら考えても自分の信念が何かなんて分かる筈が無いでしょう。そういうのは自分が色んなものを見て、経験して、その先に見出すものよ。考えようとしても答えは出ない。逆に色んな物を疑ってしまうだけよ。自分がコーディネイターであることさえもを、ね」

「……!!」

 エレンの指摘に驚いた表情になるイザーク。彼女の言葉はまさに今自分が考えていた事だったからだ。

「彼は…ショウ君は私やあなたなんかとは比べ物にならない位色んな物を見ている。でなければ、彼のような子供があんな眼は絶対に出来ない。彼の眼は本当に奥が深い。不思議な子ね」

「……」

「ま、生きていればまた会う事もあるでしょ。その時彼とじっくり話をしてみるといいんじゃない? さて、あなたをお送りしなくちゃね。ジブラルタル基地の近くまではこの船で行ってあげるから」

 エレンはそう言うと、近くのインターホンを取って、船に発進するように指示を出した。イザークがジブラルタル基地に到着したのは、その68時間後だった。



TO BE CONTINUED..


感想
ショウ君は結局ジャンク屋に拾われてアークエンジェルを探すわけですか。バッテリーや推進剤は持つのかという問題がある気もしますが。ところで、カガリと一緒に脱出ポッドに放り込まれたキラは何処へ? まさかカガリと一緒にミサイルランチャー担いでたりですか?