マーチン Model 167

メリーランド



 アズール 1/72
製造は米国ですが、本国では正式採用されず、イギリスと
フランス・ビシー空軍で使われました。

大戦中の日本の戦艦「金剛」もイギリスで建造されましたが、
れっきとした日本の軍艦です。その為、このメリーランドもイギリス機の
カテゴリーに入れました。




参考資料

 AJ Press

2014.05.08




 翼の後縁は薄くすると同時に内側を削り込みました。
この作業をしないと内部が邪魔をして縁部の密着がスムーズに行きません。





 カウリングは左右接着の後、翼に差し込む形式です。
この方法では翼とカウルの間に隙間が出来るのですが、このキット
ではほとんど目立ちませんでした。
翼の後縁を削った為に若干の隙間が出来た程度でした。




 尾輪の開口部からの塗料の流れ込みを防ぐ為に隔壁を設けます。
兎に角ふさげば良いのだから、適当に作ります。





 左キットオリジナル。
吸気口が表現されていないので、彫り込みます。





 後列のシリンダーが無視されていたので、それっぽく線を入れました。
ほかから流用するのがベストですが、在庫が尽きました。
パーツの状態では違和感がありますが、カウリングの奥に接着して、
前にプロペラが付くと、ほとんど目立ちません。





 胴体にある明かり取り用の窓が省略されていたので
透明パーツをはめ込みます。





 プロペラはウレタン製の「バラペラ」でした。
この形式には泣かされますが、今回はクリアーできました。
スチロールの方が接着剤が乾く過程で微調整できるので、
まだ、そちらの方がうれしいです。





  

 実機の尾輪は片持ち式なので、修正をします。



2014.05.08


2014.05.10



 いつもの方法ではシリンダーは銀色に塗り、黒の墨を流します。
メリーランドの写真を見ると、どうもシリンダーは黒く塗られているようで、
エンジンの細部が良く分かりません。
キットのパーツのシリンダー部が前後2パーツになっていないので、それを
誤魔化す為にもシリンダー部は黒く塗りました。
後ろのシリンダーに当たる部分は完全艶消しの黒を、前シリンダ-部は少し
白を加えた艶消し黒を、プッシュロッド部は艶有りの黒を塗りました。
自己満足の世界ですね(笑)。
 




 左翼の上半角が付きすぎのようで、少し水平に戻す為に、
基部にプラの端材を接着して調整します。
本の図面から割り出すと4度くらいが適当みたい。
 





 胴体にある明かり取り用の窓をもうけ、マスキングします。
CDケースから切り出した1mmプラ板を使いました。
この箇所は厚みがあっても透明度さえ良ければその厚みが
目立ちません。
 





 

 胴体の合わせ目はランナーを削った物をクレオスの流し込みタイプ
で溶かしながら盛りつけました。
接着剤に樹脂成分を含まない為に乾きが早く、堅めに仕上がります。
欠点としては、細かな気泡が出来ることです。
 

2014.05.12

 

 胴体上部の旋回機銃座の透明部品と開口部の寸法の差は画像の通りです。
透明部品の方が小さいならば部品を雄型にして塩ビで絞るつもりでしたが、
どうも穴の方が大きいようです。




0.3mmのプラ板を熱湯の中で巻き癖を付けた物を予め用意していましたので、
それを使いました。
以前は平らな板をシゴキながら曲げて貼り付けましたが、クラックが入って
割れる症状が多発したので上記の様な方法に切り替えました。

短冊状に切ったプラ板を何枚も重ねて丸め、金属線で縛り、熱湯に入れる
だけです。何枚も重ねているので直径の異なった筒状の板が出来ます。



  

上に示したようなキットの尾輪は片持ち式の画像の様に改造しました。 




操縦桿を指定の位置に付けようとすると、サイドコンソールと指定位置が不的確なために
垂直に接着できません。
コンソールを小さくするとともに、操縦桿を少し内側に立てるようにしました。 




 

 ツルッとした尾翼の動翼部は0.1mmのタミヤ・プラペーパーを細く切って貼りました。
エルロンがリブ部を残した掘り下げ式ですから主翼と表現方法が異なってしまいました。
手作業ですからリブが不揃いな点は大目に見てください。
ただ、垂直尾翼の一部は実機も何故か幅が広く空いている箇所があります。



主翼を接着すると、左右で前後位置が違っているよう感じました。
画像で左右の違いが分かるでしょうか? 

計ると、確かに1mm差があります。図面を正しいとすると、右翼が
前過ぎます。
急いで、カッターを入れて右翼を剥がしました。




貫通材を使わないお手軽な「イモ付け」ですが接着剤がしっかり
部品を付けているので、少しくらい振ったくらいでは剥がれません。
微かに出来た隙間には伸ばしランナーを接着剤で練り込みました。 




2014.05.12


2014.05.24


 操縦席のキャノピーは胴体から一段下がっていたので、黒の伸ばしランナーを貼り、
高さを調節しました。





胴体後方下部にも明かり取りの窓があります。
サブタイプによってはここに機銃が付くようです。無い機体も存在するので、
機銃は付けない事にしました。
透明パーツのカーブは胴体と良く合致していて気持ちが良いです。穴の方は
少し小さめで、取り付け時に削りましたが、削りすぎて出来た隙間は黒の伸ばし
ランナーで埋めました。 
画像は取り付け時にパーツを保持する為に付けたマスキングテープです。





 左の爆撃手/ナビ席のシートベルトが腰だけの二点式か肩まである四点式か
迷いましたが、非常時に操縦もする事を考慮して、四点式としました。





 

左画像の丸印内の箇所が細すぎるので修正して、
右のようにトルクリンクを付けました。 





 

胴体上部の機銃は円盤形の弾倉があったので、ルイスかと思いましたが、
調べるとヴィッカースでした。
ルイスならファインモールド社製品を使えますが、ヴィッカースは自作になります。
サイトで調べると、全長は3フィート4インチでした。1016mmで1/72で、14.1mm。
全長がどこからどこまか良く分からないまま適当に作り始めたら、オーバー
スケールになってしまいました。

上右画像:
一番上がキットの物。50年前のオモチャみたい。とても使える物では無い。
下が最初の作った物。0.5mm線,0.8mmパイプを使用。照準用の丸十字まで作る。
中が作り直した物。0.4mm線と0.6mmパイプを使用。これでも少し大きいが、キット
の物より小さいしゴチャゴチャ感が精密さを出している(自画自賛)。

上左画像:
大きめに作り、半田付け後真鍮部分を削る時に使ったリューターの先端ビット。
多くがダイヤモンドビット。削る対象が何分小さく保持する時もあまり強く握れ
ないのでヤスリを使うより作業がし易い。

下画像:実銃の写真
弾が7.7mmなので最近作っている米軍の12.7mm機銃より全体的に小型です。
照準用の照門と照星の位置が普段見慣れているドイツの機銃と逆になっています。



2014.05.24


2014.06.05


艶消しの黒を塗って銀のドライブラシをかけた状態です。
相変わらず、ドライブラシが下手ですね。
写真ではドラムの側面が白く写っていたので銀に塗りました。 





 画像が小さく分かりづらいですが、透明パーツの接着で出来た隙間には
黒の伸ばしランナーを充填しました。
プロペラは差し込み式なので、作業の途中で付けては様子を見ています。




 

透明パーツの断面形が左右で異なっているようです。
赤に比べて緑側の方がカーブが緩やか、出っ張り具合が
不足気味と感じます。
それと先端部を接着すると、さらに先端部の方が小さい事が
判明しました。上の右画像 で矢印で示した箇所です。
透明パーツは色を塗って初めて形の不具合が分かるから
困りものです。




 

 透明部のパテ盛りは内部色を塗ってから行います。
そうしないと内側からパテの色が見えるからです。

操縦席の第一風防は曲面がキツいので、松風会・会員PPMさん
から頂いたハセガワのマスキングシートを使いました。
「伸びる」事を謳っているので曲面には好都合でした。
いつも使っている画材のマスキングテープより少し厚めの感じです。





 しっかりマスクしたい箇所はタミヤのマスキングテープを
剥がす時、塗料まで引っ張っては困る広い箇所は糊の弱い
テープを使いました。
今度、塗料屋か工具屋でもっと糊成分の弱いテープを探して
来ようと思っています。有るかな?
もしご存知ならPPMさんの掲示板に書き込んで下されば
幸いです。





 イギリスの迷彩は境界線部にほとんどボカシが有りません。
テープでマスクすると私は厚く塗る様で、境界部に塗料の段差が
出来てしまいます。
今までは、塗装図をコピーして貼ったりしましたが、翼から胴体に
移る箇所の処理に悩まされて来ました。
「練り消し」などを使う方法も紹介されていますが、根が貧乏なので、
踏み切れないでいました。練り消しの太さを細く均一にする事も難し
そうなので、それもためらう一因でした。

昔、上手にぼかす作例を見つけ、方法を伺ったところ「テープの端を
浮かす」と教えられました。
それをヒントに、一定幅で浮かす方法としてテープの端に糸を挟ん
でみました。上画像の丸で囲んだ箇所に糸が見えると思います。
ちょっと浮き具合が少ないかと心配しましたが、結果はOKでした。
糸の太さでボケ具合は調節できると思います。





  

 今回も境界線部と広い面積をマスクする部分でテープを換えてみました。
薄い色は100鈞の物でしたか?






ダークアースはいつもの「ビン生」とは異なり、チャートを見て調合しました。
 





 

 資料本の塗装説明図には着陸灯が無視されていたので、不覚にも工作を忘れて
塗装まで来ました。他のサイトで指摘されているので写真で確認したところ汚れて
不鮮明ですが着陸灯は有るようでした。
それで、透明ポリテープの厚みと塗料の厚みを考慮して一段掘り下げました。
ついでに、忘れていた翼の機銃孔も開けました。機銃は水平に設置されている
ので、内側の機銃孔は翼中心線より上の方に開きます。
翼の下面に薬莢の排出口が無いのは不思議な感じです。

 





  

塗装も最終段階で、先端部のフレームが間違っている事に気づきました。
削って修正しましたがマスキングテープを切る時に付いたカッター跡が
微かに残りました。

本を見ていると、フレームの有る機体も存在する事を発見しました。ただ、
その箇所は丸で囲んだキット同じ場所では無くて、下にずれた場所でした。 






 画像では分かりづらいですが、黄色の幅が歪んでいました。
赤色ももう少し鮮やかな方がいいと思います。
すべてアンリミモデルの別売りデカールにする事も考えましたが、
双発の機体は同じ大きさのマークを使うから丁度良いのが在庫切れ
気味です。キットのデカールも質はとても良いので胴体の黄色外周
マークだけアンリミを使いました。

何故か下面には国籍マークが有りません。ソ連機はそんな機体も
沢山有ったような記憶ですが、他の国、イギリスでは有ったケ?





 墨入れ前の段階です。
ここまでの段階は技術の世界です。これで終わると作品と言うより、
立体色見本です。
これからどこまでアートの世界に近づけるか、挑戦が始まります。
技術の世界では腕の上下も言われますが、アートの世界に入れば、
センスの問題と思います。好き・嫌いの問題でしょう。
ダビンチとゴッホのどちらが好きか?とは聞かれますが、どちらが
上手かとは聞かないと思います。プラモの展示会では技術的には
「ちょっと」と思える作品でも惹かれる存在感の有る作品が有ります。
私はそういう作品を大事にしたいと思います。

昔、展示会で異なる色調の零戦が並んだ時、「どれが正しいか」と
言う発想をしました。今は色調の差を作者の個性と感じます。

さて、制作中のメリーランドですが、この機体に思い入れが無いので、
どう処理するか悩んでいます。砂漠で使われた機体ですから、埃っ
ぽくするのも一案でしょう。






2014.06.05


2014.06.10



 墨入れは上面に自分で調合した焦げ茶を、下面にはダークグレーを使いました。






 ウェザリングはクレオスのウェザリング・スティックとその製造元と思われる
三菱鉛筆のポンキーペンシルを使いました。
ダークアースの部分にはクレオスのダーク・イエローを、ミドル・ストーン部には
三菱の「うすだいだい(色的には肌色)」、を使いました。






 下面には私の意図する薄い青が無いので、右翼の下面はパネルラインに沿って
濃いブルーを入れ、左翼下面にはパステルの薄い紫をタミヤのアクリルシンナー
で溶いた物を全体に筆塗りしました。

画像は処理前です。







 着陸灯はアクリル・テープを使う方法が私のスタンダードです。
テープの糊面に汚れを付けたくないので大きめに切ったテープを貼り、
トリミングします。
荷造りテープの接着力は大変に強いので、不要な部分が塗装面に
触れると、剥がす時に塗装まで傷つけます。
それを防ぐ為に紙で保護し、テープを貼る直前の状態が上画像です。






 本来なら透明のアクリル板を押さえる金属部(丸印の部分)がテープを上から
貼る技法の為に光ってしまいます。
銀塗装など機体面が光沢が有る場合このままでも違和感がありませんが
機体が艶消し塗装だと不自然です。
この透明部を囲む帯状の部分を機体の上下面の塗料で塗ります。少しでも
剥がれを防ぐ為にメタルプライマーを下に塗りました。












 

 今回、初めて試した技法は
マスキングテープに糸を挟み、エッジを上げると言う方法です。
一寸面倒くさいという気もしますが、ボケ具合を微妙にコントロールでき
それはそれで今後も使っていきそうな手応えを持ちました。








 

 胴体横の明かり取り用の窓は今まで作った作品の中では一番透明度が良く仕上がりました。
その為に機体内部に何も工作していない事がはっきり分かります。
嬉しい誤算です。ここの透明度は適当で良いです。
透明部品の磨きが少し上手になりました。





 主翼のエルロンと比べると一寸オーバーな表現ですが薄いプラペーパーも
何とか許容範囲に収まりました。







 画像右(右翼)はパネルラインに沿って濃いめの青をボカして入れています。
左翼はパネルの中央部に前後方向のスジをパステルで書き込みました。

左右で処理を変えたのはどちらが自分的に好きか試したからです。
結果はどちらも気に入りません。

こんな馬鹿げた事をしたのは「パネルラインにシャドーを入れ、パネル中央を
明るく塗る人がいるが、実機はそんな風になっていない。実機を知らない」と言う
声や書き込みを読んだからです。
パネルラインにシャドーを入れるのはバーリンデンがハシリだったでしょうか?
初めて記事の写真を見た時、すごく良い印象を持った事を覚えています。
改めて実機写真を見ると、確かに実機は模型で表現するとツマラナイほど
あっさりしています。
でも、一部の写真にはパネルラインのは異なって暗くボケたシャドーが写った物
も有りました。
現用機、レストアされた機体、戦況に余裕のある時撮った写真ではシャドーは
少ないのでは? 細部がしっかり分かるほどの写真は物心とも余裕が無ければ
撮れない。
だからシャドー表現を見た時、戦場の緊張感を感じたのでは無いかと自分なりに
分析をしたところです。

例え、シャドー表現が行き過ぎた嘘でも良いんじゃ無いでしょうか?
科学的というか、事実にこだわれば許される表現はタッタ一つしか無い。プラモの
展示会は化学実験結果の発表の場では無いと思います。絵や彫刻と同じアートの
発表の場と思いたいです。
元の材料は一緒だから個性が出て、それをお互いに認め合う大人の世界で
遊んでいたいです。











 アクセントに照準用の補助具を付けました。
0.1mm銅線をねじり、船の手すりエッチングから十字を
前方の棒は黒色テグスです。
透明パーツから内部がよく見えます。