Martin M-187(米軍コード:A-30)

Baltimore 
ボルチモア



イギリス軍リスト     表紙



Azur 1/72



2014.06.11



  

 翼を観察すると右翼の中央部が平べったいと感じました。
メジャーを当ててみると画像のようにはっきり凹んでいます。
右画像で赤丸で示した箇所です。
成形後の事後変形とは違って原型自体が不適格のようです。

キットの翼は全体的に薄く、特に上半分に丸みが足りません。
修正すると大工事になるので、適当なところで止めておきます。





 事後変形のゆがみは手で強く曲げるだけで相当改善されますが、
原型の不全には力不足でした。
それで、翼に薄刃の丸鋸で切り込みを入れて、膨らます事にしました。
ランナーをくさび状に削った物を表面の丸み具合を見ながら打ち込みます。





スリットは伸ばしランナーを埋め、表面処理はランナーをセラミックのキサゲ
で削いだ薄いプラをクレオスの流し込みタイプで貼ります。
食器乾燥機で30分ほど加熱すれば後の加工もすぐ出来ます。
同じ材質なので、作業は大変楽です。
瞬間接着剤を使った場合、接着剤の方が硬いので削るのに少し苦労します。
ポリパテはたまに剥離するので困ります。
接着剤にタミヤの白ビンなどを使うと相当後までフニャフニャ感が残ります。



2014.06.18



 プロペラは「バラペラ」で、センター部はレジンです。ブレードがプラですから薄く削るには
好都合でしたが、接着は一番し難い組み合わせです。
センター部への真鍮線差し込みの穴開けは旋盤を使いました。前回メリーランドでは
フリーハンドで作業したので、中心は狙えましたが軸線が狂って回すと先端がブレました。
厚めの板にボール盤を使って垂直に穴を開け、そこに真鍮線を差し込んだセンターを
刺した後にブレードを接着しました。これによって、3枚のブレードが同じ面に揃いました。






  

 主翼端です。
ボルチモアの翼はメリーランドと同じらしいです。どちらのキットも資料本も
ネットの図面も先端は左画像のようになっています。
しかし、写真を見るとB-10の様に翼先端の下面はそり上がっているようでした。
メリーランドでは気付きませんでしたが、ボルチモアは修正する事にしました。
薄刃のノコギリで切り込みを入れて上に曲げ、縁は伸ばしランナーを貼りました。







 

 尾翼は上下2枚の貼り合わせです。
大きさに少しの違いがあって、左尾翼では上に、右尾翼では下に隙間が出来ます。





 出来た隙間には伸ばしランナーを埋めて補強しました。


2014.06.18


2014.06.27


 

 主翼下面の画像です。
メリーランドのキットも資料もボルチモアのキットも左画像の様なパネルラインです。
メリーランドとボルチモアは翼に固定式の機関銃を装備しています。ユニット形式になっていて
パネルごと下方向に外れます。整備性を高める為と英米で異なる機銃の形式を変換するのに
便利になっていると推測します。
具体的な資料は有りませんでしたが、右画像のように銃口から鉛筆で線を書き機銃の位置を
推定します。薬莢の排出口にはシャッターが付いていて弾が装填されると開く構造のようです。
砂漠で使われる事を想定した装備でしょう。構造説明書から推理したパネルですが、大きな
間違いは無いと思います。
翼の上面には弾を補給する為のパネルもあるだろうと思って彫りました。





 計器盤の資料は有りませんでしたが、実物はキットとは異なっている印象を受けます。
今回は、ラッカーの白を塗った後にエナメルの艶消し黒を塗り、尖らした爪楊枝にエナメル
シンナーを付けて引っ掻くように下の白線を掘り出しました。
メーターの穴が歪だっりしたので思うより汚い仕上がりになりましたが、筆で白線を書くより
細線がかけたのでその点だけは満足です。






 メリーランドでは操縦席内部が思った以上に見えたので、今回、サイドのレバーを
追加工作しました。







       

 胴体後部の銃座に付く透明パーツの一部が欠けていたので、管理ミスで破損したと思いました。
よく観察すると溶けたような症状をしていたので湯回り不足でしょうか。箱を開けた時には気付き
ませんでした。
0.5mm透明プラ板をお湯の中で曲げた物をいくつものパターンで用意しているので、その中で
曲面が近い物を選び、切り出しました。







  

 エンジンシリンダーはガイヤノーツの一番暗いミディアムグレーを塗り、艶消し黒を流して、
プッシュロッドは艶有りの黒に塗りました。
ギアハウジングは13番グレーです。

          





 カウリングの取り付けは全く考慮されていないので、プラ棒で自作します。






 エンジンは水平基本線とは直交する角度で取り付けられています。
希には主翼中心線に直角に取り付けられている飛行機も有りますが。





 キットの主翼は上半角を考慮されないで作られているようで、上半角を付けて翼と胴体を接着
してから、上画像の様な角度でカウルリングを翼に付けると、翼の膨らみがズレてしまいます。

翼の膨らみに合わせてカウルを付けて、前から見ると上半角の4度分エンジンが内側に傾きます。






尾輪は軸が細いので、念のため補強の洋白線を挿入しました。 



2014.06.27


2014.07.04


 

 ボルチモアの写真を見た時、カウリング上部の大きな空気取り入れ口に
目がとまりました。極初期には普通の大きさでしたが、すぐに大きな物に変更
されています。
左側はキットオリジナルの状態で、これでも大きくなったタイプです。特徴が
再現されていないので、プラ板を貼って加工しました。




 

 実機の写真です。







 

 上半角だけカウリングを回転させたら下の中心線部(赤矢印)も移動して、
脚収納部の中心線とズレてしまいました。
仕方が無いので、外側に0.7mmのプラ板を貼って、内側を0.7mm削りました。









 

 キットの脚は上の作例の様に3本の棒で構成されています。
トルクリンクも有りません。
余りに愛想も無いので右画像の様にデッチアップしました。
資料本も無いし、サイトでも脚の画像を手に入れる事が出来
ませんでした。その為にデッチアップとなりました。







 

 ズレたカウリング上の膨らみは前半分を薄鋸で切り取り、
移動後に伸ばしランナーで修正しました。







 最後は、サフのお世話になります。






 銃弾補給用のハッチはこんな具合にしました。




2014.07.04


2014.07.09


 

 爆撃手/ナビゲーター席は全くあっさりした物です。
ネットで拾った機首の写真と1/48の作例を参考に、それらしく追加工作しました。
黒い棒状の物はメリーランドでは操縦桿だったので、ボルチモアもその名残でしょうか?
緊急時にはハンドルを付けて操作できるのでしょうか? 分かりません。






カウリングにはまたも泣かされました。
主翼の基準線に沿ってカウルが作られているので、迎え角を付けて翼を胴体に接着すると、
プロペラが上を向き、アゴが上がったような姿になります。
本来なら微かに下を向かしたいのですが、軸と平行までで我慢しました。 








 

先端の透明部品はパーツの合いも透明度も良かったのですが、
管理不十分で大きな穴を開けてしまいました。
仕方が無いので、キットの部品にポリパテを充填して塩ビの厚さだけ
削って小さくしました。
深い絞りはプラ板より塩ビの方が扱いやすく、作業中のクラックもプラ
より心配ないです。 








 背中の透明部品はフレームの位置を細切りテープで決めてから
マスキングテープを切りました。





ボルチモアの爆撃照準器は米軍のノルデン照準器の様に精密機器とか
カメラの化け物みたいな物と異なり、皿の無い天秤秤か計算尺のような
印象です。
サイトで照準器を見てしまったので、プラの端材でそれらしく作りました。

キットの機銃はレジンでは無く、プラだったので、伸ばしランナーやプラ板
を追加して一寸ディテールアップしました。
クレオスの流し込みタイプを使うと、ランナーの継ぎ足しも出来て便利です。
樹脂成分を含む接着剤を使うと、その箇所で折れやすいですが、クレオス
の流し込みタイプ は一つの塊から削り出したようにしっかりした仕上がり
になります。








 先端の透明部品は仮の物。
フューチャーワックスに浸けて透明度を増した物を別に用意しています。
ここのマスキングはゾルを使おうかと思いましたが、テープの貼り継ぎ方
で行きます。

アクシデントが続いたので、少しモチが落ちています。ぼちぼち塗装工程
に入りますが、季節は高温多湿の最悪です。
 

2014/07/09


2014.07.24

 

 翼とカウルの修正にパテを使ったので塗装の際、下地の材質が表に現れるのを
避ける為に、全面にサフェーサーを塗る事にしました。
今回、パネルラインを暗くする事を考えていたので、サフはガイヤの黒色サフを
使いました。







 

 マスキングは面倒なので、ハンドピースをギリギリ絞ってフリーで塗装しようと試みま
したがイギリス機の迷彩には境界線がボケすぎている印象です。
パネルラインに下地の黒を残そうと思いますが、上右画像は黒の部分が強すぎます。
ほとんど消すくらいの感じで上の塗料を重ねていくつもりです。




 下面は国籍マークも付かないので、パネルラインの墨入れだけでは単調でツマラナイ。
ラインにシャドーをかけるくらいの処理は避けられないか。
アズールブルーは前回メリーランドより明るく調合した塗料を用意しました。前回の塗料の
方が色見本に近いですが、私的に好きになれず、普段はしない調合をしました。

ソ連機の下面色とこのアズールブルーは、くすんだ感じを受ける多くの迷彩色の中で、
ケバい感じが強くて馴染めません。






 ミドルストーンを吹いた後、マスキングをします。
前回と同じくテープの端に糸を差し込んで、境界部を浮かします。
こうする事で、境目には段差が出来ずに微かなボカシがはいります。






 

 メリーランドで使ったテープも部分的に再利用しています。





 先端の透明部はアクリル板を貼り合わせた継ぎ目があります。
細切りテープで位置を決めて、ナイフでスジを入れます。



No.1 Middle East Training Squadron
RAF, EL Ballah ,1942



 今回、墨入れはほとんどしませんでした。
全面に塗った黒サフが上の塗料を薄く塗る事で、隠れず
墨入れと同じ効果が出ました。




 デカールはあのカルトグラフ製なので文句は全くないです。
何故、デカールに関しては日本製がカルトに劣るのでしょうか?
色の発色が悪いのは日本では使えない塗料があるからと聞きました。





武装も貧弱で、日の丸を付けても違和感の無いデザインです。
やはり米国デザインはメチャクチャな重武装の方が似合いますね。 




 





 翼の断面形に不満が残ります。
手作業の簡易(実際は簡易ではありません)インジェクションの限界でしょうか。






 着陸灯に使うキラキラ星(ネールアートで使うのが本来の使い方)に丁度良い大きさが
無かったので、キッチンホイールをポンチで打ち抜き、貼りました。






 

 爆撃照準用の窓部は平面を要求されるので、たぶんガラスがはめてあると思います。





  

 揺れ止めなどを追加工作しました。
他は良く分からなかったので推測です。
引き込み用のアクチュエーターも作ろうと思いましたが、構造が分かりませんでした。






 今回、透明部の内側に塗料が回り込んだ箇所が出来、ガックリしました。
注意したつもりでしたが、注意が足りませんでした。
先端と操縦席部は被害を免れたのが救いです。











 機銃はキットの物に少し手を入れました。
短めの銃身に伸ばしランナーを足し、先端に銃口
を開けました。銃身がプラなので真鍮パイプより扱い
に注意がいりますが、簡単には破損しません。
これも接着剤が良いからでしょう。







尾灯の透明部は光硬化瞬間接着を使いました。
古くなると硬化しぬくくなりますが、紫外線発生器の電池を新しくして
光を強くすると何とか硬化しました。 





 

 前作のメリーランド一緒に納める専用の箱を作りました。