ツポレフ

SB 2M-100A



ICM製


2014.09.10


 結構沢山のパーツ数ですねえ。
触ると嫌なヌメリを感じたので、ファインモールドの「ご機嫌クリーナー」でしっかり洗いました。
爆弾のパーツは放電加工で作られているようです。多くの主要パーツは精密鋳造みたいです。
見慣れたキットではパーティングライン(金型の合わせ目)は表か裏かどちらか一方になって
ますが、精密鋳造ではパーツの断面の中ほどに線が走っています。簡易に多い特徴です。
それでもこのICM製・SB-2のキットはとても出来が良いです。ただ、非常にタイトな設計をして
いるので、パーティングラインの微かなバリでもパーツの勘合に影響します。






 タミヤ顔負けの凝った内部パーツです。
一応、位置決めの凹凸はありますが、小さく、位置固定に苦労をします。
余りの出来の良さに内部を見せる事も考えましたが、完成を優先しました。




 前後は左右分割、中央の主翼部は上下分割。
珍しい構成です。これでちゃんとパーツが会うか心配でした。
特に後部胴体とは3次元曲線で繋がります。今ならコンピューター設計、加工で
それほど難しくないですが、手作業で合わせ面を調整すると相当の技術と時間
がかかったと思われます。








 透明パーツは金型の磨きが悪く、表面に傷があります。
胴体の明かり取り用窓のパーツは中央にヒケが出来ています。
透明プラ板から切り出せば透明度は良くなりますが形を合わせ
るのに苦労します。パーツの外形は良さそうなので表面を研磨
する事にしました。





開口部の厚みを薄くするように胴体を削ります。
透明部品をはめ、補強に黒の伸ばしランナーを付けます。
黒瞬間を使っていた頃は、白化に悩まされ、プラリペアーでは
乾燥時間が長く、乾燥後に表面にヒケが出来る事がありました。
クレオスの流し込みタイプと伸ばしランナーを使うようになってから
透明パーツの仕上がりが上手く行く気がします。 







 奥のパーツには磨きを掛けました。
未加工のキットのパーツは磨りガラスのように光がぼやけています。
表面がザラザラしています。





他に記憶の無い、異様な機体形状。
この部分だけ見ているとアニメに出てきそう。 





部品の勘合は上手く行きそうです。 



2014.09.10


2014.09.17


主な資料はIn Acttionです。フィンランドで使われたSBの本があったので、参考にしました。 





 

 機体表面の彫刻は繊細で綺麗ですが、計器盤と無線機と思われる箱状の
パーツには全く彫刻がありません。
デカールでも入っていればそれを使いますが、デカールには計器の印刷が
有りません。
ラッカーの白を塗った後にエナメルの艶消し黒を塗り、エナメルシンナーを
付けた爪楊枝と尖った金属棒でメーターを描きました。





機体表面の彫刻はとても繊細です。
どうしても部品の接着部で彫刻が消えてしまいます。
一度再現を試みましたが、キット自体の彫刻とは雰囲気が異なり、断念します。
パネルラインもとても細く、浅いので、墨入れは無理と思い、ラインを掘り直しました。





水平尾翼の表面に傷があったので修正しました。
これでリベット表現は完全にあきらめです。 





 右主翼も接着時に指紋を付けたので、修正。
比較的パーツの勘合は良い方ですが、上下左右に前パーツの5つからなる
カウリングはパテのお世話になりました。




2014.09.17


2014.09.28


 プロペラは非常に薄く、その為に金型の隅まで樹脂が行き渡らずに
ブレードの幅が実機より狭くなっているようです。

例によって、キットのランナーを伸ばして修復に使いました。
いつもは丸棒のままライターで炙って伸ばすのですが、今回、炙った
後、一度ペンチで平らに潰し、再度炙って伸ばしました。
これによりある程度幅のある薄板が手に入ります。
広いシート状の板を使うと溶剤が揮発する箇所が無く、いつまでも
泥沼のようにフニャフニャ状態です。
面倒でも短冊を並べた方が仕事の進みが早いと思います。






外国の作例で、脚カバーの内側を再現した物を見てしまった(困った)ので、
私もチャレンジしました。
表のリベットラインを参考に内側にマジックで印を書きます。線の内側を
リューターと彫刻刀を使って掘り下げました。普通ならそれなりの出来になる
はずでしたが、樹脂の粘り気が強くてミジミジした仕上がりとなりました。
どうも樹脂はABSらしい。キットのまま構造材を貼ると綺麗ですが、厚くなり
過ぎて実感が乏しくなります。カバー全体を薄く削って構造材を貼るのも楽
そうですが、作業中にパーツが変形したり、綺麗に薄く出来ない可能性が
あります。

 





主脚です。
ディフォルメを掛けてないみたいで、実機並みに細い。
両持ちフォークを広げて、タイヤをねじ込むのはさすがに恐ろしかったので、
横から0.5mm線を差し込む方式に変更しました。 






操縦桿も今まで作ったキットの中でも飛び抜けて繊細です。
ハンドルと縦の基部は点接触です。クレオスの流し込みタイプが無ければ
作業中に何度も破損した事でしょう。
シートベルトの情報はありませんでした。普通に4点式と推測しましたが、
2点式かも知れません。 





シートを付けると見えなくなる内部も十分以上に凝っています。 






キットの塗装指示はライトグレーか銀か分からないので勝手に塗って!
となっています。分からない事は分からないと書かれた方が安心して、
作業が進められます。だって、本国の人が分からないなら外国人が何を
してもどこからかも文句が付かないでしょう?
内部色と同じライトグレーの方が作業しやすいですが、外国の作例が銀を
塗っていたので安直に付和雷同!
 







キットのデカールは私の保存状態が悪く、出来れば避けたい状況でした。
別売りデカールを探して、黒縁赤星が無い事に気付き、渋々キットの物を
貼りました。心配していた台紙からの剥離は スムーズに行きましたが、
艶消しのデカールは思ったより硬く、強力な軟化剤でも太刀打ちできませ
んでした。
尖らした爪楊枝でパネルラインに押し込みましたが、最後はカッターで押し
込みました。







機関銃の出来も最高です。
銃架との接着は全く考えられていないので、小さなプラ材を貼って補強しました。 







指示の位置に接着したら、銃身がフレームから出ていない。 






白い部分だけ銃架を延長しました。
クレオスの流し込みタイプが無ければ出来ない芸当です。 




こんなもんでしょう? 






1940年モンゴルと説明書に有ったので、ノモンハン? 








上面迷彩は現地で急いで塗られたらしく、国籍マークにも多少塗料が掛かっている。
上面の写真は無かったので、側面写真から推測して、ワザとムラに塗りました。

クレオスのソ連戦車色は完全艶消しだったので、似た色でドイツのRLM82を使いました。





透明パーツは塗装をして、気づく落とし穴があります。
後部座席の風防は赤矢印がフレームでした。キットは機体と干渉する部分を
透明パーツ側に逃がしているので、水色部分が薄くなっています。
フレームもその幅がある物と早とちりして塗ってしましました。この箇所を修正
するには内側の厚みをその前のフレームまでなだらかに削り、マスキングテープ
を切る時付いた表のカッターの跡を消す必要があります。樹脂の質が良いので
クッラック心配はしていませんが、透明度は確実に落ちるでしょう。
機体にパーツを付けたら、意外に気にならなかったのでスルーすることにします。 







胴体下面の機銃は後ろのグリップ部分を削り、表から差し込みました。
 





 







実際はもう少し緑の迷彩が密に入っていると想像します。
作品では下地の銀を意識して薄めの迷彩にしました。 





水平尾翼下の張り線は前作SM79では04番を使いましたが
今回は08番にしました。太さは良いですが、結び目がゴツク
なりすぎてガッカリしています。 








尾翼上面の張り線は板状・・・下も板かも?
手持ちの0.1mmX0.3mmでは作業中に破損しそうだったので、
一つ太めの0.2X0.5mmを使いました。 





爆弾の出来も良かったので、思わず付けました。 





主脚が細すぎて長時間着地状態に出来ません。
ケースの中では翼下にかいものをして保存しています。
スチロールならとっくの昔に折れていたでしょう。

タイトな設計で作りにくい面もありましたが、パーツの切れ
は良くて、自作部品はありません。
柔らかい樹脂も長所、短所両方有ります。
完成まで早かったのは使った色が少なかったからかも知れ
ません。