サボイヤ・マルケッティ

SM.79 スパルビエロ
(Sparviero、ハイタカの意)



イタレリ 1/72






資料

  


2014.07.31




 

SM79の前縁は丸みが大きく、大戦初期の飛行機の特徴を持っています。
それにしても角張りすぎでしょう(泣)。 特に左翼(画像右)は酷いです。






 

 前縁の丸みを小さくして飛ぶ飛行機らしくしたいです。
残念ながらこのキットは製品の厚みが薄く、削りすぎると最悪、穴が開きそうです。
今まで、黒瞬間やポリパテなどで裏打ちをしてきました。穴が開いても同じ材質の方が
後の作業が楽だろうと、今回、伸ばしランナーを貼り付けました。

右画像は作業途中の様子ですが上の画像と比べて飛行機らしくなったと思います。







 

 腹のゴンドラに透明パーツを接着する箇所があります。
左画像の様に「受け」がありますが、このままでは外から「受け」の部位が見えてしまいます。
この部分を削り取って「縁」だけで接着する事にしました。
今までは少しの衝撃でパーツが脱落してしまいましたが、隙間に黒の伸ばしランナーを
クレオスの流し込みタイプ接着剤で溶かすように埋めると強度が上がってその後の作業に
耐える事が出来ます。






 尾部に隔壁を設けました。

内部色はクレオスでは312番が一番近いと思います。
イタレリのSM82に付いていたカラー資料とサイトで見つけたSM79のコックピット写真の
奥に微かに見える色は312番よりもう少し緑が強く感じました。それで、クレオスのソ連
戦車色で明るい方、135(?)を3割ほど加えて調合しました。

大戦中の機体内部色は緑系が多くで、その中でも米軍や三菱機の様に茶色を感じる
タイプと、イギリス機や初期のドイツ機(RLM02)の様にグレーを感じるタイプ、ジンクロの
様に黄色を感じるタイプに大別できると私的には思っています。

イタリアの内部色はピーグリーン(豆緑色)と呼ばれていた記憶がありますが、メーカーに
差があるのかは分かりません。





 カウリングは型抜けの関係から左画像の様にバケツ状態です。
削って改善を試みましたが塗装すると差は分からず、自己満足
に終わるかも知れません。






 胴体サイドの明かり取り用の窓は縁を削って透明パーツが表面より
1〜2mm出るようにしました。その後の研磨で、面一に出来、初めから
面一を狙うより作業は早くて楽です。
微かに出来た隙間はいつものように黒の伸ばしをランナーを埋めます。



2014/07/31


2014/08/09


 

 主翼の前縁付け根には用途は分かりませんがインテークの穴が
有ります。そのままでは筒抜けなので光硬化パテで裏打ちしました。

 





 

 操縦席内部はキットのままで十分でしょう。
シートベルトが腰だけの2点式か、肩まである4点式か迷いましたが、
1/48の作例を参考に4点式を採用しました。
シートはパイプで作られていて、革と思われる物で覆われているようです。
作例をよく見ると、肩のベルトは裏から最上部に掛けて前に来るのでは無く、
背中の途中から出ているようでした(失敗、失敗!)。






 

 爆弾倉の上の構造物はパイプのトラス構造みたいです。
キットは板状になっていたので、パイプ部分を残し壁を艶消し黒に塗って誤魔化そうと思いました。
塗り分けも結構面倒くさく感じたので、壁を抜く事に変更しました。






 工作中思ったように、案の定、よく見えません(涙)。
キットは「V」字に切り込まれたパネルを上に跳ね上げて、中を見せる設計です。
1/72では内部を見せるには追加工作やパネルを薄くしなければアンバランスになってしまいます。
機銃部の覆いを開いて銃座が見える、写真でよく見るパターンにするつもりです。






 胴体側面の銃座は1丁で済まし、左右に渡した2本のパイプをレールにして銃を移動させる
珍しい構造です。やはり、使いづらいらしく、後期は左右の2丁になります。






 主翼に大きな隙間が空きます。
例によって伸ばしランナーの登場です。




 

 左側面には2本のパネルライン。右側面はそれが1本でした。
資料で確認したら左右とも2本が正解みたいです。






 

 右側面に丸で示した平たい箇所があります。
資料では見当たらなかったので波状彫刻を入れます。









前縁スラットの彫刻は余りにも太すぎなので、伸ばしランナーで一旦埋め掘り直しました。
キットのランナーを使うとパネルラインが全く分からなくなるので、色が異なる他のキットの
ランナーを使いました。

スラットを細くするとパネルラインが太く感じます。ランナーで埋め、掘り直すのが面倒なので、
・・・実はその方が早くて綺麗な仕上がりだったりして・・・サフを厚塗りして、ラインを細くしようと
作業を始めました。
サフを筆塗りして、乾いたらペーパーを掛け、浅くなったラインにカッターを入れます。
以前、A-26で試みた作業です。一度塗っただけではラインが思ったより細くならないので、
半乾き状態の時、金属へらで押すように削いだら一度塗りで十分細くなりました。
完全に乾く前にナイフを入れるとラインのエッジが欠けたりせず、スムーズに細いラインが再現
出来ました。糸状に繋がったラインの残渣が分かりますか?

サフが乾きすぎるとナイフで掘り直す時、ラインのエッジが欠けます。その対策として、サフに
塗料を混ぜました。それでも欠ける事があるので、次はゴム形の接着剤を混ぜる事を考えています。

単調なラインなら、上でも書いたように伸ばしランナーが結果、楽と思います。複雑多数のラインなら
サフ塗り込み方が楽かも知れません。 やはり同じイタレリのイギリス飛行艇・サンダーランドを作る時、
サフ法を使おうと思い、今回実験しました。






 やっと「士」の字になりました。
多くの機体が迷彩されているので、資料でパネルラインを確認したくてもよく見えません。
本の図面も省略されいて参考になりません。
それでも日本機より多くの写真が残されていて羨ましい限りです。何しろ実機が残っている
等、同じ敗戦国なのに歴史的工業遺産に対する思想が違います。


2014/08/09


2014.08.25

 スピナーの表面にヒケが有ったので修正しました。
ついでに、ブレードの開口部が大きすぎたので、それも修正しました。





 

 SM79のエンジンはアルファーロメロ製で形状からイギリスのブリスロル・ペガサス
エンジンのライセンス物でしょうか?
9気筒のシリンダーは彫刻の掘りも深く、良い感じです。でも、気化器の吸気口が
省略されているので追加しました。接着の事を考えて最初、プラ棒を加工しました
が、思うように行かず、アルミパイプに変更しました。ピンバイスに咥えて先端を
少し広げると良い感じになります。
このエンジンは後ろから気化したガソリンを供給して前方に排気する構造です。
排気はカウリングに一部になっているリングで集めて、排気管に導かれます。
「リング」を固定する支柱も省略されているので伸ばしランナーで追加しました。






 排気管は単なる筒状の物など、いろいろなタイプがあるようです。
キットの排気管は珍しいタイプです。雷撃機の写真に着いている物が
有ったので、魚雷を積む時はこの排気管を付けた方が時期的に整合性が
有るでしょう。キットは良く出来ていましたが、開口部を大きくして縁を薄くしたら
さらに良きなります。





 困ったのは排気管の取り付け位置です。
説明書にもパーツにもハッキリとした指示が無かったので、
写真や他の図面を参考に接着しました。この点は、ガレージキット
のレベルですね(笑)。
カウリングの表面があっさりしていたので、締め付け金具を彫りました。
鉛筆で位置決めして、フリーで彫ります。






 翼端灯をプラで作ったら、位置と大きさが都合悪くて、作業中に破損する
事が多発しました。それで、仕方なく真鍮線を埋め込んで翼端灯にしました。
金属にすると破損する事は無くなりますが、触ると塗装が禿げやすくなります。






サイトの博物館では薄いグレーに塗られている魚雷も当時の写真では銀や
もっと濃い色に写っています。先端の弾頭部分も大きかったり、本体と同じ色だったり
してバラエティーに富んでいます。
尾部のひれを可能な限り薄くしました。
スクリューが省略されているので、追加したいが付ける場所が無い(?)
 





 操縦席のフレーム幅が広すぎでした。
繊細さが失われますが、マスキングテープを貼ってしまったので、
そのまま行きます。
背中の銃座はオープン状態なので、マスキングに困ります。内部も
そこそこ有るので、ティッシュを硬く詰める事も出来ませんし、塗料
が拭き漏れしない事を祈るだけです。





 カウリング内部を機内色に塗りましたが、先端は排気管に一部なので、
茶銀に塗り替えました。完成後に塗っているので、境目が乱れています。
まあ、ペラとスピナーが着けば気付かなくなると思います。









2014.08.25


2014.09.06


 スクリューは適当に付けました。形も場所も違うと思います。
ロケットでもあるまいし、無しでは不自然でしょう。





 広い面積は紙を使ってマスキングしました。






 デカールは有名なカルトグラフだったので、デカール貼り作業は「楽勝!」と思っていました。
原因は分かりませんがデカールの劣化が進んでいて、貼ると破れると言うより、粉々になるというほど、
バラバラなりました。左画像でも分かるように破れた切り口に細かな亀裂が有ります。
デカールが乾いてから、欠けたところを塗料で埋め、ペーパーで平坦にしてから色を整える為にスモーク
を上から掛けました。マーク内の小さな点はアンテナ線を張る為に0.1mmの銅線作ったヒートンです。







 方向舵のマークはさらにバラバラになりました。
位置が低すぎですが、触れません。







 右側はさらに酷く、諦めて十字を塗装にして、エンブレムは他から調達しました。






胴体の機体番号はオーバースケールです。
貼るまで気付かず、下地に吹いたクリアーも支柱近くまでは塗っていないので、
デカールがシルバリングを起こす原因となりました。
対策としてニス部分のトリミングを思い立ちましたが、支柱が邪魔でカッターの
動きが制約されてミスを犯す心配が有ったのでスルーしました。






 魚雷ラックはキットのまま付けると、画像の様に後ろが浮いてしまいます。
基部を削って細い棒が胴体に密着するように調節しました。
簡易でも有るまし、こんな工作をするとは思ってもみませんでした。






 281Squadriglia, 132Gruppo Autonomo A.S.所属  Rhodes 1941

キットの箱絵よりスコードロン誌の表紙を参考に塗りました。
箱絵も表紙もおでこの機銃は付いていないので、省略しました。
初め、この機銃は前方旋回機銃と思っていましたが、固定銃でした。
機首にエンジンがあるので同調機構を持たないと、プロペラの圏外
のおでこしか銃の設置場所が無い。




翼上面はもっと複雑なパネルラインをしていると思いますが、分かりませんでした。 




 説明書の色名  Italian Blue Gray  Dark Green  Italian Sand  Italiai Olive Green  Italian Dark Brown
 Model Masterの番号  2113  1710  2110  2122  2111
 FSナンバー  36375  34079  33531  34079  不明
 クレオスの類似色  ほぼ73  330  近似44  303  42or131
 イタリアの色は良く分かりません。
キット指定のModel Masterの番号からFSナンバーをサイトで調べて、色見本から
クレオスカラーで近い色を探します。クレオスカラーもロットによって差があるので、
私の手元にある塗料では・・・と言う事です。
Italian Dark BrownのFSナンバーは分かりませんでした。Model Masterの塗料も手元
に無いのでショップのサイトで色を探しました。ディスプレーの中ですので実際とは
違うかも知れませんが、参考にはなります。印象ではチョコレート色に感じます。
今回は42のマホガニーを使いましたが、キットに塗った感じではもう少し明るい、黄身
が入った方が良かったかも知れません。

FSナンバーの色は下記のサイトで見られます。
http://www.colorserver.net/
探す色とFS番号が分かっているタミヤやクレオスの塗料も同時に印刷すると感じが
掴めるでしょう。私は昔、大枚をはたいたIPMSのカラーチップを参考にしています。
全部のナンバーにチップが貼っていない為、サイトも参考にします。





 胴体から両翼に伸びるアンテナ線も張りました。
前回、B-10では翼端に伸びていて、線を張ると箱内の固定箇所が
無くなるので省略しました。





 水平尾翼には貼り線があります。
もう少し太い方が良かったと思います。















 気化器の空気取り入れ口とカウリング支柱は一寸良い感じと思います。
ペラのブレードに付くアルファーロメロのマークがデカールに入っていますが、
スケールオーバーと付いている機体が写真で確認できなかったので、省略しました。






 窓枠はキットのままで太すぎて、ダサいです。
開口部が多い割に綺麗な透明パーツの仕上がりでした。
その点では嬉しいです。








 胴体の波状表現は右側面のみ、山の頂上を尖らす工作をしました。

 こちらはキットのまま。




 こちらは波の山を尖らすように削りました。

言われないと気付かない程度です。
多くの場合、パーツの状態では気になった箇所も完成すると気になりません。

今回、特別新しい試みや道具は使いませんでした。消化試合見たいな工作でした。
それでも一つ完成品が増えるのは嬉しい事です。

反省点を挙げれば、今回も排気管のススとして吹く艶消し黒が思うように行かなかっ
た点です。絞るとすぐ詰まってしまいます。これからの研究課題です。