サボイヤ・マルケティ

SM.82 Cangur


イタレリ・1/72


一昨年の静岡・タミヤ・フェアーの安売りで買ったイタレリのキットには
小さな資料本が付いていました。 






付録の本を補う資料をアマゾンで検索したら上の本がヒットしました。
値段も2000円台で安かったので飛びついたら大失敗でした。
表紙から博物館の写真が少しは有るだろうと期待していましたが、中
は サボイヤの歴史や・・・なんとオペラ歌手のパバロッティ等の写真
まで有って、模型の資料としては全く役に立ちませんでした。
通販で買う本にはそう言った危険性が有りますが、久しぶりの大外れ
でした。





2014.10.06



 

輸送機として開発されたSM.82の側面にはビッシリ明かり取りの小さな窓が並んでします。
キットの透明パーツにはエクボ(冷却時の樹脂の収縮)が有りました。内側の方は何とか
惚けて表面だけは平面に修正しました。 
透明パーツが少し飛び出る程度に胴体の内側を削って貼り付け、隙間には黒の伸ばし
ランナーを充填しました。後は研磨だけです。






SM.82のキットを買った時、その大きさから、主翼と胴体をどう処理しようか迷っていました。
普通の双発ならそれ程大きくないので、主翼と胴体は 接着した状態でも後の管理に不都合
は少ないです。4発機ほど大きくなると運ぶのも仕舞っておくのも大変なので、主翼は脱着出
来るように作るのが最近の私です。
SM.82は翼長はそれ程でも有りませんが、胴体がデカい。
翼を脱着式にするにはパイプと金属棒を使っていましたが、展示すると主翼の付け根に微か
な隙間が出来る時が有るのが唯一不満でした。

有る時、富士ウイング8会員のJWさんのブログ(http://jwat.blog75.fc2.com/)で磁石を使って
いるのを知り、早速、アマゾンでネオジウム磁石を注文しました。

上の画像は主翼付け根に磁石を接着し、胴体側の磁石を主翼の磁石に付けた状態で、胴体
にエポキシで接着している所です。磁石の画像を取り忘れたので、後日アップします。








水平尾翼も着脱式に改造しました。
キットの差し込み部は中央を削り取り、延長して水平位置で安定するようにしました。
尾翼に付けた磁石にマスキングテープを3枚貼り、もう一方の磁石を付けます。
赤矢印で示した様に、小さなプールに磁石が入っても乗りこぼれない程度のエポキシ
接着剤を入れます。
尾翼を差し込んで、接着剤が固まったら尾翼を引く抜くと、胴体側に磁石が残ります。
マスキングテープは剥がして捨てます。磁石間にテープの厚み分の隙間が有るので、
尾翼・胴体間に隙間が出来てもプラの部分を削って改善できる余裕が有ります。 






胴体の尾翼付け根はエッジがダレています。
放電加工で金型を作るとエッジ部は普通にダレます。日本のメーカーは
その部分だけに更に放電加工をして改善をします。 
気になったので左画像の様に伸ばしランナーを貼り付けてエッジを再生
しました。これで尾翼を差し込んだ時に酷く目立ったパネルラインが控え
めになりました。





隔壁が当たる部分にも彫刻が施されていたので削り取りました。
イタレリのキットらしいアバウトな仕事です(大笑)。 


2014.10.06


2014.10.14



 

内側にプラの端材を使って磁石の取り付け部を作ります。
表は右画像の様になります。 
翼を差し込んだ時、両方の磁石の位置は一致するように
工夫しました。位置がずれたり、隙間が空きすぎると磁力
が弱くなる様です。






翼を付けると密着していますが、更に隙間を減らすように努力します。 





水平尾翼はそのままでは差し込むとお辞儀をするので矢印の保持部を増設しました。 





尾翼の磁石は3mmX1.5mmの小さな物ですが、十分な働きをしています。 






 

全くノーマル状態の操縦席です。
窓が小さいので再現状況は十分以上です。
シートベルトは全く分からなかったのでパスしました。 






クランプを総動員して胴体を貼り合わせているところです。
このキットはプラの厚みが薄くて、胴体の接着部も段差が出来やすいです。
胴体後方下面は平らみたいですが、中央部が凹んだ状態になったので、
いつもの薄プラ板では間に合わず、ポリパテを盛りました。 




こんな翼の端を持っても大丈夫です。
今まで一般的だったフェライト磁石では考えられません。
ネオジウム磁石の値段もとても安くなってアマゾン経由中国製
だと50個で1000円を切ります。
先日、ホームセンターでネオジウム磁石を見たら一つ300円相当
でした。急速に値崩れしたみたいですね。 




キャノピーを乗せたら隙間が出来たので調節中の画像です。
ここら辺のガタがイタレリらしくて大雑把ですね(笑)。
いつもなら透明部品を接着後に隙間を埋めますが、今回、そこら中に穴が開いていて
作業中のゴミや塗装の吹き込みが有りそうなので、キャノピーの接着を最後にしようと
思っています。 




 

筋彫り(パネルライン)が浅くて幅広なので修正を試み中です。
伸ばしランナーで全て埋めてから掘り直した方が早かったかも知れません。 





  

この部分の彫刻が意味不明で検索中です。
博物館に有る機体には線上の切れ込みが有ります。戦時中の写真に写っている少し前の
形式の機体はその切れ込み幅がもう少し広い印象です。たぶん、それを表現している物と
思われますが、どう処理しましょうかねえ? 




2014.10.14


2014.11.06



松風会の長老・Y氏より援助物資が郵送で届きました。
前々作のSM.79の時はこのシリーズの本を持っていて大変重宝したので、サイトで検索したら
売り切れのようで、手に入らず、諦めていました。 






 

博物館に所蔵されている機体とはタイプが異なるようで、本で見ると画像の様な形をしていました。
ただ、スリットの数は分からなかったので適当です。
右画像、翼のカウリングのスリットは上半分と思っていたら、本では一周回っていました。

0.5mmの長い溝を掘った後、市販の0.5mm角棒を埋め込みました。 





 

爆弾倉の扉が余りにも薄く良く出来ていて、思わず開けてみたくなりました。
Italian Bombで検索するとキットの物とは異なる形の爆弾にたどり着きました。
どれが正しいか全く分かりません。爆弾と一口に言っても時期とか大きさとか
用途によって形状が異なる事が多いからキットに少し手を入れて誤魔化します。
尾部のリングはWAVEの別売り6mmパイプを使いました。厚みはできる限り薄く
しています。 






フラップは長さが足りないので、プラ板を継ぎ足します。 




主翼上面です。
左と右ではパネルラインの太さに違いが有るのが分かると思います。
太い方がキットオリジナルの状態です。細い方は超音波カッターで
切り込みを入れた状態です。 
胴体ではパテを使ってラインを修正しましたが、もっと簡単に線を細く
する方法を考えるうちに超音波カッターを使う事を思いつきました。
超音波カッターは振動で熱を持ち、切り込むだけ溶けたプラが盛り
上がります。それで、太いラインを埋める、細い線を切り込む作業を
同時にしてしまいます。曲線、特に小さいな丸には使えない技法です。
刃を当て、スイッチを入れると瞬時に刃先が沈み始めるのでのんびり
カーブなど書けません。





カウリングの排気管に隙間が出来ます。
排気管自体も資料を見るとカウリングに半分埋まっているような感じで、
キットとは全く異なっているようですが、一寸飽きてきたので、スルーします。 





 

操縦席の透明パーツは内側部の厚みがここの部分で増して、表から見ると
嫌なラインが出来てしまいます。
削って処理しました。 





何か変な感じがしていたプロペラでした。
根元を少し削れば良くなるだろうと簡単に考えて作業を始めましたが、作業を進めても
形状の改善が進みません。本を見るとプロペラのピッチが逆でした。アルファロメオ・
エンジンの元になったイギリスのブリストル・ペガサスエンジンは逆ピッチでキットは正
ピッチのプロペラでした。私のあやふやな知識では進行方向に向かって時計回りを、
前から見ると反時計回りを 正回転と呼ぶと記憶しています。間違っていたらゴメンナサイ。
ブレードを根元で切ってピッチを反転するとすごく気持ちの良い形になりました。

プロペラの注意点は正面形状とピッチともう一つ重要な要素が有ります。それはヒネリです。
ドラゴン製品のP-38で左右でピッチが異なるプロペラを同じブレードをピッチを変えて作る
指示が有ってびっくりした事が有ります。プロペラブレードは板では無くてヒネリ、正逆反する
ヒネリが着いています。

イタレリのSM.82のプロペラは逆ピッチのヒネリのブレードを正ピッチで付けていたのでとても
気持ちの悪いプロペラになっていたのです。

画像の青矢印がキットオリジナルの状態。赤矢印が修正したペラです。



2014.11.06


2014.11.22




オーバーヘッドコンソールはどうもオーバースケールのようです(笑)。
開状態に出来る上部ハッチにコンソールの縁が掛かってしまいますが、
閉じた状態で作るのでスルーしています。 





 

上部旋回機銃は意外に凝った作りです。
銃身と反対側に延びた棒は空気抵抗で機銃の機動性が悪くなるのを
防ぐ役目だろうと推測します。 カウンターウェートですね。
キットでは銃身の上下運動がそのウェートの為に出来ません。
先端はまだ塗っていませんでした。








開口部が多く、大きく、マスキングが完全に出来るか心配です。 





最初に内部色を吹きます。 




11月15,16日のタミヤフェアに未完成ながら出展しました。
茶色にレッドブラウンを使ったので少し赤すぎの印象です。 






レッドブラウンをマホガニーに変更して塗り直しをします。 




作業途中の画像です。 





前より良くなりましたが、もう少し黄色を混ぜた方がなお良さそうです。
色を調合すると持ち色が増えすぎて管理に困るので、似た色を使うのが
私の基本姿勢です。塗装作業中に塗料が足りなくなっても店で買ってくれば
作業が再開できます。ただし、色ロットが同じで有る事が条件です。
購入時期がズレると微妙に色が違ってくるのが困りものです。
第二次大戦中の各国の飛行機を作ろうとしたらクレオスのラッカーを全て
揃える事になりました。AFVを作る人は塗装終了後に色々な処理を掛けるので
基本塗装は飛行機作りから見ると非常に大雑把な印象を受けます。 


2014.11.22


2014.12.04




爆弾倉の開口部は相当大きいので、テープとか紙とかは使わず
マスキングテープで仮止めした2枚のハッチを両面テープで機体に
貼りました。当然隙間も多く、塗料の吹き込みも相当有る事を覚悟
していましたが、 意外にもそれは少なかった。
アゴ下の銃座嫌爆撃照準席も苦労してマスキングしました。







爆弾倉の扉を胴体に取り付け、開閉用のロッドを接着して様子を見たところ、
何か中途半端な開き具合に感じました。確かに写真にもそんな物がいくつか
ありましたが、 これでは投下時に爆弾が扉に当たりそうです。この状態が
爆弾投下時の最大開放状態では無く、やはりもっと開いた状態の写真が有
りました。




手持ちの丸棒から適当な物を探し、延長しました。
こんな「イモ継ぎ」が出来るのはクレオスの流し込みタイプが手に入ってからです。 





 

作業も先が見えると、良からぬ工作欲望が湧いてきました。
私はエアーブラシのプッシュボタンを親指で操作するので、グリップを強く握る傾向です。
それで、持ちやすいようにグリップを自作する事にしました。既製品も有りますが、高いです。
雄雌の延長ジョイントを真鍮パイプで逆につなげ、版画板に埋め込みます。
真鍮パイプの代わりにプラパイプやチューブを使えばもっと簡単に作れます。
費用は500円ほどでした。 




2014.12.04


2014.12.07


ニードルキャップには横に穴が開いた物(エアーテックス)やギザギザの王冠状(クレオスなど)
の物もあります。試してみたところ、普通の筒状の物より細い線が吹けるようです。キャップ無しで
吹くと本当に糸のような線がかけました。ただし、ニードルの先端を破損したり、その先で怪我を
する危険性が高いです。他のサイトでは王冠の突起を減らして使っている人がいました。
私も危険性を避ける為に横穴を大きくしたキャップを作ってみました。

他に、プッシュボタンの軸を延長して、前後運動を軽い力で出来るように改造をしています。
 







 

このキットは開口部が大きいのでマスキングの不備は覚悟していました。
マスキングを剥がしたら操縦席に案の定、塗料の吹き込みがありました。
対策として、透明パーツを接着剤で完全に止めず、塗料で仮止めしていました。
隙間にナイフを入れ、パーツを剥がし、内側を磨いた後、リキテックスのマットメ
ディウムで止めました。本来は塗料の艶消し剤ですが、糊の役目に代用でき、
乾くと艶消しの透明になるので重宝しています。 他のサイトからの情報です。







 

いつもは室内で行う完成品の撮影は物が大きいので屋外で行いました。
ただ、寒く、風も強いのでビニールハウスの中での撮影です。
太陽が雲間からのぞく時はハウスのフレームが影となって写って困ります。
自然光ですので作品の色は良い感じに写っています。

翼上面、菱形の部隊の識別マーク(?)は写真で見るともっと正方形に近いです。
作品はキットのデカールをトレースしました。キットの塗装説明書にはもっと
大きく描いてありましたがそれは無いだろうとデカールの大きさで手を打ちました。 






 

主翼を取り外せるようした為、胴体側面と主翼の間に張られているアンテナ線は
省略せざるを得ませんでした。 






説明書の塗装図は上面と側面がそれぞれ勝手に描かれていて自然なラインで繋がりません。
塗り始める前からそんな感じはしていましたが、やっぱりイタレリ、上と横で破綻しました。
ボックスアートのラインとも違っていますが、写真でも確認できないので、説明書のラインを
無理矢理つなげました。
だから、翼の付け根で不自然な迷彩になっています。 

塗り直したので色目は良い感じなったの思います。タミヤのウエザリングマスターの薄茶色を
軽く掛けたのでマホガニーの部分が少し明るくなったからでしょうか?







 

右画像は暗く写っていたので画像処理ソフトで明るく加工したら色が変になってしまった。 





いつもは真鍮線か帯金に換えるループアンテナはリングが二重と言う事で、
キットのプラパーツに溝を切り込み、墨を流してそれらしくしました。 






 

珍しく爆弾倉を開けてみました。
ゴンドラの機銃は爆弾倉と干渉しますが、どうなっているのでしょうか?
良く分かりません。 
脚はなかなか凝った作りになっています。




分解できるので浅めの箱でも収納できます。
もっと小さな箱でも良かったが、身近に丈夫な箱がこれしか無かったので我慢です。
女房が町内の景品でもらったビールの詰め合わせ箱です。