ワイルドキャット
グラマン F4F−4 ワイルドキャット

零戦の「やられメカ」と思われていたが、逆に零戦の方が多く食われているみたいだ。

ハセガワ



タミヤの1/48は脚収納孔が出来ていたが、ハセガワのこのキットは操縦席まで素通しだった。

作品は隔壁を自作してある。



 
 



エアーフィックス 新金型


資料







ワイルドキャットは地味な機体に反して資料に恵まれています。

洋書を地方で購入するのに難儀をした時代が続きましたが、通販事情が改善されたので、
都心に住む人と同じ 条件で手に入る様になりました。
昔は雑誌に載っている広告を見て注文しても売り切れ、在庫切れ、再注文の入荷待ち。
現金書留で先銭を払っているのにいつまで待っても本が送られてこず、泣き寝入りした事も
何回か有りました。今は代引きで、お金の取られっぱなしは、まず有りません。良い時代に
なりました。



上・下面色と内部色。
説明書の色指定はハンブロールで上:125 下:129  内部:226
ですが、対応するクレオスは305、325、351で行きます。
上は367の特別色を使う道もありましたが、他のサイトの対応表を
参考に305を使ってみようと思います。



2016.04.16


  2016.04.26



脚を仮組みして、ハテ?ハセガワの時もこれほど複雑だっただろうか?
資料を見るとエアフィックスのキットは良く再現されているので、ハセガワ
は適度に省略されていたかも知れません。

残念な事は一番メインの脚柱に型ズレが有る事です。ランナー粕を少し
盛って修正しました。  

隔壁は断面が型抜き勾配があるので長方形では無くて台形をしています。
これは全てのキットにある事で金型の宿命です。ただ、その寸法が長い辺か
短い辺か、どちらを基準に取られているかが問題です。
長い辺の方を基準に設計されているなら余り削りすぎると隔壁と胴体の間隔
隙間が大きくなってガタガタになってしまします。
短い辺を基準に作られている時はそのまま組むと胴体の内側に隔壁がぶつ
かって胴体の接着部に隙間が出来ます。
このキットは短い辺を基準に作られている様で隔壁断面の傾斜部を削り取っ
た方が収まりが良いようです。







 
コックピットはキットで十分でしょう。
シートベルトはタミヤのマスキングテープより糊が強い粗面用のテープを
使いました。テープの色が青いので、サンドイェローを少し丁寧に塗る必
要があります。 タミヤならベージュなので色塗りはミスが目立ちません。




 
左、オリジナル。右は内側を薄く削った状態。
何か足りない感じがしたので、資料を見て修正しました。 





 
薄いプラ板が欲しかったのでランナーをライターで加熱して幅広ヤットコで
潰しました。錆を嫌うのでステンレス製を探し、鳥取県から通販で取り寄せ
ました。物は安かったけれど単品なので送料が割高になりました。

右画像の様に接着し、・・・勿論、接着剤はクレオスの流し込みタイプです。
同じ材質なので後の加工が大変楽です。 





これで、資料の脚カバーに近い形になりました。 



エンジンも良く出来ています。
プラグコードも彫刻されているので塗り分けました。
写真によって茶色い物と黒い物が有りましたがアクセントになるので、
今回は茶色を選択しました。
シリンダーは銀に、プッシュロッドは艶有りの黒、ギアハウジングはミディ
アムグレーに塗りました。墨入れしたので画像では差が分かり辛いです。 







2016.04.26

 2016.05.04


 
折りたたみ翼基部の軽め穴が円では無くて楕円になっています。
右図は拡大した状態。 




キットは楕円に作られたのでは無くて、垂直に降りてきた刃物が
斜めの対象物に円状の彫刻を入れたので、そこを水平にして見
ると上の様に楕円となったのです。 

パーツを斜めにして見ると軽め穴は「円」となってその時の様子が
垣間見れます。






 
修正はパテを使ったり、プラの端材を貼ったりした後、平らにしてドリルで穴を
開け直す事も考えましたが、横着をして十和田技研のヒートペンで足りない部分
を溶かした部分で盛り上げる事にしました。

穴の大きさから直径1mmと1.5mmの先端を 旋盤を使って作り、使用します。




左、キットの状態。
右は一番大きい穴を除いてヒートペンで修正した状態です。
面一にはなりませんでしたが、隠れて見えない部分ですから
穴も深くなったのでこれで良しとしました。 






2016.05.04

 2016.05.22

 
プロペラは形としてはまあ良い感じと思いましたが、
左画像で水色で示したブレードのピッチがキットでは
少しキツい・・・角度が付きすぎている印象です。
先端で45度、根元で60度では、これで回転しても抵抗
ばかり増えて推進力は出ないと思います。

ブレードを切り離し、真鍮線を入れ強度を高めて付け
直しました。先端で3〜5度程度が自然な感じです。
 





折りたたみ翼は1/72にしては良く出来ていると思います。
しかし、資料を見てしまうと我慢できなくなりました。 




 

軽め穴の空いたリブ部分は写真によってバリエーションがありました。
時期や製造会社の違いによっても差が有りそうです。
良く分からないので、何枚かの写真をミックスして作りました。 




 
左:加工後。
右:オリジナル。

翼を畳んだ状態を作るのは、最低でも1/48、出来れば1/32は欲しいですね。
どうしても1/72では工作に無理が出ます。 スケールによって向いた作業、向かない
作業があると私は思います。
Bf109Eの3と4の差は1/144では分かりづらく、1/72は欲しい。1/144ならEとFの差は
分かるし、風防を開けるには1/48、エンジンカウルを外し中を見せるなら1/32。
今回、勢いで翼を畳んでしまい、自分のルールから外れて少し後悔しています。




胴体の接合部に出来た微かな段差は伸ばしランナーのお世話になりました。
ペーパーを掛けて確認のためにサフを塗った状態です。 





2016.05.22

 2016.06.14


方向舵は赤白の縞の塗り分けがあります。デカールを
使うとエッジの処理に困るので塗装する事にしました。
白は純白を使うと浮いてしまうので少し汚れが入っている
316番を使い、赤は68番を使いました。
デカールの赤部は深紅なので、少し考え過ぎかも?

赤を塗る前に滲み防止のためにクリアーを吹いたので、
綺麗な出来映えになりました。 






 
計器盤上部の覆いは後期型になると艶消し黒があるようですが、
初期は上面色と同じみたいです。
照準器のリフレクター部は切り飛ばし,0.2mmの透明プラ板にしました。
前もって短冊状に切ったモノを傷が付かない様にビニル袋に入れて
用意しています。 







接着部は黒く塗るとパーツの厚みを誤魔化せるのでよく使うワザです。
胴体との接着は透明Gボンドをシンナーで薄めて使いました。
ゴム系のボンドは接着する両方に塗って、半乾きから乾いた状態で圧
着するのが基本みたいです。他の接着剤の様に柔らかい内に付けると
いつまでも固定できない様です。
 





  
脚は後から差し込める様に出来なかったのでキムワイプとテープで
マスキングしました。不通のティッシュを使うより繊維クズの付く程度が
下がった気がします。
キャノピーはポリテープとタミヤテープとの併用です。このキットは離形
剤が多く残っているので接着力の弱いポリテープには不向きです。 




  
大体の塗装が終わりました。
墨入れと仕上げ処理をどうしようか考えていないので
これからイメージを作っていこうと思います。 






2016.06.14

 2016.06.21



カルトグラフのデカールは余分なニス部も少なく、昔と比べて材質も
柔らかくなったので軟化剤も弱めの方がシワが少なくて綺麗に貼れます。
ベースの台紙を日本製に替えたのが変化した理由と聞きましたが、本当
でしょうか?

赤丸は星マークの上に貼り足すタイプですが、違和感を感じる厚みはあ
りません。 尾翼のストライプに使った赤色と色の差が大きすぎたので、上
面だけ色を薄くしてみました。マスキングテープを貼ると剥がす時にデカー
ルを痛めるので、切り抜いた紙を当てただけでマスクしました。微かな吹き
漏れが出ましたが、許容範囲で収まりました。





折りたたみ翼の接着もクレオスの流し込みタイプを使ったので手で保持して
いる時間中に程良く固定出来ました。完全な固定までは行かないので、台
の上に置いて位置を保ちます。
接着部のリンクをディテールアップしたので位置決めが少しルーズになりま
した。片翼の完全固定を確認した後に残りの翼をバランスを見ながら付け
ました。




折りたたみ翼と尾翼をつなぐ固定具はキットでは少し太い印象を受けたので
補強も兼ねて真鍮製にしました。0.5mmパイプに0.3mmの線を通し、線の部分
を各箇所に挿して固定しました。
説明書には固定具の色指示が見られませんでしたが、写真では明るく写って
いるので白と判断しました。下面色や銀色の可能性も有ります。
 






VF-6所属、 USS Enterprise (CV-6)、1942年



ワイルドキャットで目立つ塗装を探すと日本機の撃墜マークを沢山付けた機体に
ぶち当たります。
私は原則的に、日本機の撃墜マークを付けた機体を作る事を避けるので、キットの
デカールのこの機体にしました。
「敵ながら、あっぱれ」という意味で、日本機の撃墜マークを付けた機体を作られる方
もいらっしゃいますが、「敵ながら、あっぱれ」は勝った方が負けて気落ちしている方を
「君だって、頑張ったじゃあないか」と慰める意味が大きく、ぼろくそに負けた方が勝者
に言う言葉では無いと思います。
日の丸一つ一つが同胞、もしかしたら親戚の戦死を意味していると思うとヨーロッパ
戦線のキルマークとは違った感情が湧きます。
負け戦の悔しさを忘れないために、日の丸をいっぱい付けた米軍機を作る事も将来的
には有りですが・・・。
 




塗装イメージを得るために当時のカラー写真を探していたら、パネルラインが明るく
写っている写真が有りました。全体的に強い日光で退色した雰囲気で、私の求めて
いるモノでした。
市販の墨入れ塗料も手持ちのエナメル塗料も適切な色が無かったので、偶然、在庫
していた油絵の具の「ウオーターブルー」を使ってみました。
キレイ過ぎて浮いてしまったので、黒を加え、更にウェザリングのサンドを掛けました。
サンドをウォッシングの様に使ったら意外に良かったので、それで仕上げ作業を終わり
としました。




 



メカニック感、たっぷりで良い印象です。 




尾翼上のアンテナ線支柱(?)は機体上面色と赤色に塗られている
二通りの事例があります。
この機体は赤みたいです。 




この段階で、胴体下の明かり取り窓のマスキングテープを剥がし忘れている事に
気付きました。
マスクを剥がすと透明部品にクラックを見つけて意気消沈しました。 






 







 




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