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★ 月刊 モデルグラフィックス
(1992年5月号表紙)
発行 (株)アートボックス社
―1/72 フォッケウルフFw190A 八機揃い踏み+おまけ ―
今回、アートボックス社のご厚意により、月刊「モデルグラフィックス」1992年5月号より、写真の一部を使用させていただきました。
9機全体
・フロッグ ・レベル ・マッチボックス
・エレール ・エアフィックス ・イタレリ
・ハセガワ旧製品 ・ハセガワ新製品 アカデミー
雑誌からの引用です。
まさか私にハセガワの新製品、Fw19 0の仕事が回つてくるとは思いませんでし た。今までの依頼はマイナーな機体か古い キットが多かつたものですから。二つ返事 で引き受けたものの本業、副業とも、目が 回るほど忙しいので、締切りを一カ月延ば していただきました。その代わり他のメーカーのキットも作るということで。はじめは 作りかけのイタレリでごまかそうと思って いましたがFwI90は一番好きな機種な のでこの際、手にはいる全部のキットを作 る事にしました。レベルのキットが無かっ たので知人のN氏に頼んだら「昔、作り かけて放ってあるけどフロッグも有るヨ」 と言われ、今回の8機種を作る次第になり ました。この他にもレベルをコピーした韓 国製品やニチモのキットや簡易インジェクションで試作型のキット等が有りますが幸 運にも〈???)手に入りませんでした。 各キットの差が良く分かるようにパテの使 用を控え、ストレートに組みました。
*組易さ
ハセガワの旧製品(以後略して旧ハセガワ) が部品数も少なく、又パーツの合いも良く 楽に組めます。もちろん新製品(新ハセ) も良いです。エアフィックス(略してエア) のキットは胴体下面に隙間ができます。マッチボックス(略してマッチ)もパテが必 要です。レベルとフロッグのキットは言う だけかわいそうです。レベルはなんと1962 年、マッチは1973年の製品です。
*プロポーション
プロポーションが正確か問違っているか 言う前に、皆さんが持っている実機のイメージは、一番よく目にする図面〔最近では 野原茂氏(ちょっと前では橋本喜久男) に影響を受けていることに注意してくださ い。やっぱ新ハセは良い。完成して意外に フィーリングの良いのがエレール、反面、 製作中は良い感じと思ったけれど、完成し て点数の下がるのが旧ハセです。 ハセガワの製品は新旧両方とも凹彫りで 作り易いです。レべルのキットは前面に打 たれた上品なリべットになかなか味わいが あります。ただ接着のとき消える箇所があ るのが残念。
*コックピット
新ハセ、イタレリ、エレールはこれで充 分です。新ハセは胴体を接着してからでも コックピットが組みこめる点が大変親切です。 他の製品はパイロットを乗せることを前提 に作られているようです。
*キャノピー
新ハセガワのキャノピーは1/72のキットで は最高でしょう。もうため息が出るほどで す。ただ前後に分割してあるので、組み立 てのとき汚さないように細心の注意が必要 です。エレールとイタレリは合いが良くな いので余分な手間が掛かります。フロッグのキャノピーは少し傷ついていましたがそ のまま使いました。レベルのは欠けていた のでマッチのキャノピーを流用しました。
*プロペラ
新ハセ、エア、イタレリの形はどれも良 いです。新ハセはブレードがバラバラにな つているのが気に入らない点です。エレールのプロペラはFー9型についた木製プロペラかと思える程幅が広い。
*スピナー
キット同士の差も渦巻きを塗ると分から なくなります。新ハセには渦巻のデカール が入つています。プロペラを接着する前に 貼りましょう。作例は先に接着してしまっ たのでデカールが貼りにくく手描きしまし た。
*主翼
旧ハセガワや古いキットは平面形が今一つで す。両ハセガワのキット以外は翼の断面形 がおかしい。マッチは翼が板のようですし, イタレリは腹が出たようになっています。 機銃のバルジ゙(ふくらみ〉は武装が異なる と変わつてきます。新ハセは正確です。
*尾翼
フロッグは左右一体の差しこむタイプで、エレールは接着の凸部分の無い(いわゆるドン付け)タイプでした。
*主脚
一番凝った作りになっているのはイタレリです。フロッグは脚柱とカバーが一体に なつていますが、完成すれば違和感はあり ません。逆に旧ハセは完成すると「何か変だな?」と感じます。旧ハセの不満な点のひとつです。新ハセの脚カバーはスカツと薄く気持ちが良いです。エアとマッチのカバーは厚いので削って薄くしないと実感が出ません。
タイヤホイールの彫刻は両ハセ、エア、イタレリが有りました。フロツグのタイヤは片方が無かつたので旧ハセから流用しました。
フロッグは脚収納庫が無いので艶消し黒で塗りました。旧ハセの収納庫は浅いのでRLM02より暗い感じで、ダークグリーンに塗りました。イタレリ、新ハセは新しいだけに良くできています。エアの収納庫は深くて良いのですが、コクピツトに筒抜けです。吹きつけた塗料がキャノピーの内側を汚してしまいました。マスキングに油断があつたと後悔しています。
*尾輪
フロッグ、マッチ、エア、イタレリは尾輪が別パーツになつていました。エアとイ タレリは尾輪のホイールにも彫刻があり好 感が持てます。尾輪引き込みの孔はイタレ リしか有りません。気になる方は黒く塗る だけでも良いです。
*機銃 ピトー管
銃身とピトー管は輸送時に折れないよう にシンチユウ線で作り替えました。レベル はキットのままです。新ハセのピトー管は 私の知つているキットのなかで一番細かつ た。折れることを考えなければこのままで 良いでしょう。マッチは外側のMGFFの 銃身とピトー管のパーツがキットに入つて 無いので作例も付けませんでした。
*アクセサリー
爆弾のみはレベル、フロツグ、マッチ。 爆弾、増槽は旧ハセ、イタレリ。新ハセは 増槽のみ。エア、エレールはF‐8タイプに もなるので爆弾とR―仕様のガンパックが 付きます。
*塗装・デカール
エアのデカールは透明部分が黄ばんでい たので、フロツグとレベルは古くて質が劣 化していたので、マッチは今までに作つたこ とがあるので別売りのマイクロスケーールの デカールを使いました。手持ちデカールの 都合や考証、塗装時間の短縮のため8機全 部がグレー74/75/76のワンパターンにな つてしまいました。3色は色見本を見て調 合しましたが、使う頻度が高いのでグンゼ で「特色」を出してもらえる事を希望しま す。
フロッグ
FwI90A‐4 2/JG2所属。ET C(爆弾ラック)は付かないのが本当。マ イクロスケールのデカール仕様。機番は太 すぎる。鷲は頭の部分だけデカール。
レベル
Fwl90A‐3 8/JG2所属。ET Cを付けたA‐3としてこの塗装にしまし た。マイクロスケール。ニワトリの頭は撃 墜王アツシ・ハーンのMe109Fから流 用。よつてオーバースケール。
マツチボツクス
Fwl90A‐4 9/JG2所属。ヨゼ フ・ヴユルムヘラー中尉機。マイクロ。ハセ ガワの別売りデカールにも入つています。
エレール
FwI90A−8R/2 JG300所属。 ヴァルター・ダール少佐機。マイクロ。
旧ハセガワ
FwI90A‐8/R8 JG3所属。付属デカール。部隊マークとハーケンクロイ ツはオーバースケール。
工アフイツクス
FwI90A―8 U/JGl所属。ハイ ンツ・ベール大尉機。マイクロ。部隊マー クの鷲は黄色が正しい。キット表面の凸線 は割と高いのでデカールは貼りずらい。
イタレリ
FwI90A―8/R2 JG300 所属。付属デカールとマイク口併用。パー ソナルマークは左側のみでしょう。付属デ カールは薄いけれどのりが弱くチョツと固 めでマークソフターを使つてもすぐには柔 らかくなりません。
新ハセガワ
FwI90A―8 12/JG5所属。付属 デカール。マイクロより少し固めだが薄く て良く曲面になじみます。増槽の注意書き は写真では白く見えます。
名人の手書きした作品を見ると惚れ惚れ しますが、誰にでもできる事ではありません。 まして1/72で凝つた部隊マークなど写真 縮小したデカールにはかないません。たび たび発表しましたが私のデカールの貼り方 を書きます。
@塗装面を滑らかにする。クリアーを吹い てコンバウンドで磨けば最高。デカールの 密着度が増します。今回のこの工程を省略 して後悔しています。
Aワンドロップレンズクリーンで拭く。薄 めた糊を弾かない様にするためです。
B木工ボンド(速乾性のボンドは良くなか つた)をマークソフターと水で溶いた物を 塗る。デカールの固さによって混合比は変 えます。
Cデカールを貼ります。強く押さえてBの 液を絞り出しすぎると作例のエアの右翼の ようにデカールの透明部分が白く濁ります。 そうなつたら作例新ハセの様に透明部分を 切り取つてください。
D乾いたら余分な糊を拭き取つて水性フラ ツトクリアーで仕上げます。
木工ボンドは糊の役目だけで無く、艶消 し塗装の塗装面の凹凸とデカールの間にで きる空気層(これが白く見える)を防ぐ役 目があります。上手に張ればデカールの透 明部分はほとんど気にならなくなります。 お試しください。
*終わりに
社会に出ると仕事や付き合いで忙しく、 だんだんプラモを作る時間が少なくなつて 行きます。完成しないプラモが増えるとフ ラストレーションも溜まって行きます。好 きな事をしていて欲求不満になるのは悲し いことです。若い方には上手なプラモを作 る事より早く作る技術を付けてもらいたい です。それがプラモと永く付き合うポイン トと思います。プラモはストレート組みに 始まりストレート組みに終わる」。ファイン モールドの鈴木氏の言葉です。「作くった者の 勝ち」。これは仲間の合い言葉です。