サボイヤ・マルケッティ
S.M.81
ビビストレッロ


スーパーモデル

S.M.82を完成したら松風会の○熊さんからS.M.81を渡されました。
同じキットを持っているので正直言うと在庫が減らないだけ困るんですよ。
でも、好意は素直に受けました。同じキットと思っていましたが、箱が違って
いました。頂いたキットは普通の箱。私の在庫はキャラメル箱。
入っている物は同じと思います。 





早速、通販でこの本を手に入れました。
S.M.82の本は売り切れで困りましたがこれは残っていました。
S.M.82は博物館に存在するので幾分サイトで写真を拾えますが、S.M.81は
この本が無いとほとんど情報は有りません。 





側面の丸窓は下の画像の様にパーツにエクボ(収縮によるヒケ)が有ります。
大きさも穴の方が大きく透明パーツと隙間が出来ます。
仕方が無いのでCDケースを切ってはめ込みました。内側を少し大きめにして
傾斜を付けたパーツを貼ります。 
内側に向かって大きい形状の窓は外から力が加わると「ポコッと」中に落ちた
事が度々有って嫌った時期がありました。接着にクレオスの流し込みタイプを
使うようになってから、意図的に窓パーツを押さない限り、事故は起きません。
窓の素材が良いので中がしっかり見えます。内部に手を入れないので、以上の
作業は少しオーバークォリティーとなってしまいました。


 






右端がキットのエンジンです。プッシュロッドがシリンダーの前面に
2本走っています。アルファーロメロ・エンジンは下の画像の様に前
から見えるロッドは1本です。
ギアボックス部分を切り離し、シリンダーブロックを反転させて、再度
ギアボックスを接着しました。プラ棒のロッドとヘッドを付けると何とか
アルファーロメロ・エンジンに見えるようになります。
裏側に有る2本のロッドは削り取る方が良いですが、汚くなるし、見え
にくい 事を期待して放置しました。



 




ブレードの幅が広い方がキットオリジナルです。
大戦も末期になるとエンジン出力も上がりブレード幅が広くなりますが、
エンジンが非力な時期のプロペラは概して細身のブレードです。
写真を見るともっと細い方が良いかも知れませんが、この辺で手を打ちました。 



2015.02.21


2015.03.01



 

計器盤は前の所有者の方がデカールを貼っていました。
私は1/72の計器盤はデカールで十分と思っています。
しかし、S.M.81のデカールは余りにもお粗末で、実物と随分異なります。
仕方が無いので、裏側にメーターを注射針を押しつけて再現しました。
完成度も低いですが見えない箇所なのでこれでOKとします。 





 

車輪はタイヤの幅が狭い為に中央のホイール部が大き過ぎます。
丁度作りかけのイタレリ・He111のタイヤと直径が似ていたので流用する事にしました。 







 

車軸も傾斜が付いているので使えず、切り飛ばしました。
流用するタイヤもスパッツに隠れて見えない部分が多いので、一つを
切って半分ずつ使いました。 






透明パーツは内側にいくつも傷があります。 





 

定規を当てると主翼下面が凹んでいます。こういう場合は整形の事後変形が多いです。
修正を考えましたが、左右の変形が同じなので、少し疑問を持ち、資料を当たると実機も
同じ翼形をしていました。
複葉機の時代にはこの様な下面が凹んだ翼形がありましたが、金属翼の時代にもこんな
翼形があった事を始めて知りました。
うろ覚えですが、この翼形の特徴は揚力が大きくなる事だったと思います。ただ、空気抵抗
も大きく、時代とともに速度が増すと下面も平らな時期を経て、膨らみを持つようになりました。
そして、前縁部は鋭く尖ってい行きます。 





シートは革張りのようなので赤茶色に塗りました。
シートベルトは一枚見つけた写真には肩ベルトが映っていなかったので、
腰ベルトだけにしています。
座席の後ろ付近に下の爆撃照準席へ移動する部分があるはずですが、
分からないので惚けています。
上部銃座は透明部品を切断して、外に出る部分を完成後に差し込むように
変更しました。 










フッラプの上に当たる部分にヒケが有ったので、パテ盛りしています。 





背中部にも明かり取りの窓が有るようなので、追加工作します。
背中の接着部には目立つ段差が出来ました。穴を開ける事が前もって
分かっていたので、パテの代わりに薄いプラの端材 を盛りつけました。
その為に、穴のエッジも欠けたりせず好都合です。




操縦席は随分あっさりしていますが、窓枠の多いキャノピーを被せると
内部は見えにくくなるはずです。 



2015.03.01


2015.03.18



 

機首下面の爆撃照準席から後ろに続く膨らみがキットでは省略されているので、
ランナーなどを使って再現しました。
今まではこう言った工作をすると、いつまでもブニュブニュした柔らかな箇所が残って
困りますが、クレオスの流し込みタイプを使うようになってからは驚くほど早く硬化します。
 





S.M.81は大戦初期の飛行機なので、至る所にハフ張り構造が有ります。
実際の飛行機ではフレームが表からハッキリ確認できる場合の方が少ないですが、
模型的表現は嘘でもそれらしい彫刻を入れた方が見栄えがします。
いつも凹んでいるのでは無くて、空圧の関係から膨らんだり、全くの平面に見える
のが現実です。

キットは動翼部分に細かな傷を入れて布みたいにしていますが、固定部のハフ表現
は省略されてツルペタです。
一部、モーターツールで彫ったら深くなりすぎたので、手間が掛かりましたが画像の
様に加工した彫刻刀でチマチマ彫りました。 





  

鉛筆でリブを書き、彫刻刀で彫ります。
彫りすぎた部分や厚みの足りないリブ部分は溶きパテとサフで修正します。
 







 

水平尾翼のエレベーターはスジスジの布表現でした。
エレベーター部のハフ張り構造は割と後期の飛行機まで続きましたが、
固定部の外板は金属になっていきます。
苦労してリブを再現しましたが、迷彩をするとほとんど分からなく
なるかも知れません。 






 

地上では板状の側面外板ですが、空気の当たり具合で波状に見える時も有ります。
窓はポンチで打ち抜いたキッチンホイルでマスキングしています。 





 

本を見ると、主翼付け根にもハフ張り構造が有りました。 







 

ケガキ線だけのエルロンリブも間を少し彫り込んで「らしさ」を増します。 







2015.03.18


2015.03.28


 

脚を組んでみました。翼への取り付け位置は凸のケガキ線で指定されています。
案の定、「V」字の支柱と間隔とズレが有りました。
最新のキットは3次元で設計してコンピューター制御で金型を製作するので
複雑な曲線の接合面でもビックリするくらいフィットします。
少し前は金型の製作は手作業でしたが、設計はCADを使っていたので支柱な
どの長さの間違いは減っていました。
このSM81キットの時代は紙に書いて設計していたので、3次元の接合部はキット
みたいなミスは付きものでした。
日本のキットも同様でしたが、試し打ちをした後に金型の微調整を頻繁にして
完成度の高い製品にしています。複葉機の支柱など長さが難しく、修正跡の残る
キットも見つける事が出来ます。








「V」字の支柱をバラして、傾きと長さを変える事で調整しようと思いましたが、
横から見た雰囲気が変わってしまうので、「V」字支柱はそのままで、取り付け
位置を前後にずらして丸めました。
矢印のように脚は少し後ろにずらしました。 






右脚(左画像)が修正した方です。
支柱は少し前外側にずらしています。 





 

説明書の排気管の組み立て箇所です。
星形エンジンは大戦後期には排気管が単排気管と言って各シリンダーから
一本ずつ排気管が出ているタイプが増えました。
それ以前は集合排気管と言ってシリンダーから一度太い管に排気を集めて
排気するタイプの排気管が多かったと思います。
パーツの93番が太い排気管に当たるでしょう。SM81のアルファロメオ・エンジン
元になったイギリスのブリストル・ペガサスエンジンは排気が前方にされ、太い
排気管に当たる部分はカウリングの前縁となっています。
ですからパーツ93は不適です。
カウリングの前縁部分から排気管が出ているように修正する為に右画像の様に
プラ棒で延長しました。 





2015/03/28


2015.04.03

 スキャンした資料を下敷きにアドビのイラストレーターでデカールの元データーを作ります。
垂直尾翼に文字だけ書かれている機体は両側に描かれている事が確認できましたが、
少し複雑なミッキーマウスは右側には付いていないと思います。・・・と、仕事の省略を考え
ましたが、胴体に付いている複雑な部隊マーク(他の機体)は左右に付いているので右側面
にもマークを付ける事に変更しました。ミッキーマウスはソフトでの反転ですから簡単です。
文字「OLE」はどう処理するか今、思案中。



2015.04.03


2015.04.11



排気管は最前部のカウリングと一体になった部分から出ているように
付けました。これは資料で確認できませんでしたので想像です。
内側に付く排気管も時期が後になるとイギリス機のように外側を半分
カウリングに埋め込まれて付く構造に変わります。 





操縦席の透明パーツはエッジ部がダレていて後ろの胴体との繋がりが
悪かったので、黒いの伸ばしランナーを使って修正しました。 






 

S.M.82ではキットのパーツに手を入れ使った二重円のループアンテナは0.3mm
の真鍮線で作りました。
左画像の様な治具を作り、半田付けすると右画像の部品が出来ます。十字の線
 外と内側を切り飛ばせば出来上がりです。根元の出来が今ひとつですがキットの
パーツと比べれば我慢できるレベルと思っています。





今回のS.M.81にはいくつかのハードルが有りました。
ハフ張り部分の表現。エンジンの修正。デカールの自作。
アホらしいほどの手間が掛かったのが、ターレットの修正です。
窓枠が違っていて、プラの材質も最近の物と違って磨いても傷が残ります。
何しろ部品が厚く,レンズ効果が発生します。物が小さいので、磨きづらく、
特に内側側面には往生しました。
上部ターレットなど、上からよく見える飛び出した部分はキットのままだと、
オモチャになってしまい、ディテールアップの効果が一番出る所です。 






ブレダの機銃をネットで調べると、ブローニングのコピーだと分かりました。
ブローニングとは少し違うところも有りますが、基本は似ています。アメリカの
爆撃機を作る時に銃身は作り置きしていましたが、機関部が無くなったので
今回、多めに作る事にしました。これはブローニングM2の機関部ですが、 1/72
では違いが分からないと思って惚けます。横の彫刻は無視しましたが、ファイン
モールドのナノシリーズで製品化してくれたらこんな苦労はせず済みます。
ウレタン製品は接着剤を選ぶので、スチロール製品の方が好きです。






2015.04.11


2015.04.18




 

ターレットは色々努力をしましたが、(幸運にも)透明度が上がらず,内部がよく見えません。
上部銃座の照門にはエッチングを切って十時の線を入れましたが、下部の銃座の照準は
省略しました。内部も始め、銃架を作る予定でしたが、見えないので省略する事にしました。
どうしても手を入れたくなるのをこらえ、効果の少ない箇所を省略するのを今後の基本方針
と することで、少しでも制作スピードのアップが出来れば良いと思う今日この頃です。
照門、照星の付いている横棒は銃身にジュラルミンを使ったので半田付け出来ません。
真鍮線の代わりに内径0.3mm,外径0.5mmのパイプを使いました。0.1mmの銅線を2本の
銃身間を8の字を描く様に巡らしたので、パイプには線が3本通ります。こうして横棒を固定
しました。







 

尾輪の厚みが足りない様なので、二つに割って、間に1.5mmのプラ板を挟みました。
これで、低圧バルーンタイヤらしくなりました。 




  


 

主翼下の係留用のフックと思える物を追加工作しました。
一通りの工作が終わったので、上下の透明パーツを仮止めすれば塗装には入れます。 







2015.04.18


2015.05.13



透明部は内側から見ても不自然さが無いように内部色を先に塗ります。 






黒を一番最初に塗って,次にマスクして白を、更にマスクして迷彩の塗装に移ります。
完成後にマスキングを剥がして気付きましたが、主翼のXは少し太すぎました。 





 

操作ロッドは金属線に代えます。
フラップのロッドは動翼部にパイプをはめて,それをペンチで潰して太くしました。
エルロンのロッドは今まで見てきた機体とはちょっと変わっていて動翼部がトラス構造
をしています。資料の図面にも描かれていませんが、写真で確認できます。 







第21爆撃群 第24グループ 第214戦隊 1938年8月 Tudela 






 







機体のパーソナルマーク等は透明デカールにアルプスプリンターで印刷しました。
いつも使うファインモールドの透明デカールとは違って「像のロケット」と言う会社の
製品を使ってみました。幾分柔らかく、薄いように感じました。
見る角度によってデカールの存在が分かります。下地にクリアーを吹いて滑らかに
した効果と、セッターを使った相乗効果で恐れていたシルバリングは有りませんでした。 




右側面の発電機はプロペラが棒状態だったので、板になるように修正しました。
ピッチは写真で確認できなかったので反対かも知れません。
キャノピーは内部にゴミが付く事を想定して水性糊で付けましたが意外に汚れて
いませんでした。ラッキ〜イ!
 






爆弾倉の扉ラインを追加しました。
型割の関係で、キットでは省略されています。 





胴体から翼中央部に延びるアンテナ線を張りましたが、画像ではよく見えません。 
模型店で複葉機の張り線に使うナイロン線を手に入れましたが、試したら細すぎて
よく見えない。実機サイズではその方が正解でしょうが、模型では折角張るのだから
見えた方が模型映えします。見えないと不要に手を掛けて糸を切る危険が高い。





垂直ー水平尾翼間の張り線は洋白の帯金を使いました。
余り光りすぎたので艶消しを吹きかけています。 






扉に描かれたヘルメットの兵隊は資料本を元に大きさを決めましたが、
キットに張るとドアより大き過ぎました。 





タイヤスパッツの数字は自作デカールです。
曲面が大変キツいので、よく見るとシワが残りました。
プロペラブレードは細く削りましたが、写真と比べるとまだ太すぎの印象です。 






ピトー管は先端が2本フォークに分かれています。初めて見る形状です。
線をV字に曲げ、パイプに差し込んで半田付けしてからU字に修正します。
曲げた線を差し込む都合で、パイプが太くなったのは我慢です(泣)。 


今回初めての試みは「像のロケット」デカールの使用でしょうか。沢山購入
したので、これからも使い続けます。使用感想は「まあまあの満足」。