梅の里(鳳来川売―ほうらい・かおれ―)

                   2001・1

私の住んでいる町は港に近い場所です。つまりは海が近いという事ですね。
でも車で2時間もドライブすれば緑が深い山にも行くことが出来ます。
自然を楽しむにはとても良い所です。

もう何年前になるでしょう。3月のまだ寒さの残った季節に偶然通りかかった
山間の村の至る所に梅の花が咲き乱れていました。
幻想的な感じを受けるほど見事に満開!
段々畑と少しの集落の小さな村にあまりにもたくさんの梅、梅、梅でした。
感激して車を降りて写真を撮りながら少し歩いてみると
その村の方々が大勢集まってお花見をされているところでした。
小さな村でみんな仲良く生活を楽しんでいるようで
なんとも微笑ましく感じました。

ここ何年かでその村は『梅の里』として少しずつ有名になりました。
口コミ以外で多少の宣伝もあったようで
見頃の季節は観光客が大勢訪れるようになりました。
特産の梅を使った梅干や梅エキス、
手作りのお漬物や野菜を販売する売店、
甘酒などをいただける茶店まで出来ました。
大きくて立派な公園にある梅林公園と違って
栽培のための梅の木が約2000本、本当に小さな集落の村に
植わっているのですからそれはもう見事な景観です。
アマチュアカメラマンやお花見で訪れる人がどんどん増えるのも当然ですね。
雪だるま
去年の2月の写真です。梅の見頃は毎年3月の10日前後のようなのですが
待ちきれなくて2月の終わりに出かけてみました。
『少しは咲いているのでは?』なんて淡い期待をして行ったのですが・・・・
なんとまだ雪が残っていてびっくり!
梅のお花見は雪あそびと化したのでした!
つらら
なんとつららまで!私たちの町では見ることが出来ないシロモノです。
梅の花
気を取り直して3月に再び出かけてみました。
今度は満開!
梅の花
村全体が段差のある地形にそっているので
山沿いに上がっていくとふもとの方の家と梅畑を見下ろすようになります。
梅の咲いているところ全体を見渡すことができるので
よりいっそう見事です。

村としての売店は何軒かあるのですが
個人のお宅でも自家製のお漬物や野菜を
軒先で販売している家が何件かあります。
ダンボールに手書き文字の値札があってお値段も信じられないくらいお安い!
去年もお花の苗や野菜など色々と買ってきました。
ウコッケイ
これはお漬物を売ってくれたお宅のお庭に放し飼いになっていたウコッケイ。
羽毛がシルクのようでとても綺麗でした。
柵も何もないところで歩き回っていました。
「逃げていかないのかしら」と疑問に思いましたが
もし逃げても誰のウコッケイかすぐにわかるし
逃げるといっても村の中なら安全なのです。
梅の花、一番の自信作!
私は桜の華やかさとは違った控えめな梅のぼんやりとした
咲き方が大好きです。
寒さに弱いので2月も終わりとなるとすこしでも春を感じたくて
うずうずするという事もあり、毎年梅だよりを楽しみにしてしまいます。

ここ数年のにぎやかさには少々驚くこともありますが
村の人たちは楽しそうに俄かお店屋さんをしていらっしゃるし
子供連れで歩いていると「どこから来たの?」とか
「あっちで鳥が見れるよ!」などと優しく話し掛けてくれます。
たぶん普段はひっそりと静かな村が一番活気づく季節という事で
それは喜ばしいことなのでしょうね。

ただ梅畑の入り口に「立ち入り禁止」の札などを見つけると
写真を良い場所で撮りたいがためにルール違反をして
踏み荒らしたりしてしまう人などもいるのでしょう。
ゴミなども気をつけなければいけませんね。
村を公開していても各家を公開しているわけではないのですから
覗き見のように家を見るのもマナー違反ですよね。

炭焼き小屋はちゃんと煙をだして木酢の香りがしていました。
段々畑の間を流れる小川の水は透き通って本当に綺麗。
同じ県内なのに全く違う風景が見れる梅の里は
どんなににわか観光地となっても毎年訪れたくなるお気に入りの場所です。

これからも訪れる人たちが(もちろん私もその一人です!)
マナーを守って美しい梅を見て
たくさんの感激とともにほんわかとした春を感じて帰られる事を願っています。