| LIBRARY |
||||||
「筆記具の重心について」 犬の嗅覚、鷹などの猛禽類が数キロ先から獲物を見つける視力。そのような特殊能力が人間にも備わっている。それが手の感覚である。 人間の手の感覚は、道具を使う事を前提とした「文明」という群れ社会を作った事から発展してきたと思われる。この「文明」というものが人間を本当に幸せにしてくれるものか、それとも不幸にするためのものなのかその答えは出ていない。それがどのような結末を迎えるかどうかに関係なく、人は文明をはぐくむ為の特殊感覚として数分の一ミリの歪みを見つけ、数分の一グラムの重さの違いを見つけだす能力を持っている。 また人間という生き物は、文字を使うことにより距離や時間を超えての情報伝達を行うという特殊能力を持った唯一の動物でもある。自分たちの経験を後生に残すため、或いは教育の為、感情を伝えるために文字を生み出し、そして、それを紡ぐための道具として筆記具を開発し続けてきている。 古代の人々がどのような筆記具を使っていたか、それは専門家の人々に委ねるべきことなのでここで私のウンチクはお披露目しない。ここでは筆記具メーカが人間の特殊能力である「手の感覚」に自分たちが作ったペンをどのように演出しようとしているかを私なりの考えをここに書いてみようと思う。 |
筆記具を使い、その使用感を述べるときに多くの人々が評価の一つのポイントとして、その筆記具の質量的な重心位置をあげる。ペン先よりに重心があるもの、後方にあるもの、前後に均等に質量感があり中央部が軽めてあるもの、全体に均質な重量配分をしてあるもの、と色々とある。この重心配分によって、人はそのペンを握ることに疲労感を感じたり、或いは軽快感、重厚感を感じ取ったりするが、この重心配分自身は、たった二十グラムほどのペンの中のたった十グラム程度の問題である。それによって使用感が大きく左右されるのであるから、筆記具メーカーにとっても 重心位置の決定は、自分たちの平素の研究や、ペンはこうあるべきだということが十分に発揮される部分であろう。もちろん、そのペンにどのようなインクやペン先を使うということも書き味に反映される事は重々に承知している。以下にペンの重心配分について二点のみを箇条書きするが、これは私の筆記具の重心位置に特定した所感であると理解して頂きたい。 次のページ >>> |
|||||