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「FABER-CASTELL PRONTO ERASERだぜ!」

 シャープを使い始めた頃、何本もの鉛筆を持ち歩くことも無いだろうと俺はシャープ一本だけを持って闘いの場へ向かった。胸ポケットに一本のシャープ、間違えば後ろのキャップを外して、間違った字を消す。今考えてもクールな姿だったと思うぜ。念のためにいっとくが俺が一人で勝手にそう思っていただけで、他の人間はそうは思っていなかったかもしれないぜ。

 そんなクールな俺にある日とてつもないアクシデントが起こった。黒縁眼鏡をかけた遠藤というマダム(他の同士達はこのマダムを先生と呼んでいたが、クールな俺は声にこそ出さないがその女性を心の中でマダムとよんでいた)が真っ白な紙になにやら暗号のようなものを書いた紙を同士達に配った。

 ひがた、こうごうへいか・・・・・とひらがなが書いてありその下に空白のカッコがその紙に書いてあった。
これはマダム遠藤が週末におこなう同士達がおそれる暗号解読任務だ。(秘匿名称:KANJITESUTO)
「なんなくこなせるぜ」そうつぶやくと俺は第一問の“ひがた”に取り組んだ。
「汗潟」と書いた。・・・・・あれ?「汗」じゃないぜ・・俺としたことが・・
「ふふ・・・そんなときにはキャップをとって消せば・・・・」
バリバリ。ビリビリ!

オー、マイガッ!暗号用紙が破れてしまった。ここしばらくシャープの後ろの小さな消しゴムを使っていたために消しゴムがすりへり消しゴムを支えていた金具がむき出しになり、それに気づかず勢いよく消してしまった為に暗号用紙が破れてしまったのだ。
「俺のへまだ!」そうおもって舌を鳴らした瞬間に同士の一人が俺を裏切った。
俺を裏切ったのは美しい長い髪を後ろで束ねたこの辺では見かけられないようないい女だった。それも二月十四日には俺に恋を告白した女だった。
「せんせー!○○くんがテスト用紙をやぶってまーーす。」
この女の裏切りの後、マダム遠藤は俺の頭をゲンコツでグリグリと締め上げるというナチスも真っ青な公開拷問を“教室”、いや・・ちがった“闘いの場”で俺にやってのけた。おまけに俺の連絡帳に「息子さんが学校に筆箱を持ってきてません。これからはお母さんがしっかりと持ち物を確認してください。」と赤いペンで書き付けたのだ。これは俺や同士達が“赤い死の文字”と呼ぶ恐怖の儀式だ。
これ以来一ヶ月の間、俺に支払われる任務への報酬(秘匿名称:okozukai)は大きく削られた。


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